この公式のポイント
- 原始関数は書けないが、2乗して重積分にすると求まる
- 極座標 dxdy=rdrdθ で re−r2 が積分できる
- 正方形を2つの円ではさむと極限がきちんと示せる
- 広義積分はまず収束を確かめる

うかるくん
e−x2 の原始関数は書けないのに、どうして積分の値が π と分かるの?
![合格先生]()
合格先生
2乗して x と y の重積分にするんだ。極座標にすると re−r2 が積分できて π。最後に平方根をとれば π だぞ。
ガウス積分と広義積分
e−x2 の原始関数は、よく知っている関数(多項式・指数・三角関数など)の組み合わせでは書けません。それでも、−∞ から ∞ までの広義積分なら値がきれいに求まります。これがガウス積分です。
ガウス積分
∫−∞∞e−x2dx=π,∫0∞e−x2dx=2π∫−∞∞e−ax2dx=aπ(a>0)広義積分とは、区間が無限に長い、または関数が区間のはしで発散するときの積分を、極限で定めたものです。
∫a∞f(x)dx=R→∞lim∫aRf(x)dx,∫01f(x)dx=ε→+0lim∫ε1f(x)dx基本の例:∫1∞xpdx は p>1 のとき収束、∫01xpdx は p<1 のとき収束。
つりがね形 y=e−x2 の下の面積が π。x≥1 では e−x2≤e−x
証明
① 収束すること
x≥1 では x2≥x なので 0<e−x2≤e−x。∫1∞e−xdx=e−1 は有限なので、∫1Re−x2dx は R について増加し、上に有界です。よって R→∞ で収束します(図1のオレンジの線)。x≤−1 も同じです。
② 2乗して極座標
IR=∫−RRe−x2dx とすると、2乗は正方形 SR: ∣x∣≤R, ∣y∣≤R 上の重積分です。
IR2=∫−RRe−x2dx∫−RRe−y2dy=∬SRe−(x2+y2)dxdy
半径 ρ の円板 Dρ の上なら、極座標(dxdy=rdrdθ)で計算できます。
∬Dρe−(x2+y2)dxdy=∫02π∫0ρe−r2rdrdθ=π(1−e−ρ2)
③ はさみうち
DR⊂SR⊂D2R で、e−(x2+y2)>0 なので
π(1−e−R2)≤IR2≤π(1−e−2R2)
R→∞ とすると両はしが π に近づくので IR2→π。IR>0 より ∫−∞∞e−x2dx=π です。e−x2 は偶関数なので、0 から ∞ までは 2π。a>0 の形は x=at と置換すれば出ます。
円 ⊂ 正方形 ⊂ 大きい円。両側の円の値が π に近づくので、正方形の値も π に近づく
大学院入試では
院試ではガウス積分そのものの証明に加えて、置換・部分積分・平方完成でガウス積分に持ちこむ計算がよく出ます。
大学院入試例題1(係数つき)
a>0 のとき、
∫0∞e−ax2dx を求めなさい。
解き方
x=at とおくと dx=adt、範囲は 0→∞ のまま。
∫0∞e−t2adt=a1⋅2π。
答え 21aπ
大学院入試例題2(部分積分)
∫−∞∞x2e−x2dx を求めなさい。
解き方
x2e−x2=x⋅xe−x2、(−21e−x2)′=xe−x2 を使って部分積分。
∫−RRx2e−x2dx=[−2xe−x2]−RR+21∫−RRe−x2dx。
R→∞ で第1項は −Re−R2→0。よって 21π。これは平均0・分散 21 の正規分布の分散の計算と同じです。
答え 2π
大学院入試例題3(正規分布の全確率)
σ>0 のとき、
∫−∞∞2πσ1e−2σ2(x−μ)2dx=1 を示しなさい。
解き方
t=2σx−μ とおくと dx=2σdt。
2πσ1∫−∞∞e−t22σdt=2πσ2σπ=1。
答え 証明終わり(正規分布の密度関数の積分は1)
学部の授業とのつながり・院試での注意
- どの授業で習うか:大学1年の微分積分学(広義積分・重積分の変数変換)で習います。確率統計では正規分布の基礎になります。
- 答案で示すこと:①広義積分が収束すること(e−x などと比べる)、②2乗して重積分にする、③極座標と、正方形と円の極限の扱い(はさみうち)。「2乗して極座標」だけで終わると、極限の部分が抜けていると見なされることがあります。
- よく出る形:∫x2ne−x2dx(部分積分のくり返し)、e−x2+bx(平方完成)、ガンマ関数で Γ(21)=π を示す問題。
- 収束の判定:広義積分は、まず収束するかどうかを確かめます。xp1 と比べる方法が基本です。
よくある間違い
![腕でバツを作る合格先生]()
合格先生
2乗した値が π だ。答えを π のままにせず、平方根をとって π にしよう。
- 原始関数を探そうとする:e−x2 の原始関数は初等関数では書けません。不定積分ではなく、−∞ から ∞ までの定積分だからこそ値が出ます。
- 答えを π にしてしまう:2乗した値が π です。最後に平方根をとって π。
- 半分の区間で π と書く:∫0∞e−x2dx=2π。区間に注意しましょう。
練習問題
![ひらめいたうかるくん]()
うかるくん
平方完成と置換で、ガウス積分の形に持ちこもう!
- 大学院入試 ∫0∞e−2x2dx を求めなさい。
答えと解説を見る
a=21 の場合。211/2π=22π。答え 2π(約 1.2533) - 大学院入試 ∫−∞∞e−x2+2xdx を求めなさい。
答えと解説を見る
平方完成 −x2+2x=−(x−1)2+1。t=x−1 とおいて e∫−∞∞e−t2dt=eπ。答え eπ - 大学院入試 ∫0∞x4e−x2dx を求めなさい。
答えと解説を見る
部分積分 ∫0∞x3⋅xe−x2dx=[−2x3e−x2]0∞+23∫0∞x2e−x2dx。例題2より ∫0∞x2e−x2dx=4π なので 23⋅4π。答え 83π
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よくある質問
ガウス積分とは?
e^(−x²) を −∞ から ∞ まで積分すると √π になる、という積分です。0 から ∞ までなら √π/2 です。
どうやって証明しますか?
積分を2乗して x と y の重積分にし、極座標に変えると re^(−r²) が積分できて π になります。最後に平方根をとって √π です。正方形の領域は2つの円ではさんで極限をとります。
広義積分とは?
区間が無限に長いときや、関数が区間のはしで発散するときに、積分の範囲を少し短くして計算し、その極限で定める積分です。
正規分布との関係は?
正規分布の密度関数の積分が1になること(全確率が1)は、ガウス積分を置換して示せます。
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出典・参考
最終更新:2026年10月11日/作成:大学受験合格大作戦