スターリングの公式|n!≒√(2πn)(n/e)^nの意味と証明(積分ではさむ・ウォリス積分)・けた数の見当づけ【大学数学・東大京大レベル】

スターリングの公式|n!≒√(2πn)(n/e)^nの意味と証明(積分ではさむ・ウォリス積分)・けた数の見当づけ【大学数学・東大京大レベル】

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大学受験大学院入試

n!∼2πn(ne)nn!\sim\sqrt{2\pi n}\left(\frac{n}{e}\right)^n

「∼\sim」は比が1に近づくこと:lim⁡n→∞n!2πn (n/e)n=1\displaystyle\lim_{n\to\infty}\frac{n!}{\sqrt{2\pi n}\,(n/e)^n}=1

この公式のポイント

  • n!∼2πn(ne)nn!\sim\sqrt{2\pi n}\left(\dfrac ne\right)^n(比が1に近づく)
  • 主役は (ne)n\left(\dfrac ne\right)^n:log⁡n!\log n! を積分ではさむと分かる
  • 2π\sqrt{2\pi} はウォリス積分から決まる
  • 入試では見当づけに使い、答案は区分求積・はさみうちで
うかるくん

うかるくん

n!n! の近似に、どうして π\pi や ee が出てくるの?

合格先生

合格先生

log⁡n!\log n! を log⁡x\log x の積分ではさむと (ne)n\left(\dfrac ne\right)^n が出る。2π\sqrt{2\pi} はウォリス積分から決まるんだ。

スターリングの公式

n!=1⋅2⋅3⋯nn!=1\cdot2\cdot3\cdots n は nn が大きくなると急に大きくなります。その大きさを、 \sqrt{\ }・π\pi・ee を使ったかんたんな式で近似するのがスターリングの公式です。

スターリングの公式

n!∼2πn(ne)n(lim⁡n→∞n!2πn(ne)n=1)n!\sim\sqrt{2\pi n}\left(\frac{n}{e}\right)^n\qquad\left(\lim_{n\to\infty}\frac{n!}{\sqrt{2\pi n}\left(\dfrac ne\right)^n}=1\right)

「∼\sim」は比が1に近づくという意味。対数で書くと

log⁡n!=nlog⁡n−n+12log⁡(2πn)+(0に近づく量)\log n!=n\log n-n+\frac12\log(2\pi n)+(\text{0に近づく量})
11.041.08123456789101.0841.0421.0171.008n比=1比=n!÷{√(2πn)(n/e)ⁿ}。n が大きいほど 1 に近い
比 n!÷2πn(ne)nn!\div\sqrt{2\pi n}\left(\dfrac ne\right)^n は、n=10n=10 ですでに 1.0081.008

たとえば 10!=362880010!=3628800 に対し、20π(10e)10=3598695.6⋯\sqrt{20\pi}\left(\dfrac{10}{e}\right)^{10}=3598695.6\cdots で、ずれは約 0.8%0.8\% です。

証明(3段階。②は考え方=略証)

① おおまかな大きさ:積分ではさむ

log⁡n!=log⁡2+log⁡3+⋯+log⁡n\log n!=\log2+\log3+\cdots+\log n は、図2のような幅1の長方形の面積の和です。y=log⁡xy=\log x は増加関数なので

∫1nlog⁡x dx≤log⁡n!≤∫1n+1log⁡x dx\int_1^n\log x\,dx\le\log n!\le\int_1^{n+1}\log x\,dx

∫log⁡x dx=xlog⁡x−x+C\displaystyle\int\log x\,dx=x\log x-x+C を使うと nlog⁡n−n+1≤log⁡n!≤(n+1)log⁡(n+1)−nn\log n-n+1\le\log n!\le(n+1)\log(n+1)-n。つまり

e(ne)n≤n!≤(n+1)n+1ene\left(\frac ne\right)^n\le n!\le\frac{(n+1)^{n+1}}{e^n}

n!n! の大きさの主役は (ne)n\left(\dfrac ne\right)^n だと分かります。

② n! ennn+12\dfrac{n!\,e^n}{n^{n+\frac12}} が正の数 CC に近づく(略証)

y=log⁡xy=\log x は上に凸なので、区間 [k,k+1][k,k+1] で台形の面積 log⁡k+log⁡(k+1)2\dfrac{\log k+\log(k+1)}{2} は積分より小さく、その差を dk (≥0)d_k\ (\ge0) とします。k=1k=1 から n−1n-1 までたすと

log⁡n!−12log⁡n=∫1nlog⁡x dx−∑k=1n−1dk=nlog⁡n−n+1−∑k=1n−1dk\log n!-\frac12\log n=\int_1^n\log x\,dx-\sum_{k=1}^{n-1}d_k=n\log n-n+1-\sum_{k=1}^{n-1}d_k

よって an=n! ennn+12a_n=\dfrac{n!\,e^n}{n^{n+\frac12}} とおくと log⁡an=1−∑k=1n−1dk\log a_n=1-\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}d_k。dk≥0d_k\ge0 なので ana_n は減少します。さらに台形の誤差の評価から dk≤112k2d_k\le\dfrac{1}{12k^2} 程度で、∑dk\displaystyle\sum d_k は収束します(この評価は高校の範囲をこえるので略します)。したがって ana_n はある正の数 CC に近づき、n!∼Cn(ne)nn!\sim C\sqrt n\left(\dfrac ne\right)^n。

③ C=2πC=\sqrt{2\pi} をウォリス積分で決める

Im=∫0π2sin⁡mx dxI_m=\displaystyle\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sin^mx\,dx について、I2n=1⋅3⋯(2n−1)2⋅4⋯2n⋅π2=(2n)!4n(n!)2⋅π2I_{2n}=\dfrac{1\cdot3\cdots(2n-1)}{2\cdot4\cdots2n}\cdot\dfrac{\pi}{2}=\dfrac{(2n)!}{4^n(n!)^2}\cdot\dfrac{\pi}{2}、また 2n I2n→π2\sqrt{2n}\,I_{2n}\to\sqrt{\dfrac{\pi}{2}} です(ウォリス積分のページの例題3)。ここに n!∼Cn(ne)nn!\sim C\sqrt n\left(\dfrac ne\right)^n を入れると

(2n)!4n(n!)2∼C2n(2ne)2n4n C2n(ne)2n=2Cn\frac{(2n)!}{4^n(n!)^2}\sim\frac{C\sqrt{2n}\left(\dfrac{2n}{e}\right)^{2n}}{4^n\,C^2n\left(\dfrac ne\right)^{2n}}=\frac{\sqrt2}{C\sqrt n}

なので 2n I2n∼2n⋅2Cn⋅π2=πC\sqrt{2n}\,I_{2n}\sim\sqrt{2n}\cdot\dfrac{\sqrt2}{C\sqrt n}\cdot\dfrac{\pi}{2}=\dfrac{\pi}{C}。これが π2\sqrt{\dfrac{\pi}{2}} に等しいので C=ππ/2=2πC=\dfrac{\pi}{\sqrt{\pi/2}}=\sqrt{2\pi}。

1246712467長方形は曲線より上log 6!≧∫₁⁶ log x dx長方形は曲線より下log 6!≦∫₁⁷ log x dx長方形の面積の和=log 2+log 3+…+log 6=log 6!(y=log x は増加関数なので上下にはさめる)
log⁡n!\log n! は長方形の面積の和。y=log⁡xy=\log x の積分で上下からはさめる(n=6n=6)

大学受験での使い方

入試で公式そのものを使うことはまずありませんが、n!n! の大きさの見当づけと、積分ではさむ・区分求積で極限を出す問題の背景として役立ちます。

大学受験

例題1(近似値)

スターリングの公式で 10!10! の近似値を求め、真の値 36288003628800 とくらべなさい。

解き方

2π⋅10(10e)10=3598695.6⋯\sqrt{2\pi\cdot10}\left(\dfrac{10}{e}\right)^{10}=3598695.6\cdots。真の値との比は 36288003598695.6=1.0084⋯\dfrac{3628800}{3598695.6}=1.0084\cdots。

答え 約 3.60×1063.60\times10^6(真の値より約 0.8%0.8\% 小さい)

大学受験

例題2(けた数の見当)

100!100! は何けたの数か、スターリングの公式で見当をつけなさい(log⁡10e=0.4343\log_{10}e=0.4343、log⁡10628.3=2.798\log_{10}628.3=2.798 とする)。

解き方

log⁡10100!≒12log⁡10(200π)+100log⁡10100e\log_{10}100!\fallingdotseq\dfrac12\log_{10}(200\pi)+100\log_{10}\dfrac{100}{e}。200π≒628.3200\pi\fallingdotseq628.3 なので第1項は 1.3991.399。第2項は 100(2−0.4343)=156.57100(2-0.4343)=156.57。

合計 157.97157.97 なので、10157<100!<1015810^{157}<100!<10^{158} と見当がつき、158けた。

答え 158けた(実際に 100!100! は158けた)

大学受験

例題3(区分求積で示せる極限)

lim⁡n→∞n!nn\displaystyle\lim_{n\to\infty}\frac{\sqrt[n]{n!}}{n} を求めなさい。

解き方

対数をとると log⁡n!nn=1n∑k=1nlog⁡kn\log\dfrac{\sqrt[n]{n!}}{n}=\dfrac1n\displaystyle\sum_{k=1}^n\log\frac kn。区分求積法により ∫01log⁡x dx=[xlog⁡x−x]01=−1\displaystyle\int_0^1\log x\,dx=\Big[x\log x-x\Big]_0^1=-1 に近づく(xlog⁡x→0x\log x\to0 を使う)。

スターリングの公式からも n!n≒(2πn)12n⋅ne\sqrt[n]{n!}\fallingdotseq(2\pi n)^{\frac1{2n}}\cdot\dfrac ne で、同じ結果になると確かめられる。

答え 1e\dfrac1e

高校の範囲をこえる内容と入試での使い方

  • 範囲:スターリングの公式は高校の教科書の範囲外です。①の積分ではさむ部分と③のウォリス積分は数学Ⅲの道具で書けますが、②の誤差の評価と全体の組み立ては大学の微分積分学の内容です。
  • 答案にそのまま使わない:「スターリングの公式より」は証明なしの引用になります。例題3のように、区分求積法や積分によるはさみうちで示しましょう。
  • 見当づけ・検算:n!n! と ana^n や nnn^n のどちらが速く大きくなるか、n!n\sqrt[n]{n!} がどのくらいかなど、答えの見当をつけるのに便利です。
  • 入試の背景:難関大の入試では、「log⁡n!\log n! を ∫log⁡x dx\int\log x\,dx ではさむ」「n!nn\dfrac{\sqrt[n]{n!}}{n} の極限を区分求積で求める」「ウォリス積分の極限を求める」のように、スターリングの公式が背景になっている問題があります。

よくある間違い

腕でバツを作る合格先生

合格先生

「∼\sim」は比が1に近づくという意味だ。差が0に近づくわけではないぞ。

  • (ne)n\left(\dfrac ne\right)^n だけで近似する:n!÷(ne)nn!\div\left(\dfrac ne\right)^n は 2πn\sqrt{2\pi n} くらいで、n→∞n\to\infty で1に近づかず、どんどん大きくなります。2πn\sqrt{2\pi n} を落とすと「∼\sim」は成り立ちません。
  • 「∼\sim」を「差が0に近づく」と思う:近づくのは比です。差は、n=10n=10 でも 3628800−3598695.6⋯≒301043628800-3598695.6\cdots\fallingdotseq30104 あり、nn が大きくなると差はむしろ大きくなります。
  • 自然対数と常用対数をまぜる:けた数は log⁡10\log_{10} で調べます。log⁡10ne=log⁡10n−log⁡10e\log_{10}\dfrac ne=\log_{10}n-\log_{10}e で、log⁡10e=0.4343\log_{10}e=0.4343 を使います。

練習問題

○の札を持つうかるくん

うかるくん

けた数の見当なら、もうばっちり!

  1. 大学受験 スターリングの公式を使って、2nCn=(2n)!(n!)2{}_{2n}\mathrm{C}_n=\dfrac{(2n)!}{(n!)^2} の近似式を求めなさい。また n=10n=10 で値をくらべなさい。
    答えと解説を見る4πn(2ne)2n2πn(ne)2n=4nπn\dfrac{\sqrt{4\pi n}\left(\dfrac{2n}{e}\right)^{2n}}{2\pi n\left(\dfrac ne\right)^{2n}}=\dfrac{4^n}{\sqrt{\pi n}}。n=10n=10 では 41010π≒187079\dfrac{4^{10}}{\sqrt{10\pi}}\fallingdotseq187079、真の値 20C10=184756{}_{20}\mathrm{C}_{10}=184756
  2. 大学受験 50!50! は何けたか、スターリングの公式で見当をつけなさい(log⁡10e=0.4343\log_{10}e=0.4343、log⁡10(100π)=2.497\log_{10}(100\pi)=2.497、log⁡105=0.699\log_{10}5=0.699 とする)。
    答えと解説を見る12log⁡10(100π)+50(log⁡1050−log⁡10e)=1.249+50(1.699−0.4343)=1.249+63.235=64.48\dfrac12\log_{10}(100\pi)+50(\log_{10}50-\log_{10}e)=1.249+50(1.699-0.4343)=1.249+63.235=64.48。よって65けた(実際に65けた)
  3. 大学受験 n≥1n\ge1 のとき n!≥e(ne)nn!\ge e\left(\dfrac ne\right)^n を示しなさい。
    答えと解説を見るy=log⁡xy=\log x は増加関数なので、log⁡k≥∫k−1klog⁡x dx\log k\ge\displaystyle\int_{k-1}^k\log x\,dx(k≥2k\ge2)。たして log⁡n!≥∫1nlog⁡x dx=nlog⁡n−n+1\log n!\ge\displaystyle\int_1^n\log x\,dx=n\log n-n+1。両辺を ee の指数にして完成(n=1n=1 は等号)

関連する公式

よくある質問

スターリングの公式とは?

nが大きいとき、n! が √(2πn)×(n/e)^n でよく近似できるという公式です。正確には、この2つの比が1に近づきます。

スターリングの公式はどのくらい正確ですか?

n=10 で、10!=3628800 に対して近似値は約3598696 で、ずれは約0.8%です。nが大きいほど比は1に近づきます。

スターリングの公式はどうやって証明しますか?

log n! を log x の積分ではさんで (n/e)^n が主役だと分かり、台形の評価で n!÷{√n(n/e)^n} が定数Cに近づくことを示し、ウォリス積分を使って C=√(2π) を決めます。

スターリングの公式は入試で使えますか?

高校の範囲外なので、答案では区分求積法や積分によるはさみうちで示し、公式はけた数や極限の見当づけに使うのが安全です。

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出典・参考

  • 大学初年級の微分積分学(範囲外の発展内容)
  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」数学Ⅲ(積分法)

最終更新:2026年10月11日/作成:大学受験合格大作戦