この公式のポイント
- n!∼2πn(en)n(比が1に近づく)
- 主役は (en)n:logn! を積分ではさむと分かる
- 2π はウォリス積分から決まる
- 入試では見当づけに使い、答案は区分求積・はさみうちで

うかるくん
n! の近似に、どうして π や e が出てくるの?
![合格先生]()
合格先生
logn! を logx の積分ではさむと (en)n が出る。2π はウォリス積分から決まるんだ。
スターリングの公式
n!=1⋅2⋅3⋯n は n が大きくなると急に大きくなります。その大きさを、 ・π・e を使ったかんたんな式で近似するのがスターリングの公式です。
スターリングの公式
n!∼2πn(en)nn→∞lim2πn(en)nn!=1「∼」は比が1に近づくという意味。対数で書くと
logn!=nlogn−n+21log(2πn)+(0に近づく量)
比 n!÷2πn(en)n は、n=10 ですでに 1.008
たとえば 10!=3628800 に対し、20π(e10)10=3598695.6⋯ で、ずれは約 0.8% です。
証明(3段階。②は考え方=略証)
① おおまかな大きさ:積分ではさむ
logn!=log2+log3+⋯+logn は、図2のような幅1の長方形の面積の和です。y=logx は増加関数なので
∫1nlogxdx≤logn!≤∫1n+1logxdx
∫logxdx=xlogx−x+C を使うと nlogn−n+1≤logn!≤(n+1)log(n+1)−n。つまり
e(en)n≤n!≤en(n+1)n+1
n! の大きさの主役は (en)n だと分かります。
② nn+21n!en が正の数 C に近づく(略証)
y=logx は上に凸なので、区間 [k,k+1] で台形の面積 2logk+log(k+1) は積分より小さく、その差を dk (≥0) とします。k=1 から n−1 までたすと
logn!−21logn=∫1nlogxdx−k=1∑n−1dk=nlogn−n+1−k=1∑n−1dk
よって an=nn+21n!en とおくと logan=1−k=1∑n−1dk。dk≥0 なので an は減少します。さらに台形の誤差の評価から dk≤12k21 程度で、∑dk は収束します(この評価は高校の範囲をこえるので略します)。したがって an はある正の数 C に近づき、n!∼Cn(en)n。
③ C=2π をウォリス積分で決める
Im=∫02πsinmxdx について、I2n=2⋅4⋯2n1⋅3⋯(2n−1)⋅2π=4n(n!)2(2n)!⋅2π、また 2nI2n→2π です(ウォリス積分のページの例題3)。ここに n!∼Cn(en)n を入れると
4n(n!)2(2n)!∼4nC2n(en)2nC2n(e2n)2n=Cn2
なので 2nI2n∼2n⋅Cn2⋅2π=Cπ。これが 2π に等しいので C=π/2π=2π。
logn! は長方形の面積の和。y=logx の積分で上下からはさめる(n=6)
大学受験での使い方
入試で公式そのものを使うことはまずありませんが、n! の大きさの見当づけと、積分ではさむ・区分求積で極限を出す問題の背景として役立ちます。
大学受験例題1(近似値)
スターリングの公式で
10! の近似値を求め、真の値
3628800 とくらべなさい。
解き方
2π⋅10(e10)10=3598695.6⋯。真の値との比は 3598695.63628800=1.0084⋯。
答え 約 3.60×106(真の値より約 0.8% 小さい)
大学受験例題2(けた数の見当)
100! は何けたの数か、スターリングの公式で見当をつけなさい(
log10e=0.4343、
log10628.3=2.798 とする)。
解き方
log10100!≒21log10(200π)+100log10e100。200π≒628.3 なので第1項は 1.399。第2項は 100(2−0.4343)=156.57。
合計 157.97 なので、10157<100!<10158 と見当がつき、158けた。
答え 158けた(実際に 100! は158けた)
大学受験例題3(区分求積で示せる極限)
n→∞limnnn! を求めなさい。
解き方
対数をとると lognnn!=n1k=1∑nlognk。区分求積法により ∫01logxdx=[xlogx−x]01=−1 に近づく(xlogx→0 を使う)。
スターリングの公式からも nn!≒(2πn)2n1⋅en で、同じ結果になると確かめられる。
答え e1
高校の範囲をこえる内容と入試での使い方
- 範囲:スターリングの公式は高校の教科書の範囲外です。①の積分ではさむ部分と③のウォリス積分は数学Ⅲの道具で書けますが、②の誤差の評価と全体の組み立ては大学の微分積分学の内容です。
- 答案にそのまま使わない:「スターリングの公式より」は証明なしの引用になります。例題3のように、区分求積法や積分によるはさみうちで示しましょう。
- 見当づけ・検算:n! と an や nn のどちらが速く大きくなるか、nn! がどのくらいかなど、答えの見当をつけるのに便利です。
- 入試の背景:難関大の入試では、「logn! を ∫logxdx ではさむ」「nnn! の極限を区分求積で求める」「ウォリス積分の極限を求める」のように、スターリングの公式が背景になっている問題があります。
よくある間違い
![腕でバツを作る合格先生]()
合格先生
「∼」は比が1に近づくという意味だ。差が0に近づくわけではないぞ。
- (en)n だけで近似する:n!÷(en)n は 2πn くらいで、n→∞ で1に近づかず、どんどん大きくなります。2πn を落とすと「∼」は成り立ちません。
- 「∼」を「差が0に近づく」と思う:近づくのは比です。差は、n=10 でも 3628800−3598695.6⋯≒30104 あり、n が大きくなると差はむしろ大きくなります。
- 自然対数と常用対数をまぜる:けた数は log10 で調べます。log10en=log10n−log10e で、log10e=0.4343 を使います。
練習問題
![○の札を持つうかるくん]()
- 大学受験 スターリングの公式を使って、2nCn=(n!)2(2n)! の近似式を求めなさい。また n=10 で値をくらべなさい。
答えと解説を見る
2πn(en)2n4πn(e2n)2n=πn4n。n=10 では 10π410≒187079、真の値 20C10=184756 - 大学受験 50! は何けたか、スターリングの公式で見当をつけなさい(log10e=0.4343、log10(100π)=2.497、log105=0.699 とする)。
答えと解説を見る
21log10(100π)+50(log1050−log10e)=1.249+50(1.699−0.4343)=1.249+63.235=64.48。よって65けた(実際に65けた) - 大学受験 n≥1 のとき n!≥e(en)n を示しなさい。
答えと解説を見る
y=logx は増加関数なので、logk≥∫k−1klogxdx(k≥2)。たして logn!≥∫1nlogxdx=nlogn−n+1。両辺を e の指数にして完成(n=1 は等号)
関連する公式
よくある質問
スターリングの公式とは?
nが大きいとき、n! が √(2πn)×(n/e)^n でよく近似できるという公式です。正確には、この2つの比が1に近づきます。
スターリングの公式はどのくらい正確ですか?
n=10 で、10!=3628800 に対して近似値は約3598696 で、ずれは約0.8%です。nが大きいほど比は1に近づきます。
スターリングの公式はどうやって証明しますか?
log n! を log x の積分ではさんで (n/e)^n が主役だと分かり、台形の評価で n!÷{√n(n/e)^n} が定数Cに近づくことを示し、ウォリス積分を使って C=√(2π) を決めます。
スターリングの公式は入試で使えますか?
高校の範囲外なので、答案では区分求積法や積分によるはさみうちで示し、公式はけた数や極限の見当づけに使うのが安全です。
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出典・参考
- 大学初年級の微分積分学(範囲外の発展内容)
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」数学Ⅲ(積分法)
最終更新:2026年10月11日/作成:大学受験合格大作戦