この公式のポイント
- 積の微分:(fg)′=f′g+fg′(f′g′ ではない)
- 商の微分:(gf)′=g2f′g−fg′(分子は引き算の順番に注意)
- 合成関数:外側を微分×中身の微分 dxdy=dudy⋅dxdu
- 証明は同じものを引いて足す工夫と、変化の倍率のかけ算

うかるくん
積の微分って、それぞれ微分してかけた f′g′ じゃいけないの?
![合格先生]()
合格先生
(x⋅x)′=2x になるから、f′g′ ではだめだ。長方形の面積のふえ方で f′g+fg′ が分かるぞ。
積の微分・商の微分・合成関数の微分の公式
多項式の微分(xn の微分)だけでは、x2sinx や x2+1x、(2x+1)10 のような関数はすぐには微分できません。そこで使うのが次の3つの公式です。数学Ⅲの微分の計算は、ほとんどこの3つの組み合わせでできています。
3つの微分公式
積の微分
{f(x)g(x)}′=f′(x)g(x)+f(x)g′(x)商の微分
{g(x)f(x)}′={g(x)}2f′(x)g(x)−f(x)g′(x),{g(x)1}′=−{g(x)}2g′(x)合成関数の微分(u=g(x) とおく)
{f(g(x))}′=f′(g(x))g′(x),dxdy=dudy⋅dxdu
合成関数の微分:x から u への倍率 g′(x) と、u から y への倍率 f′(u) をかけると、x から y への倍率になる
覚え方は「前を微分して後ろそのまま+前そのままで後ろを微分」(積)、「分子の微分×分母 − 分子×分母の微分、それを分母の2乗で割る」(商)、「外側を微分して、中身の微分をかける」(合成関数)です。
証明(なぜ成り立つか)
どれも微分の定義 f′(x)=h→0limhf(x+h)−f(x) から示せます。f, g は微分できる関数とします。
積の微分の証明
f(x+h)g(x) を引いて足す(同じものを引いて足しても値は変わらない)のがコツです。
hf(x+h)g(x+h)−f(x)g(x)=hf(x+h)g(x+h)−f(x+h)g(x)+f(x+h)g(x)−f(x)g(x)=f(x+h)⋅hg(x+h)−g(x)+hf(x+h)−f(x)⋅g(x)
h→0 とすると、f(x+h)→f(x)(微分できる関数は連続)なので、右辺は f(x)g′(x)+f′(x)g(x) に近づきます。
たて f・よこ g の長方形の面積 fg は、f が Δf、g が Δg ふえると、緑 fΔg・橙 Δfg・赤 ΔfΔg だけふえる。h で割って h→0 とすると赤は0になり、fg′+f′g が残る
商の微分の証明
まず g(x)1 を微分します。
h1{g(x+h)1−g(x)1}=−hg(x+h)−g(x)⋅g(x+h)g(x)1 ⟶ −{g(x)}2g′(x)(h→0)
次に gf=f⋅g1 と見て積の微分を使うと、
(gf)′=f′⋅g1+f⋅(−g2g′)=g2f′g−fg′
合成関数の微分の証明
u=g(x)、y=f(u) とし、x が h ふえたときの u の変化を Δu=g(x+h)−g(x)、y の変化を Δy とします。Δu=0 のとき、
hΔy=ΔuΔy⋅hΔu=Δuf(u+Δu)−f(u)⋅hg(x+h)−g(x)
h→0 のとき Δu→0 なので、1つ目の分数は f′(u)=f′(g(x))、2つ目は g′(x) に近づきます。よって {f(g(x))}′=f′(g(x))g′(x)。
h が0に近いところで Δu=0 となることがある関数では、上の割り算ができません。その場合も、kf(u+k)−f(u)(k=0 のときは f′(u) と決める)という関数を使うと同じ結論が示せます。高校の教科書では上の形で説明されることが多いです。
大学受験(数学Ⅲ)での使い方
大学受験例題1(積の微分)
y=(x2+1)(3x−2) を微分しなさい。
解き方
y′=(x2+1)′(3x−2)+(x2+1)(3x−2)′=2x(3x−2)+3(x2+1)=9x2−4x+3。
(確かめ:展開すると y=3x3−2x2+3x−2 で、微分すると同じ 9x2−4x+3。)
答え y′=9x2−4x+3
大学受験例題2(商の微分)
y=x2+1x を微分しなさい。
解き方
y′=(x2+1)21⋅(x2+1)−x⋅2x=(x2+1)21−x2。
答え y′=(x2+1)21−x2
大学受験例題3(合成関数の微分)
y=x2+1 を微分しなさい。
解き方
u=x2+1 とおくと y=u21。dudy=21u−21、dxdu=2x。
y′=2x2+11⋅2x=x2+1x。
答え y′=x2+1x
合成関数の微分は、sin3x(→3cos3x)、e−x2(→−2xe−x2)、log(x2+1)(→x2+12x)のように、三角関数・指数関数・対数関数と組み合わせて何度も出てきます。積分の置換積分・部分積分は、この公式と積の微分を逆向きに使ったものです。
よくある間違い
![腕でバツを作る合格先生]()
合格先生
{(2x+1)3}′ で中身の微分をかけ忘れるな。×2 して 6(2x+1)2 だ。
- 積の微分を f′g′ とする:(x⋅x)′=2x なのに 1×1=1 になってしまう。正しくは f′g+fg′。
- 商の微分で分子の順番を逆にする:f′g−fg′ の順。逆にすると符号が反対になる。
- 合成関数で中身の微分をかけ忘れる:{(2x+1)3}′=3(2x+1)2 は間違い。×2 を忘れずに 6(2x+1)2。
練習問題
![指さして説明するサクラちゃん]()
サクラちゃん
外側を微分して、中身の微分をかける。これだね。
- 大学受験 y=x2sinx を微分しなさい。
答えと解説を見る
積の微分より y′=2xsinx+x2cosx - 大学受験 y=x+23x−1 を微分しなさい。
答えと解説を見る
y′=(x+2)23(x+2)−(3x−1)⋅1=(x+2)27 - 大学受験 y=cos3x を微分しなさい。
答えと解説を見る
u=cosx とおくと y=u3。y′=3u2⋅(−sinx)=−3sinxcos2x
関連する公式
よくある質問
積の微分の公式は?
(fg)′=f′g+fg′ です。「前を微分して後ろそのまま」+「前そのままで後ろを微分」と覚えます。
商の微分の公式は?
(f/g)′=(f′g−fg′)/g² です。分子は「分子の微分×分母」から「分子×分母の微分」を引く順番です。特に (1/g)′=−g′/g² もよく使います。
合成関数の微分とは?
y=f(g(x)) のように関数の中に関数が入っているとき、外側の関数を微分して中身はそのまま、最後に中身の微分 g′(x) をかける方法です。dy/dx=(dy/du)(du/dx) とも書きます。
何年生で習いますか?
高校の数学Ⅲ(微分法)で学びます。数学Ⅱでは多項式の微分だけを扱います。
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出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」数学Ⅲ(微分法)
最終更新:2026年10月11日/作成:大学受験合格大作戦