この公式のポイント
- [1] n=1 で成り立つ、[2] n=k なら n=k+1 でも成り立つ
- ドミノたおし:最初の1枚と「次々にたおれるしくみ」があれば全部たおれる
- [2] では仮定した式を必ず使う。目標の式を先に書く
- 出発点は1でなくてもよい(n≥5 なら n=5 から)

うかるくん
n=k で成り立つと仮定するって、なんだかずるくない?
![合格先生]()
合格先生
ドミノと同じだ。最初の1枚がたおれ、次々にたおれるしくみがあれば、全部たおれるぞ。
数学的帰納法とは
自然数 n についての命題 P(n) が、すべての自然数で成り立つことを示す証明の方法です。
数学的帰納法の2つのステップ
- [1] n=1 のとき成り立つことを示す。
- [2] n=k のとき成り立つと仮定して、n=k+1 のときも成り立つことを示す。
[1]と[2]から、すべての自然数
n で成り立つ。
最初の1枚がたおれ([1])、どの1枚がたおれても次がたおれる([2])なら、全部たおれる
なぜこれで「すべて」と言えるのか
[1]で
P(1) が正しい。[2]で
k=1 とすると
P(1)⇒P(2) なので
P(2) も正しい。
k=2 とすると
P(3) も正しい……と、どの自然数
n にも有限回でたどりつけます。
逆に、成り立たない自然数があったとして、その中でいちばん小さいものを m とすると、[1]より m≥2、m−1 では成り立つので[2]から m でも成り立ち、矛盾します。だから例外はありません。「自然数は1から1つずつたどれる」という性質そのものが、この証明法の正しさを支えています。
例:Σk² の公式を帰納法で証明する
Σの公式 k=1∑nk2=6n(n+1)(2n+1) を証明します。
[1] n=1:左辺 1、右辺 61⋅2⋅3=1。成り立つ。
[2] n=k で成り立つと仮定する:12+⋯+k2=6k(k+1)(2k+1)。このとき
12+⋯+k2+(k+1)2=6k(k+1)(2k+1)+(k+1)2=6(k+1){k(2k+1)+6(k+1)}=6(k+1)(2k2+7k+6)=6(k+1)(k+2)(2k+3)
これは右辺の n に k+1 を入れたもの 6(k+1){(k+1)+1}{2(k+1)+1} と一致。よって n=k+1 でも成り立つ。[1][2]より、すべての自然数で成り立ちます。
ポイントは、[2]で仮定した式を必ず使うこと。そして目標の形(k を k+1 にした式)を先に書いておくと、変形の方向がはっきりします。
大学受験(数学B)での使い方
大学受験例題1(整数の性質)
すべての自然数
n について、
n3+2n は3の倍数であることを証明しなさい。
解き方
[1]
n=1:
3 は3の倍数。[2]
k3+2k=3m(
m は整数)と仮定。
(k+1)3+2(k+1)=k3+3k2+3k+1+2k+2=(k3+2k)+3(k2+k+1)=3(m+k2+k+1)。3の倍数。
答え (証明のとおり)
大学受験例題2(不等式)
n≥5 のとき
2n>n2 を証明しなさい。
解き方
[1]
n=5:
32>25。[2]
k≥5 で
2k>k2 と仮定。
2k+1=2⋅2k>2k2。ここで
2k2−(k+1)2=k2−2k−1=(k−1)2−2>0(
k≥5)なので
2k2>(k+1)2。よって
2k+1>(k+1)2。
答え (証明のとおり)
例題2のように、出発点は1とは限りません。「n=5 で成り立つ」から始めれば、n≥5 のすべてで成り立ちます(n=4 では 16=16 で等号)。
例題2の 2n と n2。n=3 では 8<9 と逆転しているが、n=5 からは 2n>n2 がずっと続く(出発点は n=5)
よくある間違い
![腕でバツを作る合格先生]()
合格先生
[2]で仮定した式を使わないのは×だ。使わずに示せるなら、帰納法はいらないぞ。
- [1]を省略する:出発点がないと、ドミノは1枚もたおれない。
- [2]で仮定を使わない:使わずに示せるなら、帰納法は必要ない。
- 結論の文を書かない:最後に「[1][2]より、すべての自然数 n について成り立つ」と書く。
練習問題
- 大学受験 1+3+5+⋯+(2n−1)=n2 を数学的帰納法で証明しなさい。
答えと解説を見る
[1] n=1:1=1。[2] k2+(2k+1)=(k+1)2 なので n=k+1 でも成り立つ。 - 大学受験 すべての自然数 n で 4n−1 は3の倍数であることを証明しなさい。
答えと解説を見る
[1] 4−1=3。[2] 4k−1=3m と仮定すると 4k+1−1=4(3m+1)−1=12m+3=3(4m+1)。
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よくある質問
数学的帰納法とは?
n=1 で成り立つことと、n=k で成り立つと仮定すると n=k+1 でも成り立つことを示して、すべての自然数で命題が成り立つことを証明する方法です。
なぜ数学的帰納法で証明できるのですか?
n=1 から始めて、1つずつ次の自然数へ成り立つことをつなげられるので、どの自然数にも有限回でたどりつけるからです。ドミノたおしにたとえられます。
数学的帰納法の書き方のコツは?
n=k+1 のときの目標の式を先に書き、仮定した n=k の式を必ず使って変形します。最後に「[1][2]より、すべての自然数で成り立つ」と結論を書きます。
数学的帰納法は何年生で習いますか?
高校の数学B「数列」で習います。
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出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」数学B(数列)
最終更新:2026年10月11日/作成:大学受験合格大作戦