ホイヘンスは何をした人?業績・生涯・名言をわかりやすく|振り子時計・確率の本・サイクロイド・光の波動説

ホイヘンスは何をした人?業績・生涯・名言をわかりやすく|振り子時計・確率の本・サイクロイド・光の波動説

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ホイヘンスChristiaan Huygens

ひとことで言うと

振り子時計を実用化し、確率の最初の本を書いたオランダの天才。土星の環と光の波動説でも有名。

名前クリスティアーン・ホイヘンス(Christiaan Huygens)
生没年1629年4月14日〜1695年7月8日(66歳)
国オランダ(ハーグ生まれ)
分野確率・物理・天文学・幾何学
主な業績振り子時計(1656〜57年)、確率の最初の本(1657年)、サイクロイドの等時性(1673年)、土星の環の発見(1656年)、光の波動説
名前がつくものホイヘンスの原理、ホイヘンスの接眼レンズ、ホイヘンス・シュタイナーの定理
よばれ方17世紀の万能の天才。パリ科学アカデミーの中心人物。ライプニッツの数学の先生

このページのポイント

  • 振り子時計を実用化し、サイクロイドの等時性を証明した
  • 1657年に確率の最初の本を書き、期待値の考え方を示した
  • 土星の環を見ぬき、光は波と考えた(ホイヘンスの原理)

ホイヘンスは何をした人?(業績をひとことで)

クリスティアーン・ホイヘンス(1629〜1695年)は、オランダの数学者・物理学者・天文学者です。振り子時計を実用化した人として最も有名で、確率の最初の本を書いた人、土星の環の正体を見ぬいた人、光は波だと考えた人でもあります。数学・物理・天文・時計づくりの全部で一流の仕事を残した、17世紀の天才です。

高校の数学とのつながりは、とても大きいです。ホイヘンスが1657年に書いた『さいころ遊びの計算について』は、確率と期待値(期待値の求め方)の考え方を、はじめて本にまとめました。また、振り子時計の研究の中で調べたサイクロイド(円を転がしてできる曲線)は、数学Ⅲの媒介変数表示の定番の題材です。

ホイヘンスは、ニュートンより約14歳年上で、ライプニッツの先生でもありました。パスカルとフェルマーが手紙で始めた確率の研究を、本の形にまとめたのがホイヘンスです。

振り子:1往復の時間は長さで決まる長さ LT = 2π√(L/g)Lが4倍になると、Tは2倍になる(振れ幅が小さいときの近似。gは重力加速度)
振り子の1往復の時間は、長さで決まる。この性質を使ったのが振り子時計
クリスティアーン・ホイヘンスの肖像画
ホイヘンスの肖像画(1671年、オランダの画家カスパール・ネッチェル作)画像:Caspar Netscher/Wikimedia Commons(パブリックドメイン)

このページでは、ホイヘンスの生涯、振り子時計とサイクロイド、確率の本、土星と光の研究、そして受験とのつながりを、図を見ながら説明します。

うかるくん

うかるくん

振り子時計と確率って、全然ちがう分野ですよね? 同じ人が両方やったんですか?

合格先生

合格先生

そうなんだ。ホイヘンスは「ものごとを正確に数える・はかる」のがとても得意な人だった。時計は時間を正確にはかる道具、確率は運の大きさを正確に数える方法。どちらも「はかる」数学なんだね。

ホイヘンスの生涯と年表

外交官で詩人の父のもとに生まれる

ホイヘンスは1629年4月14日、オランダのハーグで生まれました。父コンスタンテインは、オランダ総督(オラニエ家)に仕える外交官で、詩人・作曲家としても有名な人でした。父は、フランスの哲学者デカルトとも友人でした。クリスティアーンは16歳まで家庭教師から学び、幾何学、機械の模型づくり、リュート(弦楽器)を身につけました。

ライデン大学・ブレダで学ぶ

1645年から2年間、ライデン大学で法学と数学を学びました。数学の先生は、デカルトの幾何学を広めたファン・スホーテンでした。その後1647年から2年間、ブレダの学校でも学んでいます。大学を出たあとは職につかず、父の支援を受けて、自由に研究をつづけました。

1655〜1657年:発見が続いた驚異の3年間

1655年にはじめて土星の衛星(のちにタイタンと名づけられた)を見つけ、1656年には土星の環の正体を見ぬきました。同じ1656年に振り子時計を考え出し、翌1657年には確率の本を書き、1657年ごろに時計の特許もとっています(特許の年は、資料により1656年とするものもあります)。

パリ科学アカデミーの中心人物に

1663年にイギリスの王立協会の会員になり、1666年には、フランス王ルイ14世の大臣コルベールに招かれて、新しくつくられたパリの王立科学アカデミーに入りました。パリでは、若いライプニッツ(1672年から)に数学を教えました。1673年には、主著『振り子時計(Horologium Oscillatorium)』を出版しています。

晩年:ハーグで、光の本と宇宙人の本

体の弱いホイヘンスは、1681年にパリを離れてハーグに帰り、その後は研究と著作に打ちこみました。1690年には光の波動説をまとめた『光についての論考』を出版し、1689年にはロンドンを訪れてニュートンに会っています。1695年7月8日、ハーグで亡くなりました。66歳でした。死後の1698年に、宇宙にいる生命について考えた『コスモテオロス』が出版されました。

年できごと
1629年4月14日、オランダのハーグで生まれる
1645年ライデン大学で法学・数学を学びはじめる
1655年土星の衛星(タイタン)を発見
1656年土星の環の正体を見ぬく。振り子時計を考え出し、特許をとる(1657年とする資料もある)
1657年『さいころ遊びの計算について』(確率の最初の本)
1659年『土星の体系』を出版
1663年イギリス王立協会の会員になる
1666年パリの王立科学アカデミーに招かれる
1673年主著『振り子時計』を出版(サイクロイドの等時性など)
1690年『光についての論考』を出版(光の波動説、1678年に完成)
1695年7月8日、ハーグで亡くなる(66歳)
1698年死後に『コスモテオロス』が出版される

ホイヘンスの主な業績をやさしく解説

業績1 振り子時計(正確な時計の発明)

それまでの時計は、1日に十数分もずれるほど不正確でした。ホイヘンスは、ガリレオが発見した「振り子は、振れ幅が小さいと、1往復の時間がほぼ同じ」という性質を利用して、振り子で歯車の動きを調整する時計を作りました。これで、誤差は1日に1分ほどにまで小さくなったとされます(のちには十数秒まで小さくなったとも伝えられます)。

振り子の1往復の時間(周期)TT は、振れ幅が小さいとき、長さ LL と重力加速度 gg で T=2πLgT=2\pi\sqrt{\dfrac{L}{g}} と書けます。ホイヘンスは、この関係を、「振り子の周期は、長さ LL の半分の高さを落ちる時間のおよそ 2π2\pi 倍」などの形で、幾何学の言葉を使って示した、とされます。LL が4倍になると TT は2倍になる、ということです。

この周期の式は、高校物理でも習います(周期の意味の意味もチェック)。なお、「sin⁡θ≈θ\sin\theta\approx\theta」という近似を使うのがポイントで、このくわしい意味はマクローリンの展開のページで見ることができます。

業績2 サイクロイドと等時性

ホイヘンスは、振り子の振れ幅が大きいと周期が少し変わることに気づき、「どこから放しても、同じ時間で底に着く曲線」を探しました。答えがサイクロイドでした。円を直線の上で転がしたとき、円周上の1点がえがく曲線です。1673年の『振り子時計』で、この等時性(どこから始めても同じ時間)を証明しました。

サイクロイド:どこから放しても同時に底へ底緑金青の玉は、同時に底に着くx=r(θ−sinθ)、y=r(1−cosθ)1つの円を転がして、円周上の1点がえがく曲線1つのアーチの長さは 8r、面積は 3πr²
サイクロイドを谷の形に置くと、どの高さから放した玉も同時に底に着く

サイクロイドの媒介変数表示は、円の半径を rr として次の式です。

x=r(θ−sin⁡θ),y=r(1−cos⁡θ)x=r(\theta-\sin\theta),\qquad y=r(1-\cos\theta)

θ\theta が 00 から 2π2\pi まで動くと、1つのアーチができます。そのアーチの長さは 8r8r、下の面積は 3πr23\pi r^2(もとの円の面積の3倍)です。これらは数学Ⅲの積分の定番問題で、媒介変数表示の長さと面積で確かめられます。ホイヘンスは、サイクロイドの形をした板を振り子の糸の両側に置き、糸が板にそって曲がるようにして、振れ幅によらず周期が一定になる振り子(サイクロイド振り子)を設計しました。

このとき、ホイヘンスは伸開線(糸をほどくときにえがく曲線)の考え方も作りました。サイクロイドの伸開線がまたサイクロイドになる、という性質も示しています。のちのベルヌーイ兄弟たちが「最速降下線(最短時間で降りる曲線)」を調べ、答えがやはりサイクロイドだと分かったとき、等時性の発見が大きな手がかりになりました。

業績3 確率の最初の本『さいころ遊びの計算について』

1654年、パスカルとフェルマーは、賭けごとの問題について手紙のやりとりをして、確率の考え方の土台を作りました。1655年にパリを訪れたホイヘンスは、この話を聞いて自分でも問題を解き、1657年に確率について印刷された最初の本とされる『さいころ遊びの計算について(De ratiociniis in ludo aleae)』を書きました。

この本の中心は期待値です。ホイヘンスは、「pp 通りの確率でもらえる aa と、qq 通りでもらえる bb が同じ起こりやすさなら、この賭けの価値は pa+qbp+q\dfrac{pa+qb}{p+q} である」と書きました。これは、いまの期待値の式そのものです。→ 期待値の意味

中断した賭けの分け方(点数問題)

この本に出る有名な問題が、点数問題です。「AとBが、先に3点とったほうが賞金をもらえるゲームをしている。Aが2点、Bが1点のところで中断した。賞金をどう分けるのが公平か」。Aはあと1点、Bはあと2点で勝ちです。もし続けたら、Aが勝つ確率は 34\dfrac34、Bが勝つ確率は 14\dfrac14 なので、賞金は 3:1 に分けるのが公平、というのがホイヘンスの考え方です。

賞金の分け方(点数問題)Aあと1点・Bあと2点A勝ち 1/2B勝ち 1/2Aの勝ちあと1点ずつA 1/2B 1/2Aの勝ちBの勝ちAの勝ち:1/2+1/4=3/4 Bの勝ち:1/4賞金は A:B = 3:1 に分ける
あと1点のAと、あと2点のB。次の勝負でAが勝つ確率は1/2、その後も考えると、Aが勝つ確率は3/4

勝った点数の割合ではなく、これから起こりうる場合の確率で考える、というのが新しい発想でした。くわしくは確率の基本と余事象や反復試行の確率で確かめましょう。この本は、50年近く確率の教科書として使われ、ヤコブ・ベルヌーイの『推測術』(1713年)にも付録として収められたと伝えられます。

業績4 土星の環と衛星タイタン

1655年、ホイヘンスは自作の望遠鏡で、土星のそばにある小さな星を見つけました。これが土星最大の衛星タイタンです。1656年には、ガリレオが「耳のような出っぱり」としか見られなかった土星の両側のものが、うすくて平らな環が、本体にふれずにとりまいているものだと見ぬきました。

土星の環(1656年)土星環うすくて平らな環が、本体にふれずにとりまく環のかたむきで、見え方が年ごとに変わる1655年には衛星タイタンも発見
土星をとりまく、うすくて平らな環。環のかたむきで、見え方が変わる

ホイヘンスは、環が見えかたを変える理由も、環のかたむきで説明しました。1659年の『土星の体系』にまとめたこの発見は、望遠鏡を使った観測と、数学的な説明がむすびついた成果です。

業績5 光の波動説とホイヘンスの原理

ニュートンは、光を小さな粒の流れだと考えていました。これに対してホイヘンスは、光は波であると考えました。1678年にパリの科学アカデミーで発表し、のちに『光についての論考』(1690年出版)にまとめました。

ホイヘンスの原理(光は波)いまの波面← 次の波面波面の各点が新しい波の出発点になる
波面上の各点が新しい波の出発点となり、その包絡線が次の波面になる

これがホイヘンスの原理です。「波面の1つ1つの点が、新しい波(素元波)の出発点になり、それらの波にともに接する面が、次の波面になる」という考え方で、光や音や水の波の進み方、反射と屈折の法則を説明できます。高校物理の「波動」で必ず習います。また、方解石で光が二重に見える現象(複屈折)も、この原理で説明しようとしました。20世紀になると、光は波でも粒でもある、と分かります。

業績6 力学の研究(遠心力・衝突・ひげぜんまい)

ホイヘンスは、円運動する物体にはたらく遠心力の式(円運動の加速度 v2r\dfrac{v^2}{r})をはじめて求めたとされます。また、物体どうしの衝突でも、運動量が保たれることを、実験で確かめました。1675年ごろには、携帯できる時計のためのひげぜんまい(渦巻き状のばね)も考え出したとされます。この発明の先取権をめぐっては、ロバート・フックとの争いがありました。

ホイヘンスの名前がつく公式・定理・用語

  • ホイヘンスの原理:波面の各点から素元波が出て、その包絡線が次の波面になる。(物理)
  • サイクロイドの等時性:x=r(θ−sin⁡θ)x=r(\theta-\sin\theta)、y=r(1−cos⁡θ)y=r(1-\cos\theta) の谷では、どこから放しても同じ時間で底に着く。→ 媒介変数表示
  • 期待値の考え方:確率の本で、はじめて期待値(「運の価値」)を計算の中心にすえた。→ 期待値の求め方
  • 点数問題:中断した賭けの賞金を公平に分ける問題。→ 確率の基本
  • ホイヘンスの接眼レンズ:2枚のレンズでできた望遠鏡の接眼レンズ。
  • ホイヘンス・シュタイナーの定理(平行軸の定理):物体の慣性モーメントを、重心の軸から平行な軸へ移す公式。大学の力学で習う。
  • 関連する用語:→ 確率の意味、周期の意味
「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

サイクロイドは、長さが 8r・面積が 3πr²。数学Ⅲの積分で必ず出るから、導き方ごと覚えておこう。

ホイヘンスの逸話と名言

「父がいたから天才になれた」?

父コンスタンテインは、息子の教育に熱心でした。デカルトをはじめ、当時の一流の学者を自宅に招いたので、クリスティアーンは幼いころから一流の頭脳に囲まれていた、とされます。父は、息子が才能にめぐまれていることをはやくから見ぬいていたと伝えられます。

ウォリスの積を疑った

ウォリスが円周率を無限の積で表す式を発表したとき、ホイヘンスは最初、この式を疑ったと伝えられています。ところが実際に近似値を計算してみて、π\pi に近づくことを確かめ、のちに価値を認めたとされます。疑ったうえで自分で計算して確かめる、というのは、科学者の大切な態度です。

ニュートンの万有引力は「ばかげている」

ホイヘンスは、ニュートンの万有引力の理論について、「何もない空間をへだてて力がはたらく」という点に強い疑問を持ち、「私にはばかげていると思われる」と書いた、とされます(ニュートンの数学的な力量は高く評価していました)。当時のヨーロッパ大陸の学者には、見えない力で遠くの物体が引き合うという考えに、なじめない人が多かったのです。

宇宙人のことを考えた最初の科学者の一人

死後に出版された『コスモテオロス』で、ホイヘンスは、地球以外の惑星にも生物がいるかもしれないと論じました。当時としてはとても自由な発想で、宇宙における生命を科学的に考えた、最初期の本のひとつとされます。

ライプニッツの先生

1672年にパリを訪れた若いライプニッツは、ホイヘンスに数学を教わりました。ホイヘンスは、ライプニッツに、パスカルの本を読むようすすめたと伝えられます。この学びが、のちのライプニッツによる微積分の発見につながったとされます。

名言について

「世界は我が祖国、科学は我が宗教」という言葉が、ホイヘンスの言葉として紹介されることがありますが、本人が書いた確かな出典は確かめられていません。そのため、このページでは本人の言葉としては載せません。ただし、オランダに生まれながらフランスに招かれ、イギリスの学会にも属して、国をこえた研究者のネットワークの中心にいたホイヘンスの人生を、よく表した言葉として語り継がれています。

サクラちゃん

サクラちゃん

サイクロイドって、受験ではどんな問題が出るんですか?

合格先生

合格先生

媒介変数で表された曲線の長さや面積が定番だよ。θ で積分するとき、1−cosθ=2sin²(θ/2) を使って、ルートを外すのがポイントなんだ。長さが 8r になる計算を、一度自分でやってみてごらん。

受験・勉強とホイヘンスのつながり

大学受験:数学Ⅲのサイクロイド

入試でホイヘンスの名前は出ませんが、ホイヘンスが研究したサイクロイドは、数学Ⅲの媒介変数表示された曲線の定番です。出題されやすいのは、次の3つです。

  • グラフの概形:θ\theta で微分して、増減とカスプ(とがった点)を調べる。
  • 曲線の長さ:∫(dxdθ)2+(dydθ)2 dθ\displaystyle\int\sqrt{\left(\dfrac{dx}{d\theta}\right)^2+\left(\dfrac{dy}{d\theta}\right)^2}\,d\theta を計算し、8r8r を出す。
  • 面積・回転体の体積:アーチと xx 軸ではさまれた面積 3πr23\pi r^2 を、置換積分(置換積分・部分積分)で求める。

曲線の長さの考え方は媒介変数表示の項目に、面積は定積分と面積にあります。

高校物理:振り子とホイヘンスの原理

高校物理では、単振り子の周期 T=2πL/gT=2\pi\sqrt{L/g} が必ず出ます。「おもりを重くしても周期は同じ」「糸を4倍にすると周期は2倍」という、ホイヘンスの研究の中心にあった内容です。また、波動の分野ではホイヘンスの原理で、反射・屈折・回折(かいせつ。障害物のうしろに波が回りこむ現象)を説明します。

確率:期待値と点数問題

高校数学Aの確率、数学Bの期待値は、ホイヘンスの本が土台です。「くじの当たりの期待値」「ゲームの得点の期待値」を求める問題は、ホイヘンスの考えと同じ形です。さらに、さいころ2個の確率(36通りの表)や条件付き確率と乗法定理を学ぶと、点数問題のような「途中までの結果を使う問題」も解けます。有名な確率の話題はモンティ・ホール問題をわかりやすくもどうぞ。

中学受験:場合の数と「公平に分ける」

中学受験の「場合の数」では、「公平に分ける」「勝つ組み合わせを数える」という考え方が出てきます。点数問題は、その大人版です。「Aがあと1点、Bがあと2点」なら、次の2回の勝負(最大)の全パターンを書き出して、Aが勝つ場合の数を数える方法で解けます。

勉強法として:「実験してから証明する」

ホイヘンスは、実験で確かめてから理論を作る人でした。受験の数学や物理でも、先に具体的な数や小さな場合で試してから一般の式にする、という進め方が役立ちます。勉強の進め方は数学の勉強法(解法の暗記→演習→過去問)で、難関大の出題は京大理系数学の出題分析で確かめてください。

ホイヘンスがその後の数学にあたえた影響

  • 確率論:ホイヘンスの本は、ヤコブ・ベルヌーイの『推測術』や、ド・モアブルの『偶然の理論』に引きつがれ、確率論が数学の一分野として育つ土台になりました。
  • 微積分:サイクロイドや伸開線の研究は、ライプニッツの微積分につながりました。曲線の長さ・曲率の考え方の先がけです。
  • 期待値と効用:期待値の考え方は、のちにダニエル・ベルヌーイの期待効用や、保険・金融の考え方につながっています。
  • 物理学:光の波動説、遠心力、衝突の法則は、力学と光学の土台になりました。
  • 時計・航海:正確な時計は、船の位置をはかる航海術(経度の測定)を変えました。
  • 天文学:土星の研究は、観測と理論をむすぶ現代天文学のお手本になりました。

数学の公式は算数・数学の公式一覧(公式辞典)、用語は数学用語辞典(用語の意味を1語1ページ)の一覧もどうぞ。

ホイヘンスに挑戦!練習問題

やさしい

  1. 長さ 1 m の単振り子の周期を、T=2πL/gT=2\pi\sqrt{L/g}(g=9.8 m/s2g=9.8\ \mathrm{m/s^2})で求めなさい。また、長さを 4 m にすると周期は何倍になりますか。
    答えと解説を見るT=2π1/9.8≈T=2\pi\sqrt{1/9.8}\approx 約2.0秒。長さが4倍だと 4=2\sqrt4=2 より、周期は2倍(約4.0秒)。
  2. 1つのさいころを1回投げて、出た目の数の円をもらえるゲームの期待値を求めなさい。
    答えと解説を見る1+2+3+4+5+66=216=\dfrac{1+2+3+4+5+6}{6}=\dfrac{21}6= 3.5円。

ふつう

  1. 先に3点とったほうが賞金をもらえるゲームで、Aが2点、Bが1点のところで中断しました。2人の実力が同じとき、賞金をA:Bの比でどう分けるのが公平ですか。
    答えと解説を見るAはあと1点、Bはあと2点。続けるとBが勝つのは、Bが次の2回に連続で勝つとき(確率 12⋅12=14\dfrac12\cdot\dfrac12=\dfrac14)だけ。Aの勝ちは 34\dfrac34。よって A:B=3:1。
  2. サイクロイド x=r(θ−sin⁡θ)x=r(\theta-\sin\theta)、y=r(1−cos⁡θ)y=r(1-\cos\theta) (0≦θ≦2π)(0\leqq\theta\leqq2\pi) の長さを求めなさい。
    答えと解説を見るdxdθ=r(1−cos⁡θ)\dfrac{dx}{d\theta}=r(1-\cos\theta)、dydθ=rsin⁡θ\dfrac{dy}{d\theta}=r\sin\theta。(⋯ )2+(⋯ )2=r2−2cos⁡θ=2rsin⁡θ2\sqrt{(\cdots)^2+(\cdots)^2}=r\sqrt{2-2\cos\theta}=2r\sin\dfrac\theta2。∫02π2rsin⁡θ2 dθ=2r[−2cos⁡θ2]02π=2r⋅4=\int_0^{2\pi}2r\sin\dfrac\theta2\,d\theta=2r\left[-2\cos\dfrac\theta2\right]_0^{2\pi}=2r\cdot4= 8r8r。

むずかしい

  1. AとBが交互に2個のさいころを投げ、Aは目の和が6、Bは目の和が7が出たら勝ちとします。Aから始めるとき、Aが勝つ確率を求めなさい。
    答えと解説を見る1回で和が6になる確率は 536\dfrac5{36}、7になる確率は 636\dfrac6{36}。Aが勝つ確率を aa とすると、Aが外し(3136\dfrac{31}{36})、Bも外し(3036\dfrac{30}{36})たら元にもどるので a=536+3136⋅3036aa=\dfrac5{36}+\dfrac{31}{36}\cdot\dfrac{30}{36}a。これを解いて a=5/361−930/1296=180366=a=\dfrac{5/36}{1-930/1296}=\dfrac{180}{366}= 3061\dfrac{30}{61}。
  2. Aは2枚、Bは1枚のコインを持っています。1回ごとに公平な勝負をして、負けたほうが勝ったほうに1枚わたし、どちらかのコインがなくなるまで続けます。Aが全部のコインを手に入れる確率を求めなさい。
    答えと解説を見るAの持ち枚数が kk のとき、全部手に入れる確率を pkp_k とする。p0=0p_0=0、p3=1p_3=1、pk=12pk−1+12pk+1p_k=\dfrac12p_{k-1}+\dfrac12p_{k+1}。pkp_k は kk に比例するので、pk=k3p_k=\dfrac k3。k=2k=2 より 23\dfrac23。(持ち枚数の比と一致)

ホイヘンスと関係する数学者

16〜17世紀の数学者

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有名な数学者一覧(年代順・国別・分野別)で、ほかの数学者も見られます。数学者たちが挑んだ問題は数学の難問・未解決問題の一覧にまとめています。

読みもの(合格大作戦の数学の記事)

よくある質問

ホイヘンスは何をした人ですか?

クリスティアーン・ホイヘンスは、17世紀のオランダの数学者・物理学者・天文学者です。振り子時計を実用化し、確率についての最初の印刷された本を書き、土星の環の正体を見ぬき、光の波動説を唱えたことで知られます。

ホイヘンスの原理とは何ですか?

波面の1つ1つの点が新しい波(素元波)の出発点になり、それらの波にともに接する面が、次の波面になるという考え方です。光や音、水の波の進み方や、反射・屈折の法則を説明できます。高校物理の波動で習います。

ホイヘンスの確率の本とは何ですか?

1657年の『さいころ遊びの計算について』です。確率の考え方を整理した、印刷された最初の本とされます。期待値の考え方を使い、中断した賭けの賞金を公平に分ける点数問題などを解いています。

サイクロイドとは何ですか?ホイヘンスとの関係は?

円を直線の上で転がしたとき、円周上の1点がえがく曲線です。ホイヘンスは1673年の『振り子時計』で、サイクロイドの谷では、どこから玉を放しても同じ時間で底に着く(等時性)ことを証明しました。

振り子時計はどうして正確なのですか?

振り子は、振れ幅が小さいとき、1往復の時間(周期)が振れ幅によらず、長さだけで決まるからです。周期は T=2π√(L/g) で表されます。ホイヘンスはこの性質を使って、時計の歯車の動きを調整する仕組みを作りました。

ホイヘンスは土星について何を発見しましたか?

1655年に土星の衛星タイタンを見つけ、1656年に、土星の両側のふくらみの正体が、うすくて平らな環だと見ぬきました。環が本体にふれていないことも示し、1659年の『土星の体系』にまとめました。

ホイヘンスとニュートンはどんな関係でしたか?

ホイヘンスは、ニュートンより約14歳年上です。ニュートンが光を粒の流れと考えたのに対し、ホイヘンスは光を波と考えて対立しました。1689年にロンドンで会ったとされます。ホイヘンスは、ニュートンの万有引力の考え方には疑問を持っていました。

ホイヘンスは何歳で亡くなりましたか?

1695年7月8日に、生まれ故郷のハーグで、66歳で亡くなりました。死後の1698年に、宇宙の生命を論じた『コスモテオロス』が出版されました。

ホイヘンスの業績は受験に出ますか?

ホイヘンスの名前は出なくても、数学Ⅲのサイクロイド(媒介変数表示の曲線の長さ・面積)、数学A・Bの確率と期待値、高校物理の単振り子の周期とホイヘンスの原理は、どれもホイヘンスの研究が土台になっています。

あわせて読みたい

出典・参考

  • J. J. O’Connor, E. F. Robertson, “Christiaan Huygens”, MacTutor History of Mathematics Archive(St Andrews 大学)
  • C. Huygens, “De ratiociniis in ludo aleae”(1657年)、“Horologium Oscillatorium”(1673年)、“Traité de la lumière”(1690年)
  • 肖像画:Caspar Netscher「Christiaan Huygens, the astronomer」(1671年)、Wikimedia Commons(パブリックドメイン)

最終更新:2026年11月2日/作成:大学受験合格大作戦