合格大作戦 数学用語辞典 › 微分・積分
大学受験
数列の極限とは
数列 {an} の番号 n を限りなく大きくしたとき、an が限りなく近づく値のことです。n→∞liman=α と書き、「α に収束する」といいます。n→∞limn1=0 です。
読み方:すうれつのきょくげん/英語:limit of a sequence/習う学年:数学Ⅲ(極限)

うかるくん
n+12n+1 で n を ∞ にすると、∞∞ で 1 になりませんか?
![合格先生]()
合格先生
∞∞ は不定形といって、そのままでは決まらないんだ。分母・分子を n でわると 1+n12+n1 になって、極限は 2 だよ。
この用語のポイント
- n→∞liman=α:n を大きくすると an が α に限りなく近づく
- ∞∞ は最高次でわる、∞−∞ は有理化・くくる
- ゆれる数列ははさみうちの原理。不定形のまま答えない
やさしく言うと
数列の極限は、数列の番号 n をどこまでも大きくしたとき、項 an がどんな値に近づいていくかを表すものです。
- ケーキを半分ずつ:1 本のロールケーキを、毎回「残りの半分」ずつ食べます。残りは 1, 21, 41, 81, … と小さくなり、0 に限りなく近づきます。でも、ちょうど 0 になる回はありません。
- 0.9, 0.99, 0.999, …:9 を 1 つずつふやしていくと、1 にいくらでも近づきます。この数列の極限は 1 です。0.999⋯=1 といえるのは、このためです。
- ボールのバウンド:はずむたびに高さが前の半分になるボールなら、高さは 0 に近づきます。
まとめると、数列の極限は「ずっと先まで行ったとき、行き着く先の値」です。数列 {an} が値 α に限りなく近づくとき、
n→∞liman=αと書き、「{an} は α に収束する」といいます。α を極限値といいます。
残りは半分ずつへって 0 に近づく。極限は 0![指さして説明するうかるくん]()
うかるくん
極限は「ちょうどその値になる」ではなく「限りなく近づく」。ここがポイントだ!
収束する数列と、収束しない数列
○ 収束する
- n1:1, 21, 31, …→0
- (21)n→0
- n+12n+1→2
- 1−10n1:0.9, 0.99, …→1
- n(−1)n→0(+と−を行き来しても 0 に近づく)
- 5, 5, 5, …→5(定数の数列も収束)
× 収束しない(発散する)
- n2:どこまでも大きくなる(正の無限大に発散)
- −2n:どこまでも小さくなる(負の無限大に発散)
- (−1)n:−1, 1, −1, …(振動して発散)
- 2n:2, 4, 8, …(正の無限大に発散)
- (−2)n:−2, 4, −8, …(振動して発散)
収束しない数列は発散するといいます。発散には、「正の無限大に発散」「負の無限大に発散」「振動(どれにもあてはまらない)」の 3 つがあります。くわしい分類と rn の極限は収束と発散のページで説明しています。このページでは、極限の求め方を中心に説明します。
図で見る
数列 an=n+12n+1 の点を、n=1 から 20 までかいてみます。
aₙ=(2n+1)/(n+1) は 2 に近づく。いつか帯の中に入って出なくなる![サクラちゃん]()
サクラちゃん
「限りなく近づく」って、どれくらい近づけばいいんですか? 1.99 くらいで十分ですか?
![合格先生]()
合格先生
いい質問だね。「2 のまわりにどんなに細い帯を作っても、ある番号から先はずっと帯の中にいる」ことが、限りなく近づくという意味なんだ。この数列なら ∣an−2∣=n+11 だから、帯のはばが 0.1 なら n≥10、0.001 なら n≥1000 で入りっぱなしになるよ。
この「どんな細い帯でも、いつか入りっぱなしになる」という考え方は、大学の数学でε-N 論法(イプシロン・エヌ論法)という正確な言葉で表されます。高校では「限りなく近づく」という言い方で考えます。
極限の求め方
まず、次の基本を使います。
収束する数列どうしなら、和・差・積・商(分母の極限が 0 でないとき)の極限は、それぞれの極限の和・差・積・商になります。むずかしいのは、そのままでは決まらない不定形のときです。
∞−∞ の形でも、0 に行くものも 1/2 に行くものもある「∞ − ∞ だから 0」「∞∞ だから 1」とはいえません。どちらがどれだけ速く大きくなるかで、結果がかわるからです。だから式を変形して、不定形でない形に直してから極限をとります。
はさみうちの原理
すべての n で bn≤an≤cn が成り立ち、n→∞limbn=n→∞limcn=α ならば、n→∞liman=α です。これをはさみうちの原理といいます。上と下から同じ値にはさまれたら、間にあるものもその値に行くしかない、という考え方です。
(−1)ⁿ/n は ±1/n にはさまれて 0 へn(−1)n は+と−を行き来しますが、−n1≤n(−1)n≤n1 で、両はしが 0 に近づくので、極限は 0 です。sinn や cosn がふくまれる数列でも、−1≤sinn≤1 を使ってはさみうちにすることがよくあります。
数列の極限は、無限に続く数をたした無限級数(たとえば 21+41+81+⋯=1)の考え方の土台にもなります。
テスト・入試ではこう出る
数列の極限は高校の数学Ⅲ(極限)で習います。テストや大学入試では、分数式の極限(最高次でわる)、ルートをふくむ極限(有理化)、rn をふくむ極限(r の値で場合分け)、はさみうちの原理、漸化式で決まる数列の極限、無限級数の和がよく出ます。
例題1(∞/∞ の形)
極限 n→∞limn2+23n2−n を求めなさい。
- 分母と分子の最高次は n2。分母・分子を n2 でわる:n2+23n2−n=1+n223−n1
- n→∞ のとき n1→0、n22→0。
- よって 1+03−0=3。
答え 3(∞∞ のままでは答えにならない。わってから極限をとる)
例題2(∞−∞ の形)
極限 n→∞lim(n2+n−n) を求めなさい。
- このままでは ∞−∞ の形なので、分子の有理化をする:n2+n−n=n2+n+n(n2+n−n)(n2+n+n)=n2+n+nn
- 分母・分子を n でわる(n>0 なので nn2+n=1+n1):1+n1+11
- n→∞ で 1+11=21。
答え 21(「∞−∞=0」とはならない)
![本で説明するサクラちゃん]()
サクラちゃん
不定形が出たら「わる」か「有理化」か「はさむ」。どの道具を使うか考えるのね!
まちがえやすい点
![腕でバツを作る合格先生]()
合格先生
∞−∞ は 0 ではない! 不定形は式を変形してから極限をとろう。
- 不定形のまま答える:∞∞ や ∞−∞ は答えではありません。「∞−∞=0」「∞∞=1」とするのはまちがいです。式を変形してから極限をとります。
- 「近づく」を「等しくなる」と思う:n1 はどの n でも 0 ではありませんが、極限は 0 です。極限値は、数列の項の中に出てこなくてもかまいません。
- (−1)n を収束すると思う:−1, 1, −1, 1, … は、どちらの値にも近づかないので振動して発散します。「−1 と 1 の平均の 0 に収束」ではありません。
- 分母の最高次以外でわる:n2+3n+1 を n でわると n+n31+n1 となり、分母にまだ n が残ります。分母の最高次 n2 でわると、すっきり 0 とわかります。
- ルートの中を n でわるときのミス:nn2+n=n2n2+n=1+n1 です。ルートの中は n2 でわることになります。
ことばの由来
極限は「きわまるところ、行き着くかぎり」という意味の言葉です。英語では limit(リミット)で、「境界・限界」という意味です。記号 lim は limit の頭の 3 文字です。n→∞ の ∞ は「無限大」で、「どこまでも大きくする」ことを表す記号です(∞ という数があるわけではありません)。
ミニ問題
問題1 極限 n→∞lim2n−15n+2 を求めましょう。
答えと解き方を見る
25 です。分母・分子を n でわると 2−n15+n2。n→∞ で n2→0、n1→0 なので、25 に収束します。分母と分子の最高次の係数の比になっています。
問題2 極限 n→∞limn2+3n+1 を求めましょう。
答えと解き方を見る
0 です。分母の最高次 n2 で分母・分子をわると 1+n23n1+n21→10=0。分母のほうが次数が高い(速く大きくなる)ので 0 に近づきます。
問題3 極限 n→∞lim3n−2n3n+1+2n を求めましょう。
答えと解き方を見る
3 です。
- いちばん速く大きくなる 3n で、分母・分子をわる。
- 3n−2n3n+1+2n=1−(32)n3+(32)n
- 32<1 なので (32)n→0。極限は 1−03+0=3。
指数の数列でも、「いちばん強いものでわる」考え方は同じです。
関連する公式・用語
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よくある質問
数列の極限とは何ですか?
数列の番号nを限りなく大きくしたとき、項aₙが限りなく近づいていく値のことです。lim aₙ=α と書きます。
不定形とは何ですか?
∞/∞ や ∞−∞ のように、そのままでは極限が決まらない形のことです。式を変形してから極限を求めます。
∞/∞ の形の極限はどう求めますか?
分母の最高次の式で分母と分子をわります。1/n などが0に近づくことを使って極限を求めます。
はさみうちの原理とは何ですか?
数列を上下から同じ値に収束する2つの数列ではさめれば、間の数列もその値に収束する、という原理です。
極限値は数列の項として出てきますか?
出てこなくてもかまいません。1/n の極限は0ですが、どの項も0ではありません。
数列の極限は何年生で習いますか?
高校の数学Ⅲ(極限)で習います。
出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編」数学Ⅲ(極限)
最終更新:2026年10月13日/作成:大学受験合格大作戦