バーゼル問題 Σ1/n²=π²/6 の公式|高校数学でできる証明(ド・モアブル・解と係数・はさみうち)と例題【大学数学・東大京大レベル】

バーゼル問題 Σ1/n²=π²/6 の公式|高校数学でできる証明(ド・モアブル・解と係数・はさみうち)と例題【大学数学・東大京大レベル】

合格大作戦 算数・数学公式辞典 › 関数

大学受験

∑n=1∞1n2=π26\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^2}=\frac{\pi^2}{6}

1+14+19+⋯=1.6449⋯1+\dfrac14+\dfrac19+\cdots=1.6449\cdots

この公式のポイント

  • 平方数の逆数の和はπ26\dfrac{\pi^2}{6}
  • 奇数だけならπ28\dfrac{\pi^2}{8}、交互ならπ212\dfrac{\pi^2}{12}
  • 証明はcot⁡2\cot^2 の和+はさみうち
  • 入試では上下からの評価として出る
うかるくん

うかるくん

整数の逆数の2乗を足すだけなのに、どうして π\pi が出てくるの?

合格先生

合格先生

証明で cot⁡2\cot^2 の和を使うからだ。角 kπ2m+1\dfrac{k\pi}{2m+1} の値を足すので、円の数 π\pi が入りこむぞ。

バーゼル問題の答え

平方数の逆数をすべて足すといくつになるか――これがバーゼル問題です。答えは、円周率 π\pi を使って次のように表せます。

バーゼル問題

∑n=1∞1n2=1+14+19+116+⋯=π26=1.6449⋯\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^2}=1+\frac{1}{4}+\frac{1}{9}+\frac{1}{16}+\cdots=\frac{\pi^2}{6}=1.6449\cdots

ここから、奇数だけの和・交互の和も出る。

∑n=1∞1(2n−1)2=π28,∑n=1∞(−1)n+1n2=π212\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{(2n-1)^2}=\frac{\pi^2}{8},\qquad \sum_{n=1}^{\infty}\frac{(-1)^{n+1}}{n^2}=\frac{\pi^2}{12}
11.52 上からおさえる線 2 π²/6=1.6449… 151015 S₁=1 S₂=1.25 S₁₅≒1.580 n
部分和 Sn=∑k=1n1k2S_n=\sum_{k=1}^{n}\frac{1}{k^2} は π26\frac{\pi^2}{6} に下から近づく。2 はこえない

整数の逆数の2乗を足したのに、円の数 π\pi が出てくるのが不思議なところです。名前はスイスの都市バーゼルにちなみます。この問題を18世紀前半に解いたのがオイラーです。足していく速さはゆっくりで、15項足してもまだ 1.5801.580 ほどです。

証明(高校数学で示せる方法)

ここでは、ド・モアブルの定理と解と係数の関係、はさみうちの原理だけを使う証明を紹介します。cot⁡x=1tan⁡x\cot x=\dfrac{1}{\tan x} と書きます。

ステップ1:sin x < x < tan x から不等式を作る

0<x<π20<x<\dfrac{\pi}{2} では sin⁡x<x<tan⁡x\sin x<x<\tan x(下の図)。逆数をとって2乗すると

cot⁡2x<1x2<1sin⁡2x=1+cot⁡2x(1)\cot^2x<\frac{1}{x^2}<\frac{1}{\sin^2x}=1+\cot^2x\tag{1}
x O1 sin x 弧 x tan x 半径1、中心角 x(0<x<π/2) sin x < x < tan x
0<x<π20<x<\frac{\pi}{2} では sin⁡x<x<tan⁡x\sin x<x<\tan x

ステップ2:cot² の和を求める

n=2m+1n=2m+1(奇数)とします。ド・モアブルの定理 (cos⁡θ+isin⁡θ)n=cos⁡nθ+isin⁡nθ(\cos\theta+i\sin\theta)^n=\cos n\theta+i\sin n\theta の左辺を二項定理で展開し、虚部をくらべると

sin⁡nθ=∑j=0m(−1)j(n2j+1)cos⁡n−2j−1θ sin⁡2j+1θ\sin n\theta=\sum_{j=0}^{m}(-1)^j\binom{n}{2j+1}\cos^{n-2j-1}\theta\,\sin^{2j+1}\theta

((nk)\binom{n}{k} は nCk{}_n\mathrm{C}_k のこと。)両辺を sin⁡nθ\sin^n\theta でわると

sin⁡nθsin⁡nθ=(n1)cot⁡2mθ−(n3)cot⁡2m−2θ+(n5)cot⁡2m−4θ−⋯\frac{\sin n\theta}{\sin^n\theta}=\binom{n}{1}\cot^{2m}\theta-\binom{n}{3}\cot^{2m-2}\theta+\binom{n}{5}\cot^{2m-4}\theta-\cdots

θk=kπn\theta_k=\dfrac{k\pi}{n}(k=1,2,⋯ ,mk=1,2,\cdots,m)では sin⁡nθk=sin⁡kπ=0\sin n\theta_k=\sin k\pi=0。よって tk=cot⁡2θkt_k=\cot^2\theta_k は、mm 次方程式

(n1)tm−(n3)tm−1+(n5)tm−2−⋯=0\binom{n}{1}t^m-\binom{n}{3}t^{m-1}+\binom{n}{5}t^{m-2}-\cdots=0

の解です。0<θ1<⋯<θm<π20<\theta_1<\cdots<\theta_m<\dfrac{\pi}{2} なので t1,⋯ ,tmt_1,\cdots,t_m はすべて異なり、これで mm 個の解が全部そろいます。解と係数の関係から

∑k=1mcot⁡2kπ2m+1=(n3)(n1)=(2m+1)⋅2m⋅(2m−1)6 (2m+1)=m(2m−1)3(2)\sum_{k=1}^{m}\cot^2\frac{k\pi}{2m+1}=\frac{\binom{n}{3}}{\binom{n}{1}}=\frac{(2m+1)\cdot2m\cdot(2m-1)}{6\,(2m+1)}=\frac{m(2m-1)}{3}\tag{2}

ステップ3:はさみうち

(1) に x=θk=kπ2m+1x=\theta_k=\dfrac{k\pi}{2m+1} を入れて k=1k=1 から mm まで足し、(2) を使うと

m(2m−1)3<(2m+1)2π2∑k=1m1k2<m(2m−1)3+m=m(2m+2)3\frac{m(2m-1)}{3}<\frac{(2m+1)^2}{\pi^2}\sum_{k=1}^{m}\frac{1}{k^2}<\frac{m(2m-1)}{3}+m=\frac{m(2m+2)}{3}

全体に π2(2m+1)2\dfrac{\pi^2}{(2m+1)^2} をかけると

π26⋅2m(2m−1)(2m+1)2<∑k=1m1k2<π26⋅2m(2m+2)(2m+1)2\frac{\pi^2}{6}\cdot\frac{2m(2m-1)}{(2m+1)^2}<\sum_{k=1}^{m}\frac{1}{k^2}<\frac{\pi^2}{6}\cdot\frac{2m(2m+2)}{(2m+1)^2}

m→∞m\to\infty で左右とも π26\dfrac{\pi^2}{6} に近づく(4m24m2→1\dfrac{4m^2}{4m^2}\to1)ので、はさみうちの原理より ∑k=1∞1k2=π26\displaystyle\sum_{k=1}^{\infty}\frac{1}{k^2}=\frac{\pi^2}{6} です。

(オイラー自身は、sin⁡xx\dfrac{\sin x}{x} を因数分解のように無限積で表して係数をくらべる方法で答えを見つけました。その方法を厳密にするには大学の内容が必要です。)

大学受験(数学Ⅲ 極限)での使い方

大学受験

例題1(2をこえないことを示す)

∑k=1n1k2<2−1n\sum_{k=1}^{n}\dfrac{1}{k^2}<2-\dfrac{1}{n}(n≥2n\ge2)を示しなさい。

解き方

k≥2k\ge2 のとき 1k2<1k(k−1)=1k−1−1k\dfrac{1}{k^2}<\dfrac{1}{k(k-1)}=\dfrac{1}{k-1}-\dfrac{1}{k}。

k=2k=2 から nn まで足すと、となりどうしが消えて ∑k=2n1k2<1−1n\sum_{k=2}^{n}\dfrac{1}{k^2}<1-\dfrac{1}{n}。

k=1k=1 の項 11 を加えて ∑k=1n1k2<2−1n\sum_{k=1}^{n}\dfrac{1}{k^2}<2-\dfrac{1}{n}。

答え 示せた(無限和も2以下。実際は π26≒1.645\dfrac{\pi^2}{6}\fallingdotseq1.645)

大学受験

例題2(奇数だけの和)

∑n=1∞1n2=π26\sum_{n=1}^{\infty}\dfrac{1}{n^2}=\dfrac{\pi^2}{6} を使って、1+132+152+⋯1+\dfrac{1}{3^2}+\dfrac{1}{5^2}+\cdots を求めなさい。

解き方

偶数の項だけの和は ∑1(2n)2=14∑1n2=π224\sum\dfrac{1}{(2n)^2}=\dfrac14\sum\dfrac{1}{n^2}=\dfrac{\pi^2}{24}。

全体から偶数の分を引いて π26−π224=π28\dfrac{\pi^2}{6}-\dfrac{\pi^2}{24}=\dfrac{\pi^2}{8}。

答え π28\dfrac{\pi^2}{8}

大学受験

例題3(証明のステップ2を小さい数で)

cot⁡2π5+cot⁡22π5\cot^2\dfrac{\pi}{5}+\cot^2\dfrac{2\pi}{5} の値を求めなさい。

解き方

n=5n=5(m=2m=2)。sin⁡5θsin⁡5θ=5cot⁡4θ−10cot⁡2θ+1\dfrac{\sin5\theta}{\sin^5\theta}=5\cot^4\theta-10\cot^2\theta+1 なので、t=cot⁡2π5, cot⁡22π5t=\cot^2\dfrac{\pi}{5},\ \cot^2\dfrac{2\pi}{5} は 5t2−10t+1=05t^2-10t+1=0 の2つの解。

解と係数の関係から、和は 105=2\dfrac{10}{5}=2。(証明の (2) で m=2m=2:2⋅33=2\dfrac{2\cdot3}{3}=2 と一致。)

答え 22

高校の範囲をこえる内容と入試での使い方

  • 範囲外の結果:∑1n2=π26\sum\dfrac{1}{n^2}=\dfrac{\pi^2}{6} は高校の教科書には出てきません(大学の内容)。高校で学ぶ無限級数は、おもに無限等比級数や、となりどうしが消える形の和です。
  • 答案にそのまま使わない:問題文で与えられていない限り、「π26\dfrac{\pi^2}{6} だから」と答案に書くのは避けましょう。上の証明をすべて書くのは長いので、入試では「上からおさえる」「下からおさえる」評価(例題1や積分による評価)として問われるのがふつうです。
  • 見当づけ・検算に使う:∑1n2\sum\dfrac{1}{n^2} を評価する問題で、自分の出した上限・下限が 1.6449⋯1.6449\cdots をはさんでいるかを確かめると、計算ミスに気づけます。
  • 難関大の入試では、cot⁡2\cot^2 の和(証明の (2))や、∫0π/2x2cos⁡2nx dx\displaystyle\int_0^{\pi/2}x^2\cos^{2n}x\,dx のような積分の評価から π26\dfrac{\pi^2}{6} にたどり着く誘導つきの問題が、背景になっている例があります。

よくある間違い

腕でバツを作る合格先生

合格先生

1k2<1k(k−1)\dfrac{1}{k^2}<\dfrac{1}{k(k-1)} を k=1k=1 から使ってはだめだ。k=1k=1 の項は別にしよう。

  • ∑1n\sum\dfrac{1}{n} も収束すると思う:1+12+13+⋯1+\dfrac12+\dfrac13+\cdots(調和級数)は限りなく大きくなります(発散)。2乗にすると収束します。
  • 奇数だけの和と取りちがえる:全部の和は π26\dfrac{\pi^2}{6}、奇数だけなら π28\dfrac{\pi^2}{8}、交互の和は π212\dfrac{\pi^2}{12}。
  • k=1k=1 から 1k2<1k(k−1)\dfrac{1}{k^2}<\dfrac{1}{k(k-1)} を使う:k=1k=1 では分母が0。k=1k=1 の項は別にして、k≥2k\ge2 で使います。

練習問題

ひらめいたうかるくん

うかるくん

偶数の分を引けば、奇数だけの和も出せるぞ。

  1. 大学受験 ∑n=1∞1(2n)2\sum_{n=1}^{\infty}\dfrac{1}{(2n)^2} を求めなさい。
    答えと解説を見る14∑1n2=14⋅π26=π224\dfrac14\sum\dfrac{1}{n^2}=\dfrac14\cdot\dfrac{\pi^2}{6}=\dfrac{\pi^2}{24}
  2. 大学受験 1−122+132−142+⋯1-\dfrac{1}{2^2}+\dfrac{1}{3^2}-\dfrac{1}{4^2}+\cdots を求めなさい。
    答えと解説を見る奇数の和 π28\dfrac{\pi^2}{8} から偶数の和 π224\dfrac{\pi^2}{24} を引いて 3π2−π224=π212\dfrac{3\pi^2-\pi^2}{24}=\dfrac{\pi^2}{12}
  3. 大学受験 cot⁡2π7+cot⁡22π7+cot⁡23π7\cot^2\dfrac{\pi}{7}+\cot^2\dfrac{2\pi}{7}+\cot^2\dfrac{3\pi}{7} を求めなさい。
    答えと解説を見るn=7n=7(m=3m=3)。tt は 7t3−35t2+21t−1=07t^3-35t^2+21t-1=0 の解なので、和は 357=5\dfrac{35}{7}=5。証明の (2) でも 3⋅53=5\dfrac{3\cdot5}{3}=5

関連する公式

よくある質問

バーゼル問題とは何ですか?

平方数の逆数の和 1+1/4+1/9+1/16+… の値を求める問題です。答えは π²/6(約1.6449)です。

なぜ π が出てくるのですか?

証明の中で sin や cot を使い、角 kπ/(2m+1) での値を足し合わせるからです。円(三角関数)の性質が和に入りこみます。

奇数の逆数の2乗の和はいくつですか?

1+1/9+1/25+… = π²/8 です。全体の π²/6 から偶数の分 π²/24 を引くと求められます。

入試で π²/6 を使ってもいいですか?

問題文で与えられていなければ、答案の根拠には使わないほうが安全です。評価の結果の検算に使いましょう。

あわせて読みたい

出典・参考

  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」数学Ⅲ(極限)・数学C(複素数平面)
  • 大学初年級の微分積分学(範囲外の発展内容)

最終更新:2026年10月11日/作成:大学受験合格大作戦