張益唐は何をした人?業績をわかりやすく|双子素数・素数の有界な間隔・7000万から246へ

張益唐は何をした人?業績をわかりやすく|双子素数・素数の有界な間隔・7000万から246へ

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張益唐Yitang Zhang

ひとことで言うと

2013年に「差が7000万以下の素数の組が無限にある」ことを証明し、双子素数予想への大きな一歩をしるした数学者。50代後半の「遅咲き」の大発見として世界で報じられた。

名前張益唐(ちょう えきとう / イータン・チャン、Yitang Zhang)
生年1955年〜(存命)
国中国生まれ、アメリカで活躍(カリフォルニア大学サンタバーバラ校の教授をへて、2025年に中国の中山大学へ)
分野数論(解析的整数論)
主な業績素数の有界な間隔の定理(2013年)。差が7000万以下の素数の組が無限にある
名前がつくもの素数の有界な間隔(張益唐の定理)
主な受賞オストロフスキー賞(2013年)、コール賞・ロルフ・ショック賞(2014年)、マッカーサー・フェロー(2014年)
よばれ方遅咲きの数学者

このページのポイント

  • 2013年に「差が7000万以下の素数の組が無限にある」ことを証明。双子素数予想への初めての大きな一歩
  • 張益唐の発表後、共同研究で上限は246まで下がった(2014年)。「差2」の双子素数予想は、まだ証明されていない
  • 論文を発表した当時は50代後半で講師の立場。遅咲きの数学者の大発見として世界で報じられた

張益唐は何をした人?(業績をひとことで)

張益唐(ちょう えきとう、イータン・チャン、Yitang Zhang、1955年生まれ)は、中国生まれ、アメリカで活躍する数学者です。専門は数論。2013年に、「差が7000万以下の素数の組が、無限に存在する」ことを証明した論文で、世界的に有名になりました。

素数は、2、3、5、7、11……と、はてしなく続きます。そのとなりあう素数の差は、数が大きくなるにつれて、平均では広がっていきます。それなのに、差が「7000万」以下の組が永遠に現れ続けることを、張益唐は初めて示したのです。これは、差が2の素数の組(双子素数)が無限にあるか、という双子素数予想に向けた、大きな一歩でした。

もうひとつ、張益唐が注目された理由があります。論文を発表した当時、50代後半で、アメリカの大学の講師という立場でした。「遅咲きの数学者」の大発見として、世界中で報道されました。

この記事では、論文、受賞、大学や賞の公式な発表、報道された事実だけを書き、私生活や人柄についての推測は書きません。張益唐は現在も研究を続けている数学者です。

うかるくん

うかるくん

7000万って、すごく大きな数ですよね。それで「大発見」なんですか?

合格先生

合格先生

ポイントは、「有限の数で押さえられた」ことなんだ。素数はどんどんまばらになるから、「差はいくらでも広がるだけでは?」とも思えた。そこに「差が7000万以下の組が、無限にある」と言えたのが大きいんだよ。その後の研究者が、その数を246まで小さくしたんだ。

張益唐の生涯と年表

ここでは、英語版ウィキペディア、大学や賞の公式な発表、報道(高等研究所の紹介記事など)で確かめられる事実を書きます。

中国で育ち、北京大学へ

張益唐は1955年に中国の上海に生まれたとされます。北京大学で学び、学士と修士の学位を受けました。その後アメリカに渡り、パーデュー大学の大学院で研究し、1991年に博士の学位を受けました。

職を探しながら研究を続ける

博士の学位を受けたあと、張益唐は大学での職になかなか就けず、大学の外で会計や飲食店の仕事をしながら過ごしていた時期があった、と報じられています。1999年にニューハンプシャー大学の講師になりました。講師の仕事を続けながら、整数論の研究を続けていました。

2013年の論文

2013年4月17日、張益唐は論文「Bounded gaps between primes(素数のあいだの有界な間隔)」を、数学の最も権威ある雑誌のひとつ『数学年報(Annals of Mathematics)』に送りました。査読者は異例の速さで内容を確かめ、2013年5月に掲載が受理されました。そして、5月にはハーバード大学で講演を行っています。論文は2014年に正式に雑誌に掲載されました(179巻、1121〜1174ページ)。

報道では、鍵となる着想は2012年7月、アメリカのコロラド州で友人を訪ねていたときに得た、と伝えられています。ひとつの問題に長い年月をかけた末の発見だったとされます。

受賞と、その後

2013年にオストロフスキー賞、2014年にコール賞(数論部門)とロルフ・ショック賞、そして2014年にマッカーサー・フェロー(いわゆる「天才賞」)に選ばれました。2015年にはカリフォルニア大学サンタバーバラ校の教授になりました。2025年には、中国の中山大学(広州)の教員になったと、大学の発表や報道で伝えられています。

2022年には、ランダウ・ジーゲル・ゼロとよばれる問題についての論文を公開しました。この論文(題は「Discrete mean estimates and the Landau-Siegel zero」)の評価は、現時点ではまだ定まっていません。

張益唐の歩み1955中国で生まれる(上海)1991パーデュー大学で博士の学位1999ニューハンプシャー大学の講師2013年4月論文を『数学年報』に提出2013年5月論文が受理される2014マッカーサー・フェロー2015カリフォルニア大学の教授に
張益唐の歩み。1955年生まれ、1991年に博士、2013年に論文、2014年にマッカーサー・フェロー
年できごと
1955年中国の上海で生まれる
1991年アメリカのパーデュー大学で博士の学位
1999年ニューハンプシャー大学の講師になる
2005年ゴールドストン、ピンツ、ユルドゥルムが素数の間隔についての新しい方法を発表(のちに張益唐が利用)
2012年7月、鍵となる着想を得たと報じられる
2013年4月17日、論文を『数学年報』に提出。5月に受理。オストロフスキー賞
2013年11月、メイナードとタオが別々に、上限を600まで下げる新しい方法を発表
2014年ポリマス8bが上限を246にする。コール賞、ロルフ・ショック賞、マッカーサー・フェロー
2015年カリフォルニア大学サンタバーバラ校の教授になる
2022年ランダウ・ジーゲル・ゼロについての論文を公開
2025年中国の中山大学(広州)に移ったと伝えられる

張益唐の主な業績をやさしく解説

業績1 素数の間隔の問題とは?

まず、素数を並べてみましょう。2、3、5、7、11、13、17、19、23、29、31、37……。となりあう素数の差(間隔)は、1、2、2、4、2、4、2、4、6、2、6……と、バラバラです。100までの素数は25個で、そのうち差が2の組(双子素数)が8組(3と5、5と7、11と13、17と19、29と31、41と43、59と61、71と73)あります。

1〜100の素数(25個) 123456789101112131415161718192021222324252627282930313233343536373839404142434445464748495051525354555657585960616263646566676869707172737475767778798081828384858687888990919293949596979899100 赤い丸:差が2の素数の組(双子素数)8組
1〜100の素数と、差が2の組(双子素数)の8組
となりあう素数の間隔 397素数の大きさ → 8 赤い棒:間隔が2(双子素数)
100までのとなりあう素数の間隔。2が最も多く、最大は8

数が大きくなると、素数はまばらになります。ガウスやルジャンドルの予想をもとに、1896年にアダマールとド・ラ・ヴァレ・プーサンが証明した素数定理によると、xx の近くの素数の「平均の間隔」は、ほぼ ln⁡x\ln x(xx の自然対数)です。たとえば100万の近くでは約13.8、1兆の近くでは約27.6です。対数の意味を使うと、この話がすっきり見えます。ガウスの業績と生涯は、少年のころ、素数の数え上げから、この法則に気づいたとされます。

素数の平均の間隔 ≒ ln x 1004.61万9.2100万13.810億20.71兆27.6 大きな数ほど平均の間隔は広がるのに、差が一定以下の組は無限にある、というのが張益唐の定理
素数の平均の間隔はln xにほぼ等しく、数が大きいほど広がる

では、差が小さい組は、大きな数になるともう現れないのでしょうか。「差が2の組(双子素数)は無限にあるはずだ」という予想は、古くから知られていますが(1849年のポリニャックの予想までさかのぼるとされます)、まだ証明されていません。

それでも、少しずつ進展はありました。1919年にヴィーゴ・ブルンは、双子素数の逆数をすべて足した和が、有限の値におさまる(無限に大きくならない)ことを示しました。素数全体の逆数の和は無限に大きくなるので、双子素数は素数の中でもかなり「少ない」ことがわかります。1973年には、陳景潤が「pp が素数のとき、p+2p+2 が素数か、2つの素数の積になる pp が無限にある」ことを示しました。ただし、これらの結果は「双子素数が無限にあるか」という問いには答えていません。張益唐の定理は、その意味で、数十年ぶりの大きな前進でした。

業績2 「有界な間隔」の定理(2013年)

張益唐が証明したのは、次の定理です。

差が7000万より小さい素数の組 (p, q)(p,\,q)(q−p<7×107q-p<7\times10^7)が、無限にある。

双子素数予想(差が2)には届きませんが、「差がある決まった数以下の組が無限にある」ことを初めて示した点が革命的でした。それまでの最良の結果は、ハーディらの流れをくむ研究で、「間隔が、平均の間隔(ln⁡x\ln x)よりも、いくらでも小さい組が無限にある」というものでした(2005年のゴールドストン、ピンツ、ユルドゥルムの定理)。この定理は、差が一定以下だとまでは言えませんでした。

張益唐は、2005年の方法を、もっと強い形で使えるようにしました。篩(ふるい)と呼ばれる方法を使い、素数でない数を少しずつ取りのぞいて、素数の集まりに近づいていきます。ユークリッドの互除法や素因数分解の考え方が、土台にあります。鍵になったのは、素数が「ほぼ均等に」、いろいろな割り算の余りに分かれて並ぶという性質を、新しい形で使うことでした。この部分の証明には、ドリーニュによるヴェイユ予想の解決などの現代の数論の成果や、クロースターマン和とよばれる道具などが使われたとされます。

ここで、証明の考え方を、ごく大まかに紹介します(細部は専門的です)。たとえば、n, n+2, n+6, n+8, n+12n,\ n+2,\ n+6,\ n+8,\ n+12 という5つの数を「窓」として、同時に調べます。n=5n=5 なら 5、7、11、13、17 で、すべて素数です。n=11n=11 でも 11、13、17、19、23 が、すべて素数になります。もし、「この5つのうち2つ以上が素数になる nn が、無限にある」と示せれば、鳩の巣原理(部屋割り論法)によって、差が12以下の素数の組が無限にあることになります。(5つから選んだ2つの差は、どれも12以下だからです。)

窓で素数の組を探す n, n+2, n+6, n+8, n+12 を同時に見る 57111317n=5:5つとも素数 1113171923n=11:5つとも素数 5つのうち2つ以上が素数になるnが無限にあれば、差が12以下の素数の組が無限にある(鳩の巣原理)
5つの数を同時に調べる窓。5つのうち2つ以上が素数になる場合が無限にあれば、差が12以下の組が無限にある

ゴールドストン、ピンツ、ユルドゥルムは、窓の数を増やすと、2つ以上が素数になる可能性が上がることに注目しました。しかし、そのために必要な「素数が余りで均等に分かれる」という性質を、十分に強くは証明できませんでした。張益唐は、この性質を、ある条件つきで(なめらかな数を使って)強くすることに成功しました。その結果、窓の大きさを7000万という大きな数にすることで、証明が完成したのです。

業績3 その後の上限の引き下げ

張益唐の論文の発表後、世界中の数学者が「70,000,000をもっと小さくできないか」と取り組みました。インターネット上の共同研究「ポリマス8(Polymath8)」は、2013年にこの上限を4,680まで下げました。さらに2013年11月には、ジェームズ・メイナードが、そして別にテレンス・タオが、新しい篩の方法を発表し、上限が600まで下がりました。この方法と張益唐の方法を合わせて、ポリマス8bは2014年に246にまで下げました。

差の上限は、どこまで下がった? 張益唐 2013年7000万ポリマス8a 2013年4680メイナード・タオ 2013年600ポリマス8b 2014年246 目標の「2」(双子素数予想)はまだ証明されていません(棒の長さは対数。2026年時点)
素数の組の差の上限が、7000万から4680、600、246へ下がった様子

さらに、「一般化エリオット・ハルバースタム予想」という、まだ証明されていない予想が正しいと仮定すると、上限は6まで下がることが知られています(ふつうのエリオット・ハルバースタム予想を仮定した場合は12です)。いずれにしても、「差2」という双子素数予想の目標には、まだ届いていません。

業績4 なぜ「遅咲き」と言われたのか

数学の大きな発見は、若いうちになされることが多いと言われます。ガロアの業績と生涯、アーベルの業績と生涯、ラマヌジャンの業績と生涯は、いずれも若くして業績を残しました。それに対して、張益唐の証明は、50代後半に発表されました。もちろん年齢と能力は別のものですが、この証明が「年齢にかかわらず、粘り強く考え続ければ、大きな発見ができる」ことを示した例として、多くの人に語られました。

張益唐の名前がつく公式・定理・用語

  • 張益唐の定理(素数の有界な間隔):差が7000万以下の素数の組が無限にある。
  • 素数の有界な間隔(bounded gaps between primes):となりあう素数の差が、ある定数以下になる組が無限にある、という性質。
  • 双子素数:差が2の素数の組(3と5、11と13など)。
  • 素数定理:xx 以下の素数の数は、ほぼ x/ln⁡xx/\ln x。
  • ポリマス8:張益唐の定理をもとに、インターネット上の共同研究で上限を下げた計画。
  • エリオット・ハルバースタム予想:素数の分布についての予想。正しければ、上限はさらに下がる。

素数の意味や素因数分解と約数の個数、鳩の巣原理(部屋割り論法)は、これらの話を理解する入口です。鳩の巣原理は、メイナードとタオの方法の中心でも使われます。公式・用語の一覧は数学の公式辞典と数学用語辞典で調べられます。

「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

「素数は、はてしなく続く」。これはユークリッドの時代から分かっているよ。でも「どんな間隔で現れるか」は、2000年以上たった今も、まだ謎が多いんだ。張益唐の定理は、その謎の入り口に、新しい扉を開けたんだね。

張益唐の逸話と名言

ここでは、報道や公式の紹介で広く知られている話を紹介します。確かめられない話は、そう書き添えます。

ふつうの投稿から始まった大発見

張益唐の論文は、大きな学会での発表ではなく、ふつうの論文の投稿という形で始まりました。雑誌の査読は異例の速さで進み、受理までわずか数週間だったと報じられています。数学の世界では、それだけ重要な結果だと受け取られたということです。

鍵になった着想

鍵になる着想を得たのは、2012年7月、アメリカのコロラド州の友人宅を訪ねていたときと報じられています。長い年月、問題を考え続けていたあとの出来事で、「考え続けること」の大切さを示す話として、よく紹介されます。細かい様子は、報道によって少しずつ異なります。

「あきらめない」が合言葉に

張益唐の話は、受験生や社会人にも励ましとして受け取られました。ただし、ここで大切なのは年齢の話そのものではなく、ひとつの問いを、何年も考え続けられることです。入試の勉強でも、行きづまった問題をしばらく置いて、あとでもう一度考えると、解き方が見えてくることはよくあります。これは一般的な勉強の話で、張益唐本人の言葉ではありません。

新しい世代へつながった

張益唐の論文の発表後、若い数学者たちが一気にこの分野に集まりました。ポリマス8には、プロの数学者だけでなく、大学院生や学生も参加しました。一人の発見が、世界中の共同研究を呼びおこした例として、よく語られます。

サクラちゃん

サクラちゃん

50代で大発見って、すごいですね。受験勉強でも、今は成績が伸びなくても、まだ間に合うって思えます。

合格先生

合格先生

そうだね。ただし、張益唐さんは、何年も同じ問題を考え続けたんだ。「待つ」だけじゃなくて、「考え続ける」ことが大事だよ。毎日少しずつでも、手を動かして考えることを続けてみよう。

受験・勉強と張益唐のつながり

中学受験・高校受験との関係

素数は、中学受験の算数にも出てきます。素因数分解や、約数の和を求める問題は定番です。双子素数を探す問題も、受験の練習問題としておもしろい題材です。西暦の年を使った素数の問題は2027は素数?双子素数と西暦の入試問題、素数「2」の話は唯一の偶数の素数「2」の話にまとめています。

大学受験との関係

大学・大学院でつながる分野

解析的整数論(素数の分布を、解析学の道具で調べる分野)です。リーマンの業績と生涯のリーマン予想、ゴールドバッハ予想、素数定理など、素数をめぐる大問題と深くつながっています。

素数を探す練習:エラトステネスの篩

素数を一覧にするには、古代ギリシャのエラトステネスの業績と生涯が考えた篩が便利です。1から100までの数を書き、2の倍数を消し、3の倍数を消し、5の倍数を消し、7の倍数を消す、とくり返します。100の平方根は10なので、10より小さい素数(2、3、5、7)の倍数を消せば十分で、残った25個が100以下の素数です。この「ふるい落とす」考え方が、張益唐の証明に使われた現代の篩の出発点です。中学受験で習う素数の表づくりは、世界最先端の数論につながっているのです。

勉強法として:行きづまったら、離れて、また戻る

難しい問題は、一度で解けないのがふつうです。数学の勉強法(解法の暗記→演習→過去問)では、間違えた問題を時間をあけて解きなおす方法を紹介しています。京都大学の整数問題は京大理系数学の出題分析(整数問題の出方)で調べられます。

張益唐がその後の数学にあたえた影響

  • 素数の研究に新しい勢いを与えた:張益唐の発表から数か月で、上限は7000万から600に下がり、2014年には246になりました。
  • 篩の方法の発展:メイナードとタオの新しい篩は、素数の組についての多くの結果を生みました。
  • 共同研究のあり方:ポリマス8のような、インターネット上で多くの人が議論しながら進める研究が、数学の新しい進め方として注目されました。
  • 双子素数予想への関心:双子素数予想は、数学者だけでなく、一般の人にも広く知られるようになりました。
  • 遅咲きの数学者という励まし:年齢にかかわらず研究を続ける姿勢が、多くの人に語られました。
  • 「証明が正しい」と確かめる速さ:張益唐の証明は、発表から短い期間で専門家が検証し、すぐに別の数学者たちが改良を始めました。新しい理論が受け入れられるまでの時間は問題によってちがい、望月新一の業績と生涯のABC予想のように、評価が分かれている例もあります。

エルデシュも、素数の間隔について多くの問題を出した数学者でした。エルデシュは1940年に、素数の間隔が平均よりも小さい組が無限にあることを示しています。双子素数予想はハーディとリトルウッドの1923年の予想の特別な場合でもあります。また、オイラーも素数の無限性の別の証明を残しています。

張益唐に挑戦!練習問題

やさしい

  1. 30以下の素数を小さい順に書き、差が2の組(双子素数)をすべて答えなさい。
    答えと解説を見る素数は 2, 3, 5, 7, 11, 13, 17, 19, 23, 29。差が2の組は (3, 5)、(5, 7)、(11, 13)、(17, 19) の4組です。
  2. 30以下の素数で、となりあう素数の差のうち、最も大きいものはいくつですか。
    答えと解説を見る差は 1, 2, 2, 4, 2, 4, 2, 4, 6 です。最大は 23 と 29 の差で6。

ふつう

  1. p, p+2, p+4p,\ p+2,\ p+4 がすべて素数になるのは、p=3p=3 のときだけであることを説明しなさい。
    答えと解説を見るp, p+2, p+4p,\ p+2,\ p+4 を3でわった余りは、すべて異なります(余り r, r+2, r+1r,\ r+2,\ r+1 が0、1、2をひとつずつとる)。そのうち1つは3でわり切れます。それが素数なら3そのもの。p=3p=3 なら 3, 5, 73,\ 5,\ 7 で全部素数。p+2=3p+2=3 や p+4=3p+4=3 は不可能なので、p=3p=3 だけです。
  2. 100以下の素数で、89 の次の素数はいくつですか。その差はいくつですか。
    答えと解説を見る90〜96 はすべて合成数です(90, 91=7×13, 92, 93=3×31, 94, 95, 96)。次の素数は97。差は8。100以下で最大の間隔です。

むずかしい

  1. p>3p>3 の素数 pp について、(p, p+2)(p,\ p+2) が双子素数のとき、p+1p+1 は6の倍数であることを示しなさい。
    答えと解説を見るp>3p>3 の素数は、2でも3でも割り切れないので、6でわった余りは1か5です。p=6k+1p=6k+1 のとき、p+2=6k+3p+2=6k+3 は3の倍数で素数でない。よって p=6k+5p=6k+5 で、p+1=6k+6=6(k+1)p+1=6k+6=6(k+1)。6の倍数です。
  2. 素数定理によると、xx の近くの素数の平均の間隔は ln⁡x\ln x に近い。x=106x=10^6 のとき、この値を小数第1位まで求めなさい。(ln⁡10≈2.3026\ln10\approx2.3026)
    答えと解説を見るln⁡106=6ln⁡10≈6×2.3026=13.8156\ln10^6=6\ln10\approx6\times2.3026=13.8156。約13.8。

張益唐と関係する数学者・難問

双子素数予想とは?では、予想の中身、ブルンの定理、陳景潤の定理、張益唐からメイナードまでの流れをくわしく説明しています。公式を調べるなら算数・数学の公式一覧(公式辞典)、数学用語は数学用語辞典(用語の意味を1語1ページ)が便利です。ゴールドバッハ予想も、素数をめぐる大きな難問です。素数の問題は、問いの文はやさしいのに答えが遠い、という点で、数学の魅力がよく伝わるテーマです。気になった人は、まず自分で100までの素数を書き出して、間隔のようすを観察してみてください。

現代(1940年以降生まれ)の数学者

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有名な数学者一覧(年代順・国別・分野別)で、ほかの数学者も見られます。数学者たちが挑んだ問題は数学の難問・未解決問題の一覧にまとめています。

読みもの(合格大作戦の数学の記事)

よくある質問

張益唐は何をした人ですか?

張益唐は、中国生まれ、アメリカで活躍する数論の数学者です。2013年に、差が7000万以下の素数の組が無限に存在することを証明し、双子素数予想に向けた大きな進展をもたらしました。

張益唐の定理とは何ですか?

「差が7000万より小さい素数の組が、無限にある」という定理です。素数の間隔が、ある決まった数以下になる組が無限にあることを初めて示しました。

双子素数予想とは何ですか?

差が2の素数の組(3と5、11と13など)が無限にある、という予想です。まだ証明されていません。張益唐の定理は、差が「7000万以下」でその方向に近づいた結果です。

張益唐の定理のあと、上限はどこまで下がりましたか?

2013年に共同研究のポリマス8が4680まで、メイナードとタオが600まで下げ、2014年にポリマス8bが246にしました。2を示せば双子素数予想ですが、まだ届いていません。

なぜ張益唐は「遅咲きの数学者」と言われるのですか?

論文を発表した2013年当時、50代後半で、アメリカの大学の講師という立場だったためです。数学の大発見は若いうちに多いと言われるなかで、長く考え続けた末の発見として語られました。

張益唐はどんな賞を受けましたか?

オストロフスキー賞(2013年)、コール賞とロルフ・ショック賞(2014年)、マッカーサー・フェロー(2014年)などを受けています。

張益唐はどこの大学で学びましたか?

北京大学で学士と修士の学位を受け、アメリカのパーデュー大学の大学院で1991年に博士の学位を受けました。その後ニューハンプシャー大学、カリフォルニア大学サンタバーバラ校などで教え、2025年に中国の中山大学へ移ったと伝えられています。

素数の間隔の研究と、ほかの数学者の関係は?

ゴールドストン、ピンツ、ユルドゥルムの2005年の方法をもとに張益唐が定理を証明し、その後メイナードとタオが新しい篩の方法を見つけました。エルデシュやハーディらの流れをくむ分野です。

張益唐の研究は受験に関係がありますか?

研究そのものは出ませんが、素数、素因数分解、約数、倍数、合同式、背理法、対数など、中学受験から大学入試までの整数問題の基本がつまった話題です。双子素数を探す問題は練習にもなります。

あわせて読みたい

出典・参考

  • 英語版ウィキペディア「Yitang Zhang」、日本語版ウィキペディア「張益唐」
  • Y. Zhang, “Bounded gaps between primes”, Annals of Mathematics 179(2014年), 1121–1174
  • D. A. Goldston, J. Pintz, C. Y. Yıldırım, “Primes in tuples I”, Annals of Mathematics 170(2009年)
  • J. Maynard, “Small gaps between primes”, Annals of Mathematics 181(2015年)
  • D. H. J. Polymath, “Variants of the Selberg sieve, and bounded intervals containing many primes”, Research in the Mathematical Sciences 1(2014年)
  • Institute for Advanced Study「Yitang Zhang’s Spectacular Mathematical Journey」

最終更新:2026年11月2日/作成:大学受験合格大作戦