テレンス・タオは何をした人?業績をわかりやすく|グリーン・タオの定理・フィールズ賞・素数と神童の話

テレンス・タオは何をした人?業績をわかりやすく|グリーン・タオの定理・フィールズ賞・素数と神童の話

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テレンス・タオTerence Tao

ひとことで言うと

10歳で国際数学オリンピックに出場し13歳で金メダルをとった神童。2004年に素数だけの等差数列はいくらでも長くできることを証明し、2006年にフィールズ賞を受けた。

名前テレンス・タオ(Terence Tao)
生年1975年7月17日生まれ(存命)
国オーストラリア・アメリカ(アデレード生まれ、UCLAで教える)
分野調和解析・偏微分方程式・組合せ論・整数論
主な業績グリーン・タオの定理(2004年)、ゴールドバッハ予想の弱い予想への前進(2012年)、双子素数予想の共同研究(ポリマス8)、コラッツ予想の論文(2019年)
主な受賞フィールズ賞(2006年)、サレム賞(2000年)、クレイ研究賞(2003年)、クラフォード賞(2012年)、ロイヤルメダル(2014年)、リーマン賞(2019年)
名前がつくものグリーン・タオの定理・メイナード・タオのふるい

このページのポイント

  • 10歳で国際数学オリンピックに出場し、13歳で金メダル(最年少)。24歳でUCLAの教授に
  • 2004年、ベン・グリーンとグリーン・タオの定理(素数だけの等差数列はどんなに長くてもある)を証明。2006年にフィールズ賞
  • 双子素数予想・ゴールドバッハ予想・コラッツ予想などの難問にも新しい結果を出した。ネット上の共同研究(ポリマス)にも参加

テレンス・タオは何をした人?(業績をひとことで)

テレンス・タオ(Terence Tao、1975年〜)は、オーストラリア出身でアメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で教える数学者です。2006年にフィールズ賞を受賞しました。フィールズ賞は、数学のノーベル賞ともいわれる賞で、4年に一度、40歳未満の数学者に贈られます。授賞の理由は、偏微分方程式、組合せ論、調和解析、加法的整数論への貢献でした。

タオの名前を一躍有名にしたのが、イギリスの数学者ベン・グリーンとの共同研究、グリーン・タオの定理です。「素数だけでできた等差数列は、どんなに長いものでもある」という定理で、2004年に発表されました。たとえば 5, 11, 17, 23, 29 は公差6の、素数だけの5項の等差数列です。この数列を、どこまでも長くできることを証明したのです。

また、タオは子どものころから数学の才能で知られた「神童」でもありました。10歳で国際数学オリンピックに出場し、13歳で金メダルをとりました。これは、現在でも、国際数学オリンピックの金メダルの最年少記録とされています。数学の問題を解く力が、のちの世界的な研究につながっていった例として、よく紹介されます。

受験生にとってのタオは、「素数と等差数列」という、中学受験の算数にも出てくる身近なものから、世界の数学の最前線へ進んだ人です。この記事では、タオの仕事を「素数」「等差数列」「くり返しの予想」の3つのキーワードで、図と計算を使ってやさしく説明します。なお、タオは今も現役の数学者です。この記事では、公に知られた業績・受賞・論文だけを書いています。

うかるくん

うかるくん

素数だけの等差数列って、見つけるのは難しいんですか?

合格先生

合格先生

短いものは簡単だよ。3, 5, 7 は公差2の3項。5, 11, 17, 23, 29 は5項。でも、どこまでも長くできると証明するのは、大変なことなんだ。素数は大きくなるほど、どんどんまばらになるからね。それなのに、長い等差数列が必ずあると示したのが、グリーン・タオの定理なんだよ。

テレンス・タオの生涯と年表

アデレードで生まれた「神童」

タオは、1975年7月17日、オーストラリア南部の都市アデレードで生まれました。小さいころから数学が得意で、9歳のころから大学の数学の授業に出ていたと紹介されています。数学の才能が早くから知られ、飛び級で学びました。

国際数学オリンピックで、銅・銀・金

国際数学オリンピックは、世界の高校生が数学の問題を競う大会です。タオは、1986年(10歳)に銅メダル、1987年に銀メダル、1988年(13歳)に金メダルをとりました(MacTutor)。13歳での金メダルは、この大会の最年少記録とされています。数学オリンピックの雰囲気は、数学オリンピックの問題(長方形に詰めた正方形)で味わえます。

プリンストン大学で博士号

アメリカのプリンストン大学の大学院に進み、調和解析で有名な数学者エリアス・スタインのもとで研究しました。1996年6月に、論文「調和解析における3つの正則性の結果」で博士号を受けています。

24歳でUCLAの教授に

1996年にUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)で研究員になり、2000年に24歳で教授に昇進しました。UCLAの歴史の中で最年少の教授とされています。その後は、UCLAを拠点に、世界中の数学者と共同研究をしています。

2004年、グリーン・タオの定理

2004年に、ベン・グリーンとの共同研究で、素数の中に、どんなに長い等差数列もあることを証明しました(論文は2004年に公開、専門誌には2008年に掲載)。この業績は、2006年のフィールズ賞の大きな理由の1つになりました。

2006年、フィールズ賞

2006年、スペインのマドリードで開かれた国際数学者会議で、フィールズ賞が贈られました。このほかにも、2000年のサレム賞、2002年のボッヒャー記念賞、2003年のクレイ研究賞、2012年のクラフォード賞、2014年のロイヤルメダル、2019年のリーマン賞など、多くの賞を受けています(MacTutor)。

その後の研究と、研究の公開

タオは、ゴールドバッハ予想とは、双子素数予想とは、コラッツ予想とはなどの難問にも、新しい結果を出しています。また、研究の過程や数学の解説を、インターネット上のブログで公開していることでも知られています。

タオの歩み1975アデレードで生まれる1986〜88国際数学オリンピック 銅・銀・金1996プリンストン大学で博士号200024歳でUCLAの教授に2004グリーン・タオの定理2006フィールズ賞2012クラフォード賞2019コラッツ予想の論文公に知られた経歴・受賞・論文だけを年表にした
タオの歩み。アデレード→国際数学オリンピック→UCLA→フィールズ賞
年できごと
1975年7月17日、オーストラリアのアデレードで生まれる
1986年国際数学オリンピックで銅メダル(10歳)
1987年国際数学オリンピックで銀メダル
1988年国際数学オリンピックで金メダル(13歳、最年少の金メダル)
1996年プリンストン大学で博士号(指導教員はスタイン)。UCLAで研究員に
2000年24歳でUCLAの教授に(UCLAで最年少。資料により1999年とするものもある)。サレム賞
2004年グリーンとの共同研究で、素数の中にいくらでも長い等差数列があることを証明(グリーン・タオの定理)
2006年フィールズ賞(マドリード)
2012年奇数はすべて、高々5個の素数の和で書けることを示す(弱いゴールドバッハ予想への前進)。クラフォード賞
2013年双子素数予想に関する「差の上限」を縮める共同研究(ポリマス8)に加わる
2015年エルデシュのずれの問題を解決(と報じられた)
2019年コラッツ予想に関する論文:「ほとんどすべての数」について、ほとんど有界な値に達することを示す

テレンス・タオの主な業績をやさしく解説

業績1 グリーン・タオの定理:素数の中の長い等差数列

等差数列とは、同じ数ずつ増えていく数の並びです。1, 4, 7, 10 は公差3の等差数列です(等差数列の和の公式を使うと、全部の和がすぐ出せます)。素数だけでできた等差数列を探すと、次のようなものがあります。

素数だけの等差数列(5, 11, 17, 23, 29)123456789101112131415161718192021222324252627282930313233343536赤=公差6で5個つづく素数。次の35は 5×7 で素数でない青=素数。どこまで長くできるか? がグリーン・タオの問い
素数だけの等差数列の例。5, 11, 17, 23, 29 は公差6の5項。次の35は素数でない
  • 3項:3, 5, 7(公差2)
  • 5項:5, 11, 17, 23, 29(公差6)
  • 10項:199, 409, 619, 829, 1039, 1249, 1459, 1669, 1879, 2089(公差210)

10項の例は、199+210n199+210n(n=0,1,…,9n=0,1,\dots,9)の形で、等差数列の公差210は 2×3×5×72\times3\times5\times7 です。小さい素数をすべてかけた数が公差になるのは、小さい素数で割れてしまうのを避けるためです。公差が6の 5, 11, 17, 23, 29 は、2と3の倍数をかけた6になっています。

では、どこまで長くできるのでしょうか。素数は、大きくなるほどまばらになります。下のグラフのとおり、素数の個数は、x÷log⁡xx\div\log x という式でおおよそ表せます(素数定理。リーマン予想とはともつながる話です)。

素数は、進むほどまばらになる青=200以下の素数の個数(実際)赤=x÷log x(素数定理の近似)0200横軸が x。素数の割合は 0 に近づいていく
200以下の素数の個数(青)と、x÷log x(赤い点線)。素数は進むほどまばらになる

グリーンとタオは、素数だけでできた等差数列は、どんなに長いものでもあることを証明しました。この証明は、1975年のセメレディの定理(整数の中で一定の割合を占める集合には、長い等差数列がある)が土台です。ただ、素数は割合が0に近づくので、セメレディの定理は、そのままでは使えません。そこでグリーンとタオは、素数を「ほぼランダムな集合の中で、一定の割合を占める集合」と考える、新しい方法を作りました。

グリーン・タオの定理の発想1975年 セメレディの定理整数の中で「一定の割合」を占める集合にはどんなに長い等差数列もふくまれるでも素数は…大きくなるほど割合が 0 に近づく→ セメレディの定理はそのまま使えない2004年 グリーン・タオ素数を「ほぼランダムな集合」の中で一定の割合を占める集合と見なして解決長さは何項でもよい(ただし具体的な例は意外と短い)
セメレディの定理(整数)から、グリーン・タオの定理(素数)へ。ほぼランダムな集合の中で考えるのが新しい発想

この問題は、エルデシュの業績と生涯が予想した「逆数の和が発散する集合には、いくらでも長い等差数列がある」というより広い問題とも関係しています。素数の逆数の和は発散するので、この予想が成り立つなら素数にも等差数列があります。グリーン・タオの定理は、その特別な場合を解決したものといえます。また、ディリクレの業績が1837年ごろに示した「aa と dd が互いに素なら、a+nda+nd の形の素数は無限にある」という定理も、素数と等差数列を結ぶ大切な定理です。

業績2 双子素数予想:「差の上限」を縮める共同研究(ポリマス)

3と5、11と13のように、差が2の素数の組を双子素数といいます。「双子素数は無限にあるか」は、双子素数予想とよばれる未解決の難問です。2013年に、張益唐の業績が「差が7000万以下の素数の組は、無限にある」ことを証明して、世界を驚かせました。

この結果のあと、タオは、インターネットを使った共同研究「ポリマス・プロジェクト」(ポリマス8)に加わりました。世界中の数学者が、ブログやオンラインのページで意見を出し合い、7000万という上限を、短い期間で4680まで縮めたのです。さらに、数学者メイナードが、別の方法で上限を600に縮め、2014年のポリマス8bでは、246まで縮まりました。

「差がこれ以下の素数の組は無限」の上限2013年 張益唐70,000,0002013年 ポリマス8a4,6802013年 メイナード6002014年 ポリマス8b246目標(双子素数)2棒の長さは桁数(対数)に比例。左ほど小さい上限
差の上限の縮まり。7000万→4680→600→246。目標は2(双子素数予想)

ここで大事なのは、「差が2」の双子素数予想そのものは、まだ解けていないことです。上限が246に縮まった、というのは、「差が246以下の素数の組は無限にある」までが分かった、という意味です。数学者たちが協力して、少しずつ問題に近づいていく様子が分かる出来事でした。この問題の最新の状況は、双子素数予想のページも参考にしてください。

業績3 ゴールドバッハ予想の「弱い予想」への前進

ゴールドバッハ予想は、「4以上の偶数は、2つの素数の和で表せる」という、未解決の予想です。これに近い形で、「5より大きい奇数は、3つの素数の和で表せる」という「弱いゴールドバッハ予想」があります(たとえば 9=2+2+5、15=5+5+5)。

タオは2012年に、「1より大きい奇数は、高々5個の素数の和で表せる」ことを証明しました。5個から3個へ、という道の途中の大きな前進でした。その翌年の2013年、ヘルフゴットが、弱いゴールドバッハ予想(奇数が3つの素数の和で表せる)の証明を発表しました。偶数についての本来の予想(2つの素数の和)は、今も未解決です。難問の一覧はゴールドバッハ予想とはのページにあります。

業績4 コラッツ予想:「ほとんどすべての数」について

コラッツ予想は、「偶数なら2でわり、奇数なら3倍して1を足す。この操作をくり返すと、どんな正の整数から始めても、いつかは1になる」という予想です。小学生にも分かる操作なのに、まだだれも証明できていません。たとえば27から始めると、数が最大9232まで上がり、111回の操作で、やっと1に落ちます。

27 から出発した数の動き(コラッツ列)最大 9232操作の回数 →(全部で111回)偶数なら÷2、奇数なら×3+1。縦軸は対数の目もり
27から出発した数の動き。最大9232まで上がるが、111回の操作で1にたどり着く

2019年、タオは、この予想について新しい結果を発表しました。「ほとんどすべての数について、操作をくり返すと、ほとんど有界な値(とても小さな値)に達する」という内容です。「ほとんどすべて」というのは、数学の言葉で「例外がほとんどない」という意味で、「すべて」とは違います。予想そのものの完全な証明ではありませんが、これまでで最も強い結果の1つとして、世界の数学者に注目されました。

業績5 ほかの分野:調和解析・偏微分方程式・組合せ論

タオの仕事は、素数の分野だけではありません。フィールズ賞の授賞理由にも、偏微分方程式・組合せ論・調和解析・加法的整数論が並んでいます。たとえば、行列の固有値についてのホーン予想(ナットソンと共同で解決)、エルデシュのずれの問題(2015年に解決と報じられた)などの業績があります。また、水や空気の流れを表す方程式として知られるナビエ–ストークス方程式の難問についても、関連する研究を発表しています。

これほど広い範囲の仕事をする数学者は、そう多くありません。専門家のあいだでは、「一つの分野で得た考え方を、別の分野に生かすのが上手」と評されることがあります。

テレンス・タオの名前がつく公式・定理・用語

  • グリーン・タオの定理:素数の中に、どんなに長い等差数列もある(2004年)。
  • ホーン予想の解決(ナットソン・タオ):行列の固有値の関係についての予想。
  • メイナード・タオのふるい:素数の間隔を調べる方法で、メイナードとタオが別々に見つけたことで知られる。
  • ポリマス8のプロジェクト:双子素数予想に関する差の上限を縮めた共同研究(2013〜14年)。

高校数学までで、関係する公式・用語は次のとおりです。

「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

タオの定理のポイントは「素数はまばらなのに、長い等差数列が必ずある」こと。まばらでも「かたよっていない」から、どこかに規則正しい並びが現れるんだ。入試でも、数列の問題で「規則を見つける」力が試されるよ。

テレンス・タオの逸話(公に知られた話)

神童として知られるまで

タオが、10歳で国際数学オリンピックに出場し、13歳で金メダルをとったことは、公式の記録で確かめられます。この記録(最年少の金メダル)は、その後も破られていないとされています。ただし、「何歳で何ができた」という細かい逸話は、報道や本によって少しずつ話が変わることがあります。ここでは、資料で確かめられた事実だけを書きました。

数学を「公開して」進める

タオは、研究のようすや数学の解説を、インターネット上のブログで公開していることでも知られます。ポリマス・プロジェクトのように、世界中の数学者が、ネット上で議論しながら1つの問題に取り組むという新しい研究のしかたに、積極的に参加してきました。かつては、数学者は1人で、あるいは少人数で、秘密のうちに研究を進めるイメージがありました。いまは、公開された議論から新しい成果が生まれることもあるのです。

「ほとんどすべて」の数学

2019年のコラッツ予想の論文では、「すべての数」ではなく「ほとんどすべての数」という考え方が使われました。完全な解決でなくても、難問の理解を一歩進めることに大きな価値がある、というのが、この結果の面白いところです。解けない問題にぶつかったときに、条件をゆるめて、できる範囲から進めることは、受験勉強でも役立つ考え方です。

オリンピックの金メダリストが研究者になる

国際数学オリンピックのメダリストの中から、のちに、フィールズ賞を受ける数学者が何人も出ています。タオもその1人です。ただし、数学オリンピックの強さと、研究の強さは、別の力だとも言われます。研究では、答えのない問題に、何年も向き合う粘り強さが必要です。

サクラちゃん

サクラちゃん

解けない問題を、何年も考え続けるなんて……私にはできる気がしません。

合格先生

合格先生

大丈夫。いきなり全部は解けなくていいんだ。タオだって「ほとんどすべての数」のように、できるところから攻めた。入試でも、(1)から順に解いて、部分点を積み上げていくでしょう。それと同じ考え方だよ。

受験・勉強とタオのつながり

中学受験:素数と等差数列

中学受験の算数では、素数の見つけ方(エラトステネスのふるい)や、等差数列の規則性が出ます。「5, 11, 17, 23, 29 のように、公差6で素数がつづく例を探しなさい」のような問題は、グリーン・タオの定理の入口です。素数の基本は唯一の偶数の素数「2」の話も読んでみてください。

高校受験:連続する整数・規則性

高校受験では、数の並びの規則を見つけて、文字式で説明する問題が出ます。等差数列は「初項+公差×(番号−1)」で表せます。10項の素数の例 199+210n199+210n のように、式にまとめると見通しがよくなります。

大学受験:整数問題・数列・合同式

大学受験の整数問題は、素数・倍数・余りが中心です。「素数だけの等差数列で、公差が6の倍数になる」ことは、合同式(mod)の計算で説明できます。たとえば、3より大きい素数は、3で割ると1か2余るので、3項つづく等差数列の公差は3の倍数になる、といった議論です。京都大学・東京大学の整数問題の傾向は京大理系数学の出題分析(1999〜2026年度)が参考になります。西暦を題材にした整数問題は2027は素数?双子素数と西暦の入試問題も見てみましょう。

数列の極限と対数

素数の個数の近似 x÷log⁡xx\div\log x には、対数の意味と性質が出てきます。数学IIIの極限では、「xx が限りなく大きくなるとき、割合がどうなるか」を調べます。素数の割合が0に近づくことは、極限の考え方で説明できます。

勉強法として:「小さい例」から攻める

タオの仕事のすごさは、難問に新しい角度から向き合うことです。受験勉強では、まず小さい数で実験することをおすすめします。素数の問題なら、まず30までの素数を書き出して、規則を探します。この「小さく試す」習慣が、大きな問題を解く土台になります。勉強の進め方は数学の勉強法(解法の暗記→演習→過去問)も読んでください。

テレンス・タオがその後の数学にあたえた影響

  • 素数と等差数列の研究:グリーン・タオの定理の方法は、素数についてのほかの問題にも使われ、「ほぼランダムな集合」で考える手法として広まりました。
  • 双子素数予想の研究:ポリマス8の共同研究は、素数の間隔の研究を大きく進めました。
  • オンラインでの共同研究:ポリマス・プロジェクトは、インターネットを使って、世界中の数学者が1つの問題に取り組むという新しい研究のしかたを広めました。
  • 数学の発信:ブログでの解説などを通して、数学の考え方を、多くの人に伝えています。
  • 若い世代への影響:国際数学オリンピックの最年少金メダリストが世界的な研究者になった例として、数学を学ぶ多くの若者の目標になっています。

タオの仕事は、オイラーの業績が素数を研究して以来の、およそ300年の素数研究の流れの上にあります。ガウスの業績が少年のときに予想した素数の分布の法則、リーマンのリーマン予想、ハーディの業績と生涯の整数論と、数学者たちは素数のふしぎに挑み続けてきました。タオは、その最前線の一人です。

なお、タオは現在も研究を続けている数学者です。新しい論文や業績は、これからも発表されていくでしょう。この記事は、2026年10月時点で公に知られている内容にもとづいています。新しい情報は、数学者本人の公式サイトや、大学の発表、専門誌で確かめてください。

タオに挑戦!練習問題

やさしい

  1. 公差6の等差数列 5, 11, 17, 23, 29 の次の項を求め、素数かどうか答えなさい。
    答えと解説を見る29+6=29+6=35。35=5×735=5\times7 なので、素数ではありません。だから素数だけの等差数列は5項で止まります。
  2. 199+210n199+210n で n=2n=2 のときの値を求めなさい。
    答えと解説を見る199+210×2=199+420=199+210\times2=199+420=619。(619も素数です)

ふつう

  1. 5から始めて公差6で素数だけが続くとき、何項まで続きますか。
    答えと解説を見る5, 11, 17, 23, 29 と続き、次の35は素数ではありません。よって5項です。
  2. 等差数列 199+210n199+210n(n=0,1,…,9n=0,1,\dots,9)の最後の項を求めなさい。
    答えと解説を見る199+210×9=199+1890=199+210\times9=199+1890=2089。(2089も素数で、10項すべてが素数です)

むずかしい

  1. コラッツの操作(偶数なら÷2、奇数なら×3+1)を7から始めて、1になるまで続けます。何回の操作で1になりますか。また、途中で現れる最大の数を答えなさい。
    答えと解説を見る7→22→11→34→17→52→26→13→40→20→10→5→16→8→4→2→1。操作は16回。最大は52です。
  2. 100以下の素数は25個あります。x÷log⁡xx\div\log x に x=100x=100 を代入して(log⁡100≈4.605\log100\approx4.605)小数第1位まで求め、25個と比べなさい。
    答えと解説を見る100÷4.605≈100\div4.605\approx21.7。実際の25個より少し小さいですが、おおよその大きさは合っています。(xx が大きいほど、割合のずれは小さくなります)

テレンス・タオと関係する数学者

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現代(1940年以降生まれ)の数学者

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有名な数学者一覧(年代順・国別・分野別)で、ほかの数学者も見られます。数学者たちが挑んだ問題は数学の難問・未解決問題の一覧にまとめています。

読みもの(合格大作戦の数学の記事)

よくある質問

テレンス・タオは何をした人ですか?

テレンス・タオは、オーストラリア出身でアメリカのUCLAで教える数学者です。素数だけの等差数列がどんなに長くてもあることを示したグリーン・タオの定理で知られ、2006年にフィールズ賞を受けました。

グリーン・タオの定理とは何ですか?

素数だけでできた等差数列は、どんなに長いものでも存在する、という定理です。たとえば5, 11, 17, 23, 29は公差6の5項の例です。2004年にベン・グリーンとテレンス・タオが証明しました。

テレンス・タオは神童だったのですか?

国際数学オリンピックに10歳で出場し、1988年に13歳で金メダルをとり、最年少の金メダリストとされています。24歳でUCLAの教授になったことも公式の記録で知られています。

テレンス・タオはいつフィールズ賞を受賞しましたか?

2006年にスペインのマドリードで開かれた国際数学者会議で受賞しました。理由は、偏微分方程式、組合せ論、調和解析、加法的整数論への貢献です。

ポリマス・プロジェクトとは何ですか?

インターネット上で世界中の数学者が議論しながら共同で問題に取り組む試みです。2013年のポリマス8では、双子素数予想に関する差の上限を7000万から4680まで縮め、のちに246まで縮まりました。

テレンス・タオはコラッツ予想を解決したのですか?

解決はしていません。2019年に、ほとんどすべての数について、コラッツの操作をくり返すと、ほとんど有界な値に達することを示しました。予想そのものは今も未解決です。

弱いゴールドバッハ予想とタオの関係は?

タオは2012年に、1より大きい奇数は高々5個の素数の和で書けることを示しました。その翌年、ヘルフゴットが、奇数は3つの素数の和で書けるという弱いゴールドバッハ予想の証明を発表しました。

テレンス・タオはどんな賞を受けていますか?

フィールズ賞(2006年)のほか、サレム賞、ボッヒャー記念賞、クレイ研究賞、クラフォード賞、ロイヤルメダル、リーマン賞などがあります。

テレンス・タオの仕事は受験に関係がありますか?

素数や等差数列、素数の個数の近似に出てくる対数などは、中学・高校・大学受験の整数問題と同じ土台です。小さい例で実験して規則を探す姿勢も、受験勉強に役立ちます。

あわせて読みたい

出典・参考

  • MacTutor History of Mathematics「Terence Tao」(セント・アンドルーズ大学)
  • B. Green, T. Tao, “The primes contain arbitrarily long arithmetic progressions”, Annals of Mathematics 167(2008年)
  • T. Tao, “Every odd number greater than 1 is the sum of at most five primes”, Mathematics of Computation(2014年)
  • 国際数学連合(IMU)「Fields Medal 2006」

最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦