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エラトステネスEratosthenes
ひとことで言うと
素数を見つける「ふるい」を考え、影の角度から地球の大きさを測ったと伝えられる、アレクサンドリア図書館の館長。数学・天文・地理・歴史にくわしい万能の学者。
| 名前 | エラトステネス(キュレネのエラトステネス、Eratosthenes of Cyrene) |
|---|---|
| 生没年 | 前276年ごろ〜前194年ごろ(80歳をこえていたとされる) |
| 国 | 古代ギリシャ(キュレネ生まれ、エジプトのアレクサンドリアで活躍) |
| 分野 | 数論・幾何・天文学・地理学・年代学 |
| 主な業績 | エラトステネスのふるい(素数)、地球の円周の測定(約25万スタディア)、『地理学』、立方体倍積の装置メソラベ、地軸の傾き |
| 名前がつくもの | エラトステネスのふるい・月のクレーター「エラトステネス」・小惑星3251エラトステネス |
| よばれ方 | 「ベータ」「五種競技の選手」(あだ名)・アレクサンドリア図書館の館長 |
このページのポイント
- エラトステネスのふるい:2・3・5…の倍数を順に消すと素数だけが残る。100まで調べるなら、7の倍数まででよい
- 地球の円周:影の角度7.2°(360°の1/50)と、2つの町の距離約5000スタディアから、約25万スタディアと求めたと伝えられる
- アレクサンドリア図書館の館長。全分野に通じ、「ベータ(2番目)」とあだ名された。本は失われ、多くは後世の引用で伝わる
エラトステネスは何をした人?(業績をひとことで)
エラトステネス(前276年ごろ〜前194年ごろ)は、古代ギリシャの数学者・天文学者・地理学者・詩人・図書館長です。北アフリカのキュレネ(今のリビア)で生まれ、エジプトのアレクサンドリア図書館の館長として活躍しました。素数を見つける「エラトステネスのふるい」と、地球の大きさ(円周)を測ったことで、世界でいちばん有名な古代の学者のひとりです。
「ふるい」は、2の倍数、3の倍数、5の倍数……を順に消していくと、素数だけが残るという、とてもかんたんな方法です。小学生でも手で試せますが、プログラミングでも今なお使われる、数学と情報の定番の考え方です。地球の大きさのほうは、2つの町の影の角度のちがいと、町の間の距離だけから求めたというところに、大きなおどろきがあります。
ただし、エラトステネスの本は、ほとんど失われています。地球の測定を書いた『地球の測定について』も残っていません。内容は、のちの人(クレオメデス、ストラボン、プトレマイオスなど)が引用した文章から分かります。そのため、このページでは確かなことと「〜と伝えられます」「諸説あります」の話をはっきり分けて書きます。
受験生にとっては、素数とは(意味と見つけ方)と素因数分解とはの人、そして「中心角と弧の長さは比例する」の人です。中学受験の素数・倍数の問題、中学3年の素因数分解、高校数学Aの整数の性質は、どれもエラトステネスの「ふるい」と深くつながっています。くわしい問題は素因数分解と約数の個数の問題で練習できます。
うかるくん
エラトステネスって、素数のふるいの人ですよね。地球の大きさまで測ったなんて、本当ですか?
合格先生
本当だよ。しかも2000年以上前に、ほぼ正しい値を出したと考えられているんだ。使ったのは、影の角度と2つの町の距離だけ。もちろん、現代のような測量の道具はない。「どうすれば地球ぜんたいが測れるか」を、頭の中の図形で考え抜いたんだ。

エラトステネスの生涯と年表
キュレネに生まれ、アテネで学んだ
エラトステネスは、前276年ごろ、北アフリカのギリシャ人の町キュレネ(今のリビア東部)で生まれました。先生には、同じキュレネ出身の学者リュサニアスや、ストア学派の哲学者アリストンなどがいたと伝えられます。また、詩人で学者のカリマコスにも学んだとされます。そのあと、数年間アテネで勉強しました。
アレクサンドリアへ、図書館長に
前245年ごろ、エジプトの王プトレマイオス3世が、エラトステネスをアレクサンドリアに招き、王子(のちのプトレマイオス4世)の家庭教師にしたと伝えられます。そのあと、エラトステネスはアレクサンドリア図書館の館長になりました(前任はロドスのアポロニオスとする説が有力で、時期は前245年ごろとも前235年ごろともいわれます)。図書館は、何十万巻ともいわれる巻物をもつ、当時の世界最大の学問の中心でした。ただし、歴代の館長の順番については、研究者のあいだに別の説もあります。
「ベータ」と「五種競技」というあだ名
エラトステネスは、数学・天文・地理・歴史・文学・詩・哲学と、あらゆる分野に通じた人でした。ところが、同時代の人たちは、どの分野でも「一番にはおよばない」と見たようです。そのため、ギリシャ文字の2番目をとって「ベータ(β)」、また「ペンタトロス(五種競技の選手)」というあだ名がついたと伝えられます。五種競技の選手は、全部の種目でそこそこ強いけれど、どれも1位にはならない選手のことです。ひやかしのようなあだ名ですが、いまでは、とても幅広く活躍した人という意味でも語られます。
晩年と最期
エラトステネスは、晩年に目が見えなくなったと伝えられます。ビザンツ帝国の事典『スーダ』には、それが原因で、自ら食べ物をたって亡くなったという話が書かれていますが、くわしいことは分かりません。亡くなった年は、前194年ごろ、アレクサンドリアとされ、80歳をこえていたことになります。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 前276年ごろ | 北アフリカのキュレネ(今のリビア)に生まれる |
| 前3世紀前半 | アテネで数年間学ぶ。カリマコスらに師事したと伝えられる |
| 前245年ごろ | プトレマイオス3世に招かれ、アレクサンドリアへ。王子の家庭教師になる |
| 前245年〜前235年ごろ | アレクサンドリア図書館の館長になる(時期は諸説) |
| 前3世紀なかば | 『プラトニコス』『平均値について』などを書く(どちらも失われた) |
| 前3世紀 | 素数をふるいで見つける方法を考えたと伝えられる |
| 前3世紀なかば | 『地球の測定について』を書き、地球の円周を約25万スタディアと求めたと伝えられる |
| 前3世紀 | 『地理学』を書き、地球を緯線・経線の線でとらえる地図を考える |
| 前3世紀 | 暦にうるう年を入れる提案をしたと伝えられる |
| 前194年ごろ | アレクサンドリアで亡くなる(80歳をこえていたとされる) |
| 2世紀 | プトレマイオスが、地軸の傾きの値をエラトステネスのものとして引用する |
| 1世紀ごろ | ニコマコスの『算術入門』に、ふるいが紹介される |
エラトステネスの主な業績をやさしく解説
業績1 エラトステネスのふるい(素数を見つける方法)
素数(素数の意味と例)とは、1とその数自身でしか割り切れない、2以上の数のことです。2・3・5・7・11・13……と、いくらでもあります。ある数が素数かどうかを調べるには、小さい数から順に割ってみる方法がありますが、たくさんの数を一度に調べるには、エラトステネスの方法が便利です。1から50までなら、つぎの手順です。
- 1から50までの数を、順に書きならべる。
- 1は素数ではないので消す。
- 2は素数。2の倍数(4・6・8…)をすべて消す。
- 残っているいちばん小さい数は3。3は素数。3の倍数(6・9・12…)を消す。
- つぎに残る5と7も同じように、その倍数を消していく。
- 最後まで消されずに残った数が、素数。
この方法は、「素数でない数は、かならず小さい素数の倍数になっている」という性質を使っています。たとえば、50以下の合成数(素数でない数)は、 以下の素数、つまり2・3・5・7のどれかで割り切れます。ですから、7の倍数まで消せば十分です。次の素数11の倍数は、22・33・44…ですが、これらは2や3の倍数としてもう消えています。
これは、素数が無限にあることを証明したユークリッドの仕事とは別の、素数を具体的に見つけるための道具です。このふるいは、エラトステネスの時代からおよそ2000年たった今でも、コンピュータで素数の表を作るときの基本の方法です。大きな範囲の素数を一度に求めるには、ふるいが速く、プログラミングの入門でも必ず取り上げられます。なお、「ふるい」という言い方は、ニコマコスが『算術入門』の中で紹介したときの説明に由来するもので、エラトステネス自身の本は残っていません。また、素数の見つけ方については、2027は素数?双子素数と西暦の入試問題や唯一の偶数の素数「2」の話も読んでください。
業績2 地球の大きさを測った
エラトステネスがいちばん有名なのが、地球の円周を計算で求めたことです。もとになったのは、つぎの2つの観察でした。
- シエネ(今のエジプトのアスワン)では、夏至の日の正午に、太陽がほぼ真上にくる。地面に立てた棒の影ができず、深い井戸の底まで日がさす、といわれていた。
- 同じ日の同じ時刻に、北のアレクサンドリアでは、棒に影ができる。その影の角度を測ると、7.2°(7度12分)で、円全体(360°)の50分の1にあたる。
太陽はとても遠くにあるため、地球にとどく光は、ほぼ平行だとみなせます。平行な光が2つの町にとどくとき、錯角は等しいので、影の角度7.2°は、地球の中心から2つの町を見たときの中心角7.2°と同じです。中学1年の平行線と角(錯角・同位角)を使うだけで分かる、きれいな理屈です。
つぎに、2つの町の距離です。当時、アレクサンドリアとシエネの距離は、約5000スタディアと見られていました。7.2°が360°の50分の1なので、2つの町の距離も、地球の円周の50分の1です。だから、円周=5000×50=25万スタディアと求められます。これは、比例の考え方(中心角と弧の長さは比例する)の問題そのものです。
では、この答えはどのくらい正しかったのでしょうか。1スタディアの長さにはいくつかの説があります。エジプトのスタディアを約157.5mとすれば、25万スタディアは約39,400kmで、実際の地球の円周(約40,000km)にとても近い値です。いっぽう、約185mのスタディアなら約46,000kmで、1割以上大きくなります。どちらが使われたのかは、今も研究者の間で議論されています。さらに、シエネは実際の回帰線から少しはずれている、2つの町は同じ経度ではない(少し東西にずれている)など、エラトステネスの前提には正確でない部分もありました。それでも、考え方が正しいことは変わりません。
この測定については、「ラクダの隊商が50日かけて歩いた距離から、5000スタディアを出した」という話がよく紹介されますが、どの資料にもはっきり書かれているわけではなく、伝説かもしれません。確かなのは、エラトステネスが地球は丸くて、その大きさは測れると考え、そのための考え方を図形で示した、ということです。
業績3 『地理学』と、緯線・経線の地図
エラトステネスは、「地理学(ゲオグラフィカ)」という言葉を広めた人ともいわれます。彼は3巻の本で、当時知られていた世界を、緯線(東西の線)と経線(南北の線)を使って整理しようとしました。ロードス島を通る線を基準にして、世界を東西・南北の線で区切り、地点の位置を数で表そうとしたのです。この考えは、2世紀のプトレマイオスの『地理学』にひき継がれました。
また、ナイル川の流れを、かなり正確に描いていたことも知られています。アフリカの上流のほうの2つの支流を知っていて、ナイル川の洪水は、水源の近くに大雨が降るために起こる、と説明したとされます。当時は、この洪水の原因について、タレスの業績と生涯をはじめ、多くの人が見当ちがいの説を唱えていたので、エラトステネスの説明は、ほぼ正しい答えでした。
業績4 年代学・暦・星表
エラトステネスは、歴史の出来事に年号をつけた最初の人のひとりでもあります。トロイア戦争のころから、文学や政治の出来事を、年代順に並べようとしました。この仕事は、のちの「年表」の考え方の先がけです。また、うるう年を入れた暦を考えたという話や、675個の星を載せた星表を作ったという話も伝わっています(どちらも、くわしい内容は分かっていません)。
さらに、地球の自転軸の傾き(太陽の通り道と赤道の角)を、約23°51′と測ったと、プトレマイオスが伝えています。ただし、この値がエラトステネス本人のものか、プトレマイオスの修正かは議論があり、確かではありません。月や太陽までの距離も計算したとされますが、その値は、いまの正しい値とは大きく異なります。
業績5 立方体倍積問題と「メソラベ」
古代ギリシャには、立方体の体積を2倍にする立方体を作れという有名な難問(立方体倍積問題)がありました。定規とコンパスだけでは、作れないことが、のちの近代の数学で証明されます。エラトステネスは、機械の装置(メソラベ)を使うことで、この問題を解く方法を考えたと伝えられます。
この装置は、aとbが与えられたとき、 を満たす2つの線分xとyを、動かして求めるものです。bがaの2倍なら、xは の 倍になり、体積が2倍の立方体の辺の長さが得られます。エラトステネスは、この装置を作って、プトレマイオス3世に献上した、と伝えられます。ただし、この話はのちの時代の「偽の手紙」にもとづくため、細部は確かではありません。それでも、手紙の中には本物のエラトステネスの文章が使われていると考えられていて、数学史の貴重な資料です。
エラトステネスの名前がつく公式・定理・用語
エラトステネスの名前は、「エラトステネスのふるい」という言葉でいちばん知られています。そのほか、月の地形の名前などにも使われています。
- エラトステネスのふるい:素数を一度に見つける方法。→ 素数の意味と見つけ方、素因数分解と約数の個数
- 素数の判定: までの素数で割る:ある数 が素数かどうかは、 以下の素数で割れるかを調べれば十分。→ 整数の性質(約数の個数・倍数の判定)
- 地球の円周の測定:影の角度と距離から、円周を求める。→ 比例の式(中心角と弧の長さ)、円周率3.14の計算のくふう
- メソラベ:立方体倍積のための装置。 を満たす2つの線分を求める。
- 月のクレーター「エラトステネス」・小惑星3251エラトステネス:名前にちなんだ天体の名前。
倍数・約数の考え方は、約数の和と完全数や、ユークリッドの互除法の使い方にもつながります。「ふるい」で素数を見つけ、「互除法」で最大公約数を求め、「素因数分解」で整数を分ける――この3つがそろうと、整数の問題がぐっと見通しよくなります。

合格先生
100までの素数を25個覚えておくと、整数の問題が速くなるよ。2・3・5・7・11・13・17・19・23・29……と、声に出して言えるようにしよう。ふるいの絵が頭に浮かべば、忘れにくいよ。
エラトステネスの逸話と名言
アルキメデスが手紙を送った相手
エラトステネスは、同じ時代のアルキメデスと親しく、アルキメデスの有名な著作『方法』は、エラトステネスにあてた手紙の形で書かれています。「牛の問題」という、とてつもなく大きな数を答えにもつ有名なパズルも、アルキメデスがエラトステネスらに送ったものと伝えられます。この話から、エラトステネスが、同時代の最高の数学者から数学の仲間として認められていたことが分かります。
メソラベにそえられた言葉
これは、キュレネのエラトステネスからの贈り物だと、これを見た人が言うように。
「ベータ」とよばれた学者
あだ名の「ベータ(2番目)」は、当時の人たちが、エラトステネスを「どの分野でも、一番ではないが、とにかく幅広い」と評したことからきたと伝えられます。このあだ名が、本当に悪口だったのか、それとも半分ほめ言葉だったのかは分かりません。いまでは、「2番手でも、これだけの仕事を残した」という見方もあります。
シエネの「底まで光がさす井戸」
「夏至の正午に、シエネの深い井戸の底まで日がさした」という話は、地球の測定の話といっしょによく紹介されます。この話は、エラトステネスの測定の背景として語られますが、エラトステネス本人が井戸を使って測ったと書いた古い資料は、はっきりしません。のちの時代の人が、物語として語りはじめたものとも考えられます。
目が見えなくなったときの最期
エラトステネスは、晩年に目が見えなくなり、研究も読書もできなくなったことを悲しんで、食べ物をたって亡くなったと伝えられます。『スーダ』という事典に書かれた話ですが、その真偽は確かめられていません。
サクラちゃん
地球の大きさを測ったのに、「ベータ」なんて、ひどいあだ名ですね……。
合格先生
そうだね。でも、全部の分野で2番目というのは、全部の分野に通じていた、ということでもあるよね。受験でも、1つの教科だけでなく、全教科でバランスよく得点する力が大切だよ。エラトステネスのように、広く学んで、それを組み合わせて新しい答えを出すのは、すてきな学び方だと思うな。
受験・勉強とエラトステネスのつながり
中学受験:素数・倍数・約数
中学受験の算数では、素数・倍数・約数・素因数分解が毎年のように出ます。「100までの素数を、小さい順に答えなさい」「2・3・5のどれでも割り切れない数はいくつあるか」などは、エラトステネスのふるいの考え方そのものです。素因数分解と約数の個数、約数の和と完全数、最大公約数・最小公倍数は、必ず練習しておきましょう。
高校受験:素因数分解・整数の性質
高校入試では、素因数分解を使った整数の問題(「 が整数になる最小の 」など)や、地球の話からは、中心角と弧の長さの比例が基本になります。円周の長さと弧の長さの求め方は、円周率の計算のくふうで復習できます。
大学受験:整数・素数・計算の考え方
大学入試では、素数の性質が、難関大の整数問題の定番です。「 が素数かどうかの判定」「 に含まれる素因数の個数」「素数の積」などで、ふるいの考え方( までの素数を調べれば十分)がそのまま使えます。京大・東大などの整数問題の出方は、京大理系数学の出題分析(整数問題の出方)で確かめられます。また、情報の分野では、素数を見つけるアルゴリズムの代表例として、エラトステネスのふるいが扱われます。
勉強法として:「全体を見る」「ひとつずつ消す」
エラトステネスの方法には、勉強のヒントがあります。「全部を一度に書き出す」「小さいところから順に、ひとつずつ消していく」――この2つを、苦手分野の整理にも使えます。やることを全部書き出して、終わったものから消していくと、残った数が少なくなるほど、やる気も上がります。数学の勉強法は、数学の勉強法(解法の暗記→演習→過去問)も参考にしてください。
エラトステネスがその後の数学にあたえた影響
- 素数の研究:素数を調べる道具としてのふるいは、近代の素数研究へつながりました。ガウスの業績と生涯は少年のころ素数表を使って個数の法則を予想し、リーマンはそれを複素数の世界で調べました。のちに素数定理として証明されます。
- 計算の効率の考え方:どこまで調べれば十分か( まで)という考え方は、コンピュータの計算量の考え方(アルゴリズムの効率)へつながっています。
- 地球の測定と地図:エラトステネスの測定は、ポセイドニオス、プトレマイオスと続き、近代の子午線の測量につながります。18世紀のフランスでは、「地球の子午線の長さの4000万分の1を1メートルとする」という考えでメートルが決められました。
- 緯度・経度:地球を緯線・経線で区切る考えは、現在の地図、そして今のGPSの座標にまで続いています。
- 学問の図書館:多くの分野の知識を、1か所に集めて整理するやり方は、今の百科事典や大学の学問の分類のもとになりました。
エラトステネスの測定がしめしたのは、「直接測れないものも、考え方しだいで測れる」ということです。この発想は、タレスのピラミッドの高さの測定にはじまり、アルキメデスの測定の数学へ、そして、のちのヘロンの測量の数学へつながっていきます。数学の記号の読み方は数学でよく使う記号の意味一覧(Σ・∫・≡)もどうぞ。
エラトステネスに挑戦!練習問題
やさしい
- エラトステネスのふるいを使って、1から30までの素数をすべて答えなさい。
答えと解説を見る
1を消し、2・3・5の倍数を消すと残るのは、2・3・5・7・11・13・17・19・23・29の10個。(7の倍数は、14・21・28で、すでに2や3の倍数として消えています) - 影の角度7.2°は、360°の何分の1ですか。
答えと解説を見る
360÷7.2=50。つまり、50分の1です。
ふつう
- 2つの町の距離が5000スタディアで、その間の中心角が7.2°のとき、地球の円周は何スタディアになりますか。
答えと解説を見る
中心角と弧の長さは比例するので、360:7.2=(円周):5000。円周=5000×360÷7.2=250,000スタディア。 - 1から100までの素数をふるいで求めるとき、最後に使う素数はいくつですか。理由も答えなさい。
答えと解説を見る
100の平方根は10。10以下の素数は2・3・5・7なので、最後に使う素数は7。次の素数11は、 で100をこえるため、倍数を消す必要がありません。
むずかしい
- 1から100までの整数のうち、2・3・5のどれでも割り切れない数はいくつありますか。
答えと解説を見る
2の倍数50個、3の倍数33個、5の倍数20個。2と3の公倍数(6の倍数)16個、2と5(10の倍数)10個、3と5(15の倍数)6個、2・3・5すべて(30の倍数)3個。割り切れる数は 50+33+20−16−10−6+3=74個。したがって、100−74=26個。(1と、7以上の素数22個と、49・77・91の3個の合計) - 地球の円周を40,000kmとします。緯度が7.2°ちがう2つの地点の、南北の距離はおよそ何kmですか。
答えと解説を見る
7.2°は360°の1/50なので、40,000÷50=800km。(アレクサンドリアとシエネの実際の距離は約800km台で、エラトステネスの5000スタディアが、ほぼ合っていたことが分かります)
エラトステネスと関係する数学者
- アルキメデス(円周率と球の体積):同じ時代の数学者。『方法』という本を、エラトステネスにあてた手紙として書きました。
- ユークリッド(『原論』・素数が無限にある証明):エラトステネスより少し前の、アレクサンドリアの数学者です。
- アポロニウス(円錐曲線):エラトステネスと同じ時代のギリシャ数学者です。
- タレス(影でピラミッドの高さを測った人):影と相似で、直接測れないものを測る考え方の先輩です。
- プトレマイオス(天文学と地理学):エラトステネスの地理学を受けついで、地図の座標をととのえました。
- ガウス(素数の個数の予想):素数の研究を、近代の数学へとつなげました。
数学の公式を1つずつ学ぶなら算数・数学の公式一覧(公式辞典)、用語の意味から調べるなら数学用語辞典(用語の意味を1語1ページ)もどうぞ。
古代の数学者
- タレスの業績と生涯
「半円に対する円周角は直角」(タレスの定理)。証明を数学に持ちこんだ最初の人とされる - ピタゴラスの業績と生涯
三平方の定理(ピタゴラスの定理)。「万物は数である」の教団を開いた - ユークリッドの業績と生涯
『原論』で幾何学を体系にまとめた。ユークリッドの互除法・素数が無限にあることの証明 - アルキメデスの業績と生涯
円周率を3.14まで求め、球の体積と表面積を発見。てこ・浮力の原理 - アポロニウス(前262ごろ〜前190ごろ)
『円錐曲線論』。楕円・放物線・双曲線の名前をつけた - ヘロンの業績と生涯
3辺の長さから三角形の面積を出す「ヘロンの公式」 - プトレマイオス(100ごろ〜170ごろ)
『アルマゲスト』。円に内接する四角形の「トレミーの定理」 - ディオファントス(200ごろ?〜284ごろ?)
『算術』。整数の解を求める方程式(ディオファントス方程式)。「代数の父」 - 劉徽(220ごろ?〜280ごろ?)
『九章算術』の注釈。正多角形で円周率を3.14まで求めた - パップス(290ごろ〜350ごろ)
中線定理・パップス=ギュルダンの定理。ギリシャ数学をまとめた - ヒュパティアの業績と生涯
記録に残る最初期の女性数学者。円錐曲線論などを注釈して教えた - 祖沖之の業績と生涯
円周率を3.1415926〜3.1415927の間と求め、355/113(密率)を示した
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よくある質問
エラトステネスは何をした人ですか?
エラトステネスは、古代ギリシャの数学者・天文学者・地理学者で、アレクサンドリア図書館の館長でした。素数を見つける「エラトステネスのふるい」と、影の角度から地球の円周を求めた測定で知られます。
エラトステネスのふるいとは何ですか?
2以上の数を並べ、2の倍数、3の倍数、5の倍数と、素数の倍数を順に消していくと、最後に素数だけが残るという方法です。たとえば50までなら、7の倍数まで消せば十分です。今でも、プログラミングで素数の表を作るときの基本の方法です。
エラトステネスはどうやって地球の大きさを測ったのですか?
夏至の正午、シエネでは太陽が真上にきて影ができず、アレクサンドリアでは7.2°の影ができたことから、2つの町の間の中心角が360°の50分の1と分かります。町の間の距離約5000スタディアを50倍して、地球の円周を約25万スタディアと求めたと伝えられます。
エラトステネスが求めた地球の大きさは正確でしたか?
1スタディアの長さに説があり、はっきりしません。約157.5mとすれば約39,400kmで、実際の約40,000kmにとても近い値になります。約185mなら約46,000kmで、少し大きくなります。どちらを使ったかは、今も議論されています。
エラトステネスの名言はありますか?
立方体倍積の装置メソラベを献上したときの詩の結び「これは、キュレネのエラトステネスからの贈り物だ」が、のちの引用で伝わります。ただし、この文を含む手紙は偽物とされており、本人の言葉かどうかは確かではありません。
「ベータ」というあだ名はなぜつきましたか?
エラトステネスが多くの分野に通じていたものの、どの分野でも一番にはおよばないと見られたため、ギリシャ文字の2番目「ベータ」と、「五種競技の選手」とよばれたと伝えられます。いまでは、幅広い才能をたたえる意味でも語られます。
エラトステネスは何歳で、どこで亡くなりましたか?
前194年ごろ、エジプトのアレクサンドリアで、80歳をこえて亡くなったとされます。晩年に目が見えなくなり、食をたって亡くなったという話が事典『スーダ』にありますが、真偽は確かではありません。
エラトステネスとアルキメデスの関係は?
ほぼ同じ時代に生き、アルキメデスが著作『方法』をエラトステネスにあてた手紙として書いたことが知られています。また、有名な「牛の問題」も、アルキメデスがエラトステネスらに送ったと伝えられます。
エラトステネスのふるいは受験に出ますか?
「100までの素数」「2・3・5のどれでも割り切れない数の個数」などの形で、中学受験の素数・倍数の問題によく出ます。高校・大学入試でも、素数の判定は√n以下の素数で割ればよい、という考え方がそのまま使えます。
素数が100までにいくつあるかを教えてください。
1から100までの素数は25個です。2・3・5・7・11・13・17・19・23・29・31・37・41・43・47・53・59・61・67・71・73・79・83・89・97です。ふるいで求めるときは、100の平方根である10以下の素数、つまり2・3・5・7の倍数を消せば十分です。
あわせて読みたい
出典・参考
- J. J. O’Connor and E. F. Robertson, “Eratosthenes of Cyrene”, MacTutor History of Mathematics Archive(セントアンドルーズ大学)
- T. L. Heath, “A History of Greek Mathematics, Vol. 2”(1921年)
- D. Rawlins, “Eratosthenes’ Geodesy Unraveled”, Isis(1982年)
- クレオメデス『天体の円運動について』/ストラボン『地理誌』
- 肖像:作者不明の版画「Eratosthenes」、Wikimedia Commons(パブリックドメイン)
最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦



