ピタゴラスは何をした人?業績・生涯・名言をわかりやすく|三平方の定理・万物は数・無理数

ピタゴラスは何をした人?業績・生涯・名言をわかりやすく|三平方の定理・万物は数・無理数

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ピタゴラスPythagoras

ひとことで言うと

「万物は数である」と考えたピタゴラス教団の祖。三平方の定理(ピタゴラスの定理)で名高い。ただし、本人が書いた本はなく、業績の多くは「〜と伝えられる」話。

名前ピタゴラス(ピュタゴラス、Pythagoras)
生没年前570年ごろ〜前495年ごろ(はっきりした年は分かっていません。諸説あり)
国古代ギリシャ(サモス島生まれ、南イタリアのクロトンで活躍)
分野幾何・数論・音楽の数理・哲学
主な業績三平方の定理(ピタゴラスの定理)、弦の長さと音の比、三角数・四角数・完全数、無理数(√2)の発見、ピタゴラス教団
名前がつくもの三平方の定理(ピタゴラスの定理)・ピタゴラス数・ピタゴラス音律・ピタゴラス学派
よばれ方ピタゴラス教団の祖。「万物は数である」の思想で知られる

このページのポイント

  • 三平方の定理 a²+b²=c²は中学3年で習う。ただし発見者がピタゴラスかは分からず、バビロニアや中国でも昔から知られていた
  • 弦の長さの比 1:2・2:3・3:4 がきれいな音になる発見や、三角数・四角数など、数を図にして調べる研究を伝える
  • 弟子が見つけたとされる無理数(√2)が、ギリシャ数学を「厳密な証明」へ進めた。本人の著書はなく、逸話は「諸説あり」

ピタゴラスは何をした人?(業績をひとことで)

ピタゴラス(前570年ごろ〜前495年ごろ)は、古代ギリシャの数学者・哲学者です。「万物は数である」と考えるピタゴラス教団(ピタゴラス学派)をひらき、数と図形、そして音楽の関係を調べました。名前は、中学3年で習う三平方の定理(ピタゴラスの定理)として、世界中の中学生に知られています。

ただし、ピタゴラス本人が書いた本は1冊も残っていません。「ピタゴラスが何を発見したのか」は、のちの時代の人たちが書いた伝記や、弟子たちの考えをもとにした話がほとんどです。そのため、このページでは確かな事実と、「〜と伝えられます」「諸説あります」の話をはっきり分けて書きます。

受験生にとってのピタゴラスは、なんといっても三平方の定理(a²+b²=c²)の証明と例題です。直角三角形の辺の長さを求める問題、座標の2点間の距離、立方体の対角線の長さ、空間での三平方の定理など、高校入試から大学入試まで何度も使います。用語としては三平方の定理とは(意味と使い方)を先に読んでおくと、問題文の意味がつかめます。

うかるくん

うかるくん

ピタゴラスって、a²+b²=c² を見つけた人ですよね?

合格先生

合格先生

そう習うけど、実はピタゴラスより1000年以上前に、バビロニア(今のイラクのあたり)の人たちも、同じ関係を使っていたことが粘土板から分かっているんだ。ピタゴラスは「なぜそうなるのか、理由を考えて説明する数学」を広めた人として大切なんだよ。

ピタゴラスの生涯と年表

サモス島に生まれた

ピタゴラスは、エーゲ海の東にあるサモス島で、前570年ごろに生まれたとされます。父は宝石に彫刻をする職人、あるいは商人だったと伝えられますが、はっきりしません。若いころにエジプトやバビロニアなど各地をめぐって学んだという話もありますが、これはずっとのちの時代の伝記に書かれたもので、確かめられません。

南イタリアのクロトンで教団をひらく

前530年ごろ、ピタゴラスはサモス島を去り、南イタリアのギリシャ人の町クロトンに移ったと伝えられます。そこで弟子たちを集めて、勉強と共同生活をするピタゴラス教団をひらきました。男女ともに入れたといわれ、教団には、数学や音楽を学ぶ人たちと、教えを守って生活を整える人たちがいたと説明されます。

教団は、魂は生まれかわる(輪廻)と考え、特別な食べ物のきまりを守ったという話もあります。「豆を食べてはいけない」というきまりは有名ですが、理由には諸説あります。教団の教えは秘密にされ、発見はすべて「師匠ピタゴラスのもの」として発表されたため、どの発見が本人でどれが弟子なのか区別がつかないのです。

教団の最期とピタゴラスの死

教団は政治にもかかわるようになり、やがて反対する人々に攻撃されたと伝えられます。建物が焼かれ、ピタゴラスは近くの町メタポンティオンに逃れ、前495年ごろにそこで亡くなったとされます。ただし、亡くなった年や場所、その事情はいくつもの説があり、はっきりしません。教団の弟子たちは、ピタゴラスの死後もギリシャ各地で活動を続けました。

年できごと
前570年ごろサモス島(エーゲ海)に生まれたとされる
前6世紀エジプトなどをおとずれて学んだと伝えられる(諸説あり)
前530年ごろ南イタリアのクロトンに移り、ピタゴラス教団をひらいたとされる
前6世紀後半弦の長さと音の高さの関係(簡単な整数の比)を調べたと伝えられる
前5世紀弟子たちが無理数(√2)の存在に気づいたと伝えられる(人名や年は諸説)
前495年ごろメタポンティオンで亡くなったとされる(諸説あり)
前4世紀プラトンがピタゴラス学派の考えを受けつぐ
前300年ごろユークリッドが『原論』第1巻に三平方の定理(命題47)の証明をのせる
5世紀プロクロスが『原論』の注釈にピタゴラスの話を書き残す

ピタゴラスの主な業績をやさしく解説

業績1 三平方の定理(ピタゴラスの定理)

直角三角形で、直角をはさむ2辺の長さを aa、bb、いちばん長い辺(斜辺)を cc とすると、次の関係が成り立ちます。

a2+b2=c2a^2+b^2=c^2

たとえば、a=3a=3、b=4b=4 のとき、c=5c=5 です。32+42=9+16=25=523^2+4^2=9+16=25=5^2 となります。辺に正方形をつけて見ると、小さい2つの正方形の面積の和が、大きい正方形の面積に等しいことが分かります。

三平方の定理:3²+4²=5²916253459+16=25小さい2つの正方形の面積の和が、いちばん大きい正方形の面積
3・4・5の直角三角形。3²+4²=5²(9+16=25)のように、正方形の面積で見ると分かりやすい

この定理の証明は、紙に正方形と三角形をかくだけでできます。1辺が a+ba+b の正方形の中に、同じ直角三角形を4つ置く方法が有名です。左のように置くと、まん中に1辺 cc の正方形が残ります。右のように置き直すと、a2a^2 と b2b^2 の2つの正方形が残ります。三角形4つ分を取りのぞいたあとの面積が同じなので、c2=a2+b2c^2=a^2+b^2 が分かります。

4つの三角形で証明するc²b²a²=三角形4つ+c²三角形4つ+a²+b²全体の面積は同じ → c²=a²+b²
同じ大きさの正方形に、4つの三角形を2通りにおく。のこった面積が c² と a²+b² で等しい

三平方の定理の証明は、これまでに300以上も発表されているといわれ、のちのアメリカ合衆国大統領ガーフィールドが、議員だった1876年ごろに考えた台形を使う証明も知られています。くわしくは三平方の定理の証明と例題でも確かめられます。

ただし、最初に証明したのが本当にピタゴラスなのかは分かっていません。バビロニアの粘土板(前1800年ごろ、「プリンプトン322」とよばれます)には、a2+b2=c2a^2+b^2=c^2 になる整数の組(ピタゴラス数)が書かれているとする読み方があり、古代中国の『周髀算経』(しゅうひさんけい)には「勾(こう)3・股(こ)4・弦(げん)5」の直角三角形の話がのっています。古代インドの宗教の本『シュルバ・スートラ』にも似た内容があります。ギリシャでこの定理がピタゴラスのものとされるようになったのは、ずっとあとの時代で、古い資料にはピタゴラスの名前ではっきり書かれたものがありません。伝記には、ピタゴラスは定理の証明に成功したよろこびで、神々に牛100頭をささげたという話もありますが、動物を食べなかった教団の教えと合わないため、作り話ともいわれます。

業績2 「万物は数である」と音楽の数学

ピタゴラス学派は、世界のすべてが数とその比でできていると考えました。いちばん有名なのが、音楽との関係です。弦をはじいて音を出すとき、弦の長さを2分の1にすると、1オクターブ高い音がします。3分の2にすると5度上の音(ドに対するソ)、4分の3にすると4度上の音(ドに対するファ)になります。どれも、きれいにひびき合う音です。

弦の長さの比と、きれいな音もとの弦(長さ1)基準の音(ド)長さ 1/21オクターブ上(2:1)長さ 2/35度上のソ(3:2)長さ 3/44度上のファ(4:3)1:2・2:3・3:4 = かんたんな整数の比
弦の長さを1:2、2:3、3:4の比にすると、よくひびき合う音になる。ピタゴラスが発見したと伝えられる

「ピタゴラスが鍛冶屋の前を通りかかり、ハンマーの音の高さに数の比があることに気づいた」という話が、古代の本には書かれています。ただし、この話をそのままやってみても、ハンマーの重さと音の高さは、そんな単純な関係になりません。実話ではなく、あとから作られた逸話だろうと考えられています。それでも、「音のひびきの美しさが、かんたんな整数の比で決まる」ことは本当で、音楽と数学を結びつけた最初期の発見として、ピタゴラス学派の名とともに伝えられています。

この考えは「ピタゴラス音律」とよばれる音階の作り方につながり、のちのヨーロッパの音楽にも影響をあたえました。比の考え方は、割合と比の関係や比例とはの基本にもなっています。

業績3 数を点でならべる 三角数・四角数・完全数

学派は、数を小石や点のならびとして図にして調べました。1個、2個、3個、4個と、段にして積むと三角形になります。この図形がテトラクティス(4の数)で、1+2+3+4=10です。学派はこの10を完全な数として大切にしたと伝えられ、誓いの言葉にも使ったといわれます。

テトラクティスと四角数1+2+3+4=10(三角数)1+3+5+7=16=4²(四角数)ピタゴラス学派は、数を点のならびで調べた
左は1+2+3+4=10の三角形。右は1+3+5+7=16の四角形。数を図にして性質を調べた

1、3、6、10、15…と、点を三角形にならべられる数を三角数、1、4、9、16…と、正方形にならべられる数を四角数とよびます。四角数が奇数の和で作れること(1+3+5+7=421+3+5+7=4^2)も、上の図で確かめられます。三角数について、三角数・四角数の公式と例題で練習できます。

学派は、約数にも注目しました。6の約数は1・2・3で、その和は6です。28も、1+2+4+7+14=28になります。このような数を完全数といい、その性質はユークリッドの『原論』と完全数に受けつがれました。また、220と284は、お互いの約数の和(自分自身をのぞく)が相手になる友愛数で、学派が見つけたという話も伝わっています。約数の和については約数の和の求め方が参考になります。

業績4 無理数の発見(√2)とピタゴラス学派の悩み

学派は「すべての長さは整数の比(分数)で表せる」と信じていました。ところが、1辺が1の正方形の対角線の長さは、三平方の定理から 2\sqrt{2} になりますが、これは分数で書けません。のちに無理数とはとよばれる数の発見です。

正方形の対角線=√211√21² + 1² = 2√2=1.41421356…終わりのない小数分数では書けない(無理数)「万物は整数の比」という考えがくずれた
1辺1の正方形の対角線は√2。1.41421356…と終わらず、分数で書けない数だった

この発見について、「ヒッパソスという弟子が見つけ、秘密をもらしたために海に投げこまれた」という有名な話があります。しかし、ヒッパソスが発見者だったのか、本当に罰を受けたのかは、古い資料ではっきり確かめられません。発見の年代にも、ピタゴラス自身の時代より少しあとだという説があります。確かなのは、古代ギリシャの人たちが、無理数の存在にとまどいながら、数学を「長さの比を厳密に考える学問」へと深めていったことです。

2\sqrt{2} が無理数であることは、背理法(「分数で書けると仮定すると、おかしくなる」と示す方法)で証明できます。分数 pq\dfrac{p}{q} が最も簡単な形のとき、p2=2q2p^2=2q^2 から pp も qq も偶数になってしまい、矛盾するのです。高校数学の素数とはや有理数とはの理解にもつながる、古代の名作です。

業績5 ピタゴラス数と「数の神秘」

a2+b2=c2a^2+b^2=c^2 を満たす整数の組をピタゴラス数といいます。(3, 4, 5)、(5, 12, 13)、(8, 15, 17)、(7, 24, 25)、(20, 21, 29) などがあります。奇数 nn を決めると、(n, n2−12, n2+12)\left(n,\ \dfrac{n^2-1}{2},\ \dfrac{n^2+1}{2}\right) がピタゴラス数になることは、ピタゴラスが考えたものと伝えられる作り方です(のちの時代の資料による)。たとえば n=7n=7 なら (7, 24, 25) です。

3・4・5は、古代エジプトで、ひもを12等分して三角形を作り、直角をつくるのに使ったという話があります。ただし、エジプトの資料には、この方法が使われた確かな証拠があまり見つかっていません。「縄張り師」の逸話として語られることが多く、実際にどこまで使われたかは分かっていません。それでも、現代の大工さんが3・4・5の長さで直角を確かめることは、実際によく行われています。

ピタゴラス数の考えを nn 乗に広げたのが、フェルマーの最終定理とは?わかりやすく解説です。n=2n=2 ならたくさんあるのに、n≥3n\ge3 では整数の解が1つもない、という大問題で、350年以上も解かれませんでした。フェルマーの最終定理を中学生向けに図解で、やさしく読めます。プラトン数(12960000)と216の不思議にある 33+43+53=633^3+4^3+5^3=6^3 も、3・4・5が主役の数の不思議です。

ピタゴラスの名前がつく公式・定理・用語

ピタゴラスの名前がついた用語はたくさんあります。受験で出会うものを中心にまとめました。

  • 三平方の定理(ピタゴラスの定理):a2+b2=c2a^2+b^2=c^2。→ 三平方の定理の公式・証明・入試問題。中学3年で習います。
  • 空間での三平方の定理:直方体の対角線の長さ a2+b2+c2\sqrt{a^2+b^2+c^2}。→ 直方体の対角線と空間の三平方の定理
  • ピタゴラス数:a2+b2=c2a^2+b^2=c^2 を満たす整数の組。(3, 4, 5)、(5, 12, 13)など。入試では「辺が整数の直角三角形」としてよく出ます。
  • ピタゴラス音律:3:2の比(5度)を重ねて音階をつくる方法。
  • 三角比のピタゴラスの関係:sin⁡2θ+cos⁡2θ=1\sin^2\theta+\cos^2\theta=1。半径1の円の上の点に三平方の定理を使うと出てきます。→ 三角比とは(sin・cos・tan)
  • ピタゴラスの定理の逆:3辺が a2+b2=c2a^2+b^2=c^2 を満たせば、その三角形は直角三角形です。
  • ピタゴラス学派:ピタゴラス教団の弟子たち。「三角数」「完全数」「友愛数」「無理数」の研究が結びつきます。
「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

三平方の定理は、「直角三角形を見たら、まず a²+b²=c²」と考えるのがコツだよ。辺の比が 3:4:5、1:1:√2、1:2:√3 のものは、暗記しておくと速いよ。

ピタゴラスの逸話と名言

「万物は数である」

ピタゴラスの言葉として最も有名なのが、次のものです。

万物は数である。

ピタゴラス学派の考えとして伝えられる(本人の著作は残っておらず、アリストテレスの『形而上学』などが、ピタゴラス学派の考え方としてのべているものによる。本人の言葉かは確かめられていません)

数の比が音の美しさを決めることから、星の動きも宇宙もすべて数でできていると考えた、と説明されます。この考えは、「自然の法則を数式で表す」現代の科学の出発点とよく言われます。

「ピタゴラスの食事」と豆

教団の人は、豆(ソラマメ)を食べてはいけないと伝えられます。理由は、豆が人間の魂に似ているから、風をおこすから、豆で投票していたから、など、昔の人もいろいろな説を書き残していて、本当のところは分かりません。肉を食べなかったとする話もありますが、教団全体がそうだったかは諸説あります。

地球は丸い?明けの明星と宵の明星は同じ星?

「地球が球形だと最初に考えたのはピタゴラス」「朝に見える金星と夕方に見える金星が同じ星だと見ぬいた」と伝えられます。どちらも、のちの時代の人が書いた話で、ピタゴラス本人の発見かどうかは、確かではありません。それでも、宇宙は数のきまりにしたがって動くという考えは、ギリシャの天文学の土台になりました。

ピタゴラスの魂は生まれかわる?

ピタゴラスは、自分の前世をおぼえていると語ったという話も、伝記にあります。犬がたたかれているのを見て「その声は友人の魂の声だ」と止めた、という笑い話も書かれていますが、これも逸話です。数学者でありながら宗教の教祖でもあるという、ふしぎな人物像が、後世の人の関心を集めてきました。

サクラちゃん

サクラちゃん

「万物は数」って、すごい考えですね……!でも、本当にそうなんですか?

合格先生

合格先生

正解は「半分だけ当たり」かな。音の高さは整数の比で決まるけれど、√2 のように整数の比で書けない数もあった。ピタゴラス学派はその矛盾にぶつかって、数学をもっと深く考えるようになったんだ。間違いに気づくことも、数学の大事な進歩だよ。

受験・勉強とピタゴラスのつながり

中学受験:3:4:5 と面積の問題

中学受験では、三平方の定理そのものは習いませんが、3:4:5(直角三角形)や5:12:13の辺の比は、覚えておくと便利です。図形の問題で「この三角形は直角三角形だから、辺の比が3:4:5」といった形で、ヒントとして出ることがあります。三角定規の辺の比(1:1:√2 と 1:2:√3)は、「どんな形か」を問う問題で見かけます。

高校受験:三平方の定理の標準問題

高校入試では、直角三角形の辺の長さ、正三角形の高さと面積、円の弦の長さ、座標平面での2点間の距離、直方体の対角線、円錐の高さなど、三平方の定理の利用問題が必ず出ると言ってよいほどです。正三角形で一辺が aa のとき、高さは 32a\dfrac{\sqrt{3}}{2}a、面積は 34a2\dfrac{\sqrt{3}}{4}a^2 です。三平方の定理の入試問題と解き方を何度も練習しましょう。

大学受験:距離・内積・三角関数

大学入試では、座標やベクトルでの距離(∣a⃗∣=x2+y2|\vec{a}|=\sqrt{x^2+y^2})、空間図形、三角関数の相互関係 sin⁡2θ+cos⁡2θ=1\sin^2\theta+\cos^2\theta=1、余弦定理(三平方の定理を一般にした公式)などに、形を変えて出てきます。難関大の整数問題では、ピタゴラス数の媒介変数表示 (m2−n2, 2mn, m2+n2)(m^2-n^2,\ 2mn,\ m^2+n^2) を使う問題もあります。京大理系数学の出題分析(整数問題の出方)で、整数問題の出方を確かめられます。

勉強法として:定理を「理由まで」覚える

ピタゴラスの学派が大切にしたのは、「なぜそうなるのか」を考えることでした。公式を暗記するだけでなく、図をかいて、理由を自分の言葉で説明できるようにすると、応用問題に強くなります。数学全体の勉強の進め方は、数学の勉強法(解法の暗記→演習→過去問)も参考にしてください。

ピタゴラスがその後の数学にあたえた影響

  • 証明の数学:「理由を示して納得させる」という数学の進め方は、ギリシャで発展し、ユークリッドの『原論』と公理による証明へ完成しました。
  • プラトンの哲学:ピタゴラス学派の考えは、プラトンの「イデア」の哲学や、5つの正多面体(プラトンの立体)の研究に影響をあたえたといわれます。
  • 無理数と実数の理論:√2 の発見は、ユークリッドの無理数論を経て、近代のデデキントの実数論につながる長い歴史のはじまりでした。
  • 音楽と数学:音階を数の比で説明する考えは、ケプラーの惑星の調和にも引きつがれたといわれます。
  • 三平方の定理の広がり:距離を決める式として、デカルトの座標、オイラーの公式、アインシュタインの相対性理論の時空の距離にまで、形をかえて登場します。
  • フェルマーの最終定理:ピタゴラス数 a2+b2=c2a^2+b^2=c^2 の指数を広げた問題が、フェルマーの最終定理です。

現代の数学者のあいだでは、ピタゴラス教団を、数学と宗教と哲学が分かれる前の、ふしぎな学校だったと考える人もいます。教団が実際にどんなことをしていたのかは、資料が少なく、今も研究が続いています。

ピタゴラスに挑戦!練習問題

やさしい

  1. 直角をはさむ2辺が6cmと8cmの直角三角形があります。斜辺の長さを求めなさい。
    答えと解説を見る62+82=36+64=1006^2+8^2=36+64=100 なので、斜辺は 100=\sqrt{100}=10cm。(3:4:5 の2倍の三角形)
  2. 斜辺が13cm、1つの辺が5cmの直角三角形の、もう1つの辺の長さを求めなさい。
    答えと解説を見る132−52=169−25=14413^2-5^2=169-25=144 なので、144=\sqrt{144}=12cm。(5:12:13 のピタゴラス数)

ふつう

  1. 1辺が6cmの正三角形の高さと面積を求めなさい。
    答えと解説を見る頂点から底辺におろした垂線は底辺を3cmずつに分けるので、高さ =62−32=27=33=\sqrt{6^2-3^2}=\sqrt{27}=3\sqrt{3} cm。面積 =6×33÷2==6\times3\sqrt{3}\div2=9√3 cm²。
  2. 座標平面上の2点 A(1, 2)、B(5, 5) の間の距離を求めなさい。
    答えと解説を見るx座標の差が4、y座標の差が3なので、AB=42+32=25=AB=\sqrt{4^2+3^2}=\sqrt{25}=5。(3:4:5 の三角形)

むずかしい

  1. 縦3cm、横4cm、高さ12cmの直方体の対角線の長さを求めなさい。
    答えと解説を見るまず底面の対角線は 32+42=5\sqrt{3^2+4^2}=5。つぎに直方体の対角線は 52+122=169=\sqrt{5^2+12^2}=\sqrt{169}=13cm。(または 32+42+122\sqrt{3^2+4^2+12^2})
  2. 辺の長さがすべて整数の直角三角形で、最も短い辺が21で、斜辺と残りの辺の差が1のものを求めなさい。
    答えと解説を見る残りの辺を bb、斜辺を b+1b+1 とすると、212+b2=(b+1)221^2+b^2=(b+1)^2 より 441=2b+1441=2b+1 なので b=220b=220。斜辺は 221。3辺は 21、220、221。

ピタゴラスと関係する数学者

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古代の数学者

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よくある質問

ピタゴラスは何をした人ですか?

ピタゴラスは、古代ギリシャの数学者・哲学者で、「万物は数である」と考えるピタゴラス教団をひらいたとされる人物です。三平方の定理(ピタゴラスの定理)の名で知られ、音楽の数の比、三角数、無理数の発見なども学派の業績として伝えられます。

ピタゴラスはなぜ有名なのですか?

中学3年で習う三平方の定理が、ピタゴラスの定理とよばれているからです。さらに、数と音楽・宇宙を結びつけて「万物は数である」と考えた教団が、のちのプラトンの哲学や西洋の科学に大きな影響をあたえたことでも知られます。

三平方の定理(ピタゴラスの定理)を発見したのはピタゴラスですか?

ピタゴラスが最初に発見・証明したかどうかは、確かめられていません。バビロニアの粘土板、古代中国の『周髀算経』、古代インドの本にも同じ関係が見られ、ピタゴラスより古い時代から知られていました。ギリシャで最初に証明をつけたのが学派だという説が有力ですが、諸説あります。

三平方の定理とは何ですか?

直角三角形で、直角をはさむ2辺の長さをa、b、斜辺をcとすると、a²+b²=c²が成り立つという定理です。たとえば3、4、5の直角三角形では、3²+4²=9+16=25=5²になります。中学3年の数学で習います。

「万物は数である」とはどういう意味ですか?

ピタゴラス学派の考えとして伝えられる言葉で、音の高さや星の動きなど世界のあらゆるものが、整数の比でできているという意味です。弦の長さの比が1:2、2:3のときに美しい和音になることから、この考えが生まれたとされます。本人の言葉かどうかは確かではありません。

ピタゴラスの名言や逸話は本当ですか?

牛100頭を神々にささげた話や、鍛冶屋のハンマーの音の話、無理数の発見者が海に投げこまれた話などは、ずっとのちの時代の伝記に書かれたもので、真偽は確かめられていません。ピタゴラス自身が書いた本は残っていないため、多くが「〜と伝えられる」という話です。

ピタゴラスは何歳で、どこで亡くなりましたか?

前495年ごろに、南イタリアのメタポンティオンで亡くなったとされます。生まれた年を前570年ごろとすると、およそ75歳です。ただし、生没年・亡くなった場所とも、古代の資料によって説がちがい、はっきりしません。

ピタゴラスと関係の深い数学者はだれですか?

先輩のタレス、学派の考えを受けついだプラトン、公理による証明で三平方の定理をまとめたユークリッドが挙げられます。ピタゴラス数を広げたフェルマーの最終定理も、ピタゴラスの定理に由来する問題です。

ピタゴラスは受験とどう関係しますか?

三平方の定理は、高校入試の図形問題で必ず使う道具で、座標の距離、正三角形の高さ、直方体の対角線などに出ます。大学入試でもベクトルの大きさ、sin²θ+cos²θ=1、空間図形、整数問題のピタゴラス数などに広がります。

ピタゴラス数とは何ですか?

a²+b²=c²を満たす3つの自然数の組のことです。(3, 4, 5)、(5, 12, 13)、(8, 15, 17)などがあります。辺の長さが整数の直角三角形を作ることができ、入試問題でもよく使われます。

あわせて読みたい

出典・参考

  • T. L. Heath, “A History of Greek Mathematics, Vol. 1”(1921年)
  • J. J. O’Connor and E. F. Robertson, “Pythagoras of Samos”, MacTutor History of Mathematics Archive(セントアンドルーズ大学)
  • C. A. Huffman, “Pythagoras”, Stanford Encyclopedia of Philosophy
  • E. S. Loomis, “The Pythagorean Proposition”(1927年)

最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦