ゴールドバッハ予想とは?わかりやすく|偶数は素数2つの和?未解決・400京まで確認・弱い予想の証明

ゴールドバッハ予想とは?わかりやすく|偶数は素数2つの和?未解決・400京まで確認・弱い予想の証明

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未解決中学受験大学受験

ゴールドバッハ予想

ひとことで言うと

「4以上の偶数は、2つの素数の和で表せる?」。1742年から未解決で、4×1018まで確かめられているが証明はない。

問題4以上のすべての偶数は、2つの素数の和で表せるか(強いゴールドバッハ予想)
出された年1742年(ゴールドバッハがオイラーへの手紙で)
状態未解決(2026年時点)
確かめられた範囲4×10の18乗までの偶数(2013年、オリベイラ・エ・シルバら)
近い結果陳景潤の定理(1973年):じゅうぶん大きな偶数は「素数+(素数か素数2つの積)」
弱い予想7以上の奇数は3つの素数の和(2013年にヘルフゴットが証明を発表)
分野数論(解析的整数論)
特ちょう意味は小学生にも分かるのに、280年以上解けていない

このページのポイント

  • ゴールドバッハ予想は「4以上の偶数は2つの素数の和で書けるか」。10=3+7、100=3+97 など、小さな数なら確かめられる
  • 4×1018までコンピューターで確認済みだが、証明も反例もない(2026年時点)。「確かめた」と「証明した」はちがう
  • 弱い予想(奇数は素数3つの和)は2013年にヘルフゴットが証明を発表。陳景潤の定理が強い予想に最も近い結果

ゴールドバッハ予想とは?(ひとことで)

ゴールドバッハ予想とは、「4以上のすべての偶数は、2つの素数の和で表せる」という予想です。1742年にドイツ生まれの数学者クリスティアン・ゴールドバッハが、オイラーへの手紙に書いたのが始まりとされます。280年以上たった今も、証明も反例も見つかっていません(2026年時点)。

たとえば 10=3+7、20=3+17、100=3+97 のように、小さな偶数なら誰でも確かめられます。コンピューターは4×1018(400京)までの偶数すべてで成り立つことを確かめました。それでも「すべての偶数で成り立つ」ことの証明にはなりません。そこが数学の難問たるゆえんです。

問題の意味に必要な知識は、素数とは何かと足し算だけ。小学生にも分かります。それなのに、世界一の数学者たちが挑んでも解けていません。素数について学ぶなら、唯一の偶数の素数「2」の話や2027は素数?双子素数と西暦の入試問題もあわせて読んでみてください。

うかるくん

うかるくん

偶数なんてたくさんあるのに、素数2つの足し算で全部できるなんて、本当ですか?

合格先生

合格先生

「本当らしい」とは言えるんだ。でも「本当だ」とは言えない。ここが大事だよ。400京まで確かめても、その先に1つでも例外があれば予想はくずれる。だから数学者は「理由」を探しているんだ。

ゴールドバッハ予想の意味をやさしく解説

素数のおさらい

素数とは、1とその数自身でしかわり切れない、2以上の整数です。2、3、5、7、11、13、17、19、23、29、…と続きます。素数は、約数(因数)が2つしかない数、と言いかえることもできます。1は素数ではありません。そして、偶数の素数は2だけです(ほかの偶数は2でもわり切れるため)。

予想の言い方は2通り

ゴールドバッハ予想には、じつは2つの言い方があります。

  • 強いゴールドバッハ予想(2項の予想・偶数のゴールドバッハ予想):4以上の偶数は、2つの素数の和で書ける。今も未解決。
  • 弱いゴールドバッハ予想(3項の予想・奇数のゴールドバッハ予想):7以上の奇数は、3つの素数の和で書ける。2013年にヘルフゴットが証明を発表しました。

ふつう「ゴールドバッハ予想」といえば、強い予想のほうを指します。「強い」という名前のとおり、強い予想が正しければ、弱い予想はすぐに出てきます。奇数nから3をひくと偶数になるので、その偶数を2つの素数の和で書けば、nは3つの素数の和になるからです。

強い予想 → 弱い予想 強い予想:4以上の偶数 = 素数 + 素数(未解決) これが言えたら… 弱い予想:7以上の奇数 = 素数3つの和(2013年にヘルフゴットが証明を発表) 例:21 = 3 + 18 = 3 + (7 + 11)奇数 − 3 = 偶数 だから、強い予想から弱い予想が出る逆(弱い→強い)は、これだけでは言えない
強い予想(偶数=素数2つの和)が言えれば、弱い予想(奇数=素数3つの和)がすぐに出る。逆は言えない

小さな偶数で確かめてみよう

4から30までの偶数を、実際に2つの素数の和に分けてみましょう。

偶数を2つの素数の和に4= 2+26= 3+38= 3+510= 3+7 = 5+512= 5+714= 3+11 = 7+716= 3+13 = 5+1118= 5+13 = 7+1120= 3+17 = 7+1322= 3+19 = 5+17 = 11+1124= 5+19 = 7+17 = 11+1326= 3+23 = 7+19 = 13+1328= 5+23 = 11+1730= 7+23 = 11+19 = 13+17どの偶数も1通り以上ある(4=2+2 だけ2が入る)
4=2+2、6=3+3、8=3+5、10=3+7=5+5、…。どの偶数にも表し方がある

偶数が大きくなると、表し方はだんだん増えていきます。100なら6通り、1000なら28通りです(小さいほうの素数を数えた場合)。表し方が増えていくのだから「例外が出るのは、ますますむずかしそう」と感じますよね。数学者もそう考えて、予想が正しいと信じています。

表し方の数(4〜100)024684100(6通り)ゼロの偶数はない。大きいほど増える傾向
4〜100の偶数について、素数2つの和での表し方の数。ばらつきはあるが、0通りの偶数はなく、全体として大きいほど増える

なお、このグラフの形は、ほうき星の尾に似ていることから「ゴールドバッハの彗星」とよばれることがあります(偶数をもっと先まで調べると、点がいくつかの帯に分かれて見えてきます)。

100の6通りを図にすると

100を2つの素数の和にした6通りは、どれも真ん中の50を中心に左右対称です。足して100になる2つの数は、50からの距離が同じだからです。つまり、「50から同じ距離にある、左右の数が、どちらも素数」になる組を探していることになります。

100 = 素数+素数 の6通り0501003+97 11+89 17+8329+71 41+59 47+53
足して100になる素数の組。3と97、11と89、17と83、29と71、41と59、47と53

「1」と「2」の注意

ゴールドバッハが最初に手紙に書いたころは、1も素数のなかまとして数えられていました。そのため、最初の言い方は「2より大きいすべての整数は、3つの素数の和で書ける」というものでした。のちに1は素数に入れないと決まり、今の形(偶数=素数2つ)になりました。なお、4=2+2 だけは、素数の2が入る特別な例です。ほかの偶数を2つの素数に分けるとき、2を使うことはできません(もう一方の数が偶数の素数になってしまうため)。

ゴールドバッハ予想の歴史と年表

1742年:ゴールドバッハからオイラーへの手紙

クリスティアン・ゴールドバッハ(1690〜1764)はプロイセン(今のドイツ)の出身で、のちにロシアのサンクトペテルブルク科学アカデミーで働きました。1742年6月7日、ゴールドバッハは友人の数学者オイラーの業績と生涯に手紙を書き、「2より大きい整数は、3つの素数の和で書けるように思う」という趣旨の推測を伝えます。オイラーは同じ年の6月30日に返事を書き、「これは、偶数はすべて2つの素数の和である、と言いかえられる」と指摘しました。オイラーは、この主張を「完全に確かな定理だと考えるが、証明はできない」と書いたと伝えられます。今の強いゴールドバッハ予想の形は、このオイラーの言いかえによるものです。

1900年:ヒルベルトの問題の中に

1900年、ヒルベルトの23の問題がパリで発表されたとき、その第8問題はリーマン予想(素数の分布のかぎ)とともに、ゴールドバッハ予想に関わるものでした。続く1912年には、ドイツの数学者ランダウが、国際数学者会議で「ゴールドバッハ予想」「双子素数予想」など素数についての4つの問題を、「今の数学ではとても手が出せない」ものとして挙げたことが知られています。この4つは今も「ランダウの問題」とよばれ、いまだに全部は解決していません。

1920〜30年代:解析的な方法が登場

1923年、ハーディの業績と生涯とリトルウッドは、「円周法」という強力な方法で、偶数を2つの素数の和で表す方法がどのくらいの数あるかを予測する式(予想)を立てました。1930年にはソ連のシュニレルマンが、「すべての整数は、ある決まった個数(たかだか数十万個)以下の素数の和で書ける」ことを示します。個数は大きいものの、はじめて「素数の和」で全部の整数がおおえることを証明した画期的な結果でした。

1937年:大きな奇数なら3つの素数の和(ヴィノグラードフ)

1937年、ソ連のヴィノグラードフは、「じゅうぶん大きな奇数なら、3つの素数の和で書ける」ことを証明しました。「じゅうぶん大きい」とは、どこからかは分からないが、ある大きさより先ではいつも成り立つ、という意味です。のちに、その「境目」の大きさも計算され、非常に大きな数になりました。間にある数を、1つずつコンピューターで確かめきるにはまだ大きすぎたのです。

1973年:陳景潤の定理

中国の数学者陳景潤(ちんけいじゅん)は、1966年に結果を発表し、1973年に詳しい証明を発表しました。「じゅうぶん大きな偶数は、『素数+(素数1つか、素数2つの積)』で書ける」という定理です。例として、20=5+15(15=3×5)のような形です。「素数2つの和」まで、あと一歩のところまで来た結果で、「陳の定理」とよばれます。

2013年:計算の記録と、弱い予想の証明

2013年、ポルトガルのオリベイラ・エ・シルバらは、コンピューターで4×1018までのすべての偶数が2つの素数の和で書けることを確かめました。同じ2013年、ペルー出身の数学者ヘルフゴットが、弱いゴールドバッハ予想の証明を発表します。この証明は広く受け入れられていますが、百科事典などでは「最終的な検証・改訂が続いている」と扱われることもあります(2026年時点)。

280年あまりの歩み1742ゴールドバッハがオイラーへ手紙1937ヴィノグラードフが大きな奇数で証明1973陳景潤「素数+(素数2つの積)」2013計算で 4×10¹⁸ まで確認2013ヘルフゴットが弱い予想の証明を発表強い予想そのものは、今も未解決
1742年の手紙から、2013年の計算記録と弱い予想の証明の発表まで
年できごと
1742年ゴールドバッハがオイラーに手紙。オイラーが「偶数はすべて素数2つの和」と言いかえる
1900年ヒルベルトの23の問題が発表される(第8問題に素数の問題)
1912年ランダウが、ゴールドバッハ予想など素数の4つの問題を「手が出せない」ものとして挙げる
1923年ハーディとリトルウッドが、表し方の数についての予想(円周法)を発表
1930年シュニレルマンが、すべての整数は「ある決まった個数以下の素数の和」と証明
1937年ヴィノグラードフが、じゅうぶん大きな奇数は3つの素数の和で書けると証明
1973年陳景潤が、じゅうぶん大きな偶数は「素数+(素数か素数2つの積)」と証明(陳の定理)
1975年モンゴメリーとヴォーンが、2つの素数の和で書けない偶数があるとしても、ごくわずか(密度0)と証明
2012〜14年タオが、奇数はたかだか5つの素数の和で書けることを証明
2013年オリベイラ・エ・シルバらが、4×10の18乗まで確認。ヘルフゴットが弱い予想の証明を発表

ゴールドバッハ予想は今どこまで分かっている?

強いゴールドバッハ予想は、2026年時点でも未解決です。この予想に関する、これまでの研究を整理します。

1. 計算で確かめられた範囲

強いゴールドバッハ予想は、4×1018(400京)以下のすべての偶数で成り立つことが、コンピューターで確かめられています(オリベイラ・エ・シルバ、ヘルツォーク、パルディによる2013年の結果)。ただし、これは「証明」ではありません。数学の世界では、どんなに大きな数まで確かめても、「すべての数で成り立つ」ことの証明にはならないのです。

2. ほとんどの偶数ではよい

1975年にモンゴメリーとヴォーンが示した結果によると、2つの素数の和で書けない偶数があったとしても、それはごくわずかです。ここでの「ごくわずか」とは、偶数全体に対する割合が0に近づく、という意味です(1937〜38年に、チュダコフ、ファン・デル・コルプト、エステルマンが「ほとんどすべての偶数」について先に示していました)。しかし、「ごくわずか」と「1つもない」の間には大きな差があります。

3. 「あと一歩」の陳景潤の定理

先ほど紹介した陳景潤の定理は、強いゴールドバッハ予想に最も近づいた結果として知られています。しかし、「素数2つの積」を「素数1つ」に変えるには、今の方法では越えられない壁があります。

4. 弱いゴールドバッハ予想は証明が発表された

弱い予想(7以上の奇数は3つの素数の和)は、2013年にヘルフゴットが証明を発表しました。ヴィノグラードフの「じゅうぶん大きな奇数」という条件を、「すべての奇数」にまで広げるために、大きな計算も必要でした。ヘルフゴットと共同研究者は、2013年に、比較的小さい奇数(約8.9×1030まで)をコンピューターで確かめています。

5. 何個の素数の和ならいつも書ける?

「2つ」は未解決ですが、個数をふやせば証明できます。1995年にラマレが「4以上の偶数は、たかだか6個の素数の和」と示し、テレンス・タオの業績は2012年に、「2より大きい奇数は、たかだか5個の素数の和」であることを証明しました(2014年に論文掲載)。

「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

「確かめた」と「証明した」はちがうんだ。入試の証明問題でも、いくつかの数で試して「成り立ちそう」と書くだけでは、答案にならないよ。すべての場合を説明する言葉が必要なんだ。

賞金はあるの?

2000年に、イギリスの出版社が、ゴールドバッハ予想の小説『ペトロス伯父と「ゴールドバッハの予想」』の発売に合わせて、証明に100万ドルの賞金をかけたことがあります。期限は2002年3月までで、その期間に正しい証明は現れませんでした。なお、クレイ数学研究所のミレニアム懸賞問題には、ゴールドバッハ予想は入っていません。

ゴールドバッハ予想はなぜ難しい?

1. 「足し算」と「かけ算」がからみあう

素数は「かけ算」で決まる数です(かけ算で分けられない数)。ところがゴールドバッハ予想は、その素数を「足し算」で組み合わせる問題です。足し算とかけ算は、別々の仕組みで動いているため、素数をいくつか足した結果に、かけ算の性質がどう影響するかは、ほとんど予測できません。たとえば、ある数に1を足すだけで、素因数分解の形はまったく別物になります。

2. ふるい法の壁(パリティ問題)

素数を調べる有力な方法に「ふるい法」があります。素数の見つけ方を求める「エラトステネスのふるい」(2の倍数、3の倍数、…をつぎつぎに消していく方法)をさらにくふうして、素数に近い数を見つける方法です。陳景潤の定理も、ふるい法で証明されました。ところが、ふるい法にはパリティの壁とよばれる限界があります。ふるい法では、「素因数の個数が偶数個か奇数個か」を見分けられません。そのため、「素数(素因数1個)」と「素数2つの積(素因数2個)」を区別できず、陳景潤の定理が今のふるい法の限界とされています。

3. 「ほとんどすべて」では足りない

モンゴメリーとヴォーンの結果が示すように、「ほとんどすべての偶数」では成り立つことは分かっています。でも、数学の「すべて」には、たった1つの例外も許されません。例外が「ごくわずか」でも、それが本当に0なのかどうかは、別の問題です。

4. 反例がどこかにあるかもしれない?

もし反例があるなら、それは4×1018よりはるかに大きい偶数です。しかも、大きな偶数ほど、素数の組み合わせは増えます。たとえば、100なら6通り、1000なら28通りですが、さらに大きい偶数では何万通り・何億通りにもなります。「表し方がゼロ」になる偶数があるとすれば、その数だけ、すべての組み合わせが同時に失敗するという、とても起こりにくい偶然が必要です。このため、多くの数学者は「予想は正しい」と考えています。ただし、これは「正しいはずだ」という見こみであって、証明ではありません。

サクラちゃん

サクラちゃん

400京まで確かめたなら、もう証明したようなものじゃないんですか?

合格先生

合格先生

そう思うよね。でも数学では、ぎゃくに「大きな数でだけ起こる例外」もあるんだ。たとえば、素数の個数を数える公式の予想が、非常に大きな数でくずれる例もあった。だから、確かめた数が大きくても、「証明」は別なんだよ。

「小さい数でよく成り立つのに、とても大きな数で例外が出る」例は数学にいくつもあります。ゴールドバッハ予想の場合、表し方の数が増えていく傾向があるので、例外が出る可能性は低いと考えられていますが、「ゼロではない」と言い切ることはできていません。

受験・勉強とゴールドバッハ予想のつながり

中学受験:素数と和の問題

中学受験の算数では、「2つの素数の和が○○になるような組を答えなさい」という問題がよく出ます。ここで役立つのが、「偶数の素数は2だけ」という知識です。たとえば「2つの素数の和が奇数になるとき、一方は必ず2」と分かります(奇数=偶数+奇数なので、偶数の素数である2が入るため)。ゴールドバッハ予想の「偶数」を考えると、こんどは「2つの素数はどちらも奇数」(4以外)という見かたができます。

素数を見つけるコツは、整数の性質(約数・倍数の判定)で習う、2、3、5、7の倍数の見分け方です。100までの素数は25個あります。必ず覚えておきましょう。

高校受験・大学受験:素数と整数問題

大学入試の整数問題には、「素数」を扱うものがたくさんあります。たとえば「p、p+2、p+4がすべて素数になるpを求めよ」のような問題です。こうした問題の定番の解き方が、3でわった余りで場合分けする方法です(合同式(mod の計算)の使い方も便利です)。また、「素数は無限にある」ことの証明に使われる背理法の考え方は、「すべての場合」を相手にするゴールドバッハ予想のような問題を考える土台になります。

勉強法として:まず小さい数で実験する

ゴールドバッハ予想は、数学者が新しい問題に出会ったときのやり方をよく表しています。①小さい数で実験する、②規則を見つける、③それが「すべて」で成り立つ理由を考える。この3ステップは、入試の整数問題や、数学オリンピックの問題でも同じです(数学オリンピックの問題(長方形に詰めた正方形))。わからない問題に出会ったら、まず小さい数で手を動かしてみましょう。勉強の進め方は数学の勉強法(解法の暗記→演習→過去問)も参考にしてください。

ゴールドバッハ予想が数学・社会にあたえた影響

  • 解析的整数論の発展:ゴールドバッハ予想に挑む中で、円周法(ハーディ、リトルウッド、ヴィノグラードフ)や、ふるい法(ブルン、セルバーグ、陳景潤)といった強力な方法が育ちました。これらの方法は、素数の研究全体で使われています。
  • 素数と加法の研究:「ある数を、素数の和でどう書けるか」を調べる研究は、素数の並びの中に等差数列があるか、といった問題にもつながります。テレンス・タオとグリーンは2004年に、素数の中にいくらでも長い等差数列があることを証明しました。
  • 計算の技術:ゴールドバッハ予想を確かめるための、効率のよい素数判定と大規模な計算(分散計算)の技術が育ちました。素数は、インターネットの暗号(RSA暗号など)にも使われています。
  • 数学の「分からなさ」の象徴:問題の意味は小学生でも分かるのに、証明は世界の数学者にもできていない。ゴールドバッハ予想は、コラッツ予想(3n+1問題)や奇数の完全数はあるかと並んで、そういう問題の代表として語られます。
  • 文学・文化にも:ゴールドバッハ予想を題材にした小説が書かれ、数学を知らない人にも広まりました。

エルデシュの業績と生涯をはじめ、ガウスの業績と生涯、リーマンの業績と生涯といった数学者が、素数のふしぎな分布に挑んできました。ゴールドバッハ予想は、その大きな流れの中にある問題です。

ゴールドバッハ予想に挑戦!練習問題

やさしい

  1. 16を、2つの素数の和で表しなさい(2通り)。
    答えと解説を見る3+13 と 5+11 の2通りです。(7+9 は 9 が素数でないのでだめです。)
  2. 偶数の素数は、いくつありますか。また、それは何ですか。
    答えと解説を見る1つだけで、2です。ほかの偶数は2でもわり切れるので素数ではありません。

ふつう

  1. 50を、2つの素数の和で表すと、何通りありますか(足す順番は区別しません)。
    答えと解説を見る3+47、7+43、13+37、19+31の4通りです。
  2. 21を、3つの素数の和で表しなさい(1つ書ければよい)。
    答えと解説を見る21−3=18 を考え、18=7+11 なので、21=3+7+11。ほかに 3+5+13 や 5+5+11 などもあります。

むずかしい

  1. 100を、2つの素数の和で表すと、何通りありますか(足す順番は区別しません)。
    答えと解説を見る3+97、11+89、17+83、29+71、41+59、47+53の6通り。50は素数ではないので、同じ素数を2回足す形(50+50)はありません。
  2. 2つの素数の和で表せる奇数を、小さい順に5つ答えなさい。
    答えと解説を見る奇数=偶数+奇数なので、一方は偶数の素数の2です。奇数nは「2+(n−2)」で、n−2が素数のときだけ。5=2+3、7=2+5、9=2+7、13=2+11、15=2+13。(11=2+9 は9が素数でなく、できません。)答え:5、7、9、13、15。

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よくある質問

ゴールドバッハ予想とは何ですか?

ゴールドバッハ予想とは、4以上のすべての偶数は2つの素数の和で表せる、という予想です。たとえば10は3+7、100は3+97のように書けます。1742年に提案され、2026年時点でも証明も反例も見つかっていません。

ゴールドバッハ予想はだれがいつ考えたのですか?

1742年に、ドイツ生まれの数学者クリスティアン・ゴールドバッハが、友人のオイラーへの手紙で述べたのが始まりです。オイラーが「偶数はすべて素数2つの和」という今の形に言いかえました。

ゴールドバッハ予想は解けましたか?

強いゴールドバッハ予想(偶数は素数2つの和)は、2026年時点で未解決です。一方、弱いゴールドバッハ予想(7以上の奇数は素数3つの和)は、2013年にヘルフゴットが証明を発表しています。

どこまで確かめられていますか?

強いゴールドバッハ予想は、4×10の18乗(400京)以下のすべての偶数で成り立つことが、コンピューターで確かめられています(2013年)。ただし、確かめることと証明することはちがいます。

強いゴールドバッハ予想と弱いゴールドバッハ予想のちがいは?

強い予想は「4以上の偶数は素数2つの和」、弱い予想は「7以上の奇数は素数3つの和」です。強い予想が正しければ、奇数から3をひいた偶数を素数2つに分けることで、弱い予想も正しいと分かります。

陳景潤の定理とは何ですか?

中国の数学者の陳景潤が示した、じゅうぶん大きな偶数は「素数+(素数1つか素数2つの積)」で書けるという定理です。強いゴールドバッハ予想に最も近づいた結果として知られ、1966年に発表、1973年に詳しい証明が出ました。

なぜ反例を探してもだめなのですか?

反例が見つかれば予想はくずれますが、4×10の18乗までは見つかっていません。反例がないことを、すべての偶数について証明するには、計算ではなく数学的な理由が必要です。

ゴールドバッハ予想に賞金はありますか?

2000年に出版社が100万ドルの賞金をかけたことがありますが、期限の2002年3月までに正しい証明は現れませんでした。クレイ数学研究所のミレニアム懸賞問題には入っていません。

ゴールドバッハ予想は入試に出ますか?

予想そのものは出ませんが、「2つの素数の和」や「偶数の素数は2だけ」といった性質を使う整数問題は、中学受験から大学入試まで出ます。小さい数で実験して規則を見つける考え方が役に立ちます。

あわせて読みたい

出典・参考

  • C. Goldbach から L. Euler への手紙(1742年6月7日)、Euler の返信(1742年6月30日)
  • T. Oliveira e Silva, S. Herzog, S. Pardi, “Empirical verification of the even Goldbach conjecture and computation of prime gaps, up to 4·10^18”, Mathematics of Computation, 2014年
  • J. R. Chen, “On the representation of a larger even integer as the sum of a prime and the product of at most two primes”, Scientia Sinica, 1973年
  • H. A. Helfgott, “The ternary Goldbach conjecture is true”, arXiv:1312.7748, 2013年
  • T. Tao, “Every odd number greater than 1 is the sum of at most five primes”, Mathematics of Computation, 2014年

最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦