奇数の完全数はあるか?わかりやすく|6と28の秘密・メルセンヌ素数・見つかっていない未解決問題

奇数の完全数はあるか?わかりやすく|6と28の秘密・メルセンヌ素数・見つかっていない未解決問題

数学の難問・未解決問題の一覧 › 数論

未解決中学受験大学受験

奇数の完全数はあるか

ひとことで言うと

「約数を足すと自分になる数(完全数)で、奇数のものはあるか」。偶数は52個見つかったが、奇数は見つからず、ないという証明もない。

問題奇数の完全数は存在するか
完全数とは自分自身をのぞく約数の和が、もとの数と等しい数(6、28、496、8128…)
問われはじめた時代古代ギリシャ(ユークリッド以来)
状態未解決(2026年時点)
偶数の完全数ユークリッド=オイラーの定理で完全に分かる。メルセンヌ素数と1対1。52個が既知(2024年)
奇数の完全数があるなら10の1500乗より大きく、異なる素因数が10個以上(2012年ごろまでの結果)
分野数論(約数・素数)
特ちょう意味は小学生にも分かる。「ない」ことを証明するのは、とても難しい

このページのポイント

  • 完全数は「自分をのぞく約数の和が自分になる数」。6(1+2+3)、28、496、8128…。偶数の完全数は52個見つかっている
  • 偶数の完全数は、メルセンヌ素数(2のp乗−1の形の素数)と1対1。ユークリッドの作り方とオイラーの定理で全部分かる
  • 奇数の完全数は見つかっておらず、ないという証明もない(2026年時点)。あるなら10の1500乗より大きいなど、きびしい条件がある

奇数の完全数はあるか?(ひとことで)

完全数とは、自分自身をのぞく約数の和が、もとの数と等しくなる数のことです。いちばん小さい完全数は6(1+2+3=6)、次は28(1+2+4+7+14=28)。ここまでは小学生でも確かめられます。

知られている完全数は、すべて偶数です。そこで、数学者はずっと問いつづけています。「奇数の完全数は、あるのか、ないのか」。古代ギリシャの時代から2000年以上たった今も(2026年時点)、見つかっておらず、「ない」という証明もありません。

この問題は、数論の中でも最も古い未解決問題の1つです。偶数の完全数は、紀元前から知られていたユークリッドの方法と、オイラーの定理で、完全に分かっています。ところが奇数のほうは、手がかりすら乏しいのです。

うかるくん

うかるくん

6と28のほかに、完全数ってあるんですか?

合格先生

合格先生

あるよ。次は496、その次は8128。ここまでは古代ギリシャの人たちも知っていた。2024年の時点で、全部で52個の完全数が見つかっているんだ。でも、見つかったのはぜんぶ偶数。奇数のものが1つでもあるのかは、誰も知らないんだよ。

約数の和の考え方は、公式辞典の約数の和と完全数の公式で、素数の基本は素数とは何かで復習できます。

奇数の完全数の意味をやさしく解説

完全数とは

ある数の約数とは、その数をわり切れる数のことです。6の約数は、1、2、3、6。このうち、6自身をのぞいた1、2、3を足すと、ちょうど6になります。28の約数は、1、2、4、7、14、28で、28自身をのぞいた和は、1+2+4+7+14=28です。

完全数:約数を足すと自分 6 の約数(6自身をのぞく)1231+2+3=6 28 の約数(28自身をのぞく)1247141+2+4+7+14=28 自分自身をのぞく約数の和が、もとの数と等しい数が「完全数」(真の約数の和=もとの数)
6と28は、自分自身をのぞく約数の和が、もとの数とぴったり等しい。このような数を完全数という

不足数・過剰数・完全数

1から順にいろいろな数で試してみると、自分自身をのぞく約数の和が、もとの数より小さい数(不足数)や大きい数(過剰数)が見つかります。たとえば、8は1+2+4=7で不足数、12は1+2+3+4+6=16で過剰数です。ちょうど等しくなる数が完全数です。

約数の和くらべ(1〜30)102131435166718794108111121613114101591615171182119120222111221423124362562616271328282913042不足数(和が小さい)過剰数(和が大きい)完全数(ぴったり)上:その数 下:自分をのぞく約数の和
1〜30のうち、完全数は6と28だけ。素数はいつも不足数(和が1)になる

1から30の間には完全数が2つしかなく、その後はなかなか現れません。次の完全数は496で、その次は8128です。

古代ギリシャの人々は完全数を特別な数と考えた

ピタゴラス学派の人々は、完全数に特別な意味を見ていたと伝えられます。「世界は6日でつくられた」「月が地球を回る周期はおよそ28日」といった話も、のちの時代の人々によって、完全数と結びつけられました(これらは伝承で、数学の事実ではありません)。

偶数の完全数の作り方(ユークリッド)

紀元前300年ごろ、ユークリッドの業績と生涯は『原論』で、完全数の作り方を示しました。それは次のような方法です。

2p−1 × (2p−1) (2p−1が素数のとき、これは完全数)

p=2のとき、22−1=3は素数なので、2×3=6。p=3のとき、23−1=7は素数なので、4×7=28。p=5のとき、31は素数で、16×31=496。p=7のとき、127は素数で、64×127=8128です。

ユークリッドの作り方完全数 = 2の(p−1)乗 × (2のp乗−1)ただし (2のp乗−1) が素数のときp=22²−1=3素数 → 6p=32³−1=7素数 → 28p=42⁴−1=15素数でない(15=3×5)p=52⁵−1=31素数 → 496p=62⁶−1=63素数でない(63=7×9)p=72⁷−1=127素数 → 8,128p=112¹¹−1=2047素数でない(23×89)p=132¹³−1=8191素数 → 33,550,336p=11は 2047=23×89 で素数でないので、完全数にならない
pが2、3、5、7、13のとき2のp乗−1が素数になり、完全数ができる。p=4、6、11では素数にならない

ここに出てくる「2p−1」の形の素数をメルセンヌ素数といいます(17世紀のフランスの修道士メルセンヌにちなむ名前です)。つまり、メルセンヌ素数が1つ見つかるごとに、偶数の完全数が1つできるのです。

オイラーの定理:偶数の完全数はこれで全部

では、この作り方以外の偶数の完全数はあるのでしょうか。18世紀にオイラーの業績と生涯が、「偶数の完全数は、ユークリッドの作り方でできるものだけ」であることを証明しました。この定理は、ユークリッド=オイラーの定理とよばれます。つまり、偶数の完全数とメルセンヌ素数は、1対1に対応しています。

こうして、偶数の完全数の問題は、「メルセンヌ素数をさがす問題」に置きかわりました。そして、メルセンヌ素数が無限にあるかどうかは、これも未解決です(双子素数予想などと同じく、素数にまつわる難問です)。

2進法で見る完全数

偶数の完全数を2進法で書くと、おもしろい形が見えてきます。6は110、28は11100、496は111110000。1がp個ならび、そのあとに0がp−1個ならぶ形です。n進法の変換のしかたで2進法に変えてみましょう。

2進法で見ると6(p=2)= 1が2個+0が1個11028(p=3)= 1が3個+0が2個11100496(p=5)= 1が5個+0が4個1111100008128(p=7)= 1が7個+0が6個1111111000000偶数の完全数は「1が並んで0が並ぶ」形
6は110、28は11100、496は111110000、8128は1111111000000。1がp個、0がp−1個

完全数のふしぎな性質

完全数には、ほかにも美しい性質があります。ここでは、小学生でも確かめられるものを紹介します。

  • 三角数になっている:1から順に足した数(三角数)で、6=1+2+3、28=1+2+3+4+5+6+7、496=1+2+…+31です。足す最後の数は、3、7、31、127と、2p−1の形の数(メルセンヌ素数)になっています。
  • 約数の逆数の和が2:6の約数の逆数の和は 1+1/2+1/3+1/6=2。28でも 1+1/2+1/4+1/7+1/14+1/28=2。完全数では、いつもちょうど2です。
  • 奇数の3乗の和:28=13+33(=1+27)、496=13+33+53+73(=1+27+125+343)。6をのぞく偶数の完全数は、連続する奇数の3乗の和で書けることが知られています。
  • 一の位は6か8:偶数の完全数の一の位は、いつも6か8です(6、28、496、8128、33550336、…)。ただし、古代の「6と8が交互に出る」という主張は正しくありません(6、8、6、8、6、…と見えても、必ず交互とはかぎりません)。

偶数の完全数が「ユークリッドの形だけ」である理由(あらすじ)

オイラーの定理のあらすじを、中学生にも分かるようにたどってみましょう。偶数の完全数Nを、N=2k−1×m(mは奇数、k≧2)と書きます。Nの約数の和(Nそのものもふくむ)は、完全数の定義から2Nです。一方、約数の和は「かけ算に分けて計算できる」性質があるので、(2k−1)×(mの約数の和)=2k×m と書けます。ここから、mは(2k−1)の倍数で、m=(2k−1)×tとおくと、mの約数の和は 2k×t になります。ところが、mの約数には、少なくともm自身とt(とm)が入るので、約数の和は m+t 以上です。m+t=2k×t のとき、ちょうどmの約数が「m自身とt」だけのときです。1もmの約数なので、t=1となり、つまりm=2k−1が素数だと分かります。これが、ユークリッドの形そのものです。細かい部分は省いていますが、考え方の流れはこのとおりです。

奇数の完全数の問い

ここまで見たとおり、偶数の完全数は完全に分かっています。残るのは、「奇数の完全数はあるか」という問いです。もし1つでも見つかれば歴史的な発見ですが、「ない」ことが証明されれば、完全数は偶数だけになります。

完全数の歴史と年表

古代ギリシャ:最初の4つ

紀元前300年ごろ、ユークリッドは『原論』第9巻で、完全数を作る方法を示しました。紀元100年ごろには、ニコマコスが、6、28、496、8128の4つを挙げ、「完全数はこの形で、順番にあらわれる」と書いたとされます。しかし、これには誤りがありました。完全数の一の位が、6と8を交互にくり返すという主張や、完全数がp=2、3、5、7と、1つずつ順に見つかるという主張は、正しくなかったのです(5つ目はp=13で、33550336)。

中世〜17世紀:5つ目以降を探して

5つ目の完全数33550336は、中世ヨーロッパの写本で知られていたといわれます(くわしい経緯は確かめられていません)。17世紀、デカルトとフェルマーは手紙で、完全数やメルセンヌ素数について議論しました。フランスの修道士メルセンヌは、2p−1が素数になるpの一覧を発表し、のちに誤りも見つかりましたが、この形の素数の研究のきっかけになりました。デカルトの業績と生涯は「もし22021が素数なら、奇数の完全数が見つかる」という数(198585576189)を見つけましたが、実際は22021=192×61で素数ではなく、完全数ではありませんでした。

1772年:オイラーが8つ目を確認

オイラーは1772年に、231−1=2147483647が素数であることを示しました。これにより、8つ目の完全数2305843008139952128が確定しました。そして、偶数の完全数はすべてユークリッドの形であることも、オイラーが証明しています(死後に出版)。

1876年〜:計算の時代へ

フランスのリュカは、1876年に2127−1が素数であることを手計算で示しました。この記録は、1951年まで約75年間、知られている最大の素数でした。1952年以降は、コンピューターが記録を塗りかえていきます。1996年には、世界中のパソコンを使ってメルセンヌ素数をさがすGIMPS(ギムプス)が始まりました。

2024年:52個目

2024年10月、52個目のメルセンヌ素数 2136279841−1が見つかりました。これに対応する完全数は82,048,640桁の巨大な数です。これで、見つかっている偶数の完全数は52個になりました(2026年時点で確認できた資料による)。

年できごと
前300ごろユークリッドが完全数の作り方を示す(『原論』第9巻)
100ごろニコマコスが6、28、496、8128を挙げる(誤った主張もふくむ)
17世紀デカルトやフェルマーがメルセンヌらと完全数を議論。デカルトの数(22021が素数なら…)
1772年オイラーが2の31乗−1が素数と示し、8つ目の完全数が確定
18世紀オイラーが、偶数の完全数はユークリッドの形だけと証明
1876年リュカが2の127乗−1が素数と手計算で示す
1952年コンピューターによるメルセンヌ素数探しが始まる
1996年GIMPS(世界の共同計算)が始まる
2012年オシェムとラオが、奇数の完全数があるなら10の1500乗より大きいと示す
2024年52個目のメルセンヌ素数(p=136279841)が見つかる。偶数の完全数は52個に

奇数の完全数は今どこまで分かっている?

奇数の完全数は、2026年時点で、見つかっておらず、存在しないという証明もありません。ただし、「もしあるとしたら、こういう数でなければならない」という条件は、たくさん分かっています。

奇数の完全数があるなら…10の1500乗より大きい異なる素因数が10個以上最大の素因数は1億より大きいオイラーの形(素数のべき×平方数)条件がどんどんきびしくなるでも「ない」とは、まだ証明されていない
奇数の完全数があるなら満たすべき条件。条件が積み重なって、見つかる可能性はせばまっている

1. 非常に大きい数でなければならない

2012年にオシェムとラオは、奇数の完全数があるとしたら、10の1500乗より大きいことを示しました。10の1500乗は、1のあとに0が1500個ならぶ数です。コンピューターで調べつくされた範囲は、これよりずっと下までです。

2. 素因数がたくさん必要

奇数の完全数は、異なる素因数を10個以上もたなければなりません(3でわり切れない場合は12個以上)。さらに、同じ素数を重ねて数えると、素因数の個数は101個以上必要です。また、最大の素因数は1億より大きく、2番目の素因数は1万より大きいなどの条件も知られています。

3. オイラーが見つけた「形」

オイラーは、奇数の完全数があるなら、次の形でなければならないことを示しました。

N = qa × m2 (qは素数で、q と a は4でわって1あまる。mは奇数)

つまり、ある特別な素数を(4でわって1あまる回数だけ)かけ、残りは平方数になっている、という形です。これは「奇数の完全数なら、ほとんど平方数の形をしている」という、強い制約です。

4. 見つかっていないのに、あるかもしれない理由

条件がこれだけきびしくなると、「ないのでは」と考えたくなります。実際、多くの数学者は、奇数の完全数は存在しないと予想しています。しかし、これは予想であって証明ではありません。「条件がきびしい」ことと「ない」ことは別だからです。たとえばゴールドバッハ予想のように、計算で確かめた範囲では例外がなくても、証明されていない問題は多くあります。

5. 「3倍完全数」などの親せき

約数の和が、もとの数のちょうど2倍になる数が完全数でした。3倍、4倍などになる数は多重完全数とよばれます。たとえば120は、約数の和が360(120の3倍)になる、3倍完全数です。多重完全数の中には奇数のものは見つかっていません。

「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

「ない」ことを証明するのは、とてもむずかしいんだ。1つ見つければ「ある」と言えるけど、「ない」と言うには、すべての奇数を相手にしなければいけない。だから、証明問題は「すべての場合」を考えるくせが大事なんだよ。

奇数の完全数はなぜ難しい?

1. 見つけるための「作り方」がない

偶数の完全数には、ユークリッドの作り方がありました。しかし、奇数にはそのような作り方が見つかっていません。何も手がかりがない状態で、無限にある奇数の中から探さなければなりません。

2. 約数の和は、かけ算に強い

約数の和をσ(シグマ)とすると、互いに素な2つの数m、nについて、σ(mn)=σ(m)×σ(n)が成り立ちます。この性質があるため、約数の和は、素因数分解ととても相性がよいのですが、奇数の完全数の場合は、σ(N)=2Nという条件が、素因数の組み合わせに強い制約をつくります。そのため、満たす組み合わせが見つかるか、すべてだめなのかを決めるのは、非常にむずかしいのです。

3. 「計算で調べる」にも限界がある

奇数の完全数があるとしても、10の1500乗より大きい数です。10の1500乗までの奇数を1つずつ調べるなど、どんなコンピューターにも不可能です。だから、計算で「ない」と示すことはできず、証明が必要になります。

4. 偶数の場合は「メルセンヌ素数」という手がかりがあった

偶数の完全数が、メルセンヌ素数と1対1に結びつくのは、とても美しい性質です。でも奇数の場合、それに代わる手がかりがありません。偶数と奇数でここまで事情がちがうのは、約数の和の性質が、2という素数に特別に関わっているからです。

サクラちゃん

サクラちゃん

「あるかもしれない」ってことは、見つかるまでずっと分からないんですか?

合格先生

合格先生

そうなんだ。ひとつ見つかれば「ある」と分かるし、「ない」ことが証明されても決着する。どちらかが起きるまで分からない。数学の未解決問題は、そういう「待つ時間」の長い問題が多いんだよ。ただ、いつ解けるかは、誰にも予想できない。

受験・勉強と完全数のつながり

中学受験:約数と約数の個数・和

中学受験の算数では、「ある数の約数をすべて書き出し、その個数や和を求める」問題が出ます。約数を漏れなく書き出すには、小さい約数と大きい約数をペアで書く方法が便利です。たとえば28なら、1と28、2と14、4と7のペアで書き出せます。素因数分解と約数の個数の求め方を使うと、約数の個数や和は、素因数分解からすばやく計算できます。

高校受験・大学受験:約数の和と指数

高校で習う等比数列の和の公式(等比数列の和の公式)は、完全数の証明で大活躍します。2p−1の約数の和は、1+2+4+…+2p−1=2p−1と計算できるからです。大学入試でも、「nの約数の和をσ(n)とするとき…」という誘導つきの整数問題がときどき出ます。約数と倍数の基本を固めておきましょう。

勉強法として:定義をていねいに

完全数は、「自分自身をのぞく約数の和」という定義が大切です。自分自身をのぞくか、ふくめるかで、条件が「和=もとの数」か「和=もとの数の2倍」かに変わります。入試の問題でも、定義を最初に正しく読む習慣が、ミスを防ぎます。勉強法は数学の勉強法(解法の暗記→演習→過去問)、素数についての読みものは唯一の偶数の素数「2」の話や2027は素数?双子素数と西暦の入試問題もどうぞ。

完全数が数学・社会にあたえた影響

  • メルセンヌ素数の探索:完全数をさがす問題が、巨大な素数をさがす研究を生みました。今、見つかっている最大の素数は、メルセンヌ素数です。
  • GIMPSと分散コンピューティング:1996年に始まったGIMPSは、世界中の人々のパソコンの計算力を借りて、新しいメルセンヌ素数を探すプロジェクトです。インターネットを使った共同計算の先がけの1つです。
  • 約数関数の研究:約数の和σ(n)の性質を調べる研究は、数論の基本的な道具になりました。フェルマーの業績と生涯やオイラーの時代から、数論は完全数・友愛数とともに発展しました。
  • 友愛数:220の約数の和は284、284の約数の和は220になる、ふしぎな数の組を友愛数といいます。ピタゴラス学派が知っていたといわれ、完全数と同じ「約数の和」の世界のなかまです。
  • 数学の「分からなさ」の象徴:コラッツ予想(3n+1問題)やゴールドバッハ予想とならんで、「意味は小学生にも分かるが、誰も解いていない」問題の代表です。

完全数の探究は、エルデシュの業績と生涯のような20世紀の数学者にも引きつがれ、「ほぼ完全数」など、周辺の問題も生みました。

完全数に挑戦!練習問題

やさしい

  1. 28の約数をすべて書き、28自身をのぞいた約数の和を求めて、28が完全数であることを確かめなさい。
    答えと解説を見る28の約数は、1、2、4、7、14、28。28をのぞいた和は、1+2+4+7+14=28。もとの数と等しいので、完全数です。
  2. 12は完全数ですか。不足数・過剰数のどちらですか。
    答えと解説を見る12の約数(12をのぞく)は1、2、3、4、6で、和は16。12より大きいので過剰数です(完全数ではありません)。

ふつう

  1. 496=24×31の、496自身をのぞいた約数の和を求め、完全数であることを確かめなさい。
    答えと解説を見る24の約数は1、2、4、8、16(和31)。これに31をかけた約数も加えると、約数全体の和は 31×(1+31)=31×32=992。496自身をのぞくと 992−496=496で、完全数です。
  2. ユークリッドの作り方で、p=7のときにできる完全数を求めなさい。
    答えと解説を見る27−1=127は素数なので、完全数は26×127=64×127=8128。

むずかしい

  1. 6の約数すべての逆数の和(1+1/2+1/3+1/6)はいくつですか。28の場合もあわせて答えなさい。
    答えと解説を見る6の場合:1+1/2+1/3+1/6=(6+3+2+1)/6=12/6=2。28の場合:(28+14+7+4+2+1)/28=56/28=2。完全数では、約数の逆数の和がいつも2になります。
  2. p=4のとき、ユークリッドの式 23×(24−1)=120は完全数ですか。理由も答えなさい。
    答えと解説を見る24−1=15=3×5は素数ではありません。120の約数全体の和は、8の約数の和15、3の約数の和4、5の約数の和6をかけて 15×4×6=360。120自身をのぞくと 360−120=240で、120より大きい過剰数です。完全数ではありません。

完全数と関係する数学者・難問

ほかの未解決の難問

  • ゴールドバッハ予想とは(未解決)
    4以上の偶数は2つの素数の和で表せるか。とても大きな数まで確かめられているが証明はない(奇数版の「弱い予想」は2013年に証明が発表された)
  • 双子素数予想とは(未解決)
    3と5、11と13のように差が2の素数の組は無限にあるか。2013年に「差が7000万以下の組は無限」と分かり、その後246まで縮まった
  • リーマン予想とは(未解決)
    ゼータ関数の「自明でない零点」は、すべて実部が1/2の直線上にあるか。素数の分布のかぎ。ミレニアム懸賞問題
  • コラッツ予想とは(未解決)
    偶数なら2でわり、奇数なら3倍して1を足す。どんな数から始めても1にたどり着くか
  • P≠NP 予想とは(未解決)
    答えを確かめるのが速い問題は、答えを見つけるのも速いのか。コンピューターの世界の最大の難問。ミレニアム懸賞問題

← 前の時代:三大作図問題とは(不可能・決められないと証明) | 次の時代:平行線公準の問題とは(不可能・決められないと証明) →

数学の難問・未解決問題の一覧(いつ・だれが解いたか) | 有名な数学者一覧

読みもの(合格大作戦の数学の記事)

よくある質問

完全数とは何ですか?

完全数とは、自分自身をのぞく約数の和が、もとの数と等しくなる数です。6(1+2+3)、28(1+2+4+7+14)、496、8128などがあります。

奇数の完全数はありますか?

2026年時点で、奇数の完全数は1つも見つかっていません。また、存在しないという証明もありません。もしあるとしたら、10の1500乗より大きいなど、きびしい条件を満たす必要があります。

奇数の完全数の問題は解けましたか?

解けていません。偶数の完全数はユークリッドとオイラーによって完全に分かっていますが、奇数の完全数の存在は、古代ギリシャから続く未解決問題です。

完全数はいくつ見つかっていますか?

2024年10月の時点で、52個の完全数が知られています。52個すべてが偶数で、最大のものは82,048,640桁です。

偶数の完全数はどう作りますか?

2のp乗−1が素数(メルセンヌ素数)のとき、2の(p−1)乗×(2のp乗−1)が完全数になります。p=2で6、p=3で28、p=5で496、p=7で8128です。

ユークリッド=オイラーの定理とは何ですか?

偶数の完全数は、ユークリッドの作り方でできるものですべてだ、という定理です。ユークリッドが作り方を示し、オイラーがそれ以外にないことを証明しました。

メルセンヌ素数とは何ですか?

2のp乗−1の形で表される素数です。メルセンヌ素数が1つ見つかるごとに、偶数の完全数が1つできます。メルセンヌ素数が無限にあるかどうかも、未解決です。

奇数の完全数があるとき、どんな数ですか?

10の1500乗より大きく、異なる素因数が10個以上あり、最大の素因数は1億より大きくなければなりません。また、オイラーが示した、ほとんど平方数の特別な形をしている必要があります。

完全数は入試に出ますか?

完全数そのものはあまり出ませんが、約数の和・約数の個数・等比数列の和の公式を使う問題は、中学受験から大学入試まで出ます。完全数の例は、その練習にぴったりです。

あわせて読みたい

出典・参考

  • Euclid『原論』第9巻 命題36
  • L. Euler の遺稿(偶数の完全数の形についての証明)
  • P. Ochem, M. Rao, “Odd perfect numbers are greater than 10^1500”, Mathematics of Computation, 2012
  • GIMPS(Great Internet Mersenne Prime Search)の発表
  • Wikipedia “Perfect number”(2026年時点の記述)

最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦