ショルツェは何をした人?業績をわかりやすく|パーフェクトイド空間・フィールズ賞2018・p進数

ショルツェは何をした人?業績をわかりやすく|パーフェクトイド空間・フィールズ賞2018・p進数

有名な数学者一覧 › 現代(1940年以降生まれ) › ドイツ

ショルツェPeter Scholze

ひとことで言うと

大学院生のころにパーフェクトイド空間を発表して整数論を変革し、24歳で教授、30歳の2018年にフィールズ賞を受けたドイツの数学者。

名前ペーター・ショルツェ(Peter Scholze)
生年1987年12月11日〜(存命)
国ドイツ(ドレスデン生まれ。ボン大学の教授、マックス・プランク数学研究所の所長)
分野数論・代数幾何学(p進数の幾何)
主な業績パーフェクトイド空間(2011年ごろ)、ダイアモンド、プリズム的コホモロジー、凝縮数学
名前がつくものパーフェクトイド空間、ファルグ=ショルツェの幾何化、リキッド・テンソル実験
主な受賞クレイ研究賞(2014年)、コール賞・オストロフスキー賞(2015年)、ライプニッツ賞(2016年)、フィールズ賞(2018年)
よばれ方24歳でドイツ最年少の正教授

このページのポイント

  • 大学院生のころにパーフェクトイド空間を発表。難しいp進数の世界を、やさしい世界に写して調べる方法をつくった
  • 24歳でボン大学の教授になり、2018年に30歳でフィールズ賞。同じ年にマックス・プランク数学研究所の所長に
  • 凝縮数学を提案し、計算機で証明を確かめるリキッド・テンソル実験を呼びかけた(2022年に検証完了)

ペーター・ショルツェは何をした人?(業績をひとことで)

ペーター・ショルツェ(Peter Scholze、1987年生まれ)は、ドイツの数学者です。専門は数論と代数幾何学。大学院生のころにパーフェクトイド空間という新しい考え方を発表して、整数論の世界を大きく変えました。2018年、30歳のとき、数学界の最高の賞であるフィールズ賞を受けました。ボン大学の教授になったのは24歳のときで、ドイツで最も若い正教授のひとりだったとされます。

ショルツェの仕事を一言でいえば、「数論の難しい世界を、やさしい世界に写して調べる方法をつくった」ことです。素数 pp を使う世界(p進数の世界)は、整数論に欠かせませんが、計算が難しい世界です。パーフェクトイド空間は、その難しい世界を、多項式の世界に近い、扱いやすい世界に「傾けて」写す道具です。この道具で、数十年間解けなかった問題がいくつも進展しました。

近年は「凝縮数学」という新しい数学の土台づくりに取り組み、その一部を計算機で検証する「リキッド・テンソル実験」でも話題になりました。この記事では、ガロアの業績と生涯からワイルズにつながる数論の流れの中に、ショルツェを置いて説明します。

ここでは、論文、受賞、大学や賞の公式な発表、報道された事実だけを書き、私生活や人柄についての推測は書きません。ショルツェは現在も研究を続けている数学者です。

うかるくん

うかるくん

24歳で教授なんて、すごい天才ですね……。でも、研究の中身は、難しくてぜんぜん想像できません。

合格先生

合格先生

無理もないよ。でも大丈夫。今日は「p進数」という、数の測り方の話から入るよ。実は、中学受験の「5でわれる回数」とつながっているんだ。そこが分かれば、ショルツェの仕事の入口が見えてくるよ。

ペーター・ショルツェの生涯と年表

ここでは、英語版ウィキペディア、大学や研究所、賞の公式な発表で確かめられる事実を書きます。

ドレスデンに生まれ、ボン大学へ

ショルツェは1987年12月11日、ドイツのドレスデンで生まれました。高校生のころ、国際数学オリンピックにドイツ代表として出場し、金メダルなどを受けたと伝えられています。ボン大学で学び、2012年に博士の学位を受けました。指導教員は、ミヒャエル・ラポポルトです。博士論文のテーマが、パーフェクトイド空間でした。

24歳で教授に

2012年、ショルツェはボン大学の教授になりました。24歳での正教授就任は、ドイツで最年少とされます。2014年にはカリフォルニア大学バークレー校の教授にも任命され、p進幾何の講義をしました。2018年にはボンのマックス・プランク数学研究所の所長(研究所には所長が複数います)になっています。

数々の賞とフィールズ賞

2013年にサストラ・ラマヌジャン賞、2014年にクレイ研究賞、2015年にコール賞(数論部門)とオストロフスキー賞、2016年にライプニッツ賞(ドイツの最も権威ある研究賞)を受けました。そして2018年にフィールズ賞を受けています(授賞式はブラジルのリオデジャネイロで開かれた国際数学者会議)。受賞の理由は「p進体上の数論的代数幾何を変革した」ことでした。2018年の受賞者は、ショルツェのほか、カウチャー・ビルカー、アレッシオ・フィガリ、アクシャイ・ヴェンカテシュの4人でした。

ショルツェの歩み198712月11日、ドレスデンで生まれる2012ボン大学で博士の学位。24歳で教授に2013サストラ・ラマヌジャン賞2014クレイ研究賞2015コール賞・オストロフスキー賞2016ライプニッツ賞2018フィールズ賞。MPI数学研究所の所長に
ショルツェの歩み。1987年生まれ、2012年に24歳で教授、2018年にフィールズ賞
年できごと
1987年12月11日、ドイツのドレスデンで生まれる
2011年パーフェクトイド空間の論文を公開(博士論文のテーマ)
2012年ボン大学で博士の学位。24歳でボン大学の教授になる
2013年サストラ・ラマヌジャン賞
2014年クレイ研究賞
2015年コール賞(数論)、オストロフスキー賞
2016年ライプニッツ賞
2018年フィールズ賞(リオデジャネイロ)。マックス・プランク数学研究所の所長に
2020年12月、凝縮数学の一部を計算機で確かめる「リキッド・テンソル実験」を提案
2022年7月、リキッド・テンソル実験の検証が完了したと発表される

ペーター・ショルツェの主な業績をやさしく解説

業績1 p進数と、数の測り方

ショルツェの仕事を理解する入口は、「数の大きさを、素数 pp で測る」考え方です。ふつう、数の大きさといえば「0からの距離」です。ところが、素数 pp を決めると、別の測り方ができます。それは「pp で何回わり切れるか」で測る方法で、何回もわり切れる数ほど「小さい」と考えます。3進なら、27は3で3回わり切れるので、大きさは 127\dfrac1{27}。81は4回なので 181\dfrac1{81}。ふつうの大きさと反対に、3の累乗が0に近づいていきます。

3進では、3で何回も割れる数ほど「小さい」 1131/391/9271/27811/812431/243 ふつうの大きさと反対で、27や81が0に近い
3進での数の大きさ。3で何回も割れる数ほど0に近い

この測り方を使うと、不思議なことが起こります。たとえば、無限の和 1+5+25+125+⋯1+5+25+125+\cdots は、ふつうに考えると無限に大きくなります。しかし、5進で考えると、この和は −14-\dfrac14 に近づきます。部分和 Sk=5k−14S_k=\dfrac{5^k-1}{4} と −14-\dfrac14 の差が 5k4\dfrac{5^k}{4} で、5進の大きさは 15k\dfrac1{5^k} とどんどん小さくなるからです。

5進での 1+5+25+125+… 項数和−1/4 との5進の差 111/5261/253311/12541561/62557811/3125 足していくほど −1/4 に5進で近づく(和は S=(5^k−1)/4、差は 5^k/4)
5進では 1+5+25+… が −1/4 に近づく

このような数の世界を「p進数」といい、1897年にクルト・ヘンゼルが導入しました。素数 pp ごとに、p進数の世界があります。ふつうの実数の世界と合わせて、有理数の大きさの測り方は、素数ごとに1つずつあることが、1916年のオストロフスキーの定理で分かっています。ショルツェが受けた「オストロフスキー賞」は、この数学者にちなむ賞です。

数の大きさの測り方は、素数の数だけある ふつう122進1/43進1/35進17進1 12 の大きさ(12=2²×3) 12 × 1/4 × 1/3 × 1 × 1 ×…=1全部かけると1になる(積公式)これが数論を「全体で見る」ときの基本です
有理数の大きさの測り方:ふつう・2進・3進・5進・7進。12の場合は全部かけると1

n進法の変換や素因数分解を知っていると、p進数の考え方に近づけます。「100!の末尾に0がいくつ並ぶか」は、合同式(mod の計算)の問題としても有名ですが、これは「100!が5で何回わり切れるか」=「100!の5進の大きさ」の問題です。

業績2 パーフェクトイド空間(2011年ごろ)

数論には、「標数0の世界」(整数や有理数に近い世界)と「標数 pp の世界」(pp 個足すと0になる世界、多項式に近い世界)があります。標数 pp の世界は、計算が比較的しやすい世界です。ところが、標数0のp進数の世界では、計算が難しくなります。

ショルツェは、パーフェクトイド空間(pp の pp 乗根をいくらでもとれる性質を持つ空間)を使うと、標数0の世界と標数 pp の世界をティルティング(傾けること)で結びつけられることを示しました。ふたつの世界は、見た目はまったく違うのに、「ガロア群」(ガロアの業績と生涯が考えた、数のいれかえの群)が同じになる場合があるのです。この考えの出発点は、1979年のフォンテーヌとウィンテンベルジェの結果にあり、ショルツェはそれを、ずっと一般的な形に発展させました。

パーフェクトイドの「ティルティング」 世界A整数に近い世界(標数0)計算が難しい 世界B多項式に近い世界(標数p)計算がしやすい 傾ける パーフェクトイド(pのp乗根がとれる世界)なら2つの世界は「ガロア群」が同じ→ むずかしい世界の問題を、やさしい世界で調べられる(専門的な理論の大まかな絵)
パーフェクトイドのティルティング。むずかしい世界の問題をやさしい世界で調べる

この道具で、ショルツェは、ドリーニュ(グロタンディークの流れをくむ代数幾何学者)が予想した重さ・モノドロミー予想を、ある場合(トーリック多様体の中の完全交叉など)について証明しました。長年の難問が、新しい道具で一気に進んだ例として、数学者のあいだで大きな話題になりました。

「パーフェクトイド」という名前にも意味があります。標数 pp の世界で、xx を xpx^p に送る操作(フロベニウス写像)が、ちょうど1対1に対応する体を、「完全体(perfect field)」とよびます。ショルツェのパーフェクトイドは、この完全体に似た性質を、p進数の世界の空間に持たせたものです。名前の最後の「-oid」は「〜のようなもの」という意味で、「完全体のような空間」という由来だと説明されます。

ティルティングの具体例を、ひとつ挙げましょう。p進数の体に、pp の pp 乗根、pp の p2p^2 乗根……と、pp の累乗根をつぎつぎ付け加えて広げた体は、標数 pp の体に、まったく別の見た目で「そっくり」になっています。この対応は1979年にフォンテーヌとウィンテンベルジェが見つけていました。ショルツェは、この現象が、体だけでなく空間全体にまで広がることを示したのです。

業績3 捩れ類のコホモロジーと、ガロア表現(2013〜15年)

2015年に『数学年報』に載った論文で、ショルツェは、整数論の重要な対象である「ガロア表現」を、「捩れ(ねじれ)類」とよばれる、より細かい情報のところまで作れることを示しました。ワイルズがフェルマーの最終定理の証明で使った「保型形式とガロア表現の対応」を、より広い場面に広げる道を開いた仕事です。また、2013年には、p進体上のGL(n)の局所ラングランズ対応について、新しい証明も示しました。

業績4 ダイアモンドと、プリズム的コホモロジー

パーフェクトイドの考えを土台に、ショルツェはさらに、「ダイアモンド」という新しい種類の空間をつくりました(2014年のバークレーの講義などをへて、2017年に論文『Étale cohomology of diamonds』を公開)。そして2019年、ボーハルガヴ・バットとともに、「プリズム的コホモロジー」という、複数の既存の理論を一つにまとめる枠組みを発表しました。名前の由来は、光がプリズムを通ると色に分かれる様子に似て、一つの理論が、状況により異なる姿に分かれて現れるからとされます。2021年には、ローラン・ファルグとともに、局所ラングランズ対応を新しい形で説明する大きな論文も公開しました。

業績5 凝縮数学とリキッド・テンソル実験(2019年〜)

2019年からショルツェは、ダスティン・クラウゼンとともに「凝縮数学」という新しい数学の土台をつくる講義を公開しました。位相空間と代数を、これまでより自然に組み合わせるための枠組みです。2020年12月、ショルツェは、この理論の重要な定理の証明に、計算機を使った検証をしてほしいと、ネット上で呼びかけました。これが「リキッド・テンソル実験」です。証明を確かめる計算機のソフトウェア「Lean(リーン)」を使い、ヨハン・コメリンらを中心とする世界中の数学者が取り組みました。2022年7月に、定理の検証が完了したと発表されています。

ショルツェの研究の流れ2011年ごろパーフェクトイド空間(博士論文)2015捩れ類のコホモロジー(数学年報)2017ダイアモンドの理論(論文公開)2019プリズム的コホモロジー(バットと)2019〜20凝縮数学(クラウゼンと)2020リキッド・テンソル実験を提案2022年7月計算機での検証が完了
ショルツェの研究の流れ。パーフェクトイドから凝縮数学、計算機による検証まで

ペーター・ショルツェの名前がつく公式・定理・用語

  • パーフェクトイド空間:2011年ごろにショルツェが導入した、p進数の世界の新しい空間。
  • ティルティング:標数0の世界と標数 pp の世界を結ぶ対応。
  • ダイアモンド:パーフェクトイドを土台にした空間の理論(2017年)。
  • プリズム的コホモロジー:バットとの共同研究(2019年)。
  • 凝縮数学(Condensed mathematics):クラウゼンとの共同研究。
  • リキッド・テンソル実験:凝縮数学の定理を計算機で検証した計画(2020〜22年)。
  • ファルグ=ショルツェの幾何化:局所ラングランズ対応の新しい理論(2021年)。

無理数の意味や実数の性質が分かると、p進数が「実数のもうひとつの完成のしかた」だと理解できます。有理数が実数に広がる道すじは有理数・無理数・循環小数で復習できます。公式・用語の一覧は数学の公式辞典と数学用語辞典にあります。

「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

「難しい世界を、やさしい世界に写す」。これは、数学でとても大切な考え方なんだ。方程式を解くとき、式を変形して簡単な形に直すのも、同じ発想だよ。ショルツェさんは、それを数論の根っこの部分でやってみせたんだね。

ペーター・ショルツェの逸話と名言

ここでは、報道や研究所の紹介で広く知られている話を紹介します。確かめられない話は、そう書き添えます。

高校生のころ、数学オリンピックで活躍

ショルツェは高校生のころ、国際数学オリンピックのドイツ代表として複数回出場し、金メダルを含むメダルを受けたと伝えられます。数学オリンピックの問題を解いてみようは、そのような大会の問題への入口になります。ただし、数学オリンピックの成績と、のちの研究の成果は別のものです。大会で身につけた粘り強さが研究に役立った、といった本人の言葉は、ここでは確かめられていないので書きません。

とても若い教授

24歳で正教授になったことは、ドイツ国内でも大きく報じられました。博士論文で発表した考え方が、すぐに世界中の数論の研究者に広まり、論文が出た直後から、多くの数学者が引用した、とされます。

公開講義とネットでの呼びかけ

ショルツェは、講義のノートなどを、インターネット上で公開することで知られています。凝縮数学の講義ノートや、リキッド・テンソル実験の呼びかけ(2020年12月、数学の話題を扱うブログ上)も、ネットで公開されました。数学の研究を、世界の数学者や、証明を確かめる計算機の技術者とともに進める、新しい進め方の例として注目されました。

ABC予想をめぐる2018年の報告

2018年、ショルツェはヤコブ・シュティックスとともに、京都で望月新一と議論したのち、望月のIUT理論について、第3論文の系3.12の証明に問題があるとする報告書「Why abc is still a conjecture」を公開しました。望月新一は、この指摘は理論の誤解にもとづくという趣旨の反論を公開し、論文は2021年に学術誌PRIMSに掲載されました。評価は分かれたままで、数学界全体の合意は得られていません(2026年10月時点)。くわしくは望月新一の業績と生涯とABC予想(難問ページ)で、両方の立場を並べて説明しています。

サクラちゃん

サクラちゃん

計算機で数学の証明を確かめるなんて、これからの数学は、どうなっていくんでしょう?

合格先生

合格先生

証明を機械で確かめる動きは、少しずつ広がっているよ。ただ、何を問題にし、何を証明するかを考えるのは人間だ。ショルツェさんの呼びかけは、人と機械が協力して数学を進める新しい形の例だね。

受験・勉強とペーター・ショルツェのつながり

中学受験・高校受験との関係

p進数の考え方の入口は、「素数で何回わり切れるか」です。中学受験の素因数分解や約数の和の問題が、そのまま入口です。たとえば、1から100までの数をかけた 100!100! を計算したとき、末尾に0がいくつ並ぶかを聞く問題があります。0の数は「5で何回わり切れるか」で決まり、答えは24個です。これは5進の見方そのものです。

考え方はこうです。末尾の0は、10=2×5を何回かけたかで決まります。2の方が5よりずっとたくさん含まれているので、数えるのは5の個数だけで足ります。1から100までに、5の倍数は20個あり、そのうち25の倍数4個はもう1回ずつ5を余分に含みます(100は125未満なので、125の倍数はありません)。だから、5は全部で 20+4=2420+4=24 回です。この数え方を、ルジャンドルの業績と生涯にちなんで「ルジャンドルの公式」とよぶことがあります。素数 pp で何回わり切れるかを数える見方が、そのままp進数の「大きさ」になります。

ショルツェの研究は、この見方を、方程式や図形にまで広げたものと言えます。身近な整数の問題と、最先端の数論は、同じ「素数で割れる回数」というアイデアでつながっているのです。受験生のみなさんも、末尾の0の問題を解くたびに、じつは数論の入口に立っているのです。気づいたら、ぜひ周りの人にも話してみてください。

大学受験との関係

大学・大学院でつながる分野

代数学(体論・ガロア理論)、数論、代数幾何学、位相幾何学などです。ショルツェの仕事は、大学院の数論の中心的な話題ですが、入口は高校数学にあります。京都大学の整数問題は京大理系数学の出題分析(整数問題の出方)で調べられます。

勉強法として:「別の見方」で、数を測りなおす

ショルツェの仕事の根っこには、「同じ数でも、測り方を変えると、まったく違う顔を見せる」という発見があります。入試の勉強でも、ひとつの問題を「別の見方」で解きなおしてみると、理解が深まります。勉強の進め方は数学の勉強法(解法の暗記→演習→過去問)を参考にしてください。

ペーター・ショルツェがその後の数学にあたえた影響

  • 数論の道具が一新された:パーフェクトイド空間は、わずか数年で、数論の多くの分野で使われる標準的な道具になりました。
  • ラングランズ対応の理解:局所ラングランズ対応についての新しい見方は、ワイルズの流れを受けつぐ数論の最前線です。
  • 新しい数学の土台:凝縮数学は、位相と代数をつなぐ新しい枠組みとして、世界中で議論されています。
  • 計算機による証明の検証:リキッド・テンソル実験は、最先端の数学の証明を計算機で確かめられることを示しました。
  • 若い世代への影響:大学院生のころの仕事が、数学の中心になった例として、若い研究者に大きな励ましを与えています。

数論の大きな問題は、フェルマーの最終定理、ABC予想、リーマン予想などがあります。これらは、どれも整数の性質をめぐる問題で、p進数やガロア表現の道具が、さまざまな形で関わっています。

ペーター・ショルツェに挑戦!練習問題

やさしい

  1. 12は3で何回わり切れますか。また、12の3進での大きさ(3で割れる回数 kk から 13k\dfrac1{3^k} とする)を求めなさい。
    答えと解説を見る12=3×412=3\times4 で、3で割れるのは1回。3進での大きさは13\dfrac13。
  2. 27の3進での大きさと、18の3進での大きさを求めなさい。
    答えと解説を見る27=3327=3^3 なので 127\dfrac1{27}。18=2×3218=2\times3^2 なので 19\dfrac19。答えは27は 127\dfrac1{27}、18は 19\dfrac19。

ふつう

  1. 100!=1×2×⋯×100100!=1\times2\times\cdots\times100 は、5で何回わり切れますか。(これが末尾に並ぶ0の個数になります)
    答えと解説を見る5の倍数が20個、25の倍数が4個、125以上はなし。20+4=20+4=24回。末尾の0は24個です。
  2. 5進で、1+5+25=311+5+25=31 と −14-\dfrac14 の差 31−(−14)31-\left(-\dfrac14\right) を求め、その5進での大きさを答えなさい。
    答えと解説を見る31+14=125431+\dfrac14=\dfrac{125}{4}。分子の 125=53125=5^3 なので、5進での大きさは1125\dfrac1{125}。(項数が増えるほど小さくなります)

むずかしい

  1. 2進で 1+2+4+8=151+2+4+8=15 と −1-1 の差を求め、その2進での大きさを答えなさい。
    答えと解説を見る15−(−1)=16=2415-(-1)=16=2^4。2進での大きさは116\dfrac1{16}。項数を増やすと差はもっと小さくなるので、2進では 1+2+4+⋯=−11+2+4+\cdots=-1 と考えられます。
  2. 12について、ふつうの大きさ、2進での大きさ、3進での大きさをかけ合わせた値を求めなさい。(ほかの素数での大きさは1です)
    答えと解説を見るふつうは12、2進は 12=22×312=2^2\times3 より 14\dfrac14、3進は 13\dfrac13。12×14×13=12\times\dfrac14\times\dfrac13=1。(積公式といい、すべての有理数で成り立ちます)

ペーター・ショルツェと関係する数学者・難問

ABC予想とは?では、IUT理論をめぐる経緯を、両方の立場を並べて説明しています。フェルマーの最終定理も数論の大きな流れの一部です。公式を調べるなら算数・数学の公式一覧(公式辞典)、数学用語は数学用語辞典(用語の意味を1語1ページ)が便利です。

現代(1940年以降生まれ)の数学者

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有名な数学者一覧(年代順・国別・分野別)で、ほかの数学者も見られます。数学者たちが挑んだ問題は数学の難問・未解決問題の一覧にまとめています。

読みもの(合格大作戦の数学の記事)

よくある質問

ペーター・ショルツェは何をした人ですか?

ペーター・ショルツェは、ドイツの数学者です。大学院生のころにパーフェクトイド空間を発表して数論を大きく進め、24歳でボン大学の教授になり、2018年にフィールズ賞を受けました。

パーフェクトイド空間とは何ですか?

p進数の世界で、pのp乗根をいくらでもとれる性質を持つ空間です。ティルティングという方法で、整数に近い世界と多項式に近い世界を結び、むずかしい世界の問題を、やさしい世界で調べられるようにしました。

p進数とは何ですか?

素数pで何回わり切れるかで数の大きさを測る数の世界です。pで何回もわり切れる数ほど0に近いと考えます。1897年にヘンゼルが導入しました。たとえば5進では、1+5+25+…は−1/4に近づきます。

ショルツェはいつフィールズ賞を受けましたか?

2018年に、ブラジルのリオデジャネイロで開かれた国際数学者会議で受賞しました。30歳のときで、p進体上の数論的代数幾何を変革した業績が評価されました。

ショルツェは何歳で教授になりましたか?

2012年に24歳でボン大学の教授になりました。ドイツで最も若い正教授のひとりとされます。2018年にはマックス・プランク数学研究所の所長にもなりました。

リキッド・テンソル実験とは何ですか?

2020年12月にショルツェが呼びかけた、凝縮数学の重要な定理を計算機で検証する計画です。証明確認ソフトウェアLeanを使い、ヨハン・コメリンらが中心となり、2022年7月に検証が完了したと発表されました。

ショルツェはABC予想とどのように関係しますか?

2018年にヤコブ・シュティックスとともに、望月新一のIUT理論の第3論文の系3.12の証明に問題があるとする報告書を公開しました。望月新一は反論を公開し、論文は2021年に学術誌に掲載されましたが、評価は分かれたままです。

ショルツェとほかの数学者の関係を教えてください。

指導教員はミヒャエル・ラポポルトです。ガロアが考えたガロア群や、ワイルズが使った保型形式とガロア表現の対応、グロタンディークが築いた代数幾何学の流れを受けついでいます。

ショルツェの研究は受験に関係がありますか?

研究そのものは出ませんが、素因数分解、約数、合同式、n進法、無限級数などの考え方と深くつながっています。「100!の末尾に0がいくつ並ぶか」は、5進の見方の入口です。

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出典・参考

  • 英語版ウィキペディア「Peter Scholze」、日本語版ウィキペディア「ペーター・ショルツェ」
  • P. Scholze, “Perfectoid spaces”, Publications mathématiques de l’IHÉS 116(2012年)
  • P. Scholze, “On torsion in the cohomology of locally symmetric varieties”, Annals of Mathematics 182(2015年)
  • P. Scholze, J. Stix, “Why abc is still a conjecture”(2018年)
  • 国際数学連合(IMU)「Fields Medals 2018」の発表
  • Quanta Magazine「Lean Computer Program Confirms Peter Scholze’s Proof」(2021年)

最終更新:2026年11月2日/作成:大学受験合格大作戦