鳩の巣原理(部屋割り論法)の公式|n+1個をn個の箱に入れる原理の証明・余りや図形の分割で使う例題【大学数学・東大京大レベル】

鳩の巣原理(部屋割り論法)の公式|n+1個をn個の箱に入れる原理の証明・余りや図形の分割で使う例題【大学数学・東大京大レベル】

合格大作戦 算数・数学公式辞典 › 場合の数・確率

大学受験

n+1 個を n 個の箱に入れると、2個以上の箱があるn+1\ \text{個を}\ n\ \text{個の箱に入れると、2個以上の箱がある}

一般形:mm 個を nn 個の箱に入れると ⌈mn⌉\left\lceil\dfrac mn\right\rceil 個以上の箱がある

この公式のポイント

  • n+1n+1 個を nn 個の箱に入れると2個以上の箱がある
  • 証明は背理法(全部1個以下なら nn 個以下)
  • 何を箱にするかが勝負(余り・領域)
  • 一般形は切り上げ ⌈mn⌉\left\lceil\dfrac mn\right\rceil
うかるくん

うかるくん

鳩の巣原理って当たり前すぎて、どこで使うのかわからないよ。

合格先生

合格先生

「必ず〜となる2つがある」を示すときだ。割った余りや図形の区切りを箱にするのがコツだぞ。

鳩の巣原理(部屋割り論法)

5羽の鳩が4つの巣に入れば、どこかの巣には2羽以上います。あたり前に見えるこの原理が、整数や図形の「必ず〜となるものが存在する」という証明で大活躍します。部屋割り論法、ディリクレの箱入れ原理(引き出し論法)ともいいます。

鳩の巣原理

基本形:n+1n+1 個のものを nn 個の箱に入れると、2個以上入っている箱が少なくとも1つある。

一般形:mm 個のものを nn 個の箱に入れると、⌈mn⌉\left\lceil\dfrac mn\right\rceil 個以上入っている箱が少なくとも1つある。

(⌈x⌉\lceil x\rceil は xx 以上の最小の整数。例:⌈1007⌉=15\left\lceil\dfrac{100}{7}\right\rceil=15)

整数 5 個を「4 で割った余り」の箱(4 つ)に入れる7, 12, 22, 33, 41余り012余り13341余り222余り37同じ箱の2数:41−33=8 は4の倍数
5個の整数を「4で割った余り」で4つの箱に分けると、どれかの箱に2個入る。その2数の差は4の倍数

証明(背理法)

基本形:どの箱にも1個以下しか入っていないと仮定します。すると全部で多くても 1×n=n1\times n=n 個。ところが実際は n+1n+1 個あるので矛盾。よって2個以上入っている箱があります。

一般形:k=⌈mn⌉k=\left\lceil\dfrac mn\right\rceil とし、どの箱にも k−1k-1 個以下しか入っていないと仮定します。k−1<mnk-1<\dfrac mn(kk は mn\dfrac mn 以上の最小の整数だから)なので、全部で

n(k−1)<n⋅mn=mn(k-1)<n\cdot\frac mn=m

個より少なくなり、mm 個あることに矛盾します。よって kk 個以上入っている箱があります。

使い方のコツ:問題の中から「何を箱にするか」を見つけるのが勝負です。整数なら割った余り、図形なら領域を分ける、が2大パターンです。

≦1111辺2の正三角形に5点中点を結んで4つに→どれかに2点小さい三角形の中の2点の距離は1辺(=1)以下
1辺2の正三角形を4つに分けると、5点のうち2点は同じ小三角形に入り、距離は1以下

大学受験での使い方

大学受験

例題1(余りを箱にする)

どんな整数を5個選んでも、その中に差が4の倍数になる2数があることを示しなさい。

解き方

整数を4で割った余りは 0, 1, 2, 3 の4通り。これを4つの箱とします。

5個の整数を余りで箱に分けると、鳩の巣原理より、同じ箱に入る2数 a, ba,\ b があります。余りが等しいので a−ba-b は4の倍数です。

答え (証明終わり)

大学受験

例題2(図形を分ける)

1辺の長さが2の正三角形の周または内部に5点をとると、距離が1以下の2点が必ずあることを示しなさい。

解き方

各辺の中点を結ぶと、1辺1の正三角形4つに分かれます(周もふくめて考えます)。これを4つの箱とすると、5点のうち2点は同じ小さい正三角形の周または内部に入ります。

1辺1の正三角形の周または内部の2点の距離は、1辺の長さ1以下です。

答え (証明終わり)

大学受験

例題3(奇数の部分を箱にする)

1から100までの整数から51個を選ぶと、一方が他方の約数になっている2数が必ずふくまれることを示しなさい。

解き方

どの整数も 2k×m2^k\times m(k≥0k\ge0、mm は奇数)と表せます。1〜100 では mm は 1, 3, 5, …, 99 の50通り。mm の値を箱とします。

51個の数を50個の箱に入れるので、同じ mm をもつ2数 2jm2^j m と 2km2^k m(j<kj<k)があります。このとき 2jm2^j m は 2km2^k m の約数です。

答え (証明終わり)

高校の範囲をこえる内容と入試での使い方

教科書での位置:鳩の巣原理は、高校の教科書で「公式」として習うものではありません(発展・コラムで紹介されることはあります)。しかし考え方は背理法そのものなので、高校数学で完全に説明できます。大学では組合せ論(離散数学)の基本原理として学びます。

入試での使い方:

  • 答案では「鳩の巣原理より」とだけ書かず、「箱は何で何個、入れるものは何個」をはっきり書きます。そうすれば、それ自体が証明になります。
  • 難関大の入試では、「必ず〜となる2つが存在することを示せ」という整数・図形の問題で、この原理が背景になっているものがあります。
  • 「存在する」ことは言えても、どれがそうなのかは教えてくれません。具体的に求める問題では別の方法が必要です。

よくある間違い

腕でバツを作る合格先生

合格先生

一般形は切り上げだ。100個を7箱なら14ではなく、15個以上の箱があるんだぞ。

  • ものの数と箱の数が同じで使う:nn 個を nn 個の箱に入れても、1個ずつ入るかもしれません。ものが箱より多いことが必要です。
  • 一般形で切り捨てる:100個を7箱なら 100÷7=14.28⋯100\div7=14.28\cdots で、答えは14ではなく15個以上(切り上げ)。7×14=987\times14=98 個では足りないからです。
  • 箱の分け方にもれや重なりがある:どのものも、どれか1つの箱に必ず入るように分けます。図形では境界の点も入るように「周をふくめて」考えます。

練習問題

「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

何を箱にするか、まずそれを決めよう。

  1. 大学受験 何人以上集まれば、生まれた月が同じ人が必ず2人以上いるといえますか。
    答えと解説を見る月は12通り(箱12個)。12人では全員ちがう月のこともあるが、13人なら必ず同じ月の2人がいる。答え:13人
  2. 大学受験 100個のボールを7つの箱に入れるとき、少なくとも何個入っている箱が必ずありますか。
    答えと解説を見る⌈1007⌉=15\left\lceil\dfrac{100}{7}\right\rceil=15。各箱14個以下なら合計98個以下で足りないので、15個以上の箱がある。答え:15個
  3. 大学受験 nn 個の整数 a1, a2, …, ana_1,\ a_2,\ \ldots,\ a_n があります。この中から1個以上を選んで、その和を nn の倍数にできることを示しなさい(連続する番号から選べることも示す)。
    答えと解説を見るSk=a1+⋯+akS_k=a_1+\cdots+a_k(k=1, …, nk=1,\ \ldots,\ n)を考える。どれかが nn の倍数なら終わり。そうでなければ、nn 個の SkS_k を nn で割った余りは 1〜n−1n-1 の n−1n-1 通りなので、鳩の巣原理より余りが等しい Si, SjS_i,\ S_j(i<ji<j)がある。Sj−Si=ai+1+⋯+ajS_j-S_i=a_{i+1}+\cdots+a_j は nn の倍数。

関連する公式

よくある質問

鳩の巣原理とは?

n+1個のものをn個の箱に入れると、2個以上入っている箱が少なくとも1つあるという原理です。部屋割り論法、ディリクレの箱入れ原理ともいいます。

鳩の巣原理の一般形は?

m個のものをn個の箱に入れると、m÷n を切り上げた個数以上入っている箱が少なくとも1つあります。

鳩の巣原理はどんな問題で使いますか?

「必ず〜となる2つが存在する」ことを示す問題です。整数では割った余り、図形では領域の分け方を箱にするのが典型です。

入試の答案で鳩の巣原理を使ってよいですか?

使えますが、何を箱にして箱が何個、入れるものが何個かをはっきり書くことが大切です。

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出典・参考

  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」数学A(数学と人間の活動)
  • 高校の範囲外の発展内容(組合せ論)

最終更新:2026年10月11日/作成:大学受験合格大作戦