この公式のポイント
- 対角線より上に出ない道の数が Cn
- 悪い道はy=x+1 で折り返す(鏡像法)
- 漸化式 Cn+1=∑CkCn−k
- かっこの並び・三角形分割・開票も同じ答え

うかるくん
対角線より上に出る悪い道って、どうやって数えるの?
![合格先生]()
合格先生
y=x+1 に初めて触れた点から後を折り返すんだ。すると (n−1, n+1) への道と1対1に対応するぞ。
カタラン数の公式
「対角線より上に出ない道」「正しいかっこの並べ方」「多角形の三角形分割」など、ちがう問題の答えが、同じ数の列 1, 1, 2, 5, 14, 42, 132, … になります。これをカタラン数といいます(19世紀の数学者カタランの名前にちなむ)。
カタラン数 Cn
Cn=n+112nCn=2nCn−2nCn−1漸化式:C0=1、Cn+1=C0Cn+C1Cn−1+⋯+CnC0=k=0∑nCkCn−k
C0=1, C1=1, C2=2, C3=5, C4=14, C5=42, C6=132, C7=429
Cn が答えになる問題:
- (0, 0) から (n, n) まで、右か上に進み、直線 y=x より上に出ない道の数
- かっこ n 組の正しい並べ方(「(」と「)」が正しく対応する並べ方)
- 凸 (n+2) 角形を対角線で三角形に分ける方法の数
- A、B が n 票ずつ得票し、開票の途中でいつも A の票が B の票以上である開票順
(0, 0) から (4, 4) まで対角線より上に出ない道。各点の数は「左の点+下の点」で、ゴールは C4=14
証明①:鏡像法(折り返し)
(0, 0) から (n, n) まで右か上に1つずつ進む道は、右 n 回・上 n 回の並べ方なので全部で 2nCn 通り(同じものを含む順列)。このうち、y=x より上に出る道(悪い道)を数えて引きます。
- 悪い道は、どこかで直線 y=x+1 に触れます。最初に触れた点を P とします。
- P から後の部分だけを y=x+1 について折り返すと(右と上を入れかえる)、ゴールの (n, n) は (n−1, n+1) に移ります。
- 逆に、(0, 0) から (n−1, n+1) への道は必ず y=x+1 に触れるので、最初に触れた点から後を折り返すと悪い道にもどります。
よって、悪い道と「(n−1, n+1) への道」は1対1に対応し、その数は 2nCn−1。したがって
Cn=2nCn−2nCn−1=n!n!(2n)!−(n−1)!(n+1)!(2n)!=n!(n+1)!(2n)!{(n+1)−n}=n+112nCn
n=4 の鏡像法。y=x+1 に触れた道を P から後だけ折り返すと、(3, 5) への道になる
証明②:漸化式
かっこ n+1 組の正しい並べ方で、先頭の「(」に対応する「)」に注目します。その間に k 組、その後ろに n−k 組の正しい並びが入り、「( k 組 ) n−k 組」の形になります(k=0, 1, …, n)。間の並べ方が Ck 通り、後ろが Cn−k 通りなので
Cn+1=k=0∑nCkCn−k
例:C3=C0C2+C1C1+C2C0=2+1+2=5、C4=C0C3+C1C2+C2C1+C3C0=5+2+2+5=14。
凸五角形の三角形分割も、かっこ3組の並べ方も、どちらも C3=5 通り
大学受験での使い方
大学受験例題1(対角線をこえない道)
座標平面で、点 (0, 0) から点 (4, 4) まで、
x 軸方向か
y 軸方向に1ずつ進みます。直線
y=x より上(
y>x の部分)に出ない道は何通りですか。
解き方
全部の道は 8C4=70 通り。悪い道は、最初に y=x+1 に触れた点から後を折り返すと (3, 5) への道と1対1に対応するので 8C3=56 通り。
70−56=14 通り。(図1のように、各点に数を書いて足していっても14になります。)
答え 14 通り
大学受験例題2(かっこの並べ方)
かっこ「(」と「)」を3個ずつ並べるとき、正しく対応する並べ方をすべて書き出し、その数を答えなさい。
解き方
((()))、(()())、(())()、()(())、()()() の5通り。
公式でも C3=41⋅6C3=420=5。「(」を右へ1歩、「)」を上へ1歩とすれば、例題1と同じ「対角線より上に出ない道」になります。
答え 5 通り
大学受験例題3(六角形の三角形分割)
凸六角形を、交わらない対角線で三角形に分ける方法は何通りですか。凸
m 角形の分け方を
tm(
t3=1, t4=2, t5=5)として求めなさい。
解き方
頂点を順に 1〜6 とし、辺 1-6 をふくむ三角形の残りの頂点 k(k=2, 3, 4, 5)で場合分けします。三角形の両側に k 角形と (7−k) 角形が残ります(2角形は「何もない」として t2=1)。
t6=t2t5+t3t4+t4t3+t5t2=5+2+2+5=14。
これはカタラン数の漸化式と同じ形で、t6=C4=14 です。
答え 14 通り
高校の範囲をこえる内容と入試での使い方
教科書での位置:道の数え方や組合せは数学Aで習いますが、「カタラン数」という名前と公式は高校の教科書の範囲外(発展)です。ただし、証明に使う鏡像法も漸化式も、数学A・数学Bの考え方で説明できます。
入試での使い方:
- 答案に「カタラン数より n+112nCn」とだけ書くのは避けましょう。折り返しで1対1に対応することを説明してから使います。
- 小さい n では、図1のように各点に数を書いて足す方法が確実で、検算にも使えます。
- 難関大の入試では、道の数・開票の順・かっこの並びなど、見た目はちがっても背景にカタラン数がある問題があります。「1, 2, 5, 14」が出てきたらカタラン数を疑いましょう。
よくある間違い
![腕でバツを作る合格先生]()
合格先生
折り返す線は y=x ではなく y=x+1 だ。対角線の上を通るだけの道は悪い道ではないぞ。
- 折り返す線をまちがえる:折り返すのは y=x ではなく y=x+1。「y=x に触れる」道は対角線上を通るだけで、悪い道とはかぎりません。
- 引く数をまちがえる:引くのは 2nCn−1(2nCn+1 と同じ値)。ゴールが (n−1, n+1) に移ることから確かめましょう。2nCn−2 などにするのはまちがいです。
- n+11 を n1 にする:n=3 で確かめると 41⋅20=5。31⋅20 は整数になりません。
練習問題
- 大学受験 カタラン数 C5 を公式で求めなさい。
答えと解説を見る
C5=61⋅10C5=6252=42 - 大学受験 A、B の2人の候補が4票ずつ得票しました。1票ずつ開票するとき、開票の途中でいつも A の票数が B の票数以上である開票の順(票の並び)は何通りですか。
答えと解説を見る
A を右へ1歩、B を上へ1歩とすると、(0, 0) から (4, 4) への道で y=x より上に出ないもの。C4=8C4−8C3=70−56=14 通り - 大学受験 漸化式 Cn+1=∑k=0nCkCn−k を使って C6 を求めなさい。
答えと解説を見る
C6=1⋅42+1⋅14+2⋅5+5⋅2+14⋅1+42⋅1=132
関連する公式
よくある質問
カタラン数とは?
C_n=2nCn/(n+1) で表される数の列 1, 1, 2, 5, 14, 42, 132, … のことです。対角線より上に出ない道の数や、正しいかっこの並べ方の数などになります。
カタラン数の公式はどうやって証明しますか?
すべての道 2nCn 通りから、y=x+1 に触れる悪い道を引きます。悪い道は最初に触れた点から後を折り返すと (n−1, n+1) への道と1対1に対応するので 2nC(n−1) 通りです。
カタラン数の漸化式は?
C_0=1、C_{n+1}=C_0C_n+C_1C_{n−1}+…+C_nC_0 です。かっこの並びで、先頭の「(」に対応する「)」の位置で場合分けすると導けます。
カタラン数は入試で使えますか?
名前と公式は高校の範囲外です。答案では鏡像法による1対1対応を説明してから使い、小さい数では書き出して検算するのが安全です。
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出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」数学A(場合の数と確率)
- 高校の範囲外の発展内容(組合せ論)
最終更新:2026年10月11日/作成:大学受験合格大作戦