アポロニウスは何をした人?業績・生涯・名言|アポロニウスの円・円錐曲線・中線定理

アポロニウスは何をした人?業績・生涯・名言|アポロニウスの円・円錐曲線・中線定理

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アポロニウスApollonius

ひとことで言うと

円すいを平面で切ってできる楕円・放物線・双曲線を調べつくし、その名前をつけた古代ギリシャの「偉大な幾何学者」。アポロニウスの円と中線定理でも知られる。

名前ペルガのアポロニウス(Apollonius of Perga)。アポロニオスとも書く
生没年紀元前262年ごろ〜前190年ごろ(正確な年は不明)
国古代ギリシャ(小アジアのペルガ生まれ、アレクサンドリアで活やく)
分野幾何学・円錐曲線・天文学
主な業績『円錐曲線論』(全8巻)、楕円・放物線・双曲線の命名、アポロニウスの円、アポロニウスの問題、中線定理、周転円の研究
名前がつくものアポロニウスの円・アポロニウスの問題・アポロニウスの定理(中線定理)・月のクレーター「アポロニウス」
よばれ方偉大な幾何学者(The Great Geometer)

このページのポイント

  • 円すいを切って楕円・放物線・双曲線をすべて調べ、名前をつけた。この名前が2000年以上たった今も使われている
  • アポロニウスの円:2定点からの距離の比が一定の点は円をえがく。入試の軌跡・複素数平面の定番
  • 中線定理(AB²+AC²=2(AM²+BM²))と、失われた本のアポロニウスの問題(3つの円に接する円)も有名

アポロニウスは何をした人?(業績をひとことで)

ペルガのアポロニウス(紀元前262年ごろ〜前190年ごろ)は、古代ギリシャの数学者・天文学者です。主著『円錐曲線論』(全8巻)で、円すいを平面で切ってできる楕円・放物線・双曲線を徹底的に調べ、この3つの曲線に今も使われている名前をつけたことで知られます。「偉大な幾何学者」とよばれ、ユークリッド・アルキメデスとならぶ古代ギリシャ数学の三大巨人のひとりです。

受験生にとってのアポロニウスは、「アポロニウスの円」と「中線定理(アポロニウスの定理)」、そして二次曲線(楕円・放物線・双曲線)の人です。2点からの距離の比が一定の点が円をえがく――という話は軌跡と領域(アポロニウスの円)の定番で、大学入試でもくり返し出題されます。三角形の中線の長さを求める中線定理(パップスの中線定理)の使い方も、アポロニウスの名前でよばれることがあります。楕円・放物線・双曲線の式と性質は2次曲線(放物線・楕円・双曲線)の公式のまとめで確かめられます。

サクラちゃん

サクラちゃん

楕円とか双曲線って、いつ名前がついたんですか?昔からあったんですか?

合格先生

合格先生

曲線そのものは、アポロニウスより前から調べられていたよ。でも、円すいを切るだけで3つ全部が出てくることを整理して、「楕円」「放物線」「双曲線」と名前をつけたのは、アポロニウスだといわれている。2000年以上前の本の言葉が、そのまま今の教科書に残っているんだ。

アポロニウス『円錐曲線論』ラテン語版(1661年)の扉
アポロニウス『円錐曲線論』第5〜7巻のラテン語訳(1661年、フィレンツェ刊)の扉。アポロニウスの肖像は伝わっていないので、本の扉を載せました画像:Giuseppe Cocchini刊、Apollonii Pergaei Conicorum(1661年)/Wikimedia Commons(パブリックドメイン)

アポロニウスの生涯と年表

ペルガで生まれ、アレクサンドリアで学ぶ

アポロニウスは、小アジア(今のトルコ南部)の都市ペルガに生まれたとされます。ペルガは、当時のギリシャ語を話す地域のひとつで、地中海に近い町でした。生まれた年は紀元前262年ごろ、亡くなった年は紀元前190年ごろとされますが、正確な年は伝わっていません。亡くなったのはエジプトのアレクサンドリアだったと考えられています。

若いころにアレクサンドリアへ出て、ユークリッドの弟子たちの教えを受けたと伝えられています。アレクサンドリアには、世界中の本を集めた大図書館と研究所(ムセイオン)があり、学問の中心地でした。ユークリッドが亡くなってから、アポロニウスが生まれるまで、およそ数十年。そのあいだにユークリッドの『原論』は、すでに「幾何学の教科書」の地位を固めていました。

ペルガモンで、友人と出会う

アポロニウスは、のちにペルガモン(今のトルコ西部の町)を訪れ、そこでエウデモスという学者と出会ったと伝えられています。『円錐曲線論』の最初の巻には、エウデモスにあてた手紙の形をとった序文があります。この本のくわしいいきさつは、序文に書かれていますが、細かい点は研究者のあいだで意見が分かれています。のちの巻は、ペルガモンの王アッタロスにあてて書かれたと考えられています。

『円錐曲線論』全8巻の完成

アポロニウスの代表作『円錐曲線論』は、全8巻の大著です。ギリシャ語で今に伝わるのは第1〜4巻、第5〜7巻はアラビア語の訳で残り、第8巻は失われました。この本は、のちにアラビア世界や17世紀のヨーロッパで熱心に研究され、デカルトの座標幾何学やケプラーの惑星の楕円軌道の出発点になります。

年できごと
前262年ごろ小アジアのペルガに生まれたとされる(正確な年は不明)
前3世紀なかばアレクサンドリアでユークリッドの弟子たちに学んだと伝えられる
前3世紀後半ペルガモンを訪れ、エウデモスらと交流したと伝えられる
前3世紀後半『円錐曲線論』(全8巻)を書く。楕円・放物線・双曲線の名前がつく
前3世紀後半『接触について』などの本を書く(のちに失われ、パッポスが内容を紹介)
前190年ごろアレクサンドリアで亡くなったとされる(正確な年は不明)
9世紀ごろ第5〜7巻がアラビア語に訳され、第1〜4巻とともに伝わる
1590年代後半ヴィエトがファン・ローメンに「3つの円に接する円」の問題を出す(ローメンは1596年に双曲線で解答)。ヴィエトは自分の作図を1600年ごろ『ガリアのアポロニウス』で発表したとされる
1661年第5〜7巻のラテン語訳がフィレンツェで出版される

アポロニウスの主な業績をやさしく解説

業績1 円すいを切ってできる3つの曲線(円錐曲線論)

ソフトクリームの「コーン」の形の円すいを、平面で切ってみましょう。切り口の形は、平面の傾きによって変わります。アポロニウスは、上下に頂点でつながった2つの円すい(双円すい)を考え、平面の傾きを変えるだけで、次の3つの曲線がすべて出てくることを示しました。

  • 楕円:平面が円すいの母線(斜めの線)より、ゆるやかに傾いているとき。つぶれた円の形。円(平面が底面と平行)も楕円の特別な場合です。
  • 放物線:平面が円すいの母線と平行なとき。ボールを投げたときの軌跡の形。
  • 双曲線:平面がもっと急に立っていて、上下2つの円すいをどちらも切るとき。2つに分かれた曲線になる。
円すいを切ると3つの曲線楕円放物線双曲線楕円(だえん)放物線双曲線
円すいを切る角度で、楕円(赤)・放物線(緑)・双曲線(青)ができる

それまでの数学者は、3種類の円すい(先のとがり具合がちがう3種類)を、それぞれ別々の平面で切っていました。アポロニウスは「1つの円すいを切るだけで、全部できる」ことを示し、すべての円錐曲線を1つの理論でまとめた、といわれます。円すいの形そのものは円すいの展開図の公式や円柱・円すいとはで確かめられます。

業績2 楕円・放物線・双曲線の名前をつけた

「楕円」「放物線」「双曲線」という名前は、日本語に訳されたものですが、もとになったギリシャ語の名前は、アポロニウスが『円錐曲線論』で使った言葉が元だといわれます。日本語版ウィキペディアでは、「不足する」「一致する」「超越する」という3つの言葉に由来すると説明されています。

  • エリプシス(不足する)=楕円(英語 ellipse)
  • パラボレー(一致する・ならぶ)=放物線(英語 parabola)
  • ヒュペルボレー(超える)=双曲線(英語 hyperbola)

この名前は、曲線をえがく図形の面積の「たりない」「ぴったり」「あまる」という関係から付けられたとされています。くわしい理由は専門的なので、ここでは「アポロニウスが付けた名前が、そのまま英語の ellipse・parabola・hyperbola になった」と覚えておけば十分です。数学で使われるギリシャ文字はギリシャ文字の読み方一覧(θ・Σ・π・λ)で確かめられます。

業績3 焦点の性質(楕円と放物線)

楕円・放物線・双曲線には、焦点という特別な点があります。『円錐曲線論』の第3巻には、焦点の性質が書かれているとされます。

楕円は、2つの焦点 F₁・F₂ からの距離の和が一定になる点 P の集まりです。

PF1+PF2=2aPF_1+PF_2=2a
楕円(2つの焦点からの距離の和が一定)F₁F₂PabPF₁ + PF₂ = 2a (x²/a²+y²/b²=1)
楕円。2つの焦点からの距離の和PF₁+PF₂が、どの点Pでも一定の2aになる

たとえば、ひもの両端を2本のピンで止め、鉛筆でピンと張りながら動かすと、楕円がかけます。ピンの位置が焦点です。放物線は、焦点からの距離と、準線(決まった直線)からの距離が等しい点の集まりです。

放物線(焦点と準線から等しい距離)FPH準線PFPHPF = PH (y²=4px の形)
放物線。焦点Fまでの距離PFと、準線までの距離PHが、どの点Pでも等しい

放物線の焦点の性質を使うと、パラボラアンテナや反射鏡の仕組みが分かります。平行にとどいた電波や光は、放物線の面で反射して、すべて焦点に集まります。アポロニウスは「燃える鏡」(光を1点に集める鏡)についても調べたと伝えられています。楕円・双曲線の式の求め方は2次曲線のまとめや放物線とはにまとめています。

業績4 アポロニウスの円

平面上に2点 A・B があるとき、A までの距離と B までの距離の比が一定(たとえば PA:PB=2:1)になる点 P の集まりは、どんな図形でしょう。答えは、円です(比が1:1のときだけ直線=垂直二等分線になります)。この円をアポロニウスの円といいます。

アポロニウスの円(PA:PB=2:1)ABPPA=2√3PB=√326中心(4,0)距離の比が一定の点の集まり → (x−4)²+y²=4
A(0,0)・B(3,0)で PA:PB=2:1 となる点Pの集まりは、中心(4,0)・半径2の円

実際に確かめてみましょう。A を原点、B を (3,0) とし、P を (x,y) とします。PA=2PB なので、両辺を2乗して

x2+y2=4{(x−3)2+y2}x^2+y^2=4\{(x-3)^2+y^2\}

となります。展開して整理すると、x2−8x+y2+12=0x^2-8x+y^2+12=0、つまり (x−4)2+y2=4(x-4)^2+y^2=4。これは中心 (4,0)、半径2の円です。この円は、線分 AB を2:1に内分する点 (2,0) と、外分する点 (6,0) を通ります(内分・外分とは)。いつも「内分点と外分点を直径の両端とする円」になる、と覚えておくと便利です。

この円は、円の方程式と組みあわせて、軌跡と領域の問題(アポロニウスの円)として出題されます。比が決まった点を探す問題、図形の最大・最小の問題、複素数平面の問題(複素数平面とは)でも、アポロニウスの円が顔を出します。ただし、これをアポロニウス自身が『円錐曲線論』で書いたのではなく、『平面軌跡論』という別の本で扱った内容が、のちに「アポロニウスの円」とよばれるようになったといわれます。

業績5 アポロニウスの問題(3つの円に接する円)

アポロニウスの失われた本『接触について』に、次のような問題が書かれていたと伝えられています。3つの「もの」(点・直線・円)が与えられたとき、その3つすべてにふれる円を作図せよ。3つとも円のときは、答えが最大で8個もあり、とても難しい問題でした。

アポロニウスの問題(3つの円に接する円)大きな円(外から3つにふれる)与えられた3つの円↑小さな円答えは全部で最大8個。作図もできる(定規とコンパス)
互いにふれる3つの円(青)に接する円。外からつつむ大きな円(赤)と、すきまにはまる小さな円(緑)が答えの例

この本は失われましたが、のちの数学者パッポス(パッポスの定理と業績)が、内容を紹介してくれました。16世紀のフランスで、ヴィエトの解と係数の関係と記号代数は、この問題の作図を考え、「アポロニウスの問題」とよばれて有名になりました。ヴィエトは、失われた本を復元しようとする気持ちをこめて、1600年に『ガリアのアポロニウス』という本でこの問題の解答を発表したとされます。

業績6 中線定理(アポロニウスの定理)と天文学

三角形ABCで、辺BCの中点をMとしたとき、中線AMについて、次の関係が成り立ちます。

AB2+AC2=2(AM2+BM2)AB^2+AC^2=2(AM^2+BM^2)
中線定理(アポロニウスの定理)ABCM(BCの中点)AMAB²+AC² = 2(AM²+BM²)
三角形の中線定理。AB²+AC²=2(AM²+BM²)。Mは辺BCの中点

これが中線定理で、アポロニウスの定理やパップスの中線定理ともよばれます(中線定理の使い方と例題)。三角形の3辺の長さが分かっているとき、中線の長さを求められる便利な定理です。

また、アポロニウスは天文学でも活やくしました。惑星の動きを説明するために、離心円や周転円という円の組みあわせを使う考えを研究したと考えられています。のちにプトレマイオス(トレミー)の天動説とトレミーの定理が完成させた天動説の土台です。惑星が行ったり来たりするように見える「留」(止まって見える点)の位置を調べる定理も、アポロニウスが証明したとされます。

アポロニウスの名前がつく公式・定理・用語

放物線・楕円・双曲線の式と、それぞれの漸近線(漸近線とは)、焦点、媒介変数表示(媒介変数表示の公式)まで、受験の二次曲線の分野はすべてアポロニウスの仕事につながっています。

「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

軌跡の問題で「2点からの距離の比が一定」と出たら、まずアポロニウスの円を思い出そう。両端が内分点と外分点の円になるから、図もすぐかけるよ。

アポロニウスの逸話と名言

「偉大な幾何学者」とよばれた人

アポロニウスは、古代から「偉大な幾何学者」という称号でよばれたと伝えられています。古代の数学者・天文学者の間でも、アポロニウスの本は高く評価され、のちの時代の学者たちが注釈(解説)を書き続けました。アルキメデスが「実用の天才」なら、アポロニウスは「理論の天才」といわれることがあります。ただし、こうした評価は後世の人が付けたもので、アポロニウス本人の言葉ではありません。

円周率の計算は、アルキメデスより上?

のちの時代の数学者エウトキオスは、アポロニウスが『迅速な出産』という本の中で、円周率について、アルキメデスよりも精度のよい近似値を求めたと書いていると伝えられています。英語の解説では、その範囲が 223/71 < π < 22/7 だったと紹介されることがありますが、これはアルキメデスが示した範囲と同じ形です(アルキメデスの円周率の計算(3と10/71〜3と1/7))。この本そのものは失われているので、どんな方法でどこまでくわしい値を出したのかは、確かめられません。

日時計も考えた?

アポロニウスは、円錐の断面を使った日時計(半円形の日時計)の研究もしたと伝えられています。太陽の影が、時間とともに円錐曲線の上を動くことを使った道具で、天文学者としての顔もうかがえます。

失われた第8巻をさがして

『円錐曲線論』の第8巻は、今では失われています。しかしパッポスの本に、第8巻の内容についての手がかりが書かれていたため、17〜18世紀のヨーロッパの数学者が、その内容を「復元」しようと挑戦しました。エドモンド・ハレー(ハレー彗星で有名な学者)が、18世紀はじめに第8巻を復元して出版した、と伝えられています。「消えた本の内容を、残された手がかりから数学で推理する」という、ミステリーのような話です。

うかるくん

うかるくん

8巻のうち1巻が消えちゃったんですか!探しに行きたいです……。

合格先生

合格先生

ほかの本の紹介や、残った巻の内容から、何が書いてあったかを推理した人たちがいたんだ。数学は、見つからない答えを考える力も育ててくれるよ。入試でも、「条件から何が言えるか」を逆から考える力が試されるね。

受験・勉強とアポロニウスのつながり

中学受験:円すいと、円の基礎

中学受験では、アポロニウスの定理そのものは出ませんが、円すいの展開図・体積・表面積は頻出です(円すい・角すいの体積と表面積、円すいの展開図の公式)。円すいの母線・底面の半径・展開図のおうぎ形の中心角の関係は、のちの円錐曲線にもつながっています。

高校受験:中点連結と、図形の基礎

高校受験では、中点連結定理(中点連結定理)や、三角形の辺の長さを求める問題があります。アポロニウスの中線定理は、ふつうの高校受験では出ませんが、三平方の定理(三平方の定理の証明と使い方)を2回使うと自分で導けます。

大学受験:軌跡・二次曲線・複素数平面

大学受験では、アポロニウスの仕事が大きな柱になっています。

  • アポロニウスの円:数学IIの「軌跡と領域」、数学Cの複素数平面(|z−α|=k|z−β| の形)。
  • 楕円・放物線・双曲線:数学Cの二次曲線。焦点の性質、接線の方程式(接線の方程式)、媒介変数表示、面積・回転体の体積。
  • 中線定理:数学Aの図形・数学Bのベクトルの問題で、中線の長さを求める。
  • 放物線と直線:放物線と直線(交点・三角形の面積)や、面積の公式。

京都大学・東京大学の入試でも、軌跡や二次曲線の問題はよく出題されます。出題の傾向は京大理系数学の出題分析(二次曲線・軌跡の出方)や京大文系数学の出題分析で確かめられます。

勉強法として:定義から式を作る

アポロニウスの円も、楕円も、放物線も、「〜からの距離が〜」という定義を、式に直すことで解けます。迷ったら、定義にもどって式を立てる。これが数学の基本です。放物線なら「焦点からの距離=準線からの距離」を式にして、両辺を2乗する。それだけで、見なれた形の式が出てきます。勉強の進め方は数学の勉強法(解法の暗記→演習→過去問)を読んでください。

アポロニウスがその後の数学にあたえた影響

  • 座標幾何学:『円錐曲線論』は、デカルトの解析幾何学(座標)とフェルマーの曲線の研究に大きな影響をあたえたといわれます。アポロニウスは、座標のような考え方(直径と、それに平行な線を軸にする)をすでに使っていたと考えられています。
  • 天文学:ケプラー(ケプラーの法則と楕円軌道)が、惑星の軌道が楕円であることを発見したとき、アポロニウスの『円錐曲線論』で楕円の性質を学んでいたことが、役立ったといわれます。
  • 物理学:ニュートンの万有引力と運動法則は、楕円・放物線・双曲線が、天体の軌道になることを数学で示しました。彗星が放物線や双曲線の軌道を描くのも、円錐曲線です。
  • 射影幾何学:17世紀のデザルグやパスカル(パスカルの定理と円錐曲線)が円錐曲線を研究し、射影幾何学がうまれました。
  • 工学・技術:パラボラアンテナ、反射望遠鏡、ヘッドライト、橋のアーチなど、円錐曲線の性質は身近な道具に使われています。

アポロニウスの『円錐曲線論』は、ほとんど2000年のあいだ、この分野の標準的な教科書でした。同じ時代に生きたアルキメデスの本と並んで、古代ギリシャ数学の最高到達点とされています。

アポロニウスに挑戦!練習問題

やさしい

  1. 三角形ABCで、AB=4、AC=6、BC=8 です。辺BCの中点をMとするとき、中線AMの長さを求めなさい。
    答えと解説を見る中線定理より AB²+AC²=2(AM²+BM²)。BM=4。16+36=2(AM²+16)、52=2AM²+32、AM²=10。したがって AM=√10。
  2. 楕円 x²/25+y²/9=1 の焦点の座標と、楕円上の点から2つの焦点までの距離の和を答えなさい。
    答えと解説を見るa²=25、b²=9 より c²=a²−b²=16、c=4。焦点は (4,0)・(−4,0)。距離の和は 2a=10。

ふつう

  1. 2点A(0,0)、B(3,0)からの距離の比が PA:PB=2:1 となる点Pの軌跡を求めなさい。
    答えと解説を見るP(x,y) とおく。PA=2PB より PA²=4PB²。x²+y²=4{(x−3)²+y²}。整理すると x²−8x+y²+12=0。(x−4)²+y²=4。答えは中心(4,0)、半径2の円(アポロニウスの円)。
  2. 放物線 y²=8x の焦点の座標と準線の方程式を求めなさい。また、この放物線上の点でx座標が3の点から焦点までの距離を求めなさい。
    答えと解説を見るy²=4px で 4p=8、p=2。焦点は(2,0)、準線はx=−2。放物線上の点から焦点までの距離は、準線までの距離に等しい。x=3 の点から準線までの距離は 3−(−2)=5。よって5。

むずかしい

  1. 2点A(0,0)、B(4,0)からの距離の比が PA:PB=3:1 となる点Pの軌跡を求めなさい。
    答えと解説を見るP(x,y) とする。PA²=9PB² より x²+y²=9{(x−4)²+y²}。8x²−72x+8y²+144=0。x²−9x+y²+18=0。(x−9/2)²+y²=81/4−18=9/4。答えは中心(9/2,0)、半径3/2の円。(ABを3:1に内分する点(3,0)と外分する点(6,0)を直径の両端とする円になっている)
  2. 双曲線 x²/9−y²/16=1 の焦点の座標と漸近線の方程式を求めなさい。また、双曲線上の点Pから2つの焦点までの距離の差の絶対値を答えなさい。
    答えと解説を見るa²=9、b²=16 より c²=a²+b²=25、c=5。焦点は(5,0)・(−5,0)。漸近線は y=±(b/a)x=y=±(4/3)x。距離の差の絶対値は 2a=6。

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よくある質問

アポロニウスは何をした人ですか?

アポロニウスは、古代ギリシャの数学者・天文学者です。主著『円錐曲線論』(全8巻)で、円すいを平面で切ってできる楕円・放物線・双曲線を徹底的に研究し、その名前をつけたことで知られます。「偉大な幾何学者」とよばれました。

アポロニウスの円とは何ですか?

アポロニウスの円とは、平面上の2点A・Bからの距離の比がPA:PB=m:n(m≠n)で一定になる点Pの集まりがえがく円のことです。比が1:1のときだけ直線になります。軌跡の問題や複素数平面の問題で出題されます。

アポロニウスの生没年はいつですか?

紀元前262年ごろに生まれ、紀元前190年ごろに亡くなったとされますが、正確な年は伝わっていません。小アジアのペルガに生まれ、アレクサンドリアで学び、活やくしたと考えられています。

楕円・放物線・双曲線の名前はだれがつけましたか?

アポロニウスが『円錐曲線論』で使った言葉が、もとになったとされます。エリプシス(不足する)が楕円、パラボレー(一致する)が放物線、ヒュペルボレー(超える)が双曲線で、英語の ellipse・parabola・hyperbola の語源です。

アポロニウスの問題とは何ですか?

3つの円(または点や直線)が与えられたとき、そのすべてに接する円を作図する問題です。アポロニウスの失われた本『接触について』にあったと伝えられ、3つとも円なら答えは最大で8個あります。16世紀にヴィエトが解き方を示しました。

中線定理とは何ですか?アポロニウスと関係がありますか?

中線定理は、三角形ABCで辺BCの中点をMとするとき、AB²+AC²=2(AM²+BM²)が成り立つという定理です。アポロニウスの定理やパップスの中線定理ともよばれます。三辺の長さから中線の長さを求められます。

アポロニウスの『円錐曲線論』はどんな本ですか?

円すいの切り口である楕円・放物線・双曲線の性質を、全8巻にまとめた古代ギリシャ数学の最高峰の本です。ギリシャ語で第1〜4巻、アラビア語で第5〜7巻が伝わり、第8巻は失われました。ケプラーやデカルトに大きな影響をあたえたといわれます。

アポロニウスは受験に関係がありますか?

あります。高校の数学IIの軌跡と領域(アポロニウスの円)、数学Cの二次曲線・複素数平面、数学Aの中線定理は、大学入試でよく出題されます。中学受験では円すいの展開図・体積が関連します。

アポロニウスはプトレマイオスとどんな関係がありますか?

アポロニウスは、惑星の動きを円の組みあわせで説明する離心円や周転円を研究したと考えられています。約400年後のプトレマイオスは、その考えを受けついで、天動説を完成させたといわれます。

アポロニウスはケプラーやデカルトに影響をあたえましたか?

あたえたといわれます。ケプラーは惑星の軌道が楕円であることを発見するときに、アポロニウスが書いた楕円の性質を使いました。デカルトの座標幾何学も、円錐曲線の研究に大きな影響を受けたと考えられています。

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出典・参考

  • MacTutor History of Mathematics「Apollonius of Perga」(セント・アンドルーズ大学)
  • 日本語版ウィキペディア「ペルガのアポロニウス」
  • アポロニウス『円錐曲線論』(全8巻)
  • 図版:『アポロニウス円錐曲線論』ラテン語版の扉(Giuseppe Cocchini 刊、1661年)、Wikimedia Commons(パブリックドメイン)

最終更新:2026年11月2日/作成:大学受験合格大作戦