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大学受験
中線定理とは
三角形 ABC の辺 BC の中点を M とするとき、AB2+AC2=2(AM2+BM2) が成り立つという定理です。頂点と向かいの辺の中点を結ぶ線(中線)の長さを、3 辺から求められます。
読み方:ちゅうせんていり/英語:Apollonius's theorem

うかるくん
三角形の 3 辺がわかっているとき、頂点から向かいの辺のまん中まで、何 cm かってわかるんですか?
![合格先生]()
合格先生
わかるよ。それが中線定理 AB2+AC2=2(AM2+BM2) だ。3 辺を入れれば、中線 AM が出てくるんだ。
この用語のポイント
- AB2+AC2=2(AM2+BM2)(M は BC の中点)
- BM は BC の半分。右辺の2倍を忘れない
- 余弦定理を2回使う・座標で計算する、のどちらでも導ける
やさしく言うと
中線定理は、三角形の「まん中を通る線」の長さを、3 つの辺の長さだけで求められる定理です。三角形 ABC で、辺 BC のまん中の点(中点)を M とします。頂点 A と M を結ぶ線 AM を中線といいます。このとき、
AB2+AC2=2(AM2+BM2)が成り立ちます。いくつかの見方で考えてみましょう。
- 三角定規のような二等辺三角形なら、三平方の定理そのもの:二等辺三角形では中線がちょうど真下に下りて、直角ができます。左右の直角三角形で三平方の定理を使い、2 つをたすと中線定理になります。
- 形がくずれても、式はくずれない:頂点 A を左右にずらすと、AB と AC の片方が長く、片方が短くなります。でも 2 乗の和はうまくつり合っていて、AM と BM だけで決まります。
- 平行四辺形の対角線:中線を 2 倍にのばすと平行四辺形ができます。中線定理は「平行四辺形の対角線の 2 乗の和は、4 辺の 2 乗の和に等しい」という性質の、半分の形です。
まとめると、中線定理は「2 辺の 2 乗の和」を「中線と底辺の半分」で表す式です。
辺 BC の中点 M と頂点 A を結ぶ線が中線。AB=5、AC=7、BC=6 なら AM=2√7![指さして説明するうかるくん]()
うかるくん
BM は BC の半分! ここを BC のまま入れないのがコツだね。
中線定理が使える例・使えない例
○ 中線定理が使える
- AB=5、AC=7、BC=6 から中線 AM を求める(AM=27)
- 二等辺三角形 AB=AC=5、BC=6 の中線(AM=4。三平方の定理と同じ結果)
- 直角三角形の斜辺への中線(斜辺の半分になる)
- 3 辺と中線のうち 3 つがわかっていて、残り 1 つを求める
- 平行四辺形の 2 辺と対角線 1 本から、もう 1 本の対角線を求める
- 座標平面やベクトルで ∣AB∣2+∣AC∣2 を変形する
× 使えない・まちがった使い方
- M が BC の中点ではない点(そのままでは使えない。スチュワートの定理などを使う)
- AB と AC だけで中線を求める(BC の長さも必要)
- 中線ではなく、角の二等分線の長さを求める(別の性質を使う)
- 中線どうしの交点(重心)までの長さを、そのまま AM とする(重心は AM を 2:1 に分ける)
- BM のかわりに BC を入れる(BM は BC の半分)
中線定理は、「中点」と結ぶ線だけに使える式です。M がまん中でないときは形が変わります。また、AB2+AC2 のように中線をはさむ 2 辺が左辺に来ることも大切です。
図で見る
まず、いちばんわかりやすい二等辺三角形で見てみましょう。AB=AC=5、BC=6 の二等辺三角形では、中線 AM は BC に垂直です。左右の直角三角形で三平方の定理が成り立ちます。
二等辺三角形では、左右の三平方の定理をたすと中線定理になる52=42+32 を 2 つたすと、52+52=2(42+32)。これは AB2+AC2=2(AM2+BM2) そのものです。中線定理は、三平方の定理を、直角でない三角形に広げたものと見ることができます。
![サクラちゃん]()
サクラちゃん
二等辺三角形ならわかります。でも A が横にずれたら、直角がなくなりますよね?
![合格先生]()
合格先生
そう、直角はなくなる。でも AB2 と AC2 をたすと、ずれた分の「+」と「−」がちょうど打ち消し合うんだ。座標で計算すると、それがはっきりわかるよ。
次の図のように、中点 M を原点にとり、B(−a, 0)、C(a, 0)、A(p, q) とおきます。
M を原点にとると、計算の途中で ±2pa が消えるAB2=(p+a)2+q2=p2+2pa+a2+q2、AC2=(p−a)2+q2=p2−2pa+a2+q2 です。たすと ±2pa が打ち消し合って、2(p2+q2)+2a2 になります。AM2=p2+q2、BM2=a2 なので、AB2+AC2=2(AM2+BM2) です。A がどこにあっても成り立つことがわかります。
余弦定理から導く
高校の教科書では、余弦定理を使って導く方法もよく紹介されます。∠B に注目して、2 つの三角形で余弦定理を使います。
- △ABM で:AM2=AB2+BM2−2⋅AB⋅BMcosB
- △ABC で(BC=2BM):AC2=AB2+4BM2−4⋅AB⋅BMcosB
- ①を 2 倍して②を引くと、cosB の項が消えて 2AM2−AC2=AB2−2BM2。
- 整理すると AB2+AC2=2(AM2+BM2)。
この式を AM について解くと、中線の長さの公式になります。辺の長さを BC=a、CA=b、AB=c とすると、
AM2=42b2+2c2−a2図1の三角形なら 42⋅49+2⋅25−36=4112=28 で、AM=27 です。
平行四辺形との関係
中線 AM を、M の先へ同じ長さだけのばした点を D とします。すると M は AD と BC の両方の中点になるので、四角形 ABDC は平行四辺形です(対角線がたがいに他を 2 等分する)。
中線を2倍にのばすと平行四辺形 ABDC ができる中線定理の両辺を 2 倍すると、2(AB2+AC2)=4AM2+4BM2=AD2+BC2。つまり、
AB2+BD2+DC2+CA2=AD2+BC2「平行四辺形の 4 辺の 2 乗の和は、2 本の対角線の 2 乗の和に等しい」という性質(中線定理と同じ内容)が出てきます。長方形なら 2 本の対角線は等しく、三平方の定理と一致します。
テスト・入試ではこう出る
中線定理は、三角比(余弦定理)を学んだあとに、中線の長さを求める問題としてよく出ます。公式として覚えるだけでなく、余弦定理・座標・ベクトルのどれかで導けることが大切です。大学入試では、ベクトルの内積を使った証明や、平行四辺形の対角線と組み合わせた問題も見られます。
例題1(中線の長さ)
△ABC で AB=5、AC=7、BC=6 です。辺 BC の中点を M とするとき、AM の長さを求めなさい。
- M は BC の中点なので、BM=6÷2=3。
- 中線定理 AB2+AC2=2(AM2+BM2) に入れる:52+72=2(AM2+32)
- 74=2AM2+18 より、AM2=28。
- AM>0 なので、AM=28=27。
答え AM=27(約 5.29)
例題2(辺の長さを求める)
△ABC で AB=8、AC=6 です。辺 BC の中点を M とすると AM=5 でした。BC の長さを求めなさい。
- BM=x とおく(BC=2x)。
- 中線定理より 82+62=2(52+x2)、つまり 100=50+2x2。
- x2=25、x>0 より x=5。
- BC=2x=10。
答え BC=10
たしかめ:62+82=102 なので、この三角形は ∠A=90∘ の直角三角形です。直角三角形の斜辺の中点は外接円の中心なので、MA=MB=MC=5 となり、答えと合います。
![「ここが大事!」と説明する合格先生]()
合格先生
中線定理は、余弦定理を2回使えば自分で作れる。忘れても大丈夫なように、導き方ごと覚えよう。
まちがえやすい点
![腕でバツを作る合格先生]()
合格先生
BM には BC の半分を入れる! 右辺の2倍も忘れずに。
- BM に BC を入れる:BC=6 のとき、式に入れるのは BM=3 です。52+72=2(AM2+62) とすると AM2=1 になり、ありえない小ささになります。
- 右辺の 2 を忘れる:AB2+AC2=AM2+BM2 は×。右辺は 2(AM2+BM2) です。二等辺三角形で 50=2×25 と確かめると、2 が必要なことがわかります。
- どの 2 辺をたすか取りちがえる:BC の中点への中線 AM なら、左辺は AB2+AC2(A から出る 2 辺)です。AB2+BC2 ではありません。
- 重心と混同する:3 本の中線は 1 点(重心 G)で交わり、AG:GM=2:1 です。AG を求めたいときは、中線定理で AM を出してから 32 倍します。
- 中線の長さを「BC の半分」と思う:AM=BM になるのは ∠A=90∘ のときだけです。ふつうは AM=BM です。
ことばの意味
中線は、三角形の頂点と、向かい合う辺の中点を結ぶ線分のことです。三角形には中線が 3 本あります。中線定理は、その中線の長さについての定理なので、この名前でよばれます。「パップスの中線定理」とよばれることもあります。英語では Apollonius's theorem とよばれることが多く、呼び名にはゆれがあります。
ミニ問題
問題1 △ABC で AB=4、AC=6、BC=8 です。辺 BC の中点を M とするとき、中線 AM の長さを求めましょう。
答えと解き方を見る
AM=10 です。BM=8÷2=4 なので、中線定理より 42+62=2(AM2+42)。52=2AM2+32 より AM2=10 です。BM を 8 のままにすると、まちがえます。
問題2 △ABC で AB=7、AC=9、BC=8 です。辺 BC の中点を M とするとき、AM の長さを求めましょう。
答えと解き方を見る
AM=7 です。BM=4 なので、72+92=2(AM2+42)。130=2AM2+32 より AM2=49、AM=7。中線の長さがちょうど整数になる例です。
問題3 となり合う 2 辺の長さが 5 と 7 の平行四辺形があります。1 本の対角線の長さが 6 のとき、もう 1 本の対角線の長さを求めましょう。
答えと解き方を見る
47 です。平行四辺形では「対角線の 2 乗の和 = 4 辺の 2 乗の和」なので、62+d2=2(52+72)=148。d2=112 より d=112=47。図4の平行四辺形そのもので、AD=2AM=2×27=47 と一致します。
関連する公式・用語
公式辞典で、くわしい証明と例題を見る
あわせて覚えたい用語
よくある質問
中線定理とは簡単にいうと何ですか?
三角形ABCで辺BCの中点をMとするとき、AB²+AC²=2(AM²+BM²) が成り立つという定理です。3辺の長さから中線AMの長さを求められます。
中線とは何ですか?
三角形の頂点と、向かい合う辺の中点を結ぶ線分です。1つの三角形に3本あり、3本は重心で交わります。
中線定理はどうやって証明しますか?
中点Mを原点にとって座標で計算する方法と、角Bについて余弦定理を2回使って cosB を消す方法がよく使われます。
中線の長さの公式はありますか?
BC=a、CA=b、AB=c のとき、中線AMの長さの2乗は (2b²+2c²−a²)÷4 です。中線定理をAMについて解いたものです。
中線定理と三平方の定理の関係は?
二等辺三角形では中線が底辺に垂直になり、中線定理は左右の三平方の定理をたしたものになります。中線定理は三平方の定理を広げたものと見られます。
中線定理と平行四辺形の関係は?
中線を2倍にのばすと平行四辺形ができ、「4辺の2乗の和は対角線の2乗の和に等しい」という性質になります。
出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編」数学Ⅰ(図形と計量)・数学A(図形の性質)
最終更新:2026年10月13日/作成:大学受験合格大作戦