パップスは何をした人?業績・生涯・名言をわかりやすく|中線定理・パップス・ギュルダンの定理・六角形定理

パップスは何をした人?業績・生涯・名言をわかりやすく|中線定理・パップス・ギュルダンの定理・六角形定理

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パップスPappus

ひとことで言うと

中線定理と、回転体の体積を「面積×重心の道のり」で求めるパップス・ギュルダンの定理で知られる、古代ギリシャ最後の大数学者。全8巻の『数学集成』を書いた。

名前パップス(Pappus of Alexandria、パッポス)
生没年290年ごろ〜350年ごろ(正確な年は不明)
国古代ギリシャ(エジプトのアレクサンドリア)
分野幾何学・天文学・力学
主な業績『数学集成』全8巻、中線定理、重心を使った回転体の体積の定理、六角形定理、パップスの問題、算術・幾何・調和平均の図
名前がつくものパップスの中線定理・パップス・ギュルダンの定理・パップスの六角形定理・パップスの問題・パップスの鎖
よばれ方ギリシャ数学の最後の大数学者、古代数学の語り部

このページのポイント

  • 三角形の中線の長さを求める中線定理(パップスの中線定理)は、中学・高校の図形の定番
  • 回転体の体積は「面積×重心が動く道のり」(パップス・ギュルダンの定理)。球の体積の公式もこれで出せる
  • 全8巻の『数学集成』で古代ギリシャ数学を後の世に伝え、デカルトの座標幾何学のきっかけも作った

パップスは何をした人?(業績をひとことで)

パップス(290年ごろ〜350年ごろ)は、古代ギリシャの数学者で、エジプトのアレクサンドリアで活躍しました。ギリシャ数学の最後の大きな輝きといわれる人です。いちばん有名な仕事は、全8巻の大著『数学集成(シュナゴーゲー)』です。ユークリッドやアポロニウスなど、先人の仕事をまとめ、わかりやすく説明し、そのうえで自分の新しい発見も書き加えました。

名前のついた定理は3つあります。1つめは、三角形の中線の長さを求める中線定理(パップスの中線定理)。2つめは、回転体の体積を「面積×重心が動く道のり」で求めるパップス・ギュルダンの定理。3つめは、2本の直線の上の6点から3つの交点が一直線にならぶパップスの六角形定理です。どれも、中学受験から大学入試までに出てくる考え方の、もとになっています。

パップスのいちばん大きな功績は、古代ギリシャ数学を後の世に伝えたことだともいわれます。『数学集成』には、いまでは失われた多くの本の内容が引用されており、パップスがいなければ、私たちはギリシャ数学の半分を知らなかったかもしれません。

うかるくん

うかるくん

パップスさんの名前がついた定理って、3つもあるんですか! 同じ人なのに、ぜんぜんちがう話みたいです。

合格先生

合格先生

そうなんだ。中線定理は「長さ」、ギュルダンの定理は「体積」、六角形定理は「一直線にならぶ点」の話だね。でも、どれも「図形の中の大切な点や線を、うまく見つける」という点が共通しているんだよ。しかも約1700年前の人が見つけたことが、いまの入試問題でそのまま使えるんだ。

パップス『数学集成』のラテン語訳(1589年)の扉
パップスの『数学集成』を、コマンディーノがラテン語に訳した本の扉(ヴェネツィア、1589年)画像:Wikimedia Commons(パブリックドメイン)

パップスの生涯と年表

アレクサンドリアに生きた数学者

パップスは、エジプトのアレクサンドリアで生まれ、そこで一生を過ごしたとみられています。生まれた年・亡くなった年は、はっきりした記録がなく、290年ごろ〜350年ごろとされます。かつては「3世紀の終わりごろ」や「4世紀の終わりごろ」とする説もありました。いまは、パップス自身が書いた『アルマゲスト注釈』に、日食の観測が出てくることから、320年ごろに活動していたことが確かめられています。

当時のアレクサンドリアは、ユークリッドの業績と生涯やアルキメデスの業績と生涯がかつて学び、働いた、学問の都でした。ただし、パップスが生きた4世紀は、ギリシャ数学の最盛期(紀元前3世紀ごろ)から、すでに500年ほどあとです。新しい発見は少なくなり、古い名著を読み解き、守り伝える時代でした。

『数学集成』ができるまで

パップスは、プトレマイオスの『アルマゲスト』の注釈や、ユークリッド『原論』の注釈などを書いたと伝えられます。いちばんの大作が、全8巻の『数学集成』です。第1巻は算数、第2巻は大きな数の表し方、第3巻は平均と正多面体、第4巻は曲線と角の三等分、第5巻は図形の面積・体積くらべ、第6巻は天文学の小さな名著の解説、第7巻は「解析の宝庫」、第8巻は力学です(第1巻は失われ、第2巻は一部が失われています)。

パップスは、先人の本を、ただ写したのではありません。「どうしてそうなるのか」を丁寧に補い、いくつもの新しい命題を加えました。そのため、『数学集成』は、後の時代の数学者にとって「ギリシャ数学の百科事典」になりました。ヒュパティアの業績と生涯も、同じアレクサンドリアで、少し後の時代に数学と天文学を教えた人です。

ルネサンスでよみがえる

『数学集成』は、長いあいだ、ごく一部の人にしか知られていませんでした。1588年、イタリアの数学者コマンディーノが、これをラテン語に訳して出版します(上の扉の絵は、1589年のヴェネツィア版です)。すると、デカルトの業績と生涯やフェルマーの業績と生涯など、17世紀の数学者たちが、競って読むようになりました。デカルトの『幾何学』(1637年)は、パップスが書き残した「ある問題」を解くところから生まれた、といわれます(くわしくは後で説明します)。

年できごと
紀元前3世紀アレクサンドリアでユークリッドらが活躍(パップスより500年ほど前)
290年ごろパップスが生まれたとされる(アレクサンドリア)
320年ごろ『アルマゲスト注釈』に日食の観測。この年ごろに活動していたことが分かる
4世紀前半全8巻の『数学集成』を書く(中線定理・六角形定理・重心の定理を含む)
350年ごろパップスが亡くなったとされる
1588年コマンディーノが『数学集成』をラテン語に訳して出版する
1637年デカルト『幾何学』。パップスの問題が出発点のひとつになったとされる
1639年パスカルが16歳で「神秘の六角形」の定理を発見(パップスの六角形定理の一般化)
1640年ごろギュルダンが「重心が動く道のり」の定理を発表(のち「パップス・ギュルダンの定理」)
1822年ポンスレらにより射影幾何学が整い、パップスの定理が土台のひとつと見直される

パップスの主な業績をやさしく解説

業績1 中線定理(パップスの中線定理)

三角形ABCで、辺BCの中点をMとします。頂点AとMを結んだ線分AMを中線といいます。このとき、次の式が成り立ちます。

AB2+AC2=2(AM2+BM2)AB^2+AC^2=2\left(AM^2+BM^2\right)

図の三角形は、AB=5、AC=7、BC=6です。左の辺は 52+72=25+49=745^2+7^2=25+49=74。右は、BM=3 なので、AM² が 28 とわかります。2×(28+32)=2×37=742\times(28+3^2)=2\times 37=74 で、ぴったり合います。つまり、3辺の長さがわかれば、中線の長さが求められます。

中線定理(パップスの中線定理)ABCM(BCの中点)57AM5²+7²=74 2×(AM²+3²)=2×(28+9)=74
AB=5、AC=7、BC=6の三角形で確かめた中線定理。中線AMの2乗は28

日本では「中線定理」や「パップスの中線定理」とよばれます。この結果は『数学集成』第7巻の命題122にのっています。一方、西洋ではアポロニウスの定理とよぶのがふつうです。アポロニウスの失われた本『平面軌跡』にあったかもしれない、と考えられているからです(はっきりしません)。証明は、点Aから辺BCへ垂線をおろし、三平方の定理を2回使うだけです。この定理を一歩広げたものが、スチュワートの定理です。

業績2 パップス・ギュルダンの定理(回転体の体積の魔法)

平面の図形を、同じ平面の中の直線(回転の軸)のまわりに1回転させます。軸をまたがない図形なら、できる立体の体積は、次のように求められます。

体積 = 図形の面積 × 図形の重心が動く道のり

これがパップス・ギュルダンの定理です。「重心」は、図形のつりあいの中心です。たとえば、半径 rr の半円を直径のまわりに回すと、球ができます。半円の重心は、軸から 4r3π\dfrac{4r}{3\pi} はなれた点にあります。重心が1周で動く道のりは 2π×4r3π=8r32\pi\times\dfrac{4r}{3\pi}=\dfrac{8r}{3}、半円の面積は πr22\dfrac{\pi r^2}{2} ですから、体積は次のとおりです。

πr22×8r3=43πr3\dfrac{\pi r^2}{2}\times\dfrac{8r}{3}=\dfrac{4}{3}\pi r^3

これは、球の体積の公式そのものです(球の体積と表面積の公式)。積分を使わずに、球の体積の公式が出てくるところが、この定理のおもしろさです。

半円を回すと球(ギュルダンの定理)回転の軸4r/3π半円重心面積πr²/2重心の道のり2π×4r/3π体積=4πr³/3
半円(半径r)の面積×重心の道のりで、球の体積4πr³/3が出る

円を軸の外側で回すと、ドーナツ形(トーラス)ができます。円の半径を rr、円の中心から軸までの距離を RR とすると、円の面積 πr2\pi r^2 に、中心の道のり 2πR2\pi R をかけて、体積は 2π2Rr22\pi^2Rr^2 です。回転体の意味の体積を、積分で求める方法と、ギュルダンの定理で求める方法の2つを覚えておくと、検算に使えます。

円を回すとドーナツ形回転の軸Rr円の切り口円の切り口円の面積πr²×中心の道のり2πR=2π²Rr²
円の面積×中心の道のり。ドーナツ形の体積は 2π²Rr²

この定理は、面積と重心の位置がすぐ分かる図形(長方形・三角形・円など)の回転体にとても強い方法です。曲線の長さ×曲線の重心の道のりで表面積も求められます。「パップス・ギュルダン」という名前のとおり、実際に発表したのは、1640年ごろのスイスの数学者ポール・ギュルダンです。パップスはすでに『数学集成』でこの結果を述べていたとされますが、ギュルダンが知っていたのかは、はっきりしません。

業績3 パップスの六角形定理(交点が一直線に)

平面に、2本の直線をかきます。1本の上に3点A、B、C、もう1本の上に3点a、b、cをとります。次に、AとbとaとB、AとcとaとC、BとcとbとCを、それぞれ結びます。すると、できる3つの交点は、かならず1本の直線の上にならびます。

パップスの六角形定理ABCabc赤い3点(交点)は、いつも一直線点線:Ab と aB、Ac と aC、Bc と bC をそれぞれ結ぶ
3つの赤い点は、点のとり方によらず一直線上にならぶ

点をどこにとっても成り立つ、というところが不思議です。この定理は、「どこかの長さを測る」話ではなく、点と直線の位置関係だけの話です。こうした、長さや角度を使わない幾何学を射影幾何学といい、パップスの定理は、その土台の1つとされています。のちにパスカルの業績と生涯は、2本の直線のかわりに円や楕円を使った一般の場合(パスカルの定理)を、16歳のときに発見しました。パップスの定理は、その特別な場合にあたります。

業績4 3つの平均と、ハチの巣の六角形

『数学集成』第3巻には、算術平均・幾何平均・調和平均の関係を、半円で示す図が出てきます。図のように、直径ABの上に点Cをとり、AC=aa、CB=bb とします。半径ODは a+b2\dfrac{a+b}{2}(算術平均)、Cからの垂線CDは ab\sqrt{ab}(幾何平均)、CからODへ垂線をおろしてできるDFは 2aba+b\dfrac{2ab}{a+b}(調和平均)です。図を見れば、大きさの順は一目でわかります。

3つの平均を半円で見るACOBDF赤 OD=5 算術平均緑 CD=4 幾何平均青 DF=3.2 調和平均AC=2、CB=8:5 ≧ 4 ≧ 3.2(相加 ≧ 相乗 ≧ 調和)
a=2、b=8のとき、算術平均5・幾何平均4・調和平均3.2。図の長さの順がそのまま大小の順

算術平均と幾何平均の大小関係は、受験でおなじみの相加平均と相乗平均の関係です(相加平均と相乗平均の意味)。第5巻には、「ハチはなぜ六角形の巣を作るのか」という話もあります。パップスは、まわりの長さが同じなら、辺の数が多い図形ほど面積が大きくなることを、説明しました。

まわりが同じなら、広いのは?正三角形面積 6.93正方形面積 9正六角形面積 10.39円面積 11.46ハチの巣が六角形なのは、材料に対して広いから
まわりの長さがどれも12のとき、面積は正三角形<正方形<正六角形<円の順

正三角形は辺の数が3、正方形は4、正六角形は6ですから、六角形は同じ材料(まわりの長さ)で、広い部屋を作れます。しかも六角形は、すきまなくならべられます。正三角形・正方形・正六角形の3つだけが、すきまなく平面をうめられる正多角形です。パップスは、ハチは、この事実を「知っている」と、感心して書いています。

業績5 パップスの問題と、解析の方法

『数学集成』第7巻には、「解析の宝庫(Treasury of Analysis)」とよばれる部分があります。ここでパップスは、「解析」と「総合」という2つの考え方の使い分けを説明しました。解析は、「求めるものがもうできた」と仮定して、そこから逆にさかのぼって考える方法です。総合は、すでに分かっていることから出発して、順に答えへ進む方法です。いまの入試問題でいう「逆から考える」「結論を仮定して手がかりをさがす」は、この「解析」に近い考え方です。

また、同じ巻には、3本または4本の直線に対して「ある条件を満たす点の集まりは、どんな曲線になるか」という問題があります。これがパップスの問題です。ユークリッドやアポロニウスが、部分的に解いていたと伝えられますが、一般には誰も解けませんでした。1630年代にこの問題に挑んだのがデカルトの座標幾何学です。デカルトは、点の位置を数で表す座標と、曲線を式で表す方法を発明して、この問題をすべて解きました。パップスの問題が、座標幾何学の誕生を後押ししたのです。

パップスの名前がつく公式・定理・用語

  • 中線定理(パップスの中線定理):AB2+AC2=2(AM2+BM2)AB^2+AC^2=2(AM^2+BM^2)。三角形の中線の長さを求める公式(中線定理の公式と証明、中線定理の意味)。
  • パップス・ギュルダンの定理:回転体の体積=図形の面積×重心が動く道のり(パップス・ギュルダンの定理の証明と例題)。
  • パップスの六角形定理:2直線上の3点ずつから作る3つの交点は一直線上にある。
  • パップスの問題:3本・4本の直線に対する点の軌跡の問題。デカルトの座標幾何学のきっかけ。
  • パップスの鎖:アルベロス(半円の中をさらに2つの半円で分けた形)に、円を次々に接するようにならべた図形。アルキメデスの仕事に始まる題材で、パップスがくわしく調べたとされます。
  • 算術平均・幾何平均・調和平均の図:半円で3つの平均を比べる図(『数学集成』第3巻)。

三角形の重心は、3本の中線が2:1に分かれる点です。重心の性質(中線を2:1に分ける)と外心・内心・重心の意味も確かめておくと、ギュルダンの定理がぐっと使いやすくなります。

「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

「パップス」は、入試では中線定理と回転体の体積で出てくる人。中線を見たら中線定理、回転体は「面積×重心の道のり」で検算しよう。

パップスの逸話と名言

ハチは幾何学者?

パップスは『数学集成』第5巻のはじめに、ハチの巣について、次のように書いたとされます。

ハチは、自分たちにとって役に立つこと、つまり六角形が、正方形や正三角形より大きく、同じ量の材料でより多くの蜜をためられることを知っている。

パップス(『数学集成』第5巻の序文。ヒースの英訳をもとにした訳(原文のギリシャ語からの直訳ではありません)。言い回しは訳によってちがいます)

神さまが、生き物に「幾何学の知恵」をさずけた、というパップスの考え方は、当時の人らしい見方です。現代の数学では、「ハニカム予想」として、六角形が最もむだの少ない分け方だとする証明が、1999年にトーマス・ヘイルズによって発表されています。

失われた本の「語り部」

パップスの本には、いまは失われた多くの本の内容が書き残されています。たとえば、ユークリッドの『ポリズム』(くわしい中身は伝わっていません)は、パップスの解説でわずかに内容が分かります。このため、ギリシャ数学の歴史を調べる人にとって、パップスは「もっとも大切な語り部」のひとりです。

「古い数学の最後の人」

パップスは、「ギリシャ数学の最後の大数学者」とよばれることがあります。ところが、本人は、自分の仕事を「新しい発見」とは考えていなかったのかもしれません。パップス自身、先人の仕事をきちんと紹介することに、大きな意味を見ていたと思われます。この点で、パップスは、現代の「教科書を書く人」や「まとめ上手な先生」にも近い存在です。

サクラちゃん

サクラちゃん

パップスさんは、自分で新しい定理を見つけた人というより、昔の人の話をまとめた人なんですか?

合格先生

合格先生

まとめただけじゃないんだ。説明が足りないところは自分で証明を補ったし、新しい命題も加えている。それに、パップスがまとめてくれたから、後の時代にデカルトが「パップスの問題」を知ることができたんだ。「教える人」の仕事が、新しい発見の火種になることもあるんだよ。

受験・勉強とパップスのつながり

中学受験:回転体と体積

中学受験では、長方形や直角三角形を回転させてできる立体の体積が、定番の問題です。ふつうは、円柱や円すいに分けて計算します。ギュルダンの定理は、その検算として使えます。回転体の体積の求め方と、回転体の意味、円すい・角すいの体積と表面積をいっしょに確かめると、理解が深まります。

高校受験:中線定理と図形の性質

三角形の辺の長さが分かっていて、中線の長さを求めさせる問題は、高校入試の図形でよく出ます。中線定理を知っていれば、三平方の定理を2回使う計算を、1回の式でおえられます。中線は、中点連結定理や、重心の性質ともつながります。

大学受験:回転体・重心・軌跡

大学入試では、曲線をまわした回転体の体積は、積分で求めるのが基本です。ギュルダンの定理は、答えの検算として、あるいは記述のあとに書く「別解」として役に立ちます。ただし、答案の本文では、定理の名前だけでなく、面積・重心の座標・道のりを、きちんと示す必要があります。また、「3本の直線から等しい距離にある点の軌跡」といった問題は、パップスの問題の簡単な形です(軌跡と領域の考え方)。

勉強法として:同じ道具を、別の道で確かめる

パップスの定理には、同じ答えに、別々の道から着くという楽しさがあります。体積を、積分でも、ギュルダンの定理でも求める。三平方の定理でも、中線定理でも長さを求める。そうして「答えが合う」経験を重ねると、計算ミスに気づけるようになります。数学の勉強法(解法の暗記→演習→過去問)や、京大理系数学の出題分析(回転体の体積は頻出)もどうぞ。ギリシャ文字の読み方は、ギリシャ文字の読み方一覧(24文字)で確かめられます。

パップスがその後の数学にあたえた影響

  • ギリシャ数学の保存:『数学集成』が、失われた多くの本の内容を伝えました。ルネサンスの数学者は、これを読んで、古代の数学を学びなおしました。
  • 座標幾何学の誕生:パップスの問題は、デカルトの業績と生涯が座標幾何学を作るきっかけになりました。
  • 射影幾何学:六角形定理は、パスカルの定理や、のちの射影幾何学(パスカルの六角形定理)につながります。現代の数学でも、パップスの定理は「体の公理」と結びついた性質として、教科書に載っています。
  • 積分の先ぶれ:回転体の体積を調べる考え方は、17世紀のケプラーの業績と生涯らの研究を経て、のちの積分法へつながっていきます。重心を使った方法も、その道すじにあるものの1つです。
  • 数学の「方法」への関心:解析と総合の説明は、「問題をどう考えるか」を意識した、最初期の文章のひとつです。

「パップスの定理」は、いまも、コンピュータで図形を扱う分野(ソフトでの作図や、図形の証明)にまで、顔を出します。2000年近く前の発見が、現代にも生きているのです。

パップスに挑戦!練習問題

やさしい

  1. 三角形ABCで、AB=5、AC=7、BC=6です。辺BCの中点をMとするとき、中線AMの長さを求めなさい。
    答えと解説を見る中線定理より AB2+AC2=2(AM2+BM2)AB^2+AC^2=2(AM^2+BM^2)。25+49=2(AM2+9)25+49=2(AM^2+9) より AM2=28AM^2=28。したがって AM=27AM=2\sqrt{7} です。
  2. 半径3cmの半円を、直径のまわりに1回転させます。重心が軸から 4π\dfrac{4}{\pi} cm の位置にあるとして、ギュルダンの定理で体積を求めなさい。
    答えと解説を見る半円の面積は 9π2\dfrac{9\pi}{2}。重心が動く道のりは 2π×4π=82\pi\times\dfrac{4}{\pi}=8。体積は 9π2×8=\dfrac{9\pi}{2}\times 8= 36π36\pi cm³。これは半径3の球の体積 43π⋅27=36π\dfrac43\pi\cdot 27=36\pi と一致します。

ふつう

  1. 横4cm、縦6cmの長方形があります。縦の辺に平行で、長方形の左の辺から3cmはなれた直線ℓ(長方形の外)のまわりに、この長方形を1回転させます。できる立体の体積を、ギュルダンの定理で求めなさい。
    答えと解説を見る長方形の面積は 24。重心は長方形の中心で、ℓ から 3+42=53+\dfrac42=5 cm。道のりは 2π×5=10π2\pi\times5=10\pi。体積は 24×10π=24\times10\pi= 240π240\pi cm³。検算:外の半径7、内の半径3、高さ6の筒なので π(49−9)×6=240π\pi(49-9)\times6=240\pi で一致します。
  2. 半径2cmの円を、中心が軸から5cmはなれるように置いて、軸のまわりに1回転させます。できるドーナツ形の体積を求めなさい。
    答えと解説を見る円の面積は 4π4\pi。中心の道のりは 2π×5=10π2\pi\times5=10\pi。体積は 4π×10π=4\pi\times10\pi= 40π240\pi^2 cm³(公式 2π2Rr22\pi^2Rr^2 に R=5R=5、r=2r=2 を入れても 40π240\pi^2)です。

むずかしい

  1. 直角をはさむ2辺が3cmと4cmの直角三角形を、斜辺のまわりに1回転させます。できる立体の体積を、ギュルダンの定理で求めなさい。
    答えと解説を見る斜辺は5cm。斜辺を底辺とみたときの高さは 3×45=125\dfrac{3\times4}{5}=\dfrac{12}{5}。三角形の重心は、底辺から高さの 13\dfrac13 の位置なので、軸から 45\dfrac{4}{5}。道のりは 2π×45=8π52\pi\times\dfrac45=\dfrac{8\pi}{5}。面積は6なので、体積は 6×8π5=6\times\dfrac{8\pi}{5}= 48π5\dfrac{48\pi}{5} cm³。検算:2つの円すいの合体で、半径 125\dfrac{12}{5}、高さの合計5だから 13π(125)2×5=48π5\dfrac13\pi\left(\dfrac{12}{5}\right)^2\times5=\dfrac{48\pi}{5} です。
  2. 三角形ABCの3辺の長さを a=BCa=BC、b=CAb=CA、c=ABc=AB とし、3本の中線の長さを mam_a、mbm_b、mcm_c とします。ma2+mb2+mc2=34(a2+b2+c2)m_a^2+m_b^2+m_c^2=\dfrac34(a^2+b^2+c^2) を、中線定理を使って示しなさい。
    答えと解説を見る中線定理から ma2=2b2+2c2−a24m_a^2=\dfrac{2b^2+2c^2-a^2}{4}(AB2+AC2=2(AM2+BM2)AB^2+AC^2=2(AM^2+BM^2) を AM2AM^2 について解いた形)。同じように mb2=2c2+2a2−b24m_b^2=\dfrac{2c^2+2a^2-b^2}{4}、mc2=2a2+2b2−c24m_c^2=\dfrac{2a^2+2b^2-c^2}{4}。3つを足すと、分子は 3a2+3b2+3c23a^2+3b^2+3c^2 となり、34(a2+b2+c2)\dfrac34(a^2+b^2+c^2) になります。

パップスと関係する数学者

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古代の数学者

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読みもの(合格大作戦の数学の記事)

よくある質問

パップスは何をした人ですか?

パップスは、古代ギリシャ(アレクサンドリア)で活躍した数学者です。全8巻の『数学集成』を書き、先人の数学をまとめるとともに、中線定理、パップス・ギュルダンの定理、六角形定理などの名前の残る定理を伝えました。

パップスはなぜ有名なのですか?

『数学集成』が、ユークリッドやアポロニウスなど、失われた本の内容を後の世に伝えたからです。中学・高校の中線定理や、回転体の体積に使えるギュルダンの定理にも名前が残っています。

パップスの中線定理とは何ですか?

三角形ABCで辺BCの中点をMとするとき、AB²+AC²=2(AM²+BM²) が成り立つ、という定理です。3辺の長さから中線AMの長さを求められます。西洋ではアポロニウスの定理ともよばれます。

パップス・ギュルダンの定理とは何ですか?

回転体の体積は、回転させる図形の面積に、その図形の重心が動く道のりをかけたものに等しい、という定理です。半円を回して球の体積4πr³/3を出すことなどに使えます。曲線の長さと重心の道のりで、表面積も求められます。

パップスの六角形定理とは何ですか?

2本の直線の上に3点ずつをとり、A-b・a-B、A-c・a-C、B-c・b-C の3組の線を引くと、3つの交点が一直線にならぶ、という定理です。パスカルの定理の特別な場合にあたります。

パップスの名言はありますか?

『数学集成』第5巻で、ハチは六角形が正方形や正三角形より大きく、同じ材料でより多くの蜜をためられることを知っている、という趣旨のことを書いたと伝えられます。決まった「名言」といえるものは多くありません。

パップスはいつの時代の人ですか?どこの人ですか?

パップスは、290年ごろに生まれ350年ごろに亡くなったとされる、エジプトのアレクサンドリアの人です。正確な生没年は分かっていませんが、320年ごろに活動していたことは、日食の観測の記述から確かめられています。

パップスとデカルトの関係は?

パップスの本に出てくる「3本・4本の直線についての点の軌跡の問題」を、デカルトが座標を使ってすべて解いたとされます。この仕事が、『幾何学』(1637年)と座標幾何学の誕生につながりました。

パップスは中学受験・高校受験・大学受験に関係がありますか?

中学受験では回転体の体積の検算(ギュルダンの定理)、高校受験・大学受験では中線定理が役に立ちます。大学入試では、回転体の体積の別解や検算として使えます。

パップスの鎖とは何ですか?

アルベロス(半円の直径の上に、さらに2つの半円を作ってできる形)の中に、次々と円を接するようにならべたものです。アルキメデスの仕事に始まる題材で、パップスがくわしく調べたと伝えられます。

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出典・参考

  • MacTutor History of Mathematics「Pappus of Alexandria」(セント・アンドルーズ大学)
  • T. L. Heath『A History of Greek Mathematics』第2巻(パップスの章)
  • 肖像・絵:パップス『数学集成』コマンディーノ訳(ヴェネツィア、1589年)の扉、Wikimedia Commons(パブリックドメイン)

最終更新:2026年11月2日/作成:大学受験合格大作戦