相加平均と相乗平均とは?関係と使い方をわかりやすく【例題・問題つき】|合格大作戦 数学用語辞典

相加平均と相乗平均とは?関係と使い方をわかりやすく【例題・問題つき】|合格大作戦 数学用語辞典

合格大作戦 数学用語辞典 › 数と式

大学受験

相加平均と相乗平均とは

2つの正の数 a, ba,\ b の相加平均 a+b2\dfrac{a+b}{2} と相乗平均 ab\sqrt{ab} には、いつも a+b2≥ab\dfrac{a+b}{2}\ge\sqrt{ab}(等号は a=ba=b のとき)という関係があります。和の最小値を求めるときによく使います。

読み方:そうかへいきんとそうじょうへいきん/英語:arithmetic mean and geometric mean (AM-GM inequality)/習う学年:数学Ⅱ(式と証明)

うかるくん

うかるくん

x+4xx+\dfrac4x の最小値って、グラフをかかないと分からないですよね…

合格先生

合格先生

相加平均と相乗平均の関係を使えば1行だよ。xx と 4x\dfrac4x はかけると 4 で一定。だから x+4x≥24=4x+\dfrac4x\ge2\sqrt4=4。等号は x=2x=2 のときだ。

この用語のポイント

  • a>0, b>0a>0,\ b>0 のとき a+b2≥ab\dfrac{a+b}{2}\ge\sqrt{ab}(等号は a=ba=b)
  • 積が一定なら和の最小値が分かる(x+4x≥4x+\dfrac4x\ge4)
  • 使う前に正の数、使ったあとに等号が成り立つ値を確かめる

やさしく言うと

2つの正の数 a, ba,\ b について、足して2でわった平均(相加平均)と、かけて平方根をとった平均(相乗平均)があります。この2つには、いつも次の大小関係があります。

a+b2≥ab(a>0, b>0)\frac{a+b}{2}\ge\sqrt{ab}\quad(a>0,\ b>0)

等号が成り立つのは a=ba=b のときだけです。これを「相加平均と相乗平均の関係」といいます。

身近なたとえで考えてみましょう。

  • ひもで囲む:長さ20cmのひもで長方形を作るとき、たて1cm・横9cmなら面積9cm²、たて横5cmの正方形なら面積25cm²。まわりが同じなら、正方形の面積がいちばん大きい。これが相加平均と相乗平均の関係です。
  • 値上がり率:1年目に2倍、2年目に8倍になった株価は、2年で16倍。「毎年同じ倍率」で16倍になるには毎年4倍(2×8\sqrt{2\times8})。かけ算で増えるものの平均には、相乗平均が向いています。
  • 2人の歩く速さ:差が大きい2人ほど、2つの平均の差も大きくなります。2人が同じなら、どちらの平均も同じです。
2 つの数 1 と 9 を、長方形の 2 辺にする 91 まわり 20、面積 9 5 3 まわりが同じ 面積が同じ 相加平均(足して2でわる):(1+9)÷2 = 5 相乗平均(かけて √):√1×9 = 3 5 ≧ 3 相加平均は相乗平均以上
1 と 9 の相加平均 5 はまわりが同じ正方形、相乗平均 3 は面積が同じ正方形の1辺

まとめると、2つの正の数では「足して2でわる」ほうが「かけて√」より大きいか等しい、ということです。

例と、使えない例

○ 成り立つ・使える

  • a=1, b=9a=1,\ b=9:5≥35\ge3
  • a=4, b=6a=4,\ b=6:5≥245\ge\sqrt{24}(約4.90)
  • a=b=5a=b=5:5=55=5(等号)
  • x>0x>0 で x+4x≥4x+\dfrac4x\ge4(積 x×4x=4x\times\dfrac4x=4 が一定)
  • 周の長さが一定の長方形 → 面積最大は正方形

× 使えない

  • a=−1, b=−9a=-1,\ b=-9(負の数。ab=3\sqrt{ab}=3 だが相加平均は −5-5)
  • x<0x<0 の x+4xx+\dfrac4x(正の数でない)
  • x+yx+y の最小値で xyxy が一定でない(右辺が定数にならない)
  • x>0x>0 で x+1x2x+\dfrac1{x^2} にそのまま使う(積が 1x\dfrac1x で一定でない)

使える条件は、① 2つとも正の数、② 最小値を求めたいときは、積が一定の2つです。さらに③ 等号が成り立つ値が実際にあるかも確かめます。

図で見る

半円を使うと、相加平均と相乗平均が「長さ」で比べられます。直径を長さ aa と bb に分けると、半径が相加平均、分けた点から立てた垂直な線の高さが相乗平均になります。

(a+b)/2 √ab a b 半径(青)は、どの縦の線(緑)よりも長いか等しい
半径(相加平均)は、垂直な線(相乗平均)より短くならない
サクラちゃん

サクラちゃん

どうして縦の線の高さが ab\sqrt{ab} になるんですか?

合格先生

合格先生

半円の中にできる直角三角形の相似から、高さを hh とすると a:h=h:ba:h=h:b、つまり h2=abh^2=ab になるんだ。半径は半円でいちばん高い縦の線だから、a+b2≥ab\dfrac{a+b}2\ge\sqrt{ab}。等号は縦の線がちょうど中心にくる a=ba=b のときだよ。

2つの数が近いほど、2つの平均の差は小さくなります。そして等しいときだけ一致します。

2 数が近いほど、2 つの平均は近づく 相加平均 相乗平均 19差 246差 約0.155差 0 5 と 5 のように等しいときだけ、2 つの平均は一致する
1 と 9、4 と 6、5 と 5。近いほど差が小さく、等しいと一致

なぜ成り立つのか(証明)

左辺から右辺をひいて、0 以上であることを示します。a>0, b>0a>0,\ b>0 なので a=(a)2a=(\sqrt a)^2、b=(b)2b=(\sqrt b)^2 と書けます。

a+b2−ab=(a)2−2ab+(b)22=(a−b)22≥0\frac{a+b}{2}-\sqrt{ab}=\frac{(\sqrt a)^2-2\sqrt a\sqrt b+(\sqrt b)^2}{2}=\frac{(\sqrt a-\sqrt b)^2}{2}\ge0

2乗は 0 以上なので、いつも成り立ちます。等号は a=b\sqrt a=\sqrt b、つまり a=ba=b のときです。くわしくは公式辞典の相加平均と相乗平均の関係へ。

最小値を求める使い方

入試でいちばんよく使うのは、「和の最小値」を求める使い方です。2つの正の数の積が一定なら、a+b≥2aba+b\ge2\sqrt{ab} の右辺が定数になり、和の最小値が分かります。

12345672468 xyO 最小値 4(x=2) y=x+4/x
x+4/x は、x=4/x となる x=2 で最小値 4
  1. 正の数であることを確かめる。
  2. 積が一定になる2つに分ける(必要なら式の形を変える)。
  3. a+b≥2aba+b\ge2\sqrt{ab} を使う。
  4. 等号が成り立つ値を求め、それが条件に合うことを確かめる。
机で勉強するうかるくん

うかるくん

最後に「等号は x=○ のとき」と書く。これを忘れると減点だ!

3つの正の数でも、a+b+c3≥abc3\dfrac{a+b+c}{3}\ge\sqrt[3]{abc} が成り立ちます(等号は a=b=ca=b=c のとき)。

テスト・入試ではこう出る

相加平均と相乗平均の関係は、高校の数学Ⅱ(式と証明)の「不等式の証明」で習います。定期テストや大学入試では、不等式の証明と、x+kxx+\dfrac{k}{x} 型の最小値がよく出ます。三角関数や指数関数の最小値、図形の面積の最大値などの問題の中で使うこともあります。

例題1(最小値)

x>0x>0 のとき、x+9xx+\dfrac9x の最小値を求めなさい。

  1. x>0x>0 より x>0, 9x>0x>0,\ \dfrac9x>0 なので、相加平均と相乗平均の関係が使える。
  2. x+9x≥2x×9x=29=6x+\dfrac9x\ge2\sqrt{x\times\dfrac9x}=2\sqrt9=6
  3. 等号は x=9xx=\dfrac9x のとき。x2=9x^2=9、x>0x>0 より x=3x=3。
  4. x=3x=3 のとき、たしかに 3+3=63+3=6 になる。

答え 最小値 6(x=3x=3 のとき)

例題2(展開してから使う)

a>0, b>0a>0,\ b>0 のとき、(a+1b)(b+4a)\left(a+\dfrac1b\right)\left(b+\dfrac4a\right) の最小値を求めなさい。

  1. まず展開する:(a+1b)(b+4a)=ab+4+1+4ab=ab+4ab+5\left(a+\dfrac1b\right)\left(b+\dfrac4a\right)=ab+4+1+\dfrac{4}{ab}=ab+\dfrac{4}{ab}+5
  2. ab>0ab>0 なので ab+4ab≥24=4ab+\dfrac4{ab}\ge2\sqrt4=4。よって全体は 4+5=94+5=9 以上。
  3. 等号は ab=4abab=\dfrac4{ab}、つまり ab=2ab=2 のとき(たとえば a=1, b=2a=1,\ b=2)。

答え 最小値 9

はじめから2つのかっこに別々に使うと 2ab×24ba=82\sqrt{\dfrac ab}\times2\sqrt{\dfrac{4b}{a}}=8 となりますが、2つの等号が同時に成り立たないので、8 は最小値になりません。

まちがえやすい点

腕でバツを作る合格先生

合格先生

「≧4 だから最小値4」で終わらない! 等号が成り立つ x が本当にあるかを必ず確かめよう。

  • 正の数かどうか確かめない:x<0x<0 のとき x+4x≥4x+\dfrac4x\ge4 は成り立ちません(x=−1x=-1 なら −5-5)。答案には「x>0x>0 より」と必ず書きます。
  • 等号の確認をしない:「≥4\ge4 だから最小値は4」で終わるのは不十分です。等号が成り立つ xx が実際にあることを示して、はじめて最小値といえます。
  • 積が一定でないのに使う:x+1x2≥21xx+\dfrac1{x^2}\ge2\sqrt{\dfrac1x} のように右辺に文字が残ると、最小値は分かりません。
  • 2回使って等号がずれる:例題2のように、別々の場所で2回使うと、2つの等号が同時に成り立たないことがあります。展開してから1回で使うのが安全です。
  • 相乗平均を「かけて2でわる」と思う:相乗平均は ab2\dfrac{ab}{2} ではなく ab\sqrt{ab} です。

ことばの由来

「相加」は「たがいに加える(足す)」、「相乗」は「たがいに乗じる(かける)」という意味です。足して平均するのが相加平均、かけて平均するのが相乗平均です。英語では相加平均を arithmetic mean(算術平均)、相乗平均を geometric mean(幾何平均)といい、この関係は AM-GM inequality と呼ばれます。

ミニ問題

問題1 a=4, b=9a=4,\ b=9 のとき、相加平均と相乗平均をそれぞれ求めましょう。

答えと解き方を見る

相加平均は 132\dfrac{13}{2}(6.5)、相乗平均は 6 です。4+92=132\dfrac{4+9}{2}=\dfrac{13}2、4×9=36=6\sqrt{4\times9}=\sqrt{36}=6。たしかに相加平均のほうが大きくなっています。

問題2 x>0x>0 のとき、2x+8x2x+\dfrac8x の最小値と、そのときの xx を求めましょう。

答えと解き方を見る

最小値 8(x=2x=2 のとき) です。2x+8x≥22x×8x=216=82x+\dfrac8x\ge2\sqrt{2x\times\dfrac8x}=2\sqrt{16}=8。等号は 2x=8x2x=\dfrac8x、x2=4x^2=4、x>0x>0 より x=2x=2 のときです。

問題3 x>1x>1 のとき、x+1x−1x+\dfrac1{x-1} の最小値を求めましょう。

答えと解き方を見る

最小値 3(x=2x=2 のとき) です。

  1. 積が一定になるように形を変える:x+1x−1=(x−1)+1x−1+1x+\dfrac1{x-1}=(x-1)+\dfrac1{x-1}+1
  2. x−1>0x-1>0 なので (x−1)+1x−1≥21=2(x-1)+\dfrac1{x-1}\ge2\sqrt1=2。全体は 2+1=32+1=3 以上。
  3. 等号は x−1=1x−1x-1=\dfrac1{x-1}、(x−1)2=1(x-1)^2=1、x−1>0x-1>0 より x=2x=2。

そのままでは x×1x−1x\times\dfrac1{x-1} が一定でないので、「x−1x-1」のかたまりを作るのがコツです。

関連する公式・用語

公式辞典で、くわしい証明と例題を見る

あわせて覚えたい用語

よくある質問

相加平均と相乗平均とは簡単にいうと何ですか?

相加平均は2つの数を足して2でわった平均、相乗平均は2つの数をかけて平方根をとった平均です。1と9なら、相加平均は5、相乗平均は3です。

相加平均と相乗平均の関係とは何ですか?

2つの正の数 a, b について、(a+b)/2≧√(ab) が成り立つという関係です。等号は a=b のときだけ成り立ちます。

負の数でも使えますか?

使えません。a と b が正の数であることが条件です。答案には「x>0 より」のように書きます。

最小値を求めるときの注意は?

2つの数の積が一定であること、等号が成り立つ値が実際にあることを確かめます。等号の確認を忘れると減点されます。

3つの数でも成り立ちますか?

はい。3つの正の数でも、(a+b+c)/3 は abc の3乗根以上で、等号は a=b=c のときです。

相加平均と相乗平均は何年生で習いますか?

高校の数学Ⅱ(式と証明)の、不等式の証明のところで習います。

出典・参考

  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編」数学Ⅱ(式と証明)

最終更新:2026年10月13日/作成:大学受験合格大作戦