イェンセンの不等式(凸不等式)の公式|下に凸な関数の性質・接線を使った証明・sinの和や相加相乗平均の例題【大学数学・東大京大レベル】

イェンセンの不等式(凸不等式)の公式|下に凸な関数の性質・接線を使った証明・sinの和や相加相乗平均の例題【大学数学・東大京大レベル】

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大学受験大学院入試

f(∑k=1npkxk)≤∑k=1npkf(xk)f\Big(\sum_{k=1}^{n}p_kx_k\Big)\le\sum_{k=1}^{n}p_kf(x_k)

ff が下に凸、pk≥0p_k\ge0、∑k=1npk=1\displaystyle\sum_{k=1}^{n}p_k=1 のとき(上に凸なら逆向き)

この公式のポイント

  • 下に凸なら ff(平均)≦ ff の平均
  • 上に凸なら不等号が逆向き
  • 証明は曲線が接線より上にあることを使う
  • 使う前に区間全体で凸の向きが同じかを確かめる
うかるくん

うかるくん

平均してから ff に入れるのと、入れてから平均するの、どっちが大きいの?

合格先生

合格先生

下に凸なら、入れてから平均するほうが大きい。グラフが接線より上にあることを、重みをかけて足せば示せるぞ。

イェンセンの不等式(凸不等式)

グラフが下に凸の関数では、「平均してから ff に入れる」より「ff に入れてから平均する」ほうが大きくなります。これがイェンセンの不等式です。

下に凸な関数の性質

f(x)f(x) が区間 II で下に凸(f′′(x)≥0f''(x)\ge0)のとき、II の x1,…,xnx_1,\dots,x_n と、p1+⋯+pn=1p_1+\cdots+p_n=1 をみたす pk≥0p_k\ge0 について

f(p1x1+⋯+pnxn)≤p1f(x1)+⋯+pnf(xn)f(p_1x_1+\cdots+p_nx_n)\le p_1f(x_1)+\cdots+p_nf(x_n)

とくに pk=1np_k=\dfrac1n なら f(x1+⋯+xnn)≤f(x1)+⋯+f(xn)nf\left(\dfrac{x_1+\cdots+x_n}{n}\right)\le\dfrac{f(x_1)+\cdots+f(x_n)}{n}

上に凸(f′′(x)≤0f''(x)\le0)なら不等号が逆向き。f′′(x)>0f''(x)>0 なら、等号は x1=⋯=xnx_1=\cdots=x_n のとき(pk>0p_k>0 の場合)。

{f(x₁)+f(x₂)}/2f((x₁+x₂)/2)x₁(x₁+x₂)/2x₂下に凸 → 弦の中点は曲線より上y=f(x)
2点の場合:弦の中点(赤)は、曲線上の点(青)より上にある

なぜ成り立つのか(接線を使う証明)

ここでは高校の範囲にあわせて、f(x)f(x) は2回微分できる関数とします。m=p1x1+⋯+pnxnm=p_1x_1+\cdots+p_nx_n とおくと、mm も区間 II の中にあります。x=mx=m での接線 y=f(m)+f′(m)(x−m)y=f(m)+f'(m)(x-m) を使います。

手順1:下に凸なら、曲線は接線より上。g(x)=f(x)−f(m)−f′(m)(x−m)g(x)=f(x)-f(m)-f'(m)(x-m) とおくと g′(x)=f′(x)−f′(m)g'(x)=f'(x)-f'(m)。f′′(x)≥0f''(x)\ge0 なので f′(x)f'(x) は増加し、x<mx<m で g′(x)≤0g'(x)\le0、x>mx>m で g′(x)≥0g'(x)\ge0 です。よって g(x)g(x) は x=mx=m で最小で、g(m)=0g(m)=0 だから g(x)≥0g(x)\ge0。

f(x)≥f(m)+f′(m)(x−m)f(x)\ge f(m)+f'(m)(x-m)

手順2:重みをかけて足す。x=xkx=x_k を入れた式に pkp_k をかけて、k=1k=1 から nn まで足します。∑pk=1\sum p_k=1、∑pkxk=m\sum p_kx_k=m なので

∑k=1npkf(xk)≥f(m)∑k=1npk+f′(m)(∑k=1npkxk−m∑k=1npk)=f(m)\sum_{k=1}^{n}p_kf(x_k)\ge f(m)\sum_{k=1}^{n}p_k+f'(m)\Big(\sum_{k=1}^{n}p_kx_k-m\sum_{k=1}^{n}p_k\Big)=f(m)

これで f(m)≤∑pkf(xk)f(m)\le\sum p_kf(x_k) が示せました。

等号:f′′(x)>0f''(x)>0 なら f′(x)f'(x) は真に増加し、x≠mx\ne m で g(x)>0g(x)>0。だから等号は、pk>0p_k>0 のすべての xkx_k が mm に等しいときだけです。上に凸の場合は、−f(x)-f(x) が下に凸なので、不等号が逆向きになります。

x₁x₂mx₃接線y=f(x)曲線は接線より上(緑の長さ≧0)m=(x₁+x₂+x₃)/3 での接線を使う
平均 mm での接線より曲線が上にあることを、重みをつけて足す

大学受験での使い方

大学受験

例題1(三角形と sin の和)

三角形 ABC で、sin⁡A+sin⁡B+sin⁡C≤332\sin A+\sin B+\sin C\le\dfrac{3\sqrt3}{2} を示しなさい。

解き方

f(x)=sin⁡xf(x)=\sin x は 0<x<π0<x<\pi で f′′(x)=−sin⁡x<0f^{\prime\prime}(x)=-\sin x<0、つまり上に凸。A, B, CA,\ B,\ C はどれもこの区間に入る。

上に凸なので不等号は逆向きになり、sin⁡A+sin⁡B+sin⁡C3≤sin⁡A+B+C3=sin⁡π3=32\dfrac{\sin A+\sin B+\sin C}{3}\le\sin\dfrac{A+B+C}{3}=\sin\dfrac{\pi}{3}=\dfrac{\sqrt3}{2}。

よって sin⁡A+sin⁡B+sin⁡C≤332\sin A+\sin B+\sin C\le\dfrac{3\sqrt3}{2}。等号は A=B=CA=B=C(正三角形)のとき。

答え 証明は解き方のとおり(等号は正三角形のとき)

大学受験

例題2(相加平均と相乗平均を導く)

a, b, c>0a,\ b,\ c>0 のとき、a+b+c3≥abc3\dfrac{a+b+c}{3}\ge\sqrt[3]{abc} を、log⁡x\log x が上に凸であることを使って示しなさい。

解き方

f(x)=log⁡xf(x)=\log x は x>0x>0 で f′′(x)=−1x2<0f^{\prime\prime}(x)=-\dfrac1{x^2}<0、上に凸。

よって log⁡a+log⁡b+log⁡c3≤log⁡a+b+c3\dfrac{\log a+\log b+\log c}{3}\le\log\dfrac{a+b+c}{3}。

左辺は 13log⁡abc=log⁡abc3\dfrac13\log abc=\log\sqrt[3]{abc}。log⁡x\log x は増加関数なので abc3≤a+b+c3\sqrt[3]{abc}\le\dfrac{a+b+c}{3}。等号は a=b=ca=b=c のとき。

答え 証明は解き方のとおり(等号は a=b=ca=b=c のとき)

大学受験

例題3(4乗の和の最小値)

実数 x, y, zx,\ y,\ z が x+y+z=3x+y+z=3 をみたすとき、x4+y4+z4x^4+y^4+z^4 の最小値を求めなさい。

解き方

f(x)=x4f(x)=x^4 は f′′(x)=12x2≥0f^{\prime\prime}(x)=12x^2\ge0 なので下に凸。

x4+y4+z43≥(x+y+z3)4=14=1\dfrac{x^4+y^4+z^4}{3}\ge\left(\dfrac{x+y+z}{3}\right)^4=1^4=1 より x4+y4+z4≥3x^4+y^4+z^4\ge3。

x=y=z=1x=y=z=1 のとき実際に 33 になるので、最小値は 33。

答え 33(x=y=z=1x=y=z=1 のとき)

高校の範囲をこえる内容と入試での使い方

グラフの凹凸(第2次導関数の符号)は数学Ⅲで学びます。しかし「イェンセンの不等式」という名前と、nn 個・重みつきの一般の形は、高校の教科書の範囲外の発展内容です。

  • 答案での使い方:名前だけで済ませず、上の証明の手順1のように「下に凸なので、曲線は接線より上にある」ことを示してから使うのが安全です。2点の場合は、弦と曲線の位置関係として説明する方法もあります。
  • 凸の向きを区間ごとに確かめる:使う値がすべて、凸の向きが同じ区間に入っているかを確かめます。たとえば cos⁡x\cos x は 0<x<π20<x<\dfrac{\pi}{2} では上に凸ですが、π2<x<π\dfrac{\pi}{2}<x<\pi では下に凸です。
  • 見当づけ:「すべて等しいときに最大(最小)では?」という予想の根拠になります。予想した値を、相加平均・相乗平均や微分で示す道すじが立ちます。
  • 難関大の入試では、この不等式が背景になっている問題があります。

よくある間違い

腕でバツを作る合格先生

合格先生

三角形の角で cos⁡\cos を使うときは要注意だ。0<x<π0<x<\pi 全体では上に凸ではないから、そのままは使えないぞ。

  • 凸の向きと不等号の向きを逆にする:下に凸なら「ff(平均)≦ ff の平均」、上に凸なら逆。
  • 区間全体で凸かを確かめない:三角形の角で cos⁡\cos を使うと、0<x<π0<x<\pi 全体では上に凸ではないので、そのままは使えない。
  • 重みの和が1でない:p1+⋯+pn=1p_1+\cdots+p_n=1(pk≥0p_k\ge0)のときだけ成り立つ。

練習問題

ひらめいたサクラちゃん

サクラちゃん

まず凸の向きを確かめてから使おう!

  1. 大学受験 実数 x, y, zx,\ y,\ z が x+y+z=6x+y+z=6 をみたすとき、x2+y2+z2x^2+y^2+z^2 の最小値を求めなさい。
    答えと解説を見るf(x)=x2f(x)=x^2 は下に凸。x2+y2+z23≥(63)2=4\dfrac{x^2+y^2+z^2}{3}\ge\left(\dfrac63\right)^2=4 より x2+y2+z2≥12x^2+y^2+z^2\ge12。x=y=z=2x=y=z=2 で等号。最小値 1212
  2. 大学受験 a, b>0a,\ b>0 のとき、(a+b2)3≤a3+b32\left(\dfrac{a+b}{2}\right)^3\le\dfrac{a^3+b^3}{2} を示しなさい。
    答えと解説を見るf(x)=x3f(x)=x^3 は x>0x>0 で f′′(x)=6x>0f^{\prime\prime}(x)=6x>0、下に凸。2点の場合のイェンセンの不等式(p1=p2=12p_1=p_2=\dfrac12)そのもの。等号は a=ba=b のとき
  3. 大学受験 x, y, z>0x,\ y,\ z>0、x+y+z=1x+y+z=1 のとき、xlog⁡x+ylog⁡y+zlog⁡z≥−log⁡3x\log x+y\log y+z\log z\ge-\log3 を示しなさい。
    答えと解説を見るf(x)=xlog⁡xf(x)=x\log x は f′′(x)=1x>0f^{\prime\prime}(x)=\dfrac1x>0 で下に凸。f(x)+f(y)+f(z)3≥f(13)=−13log⁡3\dfrac{f(x)+f(y)+f(z)}{3}\ge f\left(\dfrac13\right)=-\dfrac13\log3。両辺を3倍して示せる。等号は x=y=z=13x=y=z=\dfrac13 のとき

関連する公式

よくある質問

イェンセンの不等式とは?

下に凸な関数 f(x) について、平均してから f に入れた値は、f に入れてから平均した値以下になる、という不等式です。重みつきの平均でも成り立ちます。

上に凸な関数ではどうなりますか?

不等号が逆向きになります。sin x(0<x<π)や log x がその例です。

どうやって証明しますか?

下に凸な関数のグラフは接線より上にあるので、平均の点での接線の式に各点を入れた不等式に重みをかけて足すと示せます。

入試の答案でそのまま使ってよいですか?

高校の範囲外の名前なので、接線より上にあることを示すなど、短い証明をそえてから使うのが安全です。

あわせて読みたい

出典・参考

  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」数学Ⅲ(微分法の応用)
  • 大学初年級の微分積分学(範囲外の発展内容)

最終更新:2026年10月11日/作成:大学受験合格大作戦