不等式の証明のしかた|差をとって2乗の和に・両辺を2乗して比べる・コーシー・シュワルツと等号成立条件の例題【数学Ⅱ・大学受験】

不等式の証明のしかた|差をとって2乗の和に・両辺を2乗して比べる・コーシー・シュワルツと等号成立条件の例題【数学Ⅱ・大学受験】

合格大作戦 算数・数学公式辞典 › 数と式

大学受験

A−B≥0 ⟹ A≥BA-B\ge0\ \Longrightarrow\ A\ge B

土台は「実数の2乗は0以上」

この公式のポイント

  • 基本は差をとって0以上を示す
  • 2乗の和の形にできれば0以上(等号はそれぞれ0のとき)
  • 両辺が正なら2乗して比べてよい
  • 「≧」の証明は等号成立の条件まで書く
うかるくん

うかるくん

不等式の証明って、まず何から手をつければいいのか分からないよ

合格先生

合格先生

差をとろう。A−BA-B を2乗の和の形にできれば、0以上と言えるぞ。

不等式の証明の基本方針

不等式 A ≧ B の証明のしかた

  1. 差をとる:A−B≥0A-B\ge0 を示す(因数分解・平方完成で「2乗の和」の形にする)
  2. 両辺が正なら2乗して比べる:A>0, B>0A>0,\ B>0 のとき A≥B  ⟺  A2≥B2A\ge B\iff A^2\ge B^2
  3. 有名な不等式を使う:相加平均・相乗平均、三角不等式、コーシー・シュワルツ

いちばんの土台:実数 xx について x2≥0x^2\ge0(等号は x=0x=0)

証明①:a²+b² ≧ 2ab と a²+b²+c² ≧ ab+bc+ca

a2+b2−2ab=(a−b)2≥0a^2+b^2-2ab=(a-b)^2\ge0

よって a2+b2≥2aba^2+b^2\ge2ab。等号は a=ba=b のとき。

abababab(a−b)²ab(a+b)²=4ab+(a−b)²≧ 4abすき間がなくなるのはa=b のとき(等号)
1辺 a+ba+b の正方形に abab の長方形を4つしきつめると、まん中に1辺 a−ba-b の正方形のすき間が残る

図から (a+b)2=4ab+(a−b)2≥4ab(a+b)^2=4ab+(a-b)^2\ge4ab。展開して a2+2ab+b2≥4aba^2+2ab+b^2\ge4ab、つまり a2+b2≥2aba^2+b^2\ge2ab と同じことです。

3文字の場合は、差を2倍すると2乗の和になります。

2(a2+b2+c2−ab−bc−ca)=(a−b)2+(b−c)2+(c−a)2≥02(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)=(a-b)^2+(b-c)^2+(c-a)^2\ge0

等号は a=b=ca=b=c のとき。このように「2乗の和」の形にできれば0以上と言えます。

証明②:両辺が正なら2乗して比べる

a>0, b>0a>0,\ b>0 のとき a+b>a+b\sqrt a+\sqrt b>\sqrt{a+b} を示します。両辺とも正なので2乗の差をとると、

(a+b)2−(a+b)2=a+2ab+b−(a+b)=2ab>0(\sqrt a+\sqrt b)^2-(\sqrt{a+b})^2=a+2\sqrt{ab}+b-(a+b)=2\sqrt{ab}>0
√a√b√(a+b)遠回り(青+緑)は近道(赤)より長い
直角をはさむ2辺が a\sqrt a、b\sqrt b の直角三角形の斜辺は a+b\sqrt{a+b}

図で見ると、三平方の定理で斜辺は a+b\sqrt{a+b}。「2辺の和は残りの1辺より長い」ことと同じです。

コーシー・シュワルツの不等式

(a2+b2)(x2+y2)−(ax+by)2=(ay−bx)2≥0(a^2+b^2)(x^2+y^2)-(ax+by)^2=(ay-bx)^2\ge0

よって (a2+b2)(x2+y2)≥(ax+by)2(a^2+b^2)(x^2+y^2)\ge(ax+by)^2。等号は ay=bxay=bx のとき。ベクトルの内積で ∣p⃗∣∣q⃗∣≥p⃗⋅q⃗|\vec p||\vec q|\ge\vec p\cdot\vec q と見ることもできます。

大学受験(数学Ⅱ)での使い方

大学受験

例題1(差をとる)

a>b>0a>b>0 のとき、ab>a+1b+1\dfrac{a}{b}>\dfrac{a+1}{b+1} を証明しなさい。

解き方

差は a(b+1)−b(a+1)b(b+1)=a−bb(b+1)\dfrac{a(b+1)-b(a+1)}{b(b+1)}=\dfrac{a-b}{b(b+1)}。a−b>0a-b>0、b(b+1)>0b(b+1)>0 なので差は正。

答え 証明終わり

大学受験

例題2(平方完成)

すべての実数 x, yx,\ y について x2+y2≥2x+2y−2x^2+y^2\ge2x+2y-2 を証明しなさい。等号はいつ成り立ちますか。

解き方

差は x2−2x+y2−2y+2=(x−1)2+(y−1)2≥0x^2-2x+y^2-2y+2=(x-1)^2+(y-1)^2\ge0。等号は x=1, y=1x=1,\ y=1 のとき。

答え 等号は x=y=1x=y=1

大学受験

例題3(コーシー・シュワルツで最大値)

x2+y2=1x^2+y^2=1 のとき、3x+4y3x+4y の最大値を求めなさい。

解き方

(32+42)(x2+y2)≥(3x+4y)2(3^2+4^2)(x^2+y^2)\ge(3x+4y)^2 より (3x+4y)2≤25(3x+4y)^2\le25、3x+4y≤53x+4y\le5。

等号は 3y=4x3y=4x のときで、x=35, y=45x=\dfrac35,\ y=\dfrac45 で 55 になる。

答え 最大値 55

よくある間違い

腕でバツを作る合格先生

合格先生

負の数をふくむときに2乗してくらべるな。両辺が0以上のときだけ使える方法だ。

  • 負の数をふくむのに2乗して比べる:両辺が正(0以上)のときだけ使える。
  • 等号の条件を書かない:「≧」の証明では等号成立の条件まで答える。
  • 結論を使って証明する:示したい不等式から変形を始めない。差をとって0以上を示す。

練習問題

体で丸を作る合格先生

合格先生

等号が成り立つ条件まで書いて、はじめて完成だ。

  1. 大学受験 a2+4b2≥4aba^2+4b^2\ge4ab を証明しなさい。
    答えと解説を見る差 =(a−2b)2≥0=(a-2b)^2\ge0。等号は a=2ba=2b
  2. 大学受験 a>0a>0 のとき a+1a≥2a+\dfrac1a\ge2 を証明しなさい。
    答えと解説を見る差 =a2−2a+1a=(a−1)2a≥0=\dfrac{a^2-2a+1}{a}=\dfrac{(a-1)^2}{a}\ge0。等号は a=1a=1
  3. 大学受験 x2+y2=4x^2+y^2=4 のとき、x+yx+y の最大値を求めなさい。
    答えと解説を見る(1+1)(x2+y2)≥(x+y)2(1+1)(x^2+y^2)\ge(x+y)^2 より (x+y)2≤8(x+y)^2\le8。最大値 222\sqrt2

関連する公式

よくある質問

不等式の証明の基本は?

左辺−右辺を計算し、因数分解や平方完成で2乗の和などの形にして0以上であることを示します。

両辺を2乗して比べてよいのはいつですか?

両辺がどちらも0以上(正)のときだけです。

コーシー・シュワルツの不等式とは?

(a²+b²)(x²+y²)≧(ax+by)² のことで、差が (ay−bx)² になることから証明できます。

あわせて読みたい

出典・参考

  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」数学Ⅱ(式と証明)

最終更新:2026年10月11日/作成:大学受験合格大作戦