この公式のポイント
- b2m+c2n=a(d2+mn):辺の2乗に向かいの切れ端をかける
- 証明は余弦定理を2回、cos(180∘−θ)=−cosθ で消す
- 中線なら中線定理
- 角の二等分線なら AD2=bc−mn

うかるくん
b2m+c2n の、m と n のかけ方がいつも逆になっちゃうよ。
![合格先生]()
合格先生
b は C の側の辺だから、反対の B の側の m をかける。余弦定理2回で cos を消して出る式だ。
スチュワートの定理
△ABC の辺 BC 上の点 D と、A を結ぶ線分 AD の長さ
AB=c、AC=b、BC=a、BD=m、DC=n(m+n=a)、AD=d のとき
b2m+c2n=a(d2+mn)中線(m=n=2a)なら 中線定理 b2+c2=2(d2+(2a)2)
角 A の二等分線なら d2=bc−mn
BC 上の点 D で分けた長さ m・n と、2辺 b・c から AD=d が求まる覚え方:b(AC)は C の側の辺なので、反対の B の側の長さ m をかけます。「辺の2乗に、向かいの切れ端をかける」と覚えましょう。英語圏では、式を a(mn+d2)=b2m+c2n と書いて「man+dad=bmb+cnc」という覚え方が知られています。
証明(余弦定理を2回)
∠ADB=θ とすると、B・D・C は一直線なので ∠ADC=180∘−θ、cos(180∘−θ)=−cosθ。2つの三角形で余弦定理を使います。
△ABD: c2=m2+d2−2mdcosθ
△ACD: b2=n2+d2+2ndcosθcosθ を消すため、上の式を n 倍、下の式を m 倍してたします。
c2n+b2m=m2n+mn2+(m+n)d2=(m+n)(mn+d2)m+n=a なので b2m+c2n=a(d2+mn)。(D が B・C に一致する場合は、式の両辺が同じになり、そのまま成り立ちます。)
∠ADB と ∠ADC はたして 180°。cos の符号が逆になるので、うまく消せる特別な場合①:中線定理
D が BC の中点なら m=n=2a。代入して両辺を 2a でわると b2+c2=2(d2+4a2)。これは中線定理(パップスの中線定理)です。
特別な場合②:角の二等分線の長さ
AD が ∠A の二等分線なら、角の二等分線と辺の比より m:n=c:b、つまり m=b+cac、n=b+cab。左辺は
b2⋅b+cac+c2⋅b+cab=b+cabc(b+c)=abcなので abc=a(d2+mn)、よって d2=bc−mn。
角の二等分線の長さは AD²=bc−mn で一発大学受験(数学Ⅰ)での使い方
大学受験例題1(基本)
AB=5、
AC=7、
BC=8 の △ABC で、辺 BC 上に
BD=3 となる点 D をとります。AD の長さを求めなさい。
解き方
b=7、c=5、m=3、n=5、a=8。49⋅3+25⋅5=8(d2+15) より 272=8d2+120、d2=19。
答え AD=19
大学受験例題2(角の二等分線)
AB=6、
AC=4、
BC=5 の △ABC で、∠A の二等分線と BC の交点を D とします。AD の長さを求めなさい。
解き方
BD:DC=6:4=3:2 より BD=3、DC=2。AD2=bc−mn=4⋅6−3⋅2=18。(スチュワートの定理でも 16⋅3+36⋅2=5(d2+6) から d2=18)
答え AD=32
大学受験例題3(正三角形)
1辺が 6 の正三角形 ABC で、辺 BC 上に
BD=2 となる点 D をとります。AD の長さを求めなさい。
解き方
36⋅2+36⋅4=6(d2+8) より 216=6d2+48、d2=28。(座標で A(3,33)、D(2,0) としても 1+27=28)
答え AD=27
高校の範囲をこえる内容と入試での使い方
教科書での位置:スチュワートの定理は、高校の教科書で公式として習う内容ではありません(発展)。ただし証明は数学Ⅰの余弦定理を2回使うだけなので、高校生が自分で導けます。特別な場合の中線定理は、教科書でも扱われます。
入試での使い方:
- 記述式の答案では、定理の名前だけで使うより、「∠ADB=θ として余弦定理を2つ書き、cosθ を消す」流れを書くのが安全です。数行で書けます。
- 答えの見当づけ・検算には、とても便利です。特に角の二等分線の長さ d2=bc−mn は計算が一瞬です。
- A から BC に垂線をおろし、三平方の定理を2回使う方法でも同じ式が出ます。座標を置く方法(B を原点、BC を x 軸)でも確かめられます。
よくある間違い
![腕でバツを作る合格先生]()
合格先生
右辺は ad2 だけではないぞ。a(d2+mn) と mn を忘れずにな。
- かける長さを逆にする:b2(AC の2乗)にかけるのは m(BD、B の側の長さ)。b2n としてしまうミスが多いので、中線(m=n)以外で必ず確かめましょう。
- 右辺の mn を忘れる:右辺は ad2 だけでなく a(d2+mn)。
- 二等分線の比を逆にする:BD:DC=AB:AC=c:b。
練習問題
![ひらめいたサクラちゃん]()
サクラちゃん
角の二等分線なら AD2=bc−mn で一発だね!
- 大学受験 AB=4、AC=6、BC=5 の △ABC で、辺 BC 上に BD=1 となる点 D をとるとき、AD の長さは?
答えと解説を見る
36⋅1+16⋅4=5(d2+4) より 100=5d2+20、d2=16。答え AD=4 - 大学受験 AB=8、AC=6、BC=7 の △ABC で、∠A の二等分線と BC の交点を D とするとき、AD の長さは?
答えと解説を見る
BD:DC=8:6=4:3 より BD=4、DC=3。AD2=6⋅8−4⋅3=36。答え AD=6 - 大学受験 AB=AC=5、BC=6 の二等辺三角形 ABC で、辺 BC 上に BD=1 となる点 D をとるとき、AD の長さは?
答えと解説を見る
25⋅1+25⋅5=6(d2+5) より 150=6d2+30、d2=20。答え AD=25
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よくある質問
スチュワートの定理とは?
三角形 ABC の辺 BC 上の点 D について、b²m+c²n=a(d²+mn) が成り立つという定理です(AB=c、AC=b、BC=a、BD=m、DC=n、AD=d)。
スチュワートの定理の証明は?
∠ADB=θ とし、△ABD と △ACD で余弦定理を使います。∠ADC=180°−θ なので cos の符号が逆になり、うまく組み合わせると cos が消えて定理が出ます。
角の二等分線の長さの公式は?
∠A の二等分線 AD について AD²=bc−mn(BD=m、DC=n)です。スチュワートの定理に m:n=c:b を入れると導けます。
スチュワートの定理は入試で使ってよいですか?
教科書の公式ではないので、記述式では余弦定理を2回使う短い証明を書いてから使うのが安全です。
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出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」数学Ⅰ(図形と計量)
- 高校の範囲外の発展内容(初等幾何)
最終更新:2026年10月11日/作成:大学受験合格大作戦