正弦定理・余弦定理とは?使い分けをわかりやすく【例題・問題つき】|合格大作戦 数学用語辞典

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正弦定理・余弦定理とは

三角形の辺と角の関係を表す 2 つの定理です。正弦定理は asin⁡A=bsin⁡B=csin⁡C=2R\dfrac{a}{\sin A}=\dfrac{b}{\sin B}=\dfrac{c}{\sin C}=2R(RR は外接円の半径)、余弦定理は a2=b2+c2−2bccos⁡Aa^2=b^2+c^2-2bc\cos A です。

読み方:せいげんていり・よげんていり/英語:law of sines / law of cosines/習う学年:数学Ⅰ(図形と計量)

サクラちゃん

サクラちゃん

正弦定理と余弦定理、どっちを使えばいいのか、いつも迷います…

合格先生

合格先生

何がわかっているかで決めるんだ。「1 辺と 2 角」なら正弦定理、「2 辺と間の角」や「3 辺」なら余弦定理。三角形の合同条件と同じ分け方だよ。

この用語のポイント

  • 正弦定理:asin⁡A=bsin⁡B=csin⁡C=2R\dfrac{a}{\sin A}=\dfrac{b}{\sin B}=\dfrac{c}{\sin C}=2R(向かい合う辺と角が組)
  • 余弦定理:a2=b2+c2−2bccos⁡Aa^2=b^2+c^2-2bc\cos A。A=90∘A=90^\circ なら三平方の定理
  • 角が 2 つわかれば正弦、2 辺と間の角・3 辺なら余弦

やさしく言うと

正弦定理と余弦定理は、三角形の辺と角の関係を表す 2 つの定理です。三角形の一部がわかれば、残りの辺や角を計算で求められます。

  • 正弦定理は「大きい角の向かいには長い辺」を、正確な比にしたもの:三角形では、大きい角の向かいの辺ほど長くなります。正弦定理は、その長さが角の sin に比例することを表します。
  • 余弦定理は「三平方の定理の、直角でない版」:腕を開くコンパスを思いうかべてください。2 本の脚の長さはそのままでも、開く角が大きいほど先たんどうしははなれます。そのきょりを計算する式が余弦定理です。
  • 川の向こうまで行かずに、きょりを測る:こちら側の 2 点のきょりと、そこから見た角度がわかれば、向こう岸の木までのきょりが計算できます。昔から測量に使われてきた考え方です。

まとめると、正弦定理は「辺と向かいの角の sin の比」、余弦定理は「2 辺とその間の角から残りの辺」を表す式です。

asin⁡A=bsin⁡B=csin⁡C=2Ra2=b2+c2−2bccos⁡A\frac{a}{\sin A}=\frac{b}{\sin B}=\frac{c}{\sin C}=2R\qquad a^2=b^2+c^2-2bc\cos A

ここで RR は外接円(三角形の 3 つの頂点を通る円)の半径です。辺は角と同じ文字の小文字で表し、aa は角 AA の向かいの辺です。

A B C a b c 角 A ⇔ 辺 a(BC) 角 B ⇔ 辺 b(CA) 角 C ⇔ 辺 c(AB) 同じ色どうしが「向かい合う」角と辺
辺 a は角 A の向かい。角と辺は「同じ文字どうし」が向かい合う

どちらを使うか(例)

○ 正しい使い分け

  • 1 辺と 2 つの角がわかる → 正弦定理で残りの辺
  • 2 辺とその間の角がわかる → 余弦定理で残りの辺
  • 3 辺がわかる → 余弦定理で角(cos⁡A=b2+c2−a22bc\cos A=\dfrac{b^2+c^2-a^2}{2bc})
  • 1 辺と向かいの角がわかる → 正弦定理で外接円の半径
  • 2 辺と、片方の向かいの角がわかる → 正弦定理で角(答えが 2 つのこともある)
  • A=90∘A=90^\circ の余弦定理 → a2=b2+c2a^2=b^2+c^2(三平方の定理)

× できない・まちがった使い方

  • 2 辺だけで残りの辺を出す(角が 1 つ必要)
  • 3 つの角だけで辺の長さを出す(形は決まるが大きさが決まらない)
  • aa と sin⁡B\sin B を組にする(aa と組になるのは sin⁡A\sin A)
  • 余弦定理の −2bccos⁡A-2bc\cos A を ++ にする
  • asin⁡A=R\dfrac{a}{\sin A}=R とする(正しくは 2R2R)

三角形の形と大きさが決まる条件(中学で習う合同条件)と、ちょうど対応しています。「3 辺」「2 辺とその間の角」なら余弦定理、「1 辺とその両はしの角」なら正弦定理です。

図で見る

正弦定理がなぜ成り立つかを、外接円で見てみましょう。BB を通る直径の反対のはしを A′A' とします。

O A B C A′ a 2R BA′ は直径 → ∠BCA′=90° 円周角の定理 → ∠A′=∠A a=2R sin A
直径 BA′ に対する円周角は 90°。∠A′=∠A なので a=2R sin A

BA′BA' は直径なので ∠BCA′=90∘\angle BCA'=90^\circ。また、同じ弧 BCBC に対する円周角なので ∠A′=∠A\angle A'=\angle A です。直角三角形 A′BCA'BC で sin⁡A′=BCBA′\sin A'=\dfrac{BC}{BA'} だから、a=2Rsin⁡Aa=2R\sin A。同じことを bb、cc でもすれば正弦定理になります(AA が鈍角や直角のときも、少し図を変えて同じ式が示せます)。

次に余弦定理です。2 辺の長さを 3 と 5 に決めて、その間の角を開いていきます。

2 辺 3 と 5 はそのまま、間の角を開く 赤い辺 a の長さを余弦定理で計算 A5A = 60°a = √19(約4.36)A5A = 90°a = √34(約5.83)A5A = 120°a = 7(ちょうど7)
同じ 2 辺でも、間の角が大きいほど向かいの辺は長い

A=90∘A=90^\circ のときは cos⁡90∘=0\cos90^\circ=0 なので、a2=9+25=34a^2=9+25=34(三平方の定理)。AA が 90∘90^\circ より小さいと cos⁡A>0\cos A>0 なので 3434 より小さく、大きいと cos⁡A<0\cos A<0 なので 3434 より大きくなります。−2bccos⁡A-2bc\cos A は、直角からのずれを直す「補正の項」です。

うかるくん

うかるくん

120∘120^\circ のとき、マイナスの −2bccos⁡A-2bc\cos A なのに、長くなるんですか?

合格先生

合格先生

cos⁡120∘=−12\cos120^\circ=-\dfrac12 だから、−2⋅3⋅5⋅(−12)=+15-2\cdot3\cdot5\cdot\left(-\dfrac12\right)=+15 になるんだ。a2=9+25+15=49a^2=9+25+15=49 で a=7a=7。鈍角なら補正はプラス、と覚えておこう。

余弦定理の導き方

AA を原点、辺 ABAB を xx 軸の上にとると、B(c, 0)B(c,\ 0)、C(bcos⁡A, bsin⁡A)C(b\cos A,\ b\sin A) と表せます(三角比の定義)。2 点間のきょりの公式で BC2BC^2 を計算すると、

a2=(bcos⁡A−c)2+(bsin⁡A)2=b2(cos⁡2A+sin⁡2A)−2bccos⁡A+c2=b2+c2−2bccos⁡Aa^2=(b\cos A-c)^2+(b\sin A)^2=b^2(\cos^2A+\sin^2A)-2bc\cos A+c^2=b^2+c^2-2bc\cos A

sin⁡2A+cos⁡2A=1\sin^2A+\cos^2A=1 を使うと、きれいに余弦定理が出てきます。角 AA が鋭角でも鈍角でも、同じ計算で成り立ちます。

正弦定理余弦定理
式asin⁡A=bsin⁡B=csin⁡C=2R\dfrac{a}{\sin A}=\dfrac{b}{\sin B}=\dfrac{c}{\sin C}=2Ra2=b2+c2−2bccos⁡Aa^2=b^2+c^2-2bc\cos A
わかっているもの1 辺と 2 角/1 辺と向かいの角2 辺と間の角/3 辺
求めるもの辺・角・外接円の半径残りの辺・角
気をつけること角を求めると 2 つ出ることがあるcos⁡A<0\cos A<0(鈍角)の符号
本で説明するサクラちゃん

サクラちゃん

わかっているのが「角が 2 つ」なら正弦、「辺が 2 つ以上と間の角」なら余弦、ね!

テスト・入試ではこう出る

正弦定理・余弦定理は、高校の数学Ⅰ「図形と計量」の中心です。三角形の残りの辺や角を求める問題、外接円の半径を求める問題、三角形の面積 S=12bcsin⁡AS=\dfrac12bc\sin A と組み合わせた問題がよく出ます。大学入試では、円に内接する四角形や、空間図形の中の三角形に使う問題も定番です。

例題1(正弦定理:測量)

川岸の 2 点 AA、BB は 100100 m はなれています。向こう岸の木 CC について ∠CAB=75∘\angle CAB=75^\circ、∠CBA=45∘\angle CBA=45^\circ でした。AA から CC までのきょりを求めなさい。

  1. C=180∘−75∘−45∘=60∘C=180^\circ-75^\circ-45^\circ=60^\circ。
  2. ACAC は角 BB の向かいの辺 bb、AB=100AB=100 は角 CC の向かいの辺 cc。
  3. 正弦定理 bsin⁡B=csin⁡C\dfrac{b}{\sin B}=\dfrac{c}{\sin C} より、b=100sin⁡45∘sin⁡60∘=100⋅2232=10023=10063b=\dfrac{100\sin45^\circ}{\sin60^\circ}=\dfrac{100\cdot\frac{\sqrt2}2}{\frac{\sqrt3}2}=\dfrac{100\sqrt2}{\sqrt3}=\dfrac{100\sqrt6}{3}。

答え 10063\dfrac{100\sqrt6}{3} m(約 81.6 m)

川 C(木) A B 100 m 75° 45° 60° ? AC = 100 × sin45° ÷ sin60° ≒ 81.6 m
1 辺と 2 角がわかれば、正弦定理で向こう岸までのきょりがわかる

例題2(余弦定理:3 辺から角)

3 辺の長さが 33、55、77 の三角形で、いちばん大きい角の大きさを求めなさい。

  1. いちばん大きい角は、いちばん長い辺 77 の向かいの角。これを AA とする(a=7a=7、b=3b=3、c=5c=5)。
  2. 余弦定理を cos⁡A\cos A について解いた形:cos⁡A=b2+c2−a22bc=9+25−492⋅3⋅5=−1530=−12\cos A=\dfrac{b^2+c^2-a^2}{2bc}=\dfrac{9+25-49}{2\cdot3\cdot5}=\dfrac{-15}{30}=-\dfrac12。
  3. 0∘<A<180∘0^\circ<A<180^\circ で cos⁡A=−12\cos A=-\dfrac12 となるのは A=120∘A=120^\circ。

答え 120∘120^\circ(cos⁡A<0\cos A<0 なので鈍角三角形)

まちがえやすい点

腕でバツを作る合格先生

合格先生

正弦定理は向かい合う辺と角が組! asin⁡A\dfrac{a}{\sin A} は半径でなく直径 2R2R だよ。

  • 角と辺の組をまちがえる:正弦定理で組になるのは「aa と sin⁡A\sin A」のように向かい合う辺と角です。辺 aa のとなりの角 BB と組にしてはいけません。
  • 2R2R を RR にする:asin⁡A\dfrac{a}{\sin A} は外接円の直径 2R2R です。半径を求めるときは、最後に 2 で割ります。
  • −2bccos⁡A-2bc\cos A の符号:余弦定理はいつも「−2bccos⁡A-2bc\cos A」です。鈍角では cos⁡A\cos A が負なので、全体としてはプラスになります。符号を自分で変えないようにしましょう。
  • sin から角を 1 つだけ答える:sin⁡B=12\sin B=\dfrac12 なら B=30∘B=30^\circ も 150∘150^\circ もありえます。角の和が 180∘180^\circ をこえないかを確かめて、残る方を全部答えます。
  • cos から角を求めるのに sin を使う:3 辺から角を求めるなら、cos⁡\cos を使うと角が 1 つに決まります(0∘0^\circ〜180∘180^\circ で cos⁡\cos の値と角は 1 対 1)。

ことばの由来

正弦は sin(サイン)、余弦は cos(コサイン)の日本語名です。それぞれの値を使った定理なので、正弦定理・余弦定理とよびます。余弦の「余」は余角(たして 90∘90^\circ になる角)のことで、cos⁡θ=sin⁡(90∘−θ)\cos\theta=\sin(90^\circ-\theta)、つまり「余角の正弦」という意味です。英語では law of sines・law of cosines などとよびます。

ミニ問題

問題1 △ABC\triangle ABC で A=30∘A=30^\circ、a=4a=4 です。外接円の半径 RR を求めましょう。

答えと解き方を見る

R=4R=4 です。正弦定理より 2R=asin⁡A=412=82R=\dfrac{a}{\sin A}=\dfrac{4}{\frac12}=8。2R=82R=8 なので R=4R=4 です。「R=8R=8」と答えるまちがいが多いので注意しましょう。

問題2 △ABC\triangle ABC で b=2b=2、c=3c=3、A=60∘A=60^\circ です。aa を求めましょう。

答えと解き方を見る

a=7a=\sqrt7 です。余弦定理より a2=22+32−2⋅2⋅3cos⁡60∘=4+9−6=7a^2=2^2+3^2-2\cdot2\cdot3\cos60^\circ=4+9-6=7。a>0a>0 なので a=7a=\sqrt7 です。

問題3 △ABC\triangle ABC で a=2a=\sqrt2、b=3b=\sqrt3、A=45∘A=45^\circ です。BB を求めましょう。

答えと解き方を見る

B=60∘B=60^\circ または B=120∘B=120^\circ です。

  1. 正弦定理より sin⁡B=bsin⁡Aa=3⋅222=32\sin B=\dfrac{b\sin A}{a}=\dfrac{\sqrt3\cdot\frac{\sqrt2}2}{\sqrt2}=\dfrac{\sqrt3}2。
  2. 0∘<B<180∘0^\circ<B<180^\circ で sin⁡B=32\sin B=\dfrac{\sqrt3}2 となるのは 60∘60^\circ と 120∘120^\circ。
  3. どちらも A+B<180∘A+B<180^\circ(45∘+120∘=165∘45^\circ+120^\circ=165^\circ)なので、両方とも三角形ができる。

サインから角を求めるときは、鋭角と鈍角の 2 つの候補を必ず考えます。

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よくある質問

正弦定理とは簡単にいうと何ですか?

三角形の辺の長さが、向かい合う角の sin に比例するという定理です。a÷sinA = b÷sinB = c÷sinC = 2R(Rは外接円の半径)と表します。

余弦定理とは簡単にいうと何ですか?

2辺とその間の角から、残りの辺の長さを求める定理です。a² = b² + c² − 2bc cosA と表し、Aが90°なら三平方の定理になります。

正弦定理と余弦定理の使い分けは?

1辺と2つの角がわかるときは正弦定理、2辺とその間の角や3辺がわかるときは余弦定理を使います。

正弦定理で角を求めると答えが2つになるのはなぜですか?

sinの値が同じになる角は、0°から180°の間に鋭角と鈍角の2つあるからです。角の和が180°をこえないかを確かめて答えます。

余弦定理で角を求めるにはどうしますか?

cosA = (b² + c² − a²) ÷ 2bc の形に直して cosA を求めます。cosの値から、0°から180°の間で角が1つに決まります。

正弦定理・余弦定理は何年生で習いますか?

高校の数学Ⅰ「図形と計量」で習います。

出典・参考

  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編」数学Ⅰ(図形と計量)

最終更新:2026年10月13日/作成:大学受験合格大作戦