「口遊む」読めますか?難しいけど読めてしまう漢字|古文の「すさぶ」「遊び」と古文の難読語20問

この記事の結論

  • 「口遊む」は、多くの人がふだん使っている動詞を漢字で書いたものです。「遊」を常用漢字表にない読み(表外読み)で読むので、難しく見えますが、読み方がわかると「なんだ」と思うはずです。答えは下の「答えを見る」を押すと開きます
  • 「遊む」は、古文で「気の向くままに〜する・慰みに〜する」という意味の言葉です。古文の「遊び」も、子どもの遊びではなく詩歌・管弦(音楽)などを楽しむことを指します
口遊む

前回の

読めましたでしょうか?苦戦した人も多かったようです。

読めない漢字ばかりだと楽しくありません。今回は難しいけど、読めてしまう漢字です。多くの人が正解するのでは!?

この記事の漢字は「漢字合格大作戦」で1字ずつ調べられます

「口」「遊」「荒」「吟」「詠」のような1字の書き順・音読み・訓読み・漢検の級は「漢字合格大作戦」(常用漢字2136字)で確かめられます。級ごとの一覧は漢検10級〜漢検2級、ふだん使わない読みは高校で習う読みへ。

「口遊む」の読み方クイズ:難しいけど、読めてしまう漢字

難しいけど、読めてしまう漢字。古文によく出る漢字。

「口遊む」

です。

問題:何と読むでしょう? 口 遊 む ヒント:ふだん使っている動詞(ひらがな5文字) 好きな曲を、ついこうしてしまうことがありますね
問題:「口遊む」は何と読むでしょう?(答えは下の「答えを見る」で)
  • ヒント1(2026年の追加):ひらがなで5文字の動詞です。今も毎日のように使われています。
  • ヒント2(2026年の追加):好きな歌を、だれに聞かせるでもなく小さな声で歌うことです。
  • ヒント3(2026年の追加):「口」はそのまま「くち」と読みます。むずかしいのは「遊む」のほうです。

答え(押すと開きます)

「口遊む」の答えを見る

正解は

「くちずさむ」と読みます。

(元の記事ではアンケートにもご協力をお願いしていました。投票の部品は今は動いていないため外しました。)

口遊むの意味: 詩や歌などを思いつくままに口にしたり歌ったりする。(古文でよく出てくる。)

「口ずさむ」とかなまじりで書くのがふつうですが、漢字で書くと「口遊む」になります。

さて、読めましたか? 「なんだ、あの言葉か」と思った人が多いはずです。読めなかった人も心配いりません。ここから下で、なぜこう読むのかを順番に説明します。

※ここから下は答えが出てきます。

「口遊む」の意味:受験生は覚えておこう!

元の記事では「受験生は覚えておこう!」として、次のように紹介しました。

口遊むの意味: 詩や歌などを思いつくままに口にしたり歌ったりする。「遊む」だけで「詩歌などを吟ずる」意味がある。(古文でよく出てくる。)

国語辞典の説明をまとめると、「口遊む(くちずさむ)」には次の2つの意味があります。

意味例
① ふつうの意味詩や歌などを、思いつくままに口にしたり歌ったりする好きな歌を口遊む/和歌を口遊む
② 古い使い方思いつくまま話の種にする。うわさをする江戸時代の本に「噂を口ずさむ」の形で出てくる

今ふつうに使うのは①です。「歌う」と似ていますが、「口ずさむ」は人に聞かせるためではなく、思いつくままに軽く口に出すところがポイントです。ステージで歌うのは「歌う」、歩きながら小さな声で鼻歌のように歌うのが「口ずさむ」です。

「遊む」だけで「吟ずる」の意味?(元の記事の説明を直しました)

元の記事では「「遊む」だけで「詩歌などを吟ずる」意味がある」と書いていました。今回あらためて国語辞典で確かめると、「遊む(すさむ)」の意味は「気の向くままに何かをする」「慰みにする」で、「詩歌を吟ずる」という意味が「遊む」1語にあるわけではありませんでした。「口」と組み合わさって「くちずさむ(気の向くままに口に出す)」になったときに、詩歌を口にする意味になる、と考えるのが正確です。元の記事の説明を直しました。

「口遊む」のしくみ 口 くち 声や歌が出るところ + 遊む すさむ 気の向くまま 何かをする (古語。慰みに〜する) くち+ずさむ 「す」が濁って「ず」に(連濁)。×くちづさむ
「口」+「遊む(すさむ:気の向くままにする)」→「くちずさむ」。「す」が濁って「ず」になる

かなで書くときの「づ」と「ず」

かなで書くときは、「口ずさむ」です。「口づさむ」と書くのはまちがいです。

理由は、もとの言葉が「すさむ」だからです。2つの言葉がくっつくと、後ろの言葉のはじめの音が濁ることがあります。これを連濁(れんだく)といいます。「山+寺→やまでら」「本+棚→ほんだな」と同じしくみで、「くち+すさむ」の「す」が濁って「ず」になりました。もとが「す」なので、かなは「ず」です。

「つ」が濁る「づ」を使うのは、「三日月(みかづき)」のように、もとの言葉が「つ」で始まるときです(「つき」→「づき」)。言葉のもとの形を知っていると、かなの書き分けにも強くなります。

「遊」のこの読み方は常用漢字表にない

「遊」の読み方 遊 ユウ 音読み 遊園地・遊泳・回遊 常用漢字表 ユ 音読み 遊山(ゆさん) 常用漢字表 あそ(ぶ) 訓読み 外で遊ぶ・遊び心 常用漢字表 すさ(む) 訓読み 口遊む・遊む(古語) 表外読み 点線=常用漢字表にない読み。新聞などではふつう「口ずさむ」とかなで書く
「遊」の常用漢字表の読みはユウ・ユ・あそぶ。「すさむ」は表外読み
読み種類言葉の例常用漢字表
ユウ音読み遊園地・遊泳・回遊・遊説(ゆうぜい)あり
ユ音読み遊山(ゆさん)あり
あそ(ぶ)訓読み遊ぶ・遊び心あり
すさ(む)・すさ(ぶ)訓読み口遊む・遊む・遊ぶ(すさぶ)なし(表外読み)

「遊」は小学3年で習う字です。「ユウ」「ユ」「あそぶ」の読みは誰でも知っていますが、「すさむ」は常用漢字表にない読み(表外読み)です。だから「口遊む」と書かれると、急に読めなくなるわけです。

国語辞典では、表外読みの漢字に印をつけて「口▽遊む」のように示しているものもあります。新聞やテレビのニュースで「口ずさむ」とかなまじりで書くのはこのためです。

「遊」の音読み「ユ」も、ふだんはあまり見かけません。「物見遊山(ものみゆさん)」は「見物して遊び歩くこと」です。「遊説」は「ゆうせつ」ではなく「ゆうぜい」と読みます。どれも読み問題で出やすい言葉です。「遊」の書き順・読み・漢検の級は漢字合格大作戦の「遊」のページで確かめられます。

古文の「遊」の動詞:遊ぶ?荒む?

「口遊む」の「遊む(すさむ)」は、もとは「すさぶ」という言葉が変化したものです。この「すさぶ」「すさむ」には、漢字で「遊ぶ・遊む」と書く使い方と、「荒ぶ・荒む」と書く使い方があります。

「すさぶ」「すさむ」の意味の広がり もとの意味 勢いのまま、どんどん進む 古文:遊ぶ・遊む 気の向くままにする 慰みにする 筆のすさび(気ままに書く) 口ずさむ(気ままに口に) 現代語:荒ぶ・荒む 心や生活が荒れる ゆとりがなくなる 心が荒む・生活が荒む 吹き荒ぶ風(勢いが増す)
もとは「勢いのまま進む」。古文の「遊ぶ・遊む」は気の向くままにする、現代語の「荒ぶ・荒む」は心や生活が荒れる
書き方読みおもな意味例
遊ぶ・遊むすさぶ・すさむ気の向くままに何かをする。慰みにする(古文)筆のついでにすさびさせ給ふ(源氏物語)
荒ぶ・荒むすさぶ・すさむ心や生活が荒れる。ゆとりがなくなる(現代語)心が荒む/生活が荒む
荒ぶすさぶ雨や風の勢いが増す吹き荒ぶ風(ふきすさぶかぜ)

古文での使い方:『源氏物語』の用例

古文では、「すさぶ」「すさむ」は「気の向くままに〜する」の意味でよく出てきます。たとえば『源氏物語』の「絵合(えあわせ)」の巻には、絵のことを「筆のついでにすさびさせ給ふあだごと(筆のついでに気の向くままになさる、ちょっとした慰みごと)」と言う場面があります。

ほかの動詞の下について使われることも多く、「書きすさむ(気の向くままに書く)」のような形にもなります。名詞の形は「すさび」で、「筆のすさび(興にまかせて書くこと・書いたもの)」「手すさび(手なぐさみ)」のように、今も少しかたい文章で使われます。

反対に、現代語でよく使うのは「心が荒む」「生活が荒む」のほうです。同じ「すさむ」でも、古文の「遊む」と現代語の「荒む」では意味がほぼ反対の雰囲気になります。古文で「すさむ」が出てきたら、「荒れる」と決めつけず、「気の向くままに〜する」の意味を思い出しましょう。

古文の動詞の活用(参考)

国語辞典の説明では、「すさぶ」は奈良時代には上二段活用で、平安時代ごろから四段活用でも使われるようになり、のちに「すさむ」に移っていったと考えられています。また、「すさむ」には下二段活用の使い方もあります。たとえば『古今和歌集』の「山たかみ人もすさめぬさくら花(山が高いので、だれも心にとめて愛でない桜の花)」の「すさめ」は下二段活用で、「心にとめて愛する」という意味です。

活用の種類(四段・上二段・下二段)の見分け方は、古文文法辞典の「四段活用」「下二段活用」と「動詞の活用」のページでくわしく説明しています。

古文の「遊び」は詩歌・管弦のこと

「遊」の字を使った古文の言葉で、受験生がまず覚えておきたいのが「遊び」です。古文の「遊び」は、子どもの遊びではありません。

古文の「遊び」=貴族のたしなみを楽しむこと 詩歌 しいか 和歌や漢詩を詠む 管弦 かんげん 笛・琴・琵琶を演奏 舞 まい 音楽に合わせて舞う 狩り かり 鷹狩りなどを楽しむ 『枕草子』「遊びは夜。人の顔見えぬほど」の「遊び」も、この意味
古文の「遊び」は、詩歌・管弦・舞・狩りなど、貴族のたしなみを楽しむこと

国語辞典では、古文の「遊び」は「詩歌・音楽・舞い・狩猟などを楽しむこと」と説明されています。特によく出るのは管弦(かんげん:笛・琴・琵琶などの演奏)の意味です。『枕草子』には「遊びは夜。人の顔見えぬほど」という段があり、ここの「遊び」も音楽の演奏のことです。夜、人の顔が見えないくらいの暗さの中で聞く演奏がよい、という清少納言の好みが書かれています。

動詞の「遊ぶ」も同じで、古文で「遊ぶ」とあれば、多くは「詩歌・管弦を楽しむ」という意味です。現代語と同じ字・同じ形なのに意味がちがう言葉は古今異義語とよばれ、入試の現代語訳で必ずといってよいほどねらわれます。古今異義語の一覧は古文文法辞典の「現代語と意味がちがう古語」にまとめています。

うかるくん

うかるくん

古文に「夜もすがら遊ぶ」と出てきたら、一晩じゅう遊んでいた、と訳せばいいんですか?

合格先生

合格先生

「遊ぶ」と訳すと点はもらえないよ。古文の「遊ぶ」は詩歌や管弦を楽しむこと。たとえば「一晩じゅう管弦の演奏を楽しんだ」のように、何をして楽しんだのかがわかるように訳そう。前後に笛や琴が出てきたら、管弦の意味でまちがいない。

うかるくん

うかるくん

「口遊む」も「遊ぶ」も、歌や音楽につながっているんですね。

「口遊む」の類語:吟ずる・詠ずる・うそぶく・そらんじる

歌や詩を口にすることを表す言葉は、ほかにもたくさんあります。どれも古文や漢文、評論文に出てくる言葉です。

歌や詩を「口にする」ことばの仲間 軽く・なんとなく しっかり・声高らかに 口ずさむ くちずさむ 思いつくまま軽く うそぶく 嘯く 小声で吟じる(古語) 吟ずる ぎんずる 節をつけてうたう 詠ずる えいずる 詩歌を声に出す・作る 朗詠 ろうえい 声高らかにうたう そらんじる 諳んじる 何も見ずに言える
軽く口にする「口ずさむ」「うそぶく」から、しっかりうたう「吟ずる」「詠ずる」「朗詠」、何も見ずに言える「そらんじる」まで
言葉読み意味ひとこと
口ずさむ(口遊む)くちずさむ詩歌を思いつくまま口にするいちばん軽い言い方
嘯くうそぶく古語で、詩歌を小声で吟じる。今は「とぼける・大きなことを言う」現代語と古語で意味がちがう
吟ずるぎんずる詩歌に節をつけてうたう「詩吟」の「吟」
詠ずるえいずる詩歌を声に出してうたう。詩歌を作る「和歌を詠む」の「詠」
朗詠ろうえい詩歌を声高らかにうたう『和漢朗詠集』の「朗詠」
諳んじるそらんじる書いたものを見ないで言えるように覚える百人一首を諳んじる

「嘯く(うそぶく)」は古語と現代語で意味がちがう

特に注意したいのが「嘯く(うそぶく)」です。今の「うそぶく」は「知らないふりをしてとぼける」「大きなことを言う」という意味で使います。ところが古語では、「口をすぼめて息を吐く・口笛を吹く」「詩歌を小声で吟じる」という意味がありました。『竹取物語』にも、笛を吹く人たちと並んで「うそぶき」をする人が出てきます。

「嘯」は常用漢字外の字です。「うそをつく」の「うそ」とは別の言葉なので、「うそぶく=うそを言う」と覚えるのは不正確です。

「吟」「詠」「唱」の字

「吟」「詠」「唱」はどれも常用漢字で、声を出して歌や詩を口にする意味の字です。「吟味(ぎんみ:よく調べる)」の「吟」、「詠嘆(えいたん:感動を声に出す)」の「詠」、「暗唱(あんしょう:見ないで言う)」の「唱」のように、熟語でもよく使います。古文で和歌を作ることは「詠む(よむ)」と言います。百人一首の歌も「詠まれた」歌です。

人差し指を立てて説明する合格先生

合格先生

「口ずさむ」は軽く、「吟ずる」はしっかり、「諳んじる」は何も見ずに。声の出し方のちがいで並べると、似た言葉もすっきり覚えられるよ。

平安時代の教科書『口遊』と九九

「口遊」と書いて「くちずさみ」と読む、平安時代の本があります。970年(天禄元年)に源為憲(みなもとのためのり)がまとめた『口遊』です。

平安時代の教科書『口遊(くちずさみ)』 口 遊 970年 源為憲(みなもとのためのり) 声に出して覚える教科書 貴族の子どもが暗唱しやすいように 九九(かけ算) 「九九八十一」から始まる形でのっている たゐにの歌 かなを覚えるための歌(いろは歌の仲間) 「口ずさんで覚える」から『口遊』
源為憲『口遊(くちずさみ)』(970年)。九九や「たゐにの歌」をのせた、声に出して覚える教科書

『口遊』は、貴族の子ども(のちの藤原誠信)のために作られた教科書です。天文・季節・官職など、知っておくべき知識を19の部門に分け、口に出して暗唱しやすいようにまとめてあります。まさに「口ずさんで覚える本」なので、『口遊』という名前がついているわけです。

この本には、かけ算の九九がのっています。今の九九は「一一が一(いんいちがいち)」から始めますが、『口遊』の九九は「九九八十一」から始まる形でした。「九九」という名前も、九の段の「九九」から始まったことに由来するといわれます。九九が「一一の一」から始まるようになったのは、ずっとあとの時代です。

また、かなを覚えるための「たゐにの歌」(「大為爾伊天…」と万葉がなで書かれた歌)も『口遊』にのっています。今残っているたゐにの歌の資料は『口遊』だけだとされます。いろは歌と同じように、かなを1回ずつ使って作った歌の仲間です。

九九も、かなの歌も、声に出してリズムで覚えるのが昔からのやり方だった、ということがわかります。今の受験勉強でも、英単語・古文単語・百人一首・年号のゴロあわせなど、口に出して覚えるやり方はとても有効です。小学生の計算の土台については「小学生にお勧めの算数ドリル」、声に出す暗記と復習の間隔については「エビングハウスの忘却曲線」の記事もどうぞ。

古文によく出る漢字:読めそうで読めない古語20問

「口遊む」のように、古文によく出てくるのに、漢字で書くと読めない言葉はたくさんあります。古文の文章は、ひらがなで書かれていることも多いのですが、問題文や注、現代語訳では漢字で出てきます。読めないと意味もとれません。

ここでは、入試の古文によく出る言葉を20問集めました。まずは自分で読んでみてください。読みと意味は、下の「答えを見る」を押すと開きます。

古文によく出る難読語20:4つの仲間 人・身分 上達部殿上人受領童 住まい・衣服 御簾几帳前栽直衣 行事・習慣 物忌方違へ除目行幸宿直 恋・気持ち・時 懸想後朝有明徒然現験消息 読みと意味は下の「答えを見る」で
古文の難読語20問を「人・身分」「住まい・衣服」「行事・習慣」「恋・気持ち・時」の4つに分けた図
番号問題仲間
1上達部人・身分
2殿上人人・身分
3受領人・身分
4童人・身分
5御簾住まい・衣服
6几帳住まい・衣服
7前栽住まい・衣服
8直衣住まい・衣服
9物忌行事・習慣
10方違へ行事・習慣
11除目行事・習慣
12行幸行事・習慣
13宿直行事・習慣
14懸想恋・気持ち・時
15後朝恋・気持ち・時
16有明恋・気持ち・時
17徒然恋・気持ち・時
18現恋・気持ち・時
19験恋・気持ち・時
20消息恋・気持ち・時
20問の答え(読み・意味)を見る
番号問題歴史的仮名遣い読み(現代仮名遣い)意味
1上達部かんだちめかんだちめ大臣・大納言など、三位以上の位の高い貴族(公卿)
2殿上人てんじやうびとてんじょうびと清涼殿の「殿上の間」に上がることを許された人
3受領ずりやうずりょう地方の国に行って政治をする長官(国司)
4童わらはわらわ子ども。貴族の家に仕える子ども
5御簾みすみす部屋の境や縁側にかける、すだれ
6几帳きちやうきちょう布を垂らした、持ち運べる仕切り
7前栽せんざいせんざい庭先の植え込み。草花を植えた所
8直衣なほしのうし貴族の男性のふだん着
9物忌ものいみものいみ悪いことをさけるため、家にこもってつつしむこと
10方違へかたたがへかたたがえ悪い方角をさけ、いったん別の所に泊まってから行くこと
11除目ぢもくじもく大臣以外の官職を任命する儀式
12行幸みゆき(ぎやうかう)みゆき(ぎょうこう)天皇のおでかけ
13宿直とのゐとのい宮中などに泊まりこんで勤めたり守ったりすること
14懸想けさうけそう異性を恋しく思うこと。恋
15後朝きぬぎぬきぬぎぬ一夜を共にした男女が、翌朝別れること
16有明ありあけありあけ月が空に残ったまま夜が明けること。その月
17徒然つれづれつれづれすることがなく退屈なこと。ひまなこと
18現うつつうつつ現実。目がさめている状態(夢の反対)
19験しるししるしききめ。祈りなどのご利益
20消息せうそこしょうそこ手紙。訪問して来意を伝えること

「歴史的仮名遣い」は古文の中での書き方、「読み(現代仮名遣い)」は今の読み方です。たとえば「消息」は古文では「せうそこ」と書き、「しょうそこ」と読みます。歴史的仮名遣いの読み方のきまりは古文文法辞典の「歴史的仮名遣いの読み方」で確かめましょう。

20問の覚え方のポイント・読みまちがい・先生との会話を見る(答えにふれます)

20問の覚え方のポイント

答えを確かめたら、仲間ごとにポイントを押さえましょう(ここから下は答えにふれます)。

  • 人・身分:「上達部(かんだちめ)」と「殿上人(てんじょうびと)」は、身分の高さの順で覚えます。上達部は三位以上(と参議)の貴族(公卿)、殿上人は清涼殿に上がれる人です。「受領(ずりょう)」は地方の長官、「童(わらわ)」は子どもです。身分のしくみは古文文法辞典の「官職と身分」にまとめています。
  • 住まい・衣服:「御簾(みす)」と「几帳(きちょう)」は、平安時代の貴族の家で人の目をさえぎる道具です。物語では、御簾や几帳ごしに話す場面がよく出ます。「前栽(せんざい)」は庭の植え込み、「直衣(のうし)」は男性のふだん着です。
  • 行事・習慣:「物忌(ものいみ)」と「方違へ(かたたがえ)」は、悪いことをさけるための習慣です。「除目(じもく)」は人事の儀式、「行幸(みゆき)」は天皇のおでかけ、「宿直(とのい)」は宮中での泊まりの勤めです。古文の生活のきまりは「古文常識(住まい・恋と結婚・物忌み)」で図とともに説明しています。
  • 恋・気持ち・時:「懸想(けそう)」は恋、「後朝(きぬぎぬ)」は一夜を過ごした翌朝の別れです。「有明(ありあけ)」は夜明けに残る月で、百人一首にもよく出ます。「徒然(つれづれ)」は『徒然草』の題にもなった言葉、「現(うつつ)」は現実、「験(しるし)」はききめ、「消息(しょうそこ)」は手紙です。時刻や月の呼び方は「旧暦・季節・時刻」へ。

「有明」は、百人一首の壬生忠岑(みぶのただみね)の歌「有明のつれなく見えし別れより」や、後徳大寺左大臣(藤原実定)の歌「ほととぎす鳴きつる方をながむれば」に出てきます。百人一首を口ずさんで覚えておくと、古文の言葉も一緒に身につきます(百人一首 全百首・百人一首クイズ)。

よくある読みまちがい

  • 直衣:×ちょくい → ○のうし(歴史的仮名遣いは「なほし」)。
  • 受領:×じゅりょう → 古文では○ずりょう。今の「受領証(じゅりょうしょう)」とは読みがちがいます。
  • 消息:今は「しょうそく(様子・知らせ)」と読みますが、古文では○しょうそこ(手紙)。
  • 行幸:○みゆき・○ぎょうこう。どちらの読みもあります。
  • 後朝:×こうちょう → ○きぬぎぬ。脱いだ衣(きぬ)をそれぞれ着て別れる、という言葉から来たとされます。
サクラちゃん

サクラちゃん

古文単語って、読めても意味がわからないし、意味がわかっても読めないし……。どう覚えたらいいですか?

合格先生

合格先生

単語帳で覚えるのはもちろん大事。そのうえで、漢字・読み・意味・場面の4つをセットにしよう。たとえば「後朝(きぬぎぬ)」なら、「恋の歌や物語で、夜明けに男性が帰っていく場面」まで思いうかべる。場面がわかると、読みも意味も忘れにくいよ。

サクラちゃん

サクラちゃん

「口遊む」も「歌を思いつくまま口にする場面」で覚えます!

古文の漢字・古語の勉強法

「口遊む」のような言葉を確実に身につけるための勉強法をまとめます。

  1. 読めなかった言葉だけを集める:全部をノートに書く必要はありません。読めなかった言葉・意味をまちがえた言葉だけを、カードやノートに集めます。
  2. 漢字・読み・意味・例をセットで書く:「口遊む/くちずさむ/詩や歌を思いつくまま口にする/好きな歌を口遊む」のように4つをそろえます。古語なら歴史的仮名遣いも書いておきます。
  3. 声に出して読む:『口遊』の時代から、声に出す暗記は基本です。歩きながら、通学の電車の中で小さく口ずさむだけでも効果があります。
  4. 現代語とのちがいに印をつける:「遊び(管弦)」「うそぶく(吟じる)」「遊ぶ(すさぶ)」のように、今の意味とちがう言葉には印をつけて、くり返し見直します。
  5. 本文の中で出会い直す:単語だけで覚えたら、問題集や過去問の古文の文章の中で、もう一度その言葉に出会うようにします。文の中で読めると、本当に身についたといえます。

京都大学(京大)の国語のように、古文の現代語訳や説明を書かせる大学では、こうした言葉の正確な意味が点数に直結します。京大の古文・漢文の勉強法は「京大受験国語(文語文)の勉強法」、理系の受験生の国語は「理系なのに国語が要る:京大理系の国語」、古典全体の見取り図は「古典と古文の違いとは?漢文との関係」へ。共通テストの古文文法は「共通テストの古文文法」、2次試験の記述は「国公立二次・難関私大の古文文法」で確かめましょう。

ひらめいたサクラちゃん

サクラちゃん

「口遊む」は「口+遊む(気の向くままにする)」。古文の「遊び」は管弦のこと。ひとつの漢字から、古文の言葉がいろいろつながるんだね!

読めそうで読めない漢字シリーズ

難しい漢字の読みは、合格大作戦の「読めそうで読めない漢字」シリーズでも練習できます。

1語ずつ読み・意味・由来を説明した記事には、「杜撰(ずさん)の読み方・意味・由来」「祭祀(さいし)の読み方と意味」「いびつ(歪)の意味と語源」があります。辞書の使い分けは「電子辞書と紙の辞書の使い分け」、国語の勉強の入口は国語まとめ、古文の文法は古文文法辞典へ。わからない言葉や勉強の悩みがあれば「受験の質問・相談」でどうぞ。

書き順・読み・漢検の級は「漢字合格大作戦」で

「口」「遊」「荒」「吟」「詠」のような1字の書き順・音読み・訓読み・漢検の級は「漢字合格大作戦」(常用漢字2136字)で確かめられます。級ごとの一覧は漢検10級〜漢検2級、ふだん使わない読みは高校で習う読みへ。

よくある質問

「口遊む」の読み方は?

「くちずさむ」と読みます。ふつうは「口ずさむ」とかなまじりで書きます。「遊」を「すさむ」と読むのは常用漢字表にない読み(表外読み)です。

「口ずさむ」の意味は?

詩や歌などを、思いつくままに口にしたり歌ったりすることです。古くは、思いつくまま話の種にする、うわさをするという意味でも使われました。

「くちずさむ」と「くちづさむ」はどちらが正しい?

「くちずさむ」が正しい書き方です。もとの言葉が「すさむ」で、「す」が濁って「ず」になったものだからです。

古文の「すさぶ」「すさむ」の意味は?

「遊ぶ」「遊む」と書く古文の使い方では、気の向くままに何かをする、慰みにするという意味です。現代語の「荒む」は、心や生活が荒れるという意味で使います。

古文の「遊び」とはどういう意味?

詩歌・音楽・舞い・狩猟などを楽しむことで、特に管弦(笛や琴などの演奏)を指すことが多い言葉です。子どもの遊びの意味ではありません。

あわせて読みたい

出典・参考

  • 元の本文(問題「口遊む」・答え・「受験生は覚えておこう!」の意味の説明)と写真:2014年5月の元の記事(大学受験合格大作戦)。投票の部品(blog.with2.net)は外した
  • 「口遊む(くちずさむ)」の意味・『枕草子』の「くちずさみつつ」の用例、「遊む・荒む(すさむ)」「遊ぶ・荒ぶ(すさぶ)」の意味と活用、「筆のすさび」、「嘯く」、「遊び」(『枕草子』「遊びは夜」):デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典(コトバンク)の説明の範囲
  • 元の記事の「「遊む」だけで「詩歌などを吟ずる」意味がある」は、辞書の「遊む=気の向くままに〜する・慰みにする」に合わせて直した
  • 『口遊(くちずさみ)』(源為憲、970年、九九・たゐにの歌):デジタル大辞泉・百科事典マイペディア・世界大百科事典・ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典(コトバンク)の説明の範囲
  • 「遊」の常用漢字表の読み(ユウ・ユ・あそぶ):常用漢字表(2010年)、漢字合格大作戦の「遊」のページ
  • 古文の難読語20問の読み・意味:古語辞典で広く知られる範囲

最終更新:2026年10月23日/作成:大学受験合格大作戦

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