
この記事の結論
- 「口遊む」は、多くの人がふだん使っている動詞を漢字で書いたものです。「遊」を常用漢字表にない読み(表外読み)で読むので、難しく見えますが、読み方がわかると「なんだ」と思うはずです。答えは下の「答えを見る」を押すと開きます
- 「遊む」は、古文で「気の向くままに〜する・慰みに〜する」という意味の言葉です。古文の「遊び」も、子どもの遊びではなく詩歌・管弦(音楽)などを楽しむことを指します

前回の
読めましたでしょうか?苦戦した人も多かったようです。
読めない漢字ばかりだと楽しくありません。今回は難しいけど、読めてしまう漢字です。多くの人が正解するのでは!?
この記事の漢字は「漢字合格大作戦」で1字ずつ調べられます
「口」「遊」「荒」「吟」「詠」のような1字の書き順・音読み・訓読み・漢検の級は「漢字合格大作戦」(常用漢字2136字)で確かめられます。級ごとの一覧は漢検10級〜漢検2級、ふだん使わない読みは高校で習う読みへ。
「口遊む」の読み方クイズ:難しいけど、読めてしまう漢字
難しいけど、読めてしまう漢字。古文によく出る漢字。
「口遊む」
です。
- ヒント1(2026年の追加):ひらがなで5文字の動詞です。今も毎日のように使われています。
- ヒント2(2026年の追加):好きな歌を、だれに聞かせるでもなく小さな声で歌うことです。
- ヒント3(2026年の追加):「口」はそのまま「くち」と読みます。むずかしいのは「遊む」のほうです。
答え(押すと開きます)
「口遊む」の答えを見る
正解は
「くちずさむ」と読みます。
(元の記事ではアンケートにもご協力をお願いしていました。投票の部品は今は動いていないため外しました。)
口遊むの意味: 詩や歌などを思いつくままに口にしたり歌ったりする。(古文でよく出てくる。)
「口ずさむ」とかなまじりで書くのがふつうですが、漢字で書くと「口遊む」になります。
さて、読めましたか? 「なんだ、あの言葉か」と思った人が多いはずです。読めなかった人も心配いりません。ここから下で、なぜこう読むのかを順番に説明します。
※ここから下は答えが出てきます。
「口遊む」の意味:受験生は覚えておこう!
元の記事では「受験生は覚えておこう!」として、次のように紹介しました。
口遊むの意味: 詩や歌などを思いつくままに口にしたり歌ったりする。「遊む」だけで「詩歌などを吟ずる」意味がある。(古文でよく出てくる。)
国語辞典の説明をまとめると、「口遊む(くちずさむ)」には次の2つの意味があります。
| 意味 | 例 | |
|---|---|---|
| ① ふつうの意味 | 詩や歌などを、思いつくままに口にしたり歌ったりする | 好きな歌を口遊む/和歌を口遊む |
| ② 古い使い方 | 思いつくまま話の種にする。うわさをする | 江戸時代の本に「噂を口ずさむ」の形で出てくる |
今ふつうに使うのは①です。「歌う」と似ていますが、「口ずさむ」は人に聞かせるためではなく、思いつくままに軽く口に出すところがポイントです。ステージで歌うのは「歌う」、歩きながら小さな声で鼻歌のように歌うのが「口ずさむ」です。
「遊む」だけで「吟ずる」の意味?(元の記事の説明を直しました)
元の記事では「「遊む」だけで「詩歌などを吟ずる」意味がある」と書いていました。今回あらためて国語辞典で確かめると、「遊む(すさむ)」の意味は「気の向くままに何かをする」「慰みにする」で、「詩歌を吟ずる」という意味が「遊む」1語にあるわけではありませんでした。「口」と組み合わさって「くちずさむ(気の向くままに口に出す)」になったときに、詩歌を口にする意味になる、と考えるのが正確です。元の記事の説明を直しました。
かなで書くときの「づ」と「ず」
かなで書くときは、「口ずさむ」です。「口づさむ」と書くのはまちがいです。
理由は、もとの言葉が「すさむ」だからです。2つの言葉がくっつくと、後ろの言葉のはじめの音が濁ることがあります。これを連濁(れんだく)といいます。「山+寺→やまでら」「本+棚→ほんだな」と同じしくみで、「くち+すさむ」の「す」が濁って「ず」になりました。もとが「す」なので、かなは「ず」です。
「つ」が濁る「づ」を使うのは、「三日月(みかづき)」のように、もとの言葉が「つ」で始まるときです(「つき」→「づき」)。言葉のもとの形を知っていると、かなの書き分けにも強くなります。
「遊」のこの読み方は常用漢字表にない
| 読み | 種類 | 言葉の例 | 常用漢字表 |
|---|---|---|---|
| ユウ | 音読み | 遊園地・遊泳・回遊・遊説(ゆうぜい) | あり |
| ユ | 音読み | 遊山(ゆさん) | あり |
| あそ(ぶ) | 訓読み | 遊ぶ・遊び心 | あり |
| すさ(む)・すさ(ぶ) | 訓読み | 口遊む・遊む・遊ぶ(すさぶ) | なし(表外読み) |
「遊」は小学3年で習う字です。「ユウ」「ユ」「あそぶ」の読みは誰でも知っていますが、「すさむ」は常用漢字表にない読み(表外読み)です。だから「口遊む」と書かれると、急に読めなくなるわけです。
国語辞典では、表外読みの漢字に印をつけて「口▽遊む」のように示しているものもあります。新聞やテレビのニュースで「口ずさむ」とかなまじりで書くのはこのためです。
「遊」の音読み「ユ」も、ふだんはあまり見かけません。「物見遊山(ものみゆさん)」は「見物して遊び歩くこと」です。「遊説」は「ゆうせつ」ではなく「ゆうぜい」と読みます。どれも読み問題で出やすい言葉です。「遊」の書き順・読み・漢検の級は漢字合格大作戦の「遊」のページで確かめられます。
古文の「遊」の動詞:遊ぶ?荒む?
「口遊む」の「遊む(すさむ)」は、もとは「すさぶ」という言葉が変化したものです。この「すさぶ」「すさむ」には、漢字で「遊ぶ・遊む」と書く使い方と、「荒ぶ・荒む」と書く使い方があります。
| 書き方 | 読み | おもな意味 | 例 |
|---|---|---|---|
| 遊ぶ・遊む | すさぶ・すさむ | 気の向くままに何かをする。慰みにする(古文) | 筆のついでにすさびさせ給ふ(源氏物語) |
| 荒ぶ・荒む | すさぶ・すさむ | 心や生活が荒れる。ゆとりがなくなる(現代語) | 心が荒む/生活が荒む |
| 荒ぶ | すさぶ | 雨や風の勢いが増す | 吹き荒ぶ風(ふきすさぶかぜ) |
古文での使い方:『源氏物語』の用例
古文では、「すさぶ」「すさむ」は「気の向くままに〜する」の意味でよく出てきます。たとえば『源氏物語』の「絵合(えあわせ)」の巻には、絵のことを「筆のついでにすさびさせ給ふあだごと(筆のついでに気の向くままになさる、ちょっとした慰みごと)」と言う場面があります。
ほかの動詞の下について使われることも多く、「書きすさむ(気の向くままに書く)」のような形にもなります。名詞の形は「すさび」で、「筆のすさび(興にまかせて書くこと・書いたもの)」「手すさび(手なぐさみ)」のように、今も少しかたい文章で使われます。
反対に、現代語でよく使うのは「心が荒む」「生活が荒む」のほうです。同じ「すさむ」でも、古文の「遊む」と現代語の「荒む」では意味がほぼ反対の雰囲気になります。古文で「すさむ」が出てきたら、「荒れる」と決めつけず、「気の向くままに〜する」の意味を思い出しましょう。
古文の動詞の活用(参考)
国語辞典の説明では、「すさぶ」は奈良時代には上二段活用で、平安時代ごろから四段活用でも使われるようになり、のちに「すさむ」に移っていったと考えられています。また、「すさむ」には下二段活用の使い方もあります。たとえば『古今和歌集』の「山たかみ人もすさめぬさくら花(山が高いので、だれも心にとめて愛でない桜の花)」の「すさめ」は下二段活用で、「心にとめて愛する」という意味です。
活用の種類(四段・上二段・下二段)の見分け方は、古文文法辞典の「四段活用」「下二段活用」と「動詞の活用」のページでくわしく説明しています。
古文の「遊び」は詩歌・管弦のこと
「遊」の字を使った古文の言葉で、受験生がまず覚えておきたいのが「遊び」です。古文の「遊び」は、子どもの遊びではありません。
国語辞典では、古文の「遊び」は「詩歌・音楽・舞い・狩猟などを楽しむこと」と説明されています。特によく出るのは管弦(かんげん:笛・琴・琵琶などの演奏)の意味です。『枕草子』には「遊びは夜。人の顔見えぬほど」という段があり、ここの「遊び」も音楽の演奏のことです。夜、人の顔が見えないくらいの暗さの中で聞く演奏がよい、という清少納言の好みが書かれています。
動詞の「遊ぶ」も同じで、古文で「遊ぶ」とあれば、多くは「詩歌・管弦を楽しむ」という意味です。現代語と同じ字・同じ形なのに意味がちがう言葉は古今異義語とよばれ、入試の現代語訳で必ずといってよいほどねらわれます。古今異義語の一覧は古文文法辞典の「現代語と意味がちがう古語」にまとめています。
うかるくん
古文に「夜もすがら遊ぶ」と出てきたら、一晩じゅう遊んでいた、と訳せばいいんですか?
合格先生
「遊ぶ」と訳すと点はもらえないよ。古文の「遊ぶ」は詩歌や管弦を楽しむこと。たとえば「一晩じゅう管弦の演奏を楽しんだ」のように、何をして楽しんだのかがわかるように訳そう。前後に笛や琴が出てきたら、管弦の意味でまちがいない。
うかるくん
「口遊む」も「遊ぶ」も、歌や音楽につながっているんですね。
「口遊む」の類語:吟ずる・詠ずる・うそぶく・そらんじる
歌や詩を口にすることを表す言葉は、ほかにもたくさんあります。どれも古文や漢文、評論文に出てくる言葉です。
| 言葉 | 読み | 意味 | ひとこと |
|---|---|---|---|
| 口ずさむ(口遊む) | くちずさむ | 詩歌を思いつくまま口にする | いちばん軽い言い方 |
| 嘯く | うそぶく | 古語で、詩歌を小声で吟じる。今は「とぼける・大きなことを言う」 | 現代語と古語で意味がちがう |
| 吟ずる | ぎんずる | 詩歌に節をつけてうたう | 「詩吟」の「吟」 |
| 詠ずる | えいずる | 詩歌を声に出してうたう。詩歌を作る | 「和歌を詠む」の「詠」 |
| 朗詠 | ろうえい | 詩歌を声高らかにうたう | 『和漢朗詠集』の「朗詠」 |
| 諳んじる | そらんじる | 書いたものを見ないで言えるように覚える | 百人一首を諳んじる |
「嘯く(うそぶく)」は古語と現代語で意味がちがう
特に注意したいのが「嘯く(うそぶく)」です。今の「うそぶく」は「知らないふりをしてとぼける」「大きなことを言う」という意味で使います。ところが古語では、「口をすぼめて息を吐く・口笛を吹く」「詩歌を小声で吟じる」という意味がありました。『竹取物語』にも、笛を吹く人たちと並んで「うそぶき」をする人が出てきます。
「嘯」は常用漢字外の字です。「うそをつく」の「うそ」とは別の言葉なので、「うそぶく=うそを言う」と覚えるのは不正確です。
「吟」「詠」「唱」の字
「吟」「詠」「唱」はどれも常用漢字で、声を出して歌や詩を口にする意味の字です。「吟味(ぎんみ:よく調べる)」の「吟」、「詠嘆(えいたん:感動を声に出す)」の「詠」、「暗唱(あんしょう:見ないで言う)」の「唱」のように、熟語でもよく使います。古文で和歌を作ることは「詠む(よむ)」と言います。百人一首の歌も「詠まれた」歌です。

合格先生
「口ずさむ」は軽く、「吟ずる」はしっかり、「諳んじる」は何も見ずに。声の出し方のちがいで並べると、似た言葉もすっきり覚えられるよ。
平安時代の教科書『口遊』と九九
「口遊」と書いて「くちずさみ」と読む、平安時代の本があります。970年(天禄元年)に源為憲(みなもとのためのり)がまとめた『口遊』です。
『口遊』は、貴族の子ども(のちの藤原誠信)のために作られた教科書です。天文・季節・官職など、知っておくべき知識を19の部門に分け、口に出して暗唱しやすいようにまとめてあります。まさに「口ずさんで覚える本」なので、『口遊』という名前がついているわけです。
この本には、かけ算の九九がのっています。今の九九は「一一が一(いんいちがいち)」から始めますが、『口遊』の九九は「九九八十一」から始まる形でした。「九九」という名前も、九の段の「九九」から始まったことに由来するといわれます。九九が「一一の一」から始まるようになったのは、ずっとあとの時代です。
また、かなを覚えるための「たゐにの歌」(「大為爾伊天…」と万葉がなで書かれた歌)も『口遊』にのっています。今残っているたゐにの歌の資料は『口遊』だけだとされます。いろは歌と同じように、かなを1回ずつ使って作った歌の仲間です。
九九も、かなの歌も、声に出してリズムで覚えるのが昔からのやり方だった、ということがわかります。今の受験勉強でも、英単語・古文単語・百人一首・年号のゴロあわせなど、口に出して覚えるやり方はとても有効です。小学生の計算の土台については「小学生にお勧めの算数ドリル」、声に出す暗記と復習の間隔については「エビングハウスの忘却曲線」の記事もどうぞ。
古文によく出る漢字:読めそうで読めない古語20問
「口遊む」のように、古文によく出てくるのに、漢字で書くと読めない言葉はたくさんあります。古文の文章は、ひらがなで書かれていることも多いのですが、問題文や注、現代語訳では漢字で出てきます。読めないと意味もとれません。
ここでは、入試の古文によく出る言葉を20問集めました。まずは自分で読んでみてください。読みと意味は、下の「答えを見る」を押すと開きます。
| 番号 | 問題 | 仲間 |
|---|---|---|
| 1 | 上達部 | 人・身分 |
| 2 | 殿上人 | 人・身分 |
| 3 | 受領 | 人・身分 |
| 4 | 童 | 人・身分 |
| 5 | 御簾 | 住まい・衣服 |
| 6 | 几帳 | 住まい・衣服 |
| 7 | 前栽 | 住まい・衣服 |
| 8 | 直衣 | 住まい・衣服 |
| 9 | 物忌 | 行事・習慣 |
| 10 | 方違へ | 行事・習慣 |
| 11 | 除目 | 行事・習慣 |
| 12 | 行幸 | 行事・習慣 |
| 13 | 宿直 | 行事・習慣 |
| 14 | 懸想 | 恋・気持ち・時 |
| 15 | 後朝 | 恋・気持ち・時 |
| 16 | 有明 | 恋・気持ち・時 |
| 17 | 徒然 | 恋・気持ち・時 |
| 18 | 現 | 恋・気持ち・時 |
| 19 | 験 | 恋・気持ち・時 |
| 20 | 消息 | 恋・気持ち・時 |
20問の答え(読み・意味)を見る
| 番号 | 問題 | 歴史的仮名遣い | 読み(現代仮名遣い) | 意味 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 上達部 | かんだちめ | かんだちめ | 大臣・大納言など、三位以上の位の高い貴族(公卿) |
| 2 | 殿上人 | てんじやうびと | てんじょうびと | 清涼殿の「殿上の間」に上がることを許された人 |
| 3 | 受領 | ずりやう | ずりょう | 地方の国に行って政治をする長官(国司) |
| 4 | 童 | わらは | わらわ | 子ども。貴族の家に仕える子ども |
| 5 | 御簾 | みす | みす | 部屋の境や縁側にかける、すだれ |
| 6 | 几帳 | きちやう | きちょう | 布を垂らした、持ち運べる仕切り |
| 7 | 前栽 | せんざい | せんざい | 庭先の植え込み。草花を植えた所 |
| 8 | 直衣 | なほし | のうし | 貴族の男性のふだん着 |
| 9 | 物忌 | ものいみ | ものいみ | 悪いことをさけるため、家にこもってつつしむこと |
| 10 | 方違へ | かたたがへ | かたたがえ | 悪い方角をさけ、いったん別の所に泊まってから行くこと |
| 11 | 除目 | ぢもく | じもく | 大臣以外の官職を任命する儀式 |
| 12 | 行幸 | みゆき(ぎやうかう) | みゆき(ぎょうこう) | 天皇のおでかけ |
| 13 | 宿直 | とのゐ | とのい | 宮中などに泊まりこんで勤めたり守ったりすること |
| 14 | 懸想 | けさう | けそう | 異性を恋しく思うこと。恋 |
| 15 | 後朝 | きぬぎぬ | きぬぎぬ | 一夜を共にした男女が、翌朝別れること |
| 16 | 有明 | ありあけ | ありあけ | 月が空に残ったまま夜が明けること。その月 |
| 17 | 徒然 | つれづれ | つれづれ | することがなく退屈なこと。ひまなこと |
| 18 | 現 | うつつ | うつつ | 現実。目がさめている状態(夢の反対) |
| 19 | 験 | しるし | しるし | ききめ。祈りなどのご利益 |
| 20 | 消息 | せうそこ | しょうそこ | 手紙。訪問して来意を伝えること |
「歴史的仮名遣い」は古文の中での書き方、「読み(現代仮名遣い)」は今の読み方です。たとえば「消息」は古文では「せうそこ」と書き、「しょうそこ」と読みます。歴史的仮名遣いの読み方のきまりは古文文法辞典の「歴史的仮名遣いの読み方」で確かめましょう。
20問の覚え方のポイント・読みまちがい・先生との会話を見る(答えにふれます)
20問の覚え方のポイント
答えを確かめたら、仲間ごとにポイントを押さえましょう(ここから下は答えにふれます)。
- 人・身分:「上達部(かんだちめ)」と「殿上人(てんじょうびと)」は、身分の高さの順で覚えます。上達部は三位以上(と参議)の貴族(公卿)、殿上人は清涼殿に上がれる人です。「受領(ずりょう)」は地方の長官、「童(わらわ)」は子どもです。身分のしくみは古文文法辞典の「官職と身分」にまとめています。
- 住まい・衣服:「御簾(みす)」と「几帳(きちょう)」は、平安時代の貴族の家で人の目をさえぎる道具です。物語では、御簾や几帳ごしに話す場面がよく出ます。「前栽(せんざい)」は庭の植え込み、「直衣(のうし)」は男性のふだん着です。
- 行事・習慣:「物忌(ものいみ)」と「方違へ(かたたがえ)」は、悪いことをさけるための習慣です。「除目(じもく)」は人事の儀式、「行幸(みゆき)」は天皇のおでかけ、「宿直(とのい)」は宮中での泊まりの勤めです。古文の生活のきまりは「古文常識(住まい・恋と結婚・物忌み)」で図とともに説明しています。
- 恋・気持ち・時:「懸想(けそう)」は恋、「後朝(きぬぎぬ)」は一夜を過ごした翌朝の別れです。「有明(ありあけ)」は夜明けに残る月で、百人一首にもよく出ます。「徒然(つれづれ)」は『徒然草』の題にもなった言葉、「現(うつつ)」は現実、「験(しるし)」はききめ、「消息(しょうそこ)」は手紙です。時刻や月の呼び方は「旧暦・季節・時刻」へ。
「有明」は、百人一首の壬生忠岑(みぶのただみね)の歌「有明のつれなく見えし別れより」や、後徳大寺左大臣(藤原実定)の歌「ほととぎす鳴きつる方をながむれば」に出てきます。百人一首を口ずさんで覚えておくと、古文の言葉も一緒に身につきます(百人一首 全百首・百人一首クイズ)。
よくある読みまちがい
- 直衣:×ちょくい → ○のうし(歴史的仮名遣いは「なほし」)。
- 受領:×じゅりょう → 古文では○ずりょう。今の「受領証(じゅりょうしょう)」とは読みがちがいます。
- 消息:今は「しょうそく(様子・知らせ)」と読みますが、古文では○しょうそこ(手紙)。
- 行幸:○みゆき・○ぎょうこう。どちらの読みもあります。
- 後朝:×こうちょう → ○きぬぎぬ。脱いだ衣(きぬ)をそれぞれ着て別れる、という言葉から来たとされます。
サクラちゃん
古文単語って、読めても意味がわからないし、意味がわかっても読めないし……。どう覚えたらいいですか?
合格先生
単語帳で覚えるのはもちろん大事。そのうえで、漢字・読み・意味・場面の4つをセットにしよう。たとえば「後朝(きぬぎぬ)」なら、「恋の歌や物語で、夜明けに男性が帰っていく場面」まで思いうかべる。場面がわかると、読みも意味も忘れにくいよ。
サクラちゃん
「口遊む」も「歌を思いつくまま口にする場面」で覚えます!
古文の漢字・古語の勉強法
「口遊む」のような言葉を確実に身につけるための勉強法をまとめます。
- 読めなかった言葉だけを集める:全部をノートに書く必要はありません。読めなかった言葉・意味をまちがえた言葉だけを、カードやノートに集めます。
- 漢字・読み・意味・例をセットで書く:「口遊む/くちずさむ/詩や歌を思いつくまま口にする/好きな歌を口遊む」のように4つをそろえます。古語なら歴史的仮名遣いも書いておきます。
- 声に出して読む:『口遊』の時代から、声に出す暗記は基本です。歩きながら、通学の電車の中で小さく口ずさむだけでも効果があります。
- 現代語とのちがいに印をつける:「遊び(管弦)」「うそぶく(吟じる)」「遊ぶ(すさぶ)」のように、今の意味とちがう言葉には印をつけて、くり返し見直します。
- 本文の中で出会い直す:単語だけで覚えたら、問題集や過去問の古文の文章の中で、もう一度その言葉に出会うようにします。文の中で読めると、本当に身についたといえます。
京都大学(京大)の国語のように、古文の現代語訳や説明を書かせる大学では、こうした言葉の正確な意味が点数に直結します。京大の古文・漢文の勉強法は「京大受験国語(文語文)の勉強法」、理系の受験生の国語は「理系なのに国語が要る:京大理系の国語」、古典全体の見取り図は「古典と古文の違いとは?漢文との関係」へ。共通テストの古文文法は「共通テストの古文文法」、2次試験の記述は「国公立二次・難関私大の古文文法」で確かめましょう。

サクラちゃん
「口遊む」は「口+遊む(気の向くままにする)」。古文の「遊び」は管弦のこと。ひとつの漢字から、古文の言葉がいろいろつながるんだね!
読めそうで読めない漢字シリーズ
難しい漢字の読みは、合格大作戦の「読めそうで読めない漢字」シリーズでも練習できます。
- 読めそうで読めない漢字(パート1)/パート2/パート3/パート4(内裏・防人など古文の言葉も)
- パート5/パート6/パート7【国の名前編】/パート8
- パート9(杜撰・言質など)/パート10【動詞編】/パート11(日本の伝統色)/パート12(長ける・朋友・潔い)
- 読めたらすごい漢字1「蒲公英」(花の名前の難読漢字も)
1語ずつ読み・意味・由来を説明した記事には、「杜撰(ずさん)の読み方・意味・由来」「祭祀(さいし)の読み方と意味」「いびつ(歪)の意味と語源」があります。辞書の使い分けは「電子辞書と紙の辞書の使い分け」、国語の勉強の入口は国語まとめ、古文の文法は古文文法辞典へ。わからない言葉や勉強の悩みがあれば「受験の質問・相談」でどうぞ。
書き順・読み・漢検の級は「漢字合格大作戦」で
「口」「遊」「荒」「吟」「詠」のような1字の書き順・音読み・訓読み・漢検の級は「漢字合格大作戦」(常用漢字2136字)で確かめられます。級ごとの一覧は漢検10級〜漢検2級、ふだん使わない読みは高校で習う読みへ。
よくある質問
「口遊む」の読み方は?
「くちずさむ」と読みます。ふつうは「口ずさむ」とかなまじりで書きます。「遊」を「すさむ」と読むのは常用漢字表にない読み(表外読み)です。
「口ずさむ」の意味は?
詩や歌などを、思いつくままに口にしたり歌ったりすることです。古くは、思いつくまま話の種にする、うわさをするという意味でも使われました。
「くちずさむ」と「くちづさむ」はどちらが正しい?
「くちずさむ」が正しい書き方です。もとの言葉が「すさむ」で、「す」が濁って「ず」になったものだからです。
古文の「すさぶ」「すさむ」の意味は?
「遊ぶ」「遊む」と書く古文の使い方では、気の向くままに何かをする、慰みにするという意味です。現代語の「荒む」は、心や生活が荒れるという意味で使います。
古文の「遊び」とはどういう意味?
詩歌・音楽・舞い・狩猟などを楽しむことで、特に管弦(笛や琴などの演奏)を指すことが多い言葉です。子どもの遊びの意味ではありません。
あわせて読みたい
- 読めそうで読めない漢字10問|長ける・朋友・潔い・手水・捏造・極刑の読み方と意味【パート12】
- 「蒲公英」読めますか?読めたらすごい漢字クイズ
- 読めそうで読めない漢字パート1
- 杜撰(ずさん)の読み方・意味・由来
- 古文文法辞典
- 百人一首 全百首
出典・参考
- 元の本文(問題「口遊む」・答え・「受験生は覚えておこう!」の意味の説明)と写真:2014年5月の元の記事(大学受験合格大作戦)。投票の部品(blog.with2.net)は外した
- 「口遊む(くちずさむ)」の意味・『枕草子』の「くちずさみつつ」の用例、「遊む・荒む(すさむ)」「遊ぶ・荒ぶ(すさぶ)」の意味と活用、「筆のすさび」、「嘯く」、「遊び」(『枕草子』「遊びは夜」):デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典(コトバンク)の説明の範囲
- 元の記事の「「遊む」だけで「詩歌などを吟ずる」意味がある」は、辞書の「遊む=気の向くままに〜する・慰みにする」に合わせて直した
- 『口遊(くちずさみ)』(源為憲、970年、九九・たゐにの歌):デジタル大辞泉・百科事典マイペディア・世界大百科事典・ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典(コトバンク)の説明の範囲
- 「遊」の常用漢字表の読み(ユウ・ユ・あそぶ):常用漢字表(2010年)、漢字合格大作戦の「遊」のページ
- 古文の難読語20問の読み・意味:古語辞典で広く知られる範囲
最終更新:2026年10月23日/作成:大学受験合格大作戦











