ウェアリングの問題とは?わかりやすく|どんな自然数もk乗数の和?4平方定理・23が9個・ヒルベルトの証明

ウェアリングの問題とは?わかりやすく|どんな自然数もk乗数の和?4平方定理・23が9個・ヒルベルトの証明

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ウェアリングの問題

ひとことで言うと

「どんな自然数も、k乗数のいくつかの和で書ける?」。1770年に出され、1909年にヒルベルトが証明した。平方数4個・立方数9個・4乗数19個。

問題どんな自然数も、決まった個数のk乗数の和で書けるか
出された年1770年(ウェアリングが書物で述べた)
解かれた年1909年(すべてのkでg(k)が存在することを証明)
解いた人ヒルベルト
分かっている値g(2)=4、g(3)=9、g(4)=19、g(5)=37、g(6)=73
公式g(k)=2ᵏ+⌊(3/2)ᵏ⌋−2(ほとんどのkで正しいと証明されている)
分野数論(加法的整数論)
特ちょう23と239だけが、立方数を9個必要とする

このページのポイント

  • ウェアリングの問題は「どんな自然数も、k乗数の和で、決まった個数以内で書けるか」。1770年に出され、1909年にヒルベルトが証明した
  • 平方数は4個(ラグランジュ)、立方数は9個(9個必要なのは23と239だけ)、4乗数は19個(1986年)。公式 2ᵏ+⌊(3/2)ᵏ⌋−2 が成り立つ
  • 受験では、余りで「書けない」ことを示す(平方数を8、立方数を9でわる)技術が役に立つ。大きい数だけなら必要な個数はもっと少なくなる(G(k))

ウェアリングの問題とは?(ひとことで)

ウェアリングの問題とは、「どんな自然数も、決まった個数の kk 乗数の和で書けるか」という問題です。1770年にイギリスの数学者エドワード・ウェアリングが書物に述べ、1909年にドイツのヒルベルトの業績と生涯が「書ける」と証明しました(ヒルベルト・ウェアリングの定理)。

ウェアリングは、平方数(2乗)なら4個、立方数(3乗)なら9個、4乗数なら19個で足りるだろうと書きました。このうち、平方数の4個は、同じ1770年にラグランジュの業績と生涯が証明しています(四平方定理)。立方数の9個は1909〜12年に、4乗数の19個は1986年になって、証明が完成しました。

問題の意味は、小学生でも分かります。たとえば、7=4+1+1+17=4+1+1+1 は、平方数4個の和です。ところが、7は平方数3個の和では書けません。「数によって、必要な個数がちがう」ところが、おもしろいところです。整数の性質や自然数・整数の知識だけで、挑戦を始められます。ほかの素数の話題は、ゴールドバッハ予想(偶数は素数2つの和?)も読んでみてください。同じ「数をいくつかの数の和で書く」問題の仲間です。

うかるくん

うかるくん

ぼくの知っている平方数は、1、4、9、16、…ですよね。それを足すだけなら、1をたくさん足せばどんな数も作れませんか?

合格先生

合格先生

鋭いね!1をたくさん足せば、たしかにどんな数も作れる。ただ、ウェアリングの問題で知りたいのは「個数の上限」なんだ。どんなに大きな数でも、この個数以内でかならず足りる、という上限が存在するのか。たとえば平方数なら、どんな大きな数も4個以内で足りる。これが、すごいところなんだよ。

ウェアリングの問題の意味をやさしく解説

kk 乗数とは

kk 乗数とは、整数を kk 回かけた数のことです。k=2k=2 なら平方数(1、4、9、16、25、…)、k=3k=3 なら立方数(1、8、27、64、125、…)、k=4k=4 なら4乗数(1、16、81、256、…)です。ここでは、0はふくめず、正の整数の kk 乗だけを使います。同じ数を何度使ってもかまいません。指数とはの復習になります。

「g(k)g(k)」とは何か

ウェアリングの問題では、つぎの数を調べます。

g(k)=どんな自然数も表せる、k乗数の個数の最小値g(k)=\text{どんな自然数も表せる、}k\text{乗数の個数の最小値}

つまり、「kk 乗数 g(k)g(k) 個以内で、どんな自然数でも表せる。でも、g(k)−1g(k)-1 個では表せない自然数が必ずある」という数です。ウェアリングは g(2)=4g(2)=4、g(3)=9g(3)=9、g(4)=19g(4)=19 だろうと述べました。ヒルベルトの証明は、「すべての kk について、そのような g(k)g(k) という数が存在する」ことの証明です。個数が具体的にいくつかまでは分かりませんでした。

平方数の場合:4個で足りる

まず、平方数で、1から40までを調べてみます。

平方数の和で表す最少の個数0123412040赤は4個必要な数(7・15・23・28・31・39)どの数も4個あれば足りる(4平方定理)
多くの数は2個か3個の平方数で表せる。7、15、23、28、31、39は4個必要。5個以上必要な数はない

たとえば、次のようになります。

  • 13=9+4(2個)
  • 14=9+4+1(3個)
  • 7=4+1+1+1(4個。3個では書けない)
  • 15=9+4+1+1(4個)、23=9+9+4+1(4個)

グラフの赤い棒(4個必要な数)には、7、15、23、28、31、39、…があります。実は、「4a(8b+7)4^a(8b+7) の形の数」だけが、3個では書けないことが、ルジャンドルとガウスによって分かっています(3平方定理)。それ以外の数は、3個以内で書けます。

立方数の場合:9個必要な数がある

つぎに、立方数で調べます。立方数は 1、8、27、64、…と、増え方が速いので、小さい数を表すには、1がたくさん必要になります。

立方数の和で表す最少の個数03691235023は9個(赤)。15・22・50は8個(だいだい)9個が必要なのは、23と239だけ
23だけが9個必要。この範囲で、15、22、50は8個必要。これらの数が、立方数の限界を決めている

とくに目立つのが23です。23以下の立方数は、1と8だけですから、23 = 8×2 + 1×7 の9個が最小です。次に大きな「9個必要な数」が、239です。そして、9個が必要な数は、23と239の2つだけだと分かっています。これより大きい数は、8個以内で書けます。それ以外の大きな数は、さらに少ない個数で足ります。

23 = 8 + 8 + 1×72³2³1³ が7個881111111使える立方数は 1 と 8 だけ(27は大きすぎる)8 を3個使うと 24 で、はみ出すだから 8 は2個まで → 残り 7 は 1 で埋める合計 2+7=9個が必要
23は、8を2個と1を7個で、合計9個。立方数の個数の限界を決めている数

4乗数の場合:19個必要な数

4乗数でも同じ現象が起こります。4乗数は 1、16、81、…で、79以下の4乗数は1と16だけです。79=16×4+1×1579 = 16\times4+1\times15 で、19個かかります。これより少なくはできません。g(4)=19g(4)=19 は、この79(や159、239など)が必要な個数を決めています。

なぜ「g(k)g(k)」は公式で書ける?

g(k)g(k) がいくつになるかの「最悪の数」は、あるパターンで作れます。q=⌊(3/2)k⌋q=\lfloor(3/2)^k\rfloor((3/2)k(3/2)^k の整数部分)とおき、n=2kq−1n=2^k q-1 という数を考えます。この数は 2kq2^k q より1小さいので、(q−1)(q-1) 個の 2k2^k と、(2k−1)(2^k-1) 個の1で作るしかありません(3k3^k を使うと大きすぎるため)。ですから、kk 乗数が (q−1)+(2k−1)=2k+q−2(q-1)+(2^k-1)=2^k+q-2 個必要になります。つまり g(k)≥2k+⌊(3/2)k⌋−2g(k)\ge 2^k+\lfloor(3/2)^k\rfloor-2 です。この下限は、ほとんどすべての kk で等しいことが分かっています。

たとえば k=3k=3 なら q=⌊27/8⌋=3q=\lfloor27/8\rfloor=3、23+3−2=92^3+3-2=9。k=4k=4 なら q=⌊81/16⌋=5q=\lfloor81/16\rfloor=5、16+5−2=1916+5-2=19。k=2k=2 なら q=⌊9/4⌋=2q=\lfloor9/4\rfloor=2、4+2−2=44+2-2=4 です。k=5,6k=5,6 でも、この式は37、73となり、実際の値と一致します。

g(k):必ず足りる個数2乗4個3乗9個4乗19個5乗37個6乗73個公式:g(k)=2ᵏ+⌊(3/2)ᵏ⌋−2(ほとんどのkで正しいと証明されている)
g(k) は k が1ふえると約2倍になる。2乗は4個、3乗は9個、4乗は19個、5乗は37個、6乗は73個

ウェアリングの問題の歴史と年表

平方数の和:バシェからラグランジュへ

「どんな自然数も4個以内の平方数の和」という予想は、ディオファントスの業績と生涯の『算術』のフランス語版(1621年)に注をつけたバシェが述べたと伝えられます。フェルマーの業績と生涯も、証明を得たと主張しましたが、書き残しませんでした。オイラーは何十年もこの問題に取り組み、大きな結果を出しましたが、完全な証明には届きませんでした。1770年、ラグランジュがついに証明を完成させます(四平方定理)。オイラーの結果を土台にした証明でした。

1770年:ウェアリングの提出

同じ1770年、ケンブリッジ大学の教授ウェアリングは、『代数的思索』という書物で、「平方数4個の次は、立方数9個、4乗数19個、…と、kk 乗数にも決まった個数があるだろう」と述べました。ウェアリング自身は、証明を示しませんでした。ここから、「ウェアリングの問題」が始まります。

1909年:ヒルベルトの証明

それから約140年、だれも一般の kk では証明できませんでした。1909年、ヒルベルトは、「すべての kk について、g(k)g(k) が存在する」ことを証明しました。この証明は、ヒルベルトが見つけた特別な恒等式(式の変形)を使い、数学的帰納法のように kk を一つずつ大きくして進めるもの、といわれます。ただし、具体的な個数を求める方法は含まれていません。そのため、「g(k)g(k) はいくつか」は、あとの数学者たちの仕事として残りました。

1909〜12年:立方数の9個

同じ1909年、ヴィーフェリヒが g(3)=9g(3)=9 の証明を発表しました。のちにケンプナーが1912年に証明の穴を埋めて、完成させたと伝えられます。「23と239だけが9個を必要とし、ほかの数は8個以内」ということが、のちの研究で分かっています。

1920年代以降:円周法とG(k)G(k)

1920年代、ハーディの業績と生涯とリトルウッドは、円周法という新しい方法でウェアリングの問題に取り組みました。これは解析学(極限の考え方や積分)で整数の問題を解く方法です。彼らは、g(k)g(k) とは別に、新しい量 G(k)G(k) を考えました。

g(k)g(k) は「すべての自然数が表せる個数」ですが、23のような小さな例外に引っぱられて大きくなります。これに対し G(k)G(k) は「じゅうぶん大きいすべての自然数」が表せる最少の個数です。小さい数の例外を無視すると、必要な個数はずっと少なくなります。G(2)=4G(2)=4(4平方定理)、G(4)=16G(4)=16(1939年、ダヴェンポート)が分かっていて、G(3)G(3) は4以上7以下と分かっています(7以下は1943年のリンニクの結果)。立方数の和は、ほとんどの大きな数が4個で書けると考えられていますが、証明はまだありません。

1964年、1986年

g(5)=37g(5)=37 は、1964年に陳景潤が証明しました。g(6)=73g(6)=73 は、1940年にピライが示しています。g(4)=19g(4)=19 は、1986年に、バラスブラマニアン、デシューイエ、ドレスの3人が、大型計算機も使って証明しました。

約200年の歩み1621ごろバシェが4平方を予想1770年4平方定理・ウェアリング問題1909年ヒルベルトが一般のkで証明1909〜12g(3)=9を証明1920年代ハーディとリトルウッドの円周法1986年g(4)=19が確定緑は「解けた」節目
予想から証明の完成まで、200年以上かかった問題。個々のkの値は今も研究が続く
年できごと
1621年ごろバシェが「4個以内の平方数の和」を予想したと伝えられる
1770年ラグランジュが四平方定理を証明。同じ年、ウェアリングが立方数9個・4乗数19個を予想
1909年ヒルベルトが、すべてのkでg(k)が存在することを証明
1909〜12年ヴィーフェリヒ、ケンプナーがg(3)=9を証明
1920年ごろハーディとリトルウッドが円周法を使い、G(k)の研究を始める
1939年ダヴェンポートがG(4)=16を証明
1940年ピライがg(6)=73を証明
1964年陳景潤がg(5)=37を証明
1986年バラスブラマニアンらがg(4)=19を証明

ウェアリングの問題はいつ・だれが解いた?

ウェアリングの問題は、1909年にヒルベルトが「すべての kk で g(k)g(k) が存在する」ことを証明して、大きな部分が解決しました。そのあと、個々の kk の値を決める研究が続きました。ここでは、今分かっていることを整理します。

1. g(k)g(k) の値が分かっているもの

  • g(2)=4g(2)=4(ラグランジュ、1770年)
  • g(3)=9g(3)=9(ヴィーフェリヒ、ケンプナー、1909〜12年)
  • g(4)=19g(4)=19(バラスブラマニアン、デシューイエ、ドレス、1986年)
  • g(5)=37g(5)=37(陳景潤、1964年)
  • g(6)=73g(6)=73(ピライ、1940年)

k≥7k\ge7 でも、多くの値で公式 g(k)=2k+⌊(3/2)k⌋−2g(k)=2^k+\lfloor(3/2)^k\rfloor-2 が正しいと確かめられています。1957年にマーラーが「この公式が成り立たない kk は、あるとしても有限個しかない」ことを示し、のちの計算で、大きな kk の範囲でも確かめられました。ただし、すべての kk で成り立つかどうかは、まだ完全には証明されていないと言われます(2026年時点で、私が確認できた範囲)。

2. もっと少なくていいのは? G(k)G(k)

g(k)g(k) は小さい数の例外に引っぱられて大きくなりますが、じゅうぶん大きい数だけなら、もっと少ない個数で足ります。G(2)=4G(2)=4、G(4)=16G(4)=16 が分かっていますが、G(3)G(3) は4以上7以下というところまでしか決まっていません。多くの数学者が、「G(3)=4G(3)=4 だろう」と考えていますが、証明はありません。この意味で、ウェアリングの問題は、まだ終わっていないと言えます。

3. 3つの立方数の和(有名な未解決の仲間)

「x3+y3+z3=nx^3+y^3+z^3=n をみたす整数(負の数もふくむ)の組 (x,y,z)(x,y,z) があるか」という問題があります。9で割ると4か5余る数は、このような形に書けないことが、合同式(mod の計算)で簡単に分かります(立方数を9でわった余りは0、1、8のどれかだから)。それ以外の数は、ほとんどの数で解が見つかっていますが、見つけるのはとても大変です。2019年には、33(ブッカー)と42(ブッカーとサザーランド)に解が見つかり、話題になりました。きっちりした答えは、桁がとても大きい数の組です。ウェアリングの問題の仲間ですが、「どんな数でも書けるか」は、まだ分かっていません。

「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

「ある」ことの証明と、「いくつか」の証明は別。ヒルベルトは前者、あとの数学者は後者に挑んだんだ。入試でも「存在することを示せ」と「値を求めよ」は、ちがう問題だよ。

ウェアリングの問題はなぜ難しかったのか

1. 「足し算」と「kk 乗」は別の世界

kk 乗は「かけ算」から生まれる数です。ところが、問題は、その kk 乗数を「足し算」で組み合わせることです。kk 乗数は、大きくなるほどまばらになります(100以下の平方数は10個、立方数は4個、4乗数は3個だけ)。まばらな数を足し合わせて、どんな数でも作れるのは、本当に不思議なことです。

2. 個数を絞るほど難しくなる

「どんな自然数も1をたくさん足せば作れる」ので、個数の上限が存在することを示すのが問題の核心です。ヒルベルトの証明のあと、g(k)g(k) を正確に決めるために、いろいろな kk ごとに、個別の難しい議論が必要でした。g(4)=19g(4)=19 は、ヒルベルトの証明から77年後にようやく完成しました。

3. 例外の数をていねいに調べる必要がある

g(k)g(k) は、「最悪の数」で決まります。そのため、「小さい数の例外を全部調べる」のと、「大きい数についての一般論を証明する」のを、両方やらなければなりません。大きい数は円周法などの強力な方法で、小さい数は計算機で調べます。g(4)g(4) の証明に大型計算機が必要だったのは、このためです。

4. 新しい道具が必要だった

ウェアリングの問題は、数学の新しい分野をいくつも育てました。ヒルベルトの恒等式、ハーディとラマヌジャンの業績と生涯の分割数の研究から生まれ、リトルウッドとともに育てた円周法、ヴィノグラードフの三角和の評価などです。これらの道具がそろうまで、解決は遠かったのです。

サクラちゃん

サクラちゃん

23と239だけが9個必要って、どうして239が出てくるんですか?

合格先生

合格先生

239は、23と同じように「立方数がうまくはまらない運の悪い数」なんだ。計算機で調べると、どう組み合わせても9個より少なくならない。そして、239より大きい数には、もう9個必要な数はない、と分かっているんだよ。

よくある誤解:「個数が少ないほどきれい?」

「できるだけ少ない個数で表す」ことが目標のように見えますが、g(k)g(k) は「すべての数」が少ない個数で書けるかという問題です。たとえば、g(3)=9g(3)=9 なのは23と239だけが例外だからで、ほとんどの数は4個、5個で書けます。「ほとんどの数は少なくていいが、ごく一部の数が個数を押し上げている」という構造が、問題を難しくしています。

受験・勉強とウェアリングの問題のつながり

中学受験:平方数・立方数と「あてはめ」

中学受験の算数では、平方数(1、4、9、16、25、36、49、64、81、100)や、立方数(1、8、27、64、125)を使う問題が出ます。「連続する奇数の和は平方数になる」(1+3+5=91+3+5=9、1+3+5+7=161+3+5+7=16)は、図でも説明される定番の性質です。また、素因数分解と約数の個数を使って「平方数になる数」を調べる問題も、毎年出ます。「平方数を足して20にする方法を全部書く」のようなあてはめ問題では、ウェアリングの問題の考え方(小さい数から順に試す)がそのまま役立ちます。

高校・大学受験:余りで「できない」ことを示す

受験でいちばん役立つのは、「余りを使って、表せないことを示す」技術です。たとえば、「7が平方数3個の和で書けない」ことは、つぎのように示せます。

  • 整数の平方を8でわった余りは、0、1、4のどれか(nn が偶数のとき 44 か 00、奇数のとき 11)。
  • 3つの平方数の和を8でわった余りは、(0、1、4) から3つ(重複可)を選んで足したもの。0、1、2、3、4、5、6 などになるが、7にはならない。
  • 7を8でわった余りは7。だから、7は平方数3個の和にならない。

同じように、立方数を9でわった余りは0、1、8のどれかなので、3つの立方数の和を9でわった余りに、4と5は現れません。たとえば13や14(9でわって4と5余る数)は、整数の立方数3個の和では書けません。これは、合同式(mod の計算)の使い方を使う典型的な入試問題の型です。「x2+y2=4n+3x^2+y^2=4n+3 をみたす整数 x,yx,y は存在しない」なども、4でわった余りで示します(平方数を4でわった余りは0か1だから)。

「少なくとも〜個必要」を示す練習

ウェアリングの問題は、「最小の個数」を求める問題の練習になります。最小値の問題は、①その個数で書けることを示す(構成)、②それより少なくはできないことを示す(下からの評価)の2段階で答えます。23を立方数の和にする問題なら、①23=8+8+1×723=8+8+1\times7 の9個で書ける、②使える立方数は1と8だけで、8を3個以上使うと24以上になるから、8は2個まで。残りを1で埋めるので、最小は9個。これは、入試の最小値・最大値の問題、最大公約数・最小公倍数の最小の考え方とも通じます。

数学の勉強の進め方は、数学の勉強法(解法の暗記→演習→過去問)も参考にしてください。分からない問題は、小さい数で実験して規則を見つけるのが近道です(数学オリンピックの問題(長方形に詰めた正方形)も、この考え方で解けます)。

ウェアリングの問題が数学・社会にあたえた影響

  • 解析的整数論の発展:ハーディとリトルウッドの円周法は、ウェアリングの問題のために作られました。この方法は、ゴールドバッハ予想の研究(ヴィノグラードフの定理)にも使われ、素数の研究全体に広がりました。
  • 代数の道具が広がった:ヒルベルトの恒等式は、数学の基本的な道具の一つになりました。
  • 計算機の活用:g(4)=19g(4)=19 の証明は、大型計算機を使ってはじめて完成しました。「小さい数を計算機で調べ、大きい数を理論で押さえる」という方法は、四色問題やケプラー予想の証明にも通じます。
  • 四平方定理の応用:ラグランジュの四平方定理は、コンピューターグラフィックスで使われる四元数(ハミルトンの業績と生涯が発見)の理論とも関係しています。整数四元数のノルムが平方数4個の和になるからです。
  • ほかの「何個で足りるか」問題:「多角数の和」(フェルマーの多角数定理:どの自然数も nn 個以内の nn 角数の和)や、「素数の和」(ゴールドバッハ)など、同じ型の問題が生まれました。カタラン予想(累乗どうしの差が1になるのは8と9だけ?)も、累乗数をめぐる仲間の問題です。

ガウスの業績と生涯は、3つの三角数の和(フェルマーが予想した結果)を証明し、日記に「ΕΥΡΗΚΑ! num=Δ+Δ+Δ」と書いたと伝えられます。累乗数や多角数をめぐる問題は、数学者たちを長く惹きつけてきました。

ウェアリングの問題に挑戦!練習問題

やさしい

  1. 7を平方数の和で表しなさい。最少で何個必要ですか。
    答えと解説を見る7=4+1+1+1 の4個。平方数は1、4、9、…で、9は大きすぎます。4を2個使うと8で大きすぎるので、4は1個まで。3個では書けません。
  2. 20を、できるだけ少ない個数の平方数の和で表しなさい。
    答えと解説を見る20=16+4 の2個です。(20は平方数ではないので、1個では書けません。)

ふつう

  1. 23を立方数(1、8、27、…)の和で表すには、最少で何個必要ですか。
    答えと解説を見る23以下の立方数は1と8だけ。8を2個使うと16で、残り7は1が7個。合計9個。8を3個使うと24で、はみ出します。8を1個以下にすると、1が15個以上必要で、もっと多くなります。
  2. 79を4乗数(1、16、81、…)の和で表すには、最少で何個必要ですか。
    答えと解説を見る79以下の4乗数は1と16だけ。16を4個(64)使い、残り15を1で埋めて、4+15=19個。16を5個にすると80で、はみ出します。

むずかしい

  1. 平方数を8でわった余りは0、1、4のどれかです。このことから、7は3個の平方数の和で書けないことを示しなさい。
    答えと解説を見る3つの平方数の和を8でわった余りは、(0, 1, 4) から3つ(同じものを選んでもよい)を選んで足し、8でわった余り。全部書き出すと 0, 1, 2, 3, 4, 5, 6 のどれかで、7にはなりません(たとえば 4+4+1=9 は余り1、4+4+4=12 は余り4)。7を8でわった余りは7なので、7は平方数3個の和で書けません。
  2. 立方数を9でわった余りは0、1、8のどれかです。このことから、13は整数の立方数3個の和で書けないことを示しなさい。
    答えと解説を見る3つの立方数の和を9でわった余りは、0、1、8から3つを選んで足したもの。0、1、2、3、6、7、8 のどれかにはなりますが、4と5にはなりません。13を9でわった余りは4なので、13は整数の立方数3個の和にはなりません。

ウェアリングの問題と関係する数学者・難問

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よくある質問

ウェアリングの問題とは何ですか?

ウェアリングの問題とは、どんな自然数も、決まった個数のk乗数の和で表せるか、という問題です。1770年にウェアリングが述べ、1909年にヒルベルトが、すべてのkについて「表せる」と証明しました。

ウェアリングの問題はだれがいつ解きましたか?

1909年にドイツのヒルベルトが、すべてのkで個数の上限が存在することを証明しました。その後、個々のkについて、必要な個数を正確に決める研究が続き、4乗の場合は1986年に完成しました。

g(k) とは何ですか?

どんな自然数も、k乗数g(k)個以内の和で表せるという、最小のg(k)のことです。g(2)は4、g(3)は9、g(4)は19、g(5)は37、g(6)は73であることが証明されています。

四平方定理とは何ですか?

どんな自然数も、4個以内の平方数の和で表せるという定理です。1770年にラグランジュが証明しました。たとえば7は4+1+1+1で、3個では書けないので、4個は必要です。

23はなぜ立方数を9個も必要とするのですか?

23以下の立方数は1と8だけだからです。8を2個、1を7個使って合計9個。8を3個使うと24で大きすぎます。9個必要な数は23と239だけだと分かっています。

g(k) の公式はありますか?

g(k)は 2のk乗、足す、(3/2)のk乗の整数部分、引く2、で表されると予想され、ほとんどのkで成り立つことが証明されています。たとえばk=3なら 8+3−2=9 です。

G(k) とg(k) のちがいは?

g(k)はすべての自然数が表せる個数、G(k)はじゅうぶん大きいすべての自然数が表せる個数です。小さい数の例外を除くので、G(k)のほうが小さくなります。G(2)は4、G(4)は16と分かっています。

ウェアリングの問題は、すべて解決しましたか?

g(k)の存在は解決済みです。ただし、すべてのkでg(k)の公式が正しいか、G(3)がいくつか(4以上7以下まで)などは、まだ完全には決まっていません。

ウェアリングの問題は受験に出ますか?

問題そのものは出ませんが、平方数を8でわった余り、立方数を9でわった余りのように、余りで表せないことを示す問題は大学入試の定番です。最小の個数を求める問題の練習にもなります。

あわせて読みたい

出典・参考

  • E. Waring, “Meditationes Algebraicae”(1770年)
  • D. Hilbert, “Beweis für die Darstellbarkeit der ganzen Zahlen durch eine feste Anzahl n-ter Potenzen (Waringsches Problem)”, Mathematische Annalen 67 (1909)
  • R. Balasubramanian, J.-M. Deshouillers, F. Dress, “Problème de Waring pour les bicarrés”, Comptes Rendus de l’Académie des Sciences, 1986年
  • Wikipedia(英語)“Waring’s problem”
  • MacTutor History of Mathematics, “Edward Waring”(University of St Andrews)

最終更新:2026年11月3日/作成:大学受験合格大作戦