5次方程式の解の公式とは?わかりやすく|アーベル・ルフィニの定理とガロア理論(1824年に不可能と証明)

5次方程式の解の公式とは?わかりやすく|アーベル・ルフィニの定理とガロア理論(1824年に不可能と証明)

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5次方程式の解の公式

ひとことで言うと

2〜4次にある解の公式は、5次にもあるか。1824年にアーベルが「一般にはない」と証明し、ガロア理論が生まれた。

問題四則と累乗根だけの解の公式が、一般の5次方程式にもあるか
出された年16世紀(3次・4次の公式が見つかったあと)
解かれた年1824年(ルフィニは1799年に不完全な証明)
解いた人ニールス・ヘンリク・アーベル(のちにガロアが理論化)
答え一般の5次方程式には累乗根の公式はない(解そのものはある)
定理の名前アーベル・ルフィニの定理
分野代数学(群論・ガロア理論)
特ちょう「できない」ことの証明から、群論と現代代数学が生まれた

このページのポイント

  • 2次は古代から、3次・4次は16世紀に解の公式が見つかった。では5次は? と約300年探された
  • 1824年、アーベルが「一般の5次方程式に、累乗根の解の公式はない」と証明。解がないのではなく、公式で書けないだけ
  • ガロアが「入れかえの群」を使って、解ける方程式を見分ける理論(ガロア理論)を作った

5次方程式の解の公式とは?(ひとことで)

5次方程式の解の公式の問題とは、「2次方程式の解の公式のような、足し算・引き算・かけ算・わり算と累乗根(√や³√など)だけで書ける公式が、5次方程式にもあるか」という問題です。2次方程式は古代から、3次・4次方程式は16世紀に解の公式が見つかりました。そのため、数学者たちは約300年にわたって「5次の公式」を探しました。

答えは「一般の5次方程式には、そのような解の公式はない」です。1824年にノルウェーのアーベルが証明しました(イタリアのルフィニが1799年に先に示そうとしていましたが、証明に不十分な点があったとされます)。さらにフランスのガロアの理論が、どんな方程式が累乗根で解けるかを見分ける理論を作りました。この結果はアーベル・ルフィニの定理とよばれます。

ここで大切なのは、5次方程式に解がないのではないということです。解はちゃんとあって、数値としてはいくらでも正確に求められます。「公式で書けない」というだけです。

うかるくん

うかるくん

解の公式がないって、5次方程式は解けないってことですか?

合格先生

合格先生

ちがうよ。解はあるし、電卓やコンピューターで小数として求めることもできる。ないのは「√や³√だけで書ける、一つの公式」なんだ。「ない」ことを証明したところが、数学の底力だね。

5次方程式の解の公式の意味をやさしく解説

方程式の次数とは

xx の最も高い乗数を次数といいます。ax+b=0ax+b=0 は1次、ax2+bx+c=0ax^2+bx+c=0 は2次、ax3+bx2+cx+d=0ax^3+bx^2+cx+d=0 は3次、そして x5x^5 が最高なら5次方程式です。次数が高くなると、方程式を解くのはどんどん難しくなります。

解の公式とは

解の公式とは、係数 a,b,c,…a, b, c, \ldots を代入するだけで、解が出てくる式のことです。2次方程式の解の公式は、中学校で習います。

x=−b±b2−4ac2ax=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}

ここで使われているのは、四則(足し算・引き算・かけ算・わり算)と平方根(√)だけです。二次方程式の解の公式と導き方や、判別式とは、解と係数の関係は、この公式と深くつながっています。

2次方程式は「正方形を完成」させて解く x²b/2·xb/2·x(b/2)² xb/2 足りない角に(b/2)² を足すと1つの正方形に (x+b/2)² = x²+bx+(b/2)²
平方完成:x² と bx を正方形と長方形で表し、足りない小さな正方形を足すと1つの大きな正方形になる。ここから解の公式が出る

「累乗根だけで解ける」の意味

数学者が「解の公式がある」というとき、使ってよい計算は次の2種類だけです。

  • 四則(足す、引く、かける、わる)
  • 累乗根(平方根 √、立方根 ³√、5乗根 ⁵√、…)

この決まりを守る限り、3次方程式にも4次方程式にも公式があります。ところが5次方程式は、この決まりのもとでは公式が書けません。逆に、決まりを増やせば(たとえば楕円関数という特別な関数を使えば)、5次方程式の解も式で書けます。

解の公式の「長さ」

次数が上がると、公式はものすごく長くなります。2次は短い1行ですが、3次は2つの立方根を使い、4次は数ページにわたる式になります。それでも、3次・4次までは「公式がある」と言えました。5次では、何ページの式を書いても、すべての5次方程式を表す式は作れない、と証明されたのです。

解の公式があるのは4次まで 1次x=−b/a(古代)2次解の公式(古代バビロニア〜)3次カルダノの公式(16世紀)4次フェラーリの方法(16世紀) 5次一般の公式はない(1824年) 解の公式=四則と累乗根だけで書ける式
1次から4次の方程式には累乗根の公式があるが、一般の5次方程式にはない

5次方程式の解の公式の歴史と年表

古代:2次方程式の解き方

2次方程式の解き方は、古代バビロニア(紀元前2000年ごろ〜)の粘土板にものっているとされます。9世紀には、アラビアのアル=フワーリズミーの業績が、2次方程式を整理して解き方を書きました。「アルゴリズム」と「代数(アルジェブラ)」の語源は、この人の名前や本の題名からきています。

16世紀イタリア:3次・4次方程式の公式

3次方程式の解の公式は、16世紀のイタリアで見つかりました。ボローニャ大学のデル・フェロが1515年ごろに特別な形の解き方を見つけ、秘密にしていたと伝えられます。1535年にはタルタリアが、試合形式の勝負(問題の出しあい)で3次方程式の解き方を示しました。これを聞きだしたのがカルダノで、1545年の著書『アルス・マグナ(偉大なる術)』に、3次方程式の解の公式と、弟子のフェラーリが見つけた4次方程式の解き方をのせました。

3次方程式 x3+px+q=0x^3+px+q=0 の解は、次のカルダノの公式で表せます。

x=−q2+q24+p3273+−q2−q24+p3273x=\sqrt[3]{-\frac{q}{2}+\sqrt{\frac{q^2}{4}+\frac{p^3}{27}}}+\sqrt[3]{-\frac{q}{2}-\sqrt{\frac{q^2}{4}+\frac{p^3}{27}}}

この公式を使うと、答えが実数でも、計算の途中で負の数の平方根が出てくることがあります。これが、虚数・複素数が生まれるきっかけの一つになりました(くわしくは複素数と2次方程式へ)。

5次方程式への挑戦

3次・4次が解けたのなら、5次も解けるはずだ――そう考えて、オイラーをはじめ多くの数学者が5次の公式を探しました。しかし、見つかりませんでした。

ラグランジュの研究は、1770年ごろ、3次・4次の解き方がなぜうまくいくのかを、解の「入れかえ」という見かたで調べました。そして、この方法を5次方程式にあてはめると、うまくいかなくなることに気づきました。これが、解の入れかえ(置換)を使うガロアの理論の出発点になりました。

1799年:ルフィニの試み

イタリアのパオロ・ルフィニは、1799年に、5次以上の方程式の解の公式は存在しないという証明を発表しました。しかし、この証明には不完全なところがあり、当時はほとんど受け入れられなかったとされています。

1824年:アーベルの証明

ノルウェーの若い数学者ニールス・ヘンリク・アーベル(1802〜1829)は、1824年に、一般の5次方程式には累乗根の解の公式がないことを証明しました。この証明は、お金がなかったため、自費で小さな冊子にして印刷されました。とても短く書かれていたので、読みにくかったと伝えられます。アーベルは、ガウスの研究に送りましたが、ガウスは読まなかったという話もあります(諸説あります)。1826年にはドイツの雑誌に、より詳しい論文が発表されました。アーベルは、貧しさと病気に苦しみ、1829年に26歳で亡くなりました。

ガロア:どの方程式が解けるのか

アーベルの定理は、「一般の5次方程式」の話でした。では、どんな5次方程式は解けて、どんな方程式は解けないのか。この問いに答えたのが、フランスのエヴァリスト・ガロア(1811〜1832)です。ガロアは、方程式の解の入れかえの集まり(群)を調べ、「その群が特別な性質(可解)をもつときだけ、累乗根で解ける」ことを示しました。ガロアは、決闘で傷を負って亡くなる前夜に、研究を手紙にまとめたと伝えられます。この研究は、1846年にリウヴィルが出版して、ようやく世に知られました。

公式を探した300年1535タルタリアが3次方程式を解く1545カルダノ『アルス・マグナ』1824アーベルが5次の不可能を証明1832ガロアが決闘で死去(20歳)1846ガロアの研究が出版される「ない」と分かるまで、公式探しが続いた
3次方程式の公式から、アーベルの証明、ガロアの理論まで
年できごと
古代古代バビロニアで、2次方程式の解き方が使われる
9世紀アル=フワーリズミーが、2次方程式の解き方を整理した本を書く
1515年ごろデル・フェロが、特別な形の3次方程式の解き方を見つけたとされる
1535年タルタリアが3次方程式の解き方を示す
1545年カルダノが『アルス・マグナ』で3次と4次方程式の解の公式をのせる
1770年ごろラグランジュが、解の入れかえの見かたで3次・4次方程式を調べる
1799年ルフィニが、5次の公式は存在しないという証明を発表する(不完全)
1824年アーベルが、一般の5次方程式に累乗根の公式はないことを証明する
1832年ガロアが20歳で亡くなる。前夜に研究を手紙にまとめたと伝えられる
1846年リウヴィルがガロアの研究を出版する
1858年ごろエルミートらが、楕円関数を使って5次方程式の解を表す方法を発表する

5次方程式の解の公式はいつ・だれが解いた?

この問題は、1824年に、ノルウェーのアーベルが(ルフィニの不完全な証明のあとに)解決しました。答えは「一般の5次方程式を、四則と累乗根だけで解く公式は存在しない」です。そして、それを一般の方程式の理論にしたのが、ガロアです。

アーベルの証明の考え方(ざっくり)

アーベルは、背理法を使いました。背理法とはは、「もし公式があったら、矛盾する」と示す方法です。

  1. もし5次方程式に累乗根の公式があるとする。
  2. その公式は、5つの解を、係数から累乗根と四則で作った式として表す。
  3. 5つの解を入れかえたとき、公式の形がどうなるかを調べると、入れかえの種類(120通り)と、公式の構造が合わなくなる。
  4. 矛盾するので、そのような公式はない。

ガロア理論の要点

ガロアは、方程式の解の入れかえ(置換)の集まりをガロア群と名づけ、その群の構造で、方程式が累乗根で解けるかどうかが決まることを示しました。

  • 2次方程式の解の入れかえ:2通り
  • 3次方程式の解の入れかえ:6通り(3の階乗)
  • 4次方程式の解の入れかえ:24通り(4の階乗)
  • 5次方程式の解の入れかえ:120通り(5の階乗)

階乗とはの計算 5!=1205!=120 ですね。この入れかえを「小さな段」で順に分けていけるとき、方程式は累乗根で解けます。2次・3次・4次の場合は小さな段で分けられるので解けますが、5次の場合は、60通りの大きなかたまりから、一気に1通りに落ちるところがあり、小さな段に分けられません。これが、5次方程式が一般には累乗根で解けない理由です。

ガロアの考え方:入れかえの「段」 4次(解けた)5次(解けない) 24通り12通り4通り1通り 120通り60通り1通り 60→1一気に落ちる 小さな段で分けられる方程式だけが、累乗根で解ける(段の数え方はガロア理論。大学で学ぶ)
4次は24→12→4→1と小さな段で分けられるが、5次は120→60→1で、60から一気に落ちる

特別な5次方程式は解ける

アーベル・ルフィニの定理は、「すべての5次方程式が解けない」とは言っていません。たとえば、次のような5次方程式は、累乗根で解けます。

  • x5−32=0x^5-32=0 は、x5=32x^5=32 なので、x=2x=2(のほか、複素数の4つの解)。
  • x5−x=0x^5-x=0 は、x(x4−1)=0x(x^4-1)=0 と因数分解できるので、x=0,±1,±ix=0,\pm1,\pm i。

一方、x5−x−1=0x^5-x-1=0 のような方程式は、ガロア理論によると、累乗根では解けません。この方程式にも実数の解が1つあり(約1.1673)、グラフを見れば確かめられます。ただし、その値は「根号だけの式」では表せないのです。

y=x⁵−x−1 のグラフ x≒1.1673yx 解はある。でも累乗根の式では書けない
y=x⁵−x−1 のグラフは、x軸と1点で交わる。解はあるが、累乗根では書けない
「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

「解の公式がない」は「解がない」ではないよ。どの道具を使えば書けるかという話なんだ。この見かたの変化が、数学を大きく進めたんだよ。

ほかの方法で5次方程式を解く

公式がなくても、5次方程式は解けます。たとえば、ニュートンの業績が研究したニュートン法などの数値計算で、解をいくらでも正確に求められます。また、1858年ごろには、エルミートらが楕円関数という特別な関数を使って、5次方程式の解を式で表す方法を示しました。累乗根だけにこだわらなければ、5次方程式も「公式」で解けるのです。

5次方程式の解の公式はなぜ難しかったのか

1. 「あるはずだ」と思いこんでいた

3次・4次に公式があったので、数学者たちは「5次もある」と信じていました。「ない」可能性を考えること自体が、大きな発想の転換でした。約300年のあいだ、公式を探すことに時間が使われたのです。

2. 「ない」ことの証明には新しい道具が必要だった

「ある」ことは、1つ公式を見せれば示せます。「ない」ことは、あらゆる式の組み合わせがだめだと示す必要があります。式を計算してみるだけでは証明できません。アーベルとガロアは、解の入れかえという、まったく新しい見かたを使いました。これが現代の群論とガロア理論です。

3. 数学者の若さと不遇

アーベルは26歳、ガロアは20歳で亡くなりました。2人の研究は、生きているうちには、ほとんど認められませんでした。アーベルの論文は、コーシーに送られましたが、なくされたと伝えられます。ガロアの論文は、科学アカデミーに提出されたものの、受け入れられなかったとされます。2人の業績が正しく評価されるまでには、数十年がかかりました。

4. 同じ「できない」ことの証明の仲間

ガロア理論は、三大作図問題(円積・立方倍積・角の三等分)が不可能であることの証明にも使われます。また、平行線公準の問題のように、「証明できない」ことを数学が示した歴史上の例としても有名です。近い時代の円周率の超越性の問題とも、同じ「ある数が方程式の解になれるか」という考えでつながっています。

よくある誤解:「5次方程式は解けない」

くり返しますが、5次方程式の解はあります。ガウスの業績と生涯が1799年に示した「代数学の基本定理」により、nn次方程式は複素数の範囲でちょうどnn個の解をもちます。ですから、5次方程式の解は5個あります。「公式で表せない」というのは、解が存在しないことを意味しません。

サクラちゃん

サクラちゃん

アーベルさんとガロアさんは、若くして亡くなってしまったんですね…

合格先生

合格先生

そうだね。でも2人の考えは、いまの数学や、暗号・コンピューターの理論にも使われている。短い人生でも、その考えが長く生きることがあるんだ。

受験・勉強と5次方程式の解の公式のつながり

中学・高校:2次方程式と因数定理

中学校では2次方程式を、解の公式や因数分解で解きます。高校では、3次・4次方程式を、剰余の定理・因数定理を使って因数分解して解きます。入試では、「x=1x=1 を代入すると0になるから、x−1x-1 で割り切れる」という手順がよく使われます。

入試に出る3次方程式の多くは、実はうまく因数分解できるように作られています。カルダノの公式を使うことは、ふつうはありません。それは、公式が長くて、計算が複雑だからです。

高校:複素数と方程式

高校の数学IIで学ぶ複素数と2次方程式やド・モアブルの定理を使うと、x5=1x^5=1 のような方程式の解(1の5乗根)が求められます。5次方程式でも、このような特別な形なら、解を式で書けます。

大学:群論・ガロア理論

大学の数学科では、ガロアの業績と生涯の名前がついたガロア理論を学びます。「置換の群」「体の拡大」「可解群」といった言葉を使って、アーベル・ルフィニの定理を証明します。大学院入試にも出る内容です。

勉強法として:「できない」ことを理由つきで言う

この歴史から学べるのは、「どうやってもできない」ことを、理由つきで言い切る力です。入試でも、「この方程式には、整数の解がないことを示せ」のような問題があります。そのとき、背理法とはや、余りによる場合分けなど、「ありえないこと」を示す道具が役に立ちます。数学の勉強の進め方は、数学の勉強法(解法の暗記→演習→過去問)を参考にしてください。力試しには数学オリンピックの問題もおすすめです。

例題:3次方程式をカルダノの公式で解く

x3+3x−4=0x^3+3x-4=0 を解いてみましょう。p=3p=3、q=−4q=-4 なので、q24=4\dfrac{q^2}{4}=4、p327=1\dfrac{p^3}{27}=1、その和は5です。よって、

x=2+53+2−53x=\sqrt[3]{2+\sqrt5}+\sqrt[3]{2-\sqrt5}

ここで、(1+52)3=2+5\left(\dfrac{1+\sqrt5}{2}\right)^3=2+\sqrt5、(1−52)3=2−5\left(\dfrac{1-\sqrt5}{2}\right)^3=2-\sqrt5 となることを使うと、x=1+52+1−52=1x=\dfrac{1+\sqrt5}{2}+\dfrac{1-\sqrt5}{2}=1 と分かります。実際に x=1x=1 を代入すると、1+3−4=01+3-4=0 で、確かに解です。

身のまわりの「解の公式」

解の公式がない方程式を、コンピューターは数値計算で解いています。ロケットの軌道や橋の強度の計算では、5次以上の方程式がふつうに出てきます。「公式がない」からといって、困ることはなく、数値としては正確な答えを求められます。

5次方程式の解の公式の問題が数学にあたえた影響

  • 群論の誕生:ガロアが考えた「入れかえの集まり(群)」は、現代数学の基本の言葉です。結晶の対称性、素粒子の理論、暗号の理論にも使われています。
  • ガロア理論:方程式の解の性質を、群の構造から調べる理論です。三大作図問題の不可能性や、フェルマーの最終定理の証明(ワイルズ)にも、ガロア理論に近い考えが使われています。
  • アーベル賞:アーベルの名前は、2003年から贈られているノルウェーの数学の賞(アーベル賞)にのこっています。また、「アーベル群」という、交換法則が成り立つ群の名前にもなっています。
  • 「不可能」を証明する数学:「ある道具では解けない」ことを証明する考え方は、平行線公準の問題と並んで、近代数学の大きな特徴になりました。
  • 代数学の変化:「方程式を解く」代数学から、「構造を調べる」代数学へ。19世紀に、数学の見かたが大きく変わりました。

5次方程式の解の公式に挑戦!練習問題

やさしい

  1. 累乗根(√など)と四則だけの解の公式があるのは、何次方程式までですか。
    答えと解説を見る4次方程式までです(2次は古代から、3次・4次は16世紀に見つかりました)。5次以上の一般の方程式には、そのような公式はありません。
  2. 2次方程式 x2−5x+6=0x^2-5x+6=0 を、解の公式で解きなさい。
    答えと解説を見るa=1,b=−5,c=6a=1, b=-5, c=6 なので、x=5±25−242=5±12x=\dfrac{5\pm\sqrt{25-24}}{2}=\dfrac{5\pm1}{2}。よって x=3,2x=3, 2。

ふつう

  1. 2次方程式 x2+2x−4=0x^2+2x-4=0 の解を求めなさい。
    答えと解説を見る解の公式より x=−2±4+162=−2±252=x=\dfrac{-2\pm\sqrt{4+16}}{2}=\dfrac{-2\pm2\sqrt5}{2}= −1±5-1\pm\sqrt5。
  2. 3次方程式 x3+3x−4=0x^3+3x-4=0 の実数解を、カルダノの公式 x=−q2+q24+p3273+−q2−q24+p3273x=\sqrt[3]{-\frac{q}{2}+\sqrt{\frac{q^2}{4}+\frac{p^3}{27}}}+\sqrt[3]{-\frac{q}{2}-\sqrt{\frac{q^2}{4}+\frac{p^3}{27}}} で求めなさい。
    答えと解説を見るp=3,q=−4p=3, q=-4 なので、x=2+53+2−53x=\sqrt[3]{2+\sqrt5}+\sqrt[3]{2-\sqrt5}。(1±52)3=2±5\left(\frac{1\pm\sqrt5}{2}\right)^3=2\pm\sqrt5 なので、x=1+52+1−52=x=\dfrac{1+\sqrt5}{2}+\dfrac{1-\sqrt5}{2}= 1。

むずかしい

  1. 実数係数の5次方程式には、かならず実数の解が少なくとも1つあります。その理由を説明しなさい。
    答えと解説を見るf(x)=x5+⋯f(x)=x^5+\cdots は、xx が十分大きいと正、十分小さい(負の大きな値)と負になります。f(x)f(x) は連続な関数なので、中間値の定理により、どこかで f(x)=0f(x)=0 になります。したがって実数解が少なくとも1つあります。(解の公式がなくても、解の存在は分かります。)
  2. 次の3つの方程式のうち、累乗根と四則だけで解けると分かっているものをすべて選びなさい。(ア) x5−32=0x^5-32=0 (イ) x5−x−1=0x^5-x-1=0 (ウ) x5−x=0x^5-x=0
    答えと解説を見る(ア) は x5=32x^5=32 より x=2x=2 など、(ウ) は x(x4−1)=0x(x^4-1)=0 と因数分解できるので、どちらも解けます。(イ) は、ガロア理論により累乗根では解けないことが知られています。答えは (ア) と (ウ)。

5次方程式の解の公式と関係する数学者・難問

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よくある質問

5次方程式の解の公式とは何ですか?

5次方程式の解を、四則と累乗根(√や³√など)だけで書く公式のことです。2次・3次・4次方程式にはありますが、一般の5次方程式にはそのような公式がないと証明されています。

5次方程式の解の公式はだれがいつ解いたのですか?

1824年にノルウェーのアーベルが、一般の5次方程式に累乗根の解の公式はないことを証明しました。イタリアのルフィニも1799年に証明を発表しましたが、不完全だったとされます。

アーベル・ルフィニの定理とは何ですか?

5次以上の一般の代数方程式には、四則と累乗根だけの解の公式が存在しない、という定理です。アーベルとルフィニの名前がついています。

5次方程式は解けないのですか?

いいえ、解はあります。複素数の範囲で5個あり、コンピューターで数値としていくらでも正確に求められます。解けないのは、累乗根だけの一つの公式で書くことです。

3次方程式と4次方程式の解の公式はだれが見つけたのですか?

3次方程式は、16世紀のイタリアで、デル・フェロやタルタリアが見つけ、1545年にカルダノが本で発表しました。4次方程式の解き方は、カルダノの弟子のフェラーリが見つけました。

ガロア理論とは何ですか?

方程式の解の入れかえの群(ガロア群)の構造を調べて、その方程式が累乗根で解けるかどうかを決める理論です。ガロアが20歳で亡くなる前にまとめ、1846年に出版されました。

すべての5次方程式が累乗根で解けないのですか?

いいえ。x⁵−32=0やx⁵−x=0のような特別な5次方程式は、累乗根で解けます。解けないのは、x⁵−x−1=0のように、ガロア群が大きい方程式です。

5次方程式を解く方法はありますか?

ニュートン法などの数値計算で、解を小数として正確に求められます。また、楕円関数を使えば、5次方程式の解を式で表すこともできます。

5次方程式の解の公式は受験に出ますか?

5次方程式の解の公式そのものは出ませんが、2次の解の公式や、因数定理を使った3次方程式の問題は、高校入試や大学入試に出ます。ガロア理論は大学の数学科で学びます。

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出典・参考

  • MacTutor History of Mathematics, “Niels Henrik Abel”(セント・アンドルーズ大学)
  • MacTutor History of Mathematics, “Évariste Galois”(セント・アンドルーズ大学)
  • N. H. Abel, “Mémoire sur les équations algébriques, où l’on démontre l’impossibilité de la résolution de l’équation générale du cinquième degré”(1824年)
  • G. Cardano, “Ars Magna”(1545年)
  • ジョン・スティルウェル『数学の歴史』

最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦