合格大作戦 数学用語辞典 › 数と式
大学受験
虚数・複素数とは
2乗すると −1 になる数を i(虚数単位)とし、実数 a, b で a+bi と書ける数を複素数といいます。そのうち b=0 のものが虚数、b=0 のものは実数です。
読み方:きょすう・ふくそすう/英語:imaginary number / complex number/習う学年:数学Ⅱ(複素数と2次方程式)、数学C(複素数平面)

うかるくん
2乗してマイナスになる数なんて、本当にあるんですか?
![合格先生]()
合格先生
実数の中にはないね。だから新しい数 i を約束して作ったんだ。i を使うと、どんな2次方程式にも解があることになって、計算がすっきりするんだよ。
この用語のポイント
- i2=−1。a+bi(a, b は実数)が複素数
- b=0 なら虚数、b=0 なら実数、a=0, b=0 なら純虚数
- −2−3=−6。先に i を使った形に直す
やさしく言うと
実数は、2乗すると必ず 0 以上になります。だから x2=−1 となる実数はありません。そこで、2乗すると −1 になる新しい数を考えて、i と書きます。i を虚数単位といいます。たとえで考えてみましょう。
- 負の数ができたときと同じ:昔は「3 − 5」は答えのない計算でした。負の数を考えたことで、答えが出せるようになりました。虚数も同じで、「2乗して −1」に答えを出すために考えられた数です。
- 数直線の外へ出る:実数は 1 本の数直線にならびます。虚数は、その数直線の外(たての方向)にある数だと考えると、平面の点として表せます。
- 向きを 90° 変える数:数直線の上で「−1 をかける」は、向きを反対(180°)にすることです。i をかけるのは、その半分の 90° だけ回すことだと考えられます。2 回かけると 180° 回って −1 倍、つまり i2=−1 です(数学Cの複素数平面で学びます)。
実数 a, b を使って a+bi と書ける数を複素数といいます。a を実部、b を虚部といいます。複素数のうち、b=0 のものが虚数です。b=0 なら a だけが残り、ふつうの実数になります。
複素数は実数と虚数に分かれ、虚数の中に純虚数があるまとめると、複素数は「実数」と「虚数」を全部ふくむ、いちばん大きな数のなかまです。
虚数の例と、虚数ではない数
○ 虚数
- 2+3i、1−i(虚部が 0 でない)
- 5i、−i(純虚数)
- −4=2i(負の数の平方根)
- 1±2i(x2−2x+5=0 の解)
- 21+i(実部 21、虚部 21)
- i3(= −i)
× 虚数ではない数(実数)
- 3、0、2、π(実数)
- i2(= −1)
- (1+i)(1−i)(= 2)
- 2i×3i(= −6)
- i4(= 1)
- (2+i)+(3−i)(= 5)
見た目に i があっても、計算すると実数になることがあります。答えは a+bi の形に整理してから判断しましょう。
図で見る
数は、「できない計算」を できるようにするたびに、なかまを広げてきました。ひき算のために整数、わり算のために有理数、2 のような数のために実数、そして x2=−1 のために複素数です。
自然数 ⊂ 整数 ⊂ 有理数 ⊂ 実数 ⊂ 複素数複素数 a+bi は、横に a、たてに b をとった点で表せます。これを複素数平面といいます。実数は横軸(実軸)の上、純虚数はたて軸(虚軸)の上の点です。
複素数平面:2+3i は右へ2・上へ3の点複素数平面では、i をかけることは「原点のまわりに 90° 回す」ことになります。
i をかけるたびに 90° 回る。2 回で反対向き → i²=−1![うかるくん]()
うかるくん
「虚」って「うそ」って意味ですよね。うその数を勉強して意味があるんですか?
![合格先生]()
合格先生
名前は「想像上の数」くらいの意味でつけられたんだ。でも今では、回転を計算で表せる便利さから、電気の交流の計算や、物理・工学で毎日のように使われている、とても「実用的」な数なんだよ。
計算のしかた
i を文字のように計算し、i2 が出たら −1 におきかえます。
- たし算:(2+3i)+(1−i)=3+2i(実部どうし、虚部どうし)
- かけ算:(1+i)2=1+2i+i2=2i
- 共役複素数:a+bi に対して a−bi。(2+3i)(2−3i)=4−9i2=13 のように、かけると実数になります。
- わり算:分母の共役複素数を分母・分子にかけて、分母を実数にします。1−i1+2i=(1−i)(1+i)(1+2i)(1+i)=2−1+3i
2つの複素数が等しいのは、実部どうし・虚部どうしが両方等しいときです(a, b, c, d が実数のとき、a+bi=c+di⇔a=c, b=d)。これを使うと、1 つの式から 2 つの式が作れます。
![ひらめいたうかるくん]()
うかるくん
i は文字と同じに計算して、i² を見たら −1 にかえる。これだけでいいんだ!
![ひらめいたうかるくん]()
うかるくん
i の2乗を −1 に置きかえれば、ふつうの文字式と同じに計算できる!
2次方程式と虚数解
2次方程式は、判別式 D<0 のときも虚数の範囲なら解があることになります。x2−2x+5=0 の解は x=1±2i です(この2つの解を虚数解といいます)。実数の係数の2次方程式なら、虚数解はいつも共役複素数のペアで出てきます。
複素数平面と絶対値
原点から点までの距離が、複素数の絶対値です。∣2+3i∣=22+32=13 です。a+bi と、共役複素数 a−bi は、実軸について対称な点になります。複素数平面は、高校の数学Cで習います。
テスト・入試ではこう出る
数学Ⅱでは、複素数の四則計算、虚数解をもつ2次方程式、解と係数の関係がよく出ます。数学Cでは、複素数平面での回転や、ド・モアブルの定理を使う問題が出ます。
例題1(計算)
次の計算をしなさい。(1) (3+2i)(1−4i) (2) 1+2i3+i
(1)
- 文字式と同じように展開:(3+2i)(1−4i)=3−12i+2i−8i2
- i2=−1 におきかえる:3−10i+8=11−10i
(2)
- 分母の共役複素数 1−2i を、分母・分子にかける:(1+2i)(1−2i)(3+i)(1−2i)
- 分母は 1−4i2=1+4=5、分子は 3−6i+i−2i2=5−5i
- 55−5i=1−i
答え (1) 11−10i (2) 1−i
例題2(2次方程式)
2次方程式 x2+4x+13=0 を解きなさい。
- 解の公式に a=1, b=4, c=13 を入れる:x=2−4±16−52=2−4±−36
- −36=6i なので、x=2−4±6i=−2±3i
- (たしかめ)解と係数の関係で、和 (−2+3i)+(−2−3i)=−4、積 4−9i2=13。
答え x=−2±3i(判別式 D=−36<0 なので、2つの虚数解)
まちがえやすい点
![腕でバツを作る合格先生]()
合格先生
−2×−3=6 は×! 先に 2i×3i=−6 と直そう。
- −2×−3=6 とする:先に −2=2i、−3=3i に直します。2i×3i=6i2=−6 が正しい答えです。ab=ab は a, b が負のときは使えません。
- 虚数と純虚数をまぜる:2+3i は虚数ですが、純虚数ではありません。純虚数は実部が 0 の虚数(5i など)です。
- 虚数に大小をつける:2i>i のような大小は考えません。大小を比べられるのは実数だけです。
- i2 を 1 にする:i2=−1 です。(2i)2=4i2=−4 で、4 ではありません。
- 「実数 a, b」の条件を忘れる:a+bi=0 から a=0, b=0 と言えるのは、a, b が実数のときだけです。
ことばの由来
「虚」は「実」の反対で、実数に対して虚数と呼ばれます。英語では imaginary number(想像上の数)といい、虚数単位の記号 i はその頭文字です。複素数の英語 complex number の complex は「いくつかが組み合わさった」という意味で、実部と虚部の 2 つが組み合わさった数であることを表しています。
ミニ問題
問題1 i3、i4、i10 をそれぞれ計算しましょう。
答えと解き方を見る
i3= −i、i4= 1、i10= −1 です。i3=i2×i=−i、i4=(i2)2=1。i の累乗は i, −1, −i, 1 の 4 つをくり返すので、i10=i8×i2=1×(−1)=−1。
問題2 (2+i)(2−i) を計算しましょう。答えは実数ですか、虚数ですか。
答えと解き方を見る
5(実数)です。(2+i)(2−i)=4−i2=4+1=5。2+i と 2−i は共役複素数で、共役どうしをかけると、いつも実数 a2+b2 になります。
問題3 2次方程式 x2−6x+10=0 を解きましょう。
答えと解き方を見る
x=3±i です。x=26±36−40=26±−4=26±2i=3±i。実数の係数の2次方程式の虚数解は、必ず共役複素数のペアになります。
関連する公式・用語
公式辞典で、くわしい証明と例題を見る
あわせて覚えたい用語
よくある質問
虚数とは簡単にいうと何ですか?
2乗すると−1になる数iを使って、a+bi(bは0でない)と書ける数です。実数の中にはない、新しく考えた数です。
虚数と複素数のちがいは何ですか?
複素数はa+biと書ける数すべてで、実数もふくみます。そのうちbが0でないものが虚数です。
純虚数とは何ですか?
実部が0で、虚部が0でない複素数です。5iや−2iなどです。
複素数のわり算はどうしますか?
分母の共役複素数を分母と分子にかけて、分母を実数にします。たとえば (3+i)÷(1+2i) は (1−2i) をかけて 1−i になります。
虚数に大小はありますか?
ありません。2iとiのような虚数どうしや、虚数と実数の大小は考えません。大小を比べられるのは実数だけです。
虚数は何年生で習いますか?
高校の数学Ⅱで、2次方程式の解として習います。複素数平面は数学Cで学びます。
出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編」数学Ⅱ(いろいろな式:複素数と2次方程式)・数学C(複素数平面)
最終更新:2026年10月13日/作成:大学受験合格大作戦