数学の難問・未解決問題の一覧 › 代数幾何
未解決
ホッジ予想
ひとことで言うと
図形の穴のうち「検査に合格したもの」は、すべて「方程式で作れる部分図形」から作れるか。1950年に発表され、100万ドルの懸賞問題。2026年11月時点で未解決。
| 問題 | 方程式の解がつくる図形で、(p,p)の形の有理数係数の穴(ホッジ類)は、すべて方程式で切り取れる部分図形(代数的サイクル)の和で表せるか |
|---|---|
| 出された年 | 1950年(ウィリアム・ホッジ、国際数学者会議) |
| 状態 | 未解決(2026年11月時点) |
| 懸賞金 | 100万ドル(クレイ数学研究所、2000年のミレニアム懸賞問題) |
| 公式の問題説明 | ピエール・ドリーニュ |
| 分かっていること | (1,1)の場合は成り立つ。次元が4より小さいときも成り立つ |
| 分野 | 代数幾何学・複素幾何学・位相幾何学 |
このページのポイント
- ホッジ予想は「図形の穴のうち検査に合格したもの(ホッジ類)は、方程式で作れる部分図形から作れるか」という問題。解析と代数がぴったり一致するか、を問う
- (1,1)の場合はレフシェッツが1924年に証明。整数係数や射影的でない図形では成り立たないことも分かっている。2000年にクレイ数学研究所が100万ドルの懸賞問題に
- 2026年11月時点で未解決。このページは「いつ解けるか」は予想しない。次元4の場合が最初の未解決
ホッジ予想とは?(ひとことで)
ホッジ予想とは、「方程式の解がつくる図形の“穴”のうち、ある検査に合格したものは、すべて、方程式で切り取れる部分図形から作れるのか」という問題です。1950年にイギリスの数学者ウィリアム・ホッジが、国際数学者会議で発表しました。2000年に、アメリカのクレイ数学研究所が7つのミレニアム懸賞問題の1つに選び、解決した人には100万ドルの賞金が用意されています。
ひとことで言うと、「解析(なめらかな世界の検査)」と「代数(方程式の世界の部品)」が、ぴったり一致するのか、という問題です。クレイ数学研究所のページでは「未解決」とされています。公式の問題説明はフランスの数学者ピエール・ドリーニュが書いています。2026年11月時点で、解決は公式に認められていません。このページは「いつ解けるか」を予想しません。
ミレニアム懸賞問題の中でも、ホッジ予想はいちばん説明がむずかしい問題だといわれます。言葉の準備がたくさん必要だからです。このページでは、ドーナツの輪や方程式のグラフのたとえを使って、一つずつ準備していきます。
うかるくん
ホッジ予想って、説明を読んでもぜんぜん分からないです…
合格先生
だいじょうぶ。専門家でもむずかしい問題だからね。まずは3つの言葉だけ覚えよう。「方程式でつくる図形」「図形の穴(輪)」「穴を作る部品」。この3つがつながるかどうか、という話なんだ。
ホッジ予想の意味をやさしく解説
準備1:方程式がつくる図形(代数多様体)
方程式の解を、座標平面にならべると図形になります。 の解は円、 の解は放物線です(円の方程式、2次曲線(放物線・楕円・双曲線))。このように、多項式の方程式の解の集まりがつくる図形を、数学では代数多様体とよびます。デカルトが座標を使って方程式と図形を結びつけたことが、この考え方の出発点です(デカルトの業績と生涯)。
ホッジ予想では、複素数(虚数・複素数)まで広げて、方程式の解を考えます。複素数は、実数が2つ組になったものなので、複素数1つ分の「直線」は、実数でいえば「平面」になります。だから、複素数の世界の「曲線」は、本当は曲面です。たとえば、楕円曲線 は、複素数の世界ではドーナツの表面と同じ形になります。
準備2:図形の「穴」の数え方
図形の形を調べるとき、「穴がいくつあるか」はとても大切です。ドーナツの表面の上には、ゴムひもをかけてもつぶせない輪が2種類あります。ドーナツ全体を1周する輪と、管のまわりを1周する輪です。球面(風船の表面)の上には、どんな輪もつぶせるので、そのような輪はありません。
このように、図形のつぶせない輪や、閉じた面を分類する数学をホモロジーといい、その種類の数をベッチ数とよびます。ベッチ数は、頂点・辺・面の数の関係(オイラーの多面体定理 V−E+F=2)とも深くつながっています。球面は「V−E+F=2」、ドーナツは「V−E+F=0」になります。
準備3:方程式で切り取れる部分図形(代数的サイクル)
ある図形(代数多様体)の中に、さらに別の方程式を加えて切り取った部分図形を考えます。たとえば、3次元の空間の球面を、平面 で切ると、円が現れます。このように、方程式で切り取れる部分図形は、もとの図形の中の「穴の仲間」を作ります。この部分図形のことを代数的サイクルといいます。
たとえば、連立方程式 と の交点は、複素数まで入れるとちょうど4個(次数 2×2)になります。こういう「数え上げ」が、方程式の世界のきれいな法則の例です。
ホッジ予想が聞いていること
図形の穴の種類は、有理数(分数)を係数にして足し合わせることで、「穴のクラス」として扱えます(有理数とは)。ところが、ホッジが調べた結果、複素数の世界では、穴のクラスをさらに「(p,q) の形」という色に分けられることが分かりました。これをホッジ分解といいます。そのうち (p,p) の形で、有理数の係数をもつクラスをホッジ類とよびます。ホッジ類は、いわば「検査に合格した穴」です。
一方、代数的サイクル(方程式で切り取れる部分図形)が作る穴のクラスは、かならず検査に合格する(ホッジ類になる)ことが、すでに知られています。
そこで、ホッジ予想は、この逆を問います。
- 検査に合格したクラス(ホッジ類)は、かならず、代数的サイクルの有理数係数の和で表せるのか?
つまり、「検査に合格」と「方程式で作れる」は、ぴったり同じなのか、という予想です。数式で書くと、非特異な複素射影代数多様体 に対して、「 の元は、 の部分多様体のクラスの有理数係数の一次結合である」となります。
ホッジ・ダイヤモンド:穴の「色分け」
穴を(p,q)の形で分けた個数を、ひし形(ダイヤモンド)にならべたものを、ホッジ・ダイヤモンドといいます。ドーナツ形の楕円曲線では、上から「1/1 1/1」の形です。真ん中の段()が検査に合格する場所です。
少し複雑な図形に、K3曲面(4次元の実の図形で、複素の2次元)があります。K3曲面では、穴の個数は真ん中の段で 1+20+1=22 となります。そのうち、(1,1) の形が20個で、方程式で作れるクラスは、そのうち最大20個までです。
ホッジ予想が聞いているのは、赤い場所にある穴の中で「有理数の係数をもつもの」が、本当にすべて方程式の部分図形から作れるのか、ということです。
ホッジ予想が成り立つ場合・成り立たない場合
ホッジ予想は、条件を変えると、成り立たなくなることが知られています。
- 整数の係数にすると成り立たない:1961年に、アティヤとヒルツェブルフが、整数の係数にしたホッジの最初の予想に反例があることを示しました。そのため、係数は有理数(分数)でなければなりません。
- 「射影的」でないと成り立たない:図形が「射影的」(方程式で書ける)でなく、一般の「ケーラー多様体」になると、成り立たない例があります(ザッカー、1977年。ヴォワザン、2002年)。方程式で書けることが大切です。
- ホッジ自身の一般化は成り立たない:1969年に、グロタンディークが、ホッジが最初に考えた一般化は成り立たないことを指摘し、直した形を提案しました。この直した形は、今も未解決です。
条件が、ちょうどぎりぎりの場所に置かれていることが、この問題の不思議なところです。
ホッジ予想の歴史と年表
1930年代:ホッジの調和積分の理論
ウィリアム・ホッジは、1930年代に、図形の穴をなめらかな関数の方程式(調和積分)で調べる理論(ホッジ理論)を作りました。この理論で、複素数の世界の図形の穴が、きれいに(p,q)の形に分かれることが示されました。ホッジ理論は、のちの代数幾何・複素幾何の基礎となり、小平邦彦の業績と生涯の小平の消滅定理(1953年)や埋め込み定理(1954年)などにも発展します。
1924年:レフシェッツの(1,1)定理
アメリカ(ロシア生まれ)の数学者ソロモン・レフシェッツは、1924年に、(1,1)の形のクラスはすべて方程式で切り取れる部分図形(曲線のような「1次元下の図形」)から作れることを示しました。これは、ホッジ予想の最初の重要な結果です。ホッジ予想が発表されるより前の仕事ですが、ホッジ予想の一番やさしい場合になっています。
1950年:ホッジの予想
1950年、アメリカ・ケンブリッジで開かれた国際数学者会議で、ホッジはこの予想を発表しました。当時は、整数の係数でも成り立つと考えられていました。
1961〜1969年:条件の直し
1961年、アティヤとヒルツェブルフが、整数の係数では成り立たない例を示しました(ねじれを使った例)。アティヤの業績と生涯は、位相幾何学とK理論という新しい道具を使いました。1969年にはグロタンディークの業績と生涯が、ホッジが考えた一般化にも反例があることを指摘し、直した形を提案しました。
1977〜2002年:条件をはずしてはいけない
1977年にザッカーが、1992年にコラールが、2002年にヴォワザンが、条件を少しゆるめると予想が成り立たない例を作りました。これらの結果は、ホッジ予想を成り立たせている条件が、本当にぎりぎりであることを教えてくれます。
1995年:カッターニ・ドリーニュ・カプランの定理
1995年に、カッターニ、ドリーニュ、カプランの3人が、図形が少しずつ変わる家族の中で、ホッジ類をもつ場所は、方程式で表せる(代数的な)集まりになることを示しました。ホッジ予想を仮定せずに示されたこの結果は、予想が正しいことを後押しする大きな成果です。
2000年:100万ドルの懸賞問題
2000年5月24日、クレイ数学研究所はパリで7つのミレニアム懸賞問題を発表しました。ホッジ予想もその1つです。ほかにはリーマン予想、P≠NP予想、ナビエ–ストークス方程式の問題、ヤン–ミルズ方程式の問題、BSD予想、ポアンカレ予想があり、解決とされたのはポアンカレ予想だけです。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1924年 | レフシェッツが、(1,1)の形のクラスは方程式から作れることを示す |
| 1930年代 | ホッジが、調和積分の理論(ホッジ理論)を作る |
| 1950年 | ホッジが、国際数学者会議でホッジ予想を発表 |
| 1961年 | アティヤとヒルツェブルフが、整数の係数ではホッジの予想が成り立たない例を示す |
| 1969年 | グロタンディークが、ホッジの一般化は成り立たないと指摘し、直した形を提案 |
| 1977年 | ザッカーが、射影的でない図形では成り立たない例を作る |
| 1995年 | カッターニ・ドリーニュ・カプランが、ホッジ類をもつ場所は代数的な集まりになることを示す |
| 2000年 | クレイ数学研究所が、100万ドルの懸賞問題に選ぶ |
ホッジ予想は今どこまで分かっている?(2026年11月時点)
ホッジ予想は未解決です。クレイ数学研究所のページでも「未解決」とされています。私たちは「いつ解けるか」を予想しません。ここでは、分かっていることと分かっていないことを整理します。
分かっていること
- (1,1) の場合は成り立つ(レフシェッツ、1924年):方程式で書ける図形の中で、1次元だけ小さい部分図形(余次元1)から作れるクラスについては、予想は正しいです。
- 次元が小さければ成り立つ:クレイ数学研究所のページには、図形の次元が4より小さいとき、予想が成り立つと書かれています。(1,1) の場合と、その「裏返し」(ハード・レフシェッツ定理)から導かれます。
- いくつかの特別な型の図形では成り立つ:くわしい性質をもつ図形(アーベル多様体の特別な型など)では、成り立つことが知られています。
- 予想を仮定しなくても成り立つ部分:カッターニ・ドリーニュ・カプランの定理(1995年)のように、ホッジ予想を使わずに、その「代数性」にかかわる部分が示されています。
分かっていないこと
- 図形の次元が4以上で、ちょうどまん中の (2,2) の形のクラスなど、レフシェッツの定理でカバーできない場合(クレイ数学研究所のページによると、4次元の場合は未解明)。
- 一般の図形で、ホッジ類がすべて代数的サイクルから作れるか。
最近の動きと、気をつけたい点
ホッジ予想は、ミレニアム懸賞問題の中でも、一般向けの解説が少なく、「解けた」という話が出ることもまれな問題です。2026年11月に確認した範囲では、専門家に認められた解決はありません。査読(専門家による確認)が終わっていない主張は、そのまま信じないことが大切です。

合格先生
数学では条件がとても大事だよ。「整数なら」「射影的なら」で結果が変わるように、入試でも条件の見落としが命取りになる。問題文の条件に線を引くくせをつけよう。
ホッジ予想はなぜ難しいのか
1. 「解析」と「代数」という、まったくちがう世界をつなぐ
ホッジ類は、なめらかな関数(解析)の言葉で決まる検査です。一方、代数的サイクルは、方程式(代数)で作られる部品です。ホッジ予想は、この2つの世界が、ぴったり一致すると言っています。道具がまったくちがう世界を結ぶ橋を架ける必要があります。
2. 部品を「作る方法」が見つからない
検査に合格したクラスがあるとき、その部品となる部分図形を具体的に作る方法が、ほとんどの場合で分かっていません。レフシェッツの定理((1,1)の場合)は、「関数の零点」を使って部分図形を作れますが、(2,2)以上では、同じ手が使えないのです。
3. 条件が「ぎりぎり」
先ほど見たように、整数係数にしたり、射影的でない図形に広げたりすると、予想は成り立たなくなります。成り立つ条件と成り立たない条件の境目が、とても細いのです。このため、「一般の理論が成り立つ」と考えて道具を作ると、反例にぶつかることがあります。
4. 例を調べるのも難しい
ポアンカレ予想のように、図形の形そのものを調べる問題とちがい、ホッジ予想は「代数的な図形」に限った話です。例が少なく、確かめられるのは次元の小さな場合が中心です。コンピューターで調べようにも、数え上げる対象が「無限」にあるため、確かめきれません。
5. 反例がないのに、証明もない
専門家の多くは、ホッジ予想が正しいと考えている、といわれます。しかし、P≠NP予想のように「予想が正しい」と信じる人が多くても、それは証明ではありません。逆に、反例が見つかるかもしれない、という可能性も消えていません。
サクラちゃん
穴を数えるのと、方程式で図形を作るのって、どうしてつながるんですか?
合格先生
いい質問だね。方程式の図形は、複素数の世界では、とてもきれいな構造をもつんだ。その構造のおかげで、穴の分類に「検査」ができる。逆に、方程式で切り取った部分図形は、必ずその検査に合格する。ホッジ予想は「合格した穴は、全部そうやって作れる」と言っているんだ。
受験・勉強とホッジ予想のつながり
中学受験:立体の切り口と穴
中学受験の算数には、立方体や円柱を平面で切ったときの切り口の形を考える問題があります。ホッジ予想で出てくる「方程式で切り取った部分図形」は、まさにその一般版です。また、立方体の頂点・辺・面の数を数えて「頂点−辺+面=2」になることを確かめるのも、穴の数え方の入り口です(立方体は 8−12+6=2)。
高校受験・大学受験:2次曲線と複素数
高校数学で習う2次曲線(放物線・楕円・双曲線)は、代数多様体の一番やさしい例です。また、方程式の解を複素数まで広げて考えると、解の個数がきれいにそろう(解と係数の関係)という経験は、ホッジ予想で複素数の世界を使う理由につながっています。大学入試の接線の方程式や、球の方程式と平面との交わりの問題は、「方程式で図形を切り取る」練習そのものです。
大学の数学:代数幾何・トポロジー
大学では、代数幾何学(方程式と図形)、位相幾何学(穴の数え方)、複素幾何学(複素数の世界の図形)を別々に学びます。ホッジ予想は、この3つの分野が出会う場所に立つ問題です。数学科を目指すなら、算数・数学 公式と用語の一覧(学年別・分野別)で基礎を確かめておきましょう。数式に出てくる記号は数学でよく使う記号の意味一覧にまとめてあります。
勉強法として:「条件」をていねいに読む
ホッジ予想から学べるのは、条件が少し変わるだけで、結論が変わるということです。整数なのか有理数なのか、射影的なのか一般のケーラーなのか。入試の数学でも、「自然数」「実数」「整数」といった条件の読みちがいは大きな失点につながります。数学の勉強法(解法の暗記→演習→過去問)では、答案で条件を見落とさないための習慣も紹介しています。
ホッジ予想が数学・社会にあたえる影響
- 代数幾何学・複素幾何学の発展:ホッジ理論は、方程式で書ける図形の研究に欠かせない道具です。ホッジ予想を解くための試みから、モチーフの理論(グロタンディークの構想)や、混合ホッジ構造(ドリーニュ)など、新しい理論が作られました。
- 数論との結びつき:代数多様体の穴とホッジ類の理論は、整数の性質を調べる数論とも関わります。BSD予想は、楕円曲線という代数多様体の整数・有理数の点の問題で、ホッジ予想と同じ「代数的な部品」の予想の仲間です。
- 弦理論との関わり:素粒子物理の「弦理論」では、カラビ・ヤウ多様体とよばれる図形が重要な舞台です。その形の研究に、ホッジ数が使われます。
- ほかの難問とのつながり:リーマン予想は、素数に関するゼータ関数の問題ですが、代数多様体のゼータ関数に関する「ヴェイユ予想」(1970年代にドリーニュが証明)は、ホッジ理論と近い考え方で解かれました。モーデル予想も、代数曲線の有理数点という、代数幾何と数論の境目の問題です。
リーマンの業績と生涯が作った「リーマン面」(複素曲線)の理論が、現代のホッジ理論の出発点になっています。またセールの業績と生涯は、代数幾何と複素幾何を結びつける仕事(GAGA)で知られています。
ホッジ予想に挑戦!練習問題
やさしい
- 立方体の頂点の数、辺の数、面の数をそれぞれ求め、「頂点−辺+面」を計算しなさい。
答えと解説を見る
頂点は8個、辺は12本、面は6つ。8−12+6=2。球面と同じ値で、立方体には「つぶせない輪」がありません(オイラーの多面体定理)。 - ドーナツの表面の上にある、ゴムひもをかけてもつぶせない輪は、何種類ありますか。
答えと解説を見る
ドーナツ全体を1周する輪と、管のまわりを1周する輪の2種類です。
ふつう
- K3曲面のホッジ数は、、、 です。真ん中の次元の穴の個数(ベッチ数)はいくつですか。また、方程式で作れるクラスは最大でいくつの次元ですか。
答えと解説を見る
なので22。方程式で作れるクラスは (1,1) の形にあるので、最大で20です。 - 楕円曲線(ドーナツの表面)のホッジ数は、、、 です。穴の個数(ベッチ数)の合計と、「0次の個数−1次の個数+2次の個数」を求めなさい。
答えと解説を見る
0次は1、1次は 1+1=2、2次は1なので、合計は 1+2+1=4。交互に足すと 1−2+1=0(ドーナツの値と同じ)。
むずかしい
- 円 と放物線 の交点を、複素数まで入れて数えなさい。そのうち実数の交点はいくつですか。
答えと解説を見る
を代入すると 、つまり として 、。正の から実数の が2個(実数の交点は2個)。負の から虚数の が2個。複素数まで入れると合計4個(次数 2×2)です。 - 複素次元が5の図形で、(p,p) の形のクラスについて、p=0,1,2,3,4,5 のうち、(1,1) の場合とその裏返しの対応から分かっているものと、まだ分かっていないものを答えなさい。
答えと解説を見る
分かっているのは p=0, 1, 4, 5(p=0, 5 は当たり前、p=1 はレフシェッツの定理、p=4 はその裏返し)。分かっていないのは p=2 と 3 です。
ホッジ予想と関係する数学者・難問
- 小平邦彦の業績と生涯:ホッジ理論を発展させ、複素多様体の研究を大きく進めました。
- アティヤの業績と生涯:1961年にヒルツェブルフとともに、整数係数のホッジ予想の反例を示しました。
- グロタンディークの業績と生涯:1969年にホッジの一般化を直し、モチーフの理論を構想しました。
- リーマンの業績と生涯:複素曲線(リーマン面)の理論の出発点を作りました。
- BSD予想・ポアンカレ予想・リーマン予想・ナビエ–ストークス方程式の問題・ヤン–ミルズ方程式の問題・P≠NP予想:同じミレニアム懸賞問題の仲間です。
ほかの未解決の難問
- 奇数の完全数はあるかとは(未解決)
6・28のように約数の和が自分の2倍になる完全数。偶数のものは52個見つかっているが、奇数の完全数は1つも見つかっていない - ゴールドバッハ予想とは(未解決)
4以上の偶数は2つの素数の和で表せるか。とても大きな数まで確かめられているが証明はない(奇数版の「弱い予想」は2013年に証明が発表された) - 双子素数予想とは(未解決)
3と5、11と13のように差が2の素数の組は無限にあるか。2013年に「差が7000万以下の組は無限」と分かり、その後246まで縮まった - リーマン予想とは(未解決)
ゼータ関数の「自明でない零点」は、すべて実部が1/2の直線上にあるか。素数の分布のかぎ。ミレニアム懸賞問題 - コラッツ予想とは(未解決)
偶数なら2でわり、奇数なら3倍して1を足す。どんな数から始めても1にたどり着くか - バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想とは(未解決)
楕円曲線の上の有理数の点の個数を、関数で読み取れるか。ミレニアム懸賞問題 - P≠NP 予想とは(未解決)
答えを確かめるのが速い問題は、答えを見つけるのも速いのか。コンピューターの世界の最大の難問。ミレニアム懸賞問題 - ナビエ–ストークス方程式の解の存在となめらかさとは(未解決)
水や空気の流れを表す方程式に、いつでもなめらかな解があるか。ミレニアム懸賞問題 - ヤン–ミルズ方程式と質量ギャップ問題とは(未解決)
素粒子の力を表す理論を数学として厳密に作れるか。ミレニアム懸賞問題
← 前の時代:コラッツ予想とは(未解決) | 次の時代:バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想とは(未解決) →
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よくある質問
ホッジ予想とは何ですか?
ホッジ予想とは、方程式の解がつくる図形(代数多様体)の穴のうち、(p,p)の形で有理数の係数をもつもの(ホッジ類)は、すべて、方程式で切り取れる部分図形の有理数係数の和として表せるか、という未解決問題です。
ホッジ予想はだれがいつ出しましたか?
1950年に、イギリスの数学者ウィリアム・ホッジが、アメリカで開かれた国際数学者会議で発表しました。その背景には、1930年代にホッジが作った調和積分の理論(ホッジ理論)があります。
「代数的サイクル」とは何ですか?
図形の中で、さらに方程式を加えて切り取った部分図形(曲線・曲面など)のことです。たとえば、球面を平面で切ると円が現れます。ホッジ予想は、検査に合格した穴が、この部品から作れるかを問います。
100万ドルの懸賞金とは何ですか?
2000年にアメリカのクレイ数学研究所が、この予想を含む7つの問題を「ミレニアム懸賞問題」に選び、各問題の解決に100万ドルの懸賞金をつけました。解決とされた問題はポアンカレ予想だけです。
ホッジ予想は解けているのですか?
2026年11月時点で、解決とは公式に認められていません。(1,1)の場合(レフシェッツ、1924年)や、図形の次元が4より小さい場合は成り立つことが分かっていますが、一般の場合は未解決です。
なぜ有理数の係数でなければいけないのですか?
整数の係数にすると、成り立たない例があるからです。1961年にアティヤとヒルツェブルフが、整数係数のホッジの最初の予想に反例があることを示しました。そのため、係数は有理数(分数)とします。
ホッジ・ダイヤモンドとは何ですか?
図形の穴を (p,q) の形に分けたときの個数を、ひし形にならべた表です。真ん中の列(p=q)が、方程式から作れる部分図形に関わる場所です。たとえばK3曲面では、真ん中の段が 1・20・1 となります。
ホッジ予想はほかの予想とどうつながりますか?
BSD予想は楕円曲線という代数多様体の点の問題で、同じ「代数的な部品」に関する予想です。ヴェイユ予想(ドリーニュが証明)は、ホッジ理論に近い考え方で解かれ、リーマン予想の仲間といえます。
ホッジ予想は受験に出ますか?
予想そのものは出ませんが、立体の切り口、頂点・辺・面の数の関係、2次曲線、複素数と方程式の解など、基本の考え方は中学受験から大学入試まで関わります。
あわせて読みたい
出典・参考
- P. Deligne, “The Hodge conjecture”(クレイ数学研究所の公式問題説明)
- クレイ数学研究所「Hodge Conjecture」のページ(claymath.org/millennium/hodge-conjecture/)
- W. V. D. Hodge, “The topological invariants of algebraic varieties”(1950年、国際数学者会議の講演)
- M. Atiyah, F. Hirzebruch, “Analytic cycles on complex manifolds”(Topology, 1962年)
- C. Voisin, “A counterexample to the Hodge conjecture extended to Kähler varieties”(International Mathematics Research Notices, 2002年)
最終更新:2026年11月3日/作成:大学受験合格大作戦



