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ハミルトンWilliam Rowan Hamilton
ひとことで言うと
橋の上でひらめいた四元数で「かける順番で答えが変わる数」を作った、アイルランドの天才。ハミルトン閉路やケーリー・ハミルトンの定理にも名が残る。
| 名前 | ウィリアム・ローワン・ハミルトン(William Rowan Hamilton) |
|---|---|
| 生没年 | 1805年8月4日〜1865年9月2日(60歳) |
| 国 | アイルランド(ダブリン生まれ、ダブリンで活躍) |
| 分野 | 代数・力学・光学・天文学 |
| 主な業績 | 四元数の発見(1843年)、ハミルトン力学、円錐屈折の予言、アイコシアン・ゲーム(ハミルトン閉路) |
| 名前がつくもの | 四元数(ハミルトン数)・ケーリー・ハミルトンの定理・ハミルトン閉路・ハミルトニアン・ハミルトンの正準方程式 |
| よばれ方 | アイルランド王室天文学者、サー・ウィリアム・ハミルトン |
このページのポイント
- 1843年10月16日、ブルーム橋で四元数 をひらめいた。かける順番で答えが変わる数をはじめて作った
- 大学入試のケーリー・ハミルトンの定理、グラフのハミルトン閉路、物理のハミルトニアンの3つに名前が残っている
- 四元数は、いまも3Dゲーム・ロボット・人工衛星の回転の計算に使われている
ハミルトンは何をした人?(業績をひとことで)
ウィリアム・ローワン・ハミルトン(1805〜1865年)は、アイルランドの数学者・物理学者・天文学者です。複素数をさらに広げた四元数(しげんすう)を発見し、力学を新しい形で書きあらわすハミルトン力学(ハミルトンの方程式)を作り、グラフ理論のハミルトン閉路(すべての点をちょうど1回通る道)の名前のもとにもなりました。さらに、大学入試でおなじみのケーリー・ハミルトンの定理にも、名前が残っています。
ハミルトンといえば、まず有名なのが1843年10月16日の出来事です。ダブリンの運河ぞいの橋(ブルーム橋)を散歩していたとき、四元数のかけ算の規則がとつぜんひらめき、その場で橋の石に式をきざんだと伝えられています。橋には今も記念の銘板(めいばん)があります。受験生にとってのハミルトンは、ケーリー・ハミルトンの定理の公式と使い方の「ハミルトン」であり、行列とは何かの勉強で出会う人物です。複素数平面とはやベクトルとは、内積の意味と計算といった道具の「ご先祖様」にあたる人でもあります。
うかるくん
ひらめいたことを橋にきざんだんですか! ノートに書けばいいのに……。
合格先生
ポケットの手帳にもすぐ書きとめた、とハミルトン自身が手紙に書いているよ。それでも足りず、橋の石にまで刻みたくなった。それくらい「いま書きとめないと消えてしまう」ほど大きなひらめきだったんだね。ハミルトンは小さいころから言葉も計算もずばぬけていて、「天才少年」として有名だったんだ。

ハミルトンの生涯と年表
ダブリン生まれの天才少年
ハミルトンは1805年8月4日、アイルランドの首都ダブリンで生まれました。小さいころから記憶力と語学の才能がずばぬけていて、おじさんの手で古典語を教えられたといわれます。「13歳までに13もの言語を学んだ」という話がよく紹介されますが、これは後世の伝記で広まったもので、どこまでを「学んだ」と数えるかによって数字は変わります。確かなのは、ラテン語・ギリシャ語・ヘブライ語などの古典語に早くから親しみ、10代前半にはすでに神童(しんどう)として知られていたことです。
数学のおもしろさに目覚めたのは10代の中ごろで、ニュートンの業績と生涯の『プリンキピア』やラプラスの天体力学の本を読みふけりました。18歳で名門のダブリン大学トリニティ・カレッジに入ると、古典学と科学の両方で最高の成績をおさめました。
21歳で「アイルランド王室天文学者」に
ハミルトンの人生で大きな出来事のひとつは、1827年、まだ学生の21歳のときにトリニティ・カレッジの天文学教授に選ばれたことです。この地位は「アイルランド王室天文学者」の肩書きとダンシンク天文台の住まいがつくものでした。観測の経験がとぼしいのにえらばれたことには批判もありました。実際ハミルトンは観測よりも、数学と理論物理の研究に力を注ぎました。
光の予言と力学の新しい形
1832年、ハミルトンは光が結晶を通るときの数学的な研究から、円錐屈折(えんすいくっせつ)という、それまでだれも知らなかった現象があるはずだと予言しました。友人のロイドが実験でこれを確かめ、ハミルトンは一気に有名になりました。1834〜35年には、光の研究で使った方法を力学に応用して、ハミルトン力学の土台を作ります。1835年にはナイト(騎士)の称号を受けました。
四元数の発見(1843年)
1830年代のハミルトンは、複素数を「実数の組 (a, b)」として厳密に作る研究をしていました。複素数が平面の点なら、空間の点(3つの数の組)を表すもっと大きな数があるはずだ――そう考えて、10年以上も3つ組のかけ算を探しつづけます。朝食のたびに息子さんから「パパ、3つ組をかけられるようになった?」と聞かれ、「いや、足したり引いたりはできるが、かけ算はまだだ」と答えていたという話が、のちの手紙に残っています。
答えは意外なところにありました。3つ組ではなく4つ組にすれば、かけ算の規則ができる。そして、そのかけ算ではかける順番を変えると答えが変わる(交換法則が成り立たない)。この大発見が、1843年10月16日の散歩の途中に起こりました。亡くなる年の1865年、ハミルトンは息子への手紙の中で、この瞬間を「電気の回路が閉じて、火花がとんだようだった」という意味の言葉で思い出しています。
アイコシアン・ゲームと晩年
1857年ごろ、ハミルトンは正十二面体の20個の頂点を一周するアイコシアン・ゲームを考え出し、おもちゃとして売り出しました。これが、現代のグラフ理論のハミルトン閉路の名前のもとです。晩年のハミルトンは四元数の研究に全力を注ぎ、その集大成の大著『四元数原論』を完成しないまま、1865年9月2日にダブリンで亡くなりました(60歳)。亡くなる少し前に、アメリカ科学アカデミーの外国人会員の第1号に選ばれたことを知ったと伝えられています。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1805年 | 8月4日、アイルランドのダブリンで生まれる |
| 1823年 | 18歳でダブリン大学トリニティ・カレッジに入学 |
| 1827年 | 21歳で天文学教授・アイルランド王室天文学者になる |
| 1832年 | 円錐屈折(光の新しい現象)を予言し、ロイドが実験で確かめる |
| 1834〜35年 | 力学を新しい形で表す(ハミルトン力学の出発点) |
| 1835年 | ナイト(騎士)の称号を受ける |
| 1837年 | 複素数を「実数の組」として作る研究を発表 |
| 1843年 | 10月16日、ブルーム橋で四元数のかけ算を発見 |
| 1857年 | アイコシアン・ゲーム(ハミルトン閉路)を考える |
| 1865年 | 9月2日、ダブリンで亡くなる(60歳) |
ハミルトンの主な業績をやさしく解説
業績1 四元数の発見
虚数 i と複素数は という形で、実数 の2つ組でした。ハミルトンは、 のほかに という新しい記号を用意して、4つ組の数を作りました。
かけ算の規則は、ハミルトンがブルーム橋でひらめいた次の式ですべてきまります。
ここから 、、 が出てきます。そして、順番を逆にすると のようにマイナスがつきます。つまり、四元数では が成り立ちません。「かけ算の順番で答えが変わる」数を、数学者ははじめて本格的に作ったのです。
複素数の計算までは、かけ算の順番を変えても答えは同じでした。四元数でそれが変わると知ったとき、数学者たちは大きな衝撃を受けました。「数のかけ算はこうでなければならない」という思いこみがくずれ、代数(記号とその規則を調べる数学)がずっと自由になったからです。
業績2 四元数と空間の回転
四元数の大きな使い道が、3次元の回転です。長さ1の四元数(単位四元数)は、空間の「軸のまわりの回転」をあらわします。軸の向きを表す単位ベクトルを 、回す角度を とすると、
という四元数が、その回転に対応します。この方法は、3Dゲーム・映画のCG・ロボット・人工衛星の姿勢制御などで、いまも毎日のように使われています。複数の回転をつづけておこなうとき、四元数のかけ算が回転を合成する計算になるからです。
19世紀の終わりには、四元数の「ベクトルの部分」だけを取り出した、もっとかんたんなベクトル解析(ギブスとヘヴィサイド)が物理学では主流になりました。いま高校で習うベクトル・内積の意味と計算は、四元数のかけ算をほどいて作られたものといえます。四元数が一度ほとんど使われなくなってから、20世紀の終わりごろにコンピュータの発達で「回転の計算にぴったり」と見直された、というのも数学史のおもしろい話です。
業績3 ハミルトン閉路(アイコシアン・ゲーム)
ハミルトンが1857年ごろに考えたアイコシアン・ゲームは、正十二面体の20個の頂点をちょうど1回ずつ通って、出発点にもどる道を見つける遊びです。ふつうの地図にひらいて、点と辺の図(グラフ)にすると、図のように解けます。
「すべての辺を1回ずつ通る道」を調べたのが、ケーニヒスベルクの橋の問題(一筆書き)を解いたオイラーの業績と生涯です。一筆書きの問題は、すべての辺が偶数本であるかどうかを調べればすぐ答えが出ます。ところが、ハミルトンの「すべての点を1回ずつ通る」という問題は、とてもむずかしいことが知られています。点の数が増えると、すべての道を調べるしかなさそうで、コンピュータでも時間がかかりすぎます。この「宅配便の配達ルートをどう決めるか」という巡回セールスマン問題につながる問題は、P≠NP予想と深く関係しています。
業績4 ハミルトン力学と光の研究
ハミルトンは、ラグランジュの解析力学を、さらに使いやすい形に書きかえました。ものの位置 と運動量 を使い、全エネルギー (ハミルトニアン)を決めると、運動は次の2本の式で表せます。
これをハミルトンの正準方程式といいます。微分の意味の考え方を使うと、ふりこ・惑星の運動・電子の動きまで、同じ形で書けるのです。20世紀になると、このハミルトニアンは量子力学の中心的な道具になりました。シュレーディンガー方程式の「エネルギーの演算子」は、まさにハミルトンの考えを受けついでいます。
また、1832年に予言した円錐屈折は、「数学の計算が、まだだれも見たことのない自然の現象を予言した」はじめての例のひとつとして、物理学の歴史に残っています。
業績5 ケーリー・ハミルトンの定理
2次の正方行列 について、次の等式が成り立ちます。
これが、大学入試でおなじみのケーリー・ハミルトンの定理です。ハミルトンは1850年代に、四元数について同じ種類の結果を証明しました。ケーリーの業績と生涯は1858年に、行列について(2次と3次の例で)この定理を述べています。一般の行列に対する完全な証明は、ドイツのフロベニウスが1878年に与えました。2人の名前が付いたのは、「ハミルトンが四元数で、ケーリーが行列で、それぞれ見つけた」という数学史のためです。くわしい使い方はケーリー・ハミルトンの定理(2次正方行列)にまとめてあります。
ハミルトンの名前がつく公式・定理・用語
- 四元数(ハミルトン数):。大きさは 。
- ケーリー・ハミルトンの定理:行列 は、自分自身の固有多項式を満たす。→ ケーリー・ハミルトンの定理の証明と使い方。行列の意味と計算・固有値と固有ベクトル・行列の対角化と A^nとセットで学ぶと分かりやすいです。
- ハミルトン閉路(ハミルトン路):グラフのすべての点をちょうど1回通る道。→ 一筆書きとの違いはケーニヒスベルクの橋の問題で。
- ハミルトン力学・ハミルトニアン・ハミルトンの正準方程式:力学を位置と運動量で書く方法。量子力学の土台。
- ハミルトンの原理:物体の運動は、ある量(作用)が最小または停留になるように起こる、という原理。
- ハミルトン・ヤコビの方程式:ハミルトン力学から出てくる偏微分方程式。偏微分と全微分の応用の例。

合格先生
「ハミルトン」という名前は、数学では四元数・ケーリー・ハミルトンの定理・ハミルトン閉路の3つ、物理ではハミルトニアン。入試では「ケーリー・ハミルトン」がいちばん大切だよ。
ハミルトンの逸話と名言
「ブルーム橋の落書き」
1843年10月16日、ハミルトンは妻のヘレンといっしょに、王立アイルランド・アカデミーの会議へ向かうため、運河ぞいの道を歩いていました。ブルーム橋にさしかかったとき、四元数のかけ算の規則が一瞬で見えたといいます。ハミルトンはその場でナイフを取り出して、橋の石に式を刻みました。ハミルトンは、このときポケットの手帳にも式を書きとめたと、別の手紙(1858年)に書いています。石の落書きは、いまでは残っていませんが、1958年に記念の銘板が橋に取りつけられました。また、10月16日ごろには、ダンシンク天文台から橋まで歩く「ハミルトン・ウォーク」という記念の行事がおこなわれていると伝えられます。
電気の回路が閉じて、火花がとんだように思えた。
語学の天才?
ハミルトンは語学の天才としても有名でした。若いころは、ペルシア語・アラビア語・サンスクリット語など、東洋の言葉も学んだといわれます。トリニティ・カレッジに入る前のハミルトンの才能に、アイルランドの天文学者ブリンクリーは、「この青年は、同じ世代で第一の数学者だ」と書いたと記録されています。
四元数に熱中しすぎた?
晩年のハミルトンは、四元数こそが空間と物理を表すいちばんの言葉だと信じ、20年以上のあいだ四元数の研究と普及に打ちこみました。しかし、同じ時代のほかの数学者の多くは、もっとかんたんなベクトルを使うほうが便利だと考えました。四元数が、数学だけでなく工学で本領を発揮するようになったのは、ハミルトンの死後100年以上たってからのことです。ケーリーの四元数への見方は、四元数を折りたたんだポケット地図にたとえ、「すべてが入っているが、広げて別の形にしないと理解できない」とたとえたと、数学史の資料(MacTutor)に紹介されています。
サクラちゃん
かけ算の順番で答えが変わるなんて、なんだか気持ち悪いです……。
合格先生
実はそれ、身のまわりにたくさんあるんだよ。「服を着てから上着を着る」と「上着を着てから服を着る」は別の結果になるよね。回転も同じで、「x軸で回してから、y軸で回す」と「y軸で回してから、x軸で回す」では向きが変わる。四元数は、そういう現実のふるまいを数学で表した数なんだ。
受験・勉強とハミルトンのつながり
中学受験・高校受験:一筆書きとグラフの考え方
中学受験や高校受験でも、「一筆書きができるか」「すべての点を通る道を何通りか数える」といった問題が出ます。これは、ハミルトンやオイラーのグラフ理論の考え方の入り口です。たとえば、5つの都市すべてを1回ずつ通って一周する道が何通りあるかは、順列・組合せの問題として解けます(練習問題にのせました)。
大学受験:ケーリー・ハミルトンの定理
大学入試でハミルトンの名前に出会うなら、ほぼ確実にケーリー・ハミルトンの定理です。かつて高校の数学Cで行列を習っていた時代には、2次正方行列のケーリー・ハミルトンの定理を使って、 を求めたり、行列の式を簡単にしたりする問題が、難関大学の入試で頻出でした。現在の高校では行列は必修ではありませんが、大学の線形代数では最初に習う重要な定理で、行列式の計算と性質・逆行列の求め方と合わせて、理系の大学入試や編入試験・大学院入試で使われます。
数学C・複素数平面とのつながり
四元数は、複素数を一般化したものです。複素数平面で「掛けると回転になる」という性質を学んだなら、その3次元版が四元数だと思えば、ハミルトンの発想がぐっと身近になります。ド・モアブルの定理・オイラーの公式 e^{iθ}=cosθ+i sinθも、四元数の回転公式のもとになる考え方です。
勉強法として:ひらめきは「ずっと考えたあと」に来る
ハミルトンは10年以上も3つ組のかけ算を探しつづけ、ある日、散歩中にひらめきました。ひらめきは何もしない人には来ません。むずかしい問題は、しっかり考えたあと、少し休んで、別のことをしているときに答えが見えることがあります。こうした勉強の進め方は、数学の勉強法(解法の暗記→演習→過去問)や合格するための勉強法も参考にしてください。
ハミルトンがその後の数学にあたえた影響
- 代数学:交換法則のない数の世界が開かれ、ケーリーの行列、ガロアの群論の群、ブール代数など、「ふつうの数ではない代数」を調べる研究が一気に広がりました。四元数を調べる流れから、のちのベクトル空間・線形代数・環や体の理論が生まれます。
- ベクトル解析:四元数からベクトルの内積・外積(ベクトル積)が整理されました。電磁気学や流体力学の式の書き方が、ここで決まりました。
- 物理学:ハミルトン力学は、20世紀の量子力学・統計力学の基本になりました。ハミルトニアンという言葉は、物理の教科書に必ず出てきます。
- コンピュータ:3Dグラフィックス、ロボット、航空機・衛星の姿勢制御では、いまも四元数が使われています。ハミルトン閉路の問題は、巡回セールスマン問題・配送ルート・半導体回路の配線など、実用的な最適化の問題の代表例です。
- 数の拡張の完成:実数係数の割り算ができる数の世界は、実数・複素数・四元数が限界であることが、のちにフロベニウスの定理(1877年)で証明されました。八元数(オクトニオン)まで広げると、結合法則も成り立たなくなります。
ダブリンのブルーム橋の銘板には、ハミルトンの式 が刻まれています。数学の式が観光名所の記念になる、めずらしい例です。
ハミルトンに挑戦!練習問題
やさしい
- 四元数で、 と はそれぞれ何ですか。
答えと解説を見る
、 です。かける順番を変えると、マイナスがつきます。 - の値を求めなさい。
答えと解説を見る
、 なので、 です。
ふつう
- を展開して、 の形にしなさい。
答えと解説を見る
。( を使いました)答えは 。 - の値を、 を使って求めなさい。
答えと解説を見る
。ハミルトンがブルーム橋に刻んだ式の一部です。
むずかしい
- を計算しなさい。
答えと解説を見る
です。( のどうしのかけ算は、複素数と同じように計算できます) - 5つの都市がどれも他のすべての都市と道でつながっているとき、すべての都市を1回ずつ通って出発点にもどる道(向きや出発点の違いは同じとみなす)は何通りありますか。
答えと解説を見る
出発点を1つに決めると、残り4都市の順番は 通りです。ここで、逆向きにまわる道は同じ道とみなすので、 通りです。
ハミルトンと関係する数学者
- ケーリー(ケーリー・ハミルトンの定理):行列の理論を作り、四元数にも関心を持ちました。
- オイラー(一筆書きとグラフ理論):ハミルトンより100年以上前に、グラフ理論のはじまりとなるケーニヒスベルクの橋の問題を解きました。
- ラグランジュ(解析力学):ハミルトン力学の先がけとなる解析力学を作りました。
- ガウス(複素数平面):複素数を平面の点として表し、ハミルトンの複素数の研究の土台を作りました。
- ニュートン(力学):ハミルトンが少年のころに読みふけった『プリンキピア』の著者です。
- ブール(論理の代数)・ガロア(群論):ハミルトンと同じ時代に、新しい代数を作った数学者です。
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よくある質問
ハミルトンは何をした人ですか?
ハミルトンは、19世紀のアイルランドの数学者・物理学者・天文学者です。四元数の発見、ハミルトン力学(ハミルトンの正準方程式)、円錐屈折の予言、アイコシアン・ゲームにもとづくハミルトン閉路の考え方で知られます。ケーリー・ハミルトンの定理にも名前が残っています。
四元数とは何ですか?
四元数は、複素数をさらに広げた数で、a+bi+cj+dk という4つ組の形をしています。i²=j²=k²=ijk=-1 という規則でかけ算をし、かける順番を変えると答えが変わるのが特徴です。3次元の回転の計算に使われます。
ハミルトンはいつ、どこで四元数を発見したのですか?
1843年10月16日、ダブリンのブルーム橋(ブロウム橋)を散歩していたときにひらめいたと伝えられます。ハミルトンはそのとき橋の石に式をきざんだとされ、1958年に記念の銘板が橋に取りつけられました。
ケーリー・ハミルトンの定理とは何ですか?
正方行列 A が、自分自身の固有多項式(特性多項式)に代入すると零行列になるという定理です。2次なら A²-(a+d)A+(ad-bc)E=O が成り立ちます。ハミルトンが四元数で、ケーリーが行列で、それぞれ見つけたことから名前がつきました。
ハミルトン閉路とは何ですか?
グラフ(点と辺の図)のすべての点を、ちょうど1回ずつ通ってもとの点にもどる道のことです。ハミルトンが考案したアイコシアン・ゲーム(正十二面体の頂点を一周する遊び)が名前のもとです。一筆書き(すべての辺を通る道)とは別の問題です。
ハミルトンの名言はありますか?
四元数を発見した瞬間について、息子にあてた手紙で「電気の回路が閉じて、火花がとんだようだった」という意味のことを書いたと伝えられます。長い間考えつづけたあとにひらめきが来る、という例としてよく紹介されます。
ハミルトンは何歳で亡くなりましたか?
1865年9月2日にダブリンで60歳で亡くなりました。亡くなる少し前に、アメリカ科学アカデミーの外国人会員の第1号に選ばれています。
ハミルトンとケーリーの関係は?
同じ時代に、ハミルトンは四元数を、ケーリーは行列を作りました。どちらも「かける順番で答えが変わる数」です。ケーリー・ハミルトンの定理は、行列についての定理ですが、四元数についてハミルトンが先に得た結果にもとづいています。
ハミルトンは中学受験・高校受験・大学受験にも関係がありますか?
大学受験では、ケーリー・ハミルトンの定理が行列の問題で使われます(かつての数学Cの範囲)。中学受験・高校受験では、一筆書きや「すべての点を通る道」の問題が、ハミルトンやオイラーのグラフ理論の考え方につながります。
四元数は今でも使われていますか?
使われています。3次元の回転を計算で表すのに便利で、3Dゲーム、映画のCG、ロボットのうで、ドローン、人工衛星の姿勢制御などで広く使われています。
あわせて読みたい
出典・参考
- MacTutor History of Mathematics「William Rowan Hamilton」(セント・アンドルーズ大学)
- R. P. Graves, “Life of Sir William Rowan Hamilton”(1882〜1889年)
- W. R. Hamilton, “Elements of Quaternions”(1866年)
- 肖像画:作者不明「William Rowan Hamilton」(19世紀なかごろ)、Wikimedia Commons(パブリックドメイン)
最終更新:2026年11月2日/作成:大学受験合格大作戦



