ベクトルとは?意味・書き方・計算をわかりやすく【例題・問題つき】|合格大作戦 数学用語辞典

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大学受験

ベクトルとは

向きと大きさをもつ量です。矢印で表し、向きと大きさが同じなら、どこにかいても同じベクトルとみなします。AB→\overrightarrow{\mathrm{AB}} や a⃗\vec a と書きます。

読み方:べくとる/英語:vector/習う学年:数学C(2022年度入学生から。以前は数学B)

うかるくん

うかるくん

ベクトルって、ただの矢印じゃないんですか?

合格先生

合格先生

矢印で表すけど、大事なのは向きと大きさだけ。どこにかいても、向きと長さが同じなら同じベクトルなんだ。そこがふつうの線分とちがうところだよ。

この用語のポイント

  • ベクトル = 向きと大きさをもつ量(矢印)。大きさだけはスカラー
  • 向きと大きさが同じなら同じベクトル(場所は関係ない)
  • たし算は矢印をつなぐ=成分どうしをたす

やさしく言うと

ベクトルは「どっちへ、どれだけ」をまとめて表す矢印です。向きと大きさの両方が大事な量に使います。身近な例を見てみましょう。

  • 道案内:「3km 歩いて」だけでは、どこに着くか分かりません。「東へ 3km」と向きもそろって、はじめて行き先が決まります。
  • 天気予報の風:「北の風、風速 5m」のように、風は向きと強さの両方で伝えます。地図の上では矢印でかかれます。
  • 綱引き:同じ強さで引いても、右に引くか左に引くかで結果は正反対です。力は向きをふくめて考える量です。

反対に、大きさだけの量(長さ・重さ・温度・時間など)はスカラーといいます。

ベクトルは向きと大きさだけで決まるので、矢印をかく場所がちがっても、向きと長さが同じなら同じベクトルです。

赤3本:場所はちがっても同じベクトル 青:大きさは同じでも向きがちがう → 別のベクトル
向きと大きさが同じ矢印は、場所がちがっても同じベクトル

まとめると、ベクトルは「向き」と「大きさ」の2つの情報を、1本の矢印にまとめたものです。

書き方

書き方意味
AB→\overrightarrow{\mathrm{AB}}点Aから点Bへ向かうベクトル(Aが始点、Bが終点)
a⃗\vec a1文字で表したベクトル(本では太字 a\boldsymbol{a} のことも)
∣a⃗∣|\vec a|ベクトルの大きさ(矢印の長さ)。こちらはふつうの数
a⃗=(a1,a2)\vec a=(a_1, a_2)成分表示。右へ a1a_1、上へ a2a_2 進む
0⃗\vec 0零ベクトル。大きさ0で、向きは考えない
−a⃗-\vec a逆ベクトル。a⃗\vec a と大きさが同じで向きが反対

ベクトルで表すもの・表さないもの

○ ベクトル(向きと大きさ)

  • 移動(変位):右へ3、上へ1
  • 速度:北東へ秒速5m
  • 力:右向きに10N
  • 風:北の風、風速5m
  • 点Aから点Bへの移動 AB→\overrightarrow{\mathrm{AB}}
  • 成分 (3, −2)(3,\ -2) で表したもの

× スカラー(大きさだけ)

  • 長さ・面積・時間
  • 速さ(向きをふくまない)
  • 内積 a⃗⋅b⃗\vec a\cdot\vec b の結果(ふつうの数)
  • 重さ・温度・値段
  • ベクトルの大きさ ∣a⃗∣|\vec a|(ふつうの数)

「速度」と「速さ」のちがいに注意します。速度は向きをふくむのでベクトル、速さはその大きさだけなのでスカラーです。

たし算と成分

ベクトルのたし算は、矢印をつなぐことです。a⃗\vec a の終点に b⃗\vec b の始点をつなぐと、はじめの点から最後の点への矢印が a⃗+b⃗\vec a+\vec b になります。成分で書くと、成分どうしをたすだけです。

O a b a+b ベクトル a = (3, 1) ベクトル b = (1, 3) a + b = (4, 4) 矢印をつなぐ = 成分どうしをたす
(3, 1)+(1, 3)=(4, 4)

大きさは三平方の定理で求めます。a⃗=(a1,a2)\vec a=(a_1, a_2) なら ∣a⃗∣=a1 2+a2 2|\vec a|=\sqrt{a_1^{\,2}+a_2^{\,2}}。たとえば (4,4)(4, 4) の大きさは 32=42\sqrt{32}=4\sqrt2 です。

ひらめいたうかるくん

うかるくん

矢印をつなぐのも、成分をたすのも、同じことをしているんだ!

本で説明するサクラちゃん

サクラちゃん

ベクトルのたし算は、矢印をつなぐだけ。成分ならそれぞれたすのよ。

図で見る:実数倍とひき算

ベクトルに数 kk をかける(実数倍)と、向きはそのまま(k<0k<0 なら逆向き)で、長さが ∣k∣|k| 倍になります。成分では、各成分を kk 倍します。

a 2a(2倍) −a(逆向き) 0.5a(半分) k 倍で長さが |k| 倍。k が負なら逆向き
a=(2, 1) の 2倍・−1倍・0.5倍

図のように、a⃗\vec a の実数倍はすべて同じ向きか逆向きの矢印です。だから、0⃗\vec 0 でない2つのベクトルが平行であることは、「b⃗=ka⃗\vec b=k\vec a と書ける」ことと同じです。

ひき算 a⃗−b⃗\vec a-\vec b は、a⃗+(−b⃗)\vec a+(-\vec b) と考えます。とくに大事なのが、原点 O を使って「終点 − 始点」で表す形です。

O A(1, 2) B(5, 4) AB OB OA AB = OB − OA = (5−1, 4−2) = (4, 2) 「終点 − 始点」
AB=OB−OA。「終点 − 始点」で成分が出る
うかるくん

うかるくん

AB→\overrightarrow{\mathrm{AB}} は、A から B だから「A − B」じゃないんですか?

合格先生

合格先生

図を見てごらん。O から A へ行って、そこから B へ行くと、O から B へ直接行くのと同じだね。OA→+AB→=OB→\overrightarrow{\mathrm{OA}}+\overrightarrow{\mathrm{AB}}=\overrightarrow{\mathrm{OB}} だから、AB→=OB→−OA→\overrightarrow{\mathrm{AB}}=\overrightarrow{\mathrm{OB}}-\overrightarrow{\mathrm{OA}}。行き先から出発点を引くんだ。

テスト・入試ではこう出る

ベクトルは高校の数学Cで習います(2022年度より前の入学生は数学B)。定期テストや大学入試では、成分の計算と大きさ、平行条件、内積を使った角度・垂直、位置ベクトルを使った図形の問題(内分点、2直線の交点など)、空間ベクトルがよく出ます。

例題1(成分の計算)

a⃗=(2, −1)\vec a=(2,\ -1)、b⃗=(1, 3)\vec b=(1,\ 3) のとき、2a⃗+b⃗2\vec a+\vec b の成分と大きさを求めなさい。

  1. 実数倍は成分ごと:2a⃗=(4, −2)2\vec a=(4,\ -2)。
  2. たし算も成分ごと:2a⃗+b⃗=(4+1, −2+3)=(5, 1)2\vec a+\vec b=(4+1,\ -2+3)=(5,\ 1)。
  3. 大きさ:∣2a⃗+b⃗∣=52+12=26|2\vec a+\vec b|=\sqrt{5^2+1^2}=\sqrt{26}。

答え 2a⃗+b⃗=(5, 1)2\vec a+\vec b=(5,\ 1)、大きさ 26\sqrt{26}

例題2(平行四辺形)

3点 A(1, 2)(1,\ 2)、B(4, 3)(4,\ 3)、C(6, 7)(6,\ 7) があります。四角形ABCDが平行四辺形になるような点Dの座標を求めなさい。

  1. 四角形ABCDが平行四辺形 ⇔ AB→=DC→\overrightarrow{\mathrm{AB}}=\overrightarrow{\mathrm{DC}}(向かい合う辺が、同じ向き・同じ長さ)。
  2. AB→=(4−1, 3−2)=(3, 1)\overrightarrow{\mathrm{AB}}=(4-1,\ 3-2)=(3,\ 1)。
  3. D(x, y)(x,\ y) とおくと DC→=(6−x, 7−y)\overrightarrow{\mathrm{DC}}=(6-x,\ 7-y)。これが (3, 1)(3,\ 1) に等しいので、x=3x=3、y=6y=6。

答え D(3, 6)(3,\ 6)(たしかめ:AD→=(2, 4)=BC→\overrightarrow{\mathrm{AD}}=(2,\ 4)=\overrightarrow{\mathrm{BC}} も成り立つ)

「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

平行四辺形は「AB=DC」。頂点をまわる順番を守って式を立てるのがコツだ!

まちがえやすい点

腕でバツを作る合格先生

合格先生

a⃗\vec a(矢印)と ∣a⃗∣|\vec a|(長さ)はちがうもの! 内積の答えにも矢印はつかないよ。

  • 場所がちがうと別のベクトルだと思う:向きと大きさが同じなら同じです(AB→=DC→\overrightarrow{\mathrm{AB}}=\overrightarrow{\mathrm{DC}} なら四角形ABCDは平行四辺形)。
  • a⃗\vec a と ∣a⃗∣|\vec a| をまぜる:a⃗\vec a は矢印、∣a⃗∣|\vec a| はその長さ(ふつうの数)です。∣a⃗+b⃗∣=∣a⃗∣+∣b⃗∣|\vec a+\vec b|=|\vec a|+|\vec b| は、ふつうは成り立ちません。たとえば (3, 0)+(0, 4)=(3, 4)(3,\ 0)+(0,\ 4)=(3,\ 4) の大きさは 5 で、3+4=73+4=7 ではありません。
  • 内積の答えをベクトルにする:内積 a⃗⋅b⃗\vec a\cdot\vec b の結果はふつうの数(スカラー)です。矢印はつけません。
  • AB→\overrightarrow{\mathrm{AB}} と BA→\overrightarrow{\mathrm{BA}} を同じにする:向きが逆なので BA→=−AB→\overrightarrow{\mathrm{BA}}=-\overrightarrow{\mathrm{AB}} です。
  • 成分を「始点 − 終点」で出す:AB→\overrightarrow{\mathrm{AB}} の成分は、B の座標から A の座標を引きます(終点 − 始点)。

ことばの由来

vector(ベクトル)は、ラテン語で「運ぶもの」という意味のことばから来ています。点を、ある向きにある距離だけ「運ぶ」矢印、と考えるとイメージしやすいでしょう。scalar(スカラー)は「目もり・はしご」に関係することばで、ものさしの目もりで読める大きさだけの量を表します。

ミニ問題

問題1 a⃗=(3, −2)\vec a=(3,\ -2)、b⃗=(−1, 4)\vec b=(-1,\ 4) のとき、a⃗+b⃗\vec a+\vec b と a⃗−b⃗\vec a-\vec b を成分で答えましょう。

答えと解き方を見る

a⃗+b⃗=(2, 2)\vec a+\vec b=\boldsymbol{(2,\ 2)}、a⃗−b⃗=(4, −6)\vec a-\vec b=\boldsymbol{(4,\ -6)} です。どちらも成分ごとに計算します。−2−4=−6-2-4=-6 の符号に注意しましょう。

問題2 a⃗=(5, −12)\vec a=(5,\ -12) の大きさ ∣a⃗∣|\vec a| を求めましょう。

答えと解き方を見る

13 です。∣a⃗∣=52+(−12)2=25+144=169=13|\vec a|=\sqrt{5^2+(-12)^2}=\sqrt{25+144}=\sqrt{169}=13。マイナスの成分も2乗すると正になります。

問題3 a⃗=(x, 4)\vec a=(x,\ 4) と b⃗=(3, 6)\vec b=(3,\ 6) が平行になるような xx の値を求めましょう。

答えと解き方を見る

x=2x=2 です。平行なら a⃗=kb⃗\vec a=k\vec b(kk は実数)と書けます。(x, 4)=(3k, 6k)(x,\ 4)=(3k,\ 6k) より、6k=46k=4 で k=23k=\dfrac23。すると x=3k=2x=3k=2。たしかめ:(2, 4)=23(3, 6)(2,\ 4)=\dfrac23(3,\ 6)。

関連する公式・用語

公式辞典で、くわしい証明と例題を見る

あわせて覚えたい用語

よくある質問

ベクトルとは簡単にいうと何ですか?

向きと大きさをもつ量で、矢印で表します。「東へ3km」のような移動や、速度・力などがベクトルです。

ベクトルとスカラーのちがいは?

ベクトルは向きと大きさをもつ量、スカラーは大きさだけの量(長さ・重さ・温度など)です。

ベクトルは高校の何年生で習いますか?

2022年度に高校に入学した人からは数学Cで習います。それより前の学習指導要領では数学Bでした。

ベクトルの大きさはどう求めますか?

成分が (a₁, a₂) なら、√(a₁²+a₂²) です。三平方の定理で矢印の長さを求めています。

ABベクトルの成分はどう求めますか?

終点Bの座標から始点Aの座標を引きます。A(1, 2)、B(5, 4) なら (4, 2) です。

2つのベクトルが平行になる条件は?

0でない2つのベクトルa、bが平行なのは、b=ka(kは実数)と書けるときです。

出典・参考

  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編」数学C(ベクトル)

最終更新:2026年10月13日/作成:大学受験合格大作戦