単位ベクトルとは?意味と求め方をわかりやすく【例題・問題つき】|合格大作戦 数学用語辞典

単位ベクトルとは?意味と求め方をわかりやすく【例題・問題つき】|合格大作戦 数学用語辞典

合格大作戦 数学用語辞典 › ベクトル

大学受験

単位ベクトルとは

大きさ(長さ)が 1 のベクトルです。a⃗\vec a と同じ向きの単位ベクトルは、a⃗\vec a を大きさでわった a⃗∣a⃗∣\dfrac{\vec a}{|\vec a|} です。a⃗=(3, 4)\vec a=(3,\ 4) なら (35, 45)\left(\dfrac35,\ \dfrac45\right) です。

読み方:たんいべくとる/英語:unit vector/習う学年:数学C(ベクトル)

サクラちゃん

サクラちゃん

単位ベクトルって、ふつうのベクトルと何がちがうんですか?

合格先生

合格先生

大きさがちょうど 1 なのがちがいだよ。長さをそろえてあるから、向きだけを表す矢印として使えるんだ。

この用語のポイント

  • 単位ベクトル = 大きさ 1 のベクトル(向きだけを表す)
  • 同じ向き:a⃗∣a⃗∣\dfrac{\vec a}{|\vec a|}、平行:±a⃗∣a⃗∣\pm\dfrac{\vec a}{|\vec a|} の 2 つ
  • 基本ベクトル e1⃗=(1, 0)\vec{e_1}=(1,\ 0)、e2⃗=(0, 1)\vec{e_2}=(0,\ 1) も単位ベクトル

やさしく言うと

単位ベクトルは、大きさ(長さ)が 1 のベクトルです。大きさを 1 にそろえることで、「向きだけ」を表す矢印になります。

  • 方位磁針:方位磁針の針は「北はどっちか」という向きだけを教えてくれます。どれくらい遠いかは表しません。単位ベクトルは、この「向きを指す針」のようなものです。
  • 「1 歩」で道案内:「北東へ 1 歩」と決めておけば、「北東へ 10 歩」は、その 1 歩を 10 回くり返すことです。単位ベクトルを何倍かすると、好きな長さのベクトルが作れます。
  • 地図の東・北:「東へ 1、北へ 1」の 2 本の矢印があれば、どんな移動も「東へ何、北へ何」で表せます。この 2 本が基本ベクトルで、これも単位ベクトルです。

まとめると、単位ベクトルはベクトルから「長さ」を取りのぞいて、「向き」だけを取り出したものです。

O 1 a=(3, 4) 大きさ 5 e e = a ÷ 5 =(3/5, 4/5) 大きさ 1(円の上)
a=(3, 4) の大きさは 5。5 でわると、同じ向きで大きさ 1 の単位ベクトルになる

a⃗≠0⃗\vec a\ne\vec0 と同じ向きの単位ベクトル e⃗\vec e は、a⃗\vec a をその大きさ ∣a⃗∣|\vec a| でわると作れます。

e⃗=a⃗∣a⃗∣\vec e=\frac{\vec a}{|\vec a|}

a⃗=(3, 4)\vec a=(3,\ 4) なら、∣a⃗∣=32+42=5|\vec a|=\sqrt{3^2+4^2}=5 なので、e⃗=15(3, 4)=(35, 45)\vec e=\dfrac15(3,\ 4)=\left(\dfrac35,\ \dfrac45\right) です。

指さして説明するサクラちゃん

サクラちゃん

「自分の長さでわる」と長さが 1 になる。向きはそのまま、長さだけそろえるのね!

単位ベクトルの例と、そうではないもの

○ 単位ベクトル

  • (1, 0)(1,\ 0)、(0, 1)(0,\ 1)(基本ベクトル)
  • (35, 45)\left(\dfrac35,\ \dfrac45\right)(925+1625=1\dfrac9{25}+\dfrac{16}{25}=1)
  • (12, 12)\left(\dfrac1{\sqrt2},\ \dfrac1{\sqrt2}\right)(12+12=1\dfrac12+\dfrac12=1)
  • (12, 32)\left(\dfrac12,\ \dfrac{\sqrt3}2\right)(14+34=1\dfrac14+\dfrac34=1)
  • (cos⁡θ, sin⁡θ)(\cos\theta,\ \sin\theta)(どんな θ\theta でも大きさ 1)
  • 空間の (13, 23, 23)\left(\dfrac13,\ \dfrac23,\ \dfrac23\right)(1+4+49=1\dfrac{1+4+4}9=1)

× 単位ベクトルではないもの

  • (1, 1)(1,\ 1)(大きさは 2\sqrt2)
  • (12, 12)\left(\dfrac12,\ \dfrac12\right)(大きさは 22\dfrac{\sqrt2}2。成分の和が 1 でも×)
  • (3, 4)(3,\ 4)(大きさは 5)
  • 0⃗\vec0(大きさ 0。向きがない)
  • (35, 35)\left(\dfrac35,\ \dfrac35\right)(大きさは 325\dfrac{3\sqrt2}5)

単位ベクトルかどうかは、成分の 2 乗の和が 1 になるかで確かめます。「成分をたすと 1」ではないことに注意しましょう。

図で見る

a⃗\vec a と同じ向きの単位ベクトルは 1 つですが、a⃗\vec a に平行な単位ベクトルは 2 つあります。

e=(3/5, 4/5) −e=(−3/5, −4/5) a = (3, 4) に平行な単位ベクトル 「平行」なら 同じ向き と 反対向き の 2 つ
平行な単位ベクトルは、同じ向きと反対向きの 2 つ
うかるくん

うかるくん

「平行な単位ベクトル」と「同じ向きの単位ベクトル」って、同じじゃないんですか?

合格先生

合格先生

ベクトルで「平行」というと、同じ向きと反対向きの両方をふくむんだ。だから平行な単位ベクトルは ±a⃗∣a⃗∣\pm\dfrac{\vec a}{|\vec a|} の 2 つ。問題文が「平行」か「同じ向き」か、しっかり読もう。

単位ベクトルの先は、いつも原点を中心とする半径 1 の円(空間なら球)の上にあります。xx 軸の正の向きとのなす角が θ\theta の単位ベクトルは (cos⁡θ, sin⁡θ)(\cos\theta,\ \sin\theta) と表せます。三角関数の単位円と同じ考え方です。

基本ベクトル

座標軸の正の向きの単位ベクトルを基本ベクトルといいます。平面では e1⃗=(1, 0)\vec{e_1}=(1,\ 0)、e2⃗=(0, 1)\vec{e_2}=(0,\ 1) です(教科書によって i⃗\vec{i}、j⃗\vec{j} と書くこともあります)。

O e1×3 e2×4 a a= 3e1+ 4e2 成分 (3, 4) は「何個分か」
e₁ を 3 つ、e₂ を 4 つつなぐと a=(3, 4)

どんなベクトル a⃗=(a1, a2)\vec a=(a_1,\ a_2) も、a⃗=a1e1⃗+a2e2⃗\vec a=a_1\vec{e_1}+a_2\vec{e_2} と表せます。つまり、成分は「基本ベクトルの何個分か」を表す数なのです。空間では e3⃗=(0, 0, 1)\vec{e_3}=(0,\ 0,\ 1) も加わります。

平面空間
基本ベクトルe1⃗=(1, 0)\vec{e_1}=(1,\ 0)、e2⃗=(0, 1)\vec{e_2}=(0,\ 1)e1⃗\vec{e_1}、e2⃗\vec{e_2}、e3⃗=(0, 0, 1)\vec{e_3}=(0,\ 0,\ 1)
大きさa12+a22\sqrt{a_1^2+a_2^2}a12+a22+a32\sqrt{a_1^2+a_2^2+a_3^2}
同じ向きの単位ベクトルa⃗∣a⃗∣\dfrac{\vec a}{|\vec a|}a⃗∣a⃗∣\dfrac{\vec a}{|\vec a|}

単位ベクトルの使いみち

① 決まった大きさのベクトルを作る:a⃗\vec a と同じ向きで大きさ kk のベクトルは、k⋅a⃗∣a⃗∣k\cdot\dfrac{\vec a}{|\vec a|} です。「向きは単位ベクトル、長さはかけ算」と分けて考えます。

② 内積で「かげ」の長さを出す:e⃗\vec e が単位ベクトルのとき、内積 a⃗⋅e⃗=∣a⃗∣∣e⃗∣cos⁡θ=∣a⃗∣cos⁡θ\vec a\cdot\vec e=|\vec a||\vec e|\cos\theta=|\vec a|\cos\theta は、a⃗\vec a を e⃗\vec e の向きにうつしたかげ(正射影)の長さになります。

O a=(4, 1) e かげ = 16/5 a・e= 4×3/5 + 1×4/5 = 16/5(=3.2) e が単位ベクトルなので、内積がそのまま長さになる
e が単位ベクトルなら、内積 a・e は a の e 方向のかげの長さ

③ 角の二等分線の向きを作る:2 つのベクトルの単位ベクトルをたすと、大きさ 1 の 2 辺でできたひし形の対角線になります。ひし形の対角線は角を二等分するので、これが角の二等分線の向きです。

A(4, 3)B(0, 2)O 二等分線の向き (1, 2) 単位ベクトルどうしをたすとひし形の対角線 → 角を二等分
単位ベクトルどうしをたすと、ひし形の対角線が角を二等分する

このほか、直線や平面に垂直な法線ベクトルを大きさ 1 にそろえて使うこともよくあります。

テスト・入試ではこう出る

単位ベクトルは高校の数学C(ベクトル)で習います(以前の教育課程では数学Bでした)。テストや大学入試では、同じ向き・平行な単位ベクトルを求める問題、決まった大きさのベクトルを作る問題、角の二等分線のベクトル、垂直な単位ベクトル(内積が 0 で大きさが 1 の条件から連立方程式を立てる)などがよく出ます。

例題1(同じ向きの単位ベクトル)

a⃗=(2, −1)\vec a=(2,\ -1) と同じ向きの単位ベクトルを求めなさい。

  1. 大きさを求める:∣a⃗∣=22+(−1)2=5|\vec a|=\sqrt{2^2+(-1)^2}=\sqrt5
  2. 大きさでわる:a⃗∣a⃗∣=15(2, −1)=(25, −15)\dfrac{\vec a}{|\vec a|}=\dfrac1{\sqrt5}(2,\ -1)=\left(\dfrac2{\sqrt5},\ -\dfrac1{\sqrt5}\right)
  3. 有理化して (255, −55)\left(\dfrac{2\sqrt5}5,\ -\dfrac{\sqrt5}5\right)。
  4. たしかめ:45+15=1\dfrac{4}{5}+\dfrac15=1 で、大きさは 1。

答え (255, −55)\left(\dfrac{2\sqrt5}5,\ -\dfrac{\sqrt5}5\right)

例題2(角の二等分線の向き)

O(0, 0)\mathrm{O}(0,\ 0)、A(4, 3)\mathrm{A}(4,\ 3)、B(0, 2)\mathrm{B}(0,\ 2) のとき、∠AOB\angle\mathrm{AOB} の二等分線の向きのベクトルを 1 つ求めなさい。

  1. ∣OA→∣=42+32=5|\overrightarrow{\mathrm{OA}}|=\sqrt{4^2+3^2}=5、∣OB→∣=2|\overrightarrow{\mathrm{OB}}|=2。それぞれの単位ベクトルは (45, 35)\left(\dfrac45,\ \dfrac35\right) と (0, 1)(0,\ 1)。
  2. 2 つの単位ベクトルは大きさがどちらも 1 なので、たすとひし形の対角線になり、∠AOB\angle\mathrm{AOB} を二等分する向きになる。
  3. (45, 35)+(0, 1)=(45, 85)=45(1, 2)\left(\dfrac45,\ \dfrac35\right)+(0,\ 1)=\left(\dfrac45,\ \dfrac85\right)=\dfrac45(1,\ 2)。

答え (1, 2)(1,\ 2) の向き((1, 2)(1,\ 2) に平行なベクトルなら正解)。a⃗+b⃗=(4, 5)\vec a+\vec b=(4,\ 5) は大きさがちがうので、二等分線の向きにはなりません。

ひらめいたうかるくん

うかるくん

大きさをそろえてからたすから、ひし形になって角が二等分されるんだ!

まちがえやすい点

腕でバツを作る合格先生

合格先生

「平行な単位ベクトル」は ± の 2 つ! 反対向きを忘れないように。

  • 「平行」で 1 つしか答えない:「a⃗\vec a に平行な単位ベクトル」は ±a⃗∣a⃗∣\pm\dfrac{\vec a}{|\vec a|} の 2 つです。「同じ向き」なら 1 つです。
  • 大きさの計算で 2 乗やルートを忘れる:(3, 4)(3,\ 4) の大きさを 3+4=73+4=7 とするまちがいです。正しくは 32+42=5\sqrt{3^2+4^2}=5。成分に負の数があるときも、2 乗するので正になります。
  • 成分の和が 1 なら単位ベクトルだと思う:(12, 12)\left(\dfrac12,\ \dfrac12\right) は成分の和が 1 ですが、大きさは 22\dfrac{\sqrt2}2 です。確かめるのは2 乗の和です。
  • 角の二等分線で、もとのベクトルをそのままたす:a⃗+b⃗\vec a+\vec b は、∣a⃗∣=∣b⃗∣|\vec a|=|\vec b| のときしか角を二等分しません。先に単位ベクトルにしてからたします。
  • 零ベクトルの単位ベクトルを考える:0⃗\vec0 は大きさ 0 で向きがないので、0⃗0\dfrac{\vec0}{0} は考えません。

ことばの由来

単位は「もとになる大きさ」という意味で、長さの単位 1m のように「1」を表します。大きさが 1 のベクトルなので単位ベクトルといいます。英語では unit vector(ユニット ベクトル)で、unit も「1 つ・単位」という意味です。ベクトル(vector)は、ラテン語で「運ぶもの」という意味の言葉から来たといわれています。

ミニ問題

問題1 a⃗=(5, −12)\vec a=(5,\ -12) と同じ向きの単位ベクトルを求めましょう。

答えと解き方を見る

(513, −1213)\left(\dfrac5{13},\ -\dfrac{12}{13}\right) です。∣a⃗∣=52+(−12)2=169=13|\vec a|=\sqrt{5^2+(-12)^2}=\sqrt{169}=13 なので、a⃗13\dfrac{\vec a}{13}。たしかめ:(513)2+(1213)2=25+144169=1\left(\dfrac5{13}\right)^2+\left(\dfrac{12}{13}\right)^2=\dfrac{25+144}{169}=1。

問題2 a⃗=(1, 1)\vec a=(1,\ 1) に平行な単位ベクトルを求めましょう。

答えと解き方を見る

(22, 22)\left(\dfrac{\sqrt2}2,\ \dfrac{\sqrt2}2\right) と (−22, −22)\left(-\dfrac{\sqrt2}2,\ -\dfrac{\sqrt2}2\right) の 2 つです。∣a⃗∣=2|\vec a|=\sqrt2 なので ±a⃗2=±(12, 12)\pm\dfrac{\vec a}{\sqrt2}=\pm\left(\dfrac1{\sqrt2},\ \dfrac1{\sqrt2}\right)。分母を有理化して上の形になります。「平行」なので反対向きも入ります。

問題3 a⃗=(3, 4)\vec a=(3,\ 4) と同じ向きで、大きさが 10 のベクトルを求めましょう。

答えと解き方を見る

(6, 8)(6,\ 8) です。

  1. 同じ向きの単位ベクトルは a⃗∣a⃗∣=15(3, 4)=(35, 45)\dfrac{\vec a}{|\vec a|}=\dfrac15(3,\ 4)=\left(\dfrac35,\ \dfrac45\right)。
  2. 大きさ 1 のベクトルを 10 倍すれば大きさ 10:10×(35, 45)=(6, 8)10\times\left(\dfrac35,\ \dfrac45\right)=(6,\ 8)。

「向きは単位ベクトル、長さはかけ算」と分けて考えると、どんな大きさのベクトルも作れます。

関連する公式・用語

公式辞典で、くわしい証明と例題を見る

あわせて覚えたい用語

よくある質問

単位ベクトルとは何ですか?

大きさ(長さ)が1のベクトルです。向きだけを表すときに使います。

単位ベクトルの求め方は?

もとのベクトルを、その大きさでわります。(3, 4)なら大きさが5なので、(3/5, 4/5)です。

平行な単位ベクトルはいくつありますか?

2つあります。同じ向きのものと、反対向きのものです。

基本ベクトルとは何ですか?

座標軸の正の向きの単位ベクトルです。平面では(1, 0)と(0, 1)で、どんなベクトルもこの2つで表せます。

単位ベクトルかどうかの確かめ方は?

成分を2乗してたした値が1になるかを確かめます。成分をそのままたして1になるかではありません。

単位ベクトルは何年生で習いますか?

高校の数学C(ベクトル)で習います。以前の教育課程では数学Bで習っていました。

出典・参考

  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編」数学C(ベクトル)

最終更新:2026年10月13日/作成:大学受験合格大作戦