内積とは?意味と求め方・なす角をわかりやすく【例題・問題つき】|合格大作戦 数学用語辞典

内積とは?意味と求め方・なす角をわかりやすく【例題・問題つき】|合格大作戦 数学用語辞典

合格大作戦 数学用語辞典 › ベクトル

大学受験大学院入試

内積とは

2つのベクトル a⃗\vec a、b⃗\vec b のなす角を θ\theta とするとき、a⃗⋅b⃗=∣a⃗∣∣b⃗∣cos⁡θ\vec a\cdot\vec b=|\vec a||\vec b|\cos\theta で決まる数です。成分では a1b1+a2b2a_1b_1+a_2b_2 で計算でき、垂直なら0になります。

読み方:ないせき/英語:inner product(dot product)/習う学年:数学C(ベクトル)

うかるくん

うかるくん

ベクトルどうしのかけ算なのに、答えがベクトルじゃないんですか?

合格先生

合格先生

そう、内積はふつうの数になるんだ。「2本の矢印がどれだけ同じ向きを向いているか」を表す数だと思うといいよ。直角なら0になるのがポイントだ。

この用語のポイント

  • a⃗⋅b⃗=∣a⃗∣∣b⃗∣cos⁡θ\vec a\cdot\vec b=|\vec a||\vec b|\cos\theta。答えはふつうの数
  • 成分では a1b1+a2b2a_1b_1+a_2b_2(同じ位置どうしをかけてたす)
  • 垂直 ⇔ 内積が0(どちらも 0⃗\vec0 でないとき)

やさしく言うと

内積は、2本の矢印(ベクトル)がどれだけ同じ向きを向いているかを、1つの数で表したものです。

  • 荷車をひもで引く:ひもをななめに引くと、前に進むのに役立つのは力の一部だけです。ひもの力を進む向きに映した「影」の分だけが役に立ちます。
  • 真上からライトを当てる:ななめに置いた棒に真上から光を当てると、床に影ができます。棒が床と平行なら影はいちばん長く、まっすぐ立てると影は点になります。この「影の長さ」が内積のもとになる考えです。
  • 物理の「仕事」:物理では、力 F⃗\vec F で物を s⃗\vec s だけ動かしたときの仕事を F⃗⋅s⃗\vec F\cdot\vec s と表します。進む向きに直角な力は、仕事をしません(内積が 0)。

この考え方で、内積は次のように決めます。

a⃗⋅b⃗=∣a⃗∣×(b⃗ を a⃗ の向きに映した影の長さ)=∣a⃗∣∣b⃗∣cos⁡θ\vec a\cdot\vec b=|\vec a|\times(\vec b\ \text{を}\ \vec a\ \text{の向きに映した影の長さ})=|\vec a||\vec b|\cos\theta

θ\theta は2つのベクトルのなす角(始点をそろえたときの間の角、0∘≤θ≤180∘0^\circ\le\theta\le180^\circ)です。

60° a(長さ4) b長さ3 影の長さ 1.5 (3 × cos60°) 影の長さ = 3 × cos60° = 1.5 内積 = 4 × 1.5 = 6 (= 4 × 3 × cos60°)
長さ4と長さ3のベクトルがなす角60°。内積は 4×3×cos60°=6

まとめると、内積は「影の長さ × もう一方の長さ」で、向きのそろい具合を表す数です。

ひらめいたうかるくん

うかるくん

内積は「影の長さ × もう一方の長さ」なんだ! 答えは矢印じゃなくて、ふつうの数になるね。

内積の例と、まちがった計算

○ 正しい計算

  • (3, 1)⋅(1, 2)=3+2=5(3,\ 1)\cdot(1,\ 2)=3+2=5
  • (2, 1)⋅(−1, 2)=−2+2=0(2,\ 1)\cdot(-1,\ 2)=-2+2=0(垂直)
  • (1, 0)⋅(−1, 0)=−1(1,\ 0)\cdot(-1,\ 0)=-1(反対向き)
  • ∣a⃗∣=4|\vec a|=4、∣b⃗∣=3|\vec b|=3、θ=60∘\theta=60^\circ なら a⃗⋅b⃗=6\vec a\cdot\vec b=6
  • a⃗⋅a⃗=∣a⃗∣2\vec a\cdot\vec a=|\vec a|^2(自分自身との内積)
  • a⃗⋅b⃗=b⃗⋅a⃗\vec a\cdot\vec b=\vec b\cdot\vec a(順番を入れかえても同じ)

× まちがい

  • (3, 1)⋅(1, 2)=(3, 2)(3,\ 1)\cdot(1,\ 2)=(3,\ 2)(答えはベクトルではない)
  • a⃗⋅b⃗=∣a⃗∣+∣b⃗∣\vec a\cdot\vec b=|\vec a|+|\vec b|(たし算ではない)
  • a⃗⋅b⃗=∣a⃗∣∣b⃗∣\vec a\cdot\vec b=|\vec a||\vec b|(cos⁡θ\cos\theta を忘れている)
  • 始点をそろえずに角を測る
  • a⃗⋅b⃗=0\vec a\cdot\vec b=0 だから a⃗=0⃗\vec a=\vec0 と決める
  • (1, 2)⋅(3, 4)=1×4+2×3(1,\ 2)\cdot(3,\ 4)=1\times4+2\times3(たすきがけにしている)

図で見る

cos⁡θ\cos\theta の符号で、内積の符号が決まります。同じ向きに近いほど大きく、直角なら 0、反対向きに近いと負になります。

45° 鋭角 内積は正(+) 90° 直角 内積は 0 135° 鈍角 内積は負(−) 青=a、赤=b、太い線=b の影
なす角が鋭角なら正、直角なら0、鈍角なら負

∣a⃗∣|\vec a| と ∣b⃗∣|\vec b| が決まっていれば、内積がいちばん大きいのは同じ向き(θ=0∘\theta=0^\circ)のときで ∣a⃗∣∣b⃗∣|\vec a||\vec b|、いちばん小さいのは反対向き(θ=180∘\theta=180^\circ)のときで −∣a⃗∣∣b⃗∣-|\vec a||\vec b| です。

サクラちゃん

サクラちゃん

内積がマイナスって、長さがマイナスになるんですか?

合格先生

合格先生

長さそのものはマイナスにならないよ。影が a⃗\vec a と反対側にできるときに、「向きが逆」という意味でマイナスをつけるんだ。だから符号を見れば、なす角が鋭角か鈍角かがわかるよ。

成分での計算

成分がわかっているときは、同じ位置の成分どうしをかけて、たすだけです。

a⃗=(a1, a2), b⃗=(b1, b2) のときa⃗⋅b⃗=a1b1+a2b2\vec a=(a_1,\ a_2),\ \vec b=(b_1,\ b_2)\ \text{のとき}\quad \vec a\cdot\vec b=a_1b_1+a_2b_2

1234123 O θ a(3, 1) b(1, 2) 内積 3×1+1×2=5 大きさ |a|=√10 |b|=√5 cosθ=5÷√50   =1÷√2 θ=45°
a=(3, 1)、b=(1, 2) の内積は 5。なす角は 45°

a⃗=(3, 1)\vec a=(3,\ 1)、b⃗=(1, 2)\vec b=(1,\ 2) なら、a⃗⋅b⃗=3×1+1×2=5\vec a\cdot\vec b=3\times1+1\times2=5 です。∣a⃗∣=10|\vec a|=\sqrt{10}、∣b⃗∣=5|\vec b|=\sqrt5 なので、cos⁡θ=5105=12\cos\theta=\dfrac{5}{\sqrt{10}\sqrt5}=\dfrac{1}{\sqrt2} となり、なす角は 45∘45^\circ とわかります。

この式は、三角形の余弦定理から出てきます。a⃗\vec a、b⃗\vec b と a⃗−b⃗\vec a-\vec b でできる三角形に余弦定理を使うと ∣a⃗−b⃗∣2=∣a⃗∣2+∣b⃗∣2−2∣a⃗∣∣b⃗∣cos⁡θ|\vec a-\vec b|^2=|\vec a|^2+|\vec b|^2-2|\vec a||\vec b|\cos\theta となり、成分で書き直すと ∣a⃗∣∣b⃗∣cos⁡θ=a1b1+a2b2|\vec a||\vec b|\cos\theta=a_1b_1+a_2b_2 が出ます。空間ベクトルなら、a1b1+a2b2+a3b3a_1b_1+a_2b_2+a_3b_3 と 3 つたします。

使い道式
なす角を求めるcos⁡θ=a⃗⋅b⃗∣a⃗∣∣b⃗∣\cos\theta=\dfrac{\vec a\cdot\vec b}{|\vec a||\vec b|}
垂直かどうか調べるa⃗⋅b⃗=0\vec a\cdot\vec b=0 なら垂直(どちらも 0⃗\vec0 でないとき)
大きさを求める∣a⃗∣2=a⃗⋅a⃗|\vec a|^2=\vec a\cdot\vec a
三角形の面積S=12∣a⃗∣2∣b⃗∣2−(a⃗⋅b⃗)2S=\dfrac12\sqrt{|\vec a|^2|\vec b|^2-(\vec a\cdot\vec b)^2}

内積の計算のきまり

内積は、ふつうの数のかけ算と同じように展開できます。

きまり式
入れかえてよい(交換法則)a⃗⋅b⃗=b⃗⋅a⃗\vec a\cdot\vec b=\vec b\cdot\vec a
かっこをはずせる(分配法則)a⃗⋅(b⃗+c⃗)=a⃗⋅b⃗+a⃗⋅c⃗\vec a\cdot(\vec b+\vec c)=\vec a\cdot\vec b+\vec a\cdot\vec c
数は前に出せる(ka⃗)⋅b⃗=k(a⃗⋅b⃗)(k\vec a)\cdot\vec b=k(\vec a\cdot\vec b)
大きさの 2 乗の展開∣a⃗+b⃗∣2=∣a⃗∣2+2a⃗⋅b⃗+∣b⃗∣2|\vec a+\vec b|^2=|\vec a|^2+2\vec a\cdot\vec b+|\vec b|^2

最後の式は、(x+y)2=x2+2xy+y2(x+y)^2=x^2+2xy+y^2 とそっくりです。∣a⃗+b⃗∣|\vec a+\vec b| のような大きさの条件は、2 乗して内積で展開するのが、入試の定番の手順です。

テスト・入試ではこう出る

内積は高校の数学C(ベクトル)で習います。大学入試では、なす角を求める、垂直になる条件を求める、大きさの条件から内積を出す、三角形の面積を求める、といった形でよく出ます。図形の問題を、内積の計算に置きかえて解くことも多くあります。

例題1(定義と大きさ)

∣a⃗∣=2|\vec a|=2、∣b⃗∣=3|\vec b|=3 で、a⃗\vec a と b⃗\vec b のなす角が 120∘120^\circ のとき、a⃗⋅b⃗\vec a\cdot\vec b と ∣a⃗+b⃗∣|\vec a+\vec b| を求めなさい。

  1. 内積の定義から a⃗⋅b⃗=∣a⃗∣∣b⃗∣cos⁡120∘=2×3×(−12)=−3\vec a\cdot\vec b=|\vec a||\vec b|\cos120^\circ=2\times3\times\left(-\dfrac12\right)=-3
  2. ∣a⃗+b⃗∣2=∣a⃗∣2+2a⃗⋅b⃗+∣b⃗∣2=4+2×(−3)+9=7|\vec a+\vec b|^2=|\vec a|^2+2\vec a\cdot\vec b+|\vec b|^2=4+2\times(-3)+9=7
  3. ∣a⃗+b⃗∣≥0|\vec a+\vec b|\ge0 なので ∣a⃗+b⃗∣=7|\vec a+\vec b|=\sqrt7

答え a⃗⋅b⃗=−3\vec a\cdot\vec b=-3、∣a⃗+b⃗∣=7|\vec a+\vec b|=\sqrt7

例題2(垂直の条件)

a⃗=(2, 1)\vec a=(2,\ 1)、b⃗=(x, 4)\vec b=(x,\ 4) が垂直になるような xx の値を求めなさい。

  1. どちらも 0⃗\vec0 ではないので、垂直 ⇔ 内積が 0。
  2. a⃗⋅b⃗=2×x+1×4=2x+4\vec a\cdot\vec b=2\times x+1\times4=2x+4
  3. 2x+4=02x+4=0 より x=−2x=-2

答え x=−2x=-2

たしかめ:(2, 1)⋅(−2, 4)=−4+4=0(2,\ 1)\cdot(-2,\ 4)=-4+4=0 です。

まちがえやすい点

腕でバツを作る合格先生

合格先生

内積の答えに矢印はつかない! (3, 2)(3,\ 2) のように成分を並べるのはまちがいだよ。

  • 答えをベクトルにする:内積の結果はふつうの数(スカラー)です。(3, 2)(3,\ 2) のように成分を並べるのはまちがいです。
  • 内積が0なら、どちらかが 0⃗\vec0 だと思う:0⃗\vec0 でない2つのベクトルでも、垂直なら内積は0です。
  • なす角を始点をそろえずに測る:AB→\overrightarrow{\mathrm{AB}} と BC→\overrightarrow{\mathrm{BC}} のなす角は、三角形の角 ∠B\angle\mathrm B ではなく、180∘−∠B180^\circ-\angle\mathrm B です。下の図のように、始点を B にそろえて測ります。
  • ∣a⃗+b⃗∣=∣a⃗∣+∣b⃗∣|\vec a+\vec b|=|\vec a|+|\vec b| と思う:同じ向きのときしか成り立ちません。2 乗して ∣a⃗∣2+2a⃗⋅b⃗+∣b⃗∣2|\vec a|^2+2\vec a\cdot\vec b+|\vec b|^2 と展開します。
∠B なす角 ABC AB の向きをのばす 始点を B にそろえて測る なす角 = 180° − ∠B ∠B のまま使うと ×
AB と BC のなす角は、始点をそろえると 180°−∠B

ことばの由来

英語では inner product(インナー プロダクト)といい、product は「積」という意味です。2 つのベクトルの間に点「・」を書いて表すので、dot product(ドット積)ともいいます。答えがスカラー(向きのない、ふつうの数)になることから、scalar product(スカラー積)という呼び方もあります。

記号の「・」は省略しません。a⃗b⃗\vec a\vec b と書くと、内積かどうかわからなくなるからです。

ミニ問題

問題1 a⃗=(1, 3)\vec a=(1,\ 3)、b⃗=(4, −2)\vec b=(4,\ -2) のとき、内積 a⃗⋅b⃗\vec a\cdot\vec b を求めましょう。

答えと解き方を見る

a⃗⋅b⃗=1×4+3×(−2)=4−6=\vec a\cdot\vec b=1\times4+3\times(-2)=4-6= −2-2 です。内積が負なので、なす角は鈍角(90∘90^\circ より大きい)だとわかります。

問題2 a⃗=(1, 1)\vec a=(1,\ 1)、b⃗=(0, 2)\vec b=(0,\ 2) のなす角 θ\theta を求めましょう。

答えと解き方を見る
  1. 内積:a⃗⋅b⃗=1×0+1×2=2\vec a\cdot\vec b=1\times0+1\times2=2
  2. 大きさ:∣a⃗∣=12+12=2|\vec a|=\sqrt{1^2+1^2}=\sqrt2、∣b⃗∣=2|\vec b|=2
  3. cos⁡θ=22×2=12\cos\theta=\dfrac{2}{\sqrt2\times2}=\dfrac{1}{\sqrt2}

0∘≤θ≤180∘0^\circ\le\theta\le180^\circ なので θ=45∘\theta=45^\circ です。

問題3 ∣a⃗∣=3|\vec a|=3、∣b⃗∣=2|\vec b|=2、∣a⃗−b⃗∣=7|\vec a-\vec b|=\sqrt7 のとき、a⃗⋅b⃗\vec a\cdot\vec b と、なす角 θ\theta を求めましょう。

答えと解き方を見る
  1. ∣a⃗−b⃗∣2=∣a⃗∣2−2a⃗⋅b⃗+∣b⃗∣2|\vec a-\vec b|^2=|\vec a|^2-2\vec a\cdot\vec b+|\vec b|^2 に代入:7=9−2a⃗⋅b⃗+47=9-2\vec a\cdot\vec b+4
  2. 2a⃗⋅b⃗=62\vec a\cdot\vec b=6 より a⃗⋅b⃗=3\vec a\cdot\vec b=3
  3. cos⁡θ=33×2=12\cos\theta=\dfrac{3}{3\times2}=\dfrac12 より θ=60∘\theta=60^\circ

大きさの条件は「2 乗して内積で展開する」のが定番です。

大喜びするサクラちゃん

サクラちゃん

成分ならかけてたす、大きさなら2乗して展開。これで内積はこわくないね!

関連する公式・用語

公式辞典で、くわしい証明と例題を見る

あわせて覚えたい用語

よくある質問

内積とは簡単にいうと何ですか?

2つのベクトルがどれだけ同じ向きを向いているかを表す数です。大きさ×大きさ×cos(なす角)で求め、答えはベクトルではなくふつうの数になります。

内積が0になるのはどんなときですか?

どちらも零ベクトルでなければ、2つのベクトルが垂直なときです。cos90°=0だからです。

内積を成分で求めるには?

a=(a₁, a₂)、b=(b₁, b₂) なら、a₁b₁+a₂b₂ です。同じ位置の成分どうしをかけて、たします。

内積が負になるのはどんなときですか?

2つのベクトルのなす角が90°より大きい(鈍角の)ときです。cosθが負になるからです。

|a+b| はどうやって求めますか?

2乗して |a|²+2a・b+|b|² と内積で展開し、最後に正の平方根をとります。

内積は高校の何年生で習いますか?

2022年度に高校に入学した人からは数学Cのベクトルで習います。それより前の課程では数学Bでした。

出典・参考

  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編」数学C(ベクトル)

最終更新:2026年10月13日/作成:大学受験合格大作戦