行列とは?行と列・積の計算をわかりやすく【例題・問題つき】|合格大作戦 数学用語辞典

行列とは?行と列・積の計算をわかりやすく【例題・問題つき】|合格大作戦 数学用語辞典

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大学院入試

行列とは

数を長方形に並べてひとまとめにしたものです。横の並びを行、縦の並びを列といい、mm 行 nn 列なら m×nm\times n 行列といいます。積は「行 × 列」で計算し、ふつう AB≠BAAB\ne BA です。

読み方:ぎょうれつ/英語:matrix

サクラちゃん

サクラちゃん

行列って、高校で習うんですか? 教科書でほとんど見かけません。

合格先生

合格先生

いまの高校では、数学Cの「数学的な表現の工夫」で少し出てくるだけなんだ。本格的には大学の線形代数で学ぶよ。ただ、行は横、列は縦と、積は行×列の2つは今のうちに覚えておくといい。

この用語のポイント

  • 行列 = 数を長方形に並べたもの。行は横、列は縦
  • 積は「左の行 × 右の列」を順にかけてたす
  • ふつう AB≠BAAB\ne BA。積は「左の列数=右の行数」のときだけ計算できる

やさしく言うと

行列は、数を長方形(四角)に並べて、ひとまとめにしたものです。

  • お店の売上表:「店ごと(横)」「商品ごと(縦)」の個数を表にすると、それがそのまま行列です。表のまま計算できるようにしたのが行列だと考えられます。
  • 時間割:曜日を横、時間目を縦にならべた時間割も、数のかわりに教科が入った「表」です。行列は、この表の中身が数になったものです。
  • 画像:スマートフォンの写真は、小さな点(画素)の明るさを、たて・横にならべた数の集まりとして記録されています。これも大きな行列と見られます。

横の並びを「行」、縦の並びを「列」といいます。2行3列なら「2×32\times3 行列」です。ii 行目と jj 列目が交わるところの数を (i,j)(i, j) 成分といいます。

123456 第1行 → 第2行 → 第1列↓第2列↓第3列↓ 2行3列の行列(2×3 行列) 行=横の並び、列=縦の並び、6 は (2, 3) 成分
横の並びが行、縦の並びが列。6 は (2, 3) 成分
本で説明するサクラちゃん

サクラちゃん

漢字の「行」には横の線、「列」の右側には縦の線。こう覚えると行と列をまちがえないよ!

まとめると、行列は「数の表を、1つのものとしてあつかう」ための道具です。

たし算と積

同じ形の行列どうしのたし算は、同じ場所の成分どうしをたします。積は少しちがい、左の行列の「行」と右の行列の「列」を、順にかけてたします。

(1234)(0110)=(1⋅0+2⋅11⋅1+2⋅03⋅0+4⋅13⋅1+4⋅0)=(2143)\begin{pmatrix}1&2\\3&4\end{pmatrix}\begin{pmatrix}0&1\\1&0\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}1\cdot0+2\cdot1&1\cdot1+2\cdot0\\3\cdot0+4\cdot1&3\cdot1+4\cdot0\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}2&1\\4&3\end{pmatrix}

ABAB 1234 × 0110 = 2143 Aの1行目 と Bの1列目 を順にかけてたす 1 × 0 + 2 × 1 = 2(AB の左上) BA 3412 ← 順番を入れかえると AB とはちがう答え(AB ≠ BA)
積は「行 × 列」。順番を入れかえると答えが変わる

このため、行列の積ではふつう AB≠BAAB\ne BA です。また、積 ABAB が計算できるのは、AA の列の数と BB の行の数が同じときだけです。答えは「AA の行の数 × BB の列の数」の形になります。

図で見る

積が「行 × 列」というふしぎな形をしているのは、表どうしの計算を自然に表せるからです。売上の例で見てみましょう。

個数の表 りんごみかん A店B店 3524 × 値段 10050 = 代金 550400 A店の行 と 値段の列 を順にかけてたす 3 × 100 + 5 × 50 = 550(円) B店:2 × 100 + 4 × 50 = 400(円)
個数の行列 × 値段の列 = 店ごとの代金

「A店の代金 = りんごの個数×りんごの値段 + みかんの個数×みかんの値段」は、ちょうど「A店の行」と「値段の列」を順にかけてたす計算です。行列の積は、この計算をまとめて書くための約束なのです。

行列には、点や図形を動かすはたらきもあります。点 (x, y)(x,\ y) を縦に並べて行列をかけると、別の点にうつります。

(2, 1) (−1, 2) O 行列 (0 −1 / 1 0) をかけると、原点のまわりに 90° 回る
行列をかけると、図形が原点のまわりに 90° 回る
サクラちゃん

サクラちゃん

行列をかけると、どうして回転になるんですか?

合格先生

合格先生

(0−110)(xy)=(−yx)\begin{pmatrix}0&-1\\1&0\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}-y\\x\end{pmatrix} だよね。点 (2, 1)(2,\ 1) は (−1, 2)(-1,\ 2) に移る。xx と yy を入れかえて片方の符号を変えると、ちょうど 90∘90^\circ 回した位置になるんだ。コンピューターグラフィックスでも、この計算で画像を回しているよ。

高校・大学での扱い

行列は、昔は高校の数学Cで「行列とその応用」として、逆行列や1次変換まで学んでいました。2012年度に高校に入学した人からの課程でこの内容はなくなりました。いまの課程(2022年度入学生から)では、数学Cの「数学的な表現の工夫」の中で、表し方の一つとして行列が出てきます。ただし、共通テストの出題範囲には入っていません。

本格的に学ぶのは大学の線形代数です。逆行列・行列式・固有値などを学び、大学院入試や編入試験でもよく出ます。古い大学入試の過去問に行列の問題があるのは、このためです。

ことば意味
正方行列行と列の数が同じ行列(2×22\times2 など)
単位行列 EE左上から右下の対角に1、ほかは0の正方行列。かけても相手が変わらない
逆行列 A−1A^{-1}AA−1=A−1A=EAA^{-1}=A^{-1}A=E となる行列
零行列 OO成分がすべて0の行列

積が計算できる・できない

○ 積が計算できる

  • 2×32\times3 行列 × 3×23\times2 行列(答えは 2×22\times2)
  • 2×22\times2 行列 × 2×12\times1 行列(答えは 2×12\times1)
  • 1×31\times3 行列 × 3×13\times1 行列(答えは 1×11\times1)
  • 3×13\times1 行列 × 1×31\times3 行列(答えは 3×33\times3)
  • 2×22\times2 行列 × 2×22\times2 行列(答えは 2×22\times2)

× 積が計算できない

  • 2×32\times3 行列 × 2×32\times3 行列(3 と 2 がちがう)
  • 2×22\times2 行列 × 3×13\times1 行列(2 と 3 がちがう)
  • 3×13\times1 行列 × 3×13\times1 行列(1 と 3 がちがう)
  • 1×21\times2 行列 × 3×23\times2 行列(2 と 3 がちがう)
  • 2×32\times3 行列 × 2×22\times2 行列(3 と 2 がちがう)

見分け方は、左の行列の「列の数」と、右の行列の「行の数」が同じかどうかだけです。(2×3‾)×(3‾×2)(2\times\underline{3})\times(\underline{3}\times2) のように、内側の2つの数がそろっていれば計算できます。

テスト・入試ではこう出る

いまの大学入試(共通テスト)では行列は出題されません。行列が本格的に出てくるのは、大学の線形代数の試験、大学の編入試験、大学院入試です。そこでは、積の計算、逆行列、行列式、連立1次方程式、固有値と対角化がよく問われます。まずは、積と逆行列の計算を正確にできるようにしておきましょう。

例題1(積の計算)

(2103)(142−1)\begin{pmatrix}2&1\\0&3\end{pmatrix}\begin{pmatrix}1&4\\2&-1\end{pmatrix} を計算しなさい。

  1. 左上:1行目 (2, 1)(2,\ 1) と 1列目 (1, 2)(1,\ 2) → 2⋅1+1⋅2=42\cdot1+1\cdot2=4。
  2. 右上:1行目 (2, 1)(2,\ 1) と 2列目 (4, −1)(4,\ -1) → 2⋅4+1⋅(−1)=72\cdot4+1\cdot(-1)=7。
  3. 左下:2行目 (0, 3)(0,\ 3) と 1列目 → 0⋅1+3⋅2=60\cdot1+3\cdot2=6。
  4. 右下:2行目 (0, 3)(0,\ 3) と 2列目 → 0⋅4+3⋅(−1)=−30\cdot4+3\cdot(-1)=-3。

答え (476−3)\begin{pmatrix}4&7\\6&-3\end{pmatrix}

例題2(2×2 の逆行列)

A=(2153)A=\begin{pmatrix}2&1\\5&3\end{pmatrix} の逆行列を求めなさい。

  1. 2×22\times2 行列 (abcd)\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix} の逆行列は、ad−bc≠0ad-bc\ne0 のとき 1ad−bc(d−b−ca)\dfrac{1}{ad-bc}\begin{pmatrix}d&-b\\-c&a\end{pmatrix}。
  2. ad−bc=2⋅3−1⋅5=1ad-bc=2\cdot3-1\cdot5=1。
  3. A−1=(3−1−52)A^{-1}=\begin{pmatrix}3&-1\\-5&2\end{pmatrix}。
  4. たしかめ:AA−1=(6−5−2+215−15−5+6)=(1001)=EAA^{-1}=\begin{pmatrix}6-5&-2+2\\15-15&-5+6\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}1&0\\0&1\end{pmatrix}=E。

答え (3−1−52)\begin{pmatrix}3&-1\\-5&2\end{pmatrix}

まちがえやすい点

腕でバツを作る合格先生

合格先生

行列の積は成分どうしのかけ算ではなく「行 × 列」! 順番を入れかえると答えも変わるよ。

  • AB=BAAB=BA だと思う:行列の積は、ふつうは順番を入れかえると答えが変わります。
  • 積を成分どうしのかけ算にする:(1234)(0110)\begin{pmatrix}1&2\\3&4\end{pmatrix}\begin{pmatrix}0&1\\1&0\end{pmatrix} を (0230)\begin{pmatrix}0&2\\3&0\end{pmatrix} とするのはまちがい。積は「行 × 列」です。
  • 行と列を逆にする:2×32\times3 行列は「2行(横の並びが2本)、3列(縦の並びが3本)」です。
  • 「AB=OAB=O なら A=OA=O か B=OB=O」と思う:数ならそうですが、行列では成り立ちません。たとえば (1000)(0001)=O\begin{pmatrix}1&0\\0&0\end{pmatrix}\begin{pmatrix}0&0\\0&1\end{pmatrix}=O ですが、どちらも零行列ではありません。
  • どんな正方行列にも逆行列があると思う:2×22\times2 行列では、ad−bc=0ad-bc=0 のとき逆行列はありません。

ことばの由来・歴史

「行列」は、数を行と列にならべたものという意味の日本語です。英語の matrix(マトリックス)は、19世紀のイギリスの数学者シルベスターが名づけ、同じイギリスのケイリーが行列の計算の規則をまとめました。数を表の形にならべて連立方程式を解く方法そのものは、もっと古くから使われていました。

ミニ問題

問題1 次の行列の和を求めましょう。(1234)+(50−12)\begin{pmatrix}1&2\\3&4\end{pmatrix}+\begin{pmatrix}5&0\\-1&2\end{pmatrix}

答えと解き方を見る

(6226)\begin{pmatrix}6&2\\2&6\end{pmatrix} です。たし算は、同じ場所の成分どうしをたします。左上 1+5=61+5=6、右上 2+0=22+0=2、左下 3+(−1)=23+(-1)=2、右下 4+2=64+2=6。

問題2 3×23\times2 行列 AA と 2×42\times4 行列 BB の積 ABAB は計算できますか。できるなら、何行何列の行列になりますか。

答えと解き方を見る

計算でき、3×43\times4 行列になります。AA の列の数(2)と BB の行の数(2)が同じなので計算できます。答えの形は「AA の行の数 × BB の列の数」です。なお、BABA は BB の列の数 4 と AA の行の数 3 がちがうので計算できません。

問題3 A=(1101)A=\begin{pmatrix}1&1\\0&1\end{pmatrix} のとき、A2=AAA^2=AA を求めましょう。

答えと解き方を見る

(1201)\begin{pmatrix}1&2\\0&1\end{pmatrix} です。左上 1⋅1+1⋅0=11\cdot1+1\cdot0=1、右上 1⋅1+1⋅1=21\cdot1+1\cdot1=2、左下 0⋅1+1⋅0=00\cdot1+1\cdot0=0、右下 0⋅1+1⋅1=10\cdot1+1\cdot1=1。成分を2乗しただけの (1101)\begin{pmatrix}1&1\\0&1\end{pmatrix} にはなりません。

関連する公式・用語

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あわせて覚えたい用語

よくある質問

行列の行と列はどっちが横ですか?

行が横の並び、列が縦の並びです。漢字の「行」には横の線、「列」の右側には縦の線があると覚えると、まちがえにくくなります。

行列の積はどう計算しますか?

左の行列の行と、右の行列の列を、順にかけてたします。たとえば2行2列どうしなら、左上の成分は「左の1行目」と「右の1列目」から計算します。

行列は高校で習いますか?

いまの課程(2022年度入学生から)では、数学Cの「数学的な表現の工夫」の中で表し方の一つとして出てきます。逆行列などを本格的に学ぶのは大学の線形代数です。2011年度までに高校に入学した人の課程では、数学Cに「行列とその応用」がありました。

AB と BA は同じですか?

ふつうは同じになりません。行列の積は、順番を入れかえると答えが変わることが多いです。

行列の積が計算できるのはどんなときですか?

左の行列の列の数と、右の行列の行の数が同じときだけです。2×3行列と3×2行列なら計算でき、答えは2×2行列になります。

逆行列とは何ですか?

かけると単位行列になる行列です。2×2行列では ad-bc が0でないときにだけあり、1/(ad-bc) に d、-b、-c、a をならべた行列をかけて求めます。

出典・参考

  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編」数学C(数学的な表現の工夫)
  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成11年告示)」数学C(行列とその応用)

最終更新:2026年10月13日/作成:大学受験合格大作戦