階数(ランク)の公式|連立1次方程式の解の判定rank A=rank(A|b)・解の自由度n−rと一般解の例題【大学院入試・線形代数】

階数(ランク)の公式|連立1次方程式の解の判定rank A=rank(A|b)・解の自由度n−rと一般解の例題【大学院入試・線形代数】

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大学院入試

Ax=b が解をもつ  ⟺  rank A=rank(A∣b),自由度=n−rank AA\boldsymbol{x}=\boldsymbol{b}\text{ が解をもつ}\iff\mathrm{rank}\,A=\mathrm{rank}(A\mid\boldsymbol{b}),\qquad\text{自由度}=n-\mathrm{rank}\,A

AA は m×nm\times n 行列(未知数 nn 個)、(A∣b)(A\mid\boldsymbol{b}) は拡大係数行列

この公式のポイント

  • 階数=階段行列の0でない行の数
  • 解をもつ   ⟺  \iff rank A=rank(A∣b)\mathrm{rank}\,A=\mathrm{rank}(A\mid\boldsymbol{b})
  • 解の自由度は未知数の数 nn − 階数
  • 一般解は特殊解+同次方程式の解の1次結合
うかるくん

うかるくん

階数がわかっても、解があるかどうかはどうやって決めるの?

合格先生

合格先生

係数行列と拡大係数行列の階数を比べるんだ。等しければ解があり、自由度は未知数の数から階数を引いた数だぞ。

階数(ランク)と連立1次方程式の解

mm 個の式・nn 個の未知数の連立1次方程式は、行列で Ax=bA\boldsymbol{x}=\boldsymbol{b}(AA は m×nm\times n 行列)と書けます。解があるか、いくつあるかは、階数(ランク)だけで判定できます。

階数と解の判定

階数 rank A\mathrm{rank}\,A:行基本変形で階段行列にしたときの、0でない行の数(=主成分の数)。

(A∣b)(A\mid\boldsymbol{b}) を拡大係数行列とすると

Ax=b が解をもつ  ⟺  rank A=rank(A∣b)A\boldsymbol{x}=\boldsymbol{b}\text{ が解をもつ}\iff\mathrm{rank}\,A=\mathrm{rank}(A\mid\boldsymbol{b})

解をもつとき、r=rank Ar=\mathrm{rank}\,A として

解の自由度=n−r\text{解の自由度}=n-r

(n−rn-r 個の変数を自由に選べ、残りの rr 個が決まる)。とくに n−r=0n-r=0 なら解はただ1つ。

同次方程式 Ax=0A\boldsymbol{x}=\boldsymbol{0} はいつも x=0\boldsymbol{x}=\boldsymbol{0} を解にもち、解全体は n−rn-r 次元の空間になります。nn 次の正方行列なら rank A=n  ⟺  det⁡A≠0\mathrm{rank}\,A=n\iff\det A\neq0。

1*****001***0001**000000x₁x₂x₃x₄x₅x₆r=3○ 主成分(各行の最初の0でない数)の個数=階数 r=3緑の列の変数 x₂, x₅, x₆ は自由に選べる解の自由度=n−r=6−3=3
階段行列:主成分(○)の個数が階数、主成分のない列(緑)の変数を自由に選べる

なぜ成り立つのか(証明)

① 行基本変形で解は変わらない

行基本変形(2式の入れかえ、1つの式を0でない数倍、1つの式に別の式の定数倍を足す)は、どれも元に戻せる変形です。左から逆行列をもつ基本行列 PP をかけることと同じなので、Ax=b  ⟺  PAx=PbA\boldsymbol{x}=\boldsymbol{b}\iff PA\boldsymbol{x}=P\boldsymbol{b}。だから、拡大係数行列を階段行列にしてから解いてよいのです。

② 階段行列で判定する

(A∣b)(A\mid\boldsymbol{b}) を階段行列にしたとき、AA の部分の0でない行が rr 行あるとします。

  • rank(A∣b)>r\mathrm{rank}(A\mid\boldsymbol{b})>r のとき:ある行が (0 0 ⋯ 0∣c)(0\ 0\ \cdots\ 0\mid c)(c≠0c\neq0)になり、「0=c0=c」という式になるので解なし。
  • rank(A∣b)=r\mathrm{rank}(A\mid\boldsymbol{b})=r のとき:0でない rr 個の式が残ります。各行の主成分の変数(rr 個)は、主成分のない列の変数(n−rn-r 個)を使って、下の行から順に1通りに表せます。主成分のない変数に好きな値 t1,⋯ ,tn−rt_1,\cdots,t_{n-r} を入れると解が1つ決まり、すべての解がこうして得られます。

こうして一般解は

x=x0+t1v1+⋯+tn−rvn−r\boldsymbol{x}=\boldsymbol{x}_0+t_1\boldsymbol{v}_1+\cdots+t_{n-r}\boldsymbol{v}_{n-r}

(x0\boldsymbol{x}_0 は1つの解、vk\boldsymbol{v}_k は Ax=0A\boldsymbol{x}=\boldsymbol{0} の解)の形になり、v1,⋯ ,vn−r\boldsymbol{v}_1,\cdots,\boldsymbol{v}_{n-r} は1次独立です(それぞれ、自分の自由変数の成分だけが1で、ほかの自由変数の成分は0なので)。

③ 階数が1つに決まること(略証)

階段行列の作り方は1通りではありませんが、0でない行の数は変わりません。0でない行は1次独立で、行基本変形は「行ベクトルで張られる空間」を変えないので、rr はその空間の次元(=1次独立な行の最大個数)に等しいからです。列についても同じ数になり、rank A=rank A⊤\mathrm{rank}\,A=\mathrm{rank}\,A^{\top} です。

解は1つx+y=2x−y=0階数 2 = 2解なしx+y=2x+y=1階数 1 < 2解は無数x+y=22x+2y=4階数 1 = 1
2本の直線で見る3つの場合。平行なら rank A=1<rank(A∣b)=2\mathrm{rank}\,A=1<\mathrm{rank}(A\mid\boldsymbol{b})=2 で解なし、重なれば階数はどちらも1で自由度 2−1=12-1=1

大学院入試では

院試では、一般解をベクトルの形で書く問題と、文字の値で場合分けする問題がよく出る形です。

大学院入試

例題1(一般解と自由度)

連立方程式 x+2y−z+w=1x+2y-z+w=1、2x+4y+z−w=52x+4y+z-w=5、x+2y+2z−2w=4x+2y+2z-2w=4 の解をすべて求めなさい。

解き方

拡大係数行列を変形する。第1行の −2-2 倍を第2行に、−1-1 倍を第3行に足すと (12−111241−15122−24)→(12−111003−33003−33)\left(\begin{array}{cccc|c}1&2&-1&1&1\\2&4&1&-1&5\\1&2&2&-2&4\end{array}\right)\to\left(\begin{array}{cccc|c}1&2&-1&1&1\\0&0&3&-3&3\\0&0&3&-3&3\end{array}\right)

第2行を 33 でわり、第3行から第2行を引き、第2行を第1行に足すと (12002001−1100000)\left(\begin{array}{cccc|c}1&2&0&0&2\\0&0&1&-1&1\\0&0&0&0&0\end{array}\right)

rank A=rank(A∣b)=2\mathrm{rank}\,A=\mathrm{rank}(A\mid\boldsymbol{b})=2 なので解があり、自由度は 4−2=24-2=2。主成分のない y=sy=s、w=tw=t とおくと x=2−2sx=2-2s、z=1+tz=1+t。

答え (xyzw)=(2010)+s(−2100)+t(0011)\begin{pmatrix}x\\y\\z\\w\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}2\\0\\1\\0\end{pmatrix}+s\begin{pmatrix}-2\\1\\0\\0\end{pmatrix}+t\begin{pmatrix}0\\0\\1\\1\end{pmatrix}(s, ts,\ t は任意の実数)

大学院入試

例題2(文字を含む場合分け)

連立方程式 {x+y+az=1x+ay+z=1ax+y+z=1\begin{cases}x+y+az=1\\x+ay+z=1\\ax+y+z=1\end{cases} が、ただ1つの解をもつ・解をもたない・無数の解をもつ、のそれぞれになる aa の値の条件を求めなさい。

解き方

係数行列の行列式は (a−1)+(a−1)+a(1−a2)=(a−1)(2−a−a2)=−(a−1)2(a+2)(a-1)+(a-1)+a(1-a^2)=(a-1)(2-a-a^2)=-(a-1)^2(a+2)。

(ア)a≠1, −2a\neq1,\ -2:det⁡A≠0\det A\neq0 で rank A=3\mathrm{rank}\,A=3。ただ1つの解(対称性から x=y=z=1a+2x=y=z=\dfrac{1}{a+2})。

(イ)a=1a=1:3式とも x+y+z=1x+y+z=1。rank A=rank(A∣b)=1\mathrm{rank}\,A=\mathrm{rank}(A\mid\boldsymbol{b})=1 で、自由度2の無数の解。

(ウ)a=−2a=-2:3式を足すと左辺は 00、右辺は 33 で矛盾。rank A=2\mathrm{rank}\,A=2、rank(A∣b)=3\mathrm{rank}(A\mid\boldsymbol{b})=3 で解なし。

答え a≠1, −2a\neq1,\ -2 でただ1つ、a=−2a=-2 で解なし、a=1a=1 で無数(自由度2)

大学院入試

例題3(文字を含む行列の階数)

A=(1212a336b)A=\begin{pmatrix}1&2&1\\2&a&3\\3&6&b\end{pmatrix} の階数を、a, ba,\ b の値で場合分けして求めなさい。

解き方

第1行の −2-2 倍を第2行に、−3-3 倍を第3行に足すと (1210a−4100b−3)\begin{pmatrix}1&2&1\\0&a-4&1\\0&0&b-3\end{pmatrix}。

a≠4a\neq4 のとき:b≠3b\neq3 なら主成分が3つで階数3、b=3b=3 なら第3行が0で階数2。

a=4a=4 のとき:第2行が (0,0,1)(0,0,1)、第3行が (0,0,b−3)(0,0,b-3) となり、第3行は第2行の定数倍なので階数2。

答え a≠4a\neq4 かつ b≠3b\neq3 のとき3、それ以外のとき2

学部の授業とのつながり・院試での注意

  • どの授業で習うか:大学1年の線形代数学で、行基本変形・階段行列・階数を学び、のちに「核と像」「次元定理」(dim⁡Ker A=n−rank A\dim\mathrm{Ker}\,A=n-\mathrm{rank}\,A)として言いかえます。解の自由度 n−rn-r は、同次方程式の解空間の次元のことです。
  • 答案で示すこと:変形の途中経過、rank A\mathrm{rank}\,A と rank(A∣b)\mathrm{rank}(A\mid\boldsymbol{b}) を比べた結論、自由に選んだ変数(s, ts,\ t など)が任意の実数であること。一般解は「特殊解+同次方程式の解の1次結合」の形に整えます。
  • 場合分けの注意:文字でわるときは、その文字が0でないことを確かめてから。行列式で場合を分けると漏れにくくなります。
  • よくある出題の形:一般解をベクトルで表す、文字を含む連立方程式の場合分け、文字を含む行列の階数、解空間の基底と次元を求める問題。

よくある間違い

腕でバツを作る合格先生

合格先生

自由度を「式の数−階数」とするのは誤りだ。未知数の数 nn から階数を引こう。

  • rank A\mathrm{rank}\,A だけを見て「解がある」とする:解があるかどうかは、rank A\mathrm{rank}\,A と拡大係数行列の rank(A∣b)\mathrm{rank}(A\mid\boldsymbol{b}) を比べて決めます。
  • 自由度を「式の数−階数」とする:自由度は未知数の数 nn から階数を引いた n−rn-r です。
  • 文字でわってから場合分けを忘れる:例題3で第2行を a−4a-4 でわると、a=4a=4 の場合が抜けます。

練習問題

ひらめいたサクラちゃん

サクラちゃん

文字でわる前に、0になる場合を分けておこう。

  1. 大学院入試 (123456789)\begin{pmatrix}1&2&3\\4&5&6\\7&8&9\end{pmatrix} の階数を求めなさい。
    答えと解説を見る第1行の −4-4 倍、−7-7 倍をそれぞれ第2行・第3行に足すと (0,−3,−6)(0,-3,-6)、(0,−6,−12)(0,-6,-12)。第3行は第2行の2倍なので0にできる。答え 22
  2. 大学院入試 同次方程式 {x+y+z+w=0x−y+z−w=0\begin{cases}x+y+z+w=0\\x-y+z-w=0\end{cases} の解全体の次元と、解をすべて求めなさい。
    答えと解説を見る2式を引いて 2y+2w=02y+2w=0、y=−wy=-w。足して x+z=0x+z=0。階数2・未知数4なので次元は 4−2=24-2=2。z=s, w=tz=s,\ w=t とおいて、答え 次元 22、(x,y,z,w)=s(−1010)+t(0−101)(x,y,z,w)=s\begin{pmatrix}-1\\0\\1\\0\end{pmatrix}+t\begin{pmatrix}0\\-1\\0\\1\end{pmatrix}(s, ts,\ t は任意)
  3. 大学院入試 連立方程式 {x+2y=32x+ky=c\begin{cases}x+2y=3\\2x+ky=c\end{cases} について、解がただ1つ・解なし・無数、となる条件をそれぞれ求めなさい。
    答えと解説を見るdet⁡=k−4\det=k-4。k≠4k\neq4 ならただ1つ。k=4k=4 のとき第2式は 2(x+2y)=c2(x+2y)=c で、c=6c=6 なら第1式と同じで無数(自由度1)、c≠6c\neq6 なら解なし。答え k≠4k\neq4 でただ1つ、k=4, c≠6k=4,\ c\neq6 で解なし、k=4, c=6k=4,\ c=6 で無数

関連する公式

よくある質問

行列の階数(ランク)とは?

行基本変形で階段行列にしたときの、0でない行の数です。1次独立な行(または列)の最大個数とも等しくなります。

連立1次方程式に解があるかはどう判定しますか?

係数行列Aの階数と、右辺をつけた拡大係数行列(A|b)の階数を比べます。等しければ解があり、拡大係数行列の方が大きければ解はありません。

解の自由度とは何ですか?

一般解の中で自由に選べる変数(パラメータ)の個数で、未知数の数nから階数rを引いたn−rです。0なら解はただ1つです。

正方行列の場合、行列式との関係は?

n次の正方行列では、階数がnであることと行列式が0でないことは同じです。このとき解はただ1つに決まります。

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出典・参考

  • 大学初年級の線形代数学(範囲外の発展内容)

最終更新:2026年10月11日/作成:大学受験合格大作戦