この公式のポイント
- 基底=1次独立で全体を生成する組
- 次元=基底の本数(基底の選び方によらない)
- dimV=dimKerf+dimImf
- 像の基底はもとの行列の列から選ぶ

うかるくん
核と像の次元を足すと、なんで元の空間の次元になるの?
![合格先生]()
合格先生
核の基底を広げて全体の基底を作るんだ。足した分の行き先が、ちょうど像の基底になるぞ。
基底と次元、次元定理
ベクトル空間の「大きさ」を表すのが次元、その空間を作る最小の材料が基底です。線形写像 f で「つぶれる部分(核)」と「届く部分(像)」の次元を足すと、もとの空間の次元になります。これが次元定理です。
基底・次元・次元定理
1次独立:c1a1+⋯+ckak=0 ならば c1=⋯=ck=0。
基底:1次独立で、V のすべてのベクトルをその1次結合で表せる(V を生成する)ベクトルの組。次元 dimV は基底のベクトルの個数(どの基底でも同じ個数)。
線形写像 f:V→W について、核 Kerf={v∈V∣f(v)=0}、像 Imf={f(v)∣v∈V} とすると
dimV=dimKerf+dimImf行列 A(m×n)で書くと n=dimKerA+rankA。
基底 {a1,a2} の斜めの方眼。v=(4,5)=1⋅a1+2⋅a2 なので座標は (1,2)
基底があると、どのベクトルもただ1通りに c1a1+⋯+cnan と書けます(2通りに書けたら、引き算して1次独立に反する)。この係数の組が「その基底での座標」です。
証明:核の基底を広げる
V は有限次元で dimV=n とします。「1次独立なベクトルの組は、ベクトルを足して V の基底に広げられる」という事実(基底の延長)を使います。
① 核の基底から V の基底を作る
Kerf の基底を u1,⋯,uk とし、これを広げて V の基底 u1,⋯,uk,v1,⋯,vr(k+r=n)を作ります。目標は「f(v1),⋯,f(vr) が Imf の基底」を示すことです。そうすれば dimImf=r=n−k です。
② 生成すること
Imf の元は f(x) の形。x=∑aiui+∑bjvj と書くと、f(ui)=0 なので
f(x)=j=1∑rbjf(vj)
よって f(v1),⋯,f(vr) は Imf を生成します。
③ 1次独立であること
∑cjf(vj)=0 とすると、線形性から f(∑cjvj)=0、つまり ∑cjvj∈Kerf。核の基底で ∑cjvj=∑diui と書けるので
i=1∑kdiui−j=1∑rcjvj=0
u1,⋯,vr は V の基底で1次独立なので、すべての cj=0。以上で dimImf=r、すなわち dimV=k+r=dimKerf+dimImf が示せました。
例題2の写像 f:R4→R3。核(2次元)は 0 につぶれ、像は2次元。4=2+2
大学院入試では
院試では「1次独立かどうかの判定」「核と像の基底と次元」「部分空間の次元」が定番です。行基本変形(掃き出し)で階段行列にするのが共通の道具です。
大学院入試例題1(1次独立の判定と生成する空間の次元)
R3 のベクトル
a1=(1,2,3)、
a2=(2,3,4)、
a3=(3,4,5) は1次独立か。また、これらが生成する部分空間の次元と基底を求めなさい。
解き方
c1a1+c2a2+c3a3=0 を考える。a2−a1=(1,1,1)、a3−a2=(1,1,1) なので a1−2a2+a3=0。c=(1,−2,1) という 0 でない解があるので1次従属。
a3=2a2−a1 は a1,a2 の1次結合。a1,a2 は比例しないので1次独立。よって生成する空間の基底は {a1,a2}、次元は2。
答え 1次従属(a1−2a2+a3=0)。次元2、基底 {(1,2,3),(2,3,4)}
大学院入試例題2(核と像の基底、次元定理)
A=123246011134 で定まる線形写像
f:R4→R3(
f(x)=Ax)について、
Kerf と
Imf の基底と次元を求めなさい。
解き方
行基本変形(第2行−2×第1行、第3行−3×第1行、さらに第3行−第2行)で 100200010110。rankA=2。
核:x1+2x2+x4=0、x3+x4=0。x2=s, x4=t とおくと x=s(−2,1,0,0)+t(−1,0,−1,1)。この2本は1次独立なので dimKerf=2。
像:主成分(先頭の1)がある第1列・第3列に対応する、もとの A の第1列 (1,2,3) と第3列 (0,1,1) が基底。dimImf=2。
確かめ:4=2+2 で次元定理と一致。
答え Kerf の基底 {(−2,1,0,0),(−1,0,−1,1)}(2次元)、Imf の基底 {(1,2,3),(0,1,1)}(2次元)
大学院入試例題3(多項式の空間での次元定理)
3次以下の実数係数の多項式全体を
P3、2次以下の多項式全体を
P2 とする。
f(p)(x)=p(x+1)−p(x) で定まる線形写像
f:P3→P3 の核と像を求めなさい。
解き方
dimP3=4(基底 1,x,x2,x3)。f(1)=0、f(x)=1、f(x2)=2x+1、f(x3)=3x2+3x+1。
核:p=a+bx+cx2+dx3 なら f(p)=(b+c+d)+(2c+3d)x+3dx2。これが 0 となるのは d=c=b=0。よって Kerf は定数全体で、次元1。
像:次元定理より dimImf=4−1=3。像はすべて2次以下なので Imf⊂P2、しかも dimP2=3 なので Imf=P2。
答え Kerf={定数}(1次元)、Imf=P2(3次元)
学部の授業とのつながり・院試での注意
- どの授業で習うか:大学初年級の線形代数の後半(ベクトル空間・線形写像)で学びます。前半の連立1次方程式・階数(ランク)の計算がそのまま道具になります。
- 答案で示すべきこと:「基底である」と書くには、1次独立と生成するの両方が必要です。ただし次元が分かっているときは、個数が次元と等しい1次独立な組はそれだけで基底です(例題3の像の議論)。
- 像の基底はもとの行列の列から:階段行列の列ではなく、主成分の位置に対応するもとの A の列を選びます。
- よくある出題の形:行列で定まる写像の核・像、連立方程式の解空間の次元、多項式や行列の空間の部分空間、「dim(W1+W2)=dimW1+dimW2−dim(W1∩W2)」を使う問題などです。
よくある間違い
![腕でバツを作る合格先生]()
合格先生
像の基底に階段行列の列を書くのは誤りだ。主成分の位置にある、もとの A の列を選ぼう。
- 像の基底に階段行列の列を書く:行基本変形で列の空間は変わります。例題2では階段行列の第3列 (0,1,0) ではなく、もとの第3列 (0,1,1) を書きます。
- 1次独立を「どの2本も比例しない」で判定する:3本以上では不十分です。例題1の3本はどの2本も比例しませんが1次従属です。
- 核の次元を方程式の本数で決める:dimKerA=n−rankA です。式の本数ではなく、行基本変形で残った本数(階数)で引きます。
練習問題
![指さして説明するサクラちゃん]()
- 大学院入試 R3 のベクトル (1,1,0)、(0,1,1)、(1,0,1) は R3 の基底になるか。
答えと解説を見る
3本を並べた行列式は 1⋅(1⋅1−1⋅0)−1⋅(0⋅1−1⋅1)+0=2=0 なので1次独立。dimR3=3 と本数が等しいので基底になる - 大学院入試 A=147258369 について、rankA と KerA の基底を求めなさい。
答えと解説を見る
行基本変形で 1002−303−60、rankA=2。x1+2x2+3x3=0、−3x2−6x3=0 より x2=−2x3、x1=x3。答え rankA=2、KerA の基底 {(1,−2,1)}(次元 3−2=1) - 大学院入試 W={(x,y,z,w)∈R4∣x+y+z+w=0, x−y+2z=0} の次元と基底を求めなさい。
答えと解説を見る
第2式から x=y−2z。第1式に入れて w=−2y+z。y=s, z=t とおくと (x,y,z,w)=s(1,1,0,−2)+t(−2,0,1,1)。2本は1次独立。答え 次元2、基底 {(1,1,0,−2),(−2,0,1,1)}
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よくある質問
基底とは何ですか?
1次独立で、空間のすべてのベクトルをその1次結合で表せるベクトルの組です。基底を使うと、どのベクトルもただ1通りに表せます。
次元定理とは?
線形写像f:V→Wについて、dim V=dim Ker f+dim Im f が成り立つという定理です。行列Aでは、列の数n=核の次元+階数となります。
核と像の基底はどう求めますか?
行基本変形で階段行列にし、核は連立方程式の解を任意定数で表して求めます。像は主成分のある列に対応する、もとの行列の列を選びます。
3本のベクトルの1次独立はどう判定しますか?
3次元なら3本を並べた行列式が0でないかで判定できます。どの2本も比例しないことだけでは不十分です。
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出典・参考
最終更新:2026年10月11日/作成:大学受験合格大作戦