ラングランズは何をした人?業績をわかりやすく|ラングランズ・プログラム・アーベル賞・数学の大統一理論

ラングランズは何をした人?業績をわかりやすく|ラングランズ・プログラム・アーベル賞・数学の大統一理論

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ラングランズRobert Langlands

ひとことで言うと

数論・解析・表現論を結ぶ「数学の辞書」ラングランズ・プログラムを1967年に提案し、2018年にアーベル賞を受けた数学者。

名前ロバート・ラングランズ(Robert P. Langlands)
生年1936年10月6日生まれ(存命)
国カナダ生まれ、アメリカで研究(プリンストン高等研究所)
分野数論・表現論・保型形式
主な業績ラングランズ・プログラム(1967年)、関手性予想、トレース公式の整備、基本補題の定式化(1987年)
主な受賞ウルフ賞(1995/96年・ワイルズと)、ショー賞(2007年)、アーベル賞(2018年)
名前がつくものラングランズ・プログラム・ラングランズ対応・ラングランズ双対群・基本補題

このページのポイント

  • 1967年、ヴェイユへの手紙で数論・解析・表現論をむすぶ予想を書き、ラングランズ・プログラムが始まった
  • 一部の証明からフェルマーの最終定理(1995年)や基本補題(2008年)などが解け、半世紀以上たった今も続く研究分野になった
  • 2018年にアーベル賞。「素数を4で割った余り」のような身近な相互法則が、プログラムの入口

ラングランズは何をした人?(業績をひとことで)

ロバート・ラングランズ(Robert Langlands、1936年〜)は、カナダ出身の数学者です。「ラングランズ・プログラム」という、数学の別々の分野を結びつける大きな計画を、1967年に提案した人として知られます。2018年にアーベル賞を受けました。アーベル賞は、ノルウェーが贈る賞で、「数学のノーベル賞」ともよばれる最高の賞の1つです。授賞の理由は「表現論と数論を結ぶ先見的な計画」でした。

ラングランズ・プログラムは、一言でいうと「数学の世界の辞書」です。素数や方程式を調べる「数論」と、波や周期のある関数を調べる「解析」と、対称性を調べる「表現論」。まったく別の学問に見えるこの3つが、じつは深いところでぴったり対応している――という予想の集まりです。「大統一理論」にたとえて、「数学の大統一理論」とよばれることもあります。

この計画の一部が証明されたことで、フェルマーの最終定理も解けました。1995年にワイルズの業績と生涯が示した「楕円曲線のモジュラー性」は、ラングランズ・プログラムの特別な場合にあたります。ただし、プログラム全体は今も完成していません。世界中の数学者が、50年以上かけて少しずつ証明を積み上げている最中です。

ラングランズは、今も研究を続けている数学者です。この記事は、公に知られた業績・受賞・論文だけを書いています。

うかるくん

うかるくん

数論と解析と表現論……。ぜんぜん別のものに聞こえます。どうして結びつくんですか?

合格先生

合格先生

たとえば「素数を4で割った余り」を見てみよう。余りが1の素数だけが「2つの平方数の和」で書ける。素数の世界のルールが、平方数という別の世界のルールと同じなんだ。ラングランズは、これと同じことが、もっと深いところでも成り立つはずだ、と考えたんだよ。

ラングランズの生涯と年表

カナダで生まれ、数学の道へ

ロバート・ラングランズは、1936年10月6日、カナダのブリティッシュ・コロンビア州ニュー・ウェストミンスターで生まれました(MacTutor)。地元のブリティッシュ・コロンビア大学で学び、1957年に学士号、1958年に修士号を受けました。

イェール大学で博士号

アメリカのイェール大学に進み、1960年に博士号を受けました。博士論文の題は「リー群の半群と表現」です。「表現論」とよばれる分野が、ラングランズの出発点でした。博士号を受けたあと、プリンストン大学やイェール大学などで研究と教育にたずさわります。

1967年、ヴェイユへの手紙

1967年1月、ラングランズは、先輩の数学者アンドレ・ヴェイユに手書きの手紙を送りました。17ページの長さで、「数論と表現論のあいだに、深い対応があるはずだ」という予想がつづられていました。ヴェイユはその手紙を清書させ(タイプで打たせ)、数学者たちのあいだに広まりました。これが、後に「ラングランズ・プログラム」とよばれる計画の始まりです(MacTutor)。

プリンストン高等研究所へ

1972年7月から、ラングランズはプリンストン高等研究所の教授を務めました。高等研究所は、アインシュタインらが在籍したことでも有名な研究機関です。2007年6月に退職して、名誉教授になりました。

受賞

1995/96年に、ワイルズとともにウルフ賞を受けました。2007年には、リチャード・テイラーとともにショー賞を受けています。そして2018年にアーベル賞を受けました(MacTutor)。

ラングランズの歩み1936カナダで生まれる1957ブリティッシュ・コロンビア大学を卒業1960イェール大学で博士号1967ヴェイユへの手紙1972プリンストン高等研究所へ1995/96ウルフ賞(ワイルズと)2007ショー賞(テイラーと)2018アーベル賞公に知られた経歴・受賞だけを年表にした
ラングランズの歩み。カナダ→イェール大学→1967年の手紙→高等研究所→アーベル賞
年できごと
1936年10月6日、カナダのブリティッシュ・コロンビア州で生まれる
1957年ブリティッシュ・コロンビア大学を卒業(学士)
1958年同大学で修士号
1960年イェール大学で博士号
1967年1月、ヴェイユへの手紙(ラングランズ・プログラムの出発点)
1972年7月、プリンストン高等研究所の教授になる
1987年シェルスタッドと「基本補題」を定式化する(最初の形は1979年)
1995/96年ウルフ賞(ワイルズと共同受賞)
2007年ショー賞(テイラーと共同受賞)。高等研究所を退職し名誉教授に
2008年ゴ・バオ・チャウが基本補題を証明(のち2010年にフィールズ賞)
2018年アーベル賞

ラングランズの主な業績をやさしく解説

業績1 ラングランズ・プログラム:数学の「辞書」

まず、いちばんやさしい例を見てください。素数を4で割った余りで分けると、2つの種類に分かれます。余りが1の素数(5, 13, 17, 29, 37, 41…)と、余りが3の素数(3, 7, 11, 19, 23…)です。そして、余りが1の素数だけが、2つの平方数の和で書けます(5=1+45=1+4、13=4+913=4+9、17=1+1617=1+16)。余りが3の素数(たとえば7)は、どうやっても書けません。

素数を「4で割った余り」で分ける3×4n+351+44n+17×4n+311×4n+3134+94n+1171+164n+119×4n+323×4n+3294+254n+131×4n+3371+364n+14116+254n+143×4n+347×4n+3赤:4で割って1余る = 平方数2つの和で書ける青:4で割って3余る = 書けない同じ素数が x²≡−1 (mod p) に解をもつかも決める
4で割って1余る素数だけが、2つの平方数の和で書ける(赤)。余りが3の素数では書けない(青)

この事実は、17世紀のフェルマーが見つけ、オイラーが証明しました。じつは、これは同時に「x2≡−1(modp)x^2\equiv-1\pmod p(x2+1x^2+1 が pp でわり切れる)という式に、解があるかどうか」とも同じです(p=13p=13 なら x=5x=5:25+1=26=2×1325+1=26=2\times13)。素数の「種類」が、方程式の解の有無を決めている――この関係を「相互法則」とよびます。ガウスの平方剰余の相互法則は、その代表です。

20世紀に、日本の高木貞治の類体論などによって、この相互法則は「1次元の対称性」の場合にまとめられました。ラングランズは、これを「もっと複雑な対称性」にまで広げることを考えました。素数の種類を分ける「ガロア表現」(方程式の解の入れかえ方)と、波のような対称性を持つ関数「保型形式」とが、辞書のようにぴったり対応するというのです。

3つの世界を結ぶ「辞書」数論の世界素数・方程式ガロア表現(解の対称性)解析の世界波・周期関数保型形式(対称性のある関数)対応表現論の世界(対称性の言葉)2つの世界をつなぐ辞書の文法になる1967年にラングランズがヴェイユへの手紙で提案(「予想の集まり」を「プログラム」とよぶ)
ラングランズ・プログラム。数論(ガロア表現)と解析(保型形式)が対応し、表現論が文法になる

ここで「ガロア表現」と「保型形式」という言葉が出てきたので、たとえ話で説明しておきます。ガロア表現は、方程式の解を入れかえる操作(対称性)を、数の表で表したものです。たとえば ^2=2の解の解sqrt2とhBcsqrt2と hBcsqrt2 を入れかえる操作は、「符号を変える」ことに対応します。一方保型形式は、ふつうの周期関数(サインやコサイン)をもっと広くしたもので、平面をずらしたり回したりしても、決まったルールで形が保たれる関数です。片方は「方程式の入れかえ」、もう片方は「関数の対称性」。まったく別の対象なのに、素数ごとに計算した数列が一致する、というのがラングランズの予想の中身です。数列が一致するなら、2つは「同じものの別の顔」だと考えられるのです。

1967年の手紙に書かれたのは、この対応が成り立つはずだという大胆な予想でした。ラングランズは手紙の中で、「もし純粋な推測として読んでもらえるならうれしい。もしそうでなければ、くずかごが手近にあるでしょう」という意味のことを書いたと伝えられています(手紙の全文は、プリンストン高等研究所の資料で公開されています)。証明の見通しがなくても、美しい予想を書きとめるという姿勢が、50年以上のちまで続く研究のスタートになりました。

業績2 方程式の点の数と、波の係数が一致する

辞書の「単語」が、実際に対応する例を見てみましょう。次の曲線(楕円曲線)を考えます。

y2=x3−xy^2=x^3-x

この式を、「素数 pp で割った余り」の世界で考えます。たとえば p=5p=5 のとき、x,yx,y は 00 から 44 のどれかで、式が成り立つ組を数えます。数えてみると、無限遠点とよばれる特別な点を入れて8個あります。p+1−8=−2p+1-8=-2 という数を a(p)a(p) と書きます。

方程式の点の数 = 波の係数素数p点の数a(p)=p+1−点波の係数340058-2-27800138661716222940-10-10曲線 y²=x³−x を mod p で数えた結果が、保型形式 q∏(1−q^4n)²(1−q^8n)² の係数と一致
曲線 y²=x³−x を mod p で数えた点の数から作った a(p) と、保型形式の係数。ぴったり一致する

ところが、まったく別の場所――保型形式という、波のような対称性を持つ関数の係数――に、同じ数がちゃんと現れます。表の右端の「波の係数」は、次の無限積を展開したときの qpq^p の係数です。

q∏n=1∞(1−q4n)2(1−q8n)2=q−2q5−3q9+6q13+2q17−q25−10q29+⋯q\prod_{n=1}^{\infty}(1-q^{4n})^2(1-q^{8n})^2=q-2q^5-3q^9+6q^{13}+2q^{17}-q^{25}-10q^{29}+\cdots

p=5p=5 の係数は −2-2、p=13p=13 は 66、p=17p=17 は 22、p=29p=29 は −10-10 で、左の方程式の点の数から計算した値とぴったり同じです。方程式の世界と、波の世界が、素数ごとに同じ数を出す。これは偶然ではなく、ラングランズ・プログラムの最も基本的な形の1つ(モジュラー性)です。なお、p=3,7p=3,7 のような「余りが3の素数」では、どちらも0になります。図2で見た「余りが1」の素数の世界とも、きれいに重なっています。

業績3 フェルマーの最終定理との関係

フェルマーの最終定理とは?わかりやすく解説は、ワイルズが1995年に証明しました。その証明の中心は、「半安定な楕円曲線は、すべてモジュラー(保型形式に対応する)である」という定理でした。これは、図3で見たような「方程式の点の数 = 波の係数」が、半安定な楕円曲線のすべてで成り立つことを意味します。ラングランズ・プログラムの見方では、この定理は、辞書の一部分が正しいと確かめたものです。

数式の暗号のような話ですが、「フェルマーの最終定理」は、これらの長い数学の流れの中で、最後に解けた「1つの実例」でした。くわしい経緯はフェルマーの最終定理を中学生向けに図解でも読めます。また、谷山豊の予想と志村五郎が出した「谷山・志村予想」(のちのモジュラー性定理)は、ラングランズの辞書の特別な場合にあたります。

業績4 トレース公式と「基本補題」

辞書を作るには、ただ予想するだけでなく、道具が必要です。ラングランズは、セルバーグの「トレース公式」(保型形式の係数を、図形の情報で数える公式)を、辞書づくりに使えるように整えました。この道具を使うと、別々の対称性の世界を比べることができます。比べるために必要な式の一部が、1987年にラングランズとシェルスタッドが定式化した「基本補題」です。

基本補題は、見かけはただの等式ですが、証明がとても難しく、25年以上解けませんでした。2008年、ベトナム出身の数学者ゴ・バオ・チャウが、これを証明しました。この仕事で、ゴ・バオ・チャウは2010年にフィールズ賞を受けています。ラングランズ・プログラムの重要な土台が、こうして固まりました。

業績5 プログラムのその後

ラングランズ・プログラムは、一人の数学者の予想から、世界中の数学者の共同作業へと育ちました。主なできごとを、次の図にまとめます。

プログラムの歩み1967ヴェイユへの手紙1987基本補題の定式化1995ワイルズ(楕円曲線)2002L・ラフォルグ2001ハリス・テイラー2008ゴ・バオ・チャウ2013ショルツェ2024幾何学的版の証明発表多くは一部の場合の証明。全体はまだ完成していない
ラングランズ・プログラムの進展。1967年→ワイルズ→L・ラフォルグ→ゴ・バオ・チャウ→ショルツェ→2024年

2002年には、フランスのロラン・ラフォルグが、整数ではなく「有限体の上の関数」で作った世界で、辞書の大きな部分(GL(n) の場合)を証明しました(同じ2002年にフィールズ賞を受けました)。2013年にはドイツのペーター・ショルツェが、p進体の上の局所ラングランズ対応について別の方法による証明を与えました(ショルツェは2018年にフィールズ賞)。2024年には、デニス・ゲイツゴリーらのグループが、「幾何学的ラングランズ予想」とよばれる、幾何学の言葉で書いた版の証明を発表しました。これらは、一部の場合の証明です。整数や有理数の上の世界など、まだ証明されていない部分が大きく残っていることを、覚えておきましょう。

ラングランズの名前がつく公式・定理・用語

  • ラングランズ・プログラム:数論・解析・表現論をむすぶ予想の集まり(1967年)。
  • ラングランズ予想(対応):ガロア表現と保型形式が対応するという予想。
  • 関手性(ファンクトリアリティ):対称性の種類をうつしかえても、対応が保たれるという予想。
  • ラングランズ双対群:対応の中で、片方の対称性に相手としてあらわれる群。
  • ラングランズ・シェルスタッドの基本補題:1987年に定式化され、2008年に証明された式。

高校数学までで、関係する公式・用語は次のとおりです。

「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

ラングランズ・プログラムの心は「別々に見えるものは、深いところでつながっている」こと。入試でも、図形と式、数列と関数が同じ問題の表と裏だったりするね。別の見方を探すくせをつけよう。

ラングランズの逸話(公に知られた話)

「くずかご」のある手紙

1967年の手紙は、数学の歴史の中でもとくに有名な手紙の1つです。ヴェイユに宛てた手紙の冒頭近くで、ラングランズは、自分の考えをまだ証明のない「推測」として読んでほしい、と控えめに書いたと伝えられています。ヴェイユがこの手紙を清書させて、数学者のあいだに回したことで、予想は世界に広まりました。今では、この手紙の全文が、プリンストン高等研究所のウェブサイトで公開され、だれでも読めると紹介されています。

表現論と数論を結ぶ先見的な計画に対して

2018年アーベル賞の授賞理由(MacTutorによる)(MacTutor「Robert Langlands」より。英語の授賞理由を日本語にした)

「プログラム」という名前

ラングランズの予想がまとめて「ラングランズ・プログラム」とよばれるのは、1つの定理ではなく、研究の方針と予想の集まりだからです。数学者たちは、半世紀以上にわたって、その一部分ずつを証明してきました。MacTutor は、このプログラムが約40年間、研究を導いてきた、と紹介しています。これほど長く、世界中の数学者の道しるべになった予想は、数学の歴史でも多くありません。

数学の「大統一理論」とよばれる理由

物理学では、電気・磁気・光などをまとめて説明する「統一理論」が探されています。ラングランズ・プログラムが「数学の大統一理論」とよばれるのは、数論・解析・幾何・表現論という4つの分野を、1つの辞書で結びつけようとしているからです。ただし、これは分かりやすくするためのたとえで、数学者自身が使う正式な名前ではありません。

半世紀をこえて続く、共同作業

ラングランズ・プログラムの面白いところは、だれか1人が完成させるのではなく、世代をこえて受けつがれていることです。1967年に出された予想の一部を、1990年代の数学者が証明し、2000年代の数学者が別の部分を証明し、2020年代の数学者がまた新しい言葉で書きなおしています。数学の問題は、一人の天才のひらめきだけでなく、長い時間をかけたバトンリレーでも解けていくのです。受験勉強でも、基本問題で身につけた解き方が、応用問題で次の力になるのと同じです。

日本の数学者たちとの関係

ラングランズの辞書の土台には、日本の数学者の仕事がいくつも入っています。高木貞治の類体論、谷山豊の予想と志村五郎の予想がその例です。日本の数論は、ラングランズの辞書の「左のページ」を大きく作った、といえるでしょう。

サクラちゃん

サクラちゃん

予想を立てるだけでも、数学の大きな仕事になるんですね。

合格先生

合格先生

そうなんだ。どんな問いを立てるかで、研究の道すじが決まる。入試でも、(1)の結果を(2)で使うような「つながり」を探すと、解けることが多いよ。

受験・勉強とラングランズのつながり

中学受験:素数と、余りの世界

中学受験の算数では、素数や、あまりを考える問題が出ます。「4で割ると1余る素数と、3余る素数」を分けて調べる活動は、ラングランズ・プログラムの最も身近な入口です。素数の基本は唯一の偶数の素数「2」の話も参考にしてください。

高校受験:整数の性質の説明

高校受験では、「nn が奇数のとき、n2n^2 を4で割った余りは1である」といった説明問題が出ます。n=2k+1n=2k+1 とおくと、n2=4k2+4k+1=4k(k+1)+1n^2=4k^2+4k+1=4k(k+1)+1 で確かめられます。余りで整数を分類する練習が、大学の数論の第一歩になります。

大学受験:合同式・整数問題

大学受験の整数問題では、合同式(mod)の計算が最重要の道具です。「x2+y2=px^2+y^2=p を満たす整数は、pp が4で割って3余るとき存在しない」といった問題が、そのまま出ます。京都大学・東京大学の整数問題の傾向は京大理系数学の出題分析(整数問題の出方)が参考になります。

大学・大学院:群・体・保型形式

大学の数学科では、群論・体論・複素関数論を学び、大学院で保型形式や表現論に進みます。ラングランズ・プログラムは、これらの専門を一度に使うため、大学院で最も人気のある分野の1つです。

勉強法として:「別の見方」を探す

ラングランズのやったことは、別々に見えるものを、同じ形で見直すことでした。受験勉強でも、数列と関数、図形とベクトル、確率と場合の数を、1つの視点でつなぐと、理解が深まります。進め方は数学の勉強法(解法の暗記→演習→過去問)も読んでください。

ラングランズがその後の数学にあたえた影響

  • 数論の大きな方向づけ:フェルマーの最終定理をはじめ、現代の数論の多くの結果が、ラングランズ・プログラムの一部としてまとめられました。
  • 表現論と数論の結びつき:2つの分野が、ひとつの言葉で語られるようになりました。
  • 幾何学的ラングランズ予想:数論の予想が、幾何学や数理物理(場の理論)の言葉に書きなおされ、新しい研究分野が生まれました。
  • 世界の若い数学者を育てる目標:ゴ・バオ・チャウ、ロラン・ラフォルグ、ペーター・ショルツェらが、この計画の中で大きな業績をあげ、いずれもフィールズ賞を受けました。
  • 「予想」の価値を示した:証明がなくても、美しい予想を立てることが、数学を進める大きな力になると示しました。

ガウスの業績と生涯の相互法則から、ガロアの業績と生涯の群、ヴェイユのゼータ関数と予想、グロタンディークの代数幾何、セールの数論の数論と続く流れの先に、ラングランズの辞書があります。リーマン予想のような未解決問題も、同じ大きな世界の一角です。

なお、ラングランズは現在も研究を続けている数学者です。この記事は、2026年11月時点で公に知られている内容にもとづいています。新しい情報は、大学や研究所の発表、専門誌で確かめてください。

ラングランズに挑戦!練習問題

やさしい

  1. 13を2つの平方数の和で書きなさい。また、13を4で割った余りを答えなさい。
    答えと解説を見る13=4+9=22+3213=4+9=2^2+3^2。13=4×3+113=4\times3+1 なので余りは1。
  2. 7は2つの平方数の和で書けますか。7を4で割った余りも答えなさい。
    答えと解説を見る平方数は 0, 1, 4 など。4+1=54+1=5、4+4=84+4=8、1+1=21+1=2 のどれも7にならないので、書けません。7を4で割った余りは3です。

ふつう

  1. x2≡−1(mod13)x^2\equiv-1\pmod{13}(x2+1x^2+1 が13でわり切れる)を満たす xx を、0≤x<130\le x<13 から1つ見つけなさい。
    答えと解説を見るx=5x=5 のとき 25+1=26=2×1325+1=26=2\times13。よってx=5x=5(もう1つは x=8x=8、64+1=65=5×1364+1=65=5\times13)。
  2. y2=x3−xy^2=x^3-x を、p=3p=3 の世界(x,yx,y は0,1,2)で考えます。式が成り立つ (x,y)(x,y) の組は何個ですか。
    答えと解説を見るx=0x=0:右辺0→y=0y=0(1個)。x=1x=1:0→y=0y=0(1個)。x=2x=2:8−2=6≡08-2=6\equiv0→y=0y=0(1個)。合計3個。無限遠点を入れて4個で、a(3)=3+1−4=0a(3)=3+1-4=0。

むずかしい

  1. p=5p=5 で y2=x3−xy^2=x^3-x の点を数えます(無限遠点を入れる)。a(5)=p+1−(点の数)a(5)=p+1-(\text{点の数}) を求めなさい。
    答えと解説を見るx=0,1,4x=0,1,4 では右辺が0で y=0y=0 の1個ずつ(計3個)、x=2x=2:右辺6≡1で y=±1y=\pm1(2個)、x=3x=3:右辺24≡4で y=±2y=\pm2(2個)。合計7個+無限遠点で8個。a(5)=6−8=a(5)=6-8=−2。
  2. x2≡−1(mod7)x^2\equiv-1\pmod 7 が解を持たないことを、x=0,1,…,6x=0,1,\dots,6 を調べて確かめなさい。
    答えと解説を見るx2x^2 を7で割った余りは 0, 1, 4, 2, 2, 4, 1。−1≡6-1\equiv6 は出てこないので解なし。(7は4で割って3余る素数なので、図2の「青」の側です。)

ラングランズと関係する数学者

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20世紀の数学者

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読みもの(合格大作戦の数学の記事)

よくある質問

ラングランズは何をした人ですか?

ロバート・ラングランズは、カナダ出身でアメリカで研究する数学者です。1967年に、数論と表現論・解析を結ぶ「ラングランズ・プログラム」を提案し、2018年にアーベル賞を受けました。

ラングランズ・プログラムとは何ですか?

数論(素数や方程式)、解析(保型形式)、表現論(対称性)が、深いところで対応しているという予想の集まりです。数学の辞書、あるいは数学の大統一理論とたとえられます。

ラングランズはいつ、だれに手紙を送りましたか?

1967年1月、数学者アンドレ・ヴェイユに17ページの手書きの手紙を送りました。この手紙に、ラングランズ・プログラムのもとになる予想が書かれていました。

ラングランズ・プログラムは証明されましたか?

一部は証明されましたが、全体はまだ完成していません。ワイルズの楕円曲線の仕事、ゴ・バオ・チャウの基本補題の証明などが進展として知られています。

フェルマーの最終定理とラングランズ・プログラムの関係は?

フェルマーの最終定理の証明の中心は、半安定な楕円曲線がモジュラーであること。これはラングランズ・プログラムの特別な場合にあたります。

ラングランズはどんな賞を受けましたか?

ウルフ賞(1995/96年、ワイルズと共同)、ショー賞(2007年、リチャード・テイラーと共同)、アーベル賞(2018年)などを受けています。

アーベル賞とは何ですか?

ノルウェーが贈る数学の賞で、数学のノーベル賞ともいわれます。2018年はラングランズに、表現論と数論を結ぶ先見的な計画に対して贈られました。

ラングランズの生年・生まれた場所は?

1936年10月6日にカナダのブリティッシュ・コロンビア州ニュー・ウェストミンスターで生まれました。現在も研究を続けている数学者です。

ラングランズの仕事は受験に関係がありますか?

素数を4で割った余りで分ける問題や、合同式の整数問題が入口です。大学の数学科では群論や保型形式として学びます。

あわせて読みたい

出典・参考

  • MacTutor History of Mathematics「Robert Langlands」(セント・アンドルーズ大学)
  • R. P. Langlands, 1967年1月のヴェイユへの手紙(プリンストン高等研究所の資料)
  • R. P. Langlands, “Problems in the theory of automorphic forms”(1970年)
  • ノルウェー科学文学アカデミー「アーベル賞2018」の発表

最終更新:2026年11月3日/作成:大学受験合格大作戦