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コーエンPaul Cohen
ひとことで言うと
連続体仮説が集合論の公理から証明も反証もできないことを、強制法で示した。1966年のフィールズ賞受賞者。
| 名前 | ポール・ジョセフ・コーエン(Paul Joseph Cohen) |
|---|---|
| 生没年 | 1934年4月2日〜2007年3月23日(72歳) |
| 国 | アメリカ(ニュージャージー州生まれ、ブルックリンで育ち、スタンフォード大学教授) |
| 分野 | 集合論・数理論理学・解析学 |
| 主な業績 | 連続体仮説と選択公理の独立性の証明(強制法)、コーエン=ヒューイットの因数分解定理 |
| 主な受賞 | ボッシャー記念賞(1964年)、フィールズ賞(1966年)、国家科学賞(1967年) |
| 名前がつくもの | 強制法(フォーシング)・コーエン実数・コーエンの定理(連続体仮説の独立性)・コーエン=ヒューイットの因数分解定理 |
このページのポイント
- 1963年に強制法を作り、連続体仮説は集合論の公理から証明も反証もできないことを示した(ゲーデルの1938年の結果とあわせて)
- 連続体仮説とは「自然数の個数と実数の個数のあいだに、中間の大きさの無限はない」という予想で、ヒルベルトの23の問題の第1問
- 1966年にフィールズ賞、1967年に国家科学賞。選択公理の独立性も同じ方法で示した。解析学の業績もある
コーエンは何をした人?(業績をひとことで)
ポール・コーエン(1934〜2007年)は、アメリカの数学者です。集合論の公理から「連続体仮説」を証明することも、否定することもできないことを示した人として知られます。1963年にこの結果を得るために作った新しい方法が強制法(フォーシング)で、現代の集合論の中心的な道具になりました。この業績で1966年にフィールズ賞を受賞し、1967年にはアメリカの国家科学賞も受けています。
「連続体仮説」とは、「自然数の個数」と「実数の個数」のあいだに、中間の大きさの無限は存在しないという予想です。カントールが1870年代に考え、ヒルベルトが1900年に「解くべき23の問題」の第1問に挙げました。ゲーデルが1938年に「否定は証明できない」ことを示し、コーエンが1963年に「証明もできない」ことを示して、問題に決着がつきました。なお、ここでいう「できない」は、「集合論の公理に矛盾がないとすれば」という前提つきです。
受験生にとってのコーエンは、集合とはの要素の個数の数え方や、命題とは・「証明できる/できない」という数学Aの考え方の、いちばん深い先にある人です。「数学には、証明も反証もできない問題がある」という事実を、はっきり示した人でもあります。
うかるくん
「証明も、間違いだと示すこともできない」って……数学なのに答えが出ないんですか!?
合格先生
そうなんだ。「公理(出発点のルール)だけでは決まらない問題がある」ということだよ。ユークリッド幾何学の「平行線の公理」と同じで、ルールを足せば、どちらの世界も作れる。コーエンはそれを、集合論で示した人なんだ。
コーエンの生涯と年表
ブルックリンで育った数学少年
ポール・ジョセフ・コーエンは、1934年4月2日、アメリカ・ニュージャージー州のロングブランチで生まれ、ニューヨークのブルックリンで育ちました。数学や科学の才能のある生徒が集まるスタイヴェサント高校を1950年に卒業しています。ブルックリン・カレッジに進んだのち、学士号を取らずにシカゴ大学の大学院に移り、1954年に修士号、1958年に博士号を取りました。指導者は、解析学者のアントニ・ジグムントです。
解析学で名をあげる
最初のコーエンの業績は、集合論ではなく解析学です。1959年、「局所コンパクト群の上の可積分関数は、2つの可積分関数の畳みこみで書ける」という問題(ウォルター・ルーディンが出した問題)を解きました。1960年には、リトルウッド予想について大きな進展を得て、この業績で1964年のボッシャー記念賞を受賞しています。「コーエン=ヒューイットの因数分解定理」は、この仕事にちなむ名前です。
1963年、連続体仮説の独立性
1960年代のはじめ、スタンフォード大学で働いていたコーエンは、連続体仮説の問題に取り組みました。ゲーデルの1938〜39年の講義録『連続体仮説の無矛盾性』を読んで考えを深め、1963年に強制法を発見します。1963年5月9日の日付で、証明をゲーデルに送り、ゲーデルは証明を読むのが本当に楽しいという趣旨の、ほめる返事を書きました。結果は、1963年12月と1964年1月のアメリカの科学アカデミーの紀要(PNAS)に発表されました。
フィールズ賞とその後
1966年にモスクワで開かれた国際数学者会議で、コーエンはフィールズ賞を受賞しました。授賞式でメダルを手渡したのは、ソ連科学アカデミー総裁のケルディシュです。論理学者アロンゾ・チャーチが、コーエンの業績についての講演をしました。同じ年の受賞者には、アティヤ・グロタンディーク・スメールがいます。1967年には国家科学賞を受け、スタンフォード大学の教授として教え続け、2007年3月23日に、肺の病気のため72歳で亡くなりました。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1934年 | 4月2日、アメリカのニュージャージー州ロングブランチで生まれる |
| 1950年 | ニューヨークのスタイヴェサント高校を卒業 |
| 1954年 | シカゴ大学で修士号 |
| 1958年 | シカゴ大学で博士号(指導者はジグムント) |
| 1959年 | 局所コンパクト群の畳みこみの問題を解く(ルーディンの問題) |
| 1960年 | リトルウッド予想で大きな進展(1964年にボッシャー記念賞) |
| 1961年 | スタンフォード大学の助教授になる(1964年に教授) |
| 1963年 | 強制法を発見。連続体仮説と選択公理の独立性を示す(5月9日にゲーデルへ手紙) |
| 1963〜64年 | 論文をPNASに発表(1963年12月・1964年1月) |
| 1966年 | フィールズ賞(モスクワの国際数学者会議) |
| 1967年 | アメリカの国家科学賞を受ける |
| 2004年 | スタンフォード大学を正式に退職(その後も教える) |
| 2007年 | 3月23日、スタンフォードで亡くなる(72歳) |
コーエンの主な業績をやさしく解説
業績1 連続体仮説とは?(無限の大きさの階段)
「無限」には大きさのちがいがあります。カントールは、自然数 の個数(可算無限、記号 )と、実数全体の個数(連続体の濃度、記号 )が、ちがう大きさであることを示しました。偶数も自然数も奇数も、1対1に対応させられるので同じ大きさ(可算)ですが、実数は、どんな方法でも自然数に1対1には対応させられません。
これがカントールの対角線論法です。図のように、0と1の間の実数を小数で並べたリストを考えます。斜めに並んだ数字(赤)の各桁をずらして新しい数 を作ると、この数は、リストのどの数ともどこかの桁がちがいます。つまり、どんなリストにも、のらない実数があるのです。
では、自然数の個数 と実数の個数 のあいだに、中間の大きさの無限はあるのでしょうか。カントールは「ない」と予想しましたが、証明できませんでした。この予想を連続体仮説(CH:Continuum Hypothesis)とよびます。カントールの生涯はカントールの業績と生涯で、くわしく読めます。
業績2 ゲーデルとコーエンで決着:公理だけでは決まらない
現代の数学は、ZFC(ツェルメロ=フレンケルの集合論の公理に選択公理を加えたもの)という公理から出発して、証明を積み重ねます。1938年、ゲーデルは、ZFC に連続体仮説を加えても矛盾が生じないことを示しました(ZFC が無矛盾ならば)。つまり、「連続体仮説を否定する証明」はできないことが分かったのです。
残る問題は、「連続体仮説を証明することはできるのか」でした。1963年、コーエンは、ZFC に連続体仮説の否定を加えても矛盾しないことを示しました。ゲーデルとコーエンの2つの結果をあわせると、連続体仮説は、ZFC から証明も、否定の証明もできない(独立である)ことが分かります。コーエンは、同じ方法で選択公理もほかの公理から独立していることを示しています。たとえば、連続体の大きさが になる世界も作れるといわれます。
業績3 強制法(フォーシング):世界に新しい元を足す
連続体仮説を否定する世界を、どうやって作ったのでしょうか。コーエンの発想は、「元の集合論の世界 に、ひとつ新しい元 をつけ加えて、より広い世界 を作る」というものでした。 は、元の世界のどんな方法でも作れない、「ちょっと変わった」元です。
新しい元を足しても、公理が成り立ち続けるように、 の性質を「元の世界の言葉で説明できる条件」で少しずつ強制していくので、強制法(forcing)という名前がつきました。この方法で、たくさんの実数( 個)を同時に足すと、実数全体の個数が をこえる世界ができ、連続体仮説が成り立たなくなります。
強制法は、のちにたくさんの数学者に使われ、集合論の中心的な技術になりました。位相や解析の問題、無限の大きさの性質に関する、ほかの多くの問題が、「公理から決まるか、決まらないか」という観点で調べられています。
業績4 平行線の公理との類比:公理を変えると別の世界
ユークリッド幾何学の平行線の公理(直線と、その外の点を通って、その直線と交わらない直線はただ1本)は、他の公理から証明できるのではないかと、2000年以上考えられていました。しかし19世紀に、ロバチェフスキーとボーヤイが、この公理を変えても矛盾しない「非ユークリッド幾何学」を作り、公理が独立であることが分かりました。
連続体仮説の独立性も、これと同じ構図です。「連続体仮説が成り立つ集合論」と「成り立たない集合論」の両方が、同じくらい整合的に作れます。コーエン自身も、この類比を意識していたと紹介されます。「どちらが本当の数学か」という問いは、問い方を変える必要が出てきたのです。
業績5 解析学の業績(畳みこみとリトルウッド予想)
コーエンの名前は、集合論だけではありません。1959年の「コーエン=ヒューイットの因数分解定理」は、解析学の定理です。局所コンパクト群の上の可積分関数が、2つの可積分関数の畳みこみで書けるという内容で、フーリエ解析の発展形に当たります。また、1960年にはリトルウッド予想で、三角級数の理論に大きな進展を与え、ボッシャー記念賞を受賞しました。集合論に入る前に、解析学の第一線で認められていたことは、コーエンの強さを物語っています。
業績6 数学の基礎についての考え方
コーエンの結果は、「数学とは何か」という哲学的な問いにも大きな影響を与えました。「公理から決まらない問題に、答えはあるのか」「新しい公理を足して決めるべきか」という議論が、現代の集合論研究者のあいだで続いています。多くの研究者が、連続体仮説を決めるような新しい自然な公理を探しています。ただ、「自然な」とは何かについても、研究者のあいだで意見がわかれています。
コーエンの名前がつく公式・定理・用語
コーエンの名前がつくのは、大学・大学院で出会う用語です。受験の基礎になる、集合と命題の考え方と合わせてまとめました。
- 強制法(フォーシング):集合論の世界に新しい元を足して、広い世界を作る方法。
- コーエン実数:強制法で足す、「特別な」実数のこと。
- コーエンの定理(連続体仮説の独立性):ZFC から連続体仮説は証明も反証もできない。
- コーエン=ヒューイットの因数分解定理:解析学の定理(1959年)。
- カントール=コーエン・ゲーデル=コーエンのように、並べて呼ばれる結果もあります。
受験で出てくる、コーエンの専門分野の入り口は次のとおりです。→ 集合とは・補集合の意味・集合の要素の個数の公式

合格先生
数学Aの「集合と命題」は、コーエンの世界の入り口だよ。「あることが証明できる」「できない」という考え方が、ここから始まるんだ。
コーエンの逸話と名言
ゲーデルの手紙:「本当に楽しい証明です」
1963年5月、コーエンは証明をゲーデルに送りました。ゲーデルは返事で、コーエンの証明を読むのは本当に楽しいものだったと書き、「本質的な点で、考えられるかぎり最善の証明だ。そのようなことは、あまり多くない」という趣旨のことを述べたと紹介されています。ゲーデルの手紙の草稿には、「よい芝居を見ているような」感じがした、という言いまわしもあるといわれます。連続体仮説を決めようとした最大の先輩数学者が、自分の予想とは反対の結果を、素直にたたえた逸話として、よく語られます。
強制法は「哲学的な考え」
のちにコーエンは、連続体仮説の仕事についての回想の中で、次のように語りました。
しかし、もちろん、それは易しいのです。はっきりした哲学的な考えがある、という意味で。
「いちばん大事な問題は何ですか?」
コーエンは、同僚に「いちばん大事な問題は何か」とよく聞いたと伝えられます。連続体仮説に取り組んだきっかけは、論理学者に「論理学でいちばん大事な問題」を尋ね、それが連続体仮説だと聞いたことだ、という話も広まっています。ただし、このきっかけの話は、はっきりとは確かめられていません。
数学のほかにも、音楽と言葉
コーエンは、ピアノとバイオリンを弾き、大学の合唱団で歌い、スウェーデンの民族音楽のグループにも入っていたと紹介されています。スウェーデン語・フランス語・スペイン語・ドイツ語・イディッシュ語を話したともいわれます。コーヒータイムに音叉をもってきて、まわりの人の絶対音感を試したという逸話もあります。
サクラちゃん
「いちばん大事な問題は?」って聞くの、なんだか勇気がいりますね。
合格先生
そうだね。でも、「何が大事な問題か」を知っている人に聞くのは、勉強でも大事な方法なんだ。入試でも、「出る問題は何か」「何が解けると差がつくか」を知るために、先生や過去問に学ぶことが力になるよ。
受験・勉強とコーエンのつながり
中学受験:場合の数と、集合の考え方
中学受験の算数では、「かさなりのある個数を数える」ことが出ます。「国語が好きな人20人、算数が好きな人15人、両方好きな人8人」といった問題は、集合の考え方(ベン図)そのものです。「全部で何人か」を数えることは、集合論のいちばん最初の一歩です。
高校受験:数の種類と、規則性
中学3年の数学では、有理数・無理数・実数という数の分類を学びます。「どんな数も分数で書ける」わけではなく、 のような数があること(無理数)は、カントールやコーエンの話の入り口です。素数や平方数が無限にあることなど、「無限」を意識した問題にも出会います。
大学受験:集合と命題、背理法、場合の数
- 集合の要素の個数:。→ 集合の要素の個数の公式
- 部分集合の個数: 個の要素からなる集合の部分集合は 個。カントールの定理の有限版です。
- 命題・必要十分条件・背理法:「証明する」ことの基本ルール。→ 命題とは・必要条件・十分条件
- ド・モルガンの法則:「または」と「かつ」の否定。→ ド・モルガンの法則とは
京大・東大の入試でも、背理法や、集合・論理の考え方が使われる問題が出ます。京大文系数学の出題分析(証明問題の出方)で傾向を確かめてみてください。
勉強法として:「決まらない」ことを知る
コーエンの教えは、「証明できることと、できないことの境目を知る」ことの大切さです。入試では、「条件が足りなくて解けない」問題はほとんど出ませんが、「どの条件を使えばよいか」を見分ける力は、とても大切です。まず、使える条件と、使えない条件を整理し、それから解法を選ぶ習慣をつけましょう。勉強の進め方は数学の勉強法(解法の暗記→演習→過去問)も参考にしてください。
コーエンがその後の数学にあたえた影響
- 集合論の大発展:強制法は、現代の集合論の中心的な技術になり、無限の大きさや、実数の性質についての多くの結果が得られました。
- 数学基礎論への影響:「公理から決まらない問題」の存在が、はっきり示されました。ゲーデルの不完全性定理とあわせて、数学の限界についての理解が深まりました。
- ほかの分野への広がり:解析学・位相・代数などで、「ZFCから決まらない」問題が見つかり、研究の対象になりました。
- 選択公理の理解:選択公理が独立であることから、バナッハ=タルスキーのパラドックスのような、選択公理を使う奇妙な結果の意味づけが進みました。
- 数学の見方の変化:「ユークリッド幾何学」と「非ユークリッド幾何学」のように、「複数の集合論」が並び立つ、という考え方が広まりました。
ただし、連続体仮説が現実の問題にどう関わるかは、今も研究者のあいだで議論が続いています。ヒルベルトの第1問題は、答えが出たあとも、「どう答えるべきか」を問い続ける大きなテーマとして、生きています。
コーエンに挑戦!練習問題
やさしい
- 集合 の部分集合は、空集合と全体もふくめて何個ありますか。
答えと解説を見る
各要素について「入れる・入れない」の2通りなので、8個。() - 自然数 と偶数 は、同じ個数と考えてよいでしょうか。1対1に対応させて答えなさい。
答えと解説を見る
に を対応させると、 となり、すべての自然数とすべての偶数が1つずつ組になります。だから同じ個数(可算無限)です。
ふつう
- 、 のとき、 と の要素の個数を求めなさい。
答えと解説を見る
で4個、 で2個。() - 10個の要素をもつ集合の部分集合は何個ありますか。
答えと解説を見る
1024個です。(元の集合の要素の数よりずっと多くなります。カントールの定理は、無限でも「部分集合の個数は元の個数より多い」ことを示します)
むずかしい
- 対角線論法の図の5つの小数 について、 番目の数の小数第 位の数字に1を足した新しい数の最初の5桁を求めなさい。
答えと解説を見る
対角線の数字は、1番目の数の1桁目が1、2番目の数の2桁目が1、3番目の数の3桁目が3、4番目の数の4桁目が0、5番目の数の5桁目が2。それぞれに1を足すと なので、新しい数は 。この数は、どの 番目の数とも、小数第 位がちがいます。 - 平方数 の集合と自然数全体の集合は、「同じ個数」といえますか。理由も答えなさい。
答えと解説を見る
に を対応させると、自然数と平方数が1つずつ組になるので、同じ個数(可算無限)といえます。平方数は自然数の一部なのに同じ大きさになるのが、無限の不思議な性質です。
コーエンと関係する数学者
- カントール(連続体仮説を考え、対角線論法で無限に大小を発見):コーエンの結果の出発点となった人です。
- ゲーデル(連続体仮説の無矛盾性を示した人):コーエンが証明を送った相手でもあります。
- ヒルベルト(23の問題の第1問に連続体仮説を挙げた):その第1問に決着をつけたのがコーエンです。
- ロバチェフスキー・ボーヤイ(平行線の公理を変えた非ユークリッド幾何学):公理の独立性を、幾何学で先に示しました。
- バナッハ(バナッハ=タルスキーのパラドックス):選択公理の不思議な結果で知られます。
- アティヤ・グロタンディーク:同じ1966年のフィールズ賞受賞者です。
数学の公式を1つずつ学ぶなら算数・数学の公式一覧(公式辞典)、数学用語の意味は数学用語辞典(用語の意味を1語1ページ)、記号の読み方は数学でよく使う記号の意味一覧もどうぞ。
20世紀の数学者
- ヒルベルトの業績と生涯
1900年に「ヒルベルトの23の問題」を発表。ヒルベルト空間 - ミンコフスキーの業績と生涯
数の幾何学・相対性理論の時空(ミンコフスキー空間) - アダマールの業績と生涯
素数定理を証明(ド・ラ・ヴァレ・プーサンと同じ1896年) - ラッセルの業績と生涯
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類体論を完成させた。日本の近代数学の父 - ルベーグの業績と生涯
ルベーグ積分(測度論) - ハーディの業績と生涯
ラマヌジャンを見いだした。『ある数学者の生涯と弁明』 - アインシュタインの業績と生涯
相対性理論。リーマン幾何学を重力の理論に使った。E=mc² - ネーターの業績と生涯
抽象代数学の母。対称性と保存則のネーターの定理 - ワイルの業績と生涯
リーマン面・群論と量子力学 - リトルウッドの業績と生涯
ハーディとの共同研究で解析数論を進めた - 掛谷宗一の業績と生涯
長さ1の針を回す最小の面積を問う「掛谷問題」
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コーエンがかかわった数学の難問
- 連続体仮説とは(不可能・決められないと証明)
自然数と実数の「あいだの大きさ」の無限はあるか。今の集合論の公理からは決められないと証明された
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青・黄・赤チャートの使い分け - 算数・数学 公式と用語の一覧(学年別・分野別)
公式辞典と用語辞典の入口
よくある質問
コーエンは何をした人ですか?
ポール・コーエンは、アメリカの数学者です。1963年に強制法という新しい方法を作り、連続体仮説が集合論の公理から証明も反証もできないことを示しました。この業績で1966年にフィールズ賞、1967年に国家科学賞を受けています。
連続体仮説とは何ですか?
自然数の個数と実数の個数のあいだに、中間の大きさの無限は存在しない、という予想です。カントールが1870年代に考え、ヒルベルトが1900年に「23の問題」の第1問に挙げました。ゲーデルとコーエンの結果で、集合論の公理から決まらない問題だと分かっています。
連続体仮説が証明も反証もできないとは、どういう意味ですか?
集合論の公理(ZFC)が無矛盾だとすれば、連続体仮説は公理から証明できず、否定も証明できない、という意味です。1938年にゲーデルが否定は証明できないことを、1963年にコーエンが証明もできないことを示しました。
強制法(フォーシング)とは何ですか?
集合論の世界にひとつ新しい元をつけ加えて、より広い世界を作る方法です。元の公理はそのまま成り立つので、「公理に矛盾しない世界」が作れます。コーエンが連続体仮説が成り立たない世界を作るために発明し、今では集合論の基本の道具になっています。
コーエンとゲーデルの関係は?
コーエンは、ゲーデルの講義録『連続体仮説の無矛盾性』を読んで強制法を思いつきました。1963年5月に証明をゲーデルに送ると、ゲーデルは証明を読むのが本当に楽しいという趣旨の返事を書き、高く評価したと紹介されています。
コーエンは何歳で亡くなりましたか?どこの人ですか?
コーエンは1934年4月2日にアメリカのニュージャージー州で生まれ、ニューヨークのブルックリンで育ちました。2007年3月23日に、カリフォルニア州のスタンフォードで、肺の病気のため72歳で亡くなりました。
コーエンはいつフィールズ賞を受賞しましたか?
1966年にモスクワで開かれた国際数学者会議で受賞しました。受賞理由は、集合論の基礎についての基本的な業績で、強制法による連続体仮説と選択公理の独立性の証明です。同じ年の受賞者には、アティヤ・グロタンディーク・スメールがいます。
コーエンの名言はありますか?
連続体仮説の仕事についての回想の中で、「しかし、もちろん、それは易しいのです。はっきりした哲学的な考えがある、という意味で」と語ったと紹介されています(MacTutorの伝記に引用された言葉の訳)。技術的な細かさではなく、考え方の明快さを語った言葉です。
選択公理とコーエンの関係は?
選択公理は、「どんな集合の集まりからも、1つずつ元を選べる」という公理です。コーエンは、同じ強制法で、選択公理が集合論のほかの公理から証明できないことも示しました。バナッハ=タルスキーのパラドックスのような不思議な結果は、選択公理を使って得られます。
コーエンは受験に関係がありますか?
名前は出ませんが、考え方はつながっています。数学Aの集合と命題、部分集合の個数 2ⁿ、必要十分条件、背理法、有理数・無理数・実数という数の分類は、カントールやコーエンが調べた「無限の大きさ」と「証明とは何か」の入り口です。
あわせて読みたい
出典・参考
- MacTutor History of Mathematics「Paul Joseph Cohen」(セント・アンドルーズ大学)
- P. J. Cohen, “The independence of the continuum hypothesis”, Proceedings of the National Academy of Sciences 50(1963年)・51(1964年)
- P. J. Cohen, “Set Theory and the Continuum Hypothesis”(1966年)
- P. J. Cohen, “The discovery of forcing”, Rocky Mountain Journal of Mathematics 32(2002年)
- K. Gödel, “The consistency of the continuum hypothesis”(1940年)
最終更新:2026年11月2日/作成:大学受験合格大作戦



