うかるくん
「3+4=8」はまちがっているから、命題じゃないですよね?
合格先生
それが命題なんだ。命題は「真か偽かがはっきり決まる」文や式のこと。「3+4=8」は偽とはっきり決まるから、偽の命題だよ。
この用語のポイント
- 命題は真か偽かがはっきり決まる文や式。偽でも命題
- を偽と示すには、反例を1つあげればよい
- が真 ⇔ (集合で考える)
やさしく言うと
命題は、正しいか正しくないかが、はっきり決まる文や式です。正しいことを真、正しくないことを偽といいます。身近な例で考えてみましょう。
- ○×クイズの問題:「日本の首都は東京である」のように、○か×かがはっきり決まる問題文は命題です。答えが×の問題文も、×とはっきり決まるので命題です。
- 人によって答えがちがう文:「このラーメンはおいしい」は、人によって答えがちがいます。真偽がはっきり決まらないので、命題ではありません。
- 入場のルール:「身長 120 cm 以上」のような決まりは、人によって当てはまるかどうかが変わります。数学では、このようにあてはめるものしだいで真偽が変わるものを「条件」と呼びます。
大事なのは、偽でも命題だということです。「」はまちがった式ですが、「偽」とはっきり決まるので命題です。反対に「100は大きい数である」は、人によって判断がちがうので命題ではありません。
まとめると、命題かどうかは「正しいかどうか」ではなく、「真偽がはっきり決まるかどうか」で決まります。
命題の例と、命題ではないもの
○ 命題
- 2 は素数である(真)
- (偽。偽でも命題)
- 正方形は長方形である(真。4 つの角が直角)
- ならば (真)
- は有理数である(偽)
- すべての自然数 について (真)
× 命題ではない
- 数学はおもしろい(人によってちがう)
- 100 は大きい数である(基準がない)
- ( が決まらないと真偽が決まらない。条件)
- (式だけで、主張していない)
- 宿題をしなさい(命令の文で、真偽がない)
のように、文字の値によって真偽が変わる文や式は条件といいます( のときだけ真)。命題は、高校の数学Ⅰ(集合と命題)で習います。
「p ならば q」の真偽の調べ方
数学でよく出るのは「 ならば 」()の形の命題です。 を仮定、 を結論といいます。
- 真を示す: をみたすすべてのものが をみたすことを説明(証明)する。
- 偽を示す: をみたすのに をみたさない例(反例)を1つあげればよい。

合格先生
真と言うには「全部」を示す。偽と言うには反例「1つ」でいい。この差が大事だ!

サクラちゃん
「ならば」が偽だと言うには、反例を1つ見つければいいのよ。
図で見る
条件 をみたすものの集合を とすると、 が真であることは、( が にすっぽり入る)と同じです。
反例は、1 つで十分です。「素数ならば奇数である」は、3, 5, 7, … とほとんどの素数が奇数でも、2 という反例があるので偽です。
うかるくん
素数はほとんど奇数なのに、2 が 1 つあるだけで「偽」なんて、きびしすぎませんか?
合格先生
「素数ならば奇数」は「どの素数も奇数」と言い切っているんだ。言い切った以上、1 つでも外れたらうそになる。数学の「ならば」は、それくらい強い約束なんだよ。
逆・裏・対偶
命題 から、次の3つの命題がつくれます。
| 名前 | 形 | 例 | 真偽 |
|---|---|---|---|
| もとの命題 | 真 | ||
| 逆 | 偽(反例 ) | ||
| 裏 | 偽(反例 ) | ||
| 対偶 | 真 |
もとの命題と対偶は、真偽が必ず一致します。逆と裏は、真とは限りません(くわしくは対偶、逆・裏のページ)。
命題の否定
命題の「否定」は、真偽をちょうど反対にした命題です。とくに「すべて」「ある」がつく命題の否定は、まちがえやすいので形を覚えておきましょう。
| もとの命題 | 否定 |
|---|---|
| すべての について | ある について でない |
| ある について | すべての について でない |
| かつ | または |
| または | かつ |
下の 2 つはド・モルガンの法則です。たとえば「すべての生徒が自転車通学」の否定は「全員が自転車通学ではない」ではなく、「自転車通学でない生徒が(少なくとも 1 人)いる」です。
テスト・入試ではこう出る
数学Ⅰでは、命題の真偽を判定し、偽なら反例をあげる問題、逆・裏・対偶をつくる問題、否定をつくる問題が出ます。そのあと、必要条件・十分条件や、対偶・背理法を使った証明につながります。
例題1(真偽と反例)
次の命題の真偽を答えなさい。偽のときは反例をあげなさい。(1) ならば (2) ならば (3) 整数 が 6 の倍数ならば、 は 3 の倍数
- (1) をみたす数は、どれも より大きい。真。
- (2) のとき だが、 ではない。反例があるので偽(反例 )。
- (3) ( は整数)と書けるので で、3 の倍数。真。
答え (1) 真 (2) 偽(反例 ) (3) 真
例題2(逆・裏・対偶)
実数 についての命題「 ならば 」の逆・裏・対偶をつくり、それぞれの真偽を答えなさい。
- もとの命題「」: のとき だが 。偽。
- 逆「」: なら 。真。
- 裏「」: なら になってしまうので、 なら 。真。
- 対偶「」: が反例。偽。
答え 逆:真、裏:真、対偶:偽。もとの命題(偽)と対偶(偽)の真偽が一致し、逆と裏の真偽も一致しています。

うかるくん
偽だと思ったら、まず反例を1つ探す。0 や負の数があやしいんだ!
まちがえやすい点

合格先生
「偽の文は命題じゃない」は×! 真偽が決まらない文が、命題ではないものだよ。
- まちがった文は命題ではないと思う:偽と決まる文も命題です。命題でないのは、真偽が決まらない文です。
- 反例を「たまたま」と見のがす:反例が1つでもあれば偽です。「素数はすべて奇数である」は、2 が反例なので偽です。
- 「ならば」の向きを逆に読む:「」は真ですが、逆の「」は偽です。
- 「すべて」の否定を「すべて〜でない」にする:「すべての で 」の否定は「すべての で 」ではなく、「ある で 」です。
- 反例が仮定をみたしていない:「 ならば 」の反例に をあげるのは×。反例は、仮定をみたし、結論をみたさないものでなければなりません(正しくは など)。
ミニ問題
問題1 次のうち、命題であるものをすべて選び、真偽も答えましょう。(1) 1 は素数である (2) 富士山は高い山だ (3) は無理数である
答えと解き方を見る
命題は (1) と (3) です。(1) は偽(素数は 2 以上で、約数が 1 と自分だけの数。1 は素数ではない)。(3) は真。(2) は「高い」の基準がないので、真偽が決まらず命題ではありません。「富士山は日本でいちばん高い山だ」なら真の命題です。
問題2 命題「 ならば 」の真偽を答えましょう。偽なら反例もあげましょう。
答えと解き方を見る
偽(反例 )です。 を解くと より 。 は仮定をみたすのに、結論 をみたしません。両辺を でわって とすると、 の場合を落としてしまいます。
問題3 命題「すべての実数 について 」の否定をつくりましょう。また、もとの命題と否定のどちらが真ですか。
答えと解き方を見る
否定は「ある実数 について 」です。「すべて」の否定は「ある〜でない」になり、 の否定は です。 のとき なので、否定のほうが真、もとの命題は偽です。
関連する公式・用語
公式辞典で、くわしい証明と例題を見る
あわせて覚えたい用語
よくある質問
偽の文も命題ですか?
はい。命題は真か偽かがはっきり決まる文や式なので、まちがった内容でも、偽と決まれば命題です。
命題と条件のちがいは?
命題は真偽が決まっている文や式です。条件は x+1=3 のように、文字の値によって真偽が変わる文や式です。
反例とは何ですか?
「pならばq」で、pをみたすのにqをみたさない例のことです。反例が1つでもあれば、その命題は偽です。
もとの命題と対偶の真偽はなぜ一致するのですか?
集合で考えると、PがQにふくまれることと、Qの外側がPの外側にふくまれることが同じだからです。
「すべて」がつく命題の否定はどう作りますか?
「すべてのxについてp」の否定は「あるxについてpでない」です。「すべてのxについてpでない」ではないので注意します。
命題は何年生で習いますか?
高校の数学Ⅰ(集合と命題)で習います。
出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編」数学Ⅰ(数と式:集合と命題)
最終更新:2026年10月13日/作成:大学受験合格大作戦


