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逆・裏とは
命題「 ならば 」に対して、入れかえた「 ならば 」が逆、両方を打ち消した「 でないならば でない」が裏です。もとの命題が正しくても、逆や裏が正しいとは限りません(逆は必ずしも真ならず)。
うかるくん
「雨が降れば地面がぬれる」が正しいなら、「地面がぬれていれば雨が降った」も正しいですよね?
合格先生
それが逆だね。水まきでも地面はぬれるから、逆は正しくないんだ。逆は必ずしも真ならず、と覚えておこう。
この用語のポイント
- 逆:(入れかえ)、裏:(両方を否定)
- もとの命題が真でも、逆・裏は真とは限らない。偽なら反例を 1 つ
- 逆と裏は真偽が同じ(おたがいに対偶)
やさしく言うと
「 ならば 」という命題(正しいか正しくないかがはっきり決まる文)に対して、
- 逆は、前と後ろを入れかえた「 ならば 」
- 裏は、前と後ろを両方とも打ち消した「 でないならば でない」
です。身近な例で考えてみましょう。
- 雨と地面:「雨が降れば、地面がぬれる」は正しいとします。逆の「地面がぬれていれば、雨が降った」は正しくありません。水まきでもぬれるからです。裏の「雨が降らなければ、地面はぬれない」も、水まきがあるので正しくありません。
- 住所:「京都市に住んでいれば、京都府に住んでいる」は正しい。逆の「京都府に住んでいれば、京都市に住んでいる」は、宇治市の人がいるので正しくありません。
- 動物:「ペンギンならば鳥である」は正しい。逆の「鳥ならばペンギンである」は、スズメがいるので正しくありません。
まとめると、もとの命題が正しくても、逆や裏が正しいとは限りません。昔から「逆は必ずしも真ならず」といわれるのは、このことです。
4 つ目の「 でないならば でない」は対偶です。対偶は、もとの命題といつも真偽が同じになる特別な命題です。このページでは、逆と裏を中心に説明します。

うかるくん
逆は「入れかえ」、裏は「打ち消し」。対偶は両方やったもの、と覚えればいいんだ!
逆・裏の作り方の例
○ 正しく作れている
- 「正方形ならば長方形」の逆 → 「長方形ならば正方形」
- 「正方形ならば長方形」の裏 → 「正方形でないならば長方形でない」
- 「 ならば 」の逆 → 「 ならば 」
- 「 ならば 」の裏 → 「 ならば 」
- 「 かつ ならば…」の裏 → 「 または ならば…」
- 「二等辺三角形ならば 2 つの底角が等しい」の逆 → 「2 つの角が等しい三角形ならば二等辺三角形」
× まちがった作り方
- 「 ならば 」の逆を「 でないならば でない」とする(それは裏)
- 裏を「 でないならば でない」とする(それは対偶)
- 「」の否定を「」とする(正しくは )
- 「かつ」の否定を「かつ」のまま打ち消す(正しくは「または」)
- 裏を作るとき、片方だけ打ち消す
- 逆を作るとき、主語の条件(「三角形で」など)まで入れかえてしまう
図で見る
命題「 ならば 」が真であることは、集合で考えると「 を満たすもの全体 が、 を満たすもの全体 の中にすっぽり入っている」()ことです。
サクラちゃん
正方形は全部長方形なのに、どうして逆は正しくないんですか?
合格先生
図を見てごらん。逆の「長方形ならば正方形」は、大きいほうの が小さいほうの に入るかを聞いているんだ。 には からはみ出した部分(横長の長方形)がある。その 1 つが反例になるよ。
命題が偽であることを示すには、反例を 1 つあげれば十分です。逆を調べるときは、「 に入っているのに に入っていないもの」をさがします。
次に、4 つの命題の真偽を表にしてみます。
逆「 ならば 」の対偶を作ると、「 でないならば でない」、つまり裏になります。逆と裏はおたがいに対偶なので、いつも真偽が同じです。だから、逆の真偽がわかれば、裏の真偽もわかります。
| 形 | もとの命題との関係 | 真偽 | |
|---|---|---|---|
| もとの命題 | - | - | |
| 逆 | 入れかえ | もとの命題とは関係なく決まる | |
| 裏 | 両方を否定 | 逆と同じ | |
| 対偶 | 入れかえて否定 | もとの命題と同じ |
逆と、必要十分条件・同値
もとの命題「」と、その逆「」が両方とも真のとき、 と は同値であるといい、 と書きます。このとき は であるための必要十分条件です。
たとえば「三角形の 2 辺が等しい」と「2 つの角が等しい」は、もとの命題も逆も真なので同値です。一方、「」と「」は、逆が偽なので同値ではありません。この場合、 は であるための十分条件だが必要条件ではないといいます(必要条件・十分条件)。逆の真偽を調べることは、必要条件・十分条件を判定することと同じなのです。
テスト・入試ではこう出る
中学 2 年の図形の証明で、「ことがらの逆を書き、正しいかどうかを調べる。正しくないときは反例を示す」問題が出ます。高校の数学Ⅰ(集合と命題)では、逆・裏・対偶をまとめて習い、それぞれの真偽の判定、必要条件・十分条件の判定、対偶を使った証明などが出ます。否定を作るときの「かつ・または」「 と 」の入れかえがよくねらわれます。
例題1(中学:逆を書いて調べる)
「 で、 ならば 」の逆を書き、正しいかどうか答えなさい。
- 逆は、仮定と結論を入れかえて「 で、 ならば 」。
- 三角形の内角の和は なので、。
- どんな三角形でも成り立つので、逆は正しい。
答え 逆: ならば 。正しい(このように、逆も正しい場合もあります)
例題2(高校:逆・裏・対偶の真偽)
を実数とします。命題「 ならば 」の逆・裏・対偶を書き、それぞれの真偽を答えなさい。偽のものは反例をあげなさい。
- 逆:「 ならば 」。 のとき だが ではないので偽。
- 裏:「 ならば 」。 のとき だが なので偽。
- 対偶:「 ならば 」。 なら なので 。真(もとの命題が真なので、対偶も真)。
答え 逆:偽、裏:偽、対偶:真。「」の否定は「」で、「」ではありません。

サクラちゃん
逆が偽なら裏も偽。どちらか 1 つを調べれば、もう 1 つもわかるのね!
まちがえやすい点

合格先生
「」の否定は「」ではなく「」だよ!
- 逆と裏を取りちがえる:「」の逆は「」(入れかえ)、裏は「」(否定)です。「逆はさかさま(向きを逆に)、裏はうらがえし(否定)」と覚えましょう。
- もとの命題が真なら逆も真だと思う:「 ならば 」は真ですが、逆は という反例があるので偽です。逆は、もとの命題とは別に調べる必要があります。
- 否定の作り方のミス:「」の否定は「」( もふくむ)。「 かつ 」の否定は「 または 」です。「すべての〜」の否定は「ある〜が…でない」になります。
- 英語の inverse を「逆」と訳す:英語では、逆は converse、裏は inverse、対偶は contrapositive です。inverse は「逆」と訳したくなりますが、論理では「裏」にあたります。
- 反例を示さずに「偽」とだけ書く:中学・高校のテストでは、偽と答えるときに反例を 1 つ書くことが求められることが多いです。
ことばの由来
逆は「さかさま」、裏は「表の反対側」という意味の字です。命題の向きをさかさまにするのが逆、内容を打ち消して裏返すのが裏、と考えると覚えやすいでしょう。対偶の「偶」は「つれあい・ペア」という意味で、もとの命題と組になる命題を表します。
「逆は必ずしも真ならず」ということわざは、日常でも「A ならば B」が正しくても、「B ならば A」とは限らない、という戒めとして使われます。
ミニ問題
問題1 命題「 ならば 」の逆を書き、その真偽を答えましょう(, は実数)。
答えと解き方を見る
逆は「 ならば 」で、偽です。反例は , ( だが )。 からいえるのは「 または 」までです。
問題2 命題「 が 6 の倍数ならば、 は 3 の倍数である」の裏を書き、その真偽を答えましょう( は自然数)。
答えと解き方を見る
裏は「 が 6 の倍数でないならば、 は 3 の倍数でない」で、偽です。反例は (6 の倍数ではないが 3 の倍数)。もとの命題は真ですが、裏は偽になりました。もとの命題が真でも、裏が真とは限りません。
問題3 命題「 かつ ならば 」の裏を書き、その真偽を答えましょう(, は実数)。
答えと解き方を見る
裏は「 または ならば 」で、偽です。
- 「 かつ 」の否定は、ド・モルガンの法則により「 または 」。「かつ」が「または」にかわる。
- 反例:, 。 なので仮定を満たすが、。
「 かつ ならば…」と書くと、否定のしかたをまちがえています。
関連する公式・用語
あわせて覚えたい用語
よくある質問
命題の逆とは何ですか?
「pならばq」の仮定と結論を入れかえた「qならばp」のことです。
命題の裏とは何ですか?
「pならばq」の仮定と結論を両方とも否定した「pでないならばqでない」のことです。
逆・裏・対偶のちがいは?
逆は入れかえ、裏は両方を否定、対偶は入れかえて両方を否定したものです。対偶だけは、もとの命題といつも真偽が同じです。
もとの命題が正しければ、逆も正しいですか?
正しいとは限りません。「x=2ならばx²=4」は正しいですが、逆の「x²=4ならばx=2」はx=−2が反例なので正しくありません。
逆と裏の真偽はどうなりますか?
いつも同じです。逆と裏はおたがいに対偶の関係になっているからです。
逆・裏は何年生で習いますか?
逆は中学2年の図形の証明で習います。裏と対偶は高校の数学Ⅰ(集合と命題)で習います。
出典・参考
- 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」第2学年 B 図形(証明、逆)
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編」数学Ⅰ(数と式:集合と命題)
最終更新:2026年10月13日/作成:大学受験合格大作戦


