うかるくん
同値変形って言われても、ふつうに式を変形するのと何がちがうんですか?
合格先生
行きも帰りも成り立つ変形かどうか、がポイントなんだ。2乗のように帰りが成り立たない変形をすると、よけいな答えがまじることがあるよ。
この用語のポイント
- 同値 = と の両方が成り立つこと()
- 同値と必要十分条件は同じこと。集合では
- 両辺を2乗すると同値でなくなることがある。最後に確かめる
やさしく言うと
同値は、2つの条件が「言い方はちがうけれど、中身はまったく同じ」ということです。たとえば、次の 2 つはどれも同値です。
- 「」と「」:どちらも が 3 のときだけ成り立ちます。
- 「12 の倍数」と「3 の倍数 かつ 4 の倍数」:12 の倍数なら 3 でも 4 でも割り切れ、反対に 3 でも 4 でも割り切れる数は 12 の倍数です。
- 「正三角形」と「3 つの角がすべて等しい三角形」:正三角形の角は全部 60° で、反対に 3 つの角が等しい三角形は 3 辺も等しくなります。
矢印でいうと、行き()も帰り()も成り立つ関係です。集合でいうと、条件をみたすものの集合がぴったり同じ()になります。
まとめると、同値=おたがいに言いかえができる関係です。
同値の例と、同値ではない例
○ 同値
- 「 または 」
- 「 または 」
- 「 かつ 」(, は実数)
× 同値ではない
- 「」と「」( でずれる)
- 「」と「」( でずれる)
- 「正方形」と「ひし形」(正方形でないひし形がある)
- 「」と「」( でずれる)
- 「」と「」( のときずれる)
同値でないことを示すには、片方だけをみたす例(反例)を 1 つあげれば十分です。
図で見る:数直線で比べる
不等式の条件は、数直線にかくと同値かどうかがひと目でわかります。2 本の線がぴったり同じ範囲なら同値、ずれていれば同値ではありません。
うかるくん
なら必ず なのに、同値じゃないんですか?
合格先生
行きは成り立つね。でも帰りの「 ならば 」は、 で成り立たない。片道だけでは同値とはいえないんだ。
必要十分条件との関係
のとき、「 は であるための必要十分条件」といいます。同値と必要十分条件は、同じことを別の言葉で言ったものです。
| は であるための | ||
|---|---|---|
| 真 | 真 | 必要十分条件(同値) |
| 真 | 偽 | 十分条件だが必要条件でない |
| 偽 | 真 | 必要条件だが十分条件でない |
| 偽 | 偽 | 必要条件でも十分条件でもない |
方程式の同値変形
方程式や不等式を解くときは、同値な式に変えていく(同値変形)のが基本です。両辺に同じ数をたす・引く、両辺に0でない同じ数をかける・両辺を割る、は同値変形です。
ところが、両辺を2乗すると同値でなくなることがあります。 なら ですが、 からは の場合も出てくるからです。そのときは、最後に元の式に代入して確かめます。
上の右の例では、 を整理すると 、 で です。 は元の式 をみたさないので、答えは だけです。
反対に、文字の式で両辺を割ると、答えがへることがあります。 の両辺を で割ると だけになりますが、グラフで見ると解は 2 つあります。
| 変形 | 同値? | 注意 |
|---|---|---|
| 両辺に同じ数をたす・引く | 同値 | いつでも OK |
| 両辺に 0 でない数をかける・割る | 同値 | 0 をかけると同値でない |
| 両辺を文字の式で割る | 同値とは限らない | その式が 0 の場合を落とす |
| 両辺を 2 乗する | 同値とは限らない | よけいな解がまじる。確かめる |

うかるくん
両辺を2乗すると同値でなくなることがあるから注意だね。
テスト・入試ではこう出る
高校の数学Ⅰ「集合と命題」で、必要条件・十分条件といっしょに学びます。テストでは、2 つの条件が同値かどうか、または必要条件・十分条件・必要十分条件のどれかを選ぶ問題がよく出ます。大学入学共通テストの数学Ⅰ・Aでも、この形の選択問題がよく見られます。また、方程式・不等式を解くときの同値変形は、数学Ⅱ・数学Ⅲ(無理関数など)まで、ずっと大切な考え方です。
例題1(同値かどうか)
次の 2 つの条件は同値かどうか答えなさい。
(1)「」と「 または 」 (2)「」と「」
- (1) を因数分解すると 。これは「 または 」と同値(行きも帰りも成り立つ)。
- (2) 「 ならば 」は真。しかし「 ならば 」は、 のとき でも が成り立つので偽(反例)。
答え (1) 同値である (2) 同値でない(「 または 」)
例題2(2乗したら確かめる)
方程式 を解きなさい。
- 両辺を 2 乗すると 。整理して 、 より 。
- 2 乗は同値変形ではないので、元の式で確かめる。
- :左辺 、右辺 2 で成り立つ。:左辺 、右辺 で成り立たない。
答え (はじめから「 かつ 」と同値な条件に直して解いてもよい)

うかるくん
同値でない変形をしたら、最後に必ず元の式で確かめる。これで安心だ!
まちがえやすい点

合格先生
2乗すると同値でなくなることがある! 最後に元の式に代入して確かめよう。
- 2乗したあとに確かめない:上の例のように、元の式の答えではない値()がまじることがあります。
- 文字で両辺を割る: の両辺を で割ると だけになり、 を落とします。正しくは 、 より です。
- 「または」を「かつ」にする: は「 または 」です。「かつ」にすると、3 と に同時になる はないので、何もみたさなくなります。
- 片道だけ確かめて同値とする:「」が真でも、それだけでは同値とはいえません。帰り()も必ず確かめます。
ことばの由来・記号
同値は「同じ値(ねうち)」という意味で、2 つの条件が同じねうちをもつ、つまり言いかえられることを表します。英語では equivalence(イクイバレンス)といい、equi-(等しい)と valence(価値)からできたことばです。記号 は、「」と「」を 1 つにまとめた形で、「行きも帰りも成り立つ」ことをよく表しています。
ミニ問題
問題1 条件「」と条件「」は同値ですか。
答えと解き方を見る
同値ではありません。「 ならば 」は真ですが、「 ならば 」は、 という反例があるので偽です。 は であるための十分条件ですが、必要条件ではありません。
問題2 実数 , について、条件「 かつ 」と条件「 かつ 」は同値ですか。
答えと解き方を見る
同値です。
- 「 かつ 」なら、たしても かけても正なので、 かつ 。
- 逆に なら と は同じ符号。そのうえ なので、2 つとも正。
行きも帰りも成り立つので同値です。2 次方程式の 2 つの解がともに正である条件を調べるときに使う考え方です。
問題3 方程式 を解きましょう。
答えと解き方を見る
です。、、 より求められます。両辺を で割って とすると、 を落としてしまいます。
関連する公式・用語
公式辞典で、くわしい証明と例題を見る
あわせて覚えたい用語
よくある質問
同値と必要十分条件は同じですか?
同じことを表します。pとqが同値(p⇔q)のとき、pはqであるための必要十分条件で、qもpであるための必要十分条件です。
同値変形とは何ですか?
式を、それと同値な式に変えていくことです。両辺に同じ数をたす、両辺を0でない同じ数で割る、などは同値変形です。
両辺を2乗すると、なぜ同値でなくなるのですか?
a=bならa²=b²ですが、a²=b²からはa=−bの場合も出てくるからです。2乗したあとは、元の式に代入して確かめます。
同値でないことはどうやって示しますか?
一方の条件はみたすのに、もう一方はみたさない例(反例)を1つあげます。x=1とx²=1なら、x=−1が反例です。
両辺をxで割ってはいけないのはなぜ?
xが0のときは割り算ができないので、x=0の場合を落としてしまうからです。移項して因数分解すれば、すべての解が求められます。
同値は何年生で習いますか?
高校の数学Ⅰ(集合と命題)で、必要条件・十分条件といっしょに習います。
出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編」数学Ⅰ(数と式:集合と命題)
最終更新:2026年10月13日/作成:大学受験合格大作戦


