うかるくん
逆・裏・対偶…3つもあって、どれが大事なんですか?
合格先生
いちばん大事なのは対偶。もとの命題と真偽が必ず同じだから、証明の道具になるんだ。逆と裏は、真とは限らないよ。
この用語のポイント
- の対偶は (入れかえて両方否定)
- 命題と対偶は真偽が一致。逆・裏は一致するとは限らない
- 証明しにくい命題は、対偶を証明すればよい
やさしく言うと
対偶は、もとの命題の前と後ろを入れかえて、両方を否定したものです。言っている内容は同じなので、真偽(正しいかどうか)が必ず一致します。身近な例で見てみましょう。
- 天気:「雨が降れば、地面がぬれる」の対偶は「地面がぬれていなければ、雨は降っていない」です。朝、地面が乾いていたら「雨は降らなかったな」と考えますね。これが対偶の考え方です。
- 入場のきまり:「この会場に入れる人は、チケットを持っている」の対偶は「チケットを持っていない人は、この会場に入れない」です。同じルールを、反対側から言っています。
- 動物:「ペンギンならば鳥である」の対偶は「鳥でないならば、ペンギンではない」です。犬は鳥ではないので、ペンギンではありません。
まとめると、「 ならば 」と「 でないならば でない」は、同じことの言いかえです。
逆・裏・対偶の例
| 形 | 例( は整数) | 真偽 | |
|---|---|---|---|
| もとの命題 | が4の倍数 ⇒ は偶数 | 真 | |
| 逆 | が偶数 ⇒ は4の倍数 | 偽() | |
| 裏 | が4の倍数でない ⇒ は奇数 | 偽() | |
| 対偶 | が奇数 ⇒ は4の倍数でない | 真 |
このように、逆や裏は真とは限りません。命題と同じ真偽になるのは対偶だけです(逆と裏も、互いに対偶なので真偽が一致します)。
次の左は正しく作った対偶、右は対偶になっていないものです。
○ 正しい対偶
- 「雨なら中止」→「中止でないなら雨ではない」
- 「4の倍数 ⇒ 偶数」→「奇数 ⇒ 4の倍数でない」
- 「」→「」
- 「正方形 ⇒ 長方形」→「長方形でない ⇒ 正方形でない」
- 「」→「」
× 対偶ではないもの
- 「偶数 ⇒ 4の倍数」(入れかえただけ。これは逆)
- 「4の倍数でない ⇒ 奇数」(否定しただけ。これは裏)
- 「」(これも裏)
- 「奇数 ⇒ 4の倍数」(片方しか否定していない)
- 「」( の否定を にしている)
対偶を作るときは、①前と後ろを入れかえる、②両方を否定する、の2つを必ずセットで行います。
なぜ真偽が一致するのか(図で見る)
が真なのは、 をみたす集合 が、 をみたす集合 に入っているとき()です。このとき、 の外にあるものは、必ず の外にあります。これがちょうど対偶 です。
反対に、 が偽なら、「 には入るが には入らない」もの(反例)があります。その反例は「 の外にあるのに の外にない」ので、対偶の反例にもなります。反例が共通なので、偽のときも一致するのです。
うかるくん
じゃあ、逆の はどうして一致しないんですか?
合格先生
図で の中なのに の外という場所があるよね。そこにある点が逆の反例になるんだ。 が にぴったり重なっていない限り、逆は偽になるよ。
否定の作り方
対偶で一番つまずくのは、「〜でない」を正しく作ることです。よく使う否定をまとめます。
| もとの条件 | 否定 |
|---|---|
| かつ | または |
| または | かつ |
| すべての で〜 | ある で〜でない |
| 偶数(整数の中で) | 奇数 |
否定は「もとの条件と合わせると全部になり、重なりがない」ものです。 と では、 がどちらにも入らないので、否定になっていません。
対偶を使った証明
もとの命題が証明しにくいとき、対偶を証明すれば、もとの命題も証明できたことになります。これを対偶証明法ということがあります。
例:整数 について「 が偶数 ⇒ は偶数」
対偶「 が奇数 ⇒ は奇数」を示す。( は整数)とおくと で奇数。対偶が真なので、もとの命題も真。
「 が奇数」のように「 〜」と式で書ける条件から出発できると、計算で進められます。対偶が使いやすいのは、次のようなときです。
○ 対偶が使いやすい
- 「 が〜」のように、条件が複雑な側から始まる命題
- 「〜でない」を示したい命題(否定が結論)
- 結論が「 または 」のような「または」の形
× やってはいけない
- 逆を証明して「示せた」とする
- 裏を証明して「示せた」とする
- 否定を作らずに入れかえるだけ

うかるくん
「〜でない」から始めると式にしやすいときは、対偶に切りかえればいいんだ!

うかるくん
直接が難しいときは、対偶を証明すればいいんだ!
テスト・入試ではこう出る
対偶は高校の数学Ⅰ(集合と命題)で習います(「逆」という言葉は中学2年の図形の証明でも出てきます)。定期テストや大学入試では、逆・裏・対偶を作って真偽を答える問題、対偶を使って証明する問題がよく出ます。整数の性質や、無理数の証明(背理法)と組み合わせて出ることも多いです。
例題1(対偶で証明)
実数 について、「 ならば または 」を証明しなさい。
- 対偶を作る:「 かつ ならば 」(「または」の否定は「かつ」)。
- 、 を辺々たすと、。
- 対偶が真なので、もとの命題も真。
「 または 」は、どちらが成り立つか分からないので直接は示しにくい形です。対偶にすると、たし算1回で終わります。
例題2(真偽)
命題「 ならば 」の逆・裏・対偶を作り、それぞれの真偽を答えなさい。
- もとの命題「」: のとき だが 。偽(反例 )。
- 対偶「」:命題と同じく偽(反例 )。
- 逆「」:真。
- 裏「」:逆の対偶なので、逆と同じく真。
4つ全部を調べなくても、命題と逆の2つを調べれば、残りの2つは決まります。

合格先生
偽を示すときは、反例を1つ具体的に書く。これで満点の答えになるぞ!
まちがえやすい点

合格先生
「逆も正しいはず」は危険! 真偽が同じなのは対偶だけだよ。
- 逆や裏を、もとの命題と同じだと思う:「4の倍数なら偶数」は真でも、逆「偶数なら4の倍数」は偽です。日常会話でも「雨なら中止」を「中止なら雨」と取りちがえがちです。
- 否定の作り方をまちがえる:「 かつ 」の否定は「 または 」です(ド・モルガンの法則)。「」の否定は「」で、「」ではありません。
- 「すべて」と「ある」の否定:「すべての で〜」の否定は「ある で〜でない」です。「すべての で〜でない」としてしまうと、言いすぎになります。
- 対偶を示したのに、まとめを書かない:答案では最後に「対偶が真であるから、もとの命題も真である」と書きます。何を示したのかがはっきりします。
- 対偶と背理法を混ぜる:対偶は「 から を導く」方法、背理法は「 かつ を仮定して矛盾を導く」方法です。答案の書き出しから、どちらで進めるかを決めておきます。
ミニ問題
問題1 整数 について、命題「 が 6 の倍数ならば、 は 3 の倍数」の対偶を答え、その真偽を答えましょう。
答えと解き方を見る
対偶は「 が 3 の倍数でないならば、 は 6 の倍数でない」で、真です。もとの命題が真()なので、対偶も真です。なお逆「3 の倍数ならば 6 の倍数」は偽(反例 )です。
問題2 条件「 かつ 」の否定を答えましょう。
答えと解き方を見る
「 または 」です。「かつ」は「または」に、「」は「」に変わります(ド・モルガンの法則)。「 かつ 」としてしまうのがよくあるまちがいです。
問題3 整数 について「 が 3 の倍数ならば、 は 3 の倍数」を、対偶を使って証明しましょう。
答えと解き方を見る
対偶「 が 3 の倍数でないならば、 は 3 の倍数でない」を示します。
- が 3 の倍数でないとき、 または ( は整数)。
- なら 。
- なら 。
- どちらも 3 で割ると 1 余るので、 は 3 の倍数でない。
対偶が真なので、もとの命題も真です。この結果は「 が無理数であること」の証明でも使います。
関連する公式・用語
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あわせて覚えたい用語
よくある質問
対偶と逆・裏のちがいは?
p⇒qに対して、逆はq⇒p、裏はpでない⇒qでない、対偶はqでない⇒pでない、です。もとの命題と真偽が必ず一致するのは対偶だけです。
対偶証明法と背理法のちがいは?
対偶証明法は「qでない」から出発して「pでない」を導きます。背理法は「pなのにqでない」と仮定して、何かの矛盾を導きます。
なぜ対偶は真偽が一致するのですか?
p⇒qが真のとき、pをみたす集合はqをみたす集合にふくまれます。すると、qをみたさないものは必ずpもみたさないからです。
対偶の作り方は?
前と後ろを入れかえて、両方を否定します。p⇒q なら、qでない⇒pでない です。
x>2 の否定は何ですか?
x≦2 です。x<2 ではありません。x=2 は「x>2」に入らないので、否定の側に入ります。
対偶は何年生で習いますか?
高校の数学Ⅰ(集合と命題)で習います。
出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編」数学Ⅰ(数と式:集合と命題)
最終更新:2026年10月13日/作成:大学受験合格大作戦


