対偶とは?逆・裏との違いと証明をわかりやすく【例題・問題つき】|合格大作戦 数学用語辞典

対偶とは?逆・裏との違いと証明をわかりやすく【例題・問題つき】|合格大作戦 数学用語辞典

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大学受験

対偶とは

命題「p⇒qp\Rightarrow q」に対して、「qq でない ⇒ pp でない」(q‾⇒p‾\overline{q}\Rightarrow\overline{p})という命題を対偶といいます。もとの命題と対偶は、真偽が必ず一致します。

読み方:たいぐう/英語:contrapositive/習う学年:数学Ⅰ(集合と命題)

うかるくん

うかるくん

逆・裏・対偶…3つもあって、どれが大事なんですか?

合格先生

合格先生

いちばん大事なのは対偶。もとの命題と真偽が必ず同じだから、証明の道具になるんだ。逆と裏は、真とは限らないよ。

この用語のポイント

  • p⇒qp\Rightarrow q の対偶は q‾⇒p‾\overline{q}\Rightarrow\overline{p}(入れかえて両方否定)
  • 命題と対偶は真偽が一致。逆・裏は一致するとは限らない
  • 証明しにくい命題は、対偶を証明すればよい

やさしく言うと

対偶は、もとの命題の前と後ろを入れかえて、両方を否定したものです。言っている内容は同じなので、真偽(正しいかどうか)が必ず一致します。身近な例で見てみましょう。

  • 天気:「雨が降れば、地面がぬれる」の対偶は「地面がぬれていなければ、雨は降っていない」です。朝、地面が乾いていたら「雨は降らなかったな」と考えますね。これが対偶の考え方です。
  • 入場のきまり:「この会場に入れる人は、チケットを持っている」の対偶は「チケットを持っていない人は、この会場に入れない」です。同じルールを、反対側から言っています。
  • 動物:「ペンギンならば鳥である」の対偶は「鳥でないならば、ペンギンではない」です。犬は鳥ではないので、ペンギンではありません。
逆 逆 裏 裏 対偶 もとの命題p ⇒ q 逆q ⇒ p 裏p ⇒ q 対偶q ⇒ p 赤どうし(命題と対偶)は、真偽がいつも同じ
命題・逆・裏・対偶の関係。命題と対偶は真偽が一致する

まとめると、「pp ならば qq」と「qq でないならば pp でない」は、同じことの言いかえです。

逆・裏・対偶の例

形例(nn は整数)真偽
もとの命題p⇒qp\Rightarrow qnn が4の倍数 ⇒ nn は偶数真
逆q⇒pq\Rightarrow pnn が偶数 ⇒ nn は4の倍数偽(n=2n=2)
裏p‾⇒q‾\overline{p}\Rightarrow\overline{q}nn が4の倍数でない ⇒ nn は奇数偽(n=2n=2)
対偶q‾⇒p‾\overline{q}\Rightarrow\overline{p}nn が奇数 ⇒ nn は4の倍数でない真

このように、逆や裏は真とは限りません。命題と同じ真偽になるのは対偶だけです(逆と裏も、互いに対偶なので真偽が一致します)。

次の左は正しく作った対偶、右は対偶になっていないものです。

○ 正しい対偶

  • 「雨なら中止」→「中止でないなら雨ではない」
  • 「4の倍数 ⇒ 偶数」→「奇数 ⇒ 4の倍数でない」
  • 「x=2⇒x2=4x=2\Rightarrow x^2=4」→「x2≠4⇒x≠2x^2\ne4\Rightarrow x\ne2」
  • 「正方形 ⇒ 長方形」→「長方形でない ⇒ 正方形でない」
  • 「x>1⇒x>0x>1\Rightarrow x>0」→「x≤0⇒x≤1x\le0\Rightarrow x\le1」

× 対偶ではないもの

  • 「偶数 ⇒ 4の倍数」(入れかえただけ。これは逆)
  • 「4の倍数でない ⇒ 奇数」(否定しただけ。これは裏)
  • 「x≠2⇒x2≠4x\ne2\Rightarrow x^2\ne4」(これも裏)
  • 「奇数 ⇒ 4の倍数」(片方しか否定していない)
  • 「x<0⇒x<1x<0\Rightarrow x<1」(>> の否定を << にしている)

対偶を作るときは、①前と後ろを入れかえる、②両方を否定する、の2つを必ずセットで行います。

なぜ真偽が一致するのか(図で見る)

p⇒qp\Rightarrow q が真なのは、pp をみたす集合 PP が、qq をみたす集合 QQ に入っているとき(P⊂QP\subset Q)です。このとき、QQ の外にあるものは、必ず PP の外にあります。これがちょうど対偶 q‾⇒p‾\overline{q}\Rightarrow\overline{p} です。

全体 P Q Qの外の点 → Pの外 P ⊂ Q なら、Qの外(q でない)は必ずPの外(p でない)
P が Q に入っていれば、Q の外は必ず P の外

反対に、p⇒qp\Rightarrow q が偽なら、「PP には入るが QQ には入らない」もの(反例)があります。その反例は「QQ の外にあるのに PP の外にない」ので、対偶の反例にもなります。反例が共通なので、偽のときも一致するのです。

うかるくん

うかるくん

じゃあ、逆の q⇒pq\Rightarrow p はどうして一致しないんですか?

合格先生

合格先生

図で QQ の中なのに PP の外という場所があるよね。そこにある点が逆の反例になるんだ。PP が QQ にぴったり重なっていない限り、逆は偽になるよ。

否定の作り方

対偶で一番つまずくのは、「〜でない」を正しく作ることです。よく使う否定をまとめます。

もとの条件否定
x>2x>2x≤2x\le2
x≥2x\ge2x<2x<2
x=2x=2x≠2x\ne2
pp かつ qqp‾\overline{p} または q‾\overline{q}
pp または qqp‾\overline{p} かつ q‾\overline{q}
すべての xx で〜ある xx で〜でない
偶数(整数の中で)奇数
もとの条件 x > 2 -1012345 否定 x ≦ 2(x < 2 ではない) -1012345 x = 2 は「x > 2」に入らないので、否定の側に入る 2つ合わせると、数直線ぜんぶをすき間なく分ける
x>2 の否定は x≦2。境目の 2 は否定の側に入る

否定は「もとの条件と合わせると全部になり、重なりがない」ものです。x>2x>2 と x<2x<2 では、x=2x=2 がどちらにも入らないので、否定になっていません。

対偶を使った証明

もとの命題が証明しにくいとき、対偶を証明すれば、もとの命題も証明できたことになります。これを対偶証明法ということがあります。

例:整数 nn について「n2n^2 が偶数 ⇒ nn は偶数」

対偶「nn が奇数 ⇒ n2n^2 は奇数」を示す。n=2k+1n=2k+1(kk は整数)とおくと n2=4k2+4k+1=2(2k2+2k)+1n^2=4k^2+4k+1=2(2k^2+2k)+1 で奇数。対偶が真なので、もとの命題も真。

直接ねらう道 n² が偶数n が偶数 ? n² = 2m から n を取り出しにくい 対偶で進む道 n が奇数n = 2k + 1 n²=2(2k²+2k)+1n² は奇数
直接は進みにくいが、対偶なら式で一直線に進める

「nn が奇数」のように「n=n= 〜」と式で書ける条件から出発できると、計算で進められます。対偶が使いやすいのは、次のようなときです。

○ 対偶が使いやすい

  • 「n2n^2 が〜」のように、条件が複雑な側から始まる命題
  • 「〜でない」を示したい命題(否定が結論)
  • 結論が「x>1x>1 または y>1y>1」のような「または」の形

× やってはいけない

  • 逆を証明して「示せた」とする
  • 裏を証明して「示せた」とする
  • 否定を作らずに入れかえるだけ
ひらめいたうかるくん

うかるくん

「〜でない」から始めると式にしやすいときは、対偶に切りかえればいいんだ!

大喜びするうかるくん

うかるくん

直接が難しいときは、対偶を証明すればいいんだ!

テスト・入試ではこう出る

対偶は高校の数学Ⅰ(集合と命題)で習います(「逆」という言葉は中学2年の図形の証明でも出てきます)。定期テストや大学入試では、逆・裏・対偶を作って真偽を答える問題、対偶を使って証明する問題がよく出ます。整数の性質や、無理数の証明(背理法)と組み合わせて出ることも多いです。

例題1(対偶で証明)

実数 x, yx,\ y について、「x+y>2x+y>2 ならば x>1x>1 または y>1y>1」を証明しなさい。

  1. 対偶を作る:「x≤1x\le1 かつ y≤1y\le1 ならば x+y≤2x+y\le2」(「または」の否定は「かつ」)。
  2. x≤1x\le1、y≤1y\le1 を辺々たすと、x+y≤2x+y\le2。
  3. 対偶が真なので、もとの命題も真。

「x>1x>1 または y>1y>1」は、どちらが成り立つか分からないので直接は示しにくい形です。対偶にすると、たし算1回で終わります。

例題2(真偽)

命題「x2=1x^2=1 ならば x=1x=1」の逆・裏・対偶を作り、それぞれの真偽を答えなさい。

  1. もとの命題「x2=1⇒x=1x^2=1\Rightarrow x=1」:x=−1x=-1 のとき x2=1x^2=1 だが x≠1x\ne1。偽(反例 x=−1x=-1)。
  2. 対偶「x≠1⇒x2≠1x\ne1\Rightarrow x^2\ne1」:命題と同じく偽(反例 x=−1x=-1)。
  3. 逆「x=1⇒x2=1x=1\Rightarrow x^2=1」:真。
  4. 裏「x2≠1⇒x≠1x^2\ne1\Rightarrow x\ne1」:逆の対偶なので、逆と同じく真。

4つ全部を調べなくても、命題と逆の2つを調べれば、残りの2つは決まります。

「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

偽を示すときは、反例を1つ具体的に書く。これで満点の答えになるぞ!

まちがえやすい点

腕でバツを作る合格先生

合格先生

「逆も正しいはず」は危険! 真偽が同じなのは対偶だけだよ。

  • 逆や裏を、もとの命題と同じだと思う:「4の倍数なら偶数」は真でも、逆「偶数なら4の倍数」は偽です。日常会話でも「雨なら中止」を「中止なら雨」と取りちがえがちです。
  • 否定の作り方をまちがえる:「x>0x>0 かつ y>0y>0」の否定は「x≤0x\le0 または y≤0y\le0」です(ド・モルガンの法則)。「>>」の否定は「≤\le」で、「<<」ではありません。
  • 「すべて」と「ある」の否定:「すべての xx で〜」の否定は「ある xx で〜でない」です。「すべての xx で〜でない」としてしまうと、言いすぎになります。
  • 対偶を示したのに、まとめを書かない:答案では最後に「対偶が真であるから、もとの命題も真である」と書きます。何を示したのかがはっきりします。
  • 対偶と背理法を混ぜる:対偶は「q‾\overline{q} から p‾\overline{p} を導く」方法、背理法は「pp かつ q‾\overline{q} を仮定して矛盾を導く」方法です。答案の書き出しから、どちらで進めるかを決めておきます。

ミニ問題

問題1 整数 nn について、命題「nn が 6 の倍数ならば、nn は 3 の倍数」の対偶を答え、その真偽を答えましょう。

答えと解き方を見る

対偶は「nn が 3 の倍数でないならば、nn は 6 の倍数でない」で、真です。もとの命題が真(6k=3×2k6k=3\times2k)なので、対偶も真です。なお逆「3 の倍数ならば 6 の倍数」は偽(反例 n=3n=3)です。

問題2 条件「x>3x>3 かつ y>3y>3」の否定を答えましょう。

答えと解き方を見る

「x≤3x\le3 または y≤3y\le3」です。「かつ」は「または」に、「>>」は「≤\le」に変わります(ド・モルガンの法則)。「x<3x<3 かつ y<3y<3」としてしまうのがよくあるまちがいです。

問題3 整数 nn について「n2n^2 が 3 の倍数ならば、nn は 3 の倍数」を、対偶を使って証明しましょう。

答えと解き方を見る

対偶「nn が 3 の倍数でないならば、n2n^2 は 3 の倍数でない」を示します。

  1. nn が 3 の倍数でないとき、n=3k+1n=3k+1 または n=3k+2n=3k+2(kk は整数)。
  2. n=3k+1n=3k+1 なら n2=9k2+6k+1=3(3k2+2k)+1n^2=9k^2+6k+1=3(3k^2+2k)+1。
  3. n=3k+2n=3k+2 なら n2=9k2+12k+4=3(3k2+4k+1)+1n^2=9k^2+12k+4=3(3k^2+4k+1)+1。
  4. どちらも 3 で割ると 1 余るので、n2n^2 は 3 の倍数でない。

対偶が真なので、もとの命題も真です。この結果は「3\sqrt3 が無理数であること」の証明でも使います。

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よくある質問

対偶と逆・裏のちがいは?

p⇒qに対して、逆はq⇒p、裏はpでない⇒qでない、対偶はqでない⇒pでない、です。もとの命題と真偽が必ず一致するのは対偶だけです。

対偶証明法と背理法のちがいは?

対偶証明法は「qでない」から出発して「pでない」を導きます。背理法は「pなのにqでない」と仮定して、何かの矛盾を導きます。

なぜ対偶は真偽が一致するのですか?

p⇒qが真のとき、pをみたす集合はqをみたす集合にふくまれます。すると、qをみたさないものは必ずpもみたさないからです。

対偶の作り方は?

前と後ろを入れかえて、両方を否定します。p⇒q なら、qでない⇒pでない です。

x>2 の否定は何ですか?

x≦2 です。x<2 ではありません。x=2 は「x>2」に入らないので、否定の側に入ります。

対偶は何年生で習いますか?

高校の数学Ⅰ(集合と命題)で習います。

出典・参考

  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編」数学Ⅰ(数と式:集合と命題)

最終更新:2026年10月13日/作成:大学受験合格大作戦