楕円曲線とは?楕円じゃないってほんと?わかりやすく|点の足し算・フェルマーの最終定理・暗号

この記事の結論

  • 楕円曲線とは、y²=x³+ax+b の形で表される曲線です。名前に「楕円」とありますが、形は楕円ではありません。楕円の弧の長さを求める計算(楕円積分)の研究から生まれたので、この名前がつきました。
  • 楕円曲線の上の点どうしは、直線を使って「足し算」ができます。この不思議な性質が、数論(整数の研究)の中心的な道具になりました。
  • 1994〜95年に証明されたフェルマーの最終定理のかぎも、スマホやビットコインを守る楕円曲線暗号も、この楕円曲線です。

楕円曲線とは?ひとことで言うと

楕円曲線とは、y² = x³ + a x + b(a、b は数)という式で表される曲線のことです。ただし、曲線がとがったり交わったりしないように、4a³+27b²≠0 という条件をつけます。この形を「ワイエルシュトラスの標準形」と呼びます。

y²=x³−x y²=x³+1
図1 楕円曲線の形の例(式から計算して描いた図)

グラフを見ると分かるとおり、楕円曲線は楕円(だ円)とはまったくちがう形です。y² の式なので、x 軸について上下対称になります。左の y²=x³−x のように2つにわかれる形と、右の y²=x³+1 のように1つにつながった形があります。

項目内容
読み方楕円曲線(だえんきょくせん)。英語で elliptic curve
式y²=x³+ax+b(4a³+27b²≠0)
形x 軸について上下対称。1つにつながる形と、2つにわかれる形がある
名前の由来楕円の弧の長さを求める「楕円積分」の研究から生まれたため。形は楕円ではない
すごいところ曲線の上の点どうしで「足し算」ができる
使われる所フェルマーの最終定理の証明、BSD予想(ミレニアム懸賞問題)、楕円曲線暗号(スマホ・ビットコインなど)
うかるくん

うかるくん

「楕円曲線」っていうから、だ円の仲間だと思ってた……。

合格先生

合格先生

みんなそう思うんだ。名前は「楕円の研究から出てきた曲線」という意味で、形は楕円じゃない。名前と形がずれている、数学でも有名な例なんだよ。

サクラちゃん

サクラちゃん

じゃあ、まず名前の由来から知りたいです!

なぜ「楕円」曲線?名前の由来

円の周の長さは「直径×円周率」で求められます。では、楕円の周の長さはどうでしょう。実はこれが、とても難しい問題なのです。楕円の周の長さは、円周率のような決まった数や、ふつうの関数を組み合わせた式では表せないことが分かっています。

楕円の弧の長さ 楕円積分弧の長さを求める計算 ↓ 楕円曲線その研究から出てきた 形は楕円ではない!
図2 楕円曲線という名前の由来(自作の図)

楕円の弧の長さを求めようとすると、「楕円積分」という積分が出てきます。18〜19世紀の数学者たちは、この楕円積分を研究するうちに、その裏側に「楕円関数」という美しい関数がかくれていることを発見しました。アーベルとヤコビが1820年代に楕円関数の研究を大きく進め、ワイエルシュトラスが整理しました。

そして、楕円関数を使うと、y²=x³+ax+b の形の曲線の上の点をうまく表せることが分かりました。こうして、この曲線は「楕円関数(楕円積分)とつながる曲線」という意味で楕円曲線と呼ばれるようになったのです。楕円の周の長さについては、円の方程式や2次曲線(楕円・放物線・双曲線)のページも見てみてください。

楕円曲線の「足し算」をやってみよう

楕円曲線のいちばん不思議な性質は、曲線の上の2つの点から、3つ目の点を作れることです。これを点の「足し算」と呼びます。やり方は次のとおりです。

  1. 曲線の上の2点 P と Q を通る直線をひく。
  2. 3次式の曲線なので、直線は曲線ともう1か所で交わる。
  3. その交点を、x 軸で折り返した点を「P+Q」とする。

実際に、y²=x³+17 という楕円曲線でやってみましょう。この曲線には (−2, 3) や (−1, 4) のような、x も y も整数の点があります。確かめると、3²=9、(−2)³+17=9 で、たしかに曲線の上です。

P(−2,3) Q(−1,4) (4,9) P+Q=(4,−9) y²=x³+17
図3 楕円曲線 y²=x³+17 の上での点の足し算(式から計算して描いた図)

P(−2, 3) と Q(−1, 4) を通る直線は、傾きが (4−3)÷(−1−(−2))=1 なので y=x+5。これを y²=x³+17 に代入すると

(x+5)²=x³+17 → x³−x²−10x−8=0

この3次方程式の解のうち2つは、P と Q の x 座標の −2 と −1 です。3次方程式の3つの解の和は、x² の係数の符号を変えた 1 になる(解と係数の関係)ので、3つ目の解は 1−(−2)−(−1)=4。y=4+5=9 で、交点は (4, 9) です。これを x 軸で折り返して、

P+Q=(−2, 3)+(−1, 4)=(4, −9)

確かめると (−9)²=81、4³+17=81 で、ちゃんと曲線の上にあります。整数の点2つから、新しい整数の点が見つかりました。同じ点 P を2回たす「P+P」は、P での接線の方程式を使います。P(−2, 3) で計算すると、2P=(8, −23) になります(練習問題4)。

「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

直線と3次曲線の交点は3つ。2つ分かっていれば、解と係数の関係で3つ目がすぐ出る。高校数学の道具だけで、楕円曲線の足し算ができるんだ!

この足し算には、ふつうの足し算と同じように「P+Q=Q+P」「(P+Q)+R=P+(Q+R)」といったきまりが成り立ちます。0にあたる点は、曲線の「はるか上(無限のかなた)」にあると考える無限遠点です。このように「足し算のきまりがそろった集まり」を、大学の数学では群(ぐん)と呼びます。

足し算で点はどんどん増える

同じように、(−1, 4) と (2, 5) をたすと、今度は (−8/9, −109/27) という分数の点が出てきます。分母がちがっても、計算すると (−8/9)³+17=11881/729、(109/27)²=11881/729 で、ちゃんと曲線の上です。このように、楕円曲線の上の点は、足し算をくり返すと次々に新しい点が生まれ、y²=x³+17 の有理数の点は無限にあります。

一方、x も y も整数の点は、かぎられた数しかありません。y²=x³+17 の整数の点(y が正のもの)は、(−2, 3)、(−1, 4)、(2, 5)、(4, 9)、(8, 23)、(43, 282)、(52, 375)、そして (5234, 378661) の8個で、上下の折り返しを合わせて16個だけであることが知られています。最後の点は、5234³+17=143,384,152,921=378661² という大きな数です。整数の点は「ふつうに探していたら見落とす」ほど遠くにかくれていることがあり、それを見つけ出す理論が数論の大事な研究テーマになっています。

円・楕円曲線・もっと複雑な曲線:有理点の数

数学者が楕円曲線に夢中になる理由の1つは、曲線の上の有理点(x も y も有理数、つまり分数で表せる点)の探し方にあります。曲線の次数によって、有理点の様子はまったくちがいます。

曲線例有理点の様子
2次曲線(円など)x²+y²=11つ有理点が見つかれば、すべての有理点を式で書ける(ピタゴラス数がすべて分かる)
3次曲線(楕円曲線)y²=x³+17有限個の点から、足し算でたどれる(モーデルの定理、1922年)。無限にあることも、有限個のこともある
もっと複雑な曲線x⁴+y⁴=1 など有理点は有限個しかない(モーデル予想。1983年にファルティングスが証明)

円 x²+y²=1 の場合、点 (−1, 0) を通る傾き t の直線と円の交点を求めると、((1−t²)/(1+t²), 2t/(1+t²)) という式になります。t=1/2 なら (3/5, 4/5)。両方を5倍すると、おなじみの3・4・5の直角三角形です。三平方の定理をみたす整数の組(ピタゴラス数)は、こうしてすべて作れます。

楕円曲線はその1つ上の段階です。有理点が無限にあっても、いくつかの「もとになる点」から足し算でたどり着けることを、イギリスの数学者モーデルが1922年に証明しました。「もとになる点」がいくつ必要かを表す数をランクといい、このランクを求める方法はまだ完全には分かっていません。それに関係するのが、100万ドルの懸賞金がかかったBSD予想(バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想)です。もっと複雑な曲線についてはモーデル予想とはにまとめています。

ちなみに、「面積が整数 n になる、辺がすべて有理数の直角三角形はあるか」という合同数の問題も、楕円曲線 y²=x³−n²x の有理点の問題に言いかえられます。3・4・5の直角三角形の面積6は合同数です。くわしくはBSD予想のページで紹介しています。

フェルマーの最終定理と楕円曲線

「n が3以上のとき、aⁿ+bⁿ=cⁿ をみたす正の整数 a、b、c はない」――フェルマーが17世紀に書き残し、350年以上だれも証明できなかったフェルマーの最終定理。その証明のかぎになったのが、楕円曲線でした。

もし aⁿ+bⁿ=cⁿ に解があったら(n は3以上)↓ その解から楕円曲線が作れるフライ曲線(1980年代)↓ その曲線は「谷山・志村予想」に反するリベットが証明(1986年)↓ ワイルズが谷山・志村予想を証明必要な部分を、1994〜95年に だから、解はない!
図4 フェルマーの最終定理の証明の流れ(自作の図)

1980年代、ドイツの数学者フライは、「もしフェルマーの方程式に解があったら、その解を使って y²=x(x−aⁿ)(x+bⁿ) という、とても変わった楕円曲線が作れる」ことに気づきました(フライ曲線)。そして1986年、アメリカの数学者リベットが、「この曲線は、谷山・志村予想が正しければ存在できない」ことを証明しました。

谷山・志村予想は、日本の数学者谷山豊と志村五郎の研究から生まれた予想で、「すべての楕円曲線は、モジュラー形式という別の種類の対象と結びついている」というものです。谷山は1955年に日光で開かれた国際シンポジウムで、この予想のもとになる問題を出しました。

つまり、谷山・志村予想を(フライ曲線に必要な範囲で)証明すれば、フェルマーの最終定理も証明できる。この道すじを最後まで進んだのが、イギリスのアンドリュー・ワイルズです。ワイルズは7年ほど一人で研究を続け、1993年に証明を発表、見つかった穴を弟子のリチャード・テイラーとともに埋めて、1995年に証明を完成させました。証明のくわしい物語はフェルマーの最終定理とは(証明の歴史)で紹介しています。

サクラちゃん

サクラちゃん

整数の問題を解くのに、曲線が出てくるなんて! しかも日本の数学者の予想がかぎだったんですね。

合格先生

合格先生

「方程式の整数の解」と「曲線の上の点」は、表と裏の関係なんだ。図形として見ると、ちがう道具が使えるようになる。数学の大発見には、こういう「見方の切りかえ」がよくあるよ。

「時計の算数」の楕円曲線

楕円曲線は、ふつうの数だけでなく、ある素数でわった余りの世界でも考えられます。たとえば y²=x³+7 を「11でわった余り」で考えると、x も y も 0〜10 の整数だけになり、式をみたす点は有限個になります。

y²=x³+7(11でわった余り)001122334455667788991010 x(0〜10) 赤い点は11個
図5 y²=x³+7 を11でわった余りで考えたときの点(計算して描いた図)

たとえば x=2、y=2 なら、y²=4、x³+7=15 で、どちらも11でわると4余るので、式をみたします。全部数えると赤い点は11個、無限遠点を合わせると12個です。グラフはばらばらに散らばって見えますが、さっきと同じ「足し算」が、余りの計算でそのまま使えます。

点 P を何回もたしてみる

この11個の点の上で、点 P=(4, 4) を1回、2回、3回……とたしていくと、次のようになります(余りの世界での足し算は、傾きの「わり算」を「11でわって1余るようなかけ算」に置きかえて計算します)。

たした回数点
1P(4, 4)
2P(6, 6)
3P(2, 9)
4P(3, 10)
5P(7, 3)
6P(5, 0)
7P(7, 8)
8P(3, 1)
9P(2, 2)
10P(6, 5)
11P(4, 7)
12P無限遠点(0)

P をたしていくと、11個の点を1つ残らずめぐって、12回目で0(無限遠点)にもどりました。並び方はばらばらで、規則が見えません。「7P はどれ?」と聞かれれば順にたせば分かりますが、逆に「(3, 10) は P を何回たした点?」と聞かれると、表を作らないかぎり答えられません。この「逆向きが難しい」という性質が、次に説明する暗号の正体です。

余りの世界で点の数を数えると、だいたい「素数+1」個の近くになることが分かっています(ずれは素数の平方根の2倍以内。ハッセの定理)。11なら 12±約6.6 の範囲です。余りで考える算数は、百五減算(3・5・7でわった余りから数を当てる方法)とも同じ考え方です。

スマホとビットコインを守る楕円曲線暗号

1985年、アメリカのコブリッツとミラーが、それぞれ別々に、楕円曲線を暗号に使うアイデアを発表しました。これが楕円曲線暗号です。

しくみの中心は、「点 P を n 回たした点 nP は、n が分かれば速く計算できる。でも、P と nP だけを見せられて n を当てるのは、とても難しい」という性質です。n をひみつのかぎにし、nP を公開しても、n はばれません。巨大な素数でわった余りの世界の楕円曲線を使えば、今のコンピューターで n を求めるには、とてつもない時間がかかります。

使われている所内容
インターネット(https)ブラウザとサーバーが、安全にかぎを交換するときに使われる
スマホ・ICカード少ない計算で強い安全性が得られるので、小さな機器に向いている
ビットコイン取引の電子署名に、y²=x³+7 という形の楕円曲線(secp256k1)を、巨大な素数でわった余りの世界で使っている

図5の y²=x³+7 は、実はビットコインで使われている曲線と同じ形の式です。ちがうのは、11ではなく、約78けたもある巨大な素数でわった余りを使うことだけ。ばらばらに散らばった点の上で「足し算」をすることで、私たちのお金や情報が守られているのです。暗号と素数のつながりは素数の話もどうぞ。

ひらめいたうかるくん

うかるくん

楕円曲線の足し算が、ビットコインの安全を守ってたなんて! 中学の座標と直線から、ここまでつながるんだ。

よくある誤解

誤解本当は
楕円曲線は楕円の形をしている形は楕円ではない。楕円の弧の長さ(楕円積分)の研究から出てきたので、この名前がついた
楕円曲線の「足し算」は、座標をたすこと(−2, 3)+(−1, 4) は (−3, 7) ではなく (4, −9)。直線と曲線の交点を使う、特別な足し算
フェルマーの最終定理は、楕円曲線の問題として出されたもとは整数の方程式の問題。300年以上たってから、楕円曲線を使う道すじが見つかった
楕円曲線暗号は、グラフの形を見れば破れる実際には巨大な素数でわった余りの世界で計算するので、点はばらばらに散らばり、形から手がかりは得られない

自分で楕円曲線の点を探してみよう

楕円曲線は、電卓や表計算ソフトがあれば自分で調べられます。たとえば y²=x³+17 なら、x に −2、−1、0、1、2……と順に数を入れて x³+17 を計算し、それが平方数(1、4、9、16、25……)になるところを探します。x=0 なら17、x=1 なら18 で平方数ではありませんが、x=2 なら25=5² で、(2, 5) が見つかります。

表計算ソフトなら、A列に x、B列に x³+17、C列にその平方根を出して、C列が整数になる行を探せば、(43, 282) や (52, 375) も見つかります。見つけた2点で足し算をして、本当に曲線の上に来るか確かめてみると、楕円曲線の不思議さを体で感じられます。

余りの世界の楕円曲線なら、紙とえんぴつだけで全部の点を数えられます。11でわった余りで、0²〜10² の余り(0・1・4・9・5・3・3・5・9・4・1)を先に表にしておくと、x³+7 の余りがその中にあるかどうかで、点をすばやく見つけられます。

うかるくん

うかるくん

(5234, 378661) まで探すのは大変そう。でも、見つけたらちょっと感動しそう!

合格先生

合格先生

数学者も、最初はこうした手計算やコンピューターの実験から予想を立てるんだ。BSD予想も、コンピューターでたくさんの楕円曲線の点を数えた実験から生まれたんだよ。

楕円曲線の歴史(年表)

年できごと
3世紀ごろ古代ギリシャのディオファントスが『算術』で、方程式の有理数の解を求める問題を研究する。すでに分かっている解から新しい解を作る工夫が、のちの楕円曲線の足し算につながったとされる
17世紀フェルマーが整数の方程式を研究。面積1の、辺が有理数の直角三角形はないこと(1は合同数でない)を「無限降下法」で示す
18〜19世紀楕円の弧の長さから楕円積分が研究され、ルジャンドル・アーベル・ヤコビ・ワイエルシュトラスらが楕円関数の理論を作る
1901年ポアンカレが、楕円曲線の有理点を足し算で考える見方を示す
1922年モーデルが、楕円曲線の有理点は有限個の点から足し算でたどれることを証明(モーデルの定理)
1955年谷山豊が日光の国際シンポジウムで、谷山・志村予想のもとになる問題を出す
1960年代バーチとスウィンナートン=ダイアーが、コンピューターでの計算をもとにBSD予想を出す
1983年ファルティングスがモーデル予想を証明
1985年コブリッツとミラーが楕円曲線暗号を提案
1986年リベットが、フライ曲線と谷山・志村予想の関係を証明
1994〜95年ワイルズ(テイラーと協力)が谷山・志村予想の必要な部分を証明し、フェルマーの最終定理が解決
2000年クレイ数学研究所がBSD予想をミレニアム懸賞問題の1つに選ぶ(懸賞金100万ドル)
2001年谷山・志村予想がすべての楕円曲線について証明される(モジュラリティ定理)

受験とのつながり

学年・入試楕円曲線とつながる内容
中学座標、直線の式、三平方の定理、ピタゴラス数(3・4・5、5・12・13)
高校数学3次関数のグラフ、接線の方程式、3次方程式の解と係数の関係、整数の性質、不定方程式、合同式
大学入試「円の上の有理点」「曲線の上の格子点(x、y が整数の点)」を求める問題は、東大・京大などの整数問題で見られるテーマ
大学群論、代数幾何学、数論、暗号理論

この記事の「足し算」の計算は、直線の式・代入・解と係数の関係という、高校数学Ⅱまでの内容だけでできています。整数問題が好きな人は、「この方程式の整数の解は、曲線の上のどんな点だろう?」と図形の目で見てみると、新しい発見があるかもしれません。京大の整数問題の傾向は京大理系数学の出題分析も参考にしてください。

練習問題(答えは押すと開きます)

問題1(中学生)

点 (2, 5) は、曲線 y²=x³+17 の上にありますか。

答えと解き方
y²=25、x³+17=8+17=25。等しいので、曲線の上にある。

問題2(中学生)

円 x²+y²=1 の上の点 ((1−t²)/(1+t²), 2t/(1+t²)) で、t=1/2 のときの点を求めなさい。また、その点から作れるピタゴラス数を答えなさい。

答えと解き方
1−t²=3/4、1+t²=5/4、2t=1。点は (3/5, 4/5)。両方を5倍して、3²+4²=5² のピタゴラス数 3・4・5 が作れる。

問題3(高校生)

曲線 y²=x³+17 の上の2点 P(−2, 3)、Q(−1, 4) を通る直線と曲線のもう1つの交点を求め、P+Q を答えなさい。

答えと解き方
直線は y=x+5。代入して x³−x²−10x−8=0。解と係数の関係より3つの解の和は1なので、3つ目の解は 1−(−2)−(−1)=4、y=9。交点は (4, 9)。x 軸で折り返して P+Q=(4, −9)。

問題4(高校生)

曲線 y²=x³+17 の点 P(−2, 3) における接線を求め、2P=P+P を答えなさい。(y² を微分すると 2y・y′ になります)

答えと解き方
2y・y′=3x² より、y′=3x²÷(2y)=12÷6=2。接線は y=2x+7。代入して x³−4x²−28x−32=0。−2 が2重の解なので、3つ目の解は 4−(−2)−(−2)=8、y=23。折り返して 2P=(8, −23)。((−23)²=529=8³+17 で確かめられる)

問題5(高校生)

y²=x³+7 を11でわった余りで考えます。x=5 のとき、式をみたす y(0〜10)を求めなさい。

答えと解き方
5³+7=132=11×12 なので、x³+7 は11でわり切れる(余り0)。y² が11でわり切れるのは y=0 のときだけなので、y=0。図5の (5, 0) の点です。

問題6(チャレンジ)

直線と3次曲線 y²=x³+ax+b の交点が、多くても3つしかない理由を説明しなさい(直線は y=mx+k とします)。

答えと解き方
y=mx+k を代入すると (mx+k)²=x³+ax+b。整理すると x³ の係数が1の 3次方程式になる。3次方程式の実数解は多くても3つなので、交点も多くても3つ。2つの交点が分かれば、解と係数の関係で3つ目が求められる。

あわせて知りたい数学者・難問

よくある質問

楕円曲線とは何ですか?

楕円曲線とは、y²=x³+ax+b(4a³+27b²≠0)の形で表される曲線です。x 軸について上下対称で、曲線の上の点どうしで「足し算」ができるという特別な性質をもち、数論や暗号で重要な役割を果たしています。

楕円曲線は楕円の形なのですか?

いいえ。楕円曲線は楕円の形ではありません。楕円の弧の長さを求める「楕円積分」の研究から出てきた曲線なので、この名前がつきました。

楕円曲線の足し算とは何ですか?

曲線の上の2点 P、Q を通る直線が曲線ともう1か所で交わる点を求め、その点を x 軸で折り返した点を P+Q とする計算です。たとえば y²=x³+17 では、(−2, 3)+(−1, 4)=(4, −9) になります。

フェルマーの最終定理と楕円曲線にはどんな関係がありますか?

フェルマーの方程式に解があると、フライ曲線という変わった楕円曲線が作れます。この曲線は谷山・志村予想に反することが示され、ワイルズが谷山・志村予想の必要な部分を証明したことで、フェルマーの最終定理が1995年に証明されました。

谷山・志村予想とは何ですか?

日本の数学者、谷山豊と志村五郎の研究から生まれた予想で、すべての楕円曲線がモジュラー形式と結びついているというものです。ワイルズらが証明を進め、2001年にすべての楕円曲線について証明されました(モジュラリティ定理)。

楕円曲線暗号とは何ですか?

楕円曲線の上で点を何回もたす計算を使った暗号です。点 P を n 回たした点から n を求めるのがとても難しいことを利用しています。1985年に提案され、インターネットの通信やスマホ、ビットコインの電子署名などで使われています。

ビットコインではどんな楕円曲線が使われていますか?

ビットコインの電子署名には、y²=x³+7 という形の楕円曲線(secp256k1)が使われています。ふつうの数ではなく、約78けたの巨大な素数でわった余りの世界で計算します。

BSD予想と楕円曲線の関係は?

BSD予想(バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想)は、楕円曲線の有理点がどれくらいあるか(ランク)を、ある関数の性質から決められるという予想です。ミレニアム懸賞問題の1つで、100万ドルの懸賞金がかかっています。

楕円曲線は高校数学で習いますか?

楕円曲線という言葉は高校では習いません。ただし、3次関数のグラフ、接線の方程式、解と係数の関係、整数の性質など、楕円曲線の足し算に必要な道具は高校数学で学びます。

y²=x³+17 の整数の点はいくつありますか?

y²=x³+17 の x、y がともに整数の点は、(−2, ±3)、(−1, ±4)、(2, ±5)、(4, ±9)、(8, ±23)、(43, ±282)、(52, ±375)、(5234, ±378661) の16個だけであることが知られています。一方、有理数の点は足し算で次々に作れ、無限にあります。

有理点とは何ですか?

有理点とは、x 座標も y 座標も有理数(分数で表せる数)である点のことです。円 x²+y²=1 の有理点からはピタゴラス数がすべて作れ、楕円曲線の有理点は足し算でたどれることが知られています。

あわせて読みたい

出典・参考

  • 楕円曲線の定義・名前の由来・群の構造・モーデルの定理・谷山・志村予想・フライ曲線・リベット・ワイルズ・楕円曲線暗号(1985年)・BSD予想(クレイ数学研究所のミレニアム懸賞問題、2000年):数論・暗号についての一般的な資料
  • 計算(y²=x³+17 の点の足し算、11でわった余りの点の数、円の有理点):合格大作戦が式から計算
  • 図はすべて合格大作戦の自作(曲線は式から計算して描いた)

最終更新:2026年11月3日/作成:大学受験合格大作戦

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