ポリスとは?世界史でわかりやすく|都市国家・アクロポリスとアゴラ・植民市【図解】

世界史用語集 › 第2章 古代ギリシャとヘレニズム

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ポリスぽりす

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ひとことで言うと

ポリスとは、古代ギリシャの都市国家です。前8世紀ごろ、人々が集まって住む集住(シノイキスモス)でうまれ、丘のアクロポリスと広場のアゴラを中心に、町と農地が1つの独立した国になっていました。

読み方ぽりす
英語polis(ギリシャ語 πόλις、複数形 poleis)
時代前8世紀ごろ〜前4世紀(ポリスの時代)
地域ギリシャ
章第2章 古代ギリシャとヘレニズム
日本語都市国家
できたしくみ集住(シノイキスモス)
主なポリスアテネ(イオニア人)・スパルタ(ドーリア人)・コリントス・テーベ・ミレトス
いっしょに覚えるアクロポリス・アゴラ・植民市・ヘレネスとバルバロイ・重装歩兵

このページのポイント

  • ポリスは「町=国」。古代ギリシャに統一国家はなく、1000をこえるポリスが並んでいた。
  • 丘(神殿・砦)がアクロポリス、広場(市場・集会)がアゴラ。政治に参加できたのは成年男性の市民だけ。
  • ばらばらでも、ことば・神々・オリンピアの祭典・デルフォイの神託で「ヘレネス」という仲間意識を持った。

ポリスをやさしく言うと

ポリスは、古代ギリシャの「都市国家」です。1つの町とそのまわりの農地が、そのまま1つの国になっていました。今でいえば、京都市が「京都国」として、自分たちの法律・軍隊・神さまの祭りを持っているようなものです。

ギリシャは山が多く、平野が小さく分かれています。そのため1つの大きな国にはならず、小さな国がいくつも並ぶ形になりました。ポリスの数は、研究者の調べで1000をこえるとされます。アテネやスパルタは、その中で特に大きなポリスです。

海 田園(農地)田園 城壁 アクロポリス アゴラ(広場)市場・集会・裁判 家々(市街) 港 ※ アテネをもとにした模式図
図1 ポリスのつくり(アテネをもとにした模式図)。丘の上がアクロポリス、ふもとの広場がアゴラ。城壁の外に田園が広がる。

ポリスのつくりには決まった形があります。

  • アクロポリス:町の中心の小高い丘。守り神の神殿が建ち、いざというときの砦にもなりました。アテネのパルテノン神殿は、アクロポリスの上に建っています。
  • アゴラ:アクロポリスのふもとの広場。市場が開かれ、市民が集まって話し合いをしました。
  • 田園(農地):城壁の外の畑。市民の多くは農民で、ここで麦・オリーブ・ぶどうを育てました。
エンリケくん

エンリケくん

ポリスって「町」なんですか?「国」なんですか?

ロダン先生

ロダン先生

どちらでもあるんだ。町の大きさなのに、自分で戦争も外交もする独立した国。だから日本語では「都市国家」と訳すんだよ。

エンリケくん

エンリケくん

町が国! 1000もあったら、地図がとてもにぎやかですね。

ポリスのくわしい流れ(できる → 広がる → 力を失う)

① 混乱の時代のあとにできた(前8世紀ごろ)

前1200年ごろ、ミケーネ文明がほろび、ギリシャは長い混乱の時代に入りました。文字の記録も少なくなります。前8世紀ごろになると、各地の有力な貴族のもとに人々が集まって住むようになりました。これを集住(シノイキスモス)といいます。こうしてできたのがポリスです。

同じころ、ギリシャ人はフェニキア文字をもとにしたギリシャ文字を使い始めました。ポリスの成立と文字の広がりは、ほぼ同じ時期です。

② 海をこえて植民市をつくる(前8〜前6世紀)

人口が増えて土地が足りなくなると、ギリシャ人は船で地中海や黒海の沿岸に移り住み、新しいポリスをつくりました。これを植民市といいます。植民市は、もとのポリス(母市)から独立した国でした。

黒海地中海ヨーロッパ小アジアアフリカ マッサリア(今のマルセイユ)ネアポリス(今のナポリ)シラクサビザンティオン(今のイスタンブル)キュレネ アテネスパルタミレトス 本土・小アジアのポリス植民市(前8〜前6世紀)
図2 地中海・黒海のまわりのポリスと植民市(模式図)。マッサリアは今のマルセイユ、ネアポリスは今のナポリ、ビザンティオンは今のイスタンブル。
植民市今の都市場所
マッサリアマルセイユフランス南部
ネアポリスナポリイタリア南部
シラクサシラクサ(シラクーザ)シチリア島
ビザンティオンイスタンブルトルコ(黒海の入口)
キュレネ(遺跡)リビア東部

「ネアポリス」は「新しい町」という意味です。今の「ナポリ」の名前は、ここから来ています。植民市どうしの交易で、ギリシャのオリーブ油やぶどう酒、陶器が地中海じゅうに運ばれました。

地球儀を指さすロダン先生

ロダン先生

ナポリもマルセイユもイスタンブルも、もとはギリシャ人の植民市なんだ。世界一周の旅で全部回ったよ。

③ 市民が戦い、市民が政治をする

ポリスの市民は、成年男性でした。市民は自分の武具をそろえて戦場に出る戦士でもありました。前7世紀ごろから、武具をそろえた平民が重装歩兵(ファランクス)として戦いの主役になります。「国を守っているのは自分たちだ」という自信から、平民も政治に参加させよという声が強まり、アテネではソロンの改革・クレイステネスの改革を経てアテネの民主政へ進みました。

アテネ成年男性の市民民会で投票・戦士になる○市民の家族(女性)市民の身分だが政治は××在留外人メトイコイ。商工業で活躍×奴隷家事・鉱山などで働く× スパルタ市民(スパルタ人)政治と軍事をになう少数○市民の家族(女性)政治には参加しない×ペリオイコイ周辺民。自由だが政治は××ヘイロータイ隷属農民。農業をになう× ○ 政治に参加できる × 参加できない
図4 ポリスに住む人々。アテネもスパルタも、政治に参加できたのは成年男性の市民だけ。

ただし、市民の家族の女性、在留外人(メトイコイ)、奴隷は政治に参加できません。今の民主主義とは大きくちがう点です。スパルタは、少数の市民がヘイロータイ(隷属農民)を支配する、軍国主義のポリスでした(くわしくはスパルタの社会と軍国主義)。

④ ポリスどうしの争いと、マケドニアの支配

前5世紀のはじめ、東の大国アケメネス朝ペルシアが攻めてきました(ペルシア戦争の流れ)。ポリスは力を合わせて勝ちます。しかしそのあと、アテネ中心のデロス同盟とスパルタ中心のペロポネソス同盟が争い、ペロポネソス戦争でポリス全体が疲れてしまいました。前338年、北のマケドニアがカイロネイアの戦いで勝ち、ポリスは独立した力を失っていきます。そのあとのアレクサンドロス大王の東方遠征で、ギリシャの文化はヘレニズム文化として東方へ広がりました。

年表で見るポリスの時代

前2000ごろクレタ文明(エーゲ文明)前1600ごろミケーネ文明前1200ごろミケーネ文明がほろび、混乱の時代へ前8世紀ポリスができる(集住)・植民がさかん前776第1回オリンピアの祭典(伝承)前6世紀アテネの改革(ソロンほか)前500〜前449ペルシア戦争(ポリス連合が勝つ)前431〜前404ペロポネソス戦争(ポリスどうしの争い)前338カイロネイアの戦い(マケドニアが勝つ)
図3 古代ギリシャの流れ。ポリスができた前8世紀から、マケドニアに敗れる前338年までが「ポリスの時代」。
年表の巻物を広げるロダン先生

ロダン先生

ポリスの時代は、だいたい前8世紀から前4世紀まで。この400年ほどで、民主政も哲学も劇も生まれたんだ。

ポリスはばらばらでしたが、ギリシャ人には「同じ仲間」という意識がありました。

  • 自分たちをヘレネス(英雄ヘレンの子孫)と呼び、ことばの通じない異民族をバルバロイ(「わけの分からないことばを話す人」)と呼んだ(ヘレネスとバルバロイ)。
  • 同じギリシャ語を話し、オリンポスの12神をまつった。
  • 4年ごとのオリンピアの祭典(今のオリンピックのもと)に、各ポリスから選手が集まった。
  • 大事なことを決めるときは、デルフォイのアポロン神殿の神託(神のお告げ)を聞いた。

整理:ポリスの「ばらばら」と「まとまり」

ばらばら:政治・軍事・法律はポリスごと。統一国家はつくらない。
まとまり:ことば・神々・オリンピアの祭典・デルフォイの神託は共通。

ポリスと関係する人物・用語

用語ポリスとの関係
アクロポリスとアゴラポリスの中心。神殿の丘と広場
ヘレネスとバルバロイポリスをこえた同じ民族の意識
重装歩兵市民が戦士 → 平民の発言力が強まる
スパルタの国のしくみドーリア人のポリス。軍国主義
アテネの民主政イオニア人のポリス。民会で決める
ペロポネソス戦争ポリスどうしの争いで共倒れ
アリストテレスの政治学「人間はポリス的動物である」

数学や哲学の有名人も、多くはポリスの市民です。最初の哲学者タレスは小アジアのポリス・ミレトスの人、ピタゴラスの定理のピタゴラスは南イタリアの植民市で教団を開き、アルキメデスの原理のアルキメデスはシチリアの植民市シラクサの学者でした。

サクラちゃん

サクラちゃん

ポリスとローマって、どうちがうんですか?

ロダン先生

ロダン先生

ローマもはじめはイタリアの都市国家だったんだ。でもローマはまわりを征服して大きな帝国になった。ギリシャのポリスは最後まで小さいまま。ここが大きなちがいだよ。くわしくは共和政ローマのしくみで。

ポリスでまちがえやすい点

まちがえやすい点

  1. アクロポリスとアゴラを逆にする:丘(神殿・砦)がアクロポリス、広場(市場・集会)がアゴラ。「アクロ=高い」と覚えるとよい(アクロバットのアクロ)。
  2. 「ポリスの住民=市民」と思う:政治に参加できたのは成年男性の市民だけ。女性・在留外人・奴隷は参加できない。
  3. ギリシャは1つの国だったと思う:古代ギリシャに統一国家はない。まとまったのは、ことば・神々・祭典などの文化の面だけ。
  4. 植民市を「ギリシャの属国」と思う:植民市は母市から独立したポリス。ローマの属州とはちがう。
  5. ポリスができた時期をミケーネ文明と同じにする:ミケーネ文明(前1600ごろ〜)が滅んだあとの混乱をへて、前8世紀ごろにできた。

入試ではこう出る

  • 共通テスト:アクロポリス・アゴラの説明の正誤、ポリスの市民の範囲(女性に参政権がない)、ヘレネス・バルバロイの意味などが、文の正誤の形でよく問われます。
  • 地図・都市名:植民市マッサリア・ネアポリス・ビザンティオンの位置や、今の都市名との組み合わせ。
  • 国公立の2次・論述:「ポリスの成立から民主政へ」の流れ(集住 → 重装歩兵 → 平民の発言力 → 民主政)を、重装歩兵と結びつけて説明させる問題がよく出ます。
  • 私大:集住(シノイキスモス)、デルフォイの神託、オリンピアの祭典など、ことばの暗記を問う問題。

勉強の進め方は世界史の勉強法【基礎編】(教科書・一問一答・用語集の使い方)、論述の書き方は世界史の論述の書き方(私大・2次試験編)を見てください。

ロダン先生の「これ知ってる?」

ロダン先生

これ知ってる? ポリスは今のことばの中に生きている

英語の politics(政治)、police(警察)、policy(政策)は、みんな「ポリス」から生まれたことばなんだ。政治とは、もともと「ポリスのこと」だったんだね。

大都市を表すメトロポリスもそう。「メトロ」は母という意味で、もとは植民市から見た母市(ふるさとのポリス)のことだったんだよ。

ロダン先生

これ知ってる? 「人間はポリス的動物である」

これはアリストテレスが『政治学』で書いたことば。人間は1人ではなく、ポリスという共同体の中で生きてこそ人間らしくなれる、という考えだよ。「社会的動物」と訳されることもあるんだ。

ロダン先生

これ知ってる? 都市国家はギリシャだけじゃない

メソポタミアのシュメール人も、ウルやウルクという都市国家をつくった。ずっと後の中世イタリアにも、ヴェネツィアやフィレンツェのような都市国家がある。「都市国家」と聞いたらギリシャだけと思わず、時代ごとに思い出せると強いよ。

岩に腰かけて「考える人」のポーズをとるロダン先生

ロダン先生

「考える人」のポーズ、似合うでしょう? アゴラでの自由な話し合いから、哲学が生まれたんだ。

練習問題

やさしい

  1. ポリスの中心にある小高い丘で、守り神の神殿が建つ場所を何というか。
    答えと解説を見る

    答え:アクロポリス
    アテネのパルテノン神殿はアクロポリスの上にあります。

  2. ポリスの市民が集まり、市場や話し合いの場になった広場を何というか。
    答えと解説を見る

    答え:アゴラ
    アクロポリスのふもとにある広場です。

ふつう

  1. 前8世紀ごろ、有力な貴族のもとに人々が集まって住み、ポリスができた。これを何というか。
    答えと解説を見る

    答え:集住(シノイキスモス)

  2. ギリシャ人の植民市マッサリアは、今の何という都市か。
    答えと解説を見る

    答え:マルセイユ(フランス南部)。ネアポリスはナポリ、ビザンティオンはイスタンブルです。

むずかしい

  1. 正しいか誤りか答えよ。「アテネでは、市民の家族の女性も民会に参加して投票できた。」
    答えと解説を見る

    答え:誤り
    政治に参加できたのは成年男性の市民だけです。女性・在留外人・奴隷は参加できませんでした。

  2. 古代ギリシャ人は統一国家をつくらなかったが、同じ民族だという意識を持っていた。その意識を支えたものを2つ以上あげて、60字ほどで説明せよ。
    答えと解説を見る

    答えの例:ギリシャ人は同じギリシャ語を話してオリンポスの神々を信じ、オリンピアの祭典やデルフォイの神託を共にしたため、自らをヘレネスと呼んだ。(63字)

    ことば・神々・祭典・神託のうち2つ以上と、「ヘレネス」の語が入れば合格です。

「古代ギリシャとヘレニズム」の章の用語

この章の流れは古代ギリシャとヘレニズムの年表(国と王朝の帯図・同じころの日本つき)で、年の順に確かめられます。

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よくある質問

ポリスとは何ですか?

ポリスとは、古代ギリシャの都市国家です。1つの町とまわりの農地が、自分の法律・軍隊を持つ独立した国になっていました。前8世紀ごろにでき、アテネやスパルタが代表です。

ポリスはいつごろ、どうやってできましたか?

前8世紀ごろ、有力な貴族のもとに人々が集まって住む「集住(シノイキスモス)」によってできました。ミケーネ文明が滅んだあとの混乱の時代が終わるころです。

アクロポリスとアゴラのちがいは何ですか?

アクロポリスは町の中心の丘で、守り神の神殿が建ち、砦にもなりました。アゴラはそのふもとの広場で、市場が開かれ、市民が集まって話し合いをしました。

ポリスはいくつありましたか?

研究者の調べでは1000をこえるとされます。大きさはさまざまで、アテネやスパルタのような大きなポリスから、小さな町だけのポリスまでありました。

ポリスの市民とはだれのことですか?

成年男性で、親が市民である人です。市民は政治に参加し、戦争では戦士になりました。市民の家族の女性、在留外人、奴隷は政治に参加できませんでした。

なぜギリシャは統一国家をつくらなかったのですか?

山が多く平野が小さく分かれていたため、それぞれの町が独立して育ちました。各ポリスが自分の自由と独立をとても大切にしたことも理由です。

ポリスがばらばらなのに、ギリシャ人に仲間意識があったのはなぜですか?

同じギリシャ語を話し、オリンポスの神々を信じ、オリンピアの祭典やデルフォイの神託を共にしたからです。自分たちをヘレネス、異民族をバルバロイと呼びました。

植民市とは何ですか?今のどの都市ですか?

前8〜前6世紀ごろ、ギリシャ人が地中海・黒海の沿岸につくった新しいポリスです。マッサリアは今のマルセイユ、ネアポリスはナポリ、ビザンティオンはイスタンブルです。

ポリスは英語で何といいますか?

polis(複数形 poleis)で、都市国家は city-state です。politics(政治)や police(警察)は、ポリスから生まれたことばです。

ポリスは入試でどう出ますか?

共通テストでは、アクロポリス・アゴラの説明や市民の範囲が正誤問題でよく問われます。2次の論述では、集住から重装歩兵、民主政への流れを説明させる問題がよく出ます。

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出典・参考

  • 高校「世界史探究」の教科書の一般的な記述
  • アリストテレス『政治学』(「人間はポリス的動物である」)
  • M. H. Hansen & T. H. Nielsen, An Inventory of Archaic and Classical Poleis, Oxford University Press, 2004(ポリスの数)

最終更新:2026年11月3日/作成:大学受験合格大作戦