世界史用語集 › 第2章 古代ギリシャとヘレニズム
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プラトンぷらとん
重要度 ★★★★★ (★は合格大作戦の目安)
ひとことで言うと
プラトンとは、古代ギリシャのアテネの哲学者で、ソクラテスの弟子です。目に見えるものの奥に本物の姿があるというイデア論と、哲学者が国を治める哲人王を説き、前387年ごろに学園アカデメイアを開きました。
| 読み方 | ぷらとん |
|---|---|
| 英語 | Plato(ギリシャ語 Πλάτων) |
| 時代 | 前427年ごろ〜前347年(ペロポネソス戦争のころから前4世紀) |
| 地域 | ギリシャ |
| 章 | 第2章 古代ギリシャとヘレニズム |
| 人物 | アテネの哲学者。ソクラテスの弟子、アリストテレスの師 |
| 考え | イデア論・善のイデア・哲人王・洞窟の比喩 |
| 学園 | アカデメイア(前387年ごろ) |
| いっしょに覚える | ソクラテス・アリストテレス・『国家』・プラトン立体 |
このページのポイント
- プラトン=イデア論(本物は目に見えない)・善のイデア・哲人王・洞窟の比喩。主著は『国家』。
- ソクラテスの弟子で、前387年ごろ学園アカデメイアを開き、弟子にアリストテレスがいる。
- 「無知の知」はソクラテス、「イデア論」はプラトン、「現実を調べる」のはアリストテレス、と分けて覚える。
プラトンをやさしく言うと
プラトンは、古代ギリシャのアテネの哲学者で、ソクラテスの弟子です。目に見えるものの奥に本当の姿(イデア)がある、と考えました。これをイデア論といいます。また、学園アカデメイアを開き、弟子のアリストテレスを育てました。
プラトンの有名な考えは、次の3つです。
- イデア論:ものの「本物の姿」(イデア)は、目では見えず、頭で考えて分かる。最高のイデアは善のイデア。
- 哲人王:国は、知恵のある哲学者が王として治めるのがいちばんよい。
- アカデメイア:前387年ごろにアテネの郊外に開いた学園。ヨーロッパの大学の元の形といわれる。
プラトンは、先生のソクラテスと同じくアテネの民主政を、必ずしもよいとは思っていませんでした。ソクラテスを死刑にしたのが、民主政の裁判だったからです。
エンリケくん
イデアって、何なんですか? 難しそうです…。
ロダン先生
たとえば「丸い円」を思いうかべてごらん。黒板にかいた円は、どんなに上手にかいてもゆがんでいるよね。でも、頭の中には「完全な円」が思いうかぶ。その完全な円が、円のイデアなんだ。
エンリケくん
黒板の円は、ニセモノ…みたいなものなんですね!
プラトンのくわしい流れ(生涯・教え・アカデメイア)
① 生まれと、ソクラテスとの出会い
プラトンは、前427年ごろ(ペロポネソス戦争が始まって数年後)、アテネの名門の家に生まれたと伝えられます。若いころは政治家になるつもりでした。しかし、アテネは戦争に敗れ(前404年)、一時は少数者の政権(三十人政権)が政治をにぎる混乱の時代でした。民主政が戻ったあと、前399年に先生のソクラテスが裁判で死刑になります。プラトンは大きなショックを受けて、「本当の正義とは何か」を考えるようになりました。
そのあと、プラトンは各地を旅したと伝えられます(南イタリアのピタゴラス派との出会いなど、くわしい旅の道すじは諸説あります)。南イタリアやシチリア島のシラクサにも行きました。シラクサでは、理想の政治を実現しようとして、王に教える機会をもちましたが、うまくいかなかったと伝えられます。
② イデア論:本物は目に見えない
プラトンの考えでは、世界は2つに分かれます。
- イデアの世界:完全で、変わらず、永遠。目では見えず、理性(考える力)で分かる。
- 目に見える世界:私たちが感覚で見るもの。変わり、なくなる。イデアに「似せたもの」。
イデアの中でも一番上にあるのが善のイデアです。プラトンは、善のイデアを、太陽にたとえました。太陽の光があるから、ものが見えるように、善のイデアがあるから、ほかのイデアが分かるのだ、というのです。
この考えを分かりやすく語ったのが、洞窟の比喩です。洞窟の奥に鎖でつながれた人々は、壁にうつる影だけを見て、それが本物だと思っています。ある人が外に出て、太陽のもとで本物を見ると、影が偽物だったと気づきます。私たちも、見えるものを本物と思いこんでいる、というお話です。
サクラちゃん
どうして、洞窟の話をしたんでしょう?
合格先生
「見えているものが全部ではないよ」と伝えたかったのよ。ニュースや人のうわさだけで決めつけないで、自分で考えて確かめなさい、という意味でも読めるわね。
サクラちゃん
今の私たちにも当てはまりますね!
③ 国家と哲人王
プラトンは、主著『国家』で、理想の国のすがたを書きました。国には3つの階級があり、それぞれが自分の役目をはたせば、国に正義が実現する、と考えたのです。
- 統治者:理性にあたり、知恵を持つ。国を治める。
- 防衛者:気概(意志)にあたり、勇気を持つ。国を守る。
- 生産者:欲望にあたり、節制を持つ。農業や商工業を行う。
統治者になるのは、善のイデアを知る哲学者でなければならない、というのが哲人王の考えです。「哲学者が王になるか、王が哲学者にならなければ、国の災いはやまない」といった意味のことばが、『国家』に出てきます。多数決で決まる民主政では、人気取りのうまい人が選ばれてしまう。プラトンはそう心配しました。
④ アカデメイアと弟子たち
プラトンは前387年ごろ、アテネの郊外に学園アカデメイアを開きました。ここで、哲学・数学・天文学などを教えました。特に数学が重視されたとされ、入口に「幾何学を知らない者は入るな」と書かれていた、という話が伝えられています(後世の伝承です)。プラトンは、5種類の正多面体(正四面体・立方体・正八面体・正十二面体・正二十面体)の話も書いており、これは今でも「プラトン立体」と呼ばれます。『原論』のユークリッドは、アカデメイアの数学の流れをくむ人とされています。
前367年に17歳のアリストテレスが入学し、20年ほど学びました。プラトンは前347年に亡くなります。アカデメイアは、その後も長く続きました。6世紀に、東ローマ帝国のユスティニアヌス帝に閉鎖されたと伝えられます。

ロダン先生
プラトンは、ソクラテスの教えを本にしてくれた人でもあるんだ。ほとんどが「対話篇」といって、ソクラテスが話す劇のような形で書かれているよ。
年表で見るプラトン
整理:プラトンの要点
師:ソクラテス。弟子:アリストテレス。考え:イデア論(本物は目に見えない)・善のイデア・哲人王。主な本:『国家』『ソクラテスの弁明』『饗宴』『パイドン』など(多くは対話篇)。学園:アカデメイア(前387年ごろ)。
ギリシャ語やギリシャ文字に興味があれば、ギリシャ文字の読み方一覧も見てください。アカデメイアでは、アルファ(α)やベータ(β)の文字で書かれた本が読まれていました。
プラトンと関係する人物・用語
| 用語 | プラトンとの関係 |
|---|---|
| ソクラテスの無知の知 | 先生。プラトンが教えを伝えた |
| アリストテレスの現実主義 | 弟子。のちに師の考えを批判した |
| アテネの民主政 | 先生を死刑にした政治。プラトンは批判的 |
| ペロポネソス戦争 | プラトンの若いころの戦争。敗北で混乱 |
| アレクサンドロス大王 | プラトンの孫弟子(アリストテレスの教え子) |
| ヘレニズム文化 | ギリシャの哲学が東方にも広がる |
数学とのつながりもあります。ピタゴラス(数学者データベース)の教団の考えは、プラトンにも影響したといわれます。
プラトンでまちがえやすい点
まちがえやすい点
- ソクラテスとプラトンの考えを混ぜる:「無知の知」「問答法」はソクラテス。「イデア論」「哲人王」はプラトン。
- プラトンとアリストテレスを逆にする:プラトンが師、アリストテレスが弟子。イデアを重んじるのがプラトン、現実を調べるのがアリストテレス。
- アカデメイアとリュケイオンを取りちがえる:アカデメイアはプラトンの学園、リュケイオンはアリストテレスの学園。
- イデアを「アイデア」の意味だと思う:英語の idea は「考え」だが、プラトンのイデアは「ものの本物の姿」。
- 哲人王を、民主政を支持する考えとする:逆で、すぐれた哲学者が治めるべきだという考え。民主政には批判的。
入試ではこう出る
- 共通テスト:イデア論・哲人王・アカデメイアの説明と、「ソクラテス」「プラトン」「アリストテレス」の組み合わせが、文の正誤でよく問われます。
- 国公立の2次・論述:ギリシャ哲学の流れ(ソフィスト → ソクラテス → プラトン → アリストテレス)を整理して答えさせる問題が考えられます。
- 私大:「イデア」「アカデメイア」「国家」などの語句を答える問題。ラファエロの『アテネの学堂』に登場する2人(プラトンとアリストテレス)を、文化史の問題で取り上げることもあります。
世界史の論述の書き方(私大・2次試験編)で、論述の書き方を確かめましょう。
ロダン先生の「これ知ってる?」
これ知ってる? 「プラトニック・ラブ」の元の意味
「プラトニック・ラブ」(心のつながりを大切にする恋愛)は、プラトンのことばから生まれたんだ。『饗宴』で、美しい人への愛が、やがて「美そのもの」(美のイデア)への愛に高まる、と語られたことが元になっているよ。
これ知ってる? 「アカデミック」の語源はアカデメイア
英語の academy(学院)、academic(学問的な)は、プラトンの学園「アカデメイア」が元のことばなんだ。もとは、アテネの郊外の英雄アカデモスをまつった聖なる林の名前だったんだよ。
これ知ってる? ホワイトヘッドのことば
20世紀の哲学者ホワイトヘッドは、「西洋の哲学は、プラトンへの脚注(注)にすぎない」という意味のことを言ったんだ。それくらい、プラトンの影響は大きいということだね。

ロダン先生
プラトンは、シチリア島のシラクサにも旅したんだ。僕も世界一周では、あの島のカレーが気になるんだよなあ。ギリシャ人の植民市だったね。
練習問題
やさしい
- ものの本物の姿を「イデア」と呼び、目に見える世界はその影のようなものだと考えた哲学者はだれか。
答えと解説を見る
答え:プラトン
ソクラテスの弟子で、アリストテレスの師です。 - プラトンが前387年ごろ、アテネの郊外に開いた学園を何というか。
答えと解説を見る
答え:アカデメイア
アリストテレスもここで学びました。
ふつう
- プラトンが主著『国家』で、国を治めるのがよいと考えた人を何というか。
答えと解説を見る
答え:哲人王(哲学者)
善のイデアを知る哲学者が、王として治めるのがよいという考えです。 - プラトンが、洞窟の中の人が壁の影を本物だと思いこむ話で伝えようとしたことを、簡単に説明せよ。
答えと解説を見る
答えの例:私たちが目で見ているものは影のようなもので、本物はイデアの世界にある、ということ。
「見えるものは本物ではない」「本物はイデア」が入れば合格です。
むずかしい
- 正しいか誤りか答えよ。「プラトンはアカデメイアでアリストテレスに教え、アリストテレスはのちにリュケイオンを開いた。」
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答え:正しい
プラトン(アカデメイア)→ アリストテレス(リュケイオン)の順です。 - プラトンが民主政に批判的で、哲人王を理想とした理由を、ソクラテスの裁判にふれて60字ほどで説明せよ。
答えと解説を見る
答えの例:民主政の裁判でソクラテスが死刑になったため、多数決より、善を知る哲学者が国を治めるべきだと考えたから。(52字)
「ソクラテスの死刑」と「善を知る哲学者」が入れば合格です。
「古代ギリシャとヘレニズム」の章の用語
- エーゲ文明(世界史) ★★★★★
- クレタ文明(世界史) ★★★★★
- ミケーネ文明(世界史) ★★★★★
- ポリス(世界史) ★★★★★高校受験
- アクロポリスとアゴラ(世界史) ★★★★★高校受験
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- 重装歩兵(世界史) ★★★★★
- スパルタ(世界史) ★★★★★
- ソロンの改革(世界史) ★★★★★
- ペイシストラトス(世界史) ★★★★★
- クレイステネスの改革(世界史) ★★★★★
- 陶片追放(世界史) ★★★★★
- ペルシア戦争(世界史) ★★★★★
- サラミスの海戦(世界史) ★★★★★
- デロス同盟(世界史) ★★★★★
- ペリクレス(世界史) ★★★★★
- アテネの民主政(世界史) ★★★★★高校受験
- ペロポネソス戦争(世界史) ★★★★★
- アレクサンドロス大王(世界史) ★★★★★高校受験
- ヘレニズム(世界史) ★★★★★高校受験
- ホメロス(世界史) ★★★★★
- ヘロドトスとトゥキディデス(世界史) ★★★★★
- ソクラテス(世界史) ★★★★★
- アリストテレス(世界史) ★★★★★
この章の流れは古代ギリシャとヘレニズムの年表(国と王朝の帯図・同じころの日本つき)で、年の順に確かめられます。
← 前の語:ソクラテス(世界史) | 次の語:アリストテレス(世界史) →
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東大・京大・早慶・関関同立 - ユークリッド(数学者データベース)
ヘレニズム時代のアレクサンドリア - ピタゴラス(数学者データベース)
サモス島生まれ、南イタリアの植民市で活動 - ギリシャ文字の読み方一覧(24文字)
α・β・θ・Σ…古代ギリシャの文字
よくある質問
プラトンとはどんな人ですか?
プラトンは、前5〜前4世紀のアテネの哲学者です。ソクラテスの弟子で、イデア論と哲人王の考えを説き、学園アカデメイアを開いて弟子のアリストテレスを育てました。
イデア論とは何ですか?
目に見えるものは、イデア(ものの本物の姿)に似せたものにすぎない、という考えです。イデアは目では見えず、理性(考える力)で分かるとされ、最高のイデアは善のイデアです。
洞窟の比喩とは何ですか?
洞窟の中の囚人が壁にうつる影を本物だと思いこんでいるという話で、イデア論をたとえたものです。私たちが見ているものは影のようなもので、本物はイデアの世界にある、と伝えています。
哲人王とは何ですか?
善のイデアを知る哲学者が、王として国を治めるのが最もよいという考えです。プラトンが『国家』で述べました。民主政は人気取りの政治家が出やすいと考え、批判的でした。
アカデメイアとは何ですか?
プラトンが前387年ごろにアテネの郊外に開いた学園です。哲学や数学などを教え、アリストテレスもここで学びました。英語の academy(学院)の元になったことばです。
プラトンとソクラテスのちがいは何ですか?
ソクラテスは本を書かず、「無知の知」と問答法で知られます。プラトンはソクラテスの弟子で、先生の姿を対話篇として書き残し、イデア論や哲人王という自分の考えを発展させました。
プラトンとアリストテレスのちがいは何ですか?
プラトンは、本物は目に見えないイデアの世界にあると考えました。弟子のアリストテレスは、現実のものを観察して調べることを重んじ、師の考えを批判しました。
プラトンの主な著作は何ですか?
『国家』『ソクラテスの弁明』『饗宴』『パイドン』などが有名です。多くは、ソクラテスが登場して人々と話し合う、対話篇という形で書かれています。
プラトンは英語で何といいますか?
Plato です。イデア論は theory of Forms または theory of Ideas、哲人王は philosopher-king、洞窟の比喩は allegory of the cave と呼ばれます。
プラトンは入試でどう出ますか?
共通テストでは、イデア論・哲人王・アカデメイアの説明と、ソクラテス・プラトン・アリストテレスの組み合わせが問われます。私大では、『国家』などの著作名も出ます。
あわせて読みたい
出典・参考
- 高校「世界史探究」の教科書の一般的な記述
- プラトン『国家』『ソクラテスの弁明』『饗宴』
最終更新:2026年11月3日/作成:大学受験合格大作戦


