世界史用語集 › 第2章 古代ギリシャとヘレニズム
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ヘレネスとバルバロイへれねす
重要度 ★★★★★ (★は合格大作戦の目安)
ひとことで言うと
ヘレネスとは、古代ギリシャ人が自分たちを呼んだ名前で、バルバロイとはギリシャ語を話さない人々のことです。ポリスは統一国家をつくりませんでしたが、ことば・神々・祭典・神託を共有して、同じ仲間だという意識をもちました。
| 読み方 | へれねす |
|---|---|
| 英語 | Hellenes and Barbaroi(ヘレネスとバルバロイ) |
| 時代 | 前8世紀ごろ〜(ポリスの時代) |
| 地域 | ギリシャ |
| 章 | 第2章 古代ギリシャとヘレニズム |
| ヘレネス | ギリシャ人の自称(伝説の祖ヘレンの子孫) |
| バルバロイ | ギリシャ語を話さない人々(のち、見下す意味が強まる) |
| 仲間意識の柱 | ことば・オリンポス12神・オリンピアの祭典・デルフォイの神託 |
| いっしょに覚える | ドーリア人・イオニア人・アイオリス人・ヘラス |
このページのポイント
- ヘレネスはギリシャ人の自称、バルバロイはギリシャ語を話さない人々。ペルシア戦争のあと、見下す意味が強まった。
- 仲間意識を支えた4本の柱は、同じことば・オリンポス12神・オリンピアの祭典・デルフォイの神託。
- 政治はポリスごとにばらばらで、統一国家はなかった。ドーリア人・イオニア人・アイオリス人の3つの方言集団がある。
ヘレネスとバルバロイをやさしく言うと
ヘレネスは、ギリシャ人が自分たちを呼んだ名前です。「伝説の祖ヘレンの子孫」という意味で、国の名前ではなく、「同じ仲間」という意識をあらわすことばです。
これに対してバルバロイは、ギリシャ語を話さない人々を指すことばです。もとは「バルバル、と聞こえる、わけの分からないことばを話す人」という意味でした。英語の barbarian(野蛮人)のもとになったことばです。
古代ギリシャはポリス(都市国家)がばらばらに並ぶ世界で、1つの国にはなりませんでした。でも、ポリスどうしは戦争をしたり同盟を結んだりしても、「ヘレネス」という大きな仲間意識は持っていました。この意識を支えたものを、4つにまとめて覚えるのが入試の定番です。
エンリケくん
ギリシャ人は、自分たちを「ギリシャ人」って呼ばなかったんですか?
ロダン先生
そうなんだ。「ギリシャ」というのは、あとの時代のローマ人が使った呼び名なんだよ。ギリシャ人本人は、ヘレネスと名のって、国の名前はヘラスと言っていたんだ。
エンリケくん
自分たちの国のことを、まるで別の名前で呼んでるなんて、びっくりです。
ヘレネスとバルバロイのくわしい流れ
① ヘレネスの「家系図」と3つの集団
ギリシャの神話では、ギリシャ人の祖先はヘレンという人物で、その息子や孫から、いくつかの集団が生まれたと語られます。ヘレンの息子たちは、ドーロス(ドーリア人の祖)、アイオロス(アイオリス人の祖)、クストスで、クストスの子がアカイオス(アカイア人)とイオン(イオニア人)とされます。これは伝説ですが、ギリシャ人が自分たちの出身をどう考えていたかを教えてくれます。
ことばを調べると、ギリシャ語には方言があり、おもに次の3つに分けられます。
- ドーリア人:ペロポネソス半島南部・クレタ島などに住んだ。スパルタが代表。
- イオニア人:アテネ(アッティカ)と、小アジア西岸の植民市に住んだ。ミレトスなど。アテネの民主政を築いた。
- アイオリス人:ギリシャ北部のテッサリアや、レスボス島・小アジア北西部に住んだ(アイオリア人ともいう)。
ドーリア人とイオニア人は、のちにペロポネソス戦争で対立した、と説明されることがありますが、スパルタとアテネの争いは、もっと複雑な事情によるものです。
② 同じ仲間をつなぐ4本の柱
- ことば:ポリスごとに方言はちがっても、おたがいに通じるギリシャ語を話した。
- 神々:オリンポスの12神(ゼウス・ヘラ・アポロン・アテナなど)を共通の神として信じた。
- 祭典:オリンピアの祭典など、ポリスをこえて集まる祭り。
- 神託:デルフォイの神託。大事なことを決めるとき、アポロン神のお告げをうかがった。
③ オリンピアの祭典(オリンピア競技)
オリンピアの祭典は、ゼウス神にささげる祭りです。4年に1度、ペロポネソス半島のオリンピアで開かれました。前776年が第1回と伝えられています(伝承)。競技には、競走・レスリング・ボクシング・円盤投げ・槍投げ・戦車競走などがありました。
- 祭典の期間は、ポリスどうしが戦争をやめる聖なる休戦が守られた。
- 出場できたのは、自由なギリシャ人の男性。ギリシャ人でない人や奴隷は参加できなかった。
- 勝者には、オリーブの枝でつくった冠がおくられ、故郷のポリスの英雄になった。
この祭典には、ゼウスの聖地という宗教的な意味が大きいことを覚えてください。ほかにも、デルフォイ(アポロン)のピュティア競技、ネメア、イストミアで祭典が開かれ、あわせて4つの大競技とよばれます。ローマ時代にも続き、後393年にローマ皇帝テオドシウスが廃止した、とする説が伝統的です(テオドシウス帝)。その後、1896年にアテネで近代オリンピックが始まりました。
④ デルフォイの神託
デルフォイのアポロン神殿には、ピュティアとよばれる巫女がいて、神がかりになって神のお告げを語りました。神官がそれを人々にわかる形にして伝えました。ポリスの人々は、戦争・法律・植民市の建設など、大事なことを決める前に、ここで神託をたずねたといいます。神殿には「汝自身を知れ」ということばが刻まれていたと伝えられます。
⑤ ペルシア戦争とバルバロイ意識
バルバロイということばは、もとはただの「ことばが通じない人」でしたが、前5世紀のペルシア戦争のあと、ペルシア人など東方の人々を見下す意味が強くなったといわれます(諸説あり)。ギリシャ人は、「自分たちは自由な市民で、東の人々は王の奴隷だ」と考えるようになりました。
ただし、ギリシャ人がバルバロイの国々からたくさんのことを学んだことも事実です。たとえばギリシャ文字は、フェニキア文字をもとにしています(ギリシャ文字の読み方一覧)。
⑥ のちの世界へ:ヘレニズム
前4世紀、アレクサンドロス大王が東方遠征をして、ギリシャ文化をオリエントに広めます。この結果うまれた文化をヘレニズム文化といいます。「ヘレニズム」は、ヘレネス(ギリシャ人)のようになる、という意味のことばからきています。
年表で見るヘレネスの世界

ロダン先生
前776年は伝承の年。入試では「第1回オリンピアの祭典は前776年(伝承)」と覚えて大丈夫なんだ。
整理:ヘレネスとバルバロイ
- ヘレネス=ギリシャ人の自称。伝説の祖ヘレンの子孫。
- バルバロイ=ギリシャ語を話さない人々。ペルシア戦争後は見下す意味が強まる。
- まとまりの4本柱=ことば・神々・祭典・神託。
- 政治はポリスごと。統一国家はつくらなかった。
ヘレネスとバルバロイと関係する人物・用語
| 用語 | 関係 |
|---|---|
| ポリス(都市国家) | ばらばらの国。ヘレネスの意識がそれをつなぐ |
| アクロポリスとアゴラ | 神殿と祭りがヘレネスの意識を支えた |
| スパルタ | ドーリア人のポリス |
| アテネの民主政 | イオニア人のポリスの政治 |
| ペルシア戦争 | バルバロイ意識が強まるきっかけ |
| ヘレニズム | ギリシャ文化が東方へ広がった時代 |
| ヘロドトスの『歴史』 | ギリシャ人とバルバロイの争いを書いた |
『歴史』の著者ヘロドトスは、ペルシア戦争を「ギリシャ人とバルバロイの戦い」の物語として書き、ギリシャ人以外の国々の習慣も、くわしく伝えています。
サクラちゃん
バルバロイって、悪口なんですか?
ロダン先生
もとは悪口ではなくて、ただ「ことばが通じない人」という意味だったんだ。ペルシア戦争のあと、見下す意味がつよくなった、と言われているよ。ただし、ギリシャ人の側の見方だから、そのまま事実とは限らないんだ。
ヘレネスとバルバロイでまちがえやすい点
まちがえやすい点
- ヘレネスを国名と思う:国の名前ではなく、ギリシャ人の仲間意識を表す自称。
- バルバロイを「野蛮人」だけの意味と思う:もとは「ギリシャ語を話さない人」。見下す意味は、あとで強くなった。
- 「ヘレニズム」と「ヘレネス」を混同する:ヘレニズムは、アレクサンドロス以後の文化・時代の名前。
- オリンピアの祭典の第1回を、事実として前776年と断言する:伝承。
- デルフォイの神殿をゼウスと結びつける:デルフォイはアポロン、オリンピアはゼウス。
- ギリシャは1つの国だったと思う:政治はポリスごと。文化の面だけでまとまっていた。
ヘレネスとバルバロイは入試ではこう出る
- 共通テスト:ヘレネス・バルバロイの意味の正誤、ギリシャ人が共有したもの(ことば・神々・祭典・神託)、オリンピアとデルフォイの神がだれか、などがよく問われます。
- 国公立の2次・論述:「ポリスはばらばらでも、同じ民族だという意識をもっていた。その理由を述べよ」という問題。
- 私大:「ヘレネス」「バルバロイ」「オリンピアの祭典」「デルフォイの神託」「ドーリア人・イオニア人」などの語句。
- ヘレニズムとの結びつけ:ギリシャ人の自称がヘレネスであること。
論述の書き方は世界史の勉強法(私大・2次試験編)、基礎の覚え方は世界史の勉強法【基礎編】を見てください。
ロダン先生の「これ知ってる?」
これ知ってる? 「ギリシャ」はローマ人がつけた名前
ギリシャ人は自分たちをヘレネスと呼んだけれど、ローマ人は「グラエキア」と呼んだ。これが英語の Greece などのもとになったんだ。だから「ギリシャ」「ギリシア」は、外から見た呼び名だよ。いまのギリシャ人も、国の名前は「ヘラス」と言っているんだ。
これ知ってる? オリンピックの「聖火」と「休戦」
古代のオリンピアでは、祭典のあいだ、戦争を休む「聖なる休戦」が守られた。近代オリンピックの理想「平和の祭典」は、ここから来ているとよく言われるんだ。ただ、古代の休戦が、いつもきちんと守られたわけではないとも言われるよ(諸説あり)。
これ知ってる? ぼくの旅の話:オリンピアの競技場
世界一周のとき、オリンピアの競技場跡にも行ったよ。細長い土の競技場を、ぼくも走ってみた。でも石像の体は重くて、すぐ息が上がって…泳げないだけじゃなく、走るのも苦手だったんだ。

ロダン先生
ヘレネスの柱は、ことば・神々・祭典・神託の4つ。順番は変えてもいいから、4つ言えるようにしてね!
練習問題
やさしい
- ギリシャ人が自分たちを呼んだ名前を何というか。
答えと解説を見る
答え:ヘレネス
伝説の祖ヘレンの子孫、という意味です。 - ギリシャ語を話さない異民族を、ギリシャ人は何と呼んだか。
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答え:バルバロイ
もとは「わけの分からないことばを話す人」という意味でした。
ふつう
- ゼウスにささげられた、4年に1度の祭典はどこで開かれたか。
答えと解説を見る
答え:オリンピア
前776年が第1回と伝えられます。アポロンの神殿があるのはデルフォイです。 - デルフォイの神殿で、ポリスの人々が大事なことを決める前に聞いたものは何か。
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答え:神託(アポロン神のお告げ)
むずかしい
- 正しいか誤りか答えよ。「ギリシャ人は統一国家をつくったので、ことば・神々・祭典を共有した。」
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答え:誤り
統一国家はつくらず、ポリスごとに独立していました。それでも、ことば・神々・祭典・神託を共有して、同じヘレネスだという意識をもちました。 - ポリスがばらばらだったのに、ギリシャ人が同じ民族だという意識をもった理由を、60字ほどで説明せよ。
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答えの例:同じギリシャ語を話してオリンポスの神々を信じ、オリンピアの祭典やデルフォイの神託をともにしたため、自らをヘレネスと呼んだ。(63字)
ことば・神々・祭典・神託のうち2つ以上と「ヘレネス」の語が入れば合格です。
「古代ギリシャとヘレニズム」の章の用語
- エーゲ文明(世界史) ★★★★★
- クレタ文明(世界史) ★★★★★
- ミケーネ文明(世界史) ★★★★★
- ポリス(世界史) ★★★★★高校受験
- アクロポリスとアゴラ(世界史) ★★★★★高校受験
- 重装歩兵(世界史) ★★★★★
- スパルタ(世界史) ★★★★★
- ソロンの改革(世界史) ★★★★★
- ペイシストラトス(世界史) ★★★★★
- クレイステネスの改革(世界史) ★★★★★
- 陶片追放(世界史) ★★★★★
- ペルシア戦争(世界史) ★★★★★
- サラミスの海戦(世界史) ★★★★★
- デロス同盟(世界史) ★★★★★
- ペリクレス(世界史) ★★★★★
- アテネの民主政(世界史) ★★★★★高校受験
- ペロポネソス戦争(世界史) ★★★★★
- アレクサンドロス大王(世界史) ★★★★★高校受験
- ヘレニズム(世界史) ★★★★★高校受験
- ホメロス(世界史) ★★★★★
- ヘロドトスとトゥキディデス(世界史) ★★★★★
- ソクラテス(世界史) ★★★★★
- プラトン(世界史) ★★★★★
- アリストテレス(世界史) ★★★★★
この章の流れは古代ギリシャとヘレニズムの年表(国と王朝の帯図・同じころの日本つき)で、年の順に確かめられます。
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イオニアのポリス、ミレトスの哲学者
よくある質問
ヘレネスとは何ですか?
ヘレネスとは、古代ギリシャ人が自分たちを呼んだ名前です。伝説の祖ヘレンの子孫という意味で、国名ではなく、同じ仲間だという意識を表します。国の名前はヘラスといいました。
バルバロイとは何ですか?
バルバロイとは、ギリシャ語を話さない人々を指すことばです。もとは「バルバルと聞こえる、わけの分からないことばを話す人」という意味でした。のちにペルシア人など東方の人々を見下す意味が強まりました。
ヘレネスとバルバロイのちがいは何ですか?
ヘレネスはギリシャ人の自称で、バルバロイはギリシャ語を話さない人々です。ギリシャ人は、自分たちを自由な市民、バルバロイを王に従う人と見なしましたが、これはギリシャ人の側の見方です。
なぜポリスはばらばらなのに仲間意識があったのですか?
同じギリシャ語を話し、オリンポスの12神を信じ、オリンピアの祭典に集まり、デルフォイの神託をうけたからです。これらがヘレネスという意識を支えました。
オリンピアの祭典とは何ですか?
ゼウスにささげる祭典で、4年に1度ペロポネソス半島のオリンピアで開かれました。前776年が第1回と伝えられます。祭典の間はポリスどうしの戦争を休み、自由なギリシャ人男性が競技に参加しました。
デルフォイの神託とは何ですか?
デルフォイのアポロン神殿で、巫女ピュティアを通して語られた神のお告げです。ポリスの人々は、戦争・植民市の建設・法律など大事なことを決める前に、神託をたずねました。
ドーリア人とイオニア人のちがいは何ですか?
ギリシャ語の方言とポリスのまとまりのちがいです。ドーリア人はペロポネソス半島南部などに住み、スパルタが代表です。イオニア人はアッティカや小アジア西岸に住み、アテネが代表です。
ヘレネスは英語で何といいますか?
Hellenes といいます。ギリシャ人は英語で Greeks ですが、これはローマ人が使った呼び名がもとです。バルバロイは barbarians で、野蛮人を表す英語のもとになりました。
ヘレネスとバルバロイは入試でどう出ますか?
共通テストでは、ことばの意味の正誤や、ギリシャ人が共有したものが問われます。論述では「ポリスがばらばらでも同じ民族という意識をもった理由」がよく出ます。
あわせて読みたい
出典・参考
- 高校「世界史探究」の教科書の一般的な記述
- ヘロドトス『歴史』(ギリシャ人の共通点を述べる箇所)
- パウサニアス『ギリシア案内記』(オリンピアなどの聖地の記述)
最終更新:2026年11月3日/作成:大学受験合格大作戦


