この記事の結論

  • 受験勉強のモチベーション(やる気)を上げるいちばんの方法は、行きたい大学・学部を「わがまま」に決めることです。ゴールが決まると、今の自分との差が客観的に分かり、毎日やることが決まります。
  • ただし、やる気になっても行動に移さなければ意味がありません。上杉鷹山の「為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」のとおり、実現するには自分が実践するしかありません。
モチベーション

この記事は、2008年6月に「受験勉強のモチベーション」という題で書いた記事を、2026年10月に書き直したものです。元の記事の言葉は、そのまま次の節に残しています。そのうえで、志望校の決め方、自分を客観的に見る方法、やる気の本の使い方、「為せば成る」の意味、やる気を行動に移す方法を、図を使って説明します。

倍率に惑わされない考え方や、高1〜直前期の時期別のやる気の保ち方は、姉妹編の「受験のモチベーションの保ち方」でくわしく書いています。この記事は「やる気のスタート(志望校を決める)」と「やる気のゴール(行動する)」の2つに絞った記事です。

受験勉強のモチベーション(2008年の元の記事)

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受験で一番大切なものはモチベーションです。

絶対に行きたい志望校志望学部があれば現状と比較して何をすべきかということは客観的に分かります。

受験生本人は自分自身を客観的に見ることはなかなか難しいかもしれませんが、自分の周囲で的確にアドバイスをしてくれる人を探しましょう。
(人に頼らなくても自分自身を客観的に見ることができるようになることが理想)

あとは受験生のモチベーション次第です。

絶対に受かってやる!という強い気持ちを持ち続けることができるかどうかなのです。

  • 東大は日本一の大学だから・・・・
  • 京大の問題は難しいから・・・・
  • 医者にはなりたいけど医学部はむりかな・・・

なんて考えていたら何も始まりません。

受験に関してはもっと【わがまま】になったらよいのです。

自分の行きたい大学の行きたい学部を決めてそのためにはどんな勉強をすればよいのかという計画を立てて実践するのみ。

数多くのやる気にさせる書籍が出版されていますが、自分がやる気にならなければ意味がありません。

あまりにもたくさんの【モチベーションUP】系の本を読む必要はありませんが、ふと自信をなくしたときや不安になったときにはきっかけを作るために読んでみるのもよいかもしれません。

受験界のカリスマ講師二人が書いている本

今日から始める「やる気」勉強法(※元の記事では「今から始める【やる気勉強法】」と書いていましたが、正しい書名に直しました)

やる気になる【きっかけ】を作るには良い本でしょう。

ただしあくまで受験生本人が主役。本を読んでやる気になっても行動に移さなければ意味がありません。

『為せば成る 為さねば成らぬ 何事も』

有名な上杉鷹山(うえすぎようざん)の言葉ですがこの続きが大切です。

『成らぬは 人の 為さぬなりけり』

実現するためには自分が実践しなければならないのです。

⇒受験の格言・名言

元の記事の要点を表にすると、次のようになります。この記事では、この5つを1つずつ深掘りしていきます。

元の記事の主張ひと言でいうとこの記事の節
受験で一番大切なものはモチベーションやる気がすべてのエンジン志望校の決め方
志望校があれば何をすべきか客観的に分かるゴールが決まれば差が見える自分を客観的に見る
周囲で的確にアドバイスをしてくれる人を探す人の目を借りる自分を客観的に見る
受験に関してはもっと【わがまま】に行きたい所を自分で決めるわがままと無謀のちがい
本は「きっかけ」。主役は受験生本人読んだら行動するやる気の本の使い方・為せば成る

受験勉強のモチベーションは「志望校」から生まれる

元の記事の最初の主張は「絶対に行きたい志望校志望学部があれば、現状と比較して何をすべきかが客観的に分かる」でした。これは、やる気の出どころについての話です。

やる気が出ない受験生の多くは、怠けているのではなく、どこへ向かえばいいかが決まっていないだけです。行き先が決まっていない旅では、どの電車に乗ればいいかも、何時に出ればいいかも決まりません。受験も同じで、志望校が決まっていないと「今日、何を、どれだけやればいいか」が決まらず、机に向かっても手が止まってしまいます。

志望校が決まると、やることが見える 今の 自分 志望校 (ゴール) この「差」が見えるようになる 差を埋める勉強=毎日やること
図1 志望校(ゴール)が決まると、今の自分との「差」が見え、差を埋める勉強が毎日やることになる

志望校が決まると決まる3つのこと

  • 科目:共通テストで何を受けるか、2次試験(個別試験)で何が要るか。たとえば京都大学(京大)は学部ごとに配点がちがいます(京大の学部別の配点)。
  • 目標点:合格最低点や過去問から、各科目で何点取ればいいか。
  • 時期:入試の日から逆算して、いつまでに何を終えるか。

この3つが決まると、勉強は「なんとなくやるもの」から「差を埋める作業」に変わります。作業になれば、気分に左右されにくくなります。志望校から計画を立てる手順は「私の京大合格作戦」や「東大合格の戦略(ストラテジー)の立て方」で、京大・東大を例にくわしく説明しています。

「なんとなくの志望校」では、やる気は続かない

「偏差値がこのくらいだから、このあたりの大学かな」という決め方だと、少し成績が下がっただけで目標も下がり、やる気もいっしょに下がります。反対に「この大学のこの学部で、これを学びたい」と理由つきで決めた志望校は、模試の結果が悪くても簡単にはゆらぎません。理由があるからこそ、「では、差を埋めるには何をするか」と次の行動を考えられます。

理由は大きなものでなくてかまいません。「この先生の授業を受けたい」「このキャンパスで4年間すごしたい」「この資格をとりたい」でも十分です。大事なのは、自分の言葉で言えることです。

志望校の決め方:受験は「わがまま」でいい

元の記事でいちばん強く書いたのが「受験に関してはもっと【わがまま】になったらよい」という言葉です。

「東大は日本一の大学だから」「京大の問題は難しいから」「医学部はむりかな」——こうした考えは、どれも受ける前に自分でブレーキを踏んでいる状態です。ブレーキを踏んだままでは、どれだけ勉強のエンジンをふかしても前に進みません。

ブレーキになる考え 受験は「わがまま」に 東大は日本一だから… 京大の問題は難しいから… 医学部はむりかな… 何も始まらない ① 行きたい大学・学部 ② 勉強の計画を立てる ③ 実践するのみ 決めるのは、自分
図2 「〜だから…」は自分でかけるブレーキ。受験は「わがまま」に、行きたい大学・学部を決めて計画→実践

なぜ「わがまま」でいいのか

受験は、ほかの誰かのためではなく、自分の進む道を自分で選ぶ場です。入試の合否は当日の答案の点数で決まり、高校1年生のときの成績や、まわりの評判で決まるわけではありません。今の成績で志望校をあきらめてしまうと、本番までに伸びるはずだった分の力を、自分で捨ててしまうことになります。

もちろん、最終的に出願する大学は、模試や過去問の結果を見て決めることになります。でも、それは入試の直前に考えればいいことです。勉強を始める段階では、行きたい大学を目標にしてかまわないのです。高い目標に向けて勉強した力は、目標を変えることになったとしても、そのまま次の大学で使えます。

「わがまま」と「無謀」のちがい

ここで気をつけたいのは、「わがまま」は「無謀」とはちがう、ということです。元の記事の言葉をよく読むと、「わがままになれ」のすぐあとに「そのためにはどんな勉強をすればよいのかという計画を立てて実践するのみ」と続いています。

○ わがまま × 無謀 目標:高くてよい 差:点数で知っている 計画:今日の分まである 行動:毎日やっている 目標:高いだけ 差:見ないふり 計画:なし 行動:明日から… 高い目標+計画+実践 高い目標だけ
図7 「わがまま」は高い目標+計画+実践。「無謀」は高い目標だけで、差を見ず、計画も行動もない

目標を高くするのは自由です。ただし、今の自分との差を点数で知り、差を埋める計画を立て、毎日実行する。この3つがそろって、はじめて「わがまま」が力になります。目標だけが高く、差を見ないふりをして、「明日から本気を出す」をくり返すのが「無謀」です。

志望校を決めるための5つの問い

行きたい大学・学部がまだはっきりしない人は、次の5つの問いに答えを書き出してみましょう。紙に書くと、頭の中だけで考えるよりずっと整理されます。

問い考えるヒント
① 大学で何を学びたい?好きな科目・気になるニュース・読んで面白かった本から
② その学問はどの学部にある?同じ学問でも大学によって学部名がちがうことがある
③ どんな場所で4年間すごしたい?自宅から通うか、一人暮らしか。都市か、自然の多い所か
④ 卒業したらどうなりたい?職業・資格・大学院。決まっていなくてもよい
⑤ 制限を全部外したら、どこに行きたい?偏差値・お金・距離を一度忘れて、正直に書く

いちばん大事なのは⑤です。ここで出てきた答えが、あなたの「わがまま」の正体です。①〜④で理由を足していくと、ただのあこがれが「理由つきの志望校」に変わります。

大学から決める? 学部から決める?

「この大学に行きたい」が先にある人も、「この学問をやりたい」が先にある人もいます。どちらでもかまいません。大学から決めた人は、その大学にどんな学部があり、自分に合いそうなのはどこかを調べます。学部から決めた人は、その学問をどの大学で学べるかを調べます。

大学の雰囲気を知りたい人は、オープンキャンパスや学園祭に行ってみるのがおすすめです。京大の学園祭(11月祭)の様子は「京大のパンケーキはベンゼン環の形」で紹介しています。実際に行ってみると「ここに通いたい」という気持ちが強くなり、それがそのままやる気になります。

うかるくん

うかるくん

本当は京大に行きたいんです。でも模試の判定がD判定で……。「身のほど知らず」って思われそうで、人に言えないんですよね。

合格先生

合格先生

受験はもっとわがままでいいんだよ。大事なのは、目標を高くしたら、今の自分との差を点数で知って、差を埋める計画を立てること。それができていれば身のほど知らずじゃなくて、立派な作戦だ。まずは京大の過去問を1年分見て、どの科目で何点足りないかを書き出してみよう。

うかるくん

うかるくん

「京大は難しいから」ってブレーキを踏んでたのは自分だったんですね。今日、過去問を見てみます!

自分を客観的に見る方法:「3つの目」で現状と志望校の差を測る

元の記事では「受験生本人は自分自身を客観的に見ることはなかなか難しいかもしれませんが、自分の周囲で的確にアドバイスをしてくれる人を探しましょう」「人に頼らなくても自分自身を客観的に見ることができるようになることが理想」と書きました。

客観的に見る、というのは、気分や思いこみではなく、点数や事実で自分の今の位置を知ることです。そのための道具を「3つの目」に分けると、分かりやすくなります。

自分を客観的に見る「3つの目」 データ の目 過去問・最低点 模試の結果 人 の目 先生・先輩 家族のアドバイス 自分 の目 勉強の記録 週ごとの振り返り + +
図3 自分を客観的に見る「3つの目」。データの目・人の目・自分の目を組み合わせる

データの目:過去問・合格最低点・模試

いちばん確かなのは数字です。志望校の過去問を解いて、合格最低点(大学が公表している場合)とくらべれば、「あと何点」が分かります。模試の結果は、大問ごと・単元ごとの点数を見ると、どこで点を落としているかが分かります。判定のアルファベットだけを見て一喜一憂するのではなく、差の中身を見るのがコツです。合格最低点の見方は「東大の合格最低点と偏差値50からの計画」、点数を安定させる考え方は「共通テストで8割を安定させる作戦」で説明しています。

人の目:的確なアドバイスをくれる人を探す

自分のことは、自分がいちばん見えにくいものです。得意だと思っていた科目が実は点数を落としていたり、苦手だと思いこんでいた科目が伸びしろだったりします。学校の先生、志望校に通う先輩、家族など、自分の答案や成績を見たうえで意見をくれる人を探しましょう。

アドバイスをもらうときは、「どうしたらいいですか」と聞くより、「この模試で数学の大問3が0点でした。この単元をやり直すなら何から始めればいいですか」のように、具体的に聞くほうが役に立つ答えが返ってきます。身近に聞ける人がいないときは、合格大作戦の「受験の質問・相談ページ」や、受験掲示板「100点BBS」の京都大学受験掲示板・東京大学受験掲示板で、同じ大学をめざす人の話を読んでみるのも一つの方法です。

自分の目:記録をつけて、自分で自分を見られるようになる

元の記事が「理想」と書いたのが、人に頼らなくても自分を客観的に見られる状態です。そのためにいちばん効くのは勉強の記録をつけることです。毎日、何を何ページ(何問)やったか、模試や小テストで何点だったかを書いておくと、1週間後・1か月後に自分の変化を数字で見られます。

記録のつけ方は「勉強記録(勉強ログ)のつけ方」でくわしく紹介しています。記録をもとに「試す→記録→振り返る→直す」をくり返すと、自分に合った勉強法ができあがっていきます。その考え方は「自分自身のオリジナル勉強法を確立せよ」にまとめました。

やる気の本・モチベーション本の使い方:本は「きっかけ」

元の記事では「数多くのやる気にさせる書籍が出版されていますが、自分がやる気にならなければ意味がありません」と書き、そのうえで「ふと自信をなくしたときや不安になったときにはきっかけを作るために読んでみるのもよい」としました。

紹介した本:『今日から始める「やる気」勉強法』

元の記事で紹介したのは、『今日から始める「やる気」勉強法』(安河内哲也・吉野敬介、KKロングセラーズ、2007年)です。英語と古文の受験指導で知られる講師2人による本で、元の記事では「受験界のカリスマ講師二人が書いている本」と紹介しました。書名・著者・出版社・刊行年は国立国会図書館の蔵書データで確かめています(元の記事の書名の書き方は直しました)。2007年の本なので、今は書店では手に入りにくいかもしれません。図書館や中古で探してみてください。

やる気の本を「読んで終わり」にしないコツ

やる気の本は「きっかけ」。読んだら回す ① 読む 不安・自信がない時 ② 1つ決める まねすることを1つ ③ 今日やる 読んだその日に ④ 記録する できたら印をつける 主役は本ではなく 受験生本人
図4 やる気の本は「読む→1つ決める→今日やる→記録する」と回す。主役は本ではなく受験生本人

やる気の本を読むと、その日は気持ちが高まります。でも次の日には元にもどってしまう——という経験がある人も多いはずです。それは、本を読んだあとに行動を1つも変えていないからです。読んだら、まねすることを1つだけ決めて、その日のうちにやってみましょう。できたら記録をつけます。また不安になったら本を開き、次の1つを決めます。このくり返しで、本は「きっかけ」として役に立ちます。

読みすぎに注意:勉強法マニアにならない

元の記事では「あまりにもたくさんの【モチベーションUP】系の本を読む必要はありません」と書きました。やる気の本や勉強法の本は、読んでいるだけで勉強した気分になれるのが落とし穴です。何冊も読んでいるのに、問題集は1ページも進んでいない、というのでは本末転倒です。「オリジナル勉強法」の記事でも、勉強法マニア・参考書マニアにならないよう書いています。

やる気についての本を読むなら、勉強を実際に続けている人のやり方が分かるものを選ぶと、まねする行動が見つけやすくなります。合格大作戦では「現役東大生がこっそりやっている、すごい! 勉強のやり方」や「天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある」なども紹介しています。

為せば成る 為さねば成らぬ何事も:上杉鷹山の言葉の意味

元の記事のしめくくりは、上杉鷹山(うえすぎようざん)のよく知られた歌でした。

為せば成る 為さねば成らぬ何事も
成らぬは人の為さぬなりけり

上杉鷹山の歌を3つに分けると 為せば成る やれば、できる 為さねば成らぬ何事も やらなければ、何もできない 成らぬは人の為さぬなりけり できないのは、やらないから ↑ 大切なのはこの続き
図5 上杉鷹山の歌を3つに分けると。大切なのは「成らぬは人の為さぬなりけり」という続きの部分

現代語訳と意味

「やれば、できる。やらなければ、どんなことも実現しない。できないのは、その人がやらないからなのだ」という意味です。前半の「為せば成る」だけが有名ですが、元の記事で書いたとおり、この続きが大切です。「できない」のは才能や運のせいではなく、「やらない」からだ、と言い切っているところに、この歌の厳しさと励ましがあります。

古文として読むと:「なりけり」の意味

最後の「なりけり」は、断定の助動詞「なり」と、気づき・詠嘆の助動詞「けり」がつながった形で、「〜なのだなあ」「〜なのだ(と気づいた)」という意味になります。「為さぬ」の「ぬ」は打消の助動詞「ず」の連体形です。古文の助動詞の働きは「古文文法辞典」で調べられます。受験生にとっては、格言を覚えながら古文の文法の復習にもなる歌です。

上杉鷹山はどんな人?

上杉鷹山(名は治憲〈はるのり〉、1751〜1822年)は、江戸時代の米沢藩(今の山形県米沢市)の第9代藩主です。苦しかった藩の財政を立て直した名君として知られています。この歌は、鷹山が家臣たちに教えとして示したものとされ、鷹山の書状が米沢市上杉博物館に伝わっています。鷹山自身が考えた言葉かどうかについては、はっきりしないとする見方もあります。

武田信玄の「為せば成る」との関係は諸説あり

戦国時代の武田信玄にも「為せば成る 為さねば成らぬ 成る業を 成らぬと捨つる 人のはかなさ(はかなき)」という歌があるとされ、鷹山の歌はこれをもとにしたという説があります。ただし、信玄の歌とされるものには確かな出典が見つかっておらず、関係については諸説あります。信玄の歌は「できることを、できないと捨ててしまう人ははかない」という意味で、鷹山の歌と同じく「やらないこと」をいましめています。武田信玄の言葉は「武田信玄の格言」でも紹介しています。

受験生バージョンで言いかえると

受験に当てはめると、「勉強すれば、合格できる。勉強しなければ、何も変わらない。合格できないのは、才能のせいではなく、やらないからだ」となります。元の記事の言葉でいえば、「実現するためには自分が実践しなければならない」ということです。

同じように「やること」「続けること」の大切さを伝える格言には、二宮尊徳の「積小為大」、漫画『はじめの一歩』(森川ジョージ)の鴨川会長の「キサマらを強くするのは毎日の積み重ねじゃ」「努力した者が全て報われるとは限らん」、フランクリンの言葉として知られる「今日という一日は、明日という日の二日分の値打ちがある」などがあります。まとめて読みたい人は「受験の格言・名言100選」へどうぞ。

「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

「為せば成る」より大事なのは、続きの「成らぬは人の為さぬなりけり」。やる気は、行動に移してはじめて力になるんだ。

やる気を行動に移す方法:「為す」ための7つの段

やる気はあるのに、なかなか机に向かえない。これは多くの受験生の悩みです。やる気と行動のあいだには、小さな段差がいくつもあります。段差を1つずつなくしていけば、気分が乗らない日でも自然に手が動くようになります。

やる気 → 行動 の7段 1. 目標を言葉に 2. 今日の分に分ける 3. 始める時刻を決める 4. 場所と道具を整える 5. 最初の5分だけ 6. できたら記録 7. 週に1回振り返る 為せば成る!
図6 やる気を行動に移す7つの段。1段ずつ上れば、やる気が毎日の行動になる

1.目標を言葉にする

「京大工学部に合格する」「共通テストで8割」のように、目標を短い言葉にして、紙に書いて目につく所に貼りましょう。頭の中にあるだけの目標は、忙しい毎日の中ですぐにぼやけてしまいます。

2.今日の分に分ける

「数学をがんばる」では、何から始めればいいか分かりません。「問題集の12〜15番を解く」のように、すぐ始められる大きさまで小さくします。大きな目標を月→週→今日の分に分ける方法は「今日という一日は、明日という日の二日分の値打ちがある」の記事で図にしています。

3.始める時刻を決める

「時間ができたらやる」と考えていると、時間はなかなかできません。「夕ごはんのあと19時から」「朝、家を出る前の15分」のように、始める時刻を先に決めてしまいましょう。

4.場所と道具を整える

机の上に、今日使う問題集とノートだけを開いて置いておく。スマホは別の部屋に置く。始めるまでの手間を減らすほど、行動に移しやすくなります。

5.最初の5分だけやる

やる気が出ない日は「5分だけ」と決めて始めてみましょう。始めてしまえば、そのまま続けられることも多いものです。5分でやめてもかまいません。「今日もゼロではなかった」ことが、明日につながります。

6.できたら記録する

やり終えたら、カレンダーや手帳に印をつけます。印が並んでいくのを見ると、「続いている自分」が目に見え、それが次のやる気になります。ここで先ほどの「自分の目」が育ちます。

7.週に1回振り返る

1週間に1回、記録を見て「できたこと」「できなかったこと」「来週直すこと」を書き出します。計画どおりにいかなかった週は、計画が大きすぎたのかもしれません。今日の分を小さくし直して、また始めればいいのです。

こうした小さな工夫は「受験の裏技・テクニック11」や「受験の裏技30選」にも集めています。勉強の進め方の基本(知識→思考力→得点力)は「大学受験勉強法の基本」もどうぞ。

サクラちゃん

サクラちゃん

やる気の本を読んだ日は「よし、やるぞ!」って思うんです。でも、次の日にはもう元どおりで……。

合格先生

合格先生

本はきっかけだからね。読んだら、まねすることを1つだけ決めて、その日のうちにやってみる。たとえば「夕ごはんのあと19時から英単語を50語」。時刻と量まで決めておくと、気分に関係なく始められるよ。

サクラちゃん

サクラちゃん

「やる気が出たらやる」じゃなくて、「時間が来たらやる」にすればいいんですね。今日の19時からやってみます!

「やる気はあるのに動けない」ときの考え方

志望校を口に出すのがはずかしい

高い志望校を人に言うのは勇気がいります。全員に言う必要はありません。信頼できる人に1人だけ伝える、あるいは紙に書いて自分の部屋に貼るだけでも十分です。言葉にすることで、目標は「なんとなく」から「決めたこと」に変わります。

まわりに反対された

「今の成績では無理だ」と言われることもあるでしょう。そのときは、反対の理由を具体的に聞いてみてください。「数学があと何点足りないから」という理由なら、それは差を埋めるためのヒントになります。元の記事のとおり、的確なアドバイスをくれる人の意見は、目標をあきらめる理由ではなく、計画を直す材料として使いましょう。

やる気が出る日と出ない日の差が大きい

やる気には波があるのが普通です。波があることを前提に、やる気が出ない日でもできる「最低ライン」(英単語だけ、計算練習だけ)を決めておくと、ゼロの日がなくなります。やる気の波との付き合い方は「受験のモチベーションの保ち方」で時期別に説明しています。

何から手をつければいいか分からない

まず志望校の過去問を1年分、解けなくてもいいので眺めてみましょう。何が出るかが分かると、今やるべきことが見えてきます。教科ごとの進め方は、数学なら「数学の勉強法」、英語なら「大学受験「英語学習」大作戦」が入口になります。

出願の時期が近づいて不安になった

出願の手順や日程を早めに確かめておくと、不安の多くは消えます。国公立大学の出願の流れは「国公立大学の出願のしかた」でまとめています。

まとめ:わがままに決めて、為せば成る

ポイント内容
やる気の出どころ行きたい大学・学部が決まると、今の自分との差が客観的に分かり、毎日やることが決まる
志望校の決め方受験はもっと「わがまま」に。ただし目標を決めたら、差を知り、計画を立て、実践する
客観的に見るデータの目(過去問・模試)、人の目(的確なアドバイス)、自分の目(記録と振り返り)
やる気の本読みすぎない。読んだら1つだけ決めて、その日のうちに行動する。主役は受験生本人
為せば成る上杉鷹山の歌。大切なのは続きの「成らぬは人の為さぬなりけり」=できないのはやらないから
行動に移す7段言葉にする→今日の分→時刻→場所と道具→5分だけ→記録→週1回の振り返り

受験で一番大切なものはモチベーションです。そしてモチベーションは、自分で決めた志望校から生まれ、毎日の行動になってはじめて力になります。行きたい大学・学部を「わがまま」に決めて、今日の分を今日やりましょう。為せば成る、です。

大喜びするうかるくん

うかるくん

ブレーキを外して、行きたい大学をわがままに決めました! あとは計画を立てて、実践するのみ。今日の分、今から始めます!

よくある質問

受験勉強のモチベーションを上げるにはどうすればいいですか?

行きたい大学・学部をはっきり決めることがいちばんです。ゴールが決まると、過去問や模試で今の自分との差が分かり、毎日やることが決まります。やる気が出たら、時刻と量を決めてその日のうちに行動に移しましょう。

今の成績より高い志望校を目指してもいいですか?

目指してかまいません。受験はもっと「わがまま」でよいのです。ただし目標を決めたら、合格最低点や過去問で差を点数で知り、差を埋める計画を立てて毎日実践することが大切です。

「為せば成る 為さねば成らぬ何事も」は誰の言葉ですか?

江戸時代の米沢藩第9代藩主、上杉鷹山(治憲)の歌として知られています。続きは「成らぬは人の為さぬなりけり」で、できないのはやらないからだ、という意味です。武田信玄の歌との関係は諸説あります。

「成らぬは人の為さぬなりけり」の意味は?

「できないのは、その人がやらないからなのだ」という意味です。「なりけり」は断定の「なり」と詠嘆の「けり」で、「〜なのだなあ」と強く言い切る形です。

やる気の本を読んでもすぐ元に戻ってしまいます。どうすればいいですか?

本はきっかけと考え、読んだらまねすることを1つだけ決めて、その日のうちにやってみましょう。できたら記録をつけ、また不安になったら次の1つを決めます。たくさん読みすぎないことも大切です。

あわせて読みたい

出典・参考

  • 書名・著者・出版社・刊行年:国立国会図書館サーチ(ISBN 4845421089『今日から始める「やる気」勉強法』安河内哲也・吉野敬介、ロングセラーズ、2007年)
  • 上杉鷹山の歌と書状(米沢市上杉博物館):旅行・文化の解説記事で確かめた範囲。武田信玄の歌との関係は諸説
  • 写真:合格大作戦

最終更新:2026年10月22日/作成:大学受験合格大作戦

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