
この記事の結論
- 山口真由さんの本『天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある』(扶桑社、2014年)のいちばん大事な教えは、「基本書を1冊に絞り込んで、反復練習を継続する」ことです。
- 大学受験でも同じで、教科ごとに「これが一番くわしくて正しい」と思える1冊を決め、何周もくり返すのが近道です。数学なら、東大・京大を目指す人には網羅系の参考書(青チャートなど)が基本書の候補になります。
「東大首席→官僚→弁護士」。そんな経歴を聞くと、「もともと頭のできがちがう天才なんでしょう」と思ってしまいますね。ところが、その本人が書いた本の題は『天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある』。天才だから勉強ができたのではなく、努力を続ける「やり方(方法論)」があったというのです。
この記事は2014年3月に、この本を紹介した記事でした。2026年10月に、著者の経歴の確認、本の中心にある「基本書を1冊に絞って反復」という勉強法の受験での使い方(教科別の選び方・読み方・3年間の計画)を、図とあわせて足しました。東大の入試の全体像は「東大合格大作戦(東大の入試の仕組み)」にまとめています。
山口真由さんとは?東大首席→財務省→弁護士の経歴
山口真由(やまぐち・まゆ)さんは、1983年に北海道札幌市で生まれた法律家です。2014年の記事では、次のように紹介されていました(元の記事に載せていた紹介文です)。
筑波大学付属高校を卒業して、東京大学に入学。在学中3年生時に司法試験合格。4年生時に国家公務員第1種試験合格。2006年に東京大学法学部を首席で卒業後、財務省に入省。現在は大手弁護士事務所にて企業法務に従事している。
その後の歩みを、報道で確かめられた範囲で足すと、次のとおりです。
- 財務省では主税局で、税の政策にかかわりました。
- 2009年に弁護士登録をしました。
- 2015年から2016年まで、アメリカのハーバード大学ロースクール(法科大学院)に留学し、2017年にニューヨーク州の弁護士として登録しました。
- 2020年に東京大学大学院で博士(法学)の学位をとり、同じ年に信州大学の特任准教授、2021年4月から信州大学の特任教授になりました。
テレビのコメンテーターとしても知られ、勉強法の本のほかに、法律や社会についての本もたくさん書いています。経歴だけを見ても、すごさが伝わってきますね。ここで大事なのは、そんな人が「自分は天才ではない」と言っていることです。
『天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある』はどんな本?
今回紹介するのは、山口さんが2014年1月に出した本「天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある」(扶桑社)です。元の記事でのせた本の紹介文では、テレビで話題の弁護士が「努力が続くメソッド」を公開した本で、無理なく努力を続けられる37の秘訣が書かれている、と紹介されていました。
本の中の「メソッド」の例
同じく本の紹介文より、メソッドの例として次のような見出しがのっていました。
- 不得意なことは努力しなくていい
- 道具はひとつにこだわる
- スケジュールはあえて立てない
- 大人になってから活きてくる 「ガリ勉」
- 朝食は早めに、昼食は遅めに
- 基本書のネット注文はNG
- ルールには「抜け道」を
- 努力はまわりに見せること!
- 努力が続く習いごとと続かない習いごと
「スケジュールはあえて立てない」「努力はまわりに見せること」など、ふつうの勉強法の本とは逆に見える見出しもあって、思わず読みたくなります。くわしい中身は、ぜひ本で確かめてください。
東大でも「努力のいらない天才」には会わなかった
本の初めで山口さんは、東大に入ると「そもそも頭のできがちがうんでしょう」とまわりから言われて驚いた、と書いています。そして、法学部を首席で卒業した自分も「天才」だと思ったことは一度もなく、東大でも努力のいらない天才には出会わなかった、と続けます。

合格先生
東大の首席でも「天才ではない」と言っている。ということは、やり方しだいで、だれでも力はのばせるということだ。ここが大事!
努力とは「反復・継続」|東大首席の勉強法の考え方
では、山口さんの言う「努力」とは何でしょうか。本の中で、山口さんはこう書いています。
私にとってあることのために努力することは、その何かを「反復・継続」することを指します。
山口さんは、これはアスリートのトレーニングと同じだと説明しています。スポーツ選手は、同じ練習を毎日くり返して体に覚えこませます。勉強も同じで、まず何をくり返すかを見つけ出すことが大事。それさえ見つかれば、あとはちょっとした工夫で続けられる、というのが本の考え方です。
「継続は力なり」ということわざとも、ぴったり重なりますね(意味と由来は「「継続は力なり」の意味と由来」)。続けるには、その勉強を好きになるのもいちばんの近道です(「好きこそものの上手なれ」)。
基本書を1冊に絞って反復|この本でいちばん大切なこと
この本でいちばん大切なことは、次の一言にまとまります。
基本書を1冊に絞り込んで反復練習を継続
山口さんは、基本書の選び方について、自分が「いちばんくわしくて、もれがなく、正しい」と思える1冊を選ぶようにすすめています。
これは大学受験においてとても重要なことです。受験生は不安になると、「もっといい参考書があるのでは」と次々に本を買ってしまいがちです。でも図3のように、何冊も1回ずつ読むだけでは「どこかで見たことがある」止まりで、本番で使える知識になりません。1冊を何周もくり返して、その本の中身を全部自分のものにするほうが、ずっと力がつきます。
なぜ1冊に絞ると強いのか
- 迷う時間がなくなる:「次はどれをやろう」と考える時間を、勉強そのものに回せます。
- どこが弱いかが見える:同じ本を何周もすると、何度やってもまちがえる所がはっきりします。
- 「全部やった」という自信になる:1冊をやり切った経験は、本番で落ち着く力になります。
うかるくん
1冊だけで本当に足りるんですか? 東大や京大の問題って、もっとむずかしいのでは……。
合格先生
入試の問題は、教科書や基本書にある考え方を組み合わせて作られていることが多い。基本が穴だらけのまま問題集を何冊やっても、組み合わせの問題は解けないんだ。まず1冊を完ぺきにして、そのあと問題集や過去問へ進む順番が大事だよ。
うかるくん
まず土台を1冊で固めるんですね!
基本書の選び方|教科別に「1冊」を決める
受験では、教科ごとに基本書を1冊決めましょう。図4は、合格大作戦がおすすめする選び方の例です。
数学の基本書:網羅系の参考書(青チャートなど)
元の記事でもおすすめしたとおり、東大・京大を目指す人の数学の基本書は「青チャート」(数研出版の網羅系参考書)が候補です。例題がたくさんのっていて、教科書の範囲をもれなく学べます。1冊を何周もする進め方や、次に進む『大学への数学 1対1対応の演習』へのつなぎ方は「青チャートと1対1対応の演習の使い方」でくわしく説明しています。京大を目指す人の数学の進め方は「京大 数学 勉強法」と「京大数学の参考書ロードマップ」も参考にしてください。公式の意味をたしかめたいときは「算数・数学公式辞典」、全体は「数学まとめ」が便利です。
英語の基本書:単語帳・熟語帳は1冊を最後まで
英単語こそ「1冊を何周も」がききます。東大の英語でも、むずかしい単語より基本の単語を確実に覚えることが大事です(「東大の英単語」)。熟語は「お勧め英熟語300」で紹介した熟語帳のように、うすい1冊をくり返すのがおすすめです。
国語・社会・理科の基本書
古文は文法の本を1冊決め、助動詞の意味などを何度も確かめます(「古文文法辞典」)。漢字も1冊をくり返すのがいちばんです(「漢字合格大作戦」)。日本史・世界史などは、教科書そのものが「いちばんくわしくて正しい」本の候補になります。用語集をそばに置いて、教科書を何周も読みましょう。
基本書は手に取って選ぶ
本のメソッドの見出しに「基本書のネット注文はNG」とあるように、何周もする大事な1冊は、できれば書店で中身を見て、自分が読みやすいと感じるものを選びましょう。
基本書は何周すればいい?「7回読み」と反復のこつ
山口さんは、この本と同じ2014年に『東大首席弁護士が教える超速「7回読み」勉強法』(PHP研究所)も出しています(2017年に『東大首席が教える超速「7回読み」勉強法』と題を変えて文庫になりました)。この本では、1冊の本をさっと流し読みで何回もくり返して読む方法が紹介されています。書評などでは、こつとして「流し読み」「各回の間を短く」「気負わない」などが挙げられています。
受験勉強に当てはめると、次のように進めるとよいでしょう(合格大作戦のアドバイスです)。
- 1周目は速く:分からない所があっても止まらずに、全体を見わたします。
- 2周目で形をつかむ:見出しや例題の流れを追い、「どこに何が書いてあるか」を覚えます。
- 3周目からは中身:例題を自分で解き、解けなかった問題に印をつけます。
- 4周目からは印の所だけ:何度もまちがえる所を集中してくり返します。
大事なのは、周回と周回の間をあけすぎないことです。1周に何か月もかけると、前に読んだ所を忘れてしまいます。「完ぺきに理解してから次へ」ではなく、「まず終わらせて、また戻る」くらいの気持ちで進めましょう(「完璧を目指すよりまず終わらせろ」)。

サクラちゃん
1周目で全部わからなくてもいいんですね! 速く回して、何回も戻ってくる。これなら続けられそうです!
基本書1冊を軸にした受験勉強の計画(高1〜高3)
基本書を決めたら、図6のような流れで3年間を使うと、ぶれずに進められます(学年や成績によって前後してかまいません)。
- 高1:教科ごとに基本書を1冊決めます。学校の授業に合わせて、習った所を基本書で何周もします。
- 高2:基本書の例題が自力で解けるようになるまで、くり返します。ここで土台ができると、高3が楽になります。
- 高3の春〜夏:基本書を仕上げ、問題集を1冊だけ足して実戦の力をつけます。
- 高3の秋〜:過去問に進みます(東大の過去問の使い方は「東大 過去問集の選び方と使い方」)。まちがえた問題は、基本書の同じ所に戻って確かめるのがこつです。
過去問をやっていて新しい知識が出てきたら、新しい本を買うのではなく、基本書のその場所に書き込んで、1冊に情報を集めるとよいでしょう。ノートのまとめ方は「東大合格生のノートはかならず美しい」、やる気の保ち方は「現役東大生がこっそりやっている、すごい! 勉強のやり方」も読んでみてください。
サクラちゃん
友だちが新しい参考書を買っているのを見ると、あせってしまいます……。
合格先生
本を変えたくなったら、「今の1冊を全部できるか」を確かめよう。まだ印のついた問題が残っているなら、変える必要はない。続けた分だけ力になる、というのが山口さんの本の教えでもあるね。
サクラちゃん
まずは今の1冊を最後までやり切ります!
まとめ|天才とは努力を続けられる人
山口真由さんの本が教えてくれるのは、「努力=反復・継続」、そして「基本書を1冊に絞り込んで反復練習を継続」というシンプルなやり方です。東大の首席でも、特別な才能ではなく、このやり方を続けたことが力になったと書いています。努力について考えたいときは「「実力の差は努力の差」の名言」も読んでみてください。
ピンとこない人は、ぜひ「天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある」を読んでみましょう。ちなみに、東大・京大を目指す人におすすめの数学の基本書は「青チャート」です。勉強の進め方で迷ったら「受験の質問・相談」からご相談ください。
よくある質問
山口真由さんはどんな人ですか?
1983年札幌市生まれの法律家です。2006年に東京大学法学部を首席で卒業して財務省に入り、弁護士、ハーバード大学ロースクール留学を経て、2021年4月から信州大学の特任教授です。
『天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある』は何が書かれた本ですか?
山口真由さんが2014年1月に扶桑社から出した本です。努力を「反復・継続」ととらえ、基本書を1冊に絞り込んで反復練習を続けるなど、努力を続けるためのやり方を紹介しています。
基本書を1冊に絞る勉強法とは?
教科ごとに「いちばんくわしくて網羅的で正しい」と思える本を1冊決め、ほかの本に手を広げずに、その1冊を何周もくり返して中身を全部自分のものにする勉強法です。
数学の基本書は何がいいですか?
東大・京大を目指す人には、網羅系の参考書の青チャートが候補です。例題が自力で解けるまで何周もくり返し、そのあと問題集や過去問に進みます。
基本書は何周すればいいですか?
決まった回数はありません。山口さんには「7回読み」の本もあります。周回の間をあけすぎずに速く回し、何度もまちがえる所がなくなるまでくり返すのが目安です。
あわせて読みたい
出典・参考
- 山口真由『天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある』扶桑社(2014年1月)。引用は本文から1文
- 山口真由『東大首席弁護士が教える超速「7回読み」勉強法』PHP研究所(2014年7月)。2017年に『東大首席が教える超速「7回読み」勉強法』(PHP文庫)
- 東洋経済オンライン(2014年2月21日)の山口真由さんへのインタビュー記事(経歴・本の発売時期)
- 琉球新報「琉球フォーラム」講演の告知記事(経歴:財務省主税局、弁護士、ハーバード大学ロースクール、ニューヨーク州弁護士登録、博士(法学)、信州大学特任教授)
最終更新:2026年10月21日/作成:大学受験合格大作戦












