この記事の結論
- 東大合格生のノートが「美しい」のは、字がきれいだからではなく、見出し・行頭・余白がそろっていて、あとで見返しやすいように整理されているからです。
- まねするなら、見開きの左に事実(板書・問題)、右に考え(気づき・まちがいの理由)を書く、色は3色までにする、まちがいは消さずに残すの3つから始めるのがおすすめです。
受験生にとっての永遠の難題、「ノートのとり方」について教えてくれる一冊が『東大合格生のノートはかならず美しい』(太田あや著、文藝春秋)です。
実際に東京大学(東大)に合格した人のノートの取り方を元に、「ノート術」を科目別・性格別に紹介・解説した、新しいタイプの勉強法の参考書です。
東大合格者のノートは美しい。といっても、文字がきれいに書かれているということではありません。頭のよい人は書くスピードも速く、きれいではない文字を書く人も多いのです。この本では、そんなことではなく、根本的なノートのとり方・まとめ方・注意点を解説しています。勉強の効率を上げるためにお勧めの一冊です。
この記事は、2008年12月に本の紹介として書いた記事です。2026年10月に、本の基本情報と、教科別のノートの取り方のコツ(数学・英語・古文)を図で足して書き直しました。ノートの取り方のコツは、本の中身の写しではなく、受験生によく使われている一般的な方法としてまとめています。東大受験の全体像(科類・配点・日程)は「東大合格大作戦」をどうぞ。
東大合格生のノートはかならず美しい とはどんな本?
本の基本情報
- 書名:東大合格生のノートはかならず美しい
- 著者:太田あや(おおた・あや)。1976年石川県生まれ、教育分野のフリーライター
- 出版社:文藝春秋
- 発売:2008年9月29日(B5判変型・112ページ)
著者の太田あやさんは、東大合格生のノート175冊を集めて、共通点を分析しました。本には、そこから取り出した「ノートづくり7つの法則」がのっていると紹介されています。実物のノートの写真を見ながら、科目別・性格別にノート術を知ることができるのが特長です。
出版社の内容紹介によると、この本の企画には文房具メーカーのコクヨのノート開発チームが参加しています。
続編・シリーズの本
この本はよく読まれ、「東大ノート」シリーズとして続きが出ています。シリーズの累計は50万部をこえると報じられました。
- 『東大合格生のノートはどうして美しいのか?』(文藝春秋):第2弾。ノーベル賞受賞者や文豪の受験時代のノートなども紹介しています。
- 『東大合格生の秘密の「勝負ノート」』(文藝春秋):東大合格生が受験会場にも持ち込んだ「勝負ノート」を紹介した本です。
- 『東大合格生が小学生だったときのノート』(講談社):小学生と保護者向け。「色は3色、ルールを決めよう」など、ノートを書くときの約束を6つにまとめています。
東大合格生のノートが「美しい」理由
元の記事でも書いたとおり、「美しい」は字のきれいさのことではありません。東大に合格する人には字を書くのが速く、くせ字の人もたくさんいます。それでもノートが美しく見えるのは、次のような整理のしかたがそろっているからです。
- 見出しがある:何の単元の、どの問題かがすぐ分かる。日付や問題番号も入っている。
- 行頭がそろっている:箇条書きや式の頭がそろっていると、内容の切れ目が目で見て分かる。
- 余白がある:ぎゅうぎゅうに書かず、あとから書き足す場所を残している。
- ルールが決まっている:色の使い方、記号の意味、ページの使い方が最初から最後まで同じ。
つまり、美しいノートとは「何か月かたってから自分が見返しても、すぐに分かるノート」のことです。東大の入試は高校3年間の内容が広く出ます。高1の内容を高3で見返すときに、読み返せるノートかどうかで、復習の速さが大きく変わります。
反対に、きれいに書くこと自体が目的になってしまうのはよくありません。カラーペンを何本も使って時間をかけて清書するのは、勉強した気分にはなっても、頭にはあまり残りません。ノートは「作品」ではなく、「頭の中を整理する道具」です。

合格先生
ノートの目的は「あとで見返して分かること」。字がきれいかどうかより、見出し・行頭・余白の3つをそろえることが大事だよ。
ノートの取り方の基本:見開きの左右を使い分ける
多くの受験生が使っている型が、見開き(となりあう2ページ)を左右で使い分ける方法です。
左ページ=事実のページ
授業の板書、問題と自分の解答、教科書の大事な所など、「そこにある事実」を書きます。授業中は書くことに追われがちなので、まずは左ページにしっかり書き写します。
右ページ=考えのページ
先生が口で言っただけの説明、まちがえた理由、解き直し、自分の疑問などを書きます。右ページははじめ空けておき、授業のあとや復習のときに書きこむのがポイントです。空いた場所があると、「あとで考えを書き足そう」という気持ちになり、復習が自然に始まります。
紙がもったいないと感じるかもしれませんが、ノートは安いもの。余白を惜しんでぎゅうぎゅうに書くより、余白をたっぷり取った方が、あとで何度も役に立ちます。
東大合格生のノートの取り方:教科別のコツ
ここからは、数学・英語・古文の3つについて、ノートの取り方のコツを図で説明します。どれも「あとで見返して分かる」ためのくふうです。
数学のノート:式は縦にそろえ、まちがいは消さない
- 見出しに問題番号と日付:どの問題集の何番か、いつ解いたかを書くと、解き直しのときに探しやすい。
- 図は大きく:小さい図では気づけないことが、大きい図では見えてきます。定規は使わなくてかまいません。
- 「=」を縦にそろえ、1行に式は1つ:式の変形が上から下へ追えるので、計算ミスを見つけやすくなります。
- まちがいは消しゴムで消さない:線を引いて残し、赤で「何をまちがえたか」を書きます。自分のまちがいの「くせ」が見えてきます。
- 右にメモ欄:「なぜここで平方完成するのか」など、解き方の理由を書きます。
数学は答えが合うだけでなく、答案の流れが大事です。東大や京大の2次試験は記述式なので、ノートの段階から「人が読んで分かる式の並べ方」をしておくと、そのまま答案を書く力になります。基本の問題集の進め方は「青チャートと1対1対応の演習」、公式を確かめたいときは「算数・数学公式辞典」、言葉の意味は「数学用語辞典」が便利です。京大の数学の出題のくせは「京大数学(文系)の出題分析」と「京大数学(理系)の出題分析」で分析しています。
英語のノート:左に英文、右に訳、下に単語
- 英文は1行おきに書く(またはコピーを貼る):長い英文を全部書き写すのは時間がかかります。プリントや問題文のコピーを貼ってもかまいません。空いた行に気づきを書きます。
- 意味の切れ目にスラッシュ(/):英語の語順のまま意味をとる練習になります。
- 主語(S)と動詞(V)に印:長い文ほど、主語と動詞を見つけることが和訳の第一歩です。
- 右に日本語訳:自分の訳を書き、模範の訳とくらべて、ちがう所を赤で直します。
- 下に単語・熟語の欄:知らなかった語だけを、意味と短い例文で書きます。
単語を全部ノートに書き写す必要はありません。単語は単語帳でくり返し覚えるのが効率的です。東大の英単語の考え方は「東大の英単語」と「東大英単」、熟語は「お勧め英熟語300」で紹介しています。
古文のノート:1行おきに書き、色の役割を決める
- 本文は1行おき:空いた行に品詞分解や助動詞の意味を書きこみます。
- 色の役割を決める:たとえば、助動詞は赤、敬語は青、省略された主語の補いは緑。ずっと同じ決まりで書きます。
- 主語を( )で補う:古文は主語が省略されることが多いので、「誰がしたか」を書き足すと話の流れが分かります。
- 現代語訳は下か右に:本文と訳を見くらべられる位置に書きます。
古文のノートで大事なのは、文法の知識を本文の中で使うことです。助動詞の意味や敬語の種類を確かめたいときは「古文文法辞典」、2次試験の古文の形は「古文文法辞典(2次試験の古文)」、国語全体の勉強法は「国語まとめ」を見てください。和歌は「百人一首」で楽しく覚えられます。漢字は「漢字合格大作戦」でどうぞ。
うかるくん
ぼく、字がきたないんです。東大に行く人のノートって、やっぱりきれいなんですよね……
合格先生
「美しい」は字のことじゃないんだ。見出しをつける、行頭をそろえる、余白を残す。この3つなら、字がきたなくても今日からできるよ。
うかるくん
じゃあ、きれいに清書し直さなくてもいいんですか?
合格先生
清書に時間を使うくらいなら、その時間で問題をもう1問解こう。ノートは「作品」じゃなくて「道具」だからね。
ノートは目的別に3種類に分ける
東大合格生のノートを取材した太田あやさんは、合格生たちが授業ノートや演習ノートなど、目的に合わせてノートを使い分けていたと話しています。1冊に何でも書くと、どこに何があるか分からなくなるからです。
授業ノート
授業中に、先生の説明と板書を書くノートです。左右の使い分け(図2)を使うと、授業のあとに右ページで復習できます。
演習ノート
問題集を解くためのノートです。数学のノート(図3)のように、まちがいを消さずに残し、解き直しを書きます。
まとめノート(見直しノート)
授業ノートと演習ノートから、まちがえた所・覚えにくい所だけを集めたノートです。教科書を全部まとめ直す必要はありません。テストや入試の直前に、このノートだけを見返せばよいようにしておくと、短い時間で見直しができます。過去問の反省を1行ずつ書いておくのもよい方法です(過去問の使い方は「東大 過去問集の選び方と使い方」)。
ノートの色の使い方は3色まで
ノートの色は3色までにして、役割を決めておくのがおすすめです。シリーズの小学生向けの本でも、「色は3色、ルールを決めよう」が約束の一つになっています。
- 黒:ふつうの文、板書の写し
- 赤:覚えること、大事な所(赤シートで隠せる)
- 青:自分の気づき、先生が口で言ったこと
色を増やすと、ノートは華やかになりますが、どこが大事なのか分からなくなります。蛍光ペンを使うなら、「本当に大事な1か所」だけにしましょう。決まりは途中で変えないことも大切です。
東大合格生のノートをまねするときの注意
ノートを作ることが目的にならないように
きれいなノートを作ると、勉強した気分になります。でも、入試で点を取るのはノートではなく、自分の頭です。ノートを作ったら、見返して、問題を解き直して、覚えるところまでが勉強です。
写す必要がないものはコピーを貼る
長い英文や地図、資料などは、書き写すより、コピーを貼った方が速くて正確です。書き写す時間を、考える時間に回しましょう。
自分に合う形に少しずつ変える
この本が科目別だけでなく「性格別」にノート術を紹介しているように、ノートの取り方に一つの正解はありません。まずはこの記事のコツを1つか2つまねしてみて、使いやすい形に変えていきましょう。合う形が見つかったら、それを最後まで続けることが大事です。

サクラちゃん
まずは「見出し・行頭・余白」と「色は3色まで」から始めてみます!まちがいも消さずに残してみよう。
サクラちゃん
授業ノートと演習ノートとまとめノート、3冊も作るのは大変そうです……
合格先生
最初から完ぺきでなくていいよ。まずは演習ノートでまちがいを消さずに残すことから。まとめノートは、まちがいがたまってきたら作ればいいんだ。
サクラちゃん
それならできそう!過去問の反省もまとめノートに書いてみます。
東大・京大の受験に役立つ記事
東大の受験の全体像は「東大合格大作戦」、過去問は「東大 過去問集の選び方と使い方」、学費は「東京大学の学費」にまとめています。やる気が出ないときは、漫画『ドラゴン桜』(三田紀房)を受験に生かす「ドラゴン桜を徹底的に活用してみる」もどうぞ。
京大を目指す人は「京大合格作戦の立て方」、学部ごとの配点は「京都大学の学部別 配点一覧」を見てください。数学全体は「数学まとめ」が入口です。勉強の進め方で迷ったら「受験の質問・相談」からご相談ください。
よくある質問
東大合格生のノートはなぜ美しいのですか?
字がきれいだからではなく、見出し・行頭・余白がそろい、あとで見返しやすく整理されているからです。色や記号の使い方にも決まりがあります。
『東大合格生のノートはかならず美しい』はどんな本ですか?
太田あやさんが東大合格生のノート175冊を集めて分析し、ノート術を科目別・性格別に紹介した本です。2008年9月に文藝春秋から出ました。
ノートの取り方の基本は何ですか?
見開きの左に板書や問題などの事実、右に気づきやまちがいの理由を書く方法がよく使われます。右側ははじめ空けておき、復習のときに書きこみます。
ノートの色は何色がいいですか?
3色までにして役割を決めるのがおすすめです。たとえば黒はふつうの文、赤は覚えること、青は気づきや先生の話です。
数学のノートのまちがいは消した方がいいですか?
消さずに線を引いて残し、まちがえた理由を書くのがおすすめです。自分のまちがいのくせが分かり、同じミスを防げます。
あわせて読みたい
出典・参考
- 文藝春秋「東大合格生のノートはかならず美しい」(発売日・判型・ページ数・内容紹介・175冊)
- 文藝春秋 本の話「『東大合格生のノートはどうして美しいのか?』」(第2弾の紹介)
- 現代ビジネス「太田あやさんの記事」(著者の経歴・シリーズの部数・小学生向けの本の約束・ノートの使い分け)
最終更新:2026年10月21日/作成:大学受験合格大作戦











