この記事の結論

  • 京都大学(京大)の数学は、高2の3月までに数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B・Cの「基本の解法」をひととおり身につけ、高3で1対1対応の演習→京大の過去問(10年分が目安)→予想問題と進むのが王道です。
  • 京大は論理的思考力(筋道を立てて考える力)を問う記述式。冊数より、決めた問題集を何度もやりこむことが合格への近道です。

この記事は、2008年に書いた「京大受験数学の勉強法」を、今の教育課程(2022年度に高校へ入学した人から。入試では2025年度から)に合わせて書き直したものです。もとの記事の考え方は変えていません。変わったのは、科目の中身と、本の名前の一部です。

京都大学時計台
京都大学の時計台

京大 数学 勉強法の基本は「高2の3月まで」

京大受験数学の勉強法(理系)で、私がいちばん大事だと考えているのは、高校1年生・高校2年生のうちに数学の基本的な解法をマスターすることです。

中高一貫校や進学校では、高校2年の終わりまでに数学Ⅲ・数学Cまで授業が終わっていることが多くあります(学校によります)。一方で、高校3年生の中ごろになっても、数学Ⅲ・数学Cの授業が終わっていない学校もたくさんあります。

授業の進み方は、自分では選べません。だからこそ、京大を目指す人はなるべく高校2年生の3月までに、数学Ⅰ・数学A・数学Ⅱ・数学B・数学Ⅲ・数学Cの基本的な解法をマスターしておきましょう。授業が遅い学校の人は、参考書で先に進めておくと、高3の1年間を京大型の演習に使えます。

京大数学(理系)の学年別の計画 高1 数学Ⅰ・A → 数学Ⅱ・B授業の予習・復習+解法マスター用の参考書(青チャートなど) 高2 数学Ⅱ・B・C → 数学Ⅲ3月までに全範囲の「基本の解法」をひととおり身につける 高3 春〜夏 1対1対応の演習で実戦力基本の解法を「使いこなす」段階。苦手分野をなくす 高3 秋〜2月 京大の過去問 → 実戦模試演習10年分を目安に。医学部志望はもっと多く
京大数学(理系)の学年別の計画。高2の3月が最初の目標

「基本の解法」とは何か

ここで言う「基本の解法」は、教科書の例題と、それを少し発展させた典型問題の解き方のことです。たとえば「2次関数の最大・最小は、軸と区間の位置で場合分けする」「漸化式は形を見て解き方を選ぶ」といった、問題を見たら方針が浮かぶ型です。京大の問題は、この型をいくつか組み合わせて、自分で筋道を立てないと解けないように作られています。型を知らないと、考える出発点に立てません。

公式の意味や証明を確かめたいときは「算数・数学公式辞典」、言葉の意味は「数学用語辞典」を使ってください。全体の入口は「数学まとめ」です。

京大 数学の出題範囲と今の教育課程(数学Ⅰ〜Ⅲ・A〜C)

2008年にこの記事を書いたときと今とでは、高校数学の科目の中身が変わっています。いちばん大きな変化は、ベクトルが数学Bから数学Cに移ったこと、そして複素数平面(複素平面・ガウス平面)が数学Cに入ったことです。

2008年当時(この記事を書いたころ) 数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B・C数列・ベクトル → B行列 → 数学C2次曲線 → 数学C微分・積分 → 数学Ⅲ 2015〜2024年度入試 数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B(数学Cはない)数列・ベクトル → B複素数平面 → 数学Ⅲ2次曲線 → 数学Ⅲ 今(2025年度入試〜) 数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B・C数列 → 数学Bベクトル → 数学C複素数平面 → 数学C微分・積分 → 数学Ⅲ
高校数学の教育課程のうつりかわり(2008年当時・2015〜2024年度入試・今)
科目今の主な中身(2022年度入学から)
数学Ⅰ数と式、図形と計量(三角比)、2次関数、データの分析
数学A図形の性質、場合の数と確率、数学と人間の活動(整数など)
数学Ⅱいろいろな式、図形と方程式、指数関数・対数関数、三角関数、微分・積分の考え
数学B数列、統計的な推測、数学と社会生活
数学Ⅲ極限、微分法、積分法
数学Cベクトル、平面上の曲線と複素数平面、数学的な表現の工夫

京大の2次試験(個別学力検査)の数学は、理系が数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B・C、文系が数学Ⅲを除いた数学Ⅰ・Ⅱ・A・B・Cが対象です。数学B・数学Cのうち、どの単元が出題範囲になるかは、その年の京都大学「入学者選抜要項」「一般選抜学生募集要項」に書かれています。受験する年の要項で、必ず自分の目で確かめてください。

2008年当時との読みかえ

もとの記事で「数学Ⅲ、数学Cまで終える」と書いたとき、数学Cの中身は行列や2次曲線などでした。今の数学Cは、ベクトルと複素数平面が中心です。「高2の3月までに数学Ⅲ・数学Cまで」という目標は、今の課程でもそのまま使えます。ベクトルは京大でとてもよく出る分野なので、数学Cを後回しにしないようにしましょう。

複素数平面が教育課程から消えたり戻ったりしたいきさつは「新課程では「複素平面」」にくわしく書いています。

京大 数学でよく出る分野を重点的に

基本の解法を身につけるときも、京大入試での出題が多い分野は重点的に学習しましょう。合格大作戦では、京大の数学を1999年度から1年ずつ調べて、分野ごとに「出た年の割合」をまとめています。

京大理系数学 よく出る分野(出た年の割合) 1999〜2026年度の28年分(合格大作戦の出題分析より) 微分・積分100% 確率・場合の数89% 数列・漸化式86% 式と証明・論証86% ベクトル・空間図形82% 整数75% 三角関数・図形と計量68% 図形と方程式・軌跡61%
京大理系数学で出題された年の割合(1999〜2026年度)

理系では微分・積分(100%)がほぼ毎年出ていて、確率・場合の数(89%)、数列・漸化式(86%)が続きます。文系でも微分・積分(96%)、ベクトル・空間図形(89%)、確率・場合の数(82%)がよく出ます。年ごとの問題と分野は「京大理系数学 出題分析」「京大文系数学 出題分析」で一覧にしています。

うかるくん

うかるくん

整数の問題って、教科書にはあまり載っていない気がします。どうやって練習すればいいですか?

合格先生

合格先生

いい質問だね。整数は数学Aの「数学と人間の活動」などで習うけれど、京大ではそれ以上にくり返し出ている。まずは青チャートなどで約数・倍数、余り(合同式)、不定方程式の型を固めよう。そのうえで京大の過去問の整数を、分野別にまとめて解くと力がつくよ。

サクラちゃん

サクラちゃん

確率もよく出ているんですね。

合格先生

合格先生

そう。京大の確率は、漸化式と組み合わさることも多い。「確率×数列」の型は、高2のうちに一度は練習しておこう。

文系の人の重点分野

文系の数学は数学Ⅲがない分、微分・積分(数学Ⅱ)、ベクトル(数学C)、確率、整数の比重が大きくなります。文系の問題には、理系と同じ問題や、よく似た問題が出る年もあります。理系の過去問のうち、文系の範囲で解ける問題は練習に使えます。

文系の人も「高2の3月まで」の目標は同じです。数学Ⅰ・A・Ⅱ・B・Cの基本の解法を高2のうちに仕上げれば、高3で英語や国語、社会に使える時間が大きく増えます。京大の文系学部は、学部によって数学の配点の重みがちがうので、志望学部の配点も早めに確かめておきましょう。

京大 数学 参考書のおすすめと順番

使う参考書と問題集は、役割ごとに4段階に分けて考えるとわかりやすくなります。

1解法マスター青チャートなど 2標準演習1対1対応の演習 3京大の過去問過去問集・赤本 4予想問題実戦模試演習 右へ進むほど京大レベル →
京大数学の参考書の4段階。下から順に積み上げる

1段目:解法マスター用の参考書(青チャートなど)

数学の解法マスター用にお勧めの参考書は、【青チャート】(チャート式 基礎からの数学)です。学校指定の参考書として青チャートを使っている高校も多いでしょう。

もちろん、ワンランク上の【赤チャート】を使ってもかまいません。ただ、ここでの目的はあくまでも基本の解法をマスターすることです。京大型の問題演習は別の問題集で進めるので、自分で選べる場合は青チャートがよいでしょう。

また、学校で同じような解法の参考書(フォーカスゴールドなど)を使っている場合は、あえて青チャートを買う必要はありません。なるべく使い慣れた、その解法マスター用参考書を使いましょう。2冊を中途半端に進めるより、1冊を仕上げるほうがずっと力がつきます。

学校の問題集もしっかりやりこむ

多くの学校では、4STEPや4TRIALといった問題集を使っています。まずはその問題集をしっかりやりこみましょう。学校の授業や定期テストを利用して演習すると、無理なく続けられます。定期テストは「その範囲の基本の解法が身についたか」を確かめるよい機会です。

2段目:標準問題の演習(1対1対応の演習)

基本的な解法をマスターしたあとの実践演習には、【大学への数学 1対1対応の演習】がよいでしょう。このシリーズは良問がそろっているので、基本の解法をマスターしてからの演習書としては最適です。

2008年当時は数学Ⅰ・A・Ⅱ・B・Ⅲ・Cの6冊をおすすめしていました。今の課程に合わせて、シリーズの分け方や冊数は変わっています。自分の学年の課程に合った巻を選んでください。青チャートと1対1をいつまでに終えるかは、「青チャートと1対1対応の演習はいつまでに終わらせる?」でくわしく答えています。

3段目:京大の過去問

京大型の問題演習は、過去問を解くのがいちばんです。余力があればできるだけ多くの問題を解けばよいのですが、10年分をめどに解くとよいでしょう。

過去問の本特徴こんな人に
大学への数学『入試の軌跡』京大解説がくわしい(2008年当時のおすすめ)まず10年分をていねいに
『京大の理系数学○カ年』数十年分の問題を分野別に収録(年数は版で変わる)たくさん解きたい人・医学部志望
『京大の文系数学○カ年』文系の問題を長い期間で収録文系の人
京大の赤本全科目がのっている。数学もこれで進められる他の科目と一緒に時間配分を練習

余力があれば、くわしい解説の本で10年分を解いてから、『京大の理系数学○カ年』で長い期間の問題にシフトするとよいでしょう。医学部受験を考えている人は、25年分以上を解くことをお勧めします。

2008年当時、私は「京大の数学はここ数年かなり簡単になってきているので、10年以上前の問題は難しく感じる人も多いだろう」と書きました。京大の数学の難しさは、年によって上がったり下がったりします。古い問題が難しく感じても、あわてる必要はありません。古い問題ほど、考える力をきたえる練習になります。

4段目:予想問題(実戦模試演習)

京大の過去問を終わらせたあとは、『実戦模試演習 京都大学への数学』などの予想問題集で演習していきましょう。過去問にない新しい問題で、初めて見る問題に対応する力を確かめられます。大手予備校の京大型模試(京大型の記述模試)を受けるのも、同じ意味で役に立ちます。

「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

参考書は「1段ずつ、仕上げてから上へ」。上の段の本に早く手を出すより、下の段を完璧にするほうが、結局は京大に近づくよ。

京大 数学 過去問の使い方

過去問は、解いて丸をつけるだけではもったいない使い方です。次の4つを1年分ずつくり返しましょう。

1. 解く時間を計って本番どおり 2. 答え合わせ部分点の目で採点 3. 解き直し何も見ずに最後まで書く 4. 記録分野・まちがいの原因 1年分ずつくり返す
過去問の1サイクル:解く→答え合わせ→解き直し→記録
  1. 解く:本番と同じ時間を計って、1年分をまとめて解きます。途中で答えを見ません。
  2. 答え合わせ:答えが合っているかだけでなく、途中の説明が読む人に伝わるかを見ます。京大は記述式なので、考え方が正しく書けていれば部分点がつくこともあります。
  3. 解き直し:まちがえた問題は、解説を読んで納得したあと、何も見ずに最後まで書けるか確かめます。
  4. 記録:分野と、まちがえた原因(計算ミス・方針が立たない・場合分けもれなど)をノートに残します。同じ原因のまちがいが続いたら、その分野を1段目の参考書に戻って復習します。

時間配分の目安

京大数学の試験時間と1題あたりの平均 理系 第1問第2問第3問第4問第5問第6問 150分 ÷ 6題 = 1題あたり平均25分(200点満点) 文系 第1問第2問第3問第4問第5問 120分 ÷ 5題 = 1題あたり平均24分(150点満点)
京大数学の試験時間。点数は換算前の素点で、学部ごとの配点に換算される

京大の理系数学は150分・大問6題・200点、文系数学は120分・大問5題・150点です(前期日程)。この点数は換算前の素点で、合否判定では学部ごとの配点に換算されます(たとえば工学部250点、理学部300点、総合人間学部(文系)200点、文学部100点)。1題あたりの平均は25分前後ですが、問題の難しさは同じではありません。最初に全部の問題を見て、解けそうな問題から手をつける練習を過去問でしておきましょう。学部ごとの数学の配点は「京大 学部別の配点」、工学部は「京大工学部の配点」にまとめています。

京大の数学で求められる「論理的思考力」

京大の入試問題は、数学に限らず思考力を要する問題が出題されます。問題文が短く、誘導(小問による手がかり)が少ない問題も多いため、どこから手をつけるかを自分で決めなければなりません。

しっかりと演習を積み、論理的思考力を身につけましょう。ふだんから次のことを意識すると、少しずつ力がつきます。

  • 答えだけでなく、「なぜそうなるのか」を言葉で説明できるようにする。
  • 小さい数で試す(n=1, 2, 3 のとき)・図をかく・極端な場合を考える、などの手がかりの見つけ方を身につける。
  • 解き終わったら、別の解き方がないかを考える。
  • 場合分けをしたら、もれや重なりがないかを確かめる。
サクラちゃん

サクラちゃん

過去問を解いても、最初の一歩がぜんぜん浮かばないんです…。

合格先生

合格先生

最初はみんなそうだよ。15分考えても方針が立たなければ、解説の最初の数行だけを読んで、続きは自分で書いてみよう。

合格先生

合格先生

そして「この方針は、どの基本の解法を使っているか」を確かめる。青チャートの例題に戻れるなら、それがいちばんの復習だね。

サクラちゃん

サクラちゃん

基本の解法に戻るんですね。やってみます!

合格した先輩の勉強法を参考にする

実際に京大に合格した先輩が使っていた参考書を知るには、『私の京大合格作戦』(エール出版社の合格体験記。当サイトとは関係のない本です)で情報を集めるのもよいでしょう。受験生時代の模試の成績なども載っているので、自分が京大に合格するまでのイメージを持ちやすくなります。

京大を目指す人どうしの情報交換は、受験掲示板「100点BBS」の京都大学の掲示板でもできます。勉強の悩みや質問は「受験の質問・相談」でも受け付けています。

ひらめいたうかるくん

うかるくん

まずは高2の3月までに、数学Ⅲ・数学Cまでの基本の解法を1冊仕上げる。目標がはっきりしました!

京大のほかの科目・入試情報

数学だけでなく、ほかの科目もあわせて計画を立てましょう。

よくある質問

京大の数学はいつから対策すればいいですか?

高1から始めるのが理想です。高2の3月までに数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B・Cの基本の解法をひととおり身につけ、高3で京大型の演習に入るのが目安です。

京大の数学の出題範囲は?

理系は数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B・C、文系は数学Ⅲを除く数学Ⅰ・Ⅱ・A・B・Cが対象です。細かい単元は、受験する年の京都大学の入学者選抜要項で確かめてください。

京大の数学の過去問は何年分解けばいいですか?

10年分が目安です。余力がある人や医学部志望の人は、25年分以上を解くことをお勧めします。

青チャートと赤チャートはどちらがいいですか?

基本の解法を身につけるのが目的なので、自分で選べるなら青チャートがお勧めです。学校で似た参考書を使っているなら、それを仕上げれば十分です。

京大の数学の試験時間は?

前期日程で、理系は150分・大問6題・200点、文系は120分・大問5題・150点です。これは換算前の素点で、合否判定では学部ごとの配点(工学部250点、理学部300点など)に換算されます。

あわせて読みたい

出典・参考

  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」数学
  • 京都大学「入学者選抜要項」「一般選抜学生募集要項」(試験時間・出題範囲)
  • 分野ごとの出題の割合は、合格大作戦の京大数学 出題分析(1999年度〜)による
  • 勉強の進め方は、京大受験指導の経験にもとづく筆者の考えです

最終更新:2026年10月21日/作成:大学受験合格大作戦

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